シンジは、コレを持っていた。

シンジが、コレを持っていた。

ママの形見を・・・・・

ずっと、しまっておいたはずなのに・・・・・

なんで・・・・・

 

いつもここから....

第八話

“夢と現実!?”

 

アイツは私を裏切った!

私の心を傷つけた。

アイツは私を助けてくれなかった。

何もしなかった・・・・・

 

でも・・・

何もできなかったのは

 

役に立たなかったのは

 

シンジがいなくなったのは

私のせい

 

 

アスカはベッドに横になったまま、枕に頭を押しつけていた。

周りには破かれた雑誌やぬいぐるみが散乱している。

机の上には写真立て。

可愛く笑う少女と、恥ずかしそうに笑う少年が映っている。

その写真の前で、十字架のペンダントが月の光に照らされて、悲しそうに輝いていた。

 

 

 

ネルフ本部内、赤木博士研究室

いつも以上に積み重ねられた書類の山に囲まれて、それでもこの部屋の主はキーを叩き続けている。

それを見つめる二つの猫の置物。

プシュー

不意にドアが開き、親友兼同僚である作戦部長が入ってきた。

「リツコ、どう?」

手に持った二つのコーヒーカップのうちの一つを差し出しながら、ミサトが聞く。

髪はボサボサで、目の下にはクマが出来ている。

どうみても、過労死寸前のサラリーマンだ。

だが、その点では金髪の女性も負けてはいまい。

「どうもこうもないわ。サルベージ計画は二週間後。それまでに少しでも多くシミュレーションしとかないと」

手渡されたコーヒーを一口飲むと、溜息を吐きながらリツコは答えた。

シンジが使徒と戦ってから2週間。以来、彼女はずっとこんな調子だ。

「そういえば、アスカはどう?」

「うん、落ち込んでると思ったんだけどね。シンちゃんが帰ってくるまでに料理を覚えるんだって張り切ってたわ」

「そう、元気なのね・・・・」

「ええ、表面上はね。ちゃんと帰ってくるって約束したんですって、シンちゃんと・・・・・」

「・・・・責任重大ね。失敗したら・・・・・アスカに殺されちゃうわ」

再びキーを叩き始める。

ミサトは小さく微笑むと、静かにその部屋を後にした。

 

 

 

「何を願うの?」

「何を願うの?」

「何を願うの?」

 

「僕に・・・・願う権利なんかあるもんか」

 

黒い空間

その中で青白い炎が、辺りを薄く照らし出していた。

それを囲むようにして、二人の少年が佇んでいる。

「さあ、はじめようか」

銀髪の少年が微笑む。

「そうだね。もう、誰も悲しまないように・・・・・」

黒髪の少年が答える。

「誰も・・・・か。少なくとも彼女には・・・・・・辛いことになるだろう」

「・・・・・勝手過ぎるかな?」

「人間は自分勝手なものだよ。だからこそ人でいることができる・・・・・君もわかっているだろう」

「そうだね。人と人とは、完全に解り合うことは出来ない」

「だからこそ、共に生きるんだね」

紅い目の少年は、その瞳を閉じる。

「ふふ・・・自分勝手なもんさ」

黒い目の少年も、その瞳を閉じた。

 

青い光が辺りを包み、少年達と混ざり合う。

 

そして、その中から三つの陰が現れた。

 

「さあ、行こうか・・・・・」

 

 

 

「自我境界パルス、接続完了」

発令所は、緊張に包まれていた。

今回は、作戦部長の出番はないらしい。リツコがしきっている。

ミサトは少し離れた所で、事の成り行きを見守っている。

隣には、心配そうな顔をしたアスカとレイの姿もあった。

「サルベージ、スタート!」

リツコの声が響く。

「シンジ君」

「碇君」

「シンジ」

    

「シンジ・・・・」

目を開ける。何度も見た天井。

(ここは・・・・病院?)

「シンジ・・・・」

(アスカ?)

ベッドの側で、手を握っているアスカが見える。

だが手の感触がない。いや、体が動かない。

「目、醒ましなさいよ・・・・・・」

(これは・・・・・・夢?)

「いつまで待たせんのよ」

(アスカ?泣いているの?)

「もう・・・・限界よ」

(どうして・・・・・)

「はやく・・・・・帰って・・・・きてよ・・・・・」

(ああ・・・夢なんだな。早く行かなきゃ)

                    

警告音が、発令所に響く。

「逆流を防いで!」

リツコはあちこちに指示を飛ばす。が、逆流は止まらなかった。

「なぜ?シンジ君・・・・帰りたくないの?」

 

「プラグがイグジットされます。」

「ダメ!抑えて!」

だが、リツコの健闘も虚しく、ハッチが開きLCLが流れ出る。

ミサトが説明していたので、アスカやレイにもそれがどういう事なのか分かっていた。

悲鳴と絶望が広がる。

「シンジ!!」

アスカは発令所を飛び出し、初号機へと向かった。

ミサトとレイも後に続く。

リツコは悔しそうに、データの表示されたモニターを睨んでいた。

 

 

「シンジ・・・・」

床に落ちたプラグスーツを拾うと、胸に抱きしめる。

強く・・・・・だが、冷たかった。

「返してよ・・・・・。シンジを返して!!返しなさいよ!!」

アスカは初号機・・・・・そのコアを睨んで叫び続ける。

 

だが初号機は答えることはない。

 

アスカの泣き声が響くゲージに、

 

リツコからサルベージの失敗と終了が伝えられた。

 

 

第八話 終

 

〜あとがき〜
SHINです。短いです。感想来ないです。(泣)
ちょっと痛くなってまいりました。ウフフフフフフフ・・・・
前回で「ヒントをくれ」と書いたところ、怒られました。
自分は自分って事ですね。チョット反省・・・・m(_ _)m
よっしゃ、次もがんばるっす。


アスカ:シンジ帰ってこなかったじゃないっ!

マナ:ほら、やっぱりアスカが嫌なのよ。

アスカ:シンジの計画はどうなったのっ!?

マナ:きっと、アスカがいなくなるまでエヴァの中でじっとしてるのよ。

アスカ:んなわけないでしょっ! シンジも「早く行かなきゃ」って言ってるじゃないっ!

マナ:わたしの所へ?(*^^*)

アスカ:ちがーーーーうっ!(ーー#

マナ:失敗しちゃったサルベージ。どうなるのかしら。

アスカ:なんとかなさいよっ!

マナ:そうだわっ! アスカがかわりにエヴァに溶けたら、シンジが出てくるかもっ!

アスカ:そ、そうねっ! やってみるわっ!

マナ:(ニヤリ)
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