------------------------------------------------------------------------------ あまえんぼうアスカちゃん−勝手に歯医者編の続き−<をい ------------------------------------------------------------------------------ ある日の朝。 ここはコンフォート17の一室。 「やれやれ・・この前は大変だったなぁ・・」 冒頭からいきなりぼやいているこの少年、名を碇シンジ君と言った。 彼の言う、大変だった「この前」と言うのは、彼の同居人である女の子のことだ。 *詳しくは、「あまえんぼうアスカちゃん−歯医者編−」参照のこと。*<をい さて、彼は今日の朝食の支度をしているようである。 いつもと変わらぬ主夫生活。と言うわけだ。 いそいそと料理をしていると、いきなり後ろから誰かに抱きつかれた。 「わ!」 驚いて後ろを向くと、紅茶色の髪と蒼い瞳の女の子が彼に抱きついていた。 「んふふ〜♪おはよ(はぁと)」 この朝からやけに機嫌がいい女の子が、彼の同居人、惣流アスカラングレーさんである。 この前は痛い思いをしたが、その分目の前にいる少年に思いっきり甘えられたので、すご ぶるご機嫌のようである。 しかも、それがもう二日も続いていると言うから驚きだ。 更には、珍しくシンジに起こされることなく、自分から起きてきている。 先日シンジに甘えられたのが、余程嬉しかったと見える。(^^; 「おはよう。アスカ」 シンジはそう言って、いつもの笑顔で朝の挨拶。 (ふにゃ)*^^* その笑顔を見て、だらしなく顔を崩すアスカ。 普段、外では精悍な表情ばかりしているのが嘘のような有様である。(^^; アスカは、だらしなく表情を崩したまま、シンジの背中に頬を寄せる。 シンジも顔が赤いが、満更ではないようだ。けっ! そうこうしている間に、朝食も出来たようだ。 ちなみに家主であるミサトは、昨日から徹夜仕事で、まだ帰っていない。 まあこれはいつもの事なので、二人はさして気にもせずに、いつもと変わらぬ生活をして いるのだが・・・ で、そのいつもの生活とやらであるが・・・ 「さ、できたよ。アスカ」 「うん」 「運ぶの手伝って」 「うん」 などと言いながら、二人で一つの皿を仲良く運んでいる。 このガキども・・・私でさえ独り者だというのに・・・凸(ーーメ ま、まあ、作者の愚痴などほっといて、話を続けよう。(^^;<をいこら テーブルに皿を並び終えて、二人は隣だって椅子に座った。 ここからがまた、喉を掻きむしりたくなるような展開になるのは、もはや火を見るより明 らかだ。 この二人はミサトが居ないと、いつもこんなものである。 「はい。アスカ。あーん」 「あぁ〜ん(はぁと)」(^0^) ぱく 「美味しい?アスカ」 「うん。おいしい(はぁと)」*^^* 「よかった。じゃあ今度は・・・」 「だぁめ!今度はア・タ・シ」 「う、うん。じゃあ」*・_・* 「はい。シンジィ。あーんして」 「あーん」*・0・* ぱく 「んふ。おいしい?(はぁと)」 「うん。おいしいよ。アスカ」 「じゃあ、じゃあね。今度はぁ・・はい!シンジの番」 「うん。じゃあどれが良い?」 「シンジの作る物ならぁ、なぁ〜んでも(はぁと)」 「じゃあねぇ・・・これ」 「あ〜ん」(^0^) ・ ・ ・ ・ (ぴくぴく)(ーーメ うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! がんがんがんがんがんがんがんがんがんがんがんがん!!!!! やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!! と、書きながら独りで暴れてる作者はこの際おいといて・・・(^^; 二人で仲良く食事を終えた二人は、これまた仲良く後片づけ・・・ではなく、シンジが一 人で片づけである。 その間にアスカは朝風呂、と言うのがいつものパターンであった。 シンジが後片づけと一緒に、お昼の下準備をしていると、アスカが風呂から上がってきた。 冷蔵庫から牛乳を取り出して、一気に飲むのもまたいつもの事。 飲み終わると、とことこと自分の部屋に行き、部屋着に着替えて再びリビングへ。 あ、言い忘れたが、今日は土曜日であります。その為二人はゆっくりとしているのである。 アスカが部屋から出てくると、ちょうどシンジも一仕事終えていた。 手を拭きながら、リビングに向かう。 アスカはすでに、ソファーに座ってTVを見ている。 シンジはその隣に座って、一緒にTVを見始める。 それに気付いたアスカは、シンジに体を寄りかからせる。けっ! 少しして、シンジがアスカに話し掛けた。 「ねぇアスカ」 「なに?シンジ」 「そう言えば、歯の具合、どう?」 と、言うシンジ。少し心配そうである。 そんな彼とは裏腹に、アスカは元気いっぱいに答える。 「もう全然平気!」(^^)v 「そう?それなら良いけど・・・でも、しばらくは甘い物控えないと駄目だよ」 「え〜」 その言葉に、アスカは少々不満げに声を上げる。 しかしシンジは、アスカを窘める。 「今度は歯が痛くなったって知らないよ」 「う〜」(−−) 「判ったね?」 「・・・・・・・・・・うん」(−−) こうぴしりと言われては、渋々だがアスカも承諾するしかない。 ドイツ育ちで、人一倍甘いものに目がないアスカは少々不満顔。 小声でぶ〜たれてみる。シンジに聞こえないように。 「・・ぶぅ・・・」 シンジは聞こえたが、聞こえないふり。 少しして、何かを思い付いたようにアスカが聞いてきた。 「ねぇ」 「なに?アスカ」 「痛かったら、だっこしてくれるんだよね?」 「アスカが僕の言うことを聞いててくれたらね」 歯医者でのことだと思ったシンジは、なんの疑問も持たずにすんなりそう言ってしまう。 アスカはニヤリとすると、突然シンジに向かって言い出した。 「ねぇシンジ」 「なに?アスカ」 「歯が痛い」 「え?」 シンジは驚いた声を上げる。 そんなシンジに構わずに、アスカは抱きついてきた。 一気に沸騰するシンジの顔。 だきっ 「歯が痛いのぉ(はぁと)」 「ちょっ!アスカ!?」*・_・* 「痛いとき、だっこしてくれるって言ったぁ(はぁと)」*^^* 「え?いや・・あれは・・歯医者の時だ・・」 (うるぅ〜)(;_;) 彼のその「歯医者の時だけ」の声を遮るように、必殺アスカの泣き真似。(笑) アスカは自分のわがままを通すとき、必ずと言っていい程これをやる。 そうと判っていながらも、抗うことのできないシンジであった。 「わ、わかったよ。はい」*・_・* だきっ 「うふ。歯が痛ぁい(はぁと)」(すりすり)*^^* アスカは満足げな表情で、彼の腕に頬摺りまでし始める始末である。 シンジも満更では・・・このクソガキ・・・凸(ーーメ 「・・・・・」*・_・* 「(ふにゃふにゃ)」*^^* そんなこんなで、アスカはすっかりシンジの膝の上をご満悦のご様子。 ふにゃふにゃの表情で、TVを見ている。 だが、いつまでもこのままという訳もいかず、シンジが痺れを切らす。 「ね、ねぇ、アスカ。そろそろ降りて欲しいんだけど・・・」 などと言いながら、視線は掃除機の方に向いていた。 どうやら、他の家事がしたいようだ。 でもアスカは許してくれない。そっぽを向いてしまう。 「やっ(ぷい)」 「でもさ、掃除とか、洗濯とかしなきゃならないし・・ね?」 「う〜・・」 頼み込むように言っても、アスカはこのお気に入りの場所を空けようとしない。 ここで今度は、シンジの必殺技の出番である。 「言うことを聞かないと・・・」 「む〜・・・わかったわよぉ」 「ごめんね」 「ふんだ(ぷい)」 どうやら、効果があったようだ。 アスカは渋々ながらも、膝の上からどく。 ようやく解放されたシンジは、嬉々として掃除機を手に取ろうとしていた。 そんな彼をよそに、アスカは自分の部屋に入いって行く。 アスカは、どうやら拗ねたみたいだ。頬をぷくっと膨らませている。 がー がー ご機嫌な様子で、シンジは掃除を始める。 すると今度は、雑誌を手にしたアスカがとことことベランダに出て行った。 シンジは気にせず、ひたすらお掃除。 アスカはいそいそと、飲み物を用意している。しかも二つ。 これが何を意図するものなのかは、一判りである。 飲み物をベランダのテーブルに置くと、アスカはシンジに声を掛ける。 「ねぇねぇ、シンジ」 その声に、何事かとシンジが振り返る。 「なに?アスカ」 振り返ったシンジにアスカは、おいでおいでと手招きをする。 「??」と言った感じでアスカに近寄っていく。 「どうしたの?」 「はい。ここに座って」 「????」 「いーから座って」 「う、うん」 言われるままに、椅子に座ってしまうシンジ。 気付けよ。(^^; シンジが座ると、アスカは飲み物を差し出してにっこり。 「はい。ごくろうさま(はぁと)」 「え?う、うん・・」 訳が分からない、といった風のシンジ。 対照的にアスカはしてやったり、と言った感じである アスカが何を考えてるのかは、もはやモロバレである。 でもシンジは気付かない。大したものだ・・・(^^; シンジは飲み物に手を出す。 それを見たアスカは、すかさず彼に膝の上に乗っかったきた。 「ア、アスカ?」 「歯が痛いのぉ(はぁと)」*^^* 「もう・・アスカ」(−−) ようやくアスカの企てが判ったシンジは、少し窘めるような声を出す。 その声を聞き、彼の顔を見たアスカは、しょんぼりとした表情をしてしまう。 そして少し上目遣いで、唇を尖らせながら、シンジの顔色を伺うように声を絞り出す。 「・・・だ、だって・・・」 「だってじゃないよ」 「・・だって・・」 あまり強い口調ではないものの、シンジが少し不機嫌なのは明かである。 親に怒られている小さな子供のような顔をして、アスカは「だって」を繰り返す。 余程彼の膝の上がお気に入りのようだ。 そんな顔をされてはさすがのシンジも、怒る訳にもいかなくなってしまった。 表情をふっと和らげると、アスカの髪を優しく撫でて、今日の掃除を諦めた。 ふわっ なでなでなで 「しょうがないなぁ。でも今日だけだよ」 彼に髪を撫でられて、くすっぐたいような、心地良いような表情をすると、少し肩をすく めながら、アスカは言った。 「んふ・・ごめんね。シンジ」 ・ ・ ・ シンジに髪を撫でられながら、緩やかな風に吹かれて、アスカは膝の上で雑誌を読んでい る。実に楽しそうだ。 シンジもそんな彼女を見つめながら、共に緩やかな時間を過ごすのであった・・・ END ------------------------------------------------------------------------------ おまけ ------------------------------------------------------------------------------ 「ふぅ・・もう、寝ようかな?」 その日の夜。シンジは部屋で就寝しようとしていた。 天井を見つめながら、今日の出来事を振り返る。 「アスカったら・・」 などと呟いきながら、だんだんとにやけ顔になっていく。 そう言えば、明日は約束のデートの日。 明日もまた、アスカ姫のご機嫌を伺わなければいけない。 まあ、それはいつものことだけどね。(^^; どこへ行って何をしようかなどと考えてると、部屋の襖がすーっと開いた。 すー・・ シンジがそちらの方に顔を向けると、案の定アスカ姫の姿が・・・ 枕を両手で抱き締めて、じーっとこちらを見ている。 「(じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ・・)」(・_・) 「な、なに?どうしたの?」(^^; 彼女が何を言いたいか、大体の想像がついているが、とにかく事情を聞く。 判ってんだったら、聞くなよな・・・(−−; 「シンジィ・・」 「なに?アスカ」(^^; 「歯が痛い・・・」 やっぱり、そう来たか。(笑) シンジは、やれやれと言った感じの顔をするが、にやけているので説得力がない。 いかにも仕方が無く、と言った感じで毛布の端を持ち上げる。<おのれ・・・ シンジのその動作に、にぱっと顔を輝かせるアスカ姫。 いそいそと毛布の中に入ってくる。 アスカが入ると、端を降ろしてそのまま軽く抱く格好になる。 アスカ姫。「余は満足じゃ」顔。(笑) そのままシンジに抱きついて、今日最期のお言葉。 「んふ。歯が痛ぁい(はぁと)」(すりすり)*^^* シンジも彼女を抱きながら、耳元で囁くように今日最期の言葉。 「おやすみ。アスカ」 お互いの鼓動を感じながら、二人が目を閉じるとすぐに眠気が襲ってきた。 二人は幸せそうな寝顔で、明日の事を夢に見ていた。 THE END ------------------------------------------------------------------------------ あまえんぼうアスカちゃん−勝手に歯医者編の続き− This Novel Written From 未神 瞬 ------------------------------------------------------------------------------
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