『本日十二時三十分、東海地方を中心とした関東中部全域に特別非常事態宣言が発令されました。住民の方々は速やかに指定のシェルターへ避難して下さい。繰り返します・・。』

「・・どうして・・。」
少年:碇シンジは、疑問に思っていた。
なぜなら、ついさっきまで視界は赤い海だけだったはずなのに、
「ここは・・。」
「第三新東京市さ、一年前のな。」
「そうだよね。・・・って誰!?」
シンジの前には、同い年程の少年が立っていた。
瞳の色は普通だが、髪の色は白銀だった。
「俺は、ゼロだ。・・お前の分身であり、使徒だよ。」
「ゼロ・・ねえゼロ、教えて。何がどうなってるの?」
シンジは、やや混乱している。
「さあな、・・お前自身の胸に聞きな。」
「えっ?」
「思ったんじゃねぇか?時間を戻して、やり直したいって?」
「・・・うん。」
「これが、その結果だよ。」
「それじゃあ、やり直せるの?」
「ああ、・・ただし・・。」
「ただし?」
「どうしよう・・電話もダメだし・・電車も止まっちゃったし・・。」
二人の近くを通った少女が、フとそう言った。
少女は、黒髪で、なぜかシンジに似ていた。
「!!・・あの子、まさか!?」
「碇レイナ・・この世界のお前だよ。」
「碇・・レイナ。」
シンジは走り出した。
「あっ、それと俺とお前はテレパシーできるからな。」
二人は、彼女を追いかけた。



「しょうがないなぁ、近くのシェルターに避難・・。」
ズゴゴゴゴ・・
ビルの向こうから、戦闘機が数機、姿を現した。
「戦闘機?・・でも、何でこんなに低く・・。」
シュパアアア・・
「キャッ!?ミ、ミサイル!?」

戦闘機がその場から離れると、そこから一体の巨人が現れた。

その巨人には、銃弾どころかミサイルすら効かなかった。
そして、ミサイルの一個がビルを破壊して、その破片が彼女を襲う。
ズガーーーン!!
「キャァァァ!?」
「危ない!!」
だれか知らないまま、彼女は抱きつかれ難を逃れた。
「大丈夫?」
レイナは、助けてくれた少年を見上げた。
「う、うん。・・ありがとう。」
レイナは、少し紅くなった。
助けてくれた少年は、美しい容姿を持ち、何よりも、強い瞳に見惚れた。
「良かった、ええっと。」
「あっ、私は碇レイナです。」
「よろしくレイナちゃん。僕は、いか・・。」
「悪いけど、早く逃げないとヤバイぞ。」
「えっ?」
そうなのだ。なぜなら・・、
ヒュゥゥゥゥゥ・・
戦闘機が一機落ちてくるからだ。
「(どうするの!?)」
「(大丈夫、じき来るよ。)」
「(何が?)」
ドッゴーーーン!!
キキキキキキキィ!!
爆発と同時に、蒼いルノーがかばう様に、立ちふさがった。

ガチャッ
ドアが開き、現れたのはシンジが良く知るあの人だった。
ミサトさん・・
自分を家族のように接し、自分に生きろといってくれた大切な姉。
シンジは、無意識にポケットに手を入れ、形見のペンダントを握った。
「(・・シンジ、念のため言っておくが、この世界の彼女は、お前を知らないんだからな。)」
「(・・分かってるよ。)」

「碇レイナちゃんね。さっ、早く乗って。」
「えっ、・・でも。」
レイナは、シンジとゼロを見つめる。
「・・・二人とも乗って。早く!!」
「「・・はっ、はい!」」
二人も慌てて乗るが、
慌てていたため、ゼロが助手席、レイとシンジが後ろとなった。
「しっかりつかまってなさいよ。」
ミサトは、車を急発進させた。

車での説明後
「シンジ君、貴方本当にレイナちゃんとは関係ないのね?」
「・・ないですよ。」
「この状況で、嘘つく方がおかしいっての。」
「それもそうね。」
「・・・。」
レイナはシンジを眺めている。
「でも、関係ないにしては、手繋いだまんまよね〜。」
「「えっ?」」
そう、二人はずっと手を繋いでいたのだ。
「あっ、ご、ごめん!」
「う、ううん・・。私こそ・・。」
「いいわねぇ、若いっていうのは。」
「まったく・・・。」
車の中は賑やかだった。

・・ちなみに、N2地雷の爆風は、ゼロのATフィールドで、無効化された。

***

・・ネルフ本部
「UNもお手上げか。」
冬月副指令は、お偉方がいなくなってから、つぶやいた。
「・・赤木博士、初号機の準備を。」
「そんな!?レイはもう・・。」
「心配ないわ。今・・予備が着いたわ。」
指令の横にいた女性が言った。
「いいんだな?」
「「・・・。」」
副指令の問いに二人は答えない。

***
「ミサトさん」
「な〜に?」
「・・まだ、父の所へ着かないんですか?」
「え?」
ミサトが黙る。
「・・いいから、ついてきなさい。」
ミサトは言い放ち、再び歩き出した。
「・・迷ったのね。」
「・・迷ったんだね。」
「・・迷ったんだな。」
レイナ・シンジ・ゼロは、ジ〜ッと白い目で見つめた。
ウィィィィン・・チ〜ン
エレベーターが開き、現れたリツコにより案内される一行。

***

「着いたわ。」
着いたのは、真っ暗な場所だった。
「(いよいよ、ご対面だな。)」
「(・・そうだね。)」
二人がテレパシーしている間に、照明がついた。

「!!」
目の前に紫の巨人の顔があらわれた。

「顔・・ロボット?」
「正確には、凡用決戦兵器『人造人間エヴァンゲリオン』。これは、その初号機よ。」
「これが、お父さん達の仕事ですか?」
「そうだ。」
「!?」
「(父さん・・えっ!?)」
「(・・どうやら予想以上に歴史がずれてるようだな。)」
そう、上には碇ゲンドウ指令だけでなく、碇ユイ博士も居た。
「お父さん・・お母さん・・。」
「・・出撃。」
「指令!零号機は・・まさか初号機を!?そうだとしてもレイは・・。」
「・・大丈夫、予備が到着したわ。」
「・・レイナちゃんを!?」
「時間が無いのよ。」
「レイナ・・お前が乗るんだ。」
「そんな・・。」
レイナは思いもよらぬ言葉にショックを受けた。

「(どうする?シンジ。)」
「(・・僕のようにならないためにも彼女を支えなくちゃ。)」
「(へっ、そうでなきゃな。)」
二人がテレパシー中に話は進んでいた。

「乗るなら早く乗れ。でなければ帰れ!!」
「なら帰ろ。レイナちゃん。」
「えっ。」
シンジがレイナに向かって言った。
「ちょっとシンジ君!?何を言って・・。」
「同感、こんな薄気味悪い所からとっとと出ようぜ。」
「ゼロ君まで、彼女が行かなければ人類は滅ぶのよ!?自分達が死んでもいいの!?」
「別にかまわねえよ。」
「女の子を行かせて自分達だけ残るなんて、嫌ですから。」
「そんなかっこつけてる場合じゃ・・!?」
ミサトは二人の目を見たが、本気である事が明らかだった。

「・・シンジ君。・・ゼロさん。」
レイナが口を開いた。
「本気で・・言ってくれるの?」
「もちろん。」
「でも・・私が行かなきゃ・・。」
「関係ねえよ。『人類が滅ぶ』のがどうしたよ。そんなの、ただの屁理屈じゃねえか」

ピッ・・
「レイ、予備が使えん・・もう一度だ。」
『・・はい。』
「!!(この子もレイ、あっちにも綾波がいる。どうなってるの?)」
「(・・こっちの世界に関しては、俺も知らない。)」

綾波のストレッチャーが来たその時・・
ドオオオォォン!!
「奴め・・ここに気付いたのか!?」
ガシャン!!
爆発の衝撃で照明が落ちてくる。
「危ない!!」
「ちっ!!」
二人が綾波を庇おうとしたその時、
バキッ!!・・ガシャン!!
初号機が拘束具を千切り、照明を受け止めた。
「そんな馬鹿な!?エントリープラグ無しで動くなんて・・。」
リツコが驚いてる時、シンジ・ゼロ・レイナは、綾波を抱き上げていた。
「大丈夫?」
「ありがとう・・平気。」
彼女の表情を見て、シンジは驚いた。
「(綾波が・・笑った。)」
この時の綾波は、まだ笑う事を知らなかったはずだ。
なのに、今こうして笑っている。
「・・・ケッ。」
ゼロは立ち上がりゲンドウ達を睨んだ。手には落ちてきた照明の破片が握られていた。
「こんな傷だらけの子を使おうとするなんてよぉ。」
明らかに怒っているゼロ。
「何様のつもりなんだよーーー!!」
ドカッ!!
ゼロは、指令めがけて、おもいっきり破片を投げつけた。
防弾ガラスに弾かれたものの、無ければ確実に直撃していた。
「ゼロ君!?」
「ゼロ・・・。」
「はぁはぁ・・。」
「・・・私、・・行きます。」
「「!!」」
レイナは決意を決めて、立ち上がる。
「レイナちゃん・・。」
「・・いいのか?」
シンジと落ち着きを取り戻したゼロが前に立つ。
「本当は怖いけど・・みんなには生きててほしいから。」
「・・分かったよ、気をつけてね。」
「・・・すまないな。」
二人は前を開ける。
「・・それじゃあ、こっちへ。」
「二人は悪いけど・・。」
「「はい。」」
レイナはケイジへ、シンジとゼロはシェルターへ連れて行かれた。
「・・ゼロくん。」
「なんですか?葛城さん。」
ミサトはゼロに近づく。
「ミサトでいいわ。・・あなたの気持ちは分かるわ。・・ごめんなさい。」
「・・俺も怒ってすいません。・・でもミサトさん、謝る相手を間違えてますよ。」
「・・そうね。」
「・・・ミサトさん。」
「何?シンジくん。」
「レイナちゃんの事、よろしくお願いします。」
「分かってるわ。」
そう言って、ミサトと別れた。

廊下
「・・ねえ、兵隊さん。」
「なんだ?」
「これから何処に行くの?」
「君達には、シェルターに行ってもらうよ。」
「ふ〜ん、・・悪いけどトイレいいかな?」
「早く行って来い。」
「はい、・・シンジ行こ。」
「うん。」

・・トイレ
「シンジ、お前はケイジに行って、彼女と入れ替わるんだ。」
「うん、・・ゼロは?」
「俺は、鈴原の妹を助けに行く。」
「!!・・そっか。」
前の世界ではトウジの妹が、この戦闘に巻き込まれて、大怪我をした。
「でも、どうやって?」
「・・俺とお前はサードインパクトですべての知識と使徒の能力を受け継いだ。」
「!!・・それじゃあ。」
「ああ、『レリエル』で空間を移動するんだ。」
「分かったよ。」
二人の瞳が真紅に染まる。
シューーン・・
二人の足元にディラック海が広がる。
「そんじゃ、彼女を頼むな。」
「トウジの妹、頼むね。」
それぞれのディラック海の入る二人。

・・ケイジ
「それじゃあ、ここに入って。」
「はい。」
「悪いんですけど、彼女に行かせるわけにはいかないんですよ。」
「えっ!?・・!!」
突然現れた少年:シンジに気絶させられ、気を失うリツコ、
「・・シンジ・・くん?」
「レイナちゃん、・・少し眠ってて。」
「えっ?」
シンジの紅い瞳を見た瞬間、レイナは睡魔に襲われた。
「大丈夫だから・・ね。」
「・・うん。」
そう言って、レイナは眠りについた。
「さてと。・・ベーシック変更、シンクロスタート!」
意識を集中させるシンジ。すると・・
“彼女を守るためか・・やはり好意に値するね、シンジくん”
「!!・・カヲルくん!?」
そう、自分が殺してしまった渚カヲルが初号機の中に居た。
“ひさしぶりだね、シンジくん”
「カヲルくん、・・僕は・・君を・・。」
“気にしないで、・・僕は君の手で死ねて本望だったから・・”
「カヲルくん・・。」
“さあ行こう。今度は一緒に戦おう”
「うん!」
“神経接続設定を変更・・『碇シンジ』”
「エヴァンゲリオン初号機起動!!」


・・発電所
ビーー!!ビーー!!
「どうした!?」
「初号機のシンクロ率が上昇しています。・・シンクロ率85.3パーセント!?」
「初号機、使徒前方に出現!?ケイジより瞬間移動しました!」
「なんですって!?」
「保安部より連絡!先程の少年二人がロスト!?ケイジで気絶した赤木博士と・・!?」
「どうしたの?」
「・・サードチルドレンを発見したそうです。」
!!!!!
「それじゃあ、誰が乗ってるの!?」
「モニター拒絶、音声も使えません。」
「・・シンジくんよ。」
「リツコ!?」
目覚めたばかりのリツコがやって来た。
「彼・・只者じゃないわ。」
「・・とりあえず様子を見ましょ。」

・・外
「さてと、・・おっ、居た、居た。」
使徒に怯えて動けない少女が居た。
「大丈夫かい?」
顔を見るが、正真正銘鈴原ナツミだった。
「うっ、・・うん。」
「ここは危ないよ。早くシェルターに行こう。」
「はっ、はい。」
「よし、いい子だ。(シンジ、準備OKだ。・・だがコアは残せよ。)」

・・初号機エントリープラグ
「(わかった。)・・行くよ。」
ジャキン!!
プログレッシブナイフを取り出し、装備する初号機。
「『サハクイエル』発動!!」
瞳を紅く輝かせたシンジが叫んだ。
第十使徒『サハクイエル』能力・・≪具現化≫
ナイフにATフィールドが集まり、剣状の物に変化した。

・・発電所
「プログレッシブナイフにATフィールドが集中しています。」
「そんな、ありえないわ!?」
「ATフィールドには、こうゆう使い方もあるのさ。」
「「「!!」」」
そこにゼロが突然現れた。
「ゼロくん!?」
「勝手にすいません。・・ところで、碇レイナと綾波レイは?」
「二人とも、病院よ。・・それで、貴方は何者なの?」
「悪いけど、後にしてくれ。もう一つやる事があるからな。」
「やる事?」
「すぐに分かるよ。・・『レリエル』」
シューーン・・
「ディラック海!?」
「・・では。」
ゼロは、紳士風に頭を下げるとディラック海に入っていった。
「どうなってるの!?」
「もう、私にも分からないわ。」
「「・・・・。」」

・・地上
「ハァァァァ!」
ズバーーン!!
ゼロに言われた通り、コアを外してサキエルを両断した。
「フンッ!」
ズボッ・・
動かなくなったサキエルからコアを抜き取る。
「(おつかれ)」
「(ゼロ、これからどうするの?)」
「(まあ、見てな。)」
初号機が、抜き取ったコアを下ろすと、ロアが近づく。
「我に宿りし力よ・・我が名において核より生命を・・。」
そう言って核に手を当てると、コアが崩れ、中から少女が出てきた。
・・裸で・・、
「いけねっ!?忘れてた!!/////////」
ゼロは慌てて、自分が着ていたYシャツを脱いで、彼女に着せた。
その後、彼女はネルフの病院に移った。

・・翌日
司令室には、碇指令を始め、冬月副指令・ユイ博士・ミサト・リツコ・オペレーターの三人・レイナ、・・そしてシンジとゼロが居た。

「では、話してもらおうか、・・君たちは何者だね?」
副指令がシンジ達に向かって、質問した。
「・・僕達は、もう一つの世界から来ました。」
「もう一つの世界?」
「・・ここでは、一種のパラレルワールドかな?」
「・・本気。」
「本気ですよ。」
「・・それで?」
「えっと・・。」
「ここからは、俺が説明するよ。」
ゼロが前に出た。
「いわば俺達は、もう一つの第三新東京からきたんだよ。」
「・・つまり、もう一つの可能性側の人間なのね?」
「まっ、そう言う事。」
「もう一つのねぇ、・・それで、君達の世界は?」
「「・・・。」」
ゼロとシンジの表情が暗くなる。
「・・滅んだよ、・・サードインパクトで・・。」
「・・ごめんなさい。・・で君達はこの世界では誰なの?」
「・・俺はシンジから生まれた分身だ、この世界のシンジは・・。」
ゼロはレイナの背中を押す。
「彼女で〜す。」
「えっ、・・えーー!?」
「レイナとシンジがそれぞれ『対』なんだよ。」
「へ〜、っと言う事は・・。」
「双子・・いや、三つ子になるのかな?僕達。」
「もっとも、俺達は別世界の人間だから、他人・・だな。」
「それもそうだね。」
「・・・。」
「おんや〜、どうしたのかな〜レイナちゃん。」
「えっ、ええっと・・。」
「はははっ、いいんだよレイナ。俺達は他人みたいなモンだからシンジを好きをなっても。」
「なっ!?ゼロ!!」
「お生憎様、『アラエル』でお見通しだよ。」
第十五使徒『アラエル』能力・・読心術・精神操作
「ちっ、違います!?・・ただ。」
「ただ?」
「なんか、お兄ちゃんって感じがしたから・・。」
「あっ、そうゆう好きか。」
「納得した?ゼロ。」
「納得したよ。・・それと、指令達の心も読ませてもらったよ。」
「「!!」」
さすがに、驚く碇指令とユイ博士。
「・・素直になりなよ。本当は、辛かったんだろ?娘と離れててさ。」
「・・お父さん?・・お母さん?」
「・・・レイナ、すまなかった。」
「レイナ・・。」
ガバッ・・
ユイ博士は、レイナを抱きしめる。
「・・ごめんね・・・・ごめんね・・。」
「お母さん・・。」
二人とも泣き出してしまった。
「・・余計でしたか?」
「いや、むしろこれで良かった・・。感謝するよ、ゼロくん。」
「いえ、・・シンジみたいになってほしくなかっただけです。」

・・数分後
「それで、君達だが・・。」
「・・・。」
「シンジをフォース、ゼロをフィフスとして、戦ってもらう。」
「!!・・いいんですか?」
「問題ない。シンジは初号機、ゼロは参号機、そしてレイナには壱号機に乗ってもらう。」
「壱号機?」
「初号機の次に造ったエヴァだ。」
「へぇ、知らなかったよ。」
「それと、君達のプラグスーツも用意させよう。」
「ありがとうございます。」
「やりぃ、手間はぶけたぜ。」
「どういう事?」
「いや〜ね、ぶっちゃけた話、エヴァかっぱらおうと思ってたんですよ。」
「・・アンタ、・・かなり無茶な事考えるわね。」
「へへっ。」
「それで、君達は前はどこにすんだのだね?」
「えっと、前はミサトさんの家に居候してました。」
「・・それで、ご希望は?」
「私は、お父さん達とがいいんですけど・・。」
「・・すまないが、それはできない。」
「・・そうよね。」
「ごめんね。レイナ。」
「ううん、気にしないで。」
「・・では、君達は葛城一尉の家でいいかな?」
「でも、そうすると、一人余りがでます。」
「あっ、あの・・。」
伊吹マヤが声をかける。
「それなら、私がゼロくんを引き取りましょうか?」
「・・めずらしいわねマヤちゃん。でも、どうしてゼロくんなの?」
「えっと、さっき話したら、気が合ってたし、・・弟みたいだったから・・。」
「・・確かに言葉づかいは乱暴でも、人懐っこい所があるわね。」
「・・そうね。・・マヤは一人っ子だから、ちょうどいいわね。」
ミサトとリツコは彼女の本心を悟ったようだ。
「・・いいんですか?マヤさん。」
少し顔を赤くしたゼロが言った。
「うん。」
「・・それじゃ、お世話になります。姉さん。」
「ええ、・・と言っても葛城さんと同じマンションだけどね。」
「へ〜、また俺達の世界と違うや。」
「この際、前の世界の事は忘れようぜ。シンジ。」
「・・そうだね。」
「・・シンジ、ゼロ。」
「ん?なんですか?・・司令。」
「・・『父さん』でいい。」
「私も母さんでいいわ。」
「・・わかったよ。父さん、母さん。」
「よろしく。親父、母さん。」
「もっ、問題ない。」
「ふふふっ。」
ピピッ・・
「私だ。・・分かった。」
「碇、どうした?」
「ゼロがコアから出した少女が目を覚ましたそうだ。」
「ああ、『サキエル』か。」
「サキエル?」
「第三使徒の名前ですよ。」
「へ〜、使徒に名前があるんだ。」
「まあね。・・じゃあ、俺はその子に会ってみるよ。」
ゼロは、部屋を出ようとしたその時、
「ゼロく〜ん。ご飯までには、家に来なさいよ。」
ズルッ・・ドテッ
「もうマヤさん、子供扱いしないでくださいよ〜。」
まるで、姉弟漫才(?)である。

「もはや、そのものね。」
「でも、珍しいわね。潔癖症のマヤが・・。」
「・・さっき話した時、ゼロくん。悲しい眼をしてたから、・・ほっとけなくて。」
「それで?」
「・・はい。」
「ゼロは、ああやって振舞ってるけど、自分が使徒である事に酷いコンプレックスがあるみたいですし・・。」
「彼が、使徒でも関係ないわ。・・私が、彼の支えになってあげなきゃ。」
「(・・ハッ)・・あのぉ。」
「何?シンジくん。」
シンジがいい忘れた事を言い始めた。
「・・僕とゼロは意思が繋がっているんですけど・・。」
「・・・・・という事は。」
「ええ、全部聞こえたようですよ。」
マヤの顔が、真っ赤に染まる。

・・廊下
「はあ、・・あそこまで言うかな普通・・。」
ゼロの顔も紅くなる。
トンッ
ゼロは、足を止めて壁に寄りかかった。
「・・よろしくな、・・姉さん。」
気持ちを落ち着けると、再び走り出した。

「ねえ、シンジ君。」
「何?レイナちゃん。」
「シンジ君は、前の世界に好きな人居たの?」
「・・うん、同じチルドレンで・・アスカって子。」
「へぇ〜、キョウコの娘さんか。」
「知ってるの?アスカのお母さんの事。」
「大学時代の親友だったの。」
「そうなんだ・・。」
「でも、彼女はあなたを知らない。・・それでもいいの?」
「構わないよ、彼女は・・僕が守る。」
「がんばってね、シンジ君。」
「うん。・・レイナ、改めて宜しく。僕の大切な妹。」
「うん、よろしくね。お兄ちゃん。」

・・ネルフの病院
「ふ〜ん、じゃあアタシはもう人間なんだね?」
「おう、だからよろしくな。・・サキ。」
「サキ?」
「おまえの名前だ。今からおまえは、『水島サキ』だ。」
「うん、分かった。」
こうして、十三歳の少女に生まれ変わった少女は、『水島サキ』と名付けられた。


綾波レイの病室
サキの部屋を後にしたゼロとシンジが病室の前で出会った。
「ゼロ、サキエルは?」
「もう平気らしいから、退院の準備をしてる。」
「そう・・ねえ、綾波の事どう思う?」
「・・さあな、・・だが、おそらく。」
「そうだね。」
そう言って、部屋の扉を開ける。
「・・碇君。」
「綾波・・やっぱり君も戻ってきたんだね?」
「ええ・・フィフスと一緒に・・。」
「・・そっか。」
「・・あっ、自己紹介してなかったな。・・俺は、ゼロだ。」
「綾波レイよ、・・よろしく。」
「よろしく、レイ。」
「それで、カヲル君はいつサルベージする?」
「そうだなぁ、とりあえずアダムが来たらだな。」
「・・そうね。」

「じゃあ、お大事に。」
「また来るよ。」
「ええ。」
そう言って、二人は部屋を後にした。

こうして、長い一日が終わった。

余談だが、
ミサトの家をシンジとレイナが苦労して掃除したのは、別のお話。

それから、ゼロは伊吹ゼロとしてマヤの義弟という事になった。


マナ:シセンさん、投稿ありがとーっ!\(^O^)/

アスカ:チルドレンがいっぱいだわ・・・。

マナ:なんか、いきなり凄い戦力になってるんじゃない?

アスカ:エヴァが4体だもんね。これは凄いわ。

マナ:使徒の力まで使えるみたいだし・・・。

アスカ:これだとアタシも楽して勝てそうね。

マナ:もう、アスカなんて来日する必要無いんじゃない?

アスカ:アタシが日本に来なきゃ、話になんないでしょうがっ!

マナ:アスカがいなくても、十分勝てるってば。

アスカ:だってシンジが待ってるもーん。アタシのこと好きだって・・・。(ぽっ)(*^^*)

マナ:・・・・・・最後にのろけてるし。(ーー#
作者"シセン"様へのメール/小説の感想はこちら。
t-y-t-m@mx1.avis.ne.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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