ひょんな事からデートする事になったゼロとマナ。
しかし、彼女が裏切ると感づいたのか、それを追いかける謎の男達。
そして、ゼロの護衛のために影から追跡する元イスラフェルの音無姉弟。
果たしてどういう展開になるのか?
では、見てみよう。

・・とある田舎駅
「着いた〜〜♪」
「いい所だな。」
そこは、ビルも何も無いが緑一面に広がる自然が印象的な場所だった。
「何も無いと逆にスッキリするな。」
「そうね。こんなに草が生い茂ってるのもいいよね。」
「緑は目に優しいから、毎日見てると視力が回復するって聞いた事があるよ。」
「そうなんだ。でも、ワタシは両目共2.0だよ。」
「いいねぇ健康で。俺さ、実際コンタクトなんだよなぁ。」
「そうなの?」
「ああ、外すと0.3と0.2なんだよ。」
「フフフッ、なんか意外。」
という具合に会話をしながら湖に向かう。
それを追う黒服とその後ろの忍者姉弟に気付かずに。

・・一方、第三新東京では
「じゃあ、待機のアスカを除いて役割を決めるわよ。」
「役割?」
「つまり、修学旅行に行く側と残る側って事ヨン♪」
「エ〜〜。」
「エ〜じゃない。」
「大体、なんでアタシは待機なのよ!!」
「仕方ないじゃない。第八使徒用にもう準備しちゃったんだから。」
「あの、じゃあ僕も残ります。」
「みんな行ってらっしゃい♪」
アスカさん、態度が180度回転してます。
「碇君が残るなら私も残るわ。」
「じゃあ私も。お兄ちゃんが一緒なら残る。」
やはりシンジ重視のこの三人。
「サキちゃんとライル君、ヒショウ君は行く?」
「うん♪」
「僕も行きます。」
「僕も行くよ。こんな機会、そんなに無いし。」
実はこの世界の修学旅行は全学年が一緒に行く大旅行なのだ。
「ゼロ君は?」
「ゼロは残るって言ってました。なんか用事があるそうで。」
「・・リツコね。」

・・ネルフ本部
「クシュンッ。」
「風邪ですか?センパイ。」
「・・多分、ミサトが噂をしているのね。」
ピピピピ・・
「もしもし?」
『あっ、マヤちゃん?フェイルだけど、リツコ博士いる?』
「ええ、居るわよ。」
マヤはリツコに受話器を渡す。
「もしもし。」
『リツコさん。やっぱりあのマナって子、つけられてた。・・かなりヤバイのに。』
「ヤバイの?」
『今、データを送るよ。』
イスラのノートパソコンから黒服のデータが送られる。
「・・・・!!これは!?」
リツコは驚いた。
「フェイル君!気をつけて。この黒服達は人間じゃないわ。」
『なっ!?じゃあ、何なんだよ?』
「・・バイオロイド・・生物兵器よ。」
「センパイ!それって、以前戦自が・・。」
「ええ。・・人間を改造し、怪物にしたモノよ。」
『なら、ゼロはともかく、あの子は危ないじゃんか!?』
「とにかく、あなた達はゼロ君を追って。」
『分かった!』
ピッ・・
「センパイ・・。」
「大丈夫よ。・・彼なら。」
「・・はい。」

・・湖の見える道
マナが立ち止まる。
「どうしたんだ?」
「・・ゼロ君。」
「ん?」
「ごめんなさい!!」
マナはゼロに向かって、頭を下げた。
「・・。」
「ワタシ・・本当は・・。」
ガバッ
ゼロは泣き始めたマナを抱きしめた。
「!?」
「泣くな・・知ってるよ。お前が戦自の少女兵って事は。」
「えっ!?」
「・・俺もお前を騙してた。」
「・・どう言う事?」
「俺は・・。」
シュン・・
「!!危ない!!」
「キャッ!?」
ゼロはマナをお姫様抱っこして、飛んできたナイフをかわした。
「・・やっぱりな。姿を現しな、殺し屋さん。」
ザッ・・
追いかけて来た黒服の男達
「・・戦自の回し者か。」
「そうだ。」
「その子を渡してもらおう。・・さもなくば、死だ。」
「どうせ、マナと一緒に俺も消す気だろ。」
「キシシシシ・・なら話は早い。死ネェェェェ!!」
一人がナイフで襲い掛かる。
シュンッ・・
「このっ!!」
ボンッ!!
ゼロは隠し持っていた煙幕を地面に投げ、その隙にマナの手を握り逃げた。
「チッ、逃がすか!!」
ググググッ・・
男の服が破け、人の姿から爬虫類の様な形になる。
『キシシシ・・殺してやる。』
そなままゼロを追いかける男
「ビリーの奴、一人で抜け駆けする気か。」
「・・俺たちも行くぞ、ジャック。」
「OK、サム。」
ググググッ・・
残りの二人も変化していく。
ジャックと言う男は毛むくじゃらな怪物に、サムと言う男は昆虫の様な化け物になった。
幸い、周りには誰も居なかったので騒ぎにはならなかった。

・・一方、ゼロとマナは
「なんなんだ!?アイツは!」
「戦自が造ったバイオロイドよ。見た目は人でも、実際は怪物なの。」
「なるほど、生物兵器か・・。フェイル、居るんだろ。」
シュン・・タッ
「オウ。」
「・・マナを頼む。」
ゼロはパーカーを脱ぎ捨て、来た道を戻っていった。
「まさか!戦う気!?駄目よ!殺されるわ!!」
ガシッ
フェイルはマナの肩をおさえる。
「離して!ゼロ君が死んじゃう!!」
「大丈夫だ。・・アイツなら。」
「どういう・・事?」
「・・これを聞くと、お前は後戻りできないぜ。」
「えっ?」
「・・そうよ。」
イスラも降りて来た。
「これは極秘なの。それを聞けば貴方はネルフで何だかの処罰を受けるわ。」
「それでも、いいのか?」
「・・かまいません。」
マナの表情を伺い、二人は『ハァ〜』と息をはいた。
「負けたよ。・・離すよ。」
「・・ゼロは人間じゃないわ。」
「人間じゃ・・無い?」
「そう、彼は・・『使徒』よ。」

・・森の中
『キシシシ・・観念したか。』
「するかよ。ここなら、お前等を殺してもバレないと思ったからだ。
『ほう、俺たちを・・か。』
「ああ・・。ここなら、『もう一つの姿』になっても誰にも気付かれないしな。」
『何!?』
「ハァァァァァァ・・」
ゼロの姿も変わっていく。
・・黒い六枚の翼、全身に浮かび上がる文字の様な刺青、右手に握られるロンギヌスの槍。
そして、鮮血のように染まった真っ赤な瞳。
これがゼロのもう一つの姿、第零使徒ルシフェルである。
『この姿になったからには、お前達には奈落の底に行って貰う。』
『・・ケッ、なんでぇ俺達と対して・・。』
シュンッ
『変わ・・・ら・・な・・い・・・・。』
ドサッ
ビリーは簡単に体を真っ二つに切り裂かれ、そのまま気付かずに絶命した。
『お前達と一緒にするな。』
『ビリー!?』
『キサマ!殺してやる!!』
『よせ!!ジャック!!』
ジャックが鋭い爪でルシフェルを切り裂こうと、飛び掛る。
『・・幻霧。』
シュゥゥゥゥゥ・・
何処からともなく霧が発生し、付近を覆った。
『何処だ!!』
『フフフフ・・』
『そこか!!』
ブンッ
しかし、それは幻だった。
『フフフフ・・』
『フフフフ・・』
あっちこっちにルシフェルの幻が出現する。
『くそっ!どれが本物だ。』
『・・呪縛。』
シュルルル
『な、なんだ!?』
ジャックは下から伸びてきた何かに縛り付けられた。
『・・邪槍。』
ズバババババババ!!
『ギャーーー!!』
ヒュ〜〜・・
霧が晴れていく。
『!!ジャック!?』
ジャックは地面から伸びる無数の黒い槍で串刺しにされていた。
『・・。』
何時の間にか空を飛んでいたルシフェルが下りてきた。
『後はお前だけだ。』
『・・フハハハハハ。』
『何がおかしい?』
『お前がどうしようと、M・Kは今頃他の仲間に・・。』
『残念だが、有り得ないね。』
『何だと!?』

・・マナ達
『グハッ!?』
「フン、他愛もねぇな。」
フェイルはバイオロイドを引き裂いた右手にこびり付いた血を払い落とす。
周りには無数のバイオロイドの死骸が転がっている。
「・・すごい。あんなに多くのバイオロイドを。」
「これが、私達の力よ。マナさん。」
「じゃあ、ゼロ君は。」
「今頃、奴らを返り討ちにしてるだろうな。」
「どうする?このまま帰る?」
「・・いいえ。ゼロ君に会います。」
「やっぱりな。でも、今はアイツには会わない方が・・。」
「いいんです。ゼロ君が使徒でも・・彼はワタシを助けてくれた。」
「・・分かったわ。ついてきて。」
イスラ達は歩き出した。

・・ゼロ
『お前に俺は倒せない。・・諦めて帰るんだな。俺だってむやみに殺したくない。』
『うるさい!!綺麗事をするな、化け物が。』
『・・。』
『お前も同じ。お前も俺達と・・いや、あの使徒とかって怪物と同類だろうが!』
『・・残念だが、アンタの予想はハズレだ。』
『何!?』
『俺の精神にダメージを与えるつもりだったろうが、俺は気にしてないんだよ。』
『おのれぇ。』
『俺はお前等みたいに心まで化け物じゃないんだよ!』
『ググッ、チクショーーー!!』
ヤケクソになり突っ込んでくるサム。
『(そう、俺は自分が使徒でもかまいはしない。)』
『死ねーー!!』
シュンッ・・ドスッ!
二人はすれ違い、少し離れた所で立ち止まる。
『・・ガハッ!?』
サムの胸にはロンギヌスの槍が突き刺さっていた。
『・・俺は俺だから。』
パシャッ
サムはLCL化して、消滅してしまった。
シュゥゥゥゥン・・
ルシフェルはゼロの姿に戻った。
「終わったようだな。」
森の奥からフェイル、イスラ、そしてマナがやってきた。
「・・見てたのか?」
「うん、それにフェイルさんからもアナタが使徒って事も・・。」
「悪いなゼロ、全部話したよ。」
「いいんだよフェイル。どのみち、言おうとしてたから。」
「・・・。」
「で、感想は?」
「・・怖くなかった。」
「へ?」
「ゼロ君が使徒って聞いても怖くなかった。・・ワタシを守ってくれたから。」
「マナ・・。」
「でも、処罰は覚悟しておいてね。二人とも。」
「「は〜〜い。」」
マナは極秘を知った罪で、ゼロは極秘を話そうとした罪で二日間、独房に入った。
なお、実際にしゃべった音無姉弟はなぜか処罰されなかった。

・・二日後
司令室
「ネルフ指令の碇ゲンドウだ。」
「は、はじめまして霧島マナです。」
「フフッ、そんなに緊張しないでいいのよ。私は副指令で司令夫人の碇ユイよ。」
「同じく副指令の冬月だ。」
「あの・・今日はなんの御用で?」
「君のこれからの件についてだ。」
「(・・やっぱり。)」
「道は二つ、ここの残るか、去るかだ。」
「期限は二ヶ月よ。それまでに考えておいて。」
「えっ?・・それだけですか?」
「それだけって?」
「あの、私を始末するとか・・。」
「貴方が戦自に戻る気ならしたかもしれないわ。・・でも、戻る気は無いでしょ?」
「はい・・。でも、向こうには。」
「お友達なら無事よ。ただ、少しの間は身を隠すために会えないけど。」
「本当ですか!!」
「ええ。」
「良かったぁ。」
「さっ、今日は帰りなさい。来週は修学旅行でしょう?」
「行ってもいいんですか?」
「問題ない。」
「ありがとうございます。」
「楽しんできなさい。」
「はい!!」

・・伊吹宅
「独房生活、お疲れ様。」
「マヤ姉、二日間だけだったのに大袈裟だよ。」
「そう?いいじゃない。」
「・・まあね。」
「それで、結局サキ、ライル、ヒショウしか行かないのか?」
「ああ、俺はサルベージの準備があるしな。」
「ごめんなさいね、ゼロ君。」
「いいんだよ、マヤ姉。全部終わったら、普通の旅行で行くよ。」
「そうね、その時は司令やセンパイ、シンジ君達も誘ってみんなで行きましょう。」
「サンセー♪」
「いいわね、そのアイデア。」
「僕も大賛成です。」
「俺だって賛成だ。」
「私もよ。」
「・・さて、そろそろ寝るかな。」
「じゃあ、僕達は帰ります。」
「修学旅行の準備もしなきゃ♪」
「おやすみ〜。」

・・その日の深夜
ベランダにゼロが座り込んでいる。
「グッ!?」
ピシッ・・
突然、ゼロの右腕にヒビが入る。
「まずい!」
シュィィィィ・・
ゼロは左手をヒビに当て、回復術でヒビを消した。
「ハァ、ハァ・・。」
ゼロは壁に寄り掛かる。
「(マズイな・・体の劣化が始まってる。)」
そのまま、空を見上げる。
「(・・せめてバルディエルまでもってくれよ・・俺の体。)」
・・悪い、マヤ姉。旅行行けそうにない・・。


マナ:ゼロくん大活躍っ・・・じゃないっ! えーーーーーっ!(@@)

アスカ:なんか、やばーい感じになってきたわね。(ーー)

マナ:これまでいい感じで話が流れてきたのに。

アスカ:ゼロが・・・ってことは、他の使徒達も?

マナ:シリアス度が急に上がってきたわ。

アスカ:シンジがこのことにいつ気付くかが問題ね。

マナ:隠してるみたいだし、そう簡単には・・・。

アスカ:あぁ、胸が苦しくなってきたわ。
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