・・ネルフ 司令室
『・・そうか、君の息子の一人がな・・。』
「ええ・・そのせいで、ユイもかなりまいっています。」
通信回線で会話をするゲンドウとキール。
「技術部・医療班意見一致によりフィフスはこれからの戦闘には参加させません。」
『・・分かった。こちらでも情報操作の根回しをしておこう。』
「お願いします。」
ピッ・・
通信が切れる。
「・・ゼロ・・お前はここで命を落としても、満足なのか。」
コトッ
サングラスを外したゲンドウが辛そうに呟いた。

・・病院 ゼロの病室
ピ・・ピ・・ピ・・
心電図が眠り続けるゼロの鼓動を示している。
それを看病しているマヤ。
「ゼロ君・・。」
「マヤちゃん。」
ユイが部屋に入ってくる。
「ユイさん。」
「交代するわ。少し休みなさい。」
「大丈夫ですよ。まだ、できます。」
「でも・・。」
「ゼロ君のお姉ちゃん代わりとして、これくらいはしたいんです。」
「・・。」
・・辛気臭いなぁ、二人には笑顔が一番だぜ。・・
「「!!」」
マヤとユイは慌ててゼロを見るが、ゼロは起きていない
・・ただ。
『オス♪』
ゼロの上に半透明なゼロが浮いていた。
「ゼ、ゼロ君!!?」
『・・ゴメン、心配かけて。』
「大丈夫なの!?ゼッ君!」
『心配ない・・と言いたい所だが、あんまり長くもたないな。』
「そんな・・。」
『精神だけなら、今みたいに分離できるけど、肉体が崩壊したらThe Endだよ。』
「それって、肉体と精神がリンクしてるって事?」
『さすが母さん。理解が早くて嬉しいよ。』
「・・それで、いつまでもつの?」
『さあな、分離する事で少しはもちそうだけど・・あと、1、2ヶ月が限界だな。』
「・・。」
「でも、それまでは大丈夫なのね。」
『まあな。』

・・ネルフ本部
「うわ〜、随分半透明ねぇ〜。」
『しょうがねぇだろ。一応、魂モードなんだから。』
「・・コレがフィフスか?」
『ん?・・サハクイエルか。』
「今の俺は大空サクルだ。」
『そいつは悪かったな。』
「・・フン。」
「ゼロ、あとどれ位生きていられそう?」
『・・もって、一、二ヶ月だな。』
「・・そう。」
「ねぇ・・もしゼロが死んだら、シンジはどうなるの?」
『えっ?』
「だって、二人は一心同体なんでしょ?」
『たぶん大丈夫だ。シンジがセラフィムに目覚めた時点でもう魂はほぼ分離した。』
「でも、ゼロは・・。」
『・・これも、覚悟してた事だ。』
「でも、おかしいわよ。シンジは浄解してもなんともないのに。」
「・・どうしてゼロは碇君とは違って、肉体が崩壊していくの?」
『・・人じゃないからだ。』
「えっ?」
『人間のシンジとは違って、俺は人間から分離した使徒に似た存在だからだ。』
「・・。」
「とにかく、ゼロ君は以後の戦闘には参加させません。」
『・・。』
「参号機は今回の損傷の修復のため、一時アメリカ支部に送ります。・・いいわね?」『良いも悪いも、この状態じゃ動かしようがない。』
「それもそうね。」
『・・ったく。』
「でも、パソコンを動かすくらいはできるでしょ?」
「リツコ、そりゃ無理じゃ・・。」
『できますよ。一応、物にも触れる事はできっから。』
「じゃあ、今日の実験の手伝いをしてもらうわ。・・いいかしら?」
『いいっすよ。』
「リツコさん、何の実験ですか?」
『ダミープラグよ。』
『「「「!!」」」』
シンジ達はリツコの言葉に驚いた。
「安心して。ダミーのダミープラグよ。」
「お、おどかさないでよ。」
「向こうからの命令なんだけど、目的が目的だから、嘘の実験をしようと思って。」
『なるほどな。』
「いいかしら?」
『いいけど・・シンジは駄目ですよ?』
「どうして?」
『シンジにはやってほしい事がある。』
「何を・・そうか!」
「第11使徒イロウルね。」
『ああ。』
「どういう事?」
「イロウルはダミープラグの実験中に現れたマイクロサイズの使徒なんです。」
『だから、シンジには潜ってもらうよ。』
「分かった。」
『他のみんなは実験に参加してくれ。』
「分かったわ。」
「・・ええ。」
「了か〜〜い。」
「うん。」
「いいよ。」

・・実験室
『えーーー!?裸ーーーー!?(やっぱり〜〜。)』
「今回の実験はそうじゃなきゃ駄目なのよ。」
『モニターは音声以外消しているから安心しな。』
『そういう問題じゃなーーーい!』
結局、裸でやる事になった。


「準備はいい?」
『はいはい。』
『・・大丈夫です。』
『私も・・OKです。』
『こっちもいいけど・・。』
『なんか恥ずかしい様な気が・・。』
「ぶつくさ言わないで、さっさと始めるわよ。」
カチャカチャ・・
「先輩、準備完了です。」
『こっちも大丈夫だ。』
「ありがとう。・・では、実験スタート!」

・・第87タンパク壁
実験施設の奥深く、イロウルはもがいていた
『クソッ、体が言う事を効かない・・どうすれば。』
「イロウルだね?」
『誰だ!?』
タンパク壁の前に現れるシンジ。
「大丈夫、味方だよ。」
『・・悪いが、信用できない。・・お前からも使徒の力を感じるがな。』
「・・実は。」
シンジはこれまでの事をイロウルに話した。
『・・なるほどな、何となく分かった。』
「・・。」
『・・分かった。俺の力でよければ使ってくれ。』
「ありがとう。・・それじゃあ。」
パァァァァ・・
シンジはイロウルに光を放つ。
『・・体が軽くなった。』
「こっちに来てくれるかな?」

・・実験室
『リツコさん。シンジがイロウルの説得に成功したぜ。力を貸してくれるそうです。』
「本当に?」
『これからはコンピューターに住み込んでサポートするってさ。』
「これで、あと6体ね。」
「・・。」
『マヤ姉?』
「えっ?」
『どうした?』
「・・ううん、なんでもないよ。」
『・・大丈夫・・戻ってくるから・・絶対に。』
「でも、確立は・・。」
『たとえ0.0000006%でも0じゃないんだぜ。』
「ゼロ君・・。」
『シンジ、そのまま上に上がって待っててくれ。服持ってくから。』
『分かった。』
『じゃっ、シンジを迎えに行ってきます。』
「ええ。」
ゼロは実験室を出ていった。
「・・マヤ。」
「・・ヒック・・嫌・・ゼロ君が死ぬなんて・・イヤァ・・。」
リツコに抱きしめられ、とうとう泣き出してしまうマヤ。

・・地上
『はいよ、着替え。』
「・・ありがとう。」
ゼロが持ってきた着替えを着るシンジ。
『なんだ?』
ゼロがシンジの視線に気付く。
「ゼロ・・さっきより、薄くなってきてない?」
『おっと、どうやらタイムリミットみたいだな。』
「!?」
『心配するな、今日のタイムリミットさ。明日の昼頃にはまた会える。』
「お、おかさないでよ。」
『悪い悪い。・・じゃ、明日な。』
「明日はマナも連れて来るよ。」
『ああ・・。』
フッ・・
ゼロの姿が消えた。
「・・ゼロ。」
「シンジ君・・。」
カヲルが近づいてくる。
「カヲル君。」
「ゼロは?」
「明日までお休みだって。」
「・・そうか。・・実は気になる事があってね。」
「気になる事?」
「ゼロに関係あることだから、明日言うよ。」
「そう・・じゃあ、僕も行かなきゃ。」
「うん、僕は少しここにいるって、言っておいて。」
「分かったよ。」
シンジもカヲルと別れて、ネルフに戻った。


アスカ:イロウルを説得できたのは心強いわ。

マナ:MAGIをあのスピードでハッキングできるくらいだもんね。

アスカ:順調に進めばいいけどさ。

マナ:で、渚くんの気になることって何だろ?

アスカ:アイツはいつも、よくわかんないわねぇ。なんだろう?
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