・・ゼーレ 地下施設
キールが眺めている一つのカプセル
その中にはカヲルとは少し違う白銀の髪の少年が浮いていた。
「ハァ・・ハァ・・我が孫よ・・時が来たら・・頼むぞ。」
キールは腹部から大量の出血をしている。
どうやら、ゲンドウとの密談がばれて反逆者として撃たれた様だ。
「・・この世界を・・未来を創る・・子供達を・・。」
ドサッ・・
そのままキールは倒れ、息を引き取ってしまった。
『・・・・』
カプセルの中の少年はただ沈黙を続けているだけだった。

・・ネルフ 司令室
「・・そうか、キール爺が・・。」
『ええ。先程、地下施設で遺体を発見しました。』
「・・加持君、そろそろ潮時だ。君はゼーレを裏切り、身を隠していろ。」
『分かりました。・・ああ、それと。』
「なんだ?」
『遺体が発見された場所にカプセルに入っていた少年が居たのですが・・。』
「カプセル?」
『どうやら、キール議長のお孫さんのアゼル君のようですが・・。』
「分かった・・こっちでなんとかしよう。」
アゼル=ロレンツはゼーレに気付かれないようにネルフの地下に移動された。

・・病院
『どう?シンちゃんの様子は?』
中国支部に行っているミサトから電話が来た。
「まだ目を覚まさないわ。」
出ているのはリツコである。
『そう。・・まずいわね。14番目の使徒を目前に最高兵力が欠けるなんて。』
「・・そうね。」
そう。ゼロが死に、シンジも目を覚まさない。
しかも、次はゼルエル・・はっきり言ってピンチなのである。
「・・そっちの方はどう?」
『みんな良い調子よ。思ったより早く、ロールアウトできるわ。』
「・・それが唯一の救い・・ミサト、また後で連絡して頂戴。」
『また!?』
「そうよ・・こんな時に。」
『分かったわ。』

・・シンジの病室
「シンジの体はアタシが拭くわ!」
「・・碇君は私が・・。」
「二人共やめてよ!・・カヲル、何とか言ってよ。」
「レイナちゃん、世の中には僕にでも無理な事があるよ。」
「だらしないわね、許嫁のくせに。」
「それは言わない約束だよ。」
そう、第六話でゼロが大声を出した事とはこの事なのだ。
なんと、この時代ではカヲルは実在し、しかもレイナの許嫁なのだ。
「いい加減にしなさい!!」
リツコが入ってくる。
「シンジ君は絶対安静よ。さっ、早く出て行きなさい。」
「・・分かったわよ。」
「・・はい。」
渋々と出て行くアスカとレイ。
「赤木博士。ミサトさん、なんて言ってました?」
「思ったより早くロールアウトできるって言ってたわ。」
「良かった♪」
「なにせ、霧島さんまで中国まで行ってて、戦えるのは五機だけだからね。」
現在、マナ・サキ・ライル・サン・サクルはミサト・ナオコ・トルマと共に
中国支部に行っている。・・トルマが居ないため、リツコも少しイライラしている。
理由はサキ達用の機体の最終調整と参号機の再調整のためである。
ピピピピ・・
リツコの携帯が鳴った。
「どうしたの?」
『センパイ!すぐ来てください!!』
「マヤ?どうしたの?」
『とにかく来て下さい!』
「分かったわ。・・何かあったみたいだから先に行くわ。」
「分かりました。」
リツコはネルフ本部に急いだ。

・・ネルフ リツコの研究室
「どうしたの?・・これは!?」
リツコの部屋は眩しい程の紅い光で覆われていた。
「セ、センパイ!ゼロ君のコアが!」
そう、光の原因は死んだゼロのコアだったのだ。
「・・ウフフフフ。」
リツコが突然笑い出した。
「セ、センパイ?」
「なんで思いつかなかったのかしら?
・・マヤ、もしかしたらゼロ君を蘇らせる事ができるかもしれないわ。」
「ほ、本当ですか!?」
「あなたとマナちゃんとサン、三人が持つコアを合わせれば・・もしかしたら。」
「・・。」
マヤは嬉しさのあまり、瞳から涙が零れていた。
「そうと分かれば・・マヤ、急いで準備に取り掛かるわよ!」
「はい!」

・・司令室
「・・心臓部であるコアを使えば、ゼロを蘇生できるかもしれないと言うのか?」
「あくまで理論上の話ですが・・おそらく。」
「拒否する理由は無い・・ただちに実行しろ。」
「分かりました。・・ところで、司令。いつ髭を?」
そう、ゲンドウの顔には髭が無く、サングラスもかけていなかった。
そのため、少し若く見える。
「ふっ・・問題ない。」

・・中国
「エーーーーーーーー!?ゼロ君の蘇生計画!?」
「ええ。三人が持つコアを融合させ、LCLを使えば・・可能性はあるって。」
「行って来まーーーーーーす!!」
フルダッシュでネルフに向かおうとするマナ。
「ストーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーップ!!!!!!!」
バタンッ・・バーーーーン!!
扉が閉まり、マナは扉に激突した。
「落ち着きなさい。・・まずはこっちが終わってから・・・・って聞いてる?」
「キュ〜〜・・。」
「・・気絶してる。」
「あの勢いでぶつかったんだ・・当然だな。」
サクルは冷静に分析した。
「でも考えたねミサトさん。
エヴァが間に合わないからそのサポートメカを考えるなんて。」
「そしてそのメカに僕等が乗るんですよね。」
『そのために早くシンクロできるようにな。』
上からトルマの声が響く。
「「「「「了解!!」」」」」

・・病院 シンジの病室
「・・。」
『・・シンジ・・シンジ・・。』
「!?」
シンジは目を覚まし。上半身を起こす。
「・・ゼロ?」
目の前には死んだはずのゼロが半透明の状態で立っている・・もとい浮いている。
「どうして?」
『念の為、コアを残しておいたらなんとか消滅にはいたらなかった。
「そうだったのか・・。」
『まっ・・このまま幽霊と化すのか蘇るのかは知らんがな。』
「どうしたのさ。」
『シンジ・・ゼルエルは来ない。』
「えっ?」
『ココに来る途中・・何かに殲滅された。』
「!?」

・・翌日 ネルフ
「そうか・・やはりゼーレの仕業か。」
「ええ。ゼルエルを量産機で倒し、コアを奪取していきました。」
「分かった。・・ご苦労だったな、加持君。」
「いえ。」
加持は司令室を後にした。
「碇・・。」
「ああ・・全てはここからのようだな。」

・・ゼーレ
「量産機の実戦による訓練、成功いたしました。」
『ご苦労・・。』
『使徒など、もはや我々の敵ではない。』
『碇・・そして、ネルフ・・貴様達には死を与えよう。』
『我等自身の手によって!』


作者"シセン"様へのメール/小説の感想はこちら。
t-y-t-m@mx1.avis.ne.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system