・・ネルフ
「シンちゃん、これからの事なんだけど・・。」
「何?」
「私と一緒に暮らす?それとも、やりたがってた一人暮らしに・・。」
「僕、母さんと一緒に暮らすよ。」
「えっ・・本当に!?」
「うん。」
「良かったぁ・・さっ、行きましょ♪」
「えっ?でも、仕事は?」
「司令なんて、退屈な仕事よ。シンちゃんと一緒にいたいのよ♪」
「・・今度からは真面目にやってくださいよ。」
「ええ♪」

エヴァンゲリオン 機獣戦記
第二話 白虎咆哮! 氷のタイガの極寒地獄

・・マンション
ユイはVIPクラスの高級マンションに一人暮らしをしていた。
ここに住めるのはネルフでも上級クラスのみ・・しいて言えば冬月副指令や技術責任者の
リツコ、作戦部長のミサトくらいである。
それから、ネルフ所属のライダーであるレイもココに住んで居るが、現在入院中。
地下は基本的にユイやリツコの研究施設で、リツコはほとんどそこで生活している。
リツコの後輩兼助手の伊吹マヤも特別にここでの生活を許されている。
副指令は本部での仕事があるため、ほとんど帰らない。
今、部屋を使っているのはユイとミサトとマヤともう一人のチルドレンだけである。
「凄いマンションだね。」
「ここは元々、パパの会社が経営してるマンションなの。」
「お祖父ちゃんが?」
「今は私達しか居ないけど、使徒を倒したら、一般の人にも入ってもらうつもりよ。」
「へぇ〜・・頑張らないと。」
「そうね・・そういえば、レイちゃんのお見舞いだけどどうする?」
「明日は荷物の整理で一杯になると思うから、明後日かな。」
「分かったわ。・・さっ、行きましょ。」
シンジはユイと一緒に暮らす事を選んだ。
・・しかし、それがこれからシンジに降り注ぐ女難の始まりとは誰も知らなかった。

・・ユイ宅
「さっ、ここよ。」
「えっと・・ただいま・・なのかな?」
「ええ♪そうね・・。」
「お帰りなさ〜〜い♪」
「「!?」」
二人の目の前には青っぽい銀髪のアルビノの少女が立っていた。
彼女の名は綾波レイ。
母親がユイのイトコでシンジとはハトコである。
産まれた日はシンジより遅いが、シンジの姉のように接している。(やや過激な部分有り)
両親は別の支部に行っているため、ユイが預かっているのだ。
「レ、レイ!?」
「シンジ君、久しぶり〜〜♪」
ガバッ
レイがシンジに抱きついた。
「ち、ちょっとレイちゃん!アナタ、傷はどうしたの!?」
「アハハハ・・。傷を治したいと思ったら、新しい技、覚えちゃいました。」
「新しい技?」
「これよ。」
レイが出したのはアドベントカードだった。
「リカバリーベント、自分や相手を癒すカードなの。」
「凄いね、レイ。」
「エヘヘヘ・・♪」
「・・。」
「母さ・・ヒッ。」
シンジが思わず、悲鳴をあげた。
笑顔だが、髪が逆立ち、何やら黒いオーラが漂っていた。
「どうして早く出さなかったのかしら?」
「え・・えっと・・さあ♪」
「早く病院に戻りなさい!」
「嫌ですよ!私もシンジ君と一緒にいたいです!」
「駄目よ!シンちゃんは私のものよ!」
「いいえ!私のです!」
「あの・・僕の意見は?」
シンジを無視して、二人のシンジを巡る口論は続いた。
「・・二人共、ご飯は何がいいですかぁ?」
「「オムライス♪」」
「(この二人・・仲が良いのか悪いのか・・はぁ。)」
シンジ君・・来た早々、既に主夫化です。

・・ドイツ
「・・はぁ。早くシンジの元に帰りたい。」
フライパンの料理をひっくり返しながら、アスカは呟いた。
「ごめんね、アスカちゃん。もう少し辛抱してね。」
「マ、ママは悪くないわよ!それにシンジとはまたすぐに会えるからいいの。」
アスカの母:キョウコもユイと同じ事故が原因で若いままだが、その際の負傷と後遺症で
何年も入院している。
「フフフ・・その間にレイちゃんに先を越されなきゃいいわね。」
「うっ・・。」
アスカとシンジは生まれた頃からの幼馴染みである。
レイとも幼馴染みだが、シンジを巡るライバルでもある。
「シンジ君は押しに弱いから勢い次第ではユイに奪われるわね。」
「・・レイならともかくユイおばさまじゃ勝ち目が・・うぅ〜〜
 ・・シンジーーーーー!!」
日本の方角を向き、叫ぶアスカだった。

・・二週間後
「碇シンジです。第二東京から来ました。よろしくお願いします。」
「「「「「「「「「「「キャーーーーーー♪」」」」」」」」」」」
転校してきた美少年(シンジ)に女子は大絶叫。
「(あれが、龍騎かいな?)」
「(みたいだな。ドラグレッダーの気配も感じるし。)」
「(あんまり、戦闘向きな感じじゃないな。)」
一人はジャージ姿の関西弁を話す少年。
一人は紺色の髪で左肘にリストバンドをつけている少年。
もう一人は茶髪でそばかす、眼鏡の少年である。
「(フフフ・・やっぱりシンジ君は人気者ね・・でも、負けないわ。)」
一人燃えているレイ。
「(あれ?・・ドラグ。)」
『(なんだ?)』
シンジはドラグレッダーの事を『ドラグ』と呼ぶ事にした。
「(レイの他にも、何か感じるんだけど・・。)」
『(ウム・・マグナギガ、バイオグリーザ・・デストワイルダーもか。)』

・・屋上
「すまんなぁ、転校生。・・いや、龍騎つうた方がええか?」
「シンジでいいよ。・・えっと・・。」
「わいは鈴原トウジ。ライダーのゾルダや。」
「俺は相田ケンスケ。ライダーベルデだ。」
「俺は緋影流輝・・ルキ、タイガだよ。・・まっ、君に会うのは二度目だけどな。」
「えっ?」
『やはり、来ていたのか?』
『ああ。サキエルを喰らおうと思ったんだがな。お前等に先を越されたと言う訳だ。』
四人は機獣を召喚した。
シンジのドラグレッダーは深紅の龍。
ルキのデストワイルダーは蒼い縞模様のある二足歩行の白虎。
トウジのマグナギガは全身が火器で緑色のミノタウロス。
ケンスケのバイオグリーザは黄緑色のカメレオン。
「それで、僕に何か様なの?」
「ちょうどええ機会やからな。ちょいと、手合わせ願いたいんや。」
「えっ!?」
「悪いな碇。トウジは強そうな奴にはすぐ喧嘩売るんだよ。」
「俺もちょっと前にこっちに来たけど、いきなり喧嘩売られた。」
「・・どうしてもやらなきゃ駄目?」
「愚問やで。」
「その前に・・と、デス。」
『オウ。』
ヒュォォォォォォォ・・
デストワイルダーが氷の膜を屋上全体に張った。
「これで、被害は出ない。存分にやりな。」
「・・やるしかないのか・・行くよ!ドラグ!」
『承知!』
「変身!!」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥン・・
シンジは一瞬で変身した。
「あれ?この間の変身と違うね。」
『あれは初めて変身する者に起こる現象だ。まぁ、あの変身もできなくはないが・・。』
「いいよ。少し驚いただけだから。」
「今度はワイや!行くで!マグナ!」
『よし!』
「変身や!」
トウジの模様は腹部のヘソの上辺りにあった。
ドガガガガガ!
マグナギガが光弾を放つ。
ドドドドドド!
着弾すると光弾はライダースーツになっていく。
カシュンッ
最後にヘルメットが装着され、トウジはゾルダへの変身が完了した。
「よっしゃ、始めるで!」
ゾルダがマグナバイザーを構えた。
龍騎もカードを抜く構えをする。
「タンマーーーーーーーーー!!!」
「「!?」」
バンッ!!
屋上の扉が勢いよく開く。
「レイ!?」
「綾波やないか、どうしたんや?」
「シンジ君に何をする気なの!鈴原君!」
「何って、ライダー同士の触れ合いとして一勝負しよう思うとっただけや。」
「別に集団リンチのつもりじゃないさ。」
「当たり前よ!そんな事したら、ブランウイングでバラバラにするわよ!」
「そ、そらマジ勘弁やな。」
「まっ、いいんじゃないの?ところで、綾波。何か用事か?」
「アッ、そうだった!シンジ君、使徒よ!」
「えっ!?」
「やれやれと・・。」
トッ・・
ルキは手すりの上に立つ。
「先に行ってる。もたもたしてると先に倒してるからな。」
ルキはそのまま飛び降りた。
「緋影君!?」
「大丈夫や。アイツ、いつもやってるさかいな。」
「い、いつも?」
「おい、早く行かないと本当に使徒、倒されちまうよ。」
「オォット!そうやった!!」
「緋影君って強いの?」
「強いよ。」
「ワイ等の中では最強やな。」

・・戦場
「おっ。来た、来た。」
ビルの上から襲来した使徒を見るルキ。
使徒は第四使徒シャムシエル。
赤い軟体生物の様な体に鞭が生えている。
「なんか、センスを疑うねぇ。」
ピリリリリ・・
ルキの携帯が鳴る。
「はい、もしもし?」
『ルキ君?ユイよ。』
「ユイさん。」
相手はシンジの母:ユイだった。
実はルキもレイと同じくネルフ所属のチルドレンであり、ユイ直属の部下なのだ。
「今、使徒を確認しました。とっとと片付けていいですか?」
『そうね。許可します。片付けちゃってね。』
「了解!」
ピッ・・
「さてと・・う〜〜〜〜ん・・。」
携帯の電源を切り、背伸びをするルキ。
「そんじゃ、行きますか!」
『了解だ。』
「変身!」
ピキピキピキ・・
手・足・体・胸・頭(顔は除く)の順にルキの体が凍り付いていく。
パキーーーーン!・・ヒュゥゥゥゥン!
その氷が砕けるとその冷気とシンジの時と同じ輪が混ざり、ライダースーツに変化した。
パキーーーーン!・・ヒュゥゥゥゥン!
パキーーーーン!・・ヒュゥゥゥゥン!
パキーーーーン!・・ヒュゥゥゥゥン!
手から足・体・胸の氷が砕け、各部にスーツが装着される。
「行くぞ!」
パキーーーーン! 
頭の氷が砕け、ヘルメットが開いた状態で現れる。
・・カシュン!
そして最後にヘルメットがルキの頭を覆い、タイガへの変身が完了した。
ビュン!ビュン!
シャムシエルの鞭がタイガに襲い掛かる。
バキッ!
ルキは鞭を避けたが、ルキが居た所に鞭が当たり、鞭の跡が亀裂の様に残った。
「うわぁ。結構、威力あるな。」
シャッ・・
タイガは腰のデッキからカードを取り出す。
カシュッ・・
そのカードを斧型の召喚機:デストバイザーにセットした。
≪ストライクベント:デストクロー≫
ガシャンッ!
タイガの両腕にデストワイルダーの腕部に似た手甲が装着される。
「よし!」
タイガはシャムシエルと距離を縮める。
「・・。」
シャムシエルとの距離が縮み、走り出そうとしたその時!
バキーーーーーーーーーーーン!!
近くのビルの窓ガラスが突然、砕けた。
「なんだ!?」
ヒュゥゥゥゥゥ・・
割れた場所の次元が歪み、そこから冷気が漂う。
シュゥゥゥゥゥン・・
そこから霧の様に異形の者が現れた。
異形と言っても人型で鎧が体と一体化した鼬(○ンスター○ァーム4のリッパー種)
のような姿でシャムシエルよりはマシであった。
モンスター:アルスレート出現!
「ミラーモンスター!?」
ビュンッ!
ヒュォォォォォォ!
シャムシエルの鞭とアルスレートの吹雪が同時にタイガを襲う。
「クッ!?」

・・ネルフ
ユイ達はタイガが戦う場所をモニターで見ていた。
「こんな時にミラーモンスターとはな・・。」
「シンちゃん達は?」
「間も無く到着します。」
ピッ・・
シンジ・トウジ・ケンスケ・レイが走っている映像が映る。
「あら?シンちゃん達と一緒に居るのは?」
「シンジ君のクラスメートです。どうやら、彼等もライダーの様です。」
「そう。」
「ユイさん、あの使徒の調査結果が出ました。」
リツコが入ってきた。
「どう、リッちゃん?」
「あの使徒は全身がゴムの様に柔らかく、銃弾や衝撃を吸収するようです。」
「そう。だから、戦自の攻撃が全く効かなかったのね。」
「ATフィールドを出さない状態でも無傷です。これは少し厄介ですよ。」
「対抗策は?」
「今はまだ。作戦部が今、案を考えています。」

・・戦場
「クッ・・こうなったら・・。」
『アレを使うのか?』
「敵が減るだけいいよ。」
『だが、あのカードを使えばあと二枚だぞ。』
「それなら充分だ。」
『・・分かった。』
シャッ・・
タイガはデッキから何も描かれていないカードを取り出した。
「アルスレート、契約だ!」
パァァァァァァァァ・・
カードから光が放たれ、光がアルスレートを包み込んだ。

・・少し離れた場所
「何、この光。」
「契約の光や!ルキの奴、何かと契約したんやな。」
「急ぎましょう。」

・・戦場
「よし、さっそく使ってみるか!」
カシュッ
タイガはアルスレートのカードを差し込んだ。
≪契約モンスター:アルスレート≫
シュゥゥゥゥゥ・・
冷気と共にアルスレートがタイガの左側に出現した。
「続いて!」
シャッ・・カシュッ
≪契約モンスター:デストワイルダー≫
デストワイルダーもタイガの右側に出現した。
「もう一枚!」
シャッ・・カシュッ
≪フリーズベント≫
『フンッ!』
『・・。』
ビュォォォォォォォォ!!

・・数分後
「や、やっと着いた。」
シンジ達がようやく戦場に到着した。
「ちょっと、遅かったみたい。」
「「「えっ?」」」
四人の視線の先には氷に覆われたシャムシエルに自らの爪を突き刺し、
シャムシエルを吸収しているデストワイルダーとそれを眺めるタイガの姿だった。
龍騎はカードを使って吸収するのだが、これがタイガのやり方なのだ。
「よっ、遅かったな。」
「なんや、ケリついてもうたんかいな。」
「皆が遅いんだよ。」
「ところで、さっきの光は?」
「あぁ、コイツだ。」
タイガはシンジ達にカードを見せる。
「これは?」
「ルキ、ミラーモンスターと契約したのか!?」
「氷の魔獣アルスレートだ。デスと相性バッチリみたい♪」
「どうでもいいけど、この辺なんか寒くないか?」
「当然さ。デスとアルスレートと俺のトリプル冷気攻撃だもん。」
「だから、この一帯がカチンコチンなのね?」
「正解♪」
『・・ルキ。』
デストワイルダーが近づく。
『吸収完了だ。』
「OK。・・じゃ、帰ろっか。」
タイガから戻ったルキが両手を頭の後ろに置いて、笑顔を見せる。
「そうだね。」
「・・あっ!ユイさんが一度、ネルフに寄ってだって。」
「あいよ。」
「じゃあ、ワイ等は帰るわ。」
「また明日な。」
「うん。」
「さようなら。」
「バ〜イ♪」

・・ネルフ
「でも、凍らせるなんて考えたわね。」
「ヘヘッ、なんかブヨブヨしてたから固めたらどうかと思ってさ。」
「なるほどね。」
「これで使徒は四体目。残るは十三体ね。」
「それにミラーモンスターもいるから、まだまだ戦いは続くよな。」
「貴方達には辛い戦いになるかっもしれないわ・・。」
「大丈夫だよ、母さん。」
「シンちゃん・・。」
「シンの言うとおりですよ、ユイさん。皆の為だから、俺等は戦えるんだ。」
「だから、ユイさんは安心してください。」
「ルキ君、レイちゃん。・・そうね。貴方達が戦ってるのに私が落ち込んじゃ駄目よね。」
「その意気っすよ。」
「じゃあ、今日はネルフ所属のチルドレン集結祝いにパァーーっとやりましょう♪」
『イエーーーーーーーーイ!』
この日の夜、第三新東京から大声が絶える事はなかったらしい・・。


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