投稿小説 『友情と愛情の優先順位』


第3東京市にある中学校。
その教室の一つでは、数人の男女がなにやら神妙な顔つきで話をしていた。
「……結局、人はそのふたつを天秤にかけても優劣は決められないのね」
と、レイが呟くようにそう言った。
さて、彼等がこのような会話をしているのは次のような経緯からである。


1時間前。
「ねえねえ、昨日の深夜番組見た?」
と、めずらしく夜更かしして深夜番組をしていたクラスの委員長をしている洞木ヒカリ。
「へ〜、ヒカリにしては珍しいはわね。夜更かしなんて」
友人の惣流=アスカ・ラングレーが意外そうに言った。
「うん、実は私の好きなタレントさんが深夜番組にでていたの。まあ、夜更かしなんてしないほうがいいだけど、どうしても見たくてね」
「それで、どんな内容だったの洞木さん」
やや、中性的な顔だちをした少年が内容を聞いてきた。
「うん、それがね。あなたは、友情と愛情、どちらを優先しますか?って、内容なの」
「へ〜、そうなんだ」
「ねえシンジ、あんたはどっちなの。友情と愛情、どっちを優先するの」
「えっ、えっと……その……それはもちろん……」
シンジと呼ばれた少年が、顔を真っ赤にしながら当惑していた。
「おーおー、センセ、どないしたんや顔を真っ赤にして。まあ、センセの答えなら決まっているやろうな。大事な嫁はんをまもるために、愛情を優先するんやろうな」
「ト、トウジ……!」
ジャージ姿の少年、トウジにからかわれさらに真っ赤になるシンジ。
「ふふん、どうしたんだい。みんなそろって」
「何の話をしているの?」
「あっ、綾波さんに渚君」
そこへ、銀色の髪をした少年と蒼色の髪をした少女がやってきた。
「いま、友情と愛情の優劣について話しているのよ」
と、アスカ。
「友情と愛情の優劣?それはまた、優劣を決めにくい話だね」
と、両手を軽く上げやれやれといった表情になる渚カヲル。
「あんたねえ……それをいったら話が終わるでしょう」
「おやおや、随分と怒っているが。何か怒らせることでも言ったかい」
「く、くぅおのおおおおおおおナルシスホモがあああああ!?」
「ふふん、勘違いしちゃいけないよ。僕にとっては、男女の価値は平等なのさ」
自分に酔っているカヲル。
「それより、君はどっちなんだい?」
「ふっ、決まっているわ。シンジへの愛情に決まっているじゃないの」
「ほう……では、友人である洞木さんへの友情は君にとって2番目になるんだ」
「そ、そうじゃないけど……」
「渚君、アスカを責めないでよ。アスカの反応は、女性として当然よ」
アスカを弁護するヒカリ。
「そうね。女としては、当然の反応ね。でも、同時に友人も大切なものよ」
と、レイ。
「確かに……私は、シンジが大好きだけど。でも、ヒカリやレイだって大事な友人よ。考えてみると、友情と愛情に優劣をつけることなんて出来ないわね」
「そうだね。でも、僕はやっぱりアスカへの愛情を第一に考えるよ。もしかしたら、綾波にトウジや洞木さんにカヲル君に失礼かもしれないけど。でも、アスカへの愛情が一番ぼくにとって大事だよ」
「シンジ……」
瞳を潤ませ、シンジを見つめるアスカ。
「なんや、センセは愛情を優先するんかいな。ま、センセと惣流のこれまでを考えれば当然やな」
「そうよね。碇君、アスカを泣かせちゃだめよ」
「もちろんさ。けど、みんなへの友情も大切にするよ。そうじゃなきゃ、アスカへの愛情も意味ないし」
「そうやな。結局、友情と愛情ってやつは両方揃って一つかものう。ま、どっちを優先するかなんて人間にはでけへんかもな」
「結局それ。なんか、はっきりしないわね」
「アスカ、世の中には理解できないこともあるんだよ」
「むむっ、バカシンジのくせに生意気よ。生意気なことを言う口はこれか」
ほっぺたを引っ張るアスカ。
「ひ、ひゅたいよあひゅか……」
「ア、アスカ、それ以上やると碇君がこわれちゃうわよ」
「大丈夫。その時は、私が家で愛情たっぷりの看病をするから」
「はいはい、ごちそうさま。全く、どこにいてもラブラブなんだから」
「へへ〜ん、うらやましい。だったらヒカリも……」
「ア、アスカ……」
顔を真っ赤にするヒカリ。
「ふふん、結局のところ結論はでないね。ま、それが人間なのかもしれないね」
悟ったような顔をするカヲル。
けど、一同には納得のいく結論が出たようである。
友情と愛情、そのどちらを優先するかはそのひとが決めること。
だが、どちらかひとつをとることは人間にはできないかもしれない。
(終わり)


おまけ
『ガラガラガラ』
シンジ達が、友情と愛情について話を終えたころにケンスケが教室に入ってきた。
「おっ、ケンスケやないか。どないした、こないに遅れて」
「ふっ、トウジか。なに、今日は新横須賀で新型防空駆逐艦の撮影にいってきたのさ」
「さよか」
「それより、みんなで集まって何を話していたんだ」
「ああ、それはね友情と愛情のどっちを優先するかだよ」
と、シンジ。
「なんだ、友情と愛情か。甘いな碇!」
「へっ?」
きょとんとするシンジ。
「俺様にとっては、そんなものは価値の無き物だ!」
キラーンと、怪しく目を輝かせるケンスケ。
「俺様にとって、唯一絶対なものは全人類を支配するという野望だけだ。ふはははははははははははははははは!」
唖然とする一同。
どうやら、彼にとっては友情や愛情よりも野望のほうが優先するようである。


%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
あとがき
ども、はじめまして暗黒騎士ソードです。
実は、ここの管理人でありますタームさんとは某チャットでよくお話をしていました。
で、そこでいつか投稿しますって言ったのですが。
その投稿するっていったのが、もう1年半前ぐらい……。
ふっ、人間って生き物は怠けちゃだめですね。
それでは、また。


マナ:暗黒騎士ソードさんっ! 投稿ありがとーっ!(^O^/

アスカ:難しいテーマねぇ。

マナ:愛情と友情って、永遠のテーマよねぇ。

アスカ:まっ! アタシのシンジへの愛情に勝てるものなんてないけどね!(*^^*)

マナ:女の友情はどーでもいいのねーーっ!

アスカ:そうは言ってないでしょっ!

マナ:じゃぁ、わたしが溺れてたら助けてくれる?

アスカ:助けてあげるわよっ。

マナ:一緒にシンジも溺れてたら?

アスカ:マナ・・・アンタはいい子だったわ。さようなら。

マナ:ひっどーーーいっ!

アスカ:じゃぁ、アンタならアタシを助けてくれるわけぇっ!?

マナ:大丈夫。アスカは溺れる前に沈んでるから。

アスカ:コロス!(ーー#
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