投稿小説 バトル・オブ・バレンタインデー!


2月14日。
それは、恋する女の子にとって重大な日であった。
バレンタイン。
年に一度、思い人に心を伝える日である。
そして、ここ第3東京市においてもそれは例外ではなかった。


「ええと……次に湯せんで溶かしたチョコを……この型に流し込むのね」
と、キッチンで一人なれない料理をしているのはエヴァパイロットの惣流・アスカ=ラングレーである。
もっとも、ロクに料理もしない彼女がキッチンに立つことは珍しいことだが。
「それから、次にこの上に型抜きしたホワイトチョコレートをのせて……」
どうやら、バレンタインチョコを作っているようである。
「……よし、後はこの上にあいつの名前を書いて……。うし、出来た!」
ガッツポーズをするアスカ。
「さてと、後はこいつをラッピングして……。うんうん、さすがは天才の私。もう完璧ね!」
出来上がったチョコレートを箱につめ、冷蔵庫にしまった。
「さてと、いよいよ明日か……。あいつ、きっと驚くわね。さてと、明日に備えて今日は寝ましょう。夜更かしは、お肌の大敵だから」
そういって、そうそうに眠るアスカであった。


次の日。
アスカの通う学校では、男子も女子も異様な気配を放っていた。
「なんやなんや、ずいぶんと殺気をはなっておるのう」
と、呆れた表情を見せる一人の男子。
自称、第3東京市一の硬派と名乗る鈴原トウジ。
「へっ?一体何が?」
こちらは、世界鈍感男選手権10年連続金メダリスト(と言われているらしい……)の碇シンジ。
「おいおいシンジ。今日は、なんの日かしっているやろう」
「ええと……駅前のスーパーでとり肉のセールだったような」
「……お、おんどれに聞いたワイがバカやったわ……」
呆れるトウジ。
「えっ、違うの?」
「あのなあ、今日は2月14日やで」
「だから?」
「……も、もうええわ……」
「おっはよ〜」
そこへ、透き通るような声で教室に入ってくるアスカ。
そして、教室にいた男子一同(シンジは除く)がアスカのほうに殺到していった。
「そそそそそそそ、惣流さん……ぼぼぼぼぼぼぼぼくは……」
「惣流さん、俺と一緒にこれからの人生を」
「何も言いません。ぜひ、あなた様のチョコを……」
「ええい、黙って俺についてこい!」
どうやら、アスカのチョコが目当てのようである。
「だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!うっさああああああああああああああああああああああああああああああああああああい!散れ、この強欲野郎どもがああああああ!」
『わああああああああああああ!?』
アスカの怒気に押され、あっさりと散らばる一同。
「ったく……他に考えることは無いの。っと、こんなことをしている場合じゃ無い」
教室を見渡し、シンジを捜すアスカ。
「おっ、いたいた。お〜い、シンジ」
「うん、なにアスカ」
「ちょっと話があるの。付き合ってくれる」
「えっ、でも……」
「何か不満でもあるのかしらああああああ〜」
シンジの顔に自分の顔を近付けるアスカ。
「ななななななな、ないです。よろこんでお供させていただきます」
「よろしい。じゃ、ついてきなさい」
そういって、シンジの腕を掴みそのまま引っ張っていくアスカ。
その光景をうらやましい表情でみつめる男子一同であった。


「ねえアスカ、話ってなに?」
と、屋上につれてこられたシンジ。
「えっ、えと、その、あのね……」
もじもじするアスカ。
「どうしたんだよアスカ。いつものアスカらしくないよ」
「そ、そんなことないわよ!」
「じゃあ、話しってなんなの?」
「だ、だから、そのね……あ〜、もう、これよ!」
ばっと、後ろに持っていたチョコレートの入った箱をシンジに差し出した。
「こ、これって……何?」
ズルっとこけるアスカ。
「あ、あんたバカァ?っていうか、バカっていうよりは無知よ!」
「そういや、女子のみんな今日はそわそわしているな」
「あんた、なんでみんなそうなっているかわかっている」
「それがさっぱりと……」
「はあ、さすがは世界一の鈍感男ね」
「なんだよそれ」
「まったく……今日はバレンタインデーよ」
「あっ、そうだったね。今日はバレンタインデーだったね。って、もしかして?」
「そうよ。あんたにバレンタインチョコをあげるわ。あ、あんたのことが好きだから……」
「えっ?」
一瞬にして真っ赤になるシンジ。
「う、受け取ってくれるかなあ……」
上目遣いでシンジを見るアスカ。
「そ、その、こういうとき、どういっていいかわかんないけど……その、僕もアスカのこと好きだから……だから……よろこんで受け取るよ」
チョコを受け取るシンジ。
「シンジ、ありがとう……」
シンジの胸に飛び込むアスカ。
それを優しく受け止め抱き締めるシンジ。
「ずっと好きだったんだよシンジ。これから、一緒にいようね」
「うん」
そういって、キスをする二人であった。
(FIN)


おまけ
「あっ、碇君〜。って、げげっ!何やっているのよ二人とも!」
と、そこへ屋上にやってきたマナ。
「わああああ!?」
「きゃっ!?ま、マナ?」
「ま、まさか、お二人さんは……」
「そ、その、あの……」
しどろもどろになるアスカ。
「ああ、じつは今日からアスカと付き合うことにしたんだ」
さらりと真実を述べるシンジ。
「へっ、そ、そうなの……」
「うん、そうなんだ」
満面の笑みで言うシンジ。
しかし、この笑みはマナにしてみればこのうえなくきついものであろう。
「は、はは、そうなんだ……。お、お幸せにねえええええええ〜〜〜〜〜〜!」
そのまま、その場を走り去るマナ。
「どうしたんだろうマナは?」
「あ、あんたの鈍感は時によって犯罪よ。本当に」
「えっ、何が?」
「ま、いいわ。それより、学校が終わったらどこかに行きましょう」
「そうだね」
幸せいっぱいの二人である。


%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%
あとがき
ども、暗黒騎士ソードです。
今回は、バレンタインネタを書いてみました。
まあ、私はここ数年バレンタインチョコをもらったことが無いもので。(TT)
けど、皆様には幸せが訪れますように。
それでは!


アスカ:さーすが、バレンタインデー記念。ラブラブ最高ーっ!(*^^*)

マナ:ぬ、ぬわーーによーーーっ! このふざけたオチはぁぁぁぁぁぁっ!!!(▼▼#

アスカ:シンジったら、鈍感だからどうなるかと思ったけど。やっぱ、最後はハッピーエンドよねぇ。(*^^*)

マナ:シンジにアスカがくっつくだけに留まらずっ! よ、よくも、わたしをオチに使ったわねぇぇぇっ!(▼▼#

アスカ:あらぁ。さっすがマナ。オチにはアンタがぴったりよっ!

マナ:2度と、こんなふざけたオチが書けないように燃やしてやるぅっ!(▼▼#

アスカ:ぬ? 久しぶりに出たわね。火炎放射器・・・。(ーー;

マナ:燃えーろよっ♪ 燃えろーよっ♪(ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!)

アスカ:ま、暗黒騎士ソードの無事を祈りつつ・・・アタシはシンジと萌えとこっと。(*^^*)

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