単発らぶらぶ小説 その36








「ねぇねぇ、シンジぃ〜ん」

 鼻にかかった甘い声で僕を呼ぶアスカ。
 こう言う時は、決まって何かをおねだりする時だ。

「ほらほら、見てよこの猫! 可愛い〜♪」

「うん、可愛いね」

 アスカが示した雑誌の記事を見て、僕も頷く。
 タイトルは『私の家の猫自慢』。色んな種類の猫……国産や外国産も一緒に
写真が掲載されている。

「やっぱ猫は虎縞よね」

 と、アスカは小さな子猫の写真を指差す。

「うん、やっぱり猫は虎縞ってイメージがあるね」

 人それぞれだとは思うけど。

「で、お願いがあるんだけどさぁ……」

「駄目。それにマンションだし」

「ああっ、そんな話も聞く前からっ」

 聞かなくても大体予想は出来る。
 きっと『猫飼いたい』とか言うに違いないんだ。

「あのね、アタシこんな猫が欲しいの……」

「だから駄目だってば。ミサトさんの許可も取らなきゃいけないし、大家さん
の許可も取らないといけないし」

「大家ったって、どうせNERVでしょ? ミサトにしたって、こんな可愛い
猫を見たら即おっけーしてくれるわよ」

 うう、言われてみたらそんな気が。
 ミサトさん、こういうのに弱いからなぁ……。

「駄目だってば、誰が世話すると思ってるんだよ」

「ちゃんとアタシがするわよ」

 ……みんな最初はそう言うんだ。
 んで結局飽きて、最後は僕に押し付けるんだよなぁ。 

「駄目」

「もー、アンタは駄目駄目ばっかり! もしかして駄目星人!?」

「はいはい」

 そんなわけのわからないことを叫んでいたけど、これ以上付き合っても無駄
だと思ったので僕は早々に自室に避難することにしたのだった。






 その晩。
 夕飯の片付けを終えて、雑誌なんか読んでいたら。

「ねー、シンジぃ」

 またもアスカの猫なで声。

「駄目だってば」

 懲りないなぁ、と思いながら声のした方向を見ると。

「あ、アスカ……その格好は一体?」

「じゃーん! シンジが頑固なのでこんなの用意してみましたー♪」

 虎縞のレオタードに、虎縞のブーツ。虎縞猫耳に、虎縞グローブ。
 ……アスカはいわゆる『猫娘』な格好をしていたのだった。

「ぶふぅ!」

 レオタードの大胆な切れ込みに、僕は思わず鼻血を噴きそうになる。
 アスカはそれを知ってか知らずか、僕ににじり寄って来て。

「どーしても駄目だって言うんなら、身体に猫のよさを教え込んであげるわ♪」

 そう言いつつ、僕の胸をつんつんと突付く。

 そしてリビングの真ん中に立って、アスカは軽くポーズを取る。
 軽快な曲を口ずさみながら、それに合わせてダンスを踊り始めた。

「ちゃっちゃっちゃっ、猫だーんす♪ ねこねこねこねこ猫だーんすっ♪」

 ずんた、ずんた。

「猫ねこ子猫、可愛いのぉ〜♪」

 腰を振り振り、媚びるような目線を僕に向けて。
 その上アスカは、踊りながら僕に近付いて来て。

「うりゃ、猫ぱーんちっ☆」

 ぺふっ。

「ああっ」

 猫の肉球のような柔らかい感触が、僕の頬に優しく触れる。
 一瞬意識がどこかへ飛んで行きそうな、不思議な感触だった。

「ちゃらっちゃっちゃっちゃ猫だんすー♪」

 ずびしっ☆

 決めのポーズを取って、ダンスは終わったらしい。

「ふぅ……どうだった?」

 尻尾を左右に振りながら、アスカは僕にしなだれかかって来た。
 ふわふわの毛皮の……そして、アスカの柔らかい肢体の感触。

「アスカ、胸が胸が当たってるっ」

「んふふ……猫は見た目可愛いし、抱いた時も気持ちいいものなのよ」

 ぎゅぅ。

「ね、シンジ……抱っこしてみてよ」

「う、うん……」

 最早アスカの言いなりに、身体が勝手に動いてしまう僕。
 彼女の背中に腕を回し、ぎゅっと抱きしめて。

「あ、アスカ……」

「ねぇ、シンジ……猫、飼ってもいいでしょ?」

 ふーっ。

「駄目……ああっ、耳に息を吹きかけないでっ」

 ぞくぞくとした感覚で力が入らず、アスカを引き離すことも出来ず。

「飼ってもいいって言うまで……ずっと続けてやるんだから♪」

 にっこり妖しい笑みを浮かべながら、僕の顔に頬をすり付けて来るアスカ。
 嬉しいやら、辛いやら。

 さてさて、僕の理性はどこまで耐えられるのでしょうか……?






<続きません……単発だし


アスカ:猫だーんす♪ ねこねこねこねこ猫だーんすっ♪(*^^*)

マナ:何してるのよ。(ーー)

アスカ:みてみて、かーいいでしょ?(*^^*)

マナ:やめてよ。(ーー)

アスカ:あー! アタシがあーんまり、かーいいから、嫉妬してんのねっ!(^O^)v

マナ:違うわよ。迷惑でしょ?

アスカ:またまたぁ。かーいいなら、素直にそう言ったらぁ?

マナ:だから、違うってば。

アスカ:ほらほら、ちゃらっちゃっちゃっちゃ猫だんすー♪(*^^*)

マナ:お、お願い、やめて。

アスカ:そっか。アンタじゃこんなにかーいく踊れないもんえぇ。見たくないんでしょ。でしょー?

マナ:あなたが飛び跳ねると、地震がおきるからよっ! やめて。(;;)

アスカ:ど、どういう意味よっ! 猫ぱーーぁああんちっ!(むにゅっ!)

マナ:肉急きゅうがあるから、痛くないもーん。

アスカ:むぅぅぅぅぅ。(ーー#(ガブッ!)

マナ:いっ、いったーーーーいっ! 噛んだーーーー!(・;)
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