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あたし、恋をしている
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BY たっちー







「シンジ、雨上がったみたいよ」

今日はシンジとのデート。

しかも初めてあいつの方から誘ってくれたんだ。

あたし達が行ったのは最近開園したばかりのテーマパーク「エヴァランド」。
名前からわかるように「ネルフ」が運営してるの。

でも、せっかくの遊園地も雨が降って来ちゃーねぇ。

雨が降り出す前に世界最速とかいう噂のジェットコ−スター、
「エヴァ初号機」(ふざけた名前よね)とかいくつかには乗れたんだけど。
まだまだシンジといっしょに乗りたいものとかあったのよ。

観覧車でしょ、コーヒーカップでしょ、後、お化け屋敷でシンジに抱きつくとか・・・。

『きゃー、やだー、こわいよ、シンジー!』

『だいじょうぶだよ、アスカ。それにしてもこんなのに怖がる意外だね』

『なによー。あたしだって女の子なんだから!』

はっ、あたしってばつい妄想を・・・。

結局あたし達は遊園地の中の喫茶店で雨宿り。

着ぐるみを着たお兄さんが取ってくれた写真とか見ておしゃべりしながら時間をつぶしてたんだ。

このまま止まなかったらやだなー、とか思ってたんだけど、
予想通りにわか雨だったみたいで一時間くらいで止んでくれた。

でも、すでに日は暮れ始めていて、この時間から回れそうなアトラクションも一つか二つ。
仕方ないから観覧車に乗ることにしたわ。
最後はやっぱり観覧車でロマンチックにいきたいわよね。



観覧車に乗ってからは景色なんか見ずにシンジばかり見てたんだ。

あたしとシンジが付き合いだしたことを周りはあまり好い目では見てくれなかったわ。
一年前にあたしが一度シンジを振ったことはみんな知ってたもんね。
いや、別にあたしやシンジが誰かにそのことを話したとかいうことじゃないんだけど。
あたしはミサトのマンションを出てくし、シンジが落ち込んでたのは誰の目にも明らかだったし。
シンジは知らないみたいだけど鈴原と相田があたしに詰め寄ってきたこともあったな。
ヒカリはこれまでと変わらない付き合いをしてくれてるけど、時々何か言いたそうな態度を見せるのよね。
でも、あたしは自分の気持ちが抑えられなかった。
シンジと離れてみて、自分がシンジのことをこんなにも好きなことに気付いたんだ。
シンジも口には出さなくてもあたしのことがまだ好きなのは態度からわかってたし。
だから、周りがどう思おうとシンジにアプローチすることにしたのよ。

でも、なんで、こんなにこいつのこと好きになっちゃったのかな?
今でも、理由なんかわからない。

でも、いつもいっしょにいたい。

これからもずっと二人でいたい。

どうして、あのときミサトの部屋を出て行っちゃったのかな?
あのままいればシンジと一緒に暮らせていたのに。

でも、あのとき出て行かなかったら、あたしはシンジを傷つけて。
シンジはそんなあたしを拒絶して。

今こうしていっしょにいることなんてなかったんだろうな。

でも、もし許されるなら。

また、シンジと一緒に暮らしたいな。

喧嘩はするかもしれない。

でも、もうあのころみたいに傷つけあうことはないと思うから。

「どうしたの、アスカ?僕の顔に何かついてる?」

シンジの顔も穏やかになったわよねぇ。
あの戦いのころは怖いくらい張り詰めた雰囲気をもっていたのに。
あ、それはあたしも同じか。いや、あたしの方が張り詰めてたかな?
あのころのあたしにはエヴァしかなかったから・・・。
でも、今のあたしにはシンジがいる。

「そんなんじゃないわよ。・・・ねえ、シンジ。この後、晩御飯とかどうする?」

「あ、もうそんな時間か。そうだなー、どうしようか?」

・・・何でここで「いっしょにどこか食べに行こうか?」くらいでてこないかな?
こういう優柔不断なところは直ってないのよね。
しかたない、ここはまた、あたしからアプローチするとしますか。

「よかったら、あたしの部屋に来ない?ご飯作ってあげるから」

「え?」

シンジー。その顔は何よ。一人暮らしをしてる間にあたしだって料理くらいできるようになったんだから。

「誰かさんにあたしの料理を食べてもらいたくて修行したんだから!」

「誰かって・・・、誰?」

にぶいわね。あんた以外誰がいるって言うのよ?
あんた、あたしの恋人でしょう?

なんでこんな鈍い奴を好きになっちゃったかな。
でも、好きになるとそんなところもかわいく思えちゃうから不思議よね。

そんなことを話してる間に観覧車が一周しちゃった。

「とにかく、あたしんチに来るのね?」

「うん、アスカがいいのなら」

いいから、誘ってんのよ。
まったく鈍いのね。
でも、好きになるとそんなところも・・・(以下略)
そういえば誰かのために料理するって初めてね。



あたしの部屋についた時にはもう暗くなってたわ。

さってと、お料理、お料理♪

誰かのために料理を作るのって嬉しいものだったのね。

でも初めて作ってあげる手料理だから、やっぱり先ずは得意な料理よね。
うん、今日はハンバーグにしよう!
「次」はシンジの好きなものを作ってあげるからね!

フン、フフフ〜ン♪

さあ、できたわよ!

「シ〜ンジ〜、ご飯できたわよ〜」

あ、何か新婚さんみたい。
新婚さんか・・・。いいな、そんなときがくるのかな?

「わあ、おいしそうだね、アスカ」

フフーン、どんなもんよ。
でも、ここは一つ・・・。

「おいしそう、じゃなくて、おいしいのよ!」

「あ、うん、そうだね」

「じゃあ、食べてみて。」

「うん。いただきまーす」

えらそうなこと言ってみたけど、どうかな。
ちょっと不安。記憶にあるシンジの料理はほんとにおいしかったから。
それと比べられるとねぇ。

ねえ、シ〜ンジ〜、感想聞かせてよ。

「おいしい、おいしいよ!アスカ!」

そんなに喜んでくれると嬉しくなっちゃうわね。

「どんどん食べてね!」

「うん!」



食事も終わってっと。

さて、洗い物、洗い物っと。

シンジが、

『後片付けくらい手伝うよ』

とか言ってくれたけど。
やっぱりここは最後まで一人でやらないとね。

洗い物も終わってシンジがくつろいでるリビングに紅茶を持っていったわ。

うーん、なんかいいわよね。こういうの。
新婚てこんな気分なのかしらねぇ?

「シンジ、紅茶いれたわよ」

「ありがとう、アスカ」

シンジは紅茶を飲みながら、

「なんかいいよね、こんな感じも」

と言ってくれた。

あたしとおんなじことを考えていたのね、シンジも。

ほんとにねぇ、いつまでもこんな感じでいられたらいいな。

すると突然シンジが、

「これならいつ結婚しても大丈夫だよね」

とか言ってきた。

シ、シンジ、あんた自分が何言ってるかわかってるの!?
あ、や、やだ、顔が熱くなってきちゃった。

「あ、あたしはいつでも準備OKなんだけどね・・・」

あ、あたしもなに口走ってるのかしら?

「相手の方はどう思ってくれてるのかな〜」

だめ、自分を抑えられない。

ほら、あんたの顔、じーっと見つめてるんだから!
誰のこと言ってるかわかるでしょう?

あ、赤くなった、赤くなった。気付いてくれたのね!

「あ、あのさ、アスカ」

「な、なに?」

「今はまだ早いけど、一年半経ったらアスカに伝えたい言葉があるんだ・・・」

一年半後・・・、それはシンジが18歳になるとき。

「それまで、いや、それからも僕と一緒にいてほしいんだけど」

シンジ、それって実質的なプロポーズと受け取っていいのね?
そう思うことに決めたわよ!

「もちろんよ。あんたがいやだって言っても一緒にいるわよ」

夢に観てきたんだ、こんな瞬間を・・・。

でも、「その時」にはもっとはっきりと自分の意思を伝えてくれるわよね、バカシンジ。







Fin










おまけ超SS 「マナちゃん、大追跡?」





「シンジ、どこに行くつもりかしら?」

あたしは戦自にいたころ身につけた尾行術でシンジを追跡しながらつぶやいた。



「シンジがアスカに告白ったけど振られた」

そんな噂を耳にしたのは第3新東京市に帰ってきてすぐだったわ。

最後の戦いの後、戦自の呪縛から開放されたあたしは第3新東京市に戻ってきたの。
だって、シンジに会いたかったから。
でも、あたしがいない間にあの赤毛猿に篭絡されてたなんて・・・。

噂を聞いたときは確かにショックだったけど、考えてみれば今はチャンス。
あたしは積極的にアタックすることにして、チャンスを窺っていたの。



でも。

「シンジとアスカがよりを戻した」

そんな噂を耳にしたのは、2週間前。

よりを戻したってのは付き合ってたもの同士の話でしょ。
シンジとあの女は付き合ってもいなかったないじゃない!

あたしは事実を確認するためにそれから毎日シンジを尾行することにしたのよ。
これまでのところ、シンジと赤毛猿の目立った接触はなし。

そして、日曜日の今日。
コンフォート17を見張っていると0930ころ、シンジがでてきたわ。
もしかして赤毛猿とデート?
あたしは追跡を開始した。
まさか、戦自にいたころに身に付けた技術が今ごろ役立つなんて。
皮肉なものね。

このまま行くと駅前よね。
待ち合わせかな?
あの猿がいなかったら、偶然をよそおってシンジに話しかけてみよう。
そして、そのままデートに・・・。

でも、駅前にはすでにあの赤毛猿がいた。
あの猿がシンジより先に待ち合わせ場所に来ているなんて!?
信じらんない!

偶然、ここにいただけであってほしい・・・。
そんなあたしの希望も空しく、二人は手を握り合うとバスに乗り込んだのよ。

く、悔しい・・・。

二人が乗ったのは最近できたとかいう遊園地、「エヴァランド」直通バスよね。
次のバスであたしも「エヴァランド」に行こう。
そして、二人のデートを邪魔してやる!!

ガシッ!

そのとき、あたしは後ろから肩をつかまれた。

振り向くと黒服にグラサンの男達が立っていた。

「元・戦略自衛隊の少年兵、霧島マナだな?」

威圧的な声でそう尋ねられた。

「な、なによ、あんた達は・・・」

「ネルフ保安部の者だ・・・。
 サードチルドレンとセカンドチルドレンの仲を邪魔するものは排除するよう命令を受けている」

あたしはそのまま、男達に連行された。

「俺達もこんな仕事は本意じゃないんだがな・・・。司令直々の命令とあっては仕方ない」

わざとあたしに聞かせるように男はそんなことをつぶやいたけど、そんなことどうでも良かった。

「シーンジー!あたしのもとに帰ってきてよー!!」

あたしの声がシンジに届くことはなかった。






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後書き

どーも、たっち―です。

「恋しくて・・・」でのアスカandマナのコメントをヒントに書かせていただきました。
流れとしては「恋しくて・・・」の続編ということになりますね。

しかし・・・、自分で書いておいて読み返したら脳みそがメルトダウンを起こしてしまいました(^^ゞ

メルトした頭で何時の間にかおまけの超SSなんか書いてるし。
しかし、このおまけってなんかハードボイルドタッチ?・・・でもないか。

ほらほら、今回はマナさんもちゃんと登場しましたよ、おまけのSSにですけど。

さて、この続きはどうしようかな?
そういえば「恋しくて・・・」でミサトに子供が生まれたんだったな。
その設定を使って一つ・・・。

それでは!(マナから逃げるため足早に去る)

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マナ:(ズドンっ!)フフフ。(ニヤリ)

アスカ:作者が落とし穴に落ちてるわよ?

マナ:だって、最悪じゃないのっ!(ーー#

アスカ:なんでよ? とってもいい話じゃない。

マナ:マナちゃんの扱いのことよっ!

アスカ:ん? アンタどっかにいたっけ 観覧車から見たけど、見えなかったけど?

マナ:いつの間にか、本筋にも出れないギャグキャラになってるのっ!

アスカ:あらぁ、どうりで本筋キャラのアタシには見えないはずだわ。

マナ:LMS書くって宣言するまで、埋めて肥やしにするの。(ニヤリ)

アスカ:あら・・・。そこに種を植えたら、LASの花が咲くかしら?(^^v
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