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エヴァ学園は大騒ぎ!
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BY たっちー
4時間目 「春合宿は大騒ぎ(中編)」
「ねえ、シンちゃんとマナちゃんの仲はどこまで進んでるの〜」
合宿に向けて出発してすぐミサトが助手席から後席のシンジ達に話しかけてきた。
右手にはエビチュが握られ、足元には出発直後に一気に飲み干した缶が2本ほど転がっている。
「噂は聞いてるぞ。入学早々彼女を作るとはなかなかやるじゃないか」
運転席の加持も一瞬シンジを振り返ってそう言った。
「ななな、何言ってんですか!」
赤くなりながら思いっきり狼狽するシンジ。
一方マナは、
「シンジ、手も自分から握ろうとしないんですよ〜」
シンジに対する不満を口にする。
「な〜に〜?シンちゃん、そりはいけないわ〜」
何か言おうとするシンジを無視して助手席から後ろの席に身を乗り出してくるミサト。
すでにアルコールが廻り始めているのか、目が据わっており口調も怪しくなっていた。
「こんらかわいい女の子が「好きにして」って言っれるのに手も握ららいなんて犯罪よ!
手ぇ握って、肩抱いて、キスして、ピーーなことやピーーなことしないと!」
放送禁止用語を連発し始めたミサトにシンジだけでなくマナさえも真っ赤になって俯く。
「ん〜〜、今晩は一つ屋根の下なんだから夜這いしちゃったりなんかして。
あ、いっそのこと同じ部屋にしちゃおっかな〜。
それとも、二人でペンションから抜け出して朝帰りしちゃうとかとか。きゃ〜きゃ〜きゃ〜♪」
酒徒と化して暴走しまくるミサトを制したのは加持だった。
「葛城、その辺で勘弁してやれよ。
手を握ることさえためらうなんて初々しくていいじゃないか」
「でも、加持〜〜」
シンジ達をからかっていたことなど完璧に忘れて加持と言い争いを始めるミサト。
シンジ達は口撃から開放されてホッとしていた。
ここで完全に話題を変えてしまおうとシンジは加持に話しかけた。
「加持さんとミサトさんってどんな関係なんですか?」
シンジの言葉に一方的に喋り捲っていたミサトの声がピタリと止まる。
「どどど、どんな関係って、ただの腐れ縁よ!」
ミサトが赤くなったいるのはアルコールだけのせいだろうか?
「それだけで合宿に呼んだりするんですかぁ?」
どうやらマナは二人の関係に何かあると気付いたらしい。
放送禁止用語への反撃か奇妙なほどニコニコして尋ねた。
口をつぐむミサトの代わりに答えたのは加持だった。
「葛城とリッちゃんと俺は大学の同期なのさ。結構長い付き合いだな。
こいつの寝相の悪さは入学当初と全然変わってないがね」
「な、ななな、何言ってんのよ!?」
間接的に自分とミサトの「関係」を説明してみせる加持。
しかし、理解できたのはマナだけだったようだ。シンジはキョトンとした顔をしているし、
レイはその前の部分しか耳に入らなかったらしい。
「葛城さんと赤木さんと加持さんは同期。
赤木さんは大学院進学。加持さんは社会人。
でも葛城さんはまだ大学3年生。そう留年してるのね(クスクス)」
放送禁止用語を連発してシンジとマナの仲を煽るミサトを「敵」と認識したらしい。
その攻撃に容赦は無かった。
「よ、余計なお世話よ!!」
その後レイの攻撃は高原のペンションに着くまで続いたのだった。
さて、他の2台の車の状態はと言うと。
日向車ではトウジとヒカリが例のごとく夫婦漫才に明け暮れ。
青葉車ではリツコとマヤが青葉にはまったく理解できない理化学上の問題を議論していたらしい。
・・・が省略。
途中で昼食を済ませ、高原のペンション「フライミートゥザムーン」についたのは午後1時半ごろ。
「うわー。きれいなペンションですねぇ」
素直に感嘆したのはマナ。
「フフ〜ン、すごいでしょ。ここ数年はここで合宿してんのよん♪」
自慢しているのは精神汚染から素早く立ち直ったミサトだ。
しかし、シンジは心配なことがあった。
「でもこんなきれいなペンション・・・。費用の方は大丈夫なんですか?」
シンジの不安はもっともだ。同好会に学園から部費は出ない。
それにシンジはリツコやケンスケによる部費調達の件は知らないわけだからなおさらだ。
しかし、ミサトは自慢げに説明した。
「ちょっとしたコネでね。格安で利用させてもらえんのよ。
そんなわけで、さ、入った入った!」
シンジ達が玄関ホールに入るとすでに日向が宿帳に書き込みを済ませていた。
部屋割りは、
ミサト、リツコ、マヤが201号室
加持、日向、青葉が204号室
マナ、ヒカリ、レイが202号室
シンジ、トウジ、ケンスケが205号室
となっていた。
こういう部屋割りは日向が考えたのだろう。
ミサトに任せたらシンジとマナ(とレイ)が同室になっていたに違いなかった。
「テニスコートはここのすぐ近くだから。
着替えたら玄関前に集合してねん」
テニスコート
「え〜っと、ここからそこまでの3面とちょっと離れたあっちの1面が使えることになってますね」
例によって場所取りおよび説明役をしているのは日向だ。
「それじゃ、各自準備運動やって始めましょうか」
ミサトがそう言って羽織っていたパーカーを脱ぐ。
「おお〜!!」
シンジが目を見張り、ケンスケの眼鏡がキラリと光り、トウジの顔がだらしなく緩む。
青地に赤や金や銀の無数のラインが走るテニスウェア。ウェアよりやや濃い色のスコート。
グリーンのサンバイザー。
これがグラビアアイドル顔負けの姿態を包んでいるとなれば3バカでなくても目を奪われるだろう。
もちろんそんなシンジとトウジはそれぞれマナとヒカリに睨まれているわけだが・・・。
ちなみにその他の女性陣の格好はと言うと――
マナ、レイ、ヒカリの若手3人は白をベースにしたシンプルなデザインのウェア。
マナは胸のところに太い紺のラインが入っており、ヒカリは肩から袖にかけてが紺。
レイは肩の部分がごく薄いピンクのウェアだった。
マヤはピンクのワンピース型のウェア、リツコは紺のポロシャツにベージュのハーフパンツ。
まあ、男性陣の格好を一々挙げても仕方あるまい。
ただトウジが例によって黒ジャージ、ケンスケが迷彩模様の上下で周囲から奇異な目で見られていたことだけは記しておこう。
「さってと、それじゃ行きましょうか!」
ミサトの声に適当にみんながコートに散ろうとする。
「ああ、レイちゃ〜ん。ちょ〜と待ちなさ〜い」
ミサトの妙にやさしい声に一瞬立ち止まるレイ。
しかし、そのまま振り返らずにシンジの後を追おうとする。
「あなたはこっち〜」
しかし、立ち止まった一瞬の間にミサトは距離を詰めレイの手首をつかんでいた。
仕方なく振り向いたレイとミサトの目が合う。
こ、こわい。まるで爬虫類の目。
レイがここまでの恐怖を感じたのは生まれてはじめてであったかもしれない。
ニッコリと微笑むミサトの目はまったく笑っていなかった。
「確かあなた、先日「地獄の特訓」がどうとか言ってたわよねえ?
せっかくだから希望をかなえてあげるわ」
どうやら、車の中での攻撃の仕返しをするつもりらしい。
蛇に睨まれたカエルのように硬直してしまったレイはフルフルと首を振るしかできなかった。
「遠慮すること無いのよ〜。さ、行きましょ」
そしてレイはミサトに一つだけ離れた位置にあるコートにずるずると引きずられていった。
他の部員達は全員それを呆然と見ていたが、ハッと気付いたシンジが後を追おうとして加持に止められていた。
「やめろシンジ君。ああなったら誰も葛城を止められん」
「でも!!」
「ほんとにやばそうなら俺が力ずくで止める。君はみんなと一緒にテニスをしているんだ」
「・・・わかりました」
「よし、そっちは頼むぞ。そっちはそっちで大変かも知れんからな」
加持はそう言うとミサトたちの後を追った。
シンジが振り返ってみるとすでに他の部員はコートに入ってテニスを始めていた。
2面のコートでそれぞれ、
マナ×ヒカリ(審判:日向)
マヤ×青葉(審判:リツコ)
の勝負が始まっていた。
トウジはマナ×ヒカリの勝負を見ており、ケンスケは当然のごとくデジカメを構えて、
「売れる、これは売れるぞ〜!」
などとほざきながら女の子の写真を撮りまくっていた。
「どうしたんだよ、トウジ。見てるだけなんて、らしくないよ」
シンジが近づいてそう言うとトウジが振り向いて答えた。
「そないなこと言うたかてワイがイインチョや霧島とやるわけにもいかんやろ?
シンジが来たら混合ダブルスやりたいとか霧島が言うとったからそれまでは見物や。
しかし、霧島なかなかやりよるで。イインチョが手も足も出えへん」
確かに目の前のコートではマナがヒカリを圧倒していた。
ヒカリが勉強だけでなく、運動神経でも人並み以上であることはトウジだけでなくシンジも知っている。
だが、ラリーこそ続いているがヒカリが必死にボールを追っているのに対して、
マナは笑顔で余裕を持って打ち返していた。
しかし、シンジはゲームの内容など頭に入らず、マナの姿に見入っていた。
霧島さんてほんとにかわいいな・・・。
こんなかわいい子が僕のことが好きだなんて何だか信じられないよ。
「何をジーッと見てるのかな、碇シンジ君?」
そんなシンジの気持ちを読み取ったかのように後ろから笑いを含んだ声をかけてきたのはケンスケだ。
「霧島に見とれとったんやろ」
トウジもシンジを冷やかす。
「そ、それは・・・」
言い返せないシンジにググッと迫る2バカ。
「霧島の胸、霧島の太もも、霧島のふ・く・ら・は・ぎ〜」
「や、やめてよ。別にそんなんじゃ・・・」
必死で弁解するシンジ。
彼を救ったのはヒカリの声だった。
「す・ず・は・ら〜!何バカなことやってんのよ!」
「わ、か、かんべんして〜な、イインチョ」
もはや条件反射と化している謝罪をするトウジであった。
「あ〜。シンジ来たのね。それじゃダブルスやろうよ、ダブルス。
もちろんあたしとシンジが組むことは初めから決定してるからヒカリは鈴原君とでも組んでね」
マナの言葉にちょっぴり赤くなりながらおずおずとトウジに尋ねるヒカリ。
「あ、あの鈴原。マナがああ言ってるけどいいかな?」
「ああ、ワイはかまへんで。よろしゅう頼むわ。足引っ張るんやないで」
「わ、わかってるわよ!!」
怒った振りをしながらも嬉しさを隠し切れないヒカリだった。
一方、シンジは、
「僕の意思は確認してもらえないんだね」
と半ばあきらめ、でも満更でもない口調でつぶやき、
「どうせ俺なんか・・・」
存在さえ忘れられているケンスケはひざを抱えていじけていた。
「それじゃ第1ゲーム。サーブは霧島さんから」
審判・日向が声をかけ、ゲームが始まった。
「いや〜、ええ試合やったわ」
機嫌よくそう言っているのはトウジ。
ヒカリもそんなトウジを嬉しそうに見ている。
「はい、鈴原。タオル」
ヒカリがトウジにスポーツタオルを渡す。
「おお、おおきに、イインチョ」
晴れやかな笑顔を浮かべて汗をふくトウジだった。
一方――
「ごめんね、霧島さん。足引っ張っちゃって」
シンジがマナに謝る。
別に運動音痴ではないがテニスなどほとんどやったことの無いシンジが足を引っ張り、
トウジ・ヒカリペアに負けてしまったのだ。
「別に気にしてないよ、シンジ。テニスやったこと無いにしては良くやったと思うよ」
落ち込むシンジをマナが明るく励ます。
「でも・・・」
落ち込んだままのシンジにマナはどう声をかけようか迷っていたが、ふとあることを思いついた。
茶目っ気のある笑顔でシンジに話しかける。
「じゃあさ、今からあたしが言うことを聞いてくれたら許してあげる」
「何?」
「あたしのこと「マナ」って呼んで」
マナの言葉にシンジは目を見張る。
「え、ええ〜!?」
「言ってくれないんだったら許してあげない」
そう言ってプイッと横を向いてしまうマナ。
その顔が笑っていることにシンジは気付いていない。
「(はあ)わかったよ、霧・・・、マナ」
「えへへ〜。やっとそう呼んでくれたね」
マナはそう言ってニッコリ笑った。
「それじゃこれからあっちの空いてるコートでちょっと練習しよう?あたしが教えてあげるから」
いい雰囲気の二組をみてケンスケが空を仰ぎながらつぶやいた。
「やれやれ、平和だね〜」
「そろそろ終わりにしない?」
日が傾いてきたのを見てそう提案したのはリツコだった。
「でも、リツコさん一回もコートに立ってないんじゃないですか?」
首を傾げるシンジにリツコはあっさり答えた。
「初めからテニスやる気なかったもの」
あの後、大学生組と高校生組は合流してテニスを楽しんだのだが、リツコはずっと審判をやっていた。
というか、初めからラケットも持ってきていなかった。
「それより、レイちゃん大丈夫かな?」
話題を変えたのは日向だった。
「あ、そうですね。行ってみましょう」
レイのことを忘れていたシンジが慌ててレイたちがいるはずのコートに走っていく。
マナはそんなシンジの後姿をなにか複雑な表情で見ていた。
シンジが行ってみるとレイは疲れ果てた表情でコート脇のベンチに腰をおろしていた。
少し離れたところにばつの悪そうなミサトと腕を組んだ加持が立っている。
「レイ、大丈夫?」
シンジがそう声をかけると、レイは疲れた表情ながらもかすかに微笑み、立ち上がろうとした。
「ありがとう、お兄ちゃん。・・・あっ」
しかし、疲労がピークに達していたのか足をもつれさせて倒れそうになる。
「あっ・・・」
レイが倒れかかった先にはシンジが居り、レイはシンジの胸にもたれかかる形になった。
シンジはレイを支えながらキッとミサトを睨んだ。
「ここまでやるなんてひどいですよ、ミサトさん!」
「あはは、ごめんちょ」
申し訳なさそうに力ない笑顔を浮かべたミサトが手をあわせて謝った。
はぁ。
シンジはため息を一つつくともたれかかったままのレイに声をかける。
「レイ、大丈夫?」
この時レイはシンジの胸に顔を埋めて実に嬉しそうな顔をしていたのだがシンジにはわからなかった。
「疲れて歩けない」
レイはシンジの胸に顔を埋めたままそう答えた。
こう言えばシンジがどういう行動をとってくれるか従妹であるレイには良くわかっていた。
「そっか。それじゃペンションまでおんぶしていってあげるよ」
ペンションまでの帰り道、シンジの背でこれ以上ないといった幸せそうな表情を浮かべるレイをマナは複雑な表情で見ていた。
シンジと綾波さんはいとこ同士。それ以上の関係にはならないよね・・・。
続く
次回予告
春合宿初日の夜
シンジは「ネルフ」誕生秘話を耳にする
それはシンジにとってショックな内容だった
その夜、二人で夜空を見上げるシンジとマナの仲は急接近する
二人の仲は2日目のバーベキューでさらに加速する
レイは二人を妨害することができるのか
5時間目 「春合宿は大騒ぎ(後編)」
この次もサービス、サービスゥ
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後書き
レイ「お兄ちゃんの背中(ポッ)」
マヤ「いいなー。あたしもシンジ君におんぶしてほしい」
レイ「だめ、お兄ちゃんの背中は私のものだもの」
マヤ「でも、このままだとシンジ君の全てが霧島さんのものになっちゃうわよ」
レイ「それは許さない」
マヤ「ここは共闘と行きましょうよ」
レイ「ショタでレ○の女は信用できないわ」
マヤ「そんな設定はどこにも・・・」
レイ「あの赤毛猿が出てくる前になんとしてもお兄ちゃんを(ポッ)」
どーも、たっち―です。
春合宿編、前後編では終わりませんでした。(涙)
次で何とか終わらせたいです。
しかし、テニスにはほとんど興味がないたっちーです。
今回の設定はちょっと無謀だったかも。
今回はレイちゃんに最後だけちょっといい思いをしていただきました。
マナちゃんもついにシンジに「マナ」と呼ばせることに成功。
だんだんLASから離れていきますねぇ。(笑)
あ、笑い事じゃないかも。(苦笑)
それでは。
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感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構 ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。 |