注意! この話は、幽霊じゃないとは違う話です!

アスカ生誕記念ノベル

It's happy day!

特別章―嗚呼、今日という素晴らしき日よ―

―12月4日、通学路にて―

アスカ「ねえ、シンジ?今日何の日か知ってる?」

シンジ「え?今日?・・・う〜ん・・・クリスマスはまだ早いし・・・何の日だったかな?」

アスカがふと問い掛けた質問にシンジは悩み始めた。

そして、シンジが悩めば悩むほど、アスカの機嫌は悪くなっていく。

アスカ「あっそう!知らないのね!!」

シンジ「なんかあったっけ?」

アスカ「うぅ・・・・バカ!!知らないわよ!もう!!」

本当にシンジは分からないらしく、困り果てているので、アスカの怒りはとうとう頂点まで達し、一人で学校への道を走り始めた。

シンジ「あ、アスカ、待ってよ〜!」

やや情けない声を上げながら、シンジがアスカを追う。

もっとも、アスカの方が足が早く、シンジは学校まで追いつくことは無かったが。

学校についた後も、アスカの機嫌はずっと直らなかった。

トウジ「何や〜、また夫婦喧嘩か〜?センセ?」

トウジがアスカには聞こえないような小さな声にて、シンジをからかう。

ケンスケ「今度はなにやらかしたんだ?」

シンジ「うん・・ちょっと・・ね・・・」

シンジが歯切れ悪くトウジ達の言葉に答える。

トウジ「・・・今日はあの日か・・・」

ケンスケ「そうか・・・あの日なら、仕方ないよな・・・」

アスカ「な〜に〜は〜な〜し〜て〜ん〜の〜!?」

トウジとケンスケの二人してなにやら納得したように頷いていると、後ろから赤いオーラを纏ったようなアスカが声を掛けてきた。

トウジ「な、何や!何か用かいな!!」

アスカ「さっきのあんた等の会話・・・丸聞こえなのよ!!」

ケンスケ「・・・地獄耳。」

アスカ「なんですって!!」

ケンスケのボソリと呟いた言葉も聞き漏らさず、アスカは二人を懲らしめる体制に入った。

―――と、ちょうどそこに先生がやってきたので、この時間は二人とも生き延びられた・・・その後、授業が終わった後の事は言うまでも無い。

―放課後―

授業も全部終わり、アスカは少し気持ちが落ち着いていたので、再度シンジに今日の事を問い掛けることにした。

だが、やはりシンジの返事は、分からないということだった。

アスカは、また怒り出そうとしたが、このままだと平行線なので、仕方なく教えようとした。

すなわち―今日はあたしの誕生日なんだから、何かお祝いしなさいよ!―と。

所で、先ほどから何故シンジがわからないといっているか、皆さんは不思議に思うだろう。

しかし、その理由はいたって簡単・・・単に忘れた、のではなく、アスカ自身がまだシンジに誕生日を教えていないのだ。

そのことはアスカも分かっていたが、私を思う気持ちが少しでも有るなら、何とか分かりなさい!だそうだ。

いくらなんでもそれは無理があるだろう。

で、話を元に戻そう。アスカが、先ほどの言葉を言おうと口を開きかけた瞬間、シンジに話し掛けてきた人物がいた。

ヒカリ「碇君、ちょっと話があるの、良いかしら?」

シンジ「あ、うん、良いよ。アスカ、また後でね。」

正に一瞬のような出来事で、アスカは開きかけた口もそのままに、しばし固まってしまった。

しばらくして、再起動を果たしたときにはもう教室に残っているものはいない。

アスカ「・・・シンジのバカ・・・」

アスカは、少し涙ぐんだ声で呟くと、教室を飛び出した。

そして、その後はあても無く歩きつづけ、気がついたときには、もうとっくに日は沈んであたりは暗闇が包んでいた。

アスカ「・・・ハァ・・・あたしの誕生日も、もうすぐ終わりか・・・」

アスカは、いつもの元気さが感じられない足取りで、とぼとぼと家に向かって歩き始めた。

あまり帰りたくはないが、ヒカリの家に行くにももう時間が遅すぎる、そう判断しての事だった。

それから数十分ほど歩きつづけ、アスカはやっとコンフォートマンションにたどり着いた。

部屋の方を見上げてみるも、明かりは無い。

アスカ「・・・あたしなんてどうでもいいって訳ね・・・ハッ!上等よ・・・」

寂しさを紛らわすように、強気で独り言を言うアスカであったが、最早それすら空しい。

段々と増えていくエレベーターの表示を見ながら、アスカは最近考えていたことを思い出した。

母親がいなくなり、父親も別の母親と一緒になった後から、全くアスカは誕生日をしたことが無かった。

もちろん、飛び級で同学年の友達が乏しく、加えてネルフに所属していた所為もあるだろう。

だが、日本に来て、ミサトに呼ばれシンジとも一緒に暮らし始めて以来、自分が誕生日のときには、きっと皆で祝ってくれるだろうと考えていた。

それがこのざまとは・・・そう考えずにはいられなかった。

そして、長いように感じられたエレベーターの中の時間も終わり、アスカは自分の家のドアまで歩み寄った。

ロックを解除すると、自動でドアが開く。

アスカ「ただい・・」

パンパンパン!ドンドン!ヒュルルル・・・チュドーン!

アスカ「な、何!?」

帰宅した瞬間、アスカをなんとも近所迷惑な音が迎える。

パパッと電気が灯ると、そこには満面の笑みを浮かべた皆が立っていた。

「「「「「「おめでとう!アスカ(惣流)!!」」」」」」

シンジ、ミサトは言うまでもなく、レイ、ヒカリ、トウジ、ケンスケ、リツコ、加持、マヤ、日向、青葉と、本当にたくさんだ。

何故か、ゲンドウと冬月までいる。

ヒカリ「遅いわよアスカ!もう料理もとっくに出来上がってるんだから!!」

アスカ「あ・・あの、ヒカリ?これは一体・・・」

いまだに状況が上手く飲み込めないアスカに、ヒカリ達は事情を話し始める。

ヒカリ「皆で、アスカを祝おうって事になってね。」

トウジ「ちなみにワイらが朝言ってた、あの日ってのもこの事やらかな。」

ケンスケ「いや〜あの時はマジで死ぬかと思ったね。」

話を聞くうちに、先ほどまで絶望で暗くなっていたアスカの顔に、生気が戻ってくる。

アスカ「そ、それならそうと早く言ってよ!」

ヒカリ「それを言ったら、驚かせないでしょ!」

ヒカリが笑いながら、アスカを中に招き入れる。

中に入ると、アスカを歓迎したのは、豪勢な料理に、綺麗に飾り付けされた部屋だった。

アスカ「うわぁ・・・すごっい!ありがと!ヒカリ!」

ヒカリ「違うわよ、お礼を言うなら・・・碇君のほうよ。」

アスカ「へ?」

アスカが、シンジの方を振り返ってみると、シンジはやや照れくさそうに頬を書きながら、明後日の方向を見ている。

ヒカリ「碇君がね、一週間ほど前から、アスカの誕生日を皆で祝おうっていって、準備を進めてたのよ。」

アスカ「そ、そうだったの・・・」

言われてみると、最近のシンジの様子は何処かそわそわしていたような気がした。

それが自分の誕生日のためだとは・・・アスカは、本当に嬉しくなってきた。

トウジ「よっしゃ!惣流の誕生会・・・始まりや!」

トウジの威勢のいい声を合図に、アスカの誕生会が幕を上げた。

まずはプレゼント。

まずは、ヒカリから。

ヒカリ「はい、前に欲しがってたでしょ。」

アスカ「うわぁ・・・綺麗。これ大事にするわ!有難う、ヒカリ!」

ヒカリ「ちなみに、これは私と鈴原の共同プレゼントよ。」

アスカ「へ〜、サンキュ、鈴原。」

トウジ「おう。」

次、レイ。

レイ「・・・はい。」

ドサッ!

アスカ「ワッ!一体何処からこんなに出したのよ!」

あまり何も持っているように見えなかったレイだが、突然小山を作るほどの本をアスカの前に置いた。

他の人もやや驚く。

レイ「・・・気にしないで。」

アスカ「気にするわよ・・ったく、ま、ありがとね、ファースト!」

ケンスケ。

ケンスケ「ほら、全て自費で作った、惣流の写真のアルバムさ!」

アスカ「・・・撮られた覚えの無いものばっかりなんだけど?」

ケンスケ「だ・・大丈夫さ、おまえ以外には渡さないよ。」

アスカ「当たり前よ!一応ありがと。」

ミサト、リツコ、加持。

ミサト「これは、私とリツコと加持からのプレゼントよ!」

ドン!

アスカ「デッカァ・・・一体、何が入ってるのよ。」

ミサトが渡したのは、とても大きな箱で両手で持ってもあまるほどだ。

リツコ「私からは、マギを小型化したパソコンよ。当然、性能はマギには劣るけど、そこ等のパソコンには負けないわ。」

ミサト「私と加持が組んだのは、そのパソコンに入れるソフトよ!後でやってみて!」

加持「いや、楽しんでもらえると光栄だがな。」

アスカ「凄いプレゼントね・・・ありがとう!」

余談だが、その後、アスカがそのソフトをやってみると、第七の使徒を倒すときにシンジとしたユニゾンの練習のゲーム化されたものだったという。

マヤ、日向、青葉。

マヤ「私はこのマフラーよ。手編みなの、気に入ってくれた?」

マヤが手渡したのは、かわいらしく猫の模様が入ったマフラー。

この時期寒くなってくるので、このプレゼントもアスカは、嬉しかった。

日向「何を買えばいいのか分からなかったけど・・・とりあえずこんなものを・・・」

といって日向が渡したのは、いくつかのCD。

結構欲しいものがたくさんあったので、アスカはこれもありがたく頂戴した。

青葉「なんとなくアスカちゃんに似合いそうだったからね、俺からはこれさ。」

青葉が出したのは、綺麗な光沢を持つヴァイオリンだった。

それを見て、一瞬アスカは、いつか弾けるようになってシンジのチェロと、演奏をしたいと思い、喜んでもらった。

冬月。

冬月「私はあまり人にプレゼントというものをしたことがなかったのでな、まあ、オーソドックスに服にしてみたのだが、どうかね?」

アスカが、服を包装を解き出してみると、自分でも一目で気に入る服が出てきた。

なかなか冬月の服を見る目は有るようだ。もちろん、素直にお礼も言っておく。

ゲンドウ。

ゲンドウ「・・・シンジの奴をもらえ。」

アスカ「・・・はい?」

シンジ「ちょ、ちょっと父さん!」

ゲンドウ「ふっ、冗談だ・・・私からはこれだ。」

結構マジっぽかった冗談をさらりと流し、ゲンドウが出したのは小さな箱入りのオルゴールだった。

およそ、普段の言動からは考えられない贈り物である。

アスカ「あ・・ありがとうございます。」

さすがのアスカも、言葉がややどもってしまった。

最後、シンジの場合。

シンジ「僕のプレゼントは・・・これかな。」

そう言って、シンジが指差したのはテーブルに並ぶ料理の数々だった。

とは言え、店などで売られているものと大差ないほどの盛り付けは、たいしたものである。

アスカ「・・・なんか、あんたのものだけやけに色気がないけど・・・ま、あんたじゃこれが限界かもね。」

アスカは一応誉めるつもりではあったのだが、少し拍子抜けしてしまったためか、あまりそうには聞こえない。

そして、それからもずっと誕生会は続き、何処からともなく持ち出されたお酒にて、段々とみんな酔いつぶれていった。

そして、最早皆アスカの誕生会ということを忘れるような盛り上がりを見せていたとき、シンジがアスカを手招きして外へ出した。

アスカ「うう・・さぶっ・・・何か用?シンジ?」

シンジ「う・・うん・・・実は・・・・・・」

そこでシンジは言葉を切り、黙り始めた。

手を開閉していることから、焦りが見えるが、そんなことよりもアスカは外の寒さが気になっていた。

アスカ「早く言いなさいよ!寒いんだから・・・」

シンジ「・・・・・・アスカ、僕と・・・」

シンジの顔はアスカが今までに見たことが無いほど、引き締まってかっこよかった、その顔には思わずアスカも見とれるほどだった。そして・・・

シンジ「僕と・・・結婚を前提に付き合ってくれませんか?」

顔を赤くさせながらも、シンジは指輪の入った箱を見せてそうまくし立てた。

アスカ「・・・・ええ〜!!ちょ、ちょっと待ってよ・・・」

突然そんなことを言われると思っても見なかったアスカは、気が動転して思考が上手く纏まらなかった。

それでも何とか、気を落ち着かせて、そして・・・・・・

アスカ「お・・OKよ・・・私も、あんたの事が、前から・・・」

そこまで言ってアスカも顔を真っ赤にしたが、後は言葉はいらなかった。

そのうち二人の影はどちらとも無く近づき・・・一つになった。

ちょうどそのとき雪が降り始め・・・二人を歓迎するように、柔らかに包み込んだ・・・

おまけなるもの。

レイ「・・・碇君、私の誕生日が来ても、セカンドに言った言葉言って頂戴。」

シンジ「あ・・綾波、聞いてたの!?」

アスカ「だ・・駄目よ!シンジは私がもらったの!」

レイ「・・・独占は禁止・・・私も欲しいの・・・」

アスカ「勝手なこと言うなー!」

マナ「んじゃ、私も♪」

マユミ「私も・・・」

アスカ「何処からわいて出てきてんのよー!」

結婚までの日々はまだまだ遠そうで・・・

後子供(あとガキ)

メア、イリス「「アスカ誕生日おめでとうー!!」」

天竜「おめでとう御座います。」

イリス「イヤーそれにしても、まさか今日だけで書き上げるとは・・・凄い根性ね。」

メア「全くだ・・・書き始めたのは、9時過ぎだろう・・・」

天竜「・・・それをいわれると面目ないです。」

イリス「ま、何はともあれ、書きあがったんだし、いいとしますか!」

メア「では、ご一緒に・・・」

一同「「「これからもご活躍を期待しております!!」」」

天竜「では。」


アスカ:お誕生日にみんなに祝って貰ったのよっ!\(^O^)/

マナ:おめでとうっ! 良かったわね。

アスカ:こんなにいっぱいプレゼント貰えて、嬉しいわよねぇ。

マナ:みんなの気持ちが篭ってるもんね。

アスカ:ちょっとファーストの本にはびっくりしたけど。

マナ:綾波さんの精一杯のお祝いだと思うわ。

アスカ:嬉しいわよねぇ。ちゃーんとみんな覚えててくれたんだ。

マナ:そりゃ、みんな友達だもん。

アスカ:でも、やっぱ1番嬉しいのはシンジがプロポーズしてくれたことねっ!

マナ:むっ! ま、まぁいいわ。今日だけは素直におめでとーっ!

アスカ:ラブラブいっぱいのお誕生日記念ありがとうっ1(^^v
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