月の夜明け。静寂な世界に孤影が伸びる 

 月面に突き刺さっているロンギヌスの槍

  神をも滅ぼす力を持つその槍は

 今はただ、静かに運命の時を待つ。



        『君と生きる未来のために〜後編〜』





  ジオフロントに姿を現すエヴァ初号機。
 そのエントリープラグ内。少年の決意に満ちた表情。

 「アスカ・・・!?」

 彼の見たものは左肩に槍が突き刺さり無力に倒れている弐号機だった。 

 その弐号機の上空を舞うエヴァシリーズ。

 「アスカ!!」

 そう叫んだ瞬間、エヴァシリーズは弐号機に向かって次々と槍を放つ。直撃すれば弐号機は
 原型を留めることができないだろう。 

 「させるか!!!」

 初号機を必死で走らせるシンジ

 もっと速く!!もっと速く!!

 「もっと速く!!!」





                       もう君を傷つけはしない・・・






 ネルフ本部最深部ターミナルドグマに一人立つ青髪の少女

 「・・・碇君・・・?」

 少女はなにかを感じる、

 ある少年の勇気を、ある少女の意志を 

 その少女はすべてを悟る そして・・・

 「そう、あなたたちは決めたのね・・・」

 誰に語るわけでもない独り言

 音もなく宙に浮く青髪の少女

 そしてターミナルドグマの天井へと消える。  
                     







 エヴァシリーズから放たれた槍 真っ直ぐに弐号機に向かう。 

 そして弐号機の直前に迫る槍

 ・・・だがその槍が弐号機を貫くことはなかった。 


 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 疾風のごとく走りこんでくる初号機


   ガシッ!!


 弐号機に迫る槍の一本を右手で鷲掴みにする  

 だがその槍のその質量からか、速度からか槍は初号機の右手の平を鋭く切り裂いた、 

 シンジの右手にも激痛が走る 

 「う!?ぐぅぅぅ・・・」

  あふれる鮮血  思わず手を離しそうになる  

 「まだだ!!!」

 激痛を抑え、シンジは再度強く槍を握る  

 そして続いて弐号機に迫る残りの槍を睨みつけ、槍を構える

 僕は・・・もうアスカを傷つけるわけにはいかないんだ!!

 「ふんっ!!」


  ブンッ!!


 槍を振り次々と飛来する槍を叩き落とす初号機


  ガンッ!!


 弾かれた槍次々とが地面に突き刺さる  


 「これで・・・最後だ!!」


 最後の一本を弾き飛ばしエヴァシリーズを睨みつけるシンジ  

 だが槍を失ったエヴァシリーズは大きな動きも見せずただ上空を旋回しているのみだった。

 なんだ・・・?何もしてこないのか?  それより今はアスカが・・・

 アスカが気になる。



 ・・・少年は気付いていなかった、この時点で既にエヴァシリーズの役目は終わっていたのだ。

 エヴァパイロットの欠けた心を用いて行う補完計画

 補完計画には絶対に必要な少年少女の脆い心

 しかし今の彼がそれに値するものだろうか?

 どうしてこの世界で生きることを否定するだろうか?

 彼は誓ったのだ、この世界で生きることを

 彼は見つけたのだ、この世界で生きる希望を

 彼は望んだのだ、自らの生きる未来を 



 そう、少年は気付いてはいなかった。

   奇跡が起こりつつあるということを。





 弐号機を抱きかかえる初号機

 「アスカ!?しっかり!!」

 初号機の腕の中でぐったりとしている弐号機。左肩を貫いている槍が痛々しい。

 「アスカ!?」

 『・・・・・・・・・・・・・・・・。』 

 更に電源が切れているため通信も不可能なのだろうか、アスカからの返答もない。

 アスカからの返答がないのが心配だったが、弐号機の損傷から見て命に別状はないだろう。 

 「アスカ・・・ごめん・・・遅くなっちゃったね・・・。」

 「けどギリギリで間に合ってよかった。」

 もう、君の傷つく姿を見たくないから・・・




 シンジの頭に対アラエル戦の出来事が思い出される。




 アラエルの放つ精神攻撃を受ける弐号機。

 『僕が初号機で出ます!!』

 発令所に向かって無線でそう伝えるシンジ 

 『いかん。目標はパイロットの精神を侵食するタイプだ。』

 『今、初号機を侵食される事態は避けねばならん。』

 それを制止する冬月とゲンドウ

 『でもこのままじゃアスカが!!』

 初号機のモニターに映るもがき苦しむ弐号機




 あの時、結局僕は出撃できなかったね、父さん達に止められたから・・・
 いや、出ようと思えば出れたのかもしれない。いやきっと出れた。
 なのに僕は君が傷つくのをただ見ていただけだった・・・。

 ・・・君を助けることができなかった・・・
 そして・・・  



 結局アラエルはロンギヌスの槍によって殲滅された。 



 アラエル戦の直後、雨上がりのビルの屋上に膝を抱えて座っているアスカ。
 その近くに水たまりができている。そこに映っているシンジの姿。

 『・・・・よかったね、アスカ』

 『うるさいわね!ちっともよかないわよっ!!』

 『嫌い!!嫌い!!みんな嫌い!!大っキライ!!』

 ただ、なにも言えないシンジ。




 あの時も、僕は何も言えなかった。君が苦しんでいたのに・・・
 ・・・きっと自分が傷つくのが恐かったんだ。だから何も言えなかった。
 言えなかったんじゃない、言わなかったんだ。
 君の心がいつもは勝気に振舞っていても本当はとても脆いものだと知っていのに・・・




 僕がもう少し勇気をもっていたならば・・・




 「でも、今は違う。」

 たとえ誰に止められても、僕がいくら傷ついても、・・・たとえ君に嫌われていても・・・

 「僕は・・・君を・・・必ず・・・必ず守ってみせる!!」

 そう、僕はそう誓ったんだ。




 『・・・シンジ・・・』



 その時不意に聞こえてくるアスカの声。

 !? アスカ!? 聞いていたの?

 無線で聞こえてくるアスカの声

 「アスカ!?無事なんだね!?大丈夫!?」

 『・・・・・・・・・。』 

 「アスカ!!大丈夫なんだろ!? アスカ!!」 

 『・・・大丈夫なわけないでしょ!!・・・私一人でとっても辛かったんだから!!』

 え?

 「・・・アスカ・・・」

 アスカの弱音なんて初めて聞いたな・・・

 『もう・・・もう会えないかと思ったんだから!!!』 

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」 

 『なんで・・・うぅ・・・なんでアンタはそんなに鈍臭いのよっ!!!』

 涙声?・・・アスカが・・・泣いてる?

 「ごめん。」

 『うぅ・・・もう・・・会えなくて・・・もう伝えられないのかと思ったじゃない・・・』

 ・・・伝える?・・・君が?僕に?   でも僕も君に伝えることが・・・ 

 「・・・アスカ・・僕も・・君に伝えることが・・・言わなければいけないことが・・・・」

 そう、僕は言わなきゃいけない、僕が・・・君のことを・・・傷つけてしまった事実を・・・

 「その・・・アスカ・・・ごめん・・・僕は君に酷いことしたんだ。」

 『・・・・・・。』 

    だから僕は君に嫌われているかもしれない・・・ 

 「だから僕は君に嫌わ『いい、何も言わないで・・・。』 

 シンジの会話を途中で遮るアスカ。 

 アスカ?

 『もう・・・いいの。そんなことはどうでも。』

 「でも・・・」

 『アンタは・・・アンタはここに私のために来てくれたんでしょ。」

 「うん。」

 『だからもういいの、私にはそれでけで充分なのよ。』 

 でも・・・君はどうして・・・さっきから 

 「アスカ・・・どうして泣いてるの?」

 『うぅ・・・あんたバカァ?・・・アンタが来てくれて・・・
  嬉しくて泣いてるに決まってるじゃない!!』

 その言葉を聞きシンジは思う。 

  ああ、僕は何を恐れていたんだろう?アスカは僕のことをこうして待っていてくれたじゃないか。
 僕の犯した罪のことも知りながら僕を受け入れてくれるじゃないか・・・。

 「アスカ・・・その言葉、信じていいんだよね・・・?」


 『・・・もちろんでしょ、バカシンジ・・・。』


 これなら僕にもきっと言える、きっと伝えられる。僕の想いを、素直な気持ちを。



      ・・・勇気をだして・・・


 「アスカ・・・大好きだ・・・。」





 言ってしまった、いままで拒否されたら自分が傷つくから・・・それが怖かったから言えなかった
 言葉を・・・アスカ・・・僕は君が好きだ。大好きだよ・・・










               そして返ってくる返事を待とう 









  弐号機のエントリープラグ内のアスカ

 『アスカ・・・大好きだ・・・。』

 シンジの告白を黙って聞くアスカ

 その目に涙があふれる


 今まで泣かないようしてたのに、決して他人に見せなかったのに・・・

 私どうして泣いてるんだろう・・・

 決して他の人には見せてはいけなかった涙。 

 なのに・・・今私は泣いてる。

 シンジが私のために来てくれたことに・・・

 そして勇気をだしてくれたことに・・・



    だから・・・   



 今まで決して見せなかった涙もあなたになら・・・ 


 あなたになら、本当の私を・・・


 素直な気持ちを・・・


 ・・・・・見せてもいい







            私の返事は・・・。






          「・・・私も・・・シンジのことが・・・」






              素直になって・・・。 





               「・・・好き・・・」










 その返事を聞いたシンジはなにか今まで彼女との間に感じていた隔たりがなくなったような
 気がした。


 本当のアスカを知った気がした。


 その返事をしたアスカはなにか今まで彼との間に感じていた緊張感がなくなったような気がした。



 本当の自分を伝えた気がした。






  少年は少し勇気をだした、少女は少し素直になった。

   そしてずっとお互いに伝えられなかった言葉を・・・お互いに求めていた答えを・・・








 僕がここにきた理由を・・・





 私があなたを信じた理由を・・・









 ああ、僕はやっぱりここに来てよかった・・・。君はこんな僕のことを受け入れてくれるんだね。
 きっと僕達にもう言葉なんていらない・・・、







 ああ、私はやっぱりあなたを信じてよかった・・・。あなたはやっぱり私のことを助けてくれた。
 きっと私達にもう言葉なんていらない・・・、 





 お互いに傷つけあったこともあった。





 すれ違い続けた日もあった。






 僕は決して生きていくのが上手いわけじゃない。




 私は決して生きていくのが上手いわけじゃない。






 傷ついたり・・・





 悲しんだり・・・




 そして、これからも・・・辛いことや・・・悲しいことが・・・きっと待ってる。









 『『でも君(あなた)といっしょなら・・・』』









 きっと僕達は生きていける・・・そう思う・・・。




 きっと私達はは生きていける・・・そう思う・・・。 









 『『たとえどんなに辛いことがあってもきっと二人なら生きていける。』』








 だから僕は生きたい。君と生きる未来を・・・



 だから私は生きたい。あなたと生きる未来を・・・







 そう二人が思った、心の底からそう思った時









    月面に孤影を落とすロンギヌスの槍。  

        その槍に力が漲る。


         時は来た。運命の時が。


      そして音もなく槍は飛び立った。





 森のそばの仮設テントで指示を出していた戦自の兵士。
 双眼鏡で状況を確認中。その時、

 『大気圏外より急速接近中の物体有り。』

 『なにっ!?』

 空を見上げる兵士。 その目に映る一筋の光。





 凄まじい速度で飛来するロンギヌスの槍
 雲を切り裂き、衝撃波を従え、初号機へと向かう。




 ッス・・・



 静かに初号機の前に制止するロンギヌスの槍。


 これは・・・?

 あっけに取られるシンジ

 「ロンギヌスの・・・槍?」

 初号機のすぐ傍に浮いているロンギヌスの槍

 そしてどこからともなく聞こえてくる声






   『碇君。』 





 !?  綾波?

 声のする方を急いで振り返る。槍のすぐ傍に浮くレイ そのどこか優しげな表情

 「綾波・・・」

 シンジは思わず口を開いた

 「どうしてここに・・?」

 「・・・最後にあなた達の意思を確認したくて。」

 「・・・え?」

 どういうこと?

 「あなたは本当に後悔しないの?」

 「後悔?」

 「これからをここで生きるのはとても辛いことよ。」

 「・・・・。」

 「また他人に脅え、傷つけられることがあるかもしれない。」

 「・・・・。」

 「もしかしたら光や音も・・・なにもかも失ってしまうかもしれない。」

 「・・・・。」

 「それでもいいの?」


 たとえそうであっても・・・僕は・・・ 



 「かまわない。」





  たとえ何があっても・・・たとえ何を失っても・・・彼女さえ傍にいてくれれば




 「・・・あなたもそれでいいの?」

 弐号機にむかって話すレイ 


 もしそうであったとしても・・・私は・・・


 『かまわないわ。』




 たとえ何度傷ついても・・・たとえ何度涙を流しても・・・あなたさえ傍にいてくれれば 





 「そう・・・。」


 そしてレイは少し悲しげな表情をして言った

 「・・・でもこの世に永遠なんていうものは存在しない・・・あなた達の想いも同じ、
 いつかは崩れ、そして消えていくかもしれない・・・。たった一瞬のものかもしれない。
 ・・・・・それでもいいの?もしそうなったらあなた達は生きていけるの?
 それでも後悔しないの?」


 その言葉に二人は少し悩んだ、


 アスカさえ傍に居ればどんな苦しみも乗り越えられる気がした。でもアスカがいなくなった時、
 僕はいったいどうなるのだろう・・・

 もし、父さんのようにアスカが何処かへ行ってしまったら・・・

 ・・・それはとても辛いことだと思う。そんな目には遭いたくない。

         ・・・・でも・・・


 シンジさえ傍に居ればどんな悲しみも乗り越えられるきがした。でもシンジがいなくなった時、
 私はいったいどうなるのだろう・・・

 もし、ママのようにシンジが私を見てくれなくなったら・・・   


 それはとても悲しいことだと思う。そんな目に遭うのは絶対に嫌。

          ・・・・でも・・・





      『『僕は(私は)君を(あなたを)信じてるから』』







 『『・・・もし・・・僕等(私達)の想いが永遠のものでないとしても僕(私)は・・・
  今この瞬間の僕等(私達)の想いに生きていきたい。』』

 ・・・それはきっと永遠にも値する価値があることだから。




         『「今この瞬間の愛に生きたい。」』





 その答えを聞いたレイは満足そうな顔をして言った。

 いや、少し悲しげな表情だったのかもしれない・・・

  「そう・・・。二人とも、おめでとう。」  

 そしてロンギヌスの槍の示して言った

 「さぁ、この槍を取りなさい。」


  シンジは言われるままに目の前に浮かぶ槍に初号機の手を伸ばす。


 「神をも滅ぼす力をもつこの槍をもったあなたは神をも超える存在になったわ。」


 「さぁ、願いなさい、想いなさい。あなた達が生きる未来を。」


 シンジは静かに手にした槍に力を込めた、不思議な力がシンジの体に流れ込む。

 そしてシンジは思う。



 きっと僕らは生きていけるさ、たとえなにが起こっても生きていける、だって生きているから。

 生きている限り幸せになれるチャンスはいくらでもある。 

 もし僕一人だけでは生きていけなくてもアスカと一緒なら生きていけるさ。

 幸せにだってなるさ。・・・・アスカ僕の傍にいてくれるから・・・  


 シンジは力を込めてロンギヌスの槍を構えた 




 「・・・強くなったのね。」

 レイがやはり少し悲しげな顔をして言った。 

 「・・・ありがとう」

 シンジが静かにそう言うとレイは風にかき消されるように消えてしまった・・・・



  綾波、ありがとう。 

  ミサトさん、ありがとう。

  母さん、ありがとう。

  そして・・・アスカ・・・ありがとう。






    ゆっくりと振り下ろされるロンギヌスの槍

     そして世界はまばゆい光に包まれる








 その光に人形のように崩れ落ちるエヴァシリーズ 

 その羽は力を失い無抵抗に地面に叩きつけられる

 そしてもう二度と動くことはなかった。








 暗闇に浮かぶモノリス状の物体、ゼーレ


 「もはや我らの願いを遂げることはできぬ。」

 「エヴァシーリズの壊滅、ロンギヌスの槍の発動。」 

 「だが致命的だったは彼らの力を見くびったことだな。」   

 「まさかあの少年とあの少女がこのような選択をするとは・・・」


 「人は互いに完全に理解し合うことなどできはしないものなのに。」


 「だがそれに近づくことはできる。」


 「それを追い求めて傷つくことを恐れぬ勇気があれば。」


 「それを追い求めて自らのすべてを相手に任せる覚悟があれば。」


 「彼らにはそれがある。」


 「ならばもう我らが言うべきことはなにもない。」


 「彼らに人類の未来を託すのも悪い選択ではあるまい。」


 「人の勇気が生んだ愛、その愛から生じた奇跡に生きる。」


 「・・・決して悪い選択ではない。」


 「だが・・・人の想いは永遠ではないもの。」


 「果たして彼らの一瞬の想いは永遠と成り得るだろうか・・・。」


 「だが、今は彼らに賭けてみよう。人が愛という奇跡に生きることができるのなら」


 「それが人類の可能性ならば・・・」 



 「「「「「「「彼らと人類の未来に幸があらんことを」」」」」」



 そして次々と消えていくモノリス・・・

 最後に残ったキール





 「・・・碇・・・いい息子を持ったな。」




 そして消える最後のモノリス


























 「あ・・・・・。」

 暗いエントリープラグの中シンジはようやく目を覚ます

 辺りにはなに一つ動くものはない。

 初号機も弐号機を抱きかかえたままの状態で静止している。 

 随分長い間眠っていたのだろう、もうすっかり日が暮れて夜になっている。

 人口の光もなくただ月があたりを照らすのみ。

 何も見えず、何も聞こえない。

 ネルフ本部はどうなっているだろうか?

 みんな無事なんだろうか?

 なにも聞こえない。何も見えない。


 静かだった。  


 ただ、確実にわかることがあった

 自分の腕の中に感じるぬくもり

 少年にとってはそれだけが真実

 ただこの胸に収まりきるだけの真実でよかった。

 ただこの腕に抱けるだけの真実でよかった。

 シンジはエントリープラグを排出し外に出る。

 雲ひとつない満天の星空 さわやかな夜風が彼を迎えてくれた

 弐号機に駆け寄るシンジ。 

 弐号機のエントリープラグのロックを外部から解除する


 プシュゥー  


 排出されるエントリープラグ

 非常ハッチを開けるシンジ

 そのなかで静かに寝息をたてているアスカ、疲れているのだろうか?

 もちろん安心して眠っていられる最大の理由は他にあるのだが・・・

 優しくアスカを抱きかかえ外へ運びだすシンジ

 アスカを抱きかかえるシンジはどこか力強く、シンジの腕で眠るアスカはどこか安心しきった
 様子だった。

 アスカを抱いたまま空を見上げる少年

 月明かりが優しく彼らを照らし、夜風が彼らを祝福する 

「アスカ?・・・アスカ?・・・」

 シンジは優しくアスカに呼びかけた

 「・・・ん・・・・シンジ?」

 ゆっくりと目覚めるアスカ  シンジに微笑みかける

 「・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・・・。」

 しばらく無言で見つめ合う二人

 「・・・言いたいことがたくさんありすぎて何を言ったらいいのかわからないや・・・。」

 「私も・・・でもいいじゃない・・・」

 「・・・・・・・・・。」

 「今はただ何も言わなくていい。・・・今はただ私のことを抱きしめていて欲しいから。」

 「アスカ・・・」


 少年は少女を抱き寄せた、少女はただ黙って身を任せた。 

          永遠とも思える瞬間だった。 





  それはとある少年の勇気が生んだ奇跡

  それは人の生きる可能性

  それは人の生きる意味

               それは愛。


 人は決して一人では生きていけない、寂しさに、悲しさに押しつぶされる時がきっと来る。

   それを支え合って生きていける奇跡 人にのみ与えられた奇跡


               それは愛。



     愛に生きる二人を、愛を生きる二人を、そして、愛で生きる二人を



          月明かりが優しく映し出す。


            二人の重なるシルエット


             今夜彼らを祝福しよう。       



       長い苦しみの果てにようやく分かり合えた二人だから



       迷い、戸惑いながらようやく分かり合えた二人だから



       そして、愛に生きることを誓った二人だから










                『おめでとう』











           〜〜〜〜〜〜あとがき〜〜〜〜〜〜〜


 ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
  前編に比べこの後編は自分のオリジナルとなったので書くのが非常に大変でした。
 どうしても上手く書けなかった部分があったのが残念です。特に最後の方が雑になった気がします。
 無念です、何度も直そうと思ったのですがなかなか上手くいきませんでした。



 さて、雑な文章はともかくとして無事二人は結ばれたわけですが、
 やはりこうして考えてみると少し強引だった気が・・・
 心の葛藤みたいなものもできれば書きたかったのですが自分の技量のなさを恨むばかりです。



       でもあの二人が幸せになれるならいいじゃないか!! 

           彼らに心からこの言葉を贈ろう!! 

               おめでとう


マナ:2人の努力と、前向きな心が、世界を平和にしたのね。

アスカ:違うわっ!

マナ:どうしてよ? とっても、いい話じゃない。

アスカ:いい話は正解っ! でも、世界を平和にしたのは、努力でも、前向きな心でもないわっ!

マナ:こんなに頑張ったんだから、誉めてあげてるのに・・・。

アスカ:フッ。愛よっ! アタシとシンジの愛が、世界を平和にしたのよぉぉぉぉっ!!!(*^O^*)

マナ:(ーー)

アスカ:アタシ達の愛には、何者もかなわないのよぉぉぉぉっ!!!(*^O^*)/

マナ:なんか、腹がたってきたわ。(ーー#
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