アスカのその行動に後押しされるように、僕はアスカの背中の方にまわしていた手に力を入れ始めた。ゆっ

くりと僕の両腕がアスカの腰に触れる。背中に触れる。髪に触れる。壊れ物をそっと包み込むようにアスカ

の体を自分の腕のうちに収めた。そこまできて僕は一瞬腕の動きを止めた。しかし、すぐに次の欲求が僕

のなかに生まれてくる。もっと強くアスカを抱きしめたい。もっとアスカを感じたい。もっとこうギュッと、、、、

 

 

カップルゲーム (vol.4)

written by tomas.

 

そう思い始めるともう僕の動きは止まらなくなった。柔らかいアスカの体は僕の理性を麻痺させる。本当はもっと

やさしく抱きしめてあげたいのに、まるでいじめるかのように強くアスカを抱きしめていた。少しきつめにクーラー

の効いた室内は、なぜかサウナのように蒸し熱く感じた。

 

 

 

 

知らない間に僕の背中にまわされていた腕の力を緩めながら、アスカがおもむろに口を開いた。

「、、、苦しいよ、シンジ。」

 

その言葉を聞いてハッとした僕は同様にアスカを抱きしめる力を緩めながら答えた。

「ご、ごめんアスカ。なんだか知らないうちに力が入っちゃって、、、」

 

 

「、、、」

「、、、」

 

「で、どうだった?」

「、、、どうって何が?」

「だからどんな感じ?」

「、、、?」

「この私をあんなに強く抱きしめといて、何にも感じないって言うの!?」

アスカは少し頬に赤みを浮かべて、それでも力のこもった視線をともないながら言う。

 

「! 、、、そ、そんなこと急に言われたって、、、

 、、、なんて言ったらいいのか分からないよ、、、」

「分かるとか分からないとかそう言う問題じゃないの!!

 この絶世の美少女をその腕に抱いてみた感想を素直に表現してみなさいって言ってるの!!」

「、、、自分で自分のこと美少女なんて言うかな、普通、、、」

「なに! 今なんか言った!?」

「いや、何にも、、、」

「、、、(ジロッ)」

「、、、」

「、、、(ジーッ)」

「、、、いい香り」

「えっ?」

シンジの言葉ははっきりとアスカの耳にも届いたが、それでもなぜか聞き返してしまった。

 

「すごくいい香りがする、アスカの髪、、、」

「(なっ、なによ急に) あっ、当ったり前じゃない。毎日きちんとお手入れしてるし、、、シャンプーだって、、、」

「、、、」

「、、、」

「触ってもいい?」

「! 、、、いいわよ。」

 

シンジはアスカの髪に手をさし入れると、上から下のほうに2、3度流してみる。

アスカは自然に目を瞑って、気持ちよさそうにしてそれを受けている。

「まだ少し湿ってるけど、それでもこんなにサラサラなんだ、、、」

 

「、、、」

「、、、」

 

「、、、触りたくなったら、いつでも触っていいわよ、、、」

「えっ!なに?」

「だから、、、

 やっぱりなんでもない、、、」

アスカはもう一度言いなおそうとしたが、気恥ずかしくてやめた。

 

「なんだよ、言いかけてやめないでよ。気になるじゃないか。」

「ハンッ!アンタがちゃんと聞いてないのが悪いんじゃない!」

「そんなこと言ったってアスカの声が小さかったから、、、」

「なによ!私のせいにする気!? そんなこと言うんならもう絶対に教えてあげない!」

プイッ!

アスカは両のほっぺたを膨らませて横を向いてしまった。

 

それを見ていたシンジが思わず言葉をこぼす。

「怒った顔も、かわいいね。」

「!!   なっ、な、な、なに言ってんのよ!!」

「だって、このほっぺたがさ、、、」

そう言ってシンジはアスカの顔の方に手を差し出してくる。

 

すると突然アスカはシンジの膝の上から立ち上がり、時計を見ながら叫んだ。

「ああっ! もうこんな時間なの!明日はアタシ週番だから朝早起きして学校に行かなくっちゃならないって

のに!! そういう訳で今日はもうおしまい。 私はもう寝るけど、アンタもさっさとお風呂に入って寝なさいよね!

それじゃあ、お休みバカシンジ!」

 

「えっ、う、うん。お休みアスカ。」

シンジのその返事を背中で聞きながら、アスカは急いで自分の部屋へと入っていった。

 

リビングに残されたシンジは一人つぶやく。

「あれっ? 明日は第2土曜で学校休みじゃなかったっけ??」

 

 

<アスカの部屋>

あれから自分の部屋に戻ってきたアスカはベッドの端に腰掛け、なにやら考えているご様子。

「う〜ん。いつのまにか見事にシンジにペースを握られちゃったわね。 、、、このアタシとしたことが、、、」

「まさかシンジがあそこまで大胆なセリフを言うなんて思いもよらなかったわ、、、 思わずアタシの方があせって

強引に切り上げてきちゃった。」

 

「それにしてもカップルゲームだなんて我ながらよく思いついたものよね。やっぱりアタシって天才なのかしら?」

う〜ん。シンジ君以外だったらバレバレだったのでは?

「けど見てなさいよ、このままじゃ絶対終わらせないんだから! もっと凄い練習メニューを考えて、絶対シンジを

アタシに釘付けにして見せるわ!! 傷つけられたプライドは10倍にして返してやるのよ!」

「よ〜し!! こうなったらルールももっと凄いのを考えないとね!!」

 

「あんなコトとか、こんなコトとか、、、そんでもって最終的にはアレとコレをそんなところに!!? キャー

ッ!!!」

「ブツブツブツブツ、、、ムフフ、、、キャッ!、、、ブツブツブツ、、、、フフ、、、、、、、、、、、ムニャ、ムニャ、、、、」

、、、アスカ様就寝。

 

 

<シンジの部屋>

一方あの後お風呂でさっぱりと汗を流してきたシンジも今はベッドに横たわり、先ほどまでの出来事を思い

返していた。

 

「、、、それにしてもさっきまでの僕はどうかしてたな。アスカにあんな事言うなんて、、、」

「『怒った顔も、かわいいね』だってさ、、、よくあんな歯の浮くようなセリフ言えたもんだよ。」

「けどアスカのあのぷうっと膨れたほっぺたなんて、、、思い出すだけで、、、、かわいい、かわいすぎる。」

「そうだ、アスカがあんなにかわいいからいけないんだ。そうだ、僕は悪くない。」

シンジ君勝手に自己完結。

 

「う〜ん、ドイツって言ったって今まではしょせん思いつくのもバームクーヘンくらいしかなかったんだけど、、、、

あんな素晴らしいゲームがあっただなんて、、、」

「あっ、そうか! ゲームのせいにしてしまえばもしかするとあんなコトやこんなコトも出来るんじゃ、、、」

「、、、」

「、、、」

「、、、」

「、、、ハズカシイ。膨張してしまった、、、」

考えてることはアスカ様と大差ナシ。

、、、その後悶々と妄想を膨らましつつ就寝。

 

つづく

 

 


マナ:とうとう暴露したわねっ!

アスカ:なにがよ?

マナ:『カップルゲームだなんて我ながらよく思いついたものよね』ってなによっ!

アスカ:あっ、あれは、よく『思い出したものよね』って言ったのよっ。

マナ:嘘おっしゃい。しかも、さらによからぬことを考えてるじゃないっ!

アスカ:だって、シンジだって喜んでるし・・・。(*^^*)

マナ:シンジを変なことで誘惑しないでよねぇっ!

アスカ:誘惑とは何よっ。

マナ:誘惑なんかしたって、シンジは騙されないわよーだ。

アスカ:フンっ! ドラム缶娘がひがんでるわ。

マナ:ド、ド、ド、ドラム缶ーーーーっ!? な、なんてこと言うのよっ!

アスカ:だって、そうじゃない。

マナ:いいもん。このかわゆい顔があるもん。

アスカ:顔ならアタシの方が上よっ!

マナ:どこがよっ! 赤鬼さんかと思ったわ。

アスカ:ぬわんですってーーーーっ!

マナ:ほらっ。赤鬼さんしゅつげーーんっ!
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