長すぎる今日。 (第一話)

written by tomas.

 

 

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ご挨拶〔言い訳〕

今回の作品は特別な設定は何もありません。

エヴァの戦闘シーンなんて私にはとても書けませんし、タームさんのような独創的なアイデアが考えつくわけ

もないので、いっそのことアスカとシンジに自分たちのしたいように動いてもらう事にしました。「普通の日常」

という舞台だけを与えて、アスカとシンジにはすべてアドリブで演技をしてもらうようにお願いしたのです。

つまりこの作品が面白いものになるかどうかは二人の演技力次第というわけです。 一応、最低限の方向性

として「甘さあっさりめのLASにすること」と「作品を完結させること」という二つをアスカにお願いしにいった

ところ、それに対するアスカの返事は後者は了解、前者は気分次第というものでした。

まあ、私としてはアスカの良識の範囲内でその才能をいかんなく発揮してもらえれば、それなりに面白い作品

に仕上がるのではないかと考えています。

読者の皆様に置かれましても、「子供の演劇発表会を見にきた両親」になったおつもりで暖かい視線で二人

の晴れの舞台を見守ってあげて欲しいと思います。

 

  あっ、そうそう。  アスカならびにシンジ君へのファンレターは私のほうへお送り下されば、必ず本人にお渡

ししておきますので。 それでは長らくお待たせいたいました。 第一話の始まりです。

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ジリリリリリ、、、、、、、

ベッドの脇においてある目覚し時計のアラームが勢いよく鳴り出す。

ジリリリリリ、、、、、、、

 

ゴソゴソ、、、

パッ、、パッ、、パッ、、、、ガッ!

1度、2度、3度、4度目にしてやっと、タオルケットの中から伸ばされた手がその音源のありかをつきとめる。

時計の一番上についている突起の部分を指で押さえると、けたたましく鳴り響いていたベルの音が止まった。

起きなくてはならないはずなのだが、再びその時計を握り締めたまま眠りの国へ、、、

 

 

 

が、5分後に再び鳴り出した目覚し時計によって、眠い目をこすりながらも、ようやく碇シンジはベッドから上半身をおこした。

時計の針は6時6分を少しまわっていた。

 

5月16日金曜日、5時56分、碇シンジ起床。

そう、5時56分。

シンジの時計は10分早めにセットされているのだ。

 

自分の部屋で学校の制服に着替えると、リビングを抜けて、そのままキッチンへと向かう。

いや、先に玄関に新聞を取りに行っておこう。

どうせゆっくり読むひまなんてないんだからせめて見出しだけでも。

 

今日の1面は、、、なになに「国連の腐敗構造にメス」、、、か。

、、、、、、、特には思うところもないな。 

はい、おしまい。

 

新聞をリビングのテーブルの上において、制服の上からエプロンをかけると一応戦闘準備は完了。

 

今から学校に行くまでのわずかな時間にシンジのしなければならない仕事は多い。

昨夜の洗い物を片付けた後に、弁当、朝食、風呂の準備、その他もろもろというわけだ。

細かいことは作者にも分からないし、いちいち書く気もない。シンジのみぞ知るといったところか。

 

 

 

 

、、、で。

上記に並べたような雑多な朝の仕事に一応の一段落をつかせたシンジは、次にお姫様を起こしにいく。

実はこれが一番、厄介な仕事だったりする。

朝一番にお姫様のご機嫌を損ねてしまうと、その日1日中ぶつぶつ文句を言われる事になるのは他ならない自分自身である。

その事を十分考慮に入れたうえで

「アスカ、もう朝だよ。そろそろ起きたほうがいいよ。」

僕はアスカの部屋の扉の外から声をかける。

 

「、、、」

部屋の中からはなんの返事もない。

 

「ねえ、アスカ。早く起きないと遅刻するよ。」

もう一度声をかける。その声はさきほどよりも大きい。

 

「、、、」

ダメだ。起きる気配すら感じられない。

とはいえここまではいつも通り。

というか、この段階でアスカが起きてきたためしは、、、ない。

 

「、、、入るよ。」

そう時間に余裕があるわけでもない僕は一声かけた後で扉を開け、ずずっと部屋の中へ歩みを進める。

 

 

 

いた。

そこには紛れもないお姫様がいた。

いや、眠ってた。

 

、、、そう言えば誰かが言ってたな。

そう、あれはトウジだ。

『写真にはあの性格が映っとらんからなぁ。』って。

 

う〜ん、「言い得て妙」とはまさにこの事だ。

こうやって眠ってるアスカのあどけない寝顔からは、とてもあの性格は想像できない。

使い古された言葉を使うのは嫌いだったけど、アスカのそれはやっぱり天使の様だと思った。

 

 

 

、、、でも、いくらこうして眺めてても仕方がない、早く起こさないと。

よしっ!

軽く気合を入れる。

 

「アスカ。もう朝だよ。早く起きようよ。」

 

「、、、ん、、、う〜ン、、、」

おっ! 早くも反応アリ。今日はいつもよりうまくいきそう。

 

「アスカ? 起きたの? ねえ、アスカ。」

「、、、う〜ん、、、ん?、、誰?、、、シンジ?」

「そうだよ。やっと起きてくれたね。 さ、早くシャワーを浴びておいでよ。その間に朝食の準備をしておくからさ。」

「ふぁ〜あ、、、そう、、、わかった。りょーかい。」

アスカは小さなあくびを右手で隠し、その後何回か目元をこすると上半身をベッドから起こした。

 

「じゃ、キッチンで待ってるから。」

そう言いながら僕は心の中でまったく違う事を考えていた。

な、なんてスムーズにいくんだ!? いつもこんなだったらいいのに。

 

「あっ、そうそう、シ〜ンジ。」

アスカの部屋から出て行こうとする僕にアスカがやさしく声をかけてきてくれた。

「なに?アスカ。」

僕も振り返って笑顔で応える。

 

「勝手に部屋、入ってくるなってあれだけ言ってるでしょ! この変態っ!!」

アスカの叫び声とともに枕が凄い勢いで飛んできた。

ばんっ!!!!!

ちょうど振り向いた僕の顔面にもちろんクリーンヒット!!

「ぐわっ!」

 

、、、僕は今日もいつもと同じように情けないうめき声をあげることになってしまった。

それでもいつもみたいに真っ赤な手形が顔に張り付いてないからまだまし、なのかな。

 

 

 

そういうわけで僕は今、二人と一匹分の朝食の準備をしている。

そう、二人と一匹分。

加持さんが生きていると分かった日から、ミサトさんはより一層家に帰らなくなった。

、、、まぁ、仕方のないことだと思う。

、、、早く一緒になってくれれば、とも思う。

、、、きっと加持さん苦労するだろうな、とも思う。

 

ふう。

ペンペンのさんまはこれでよしっと!

僕達の分も、まぁ、こんなもんかな。

あとは、、、なにか果物を、、、

! そうそう、確かリンゴがあったはず。あれをむいておこう。

えーっと、たしか冷蔵庫の一番下に、、、、、あっ! これこれ。

 

「あっつーーーーーい!!!!」

ん?

今、お風呂場の方からなにやら聞きなれた叫び声が聞こえてきたぞ。

 

バタ、バタ、バタ、バタ、ピシャッ!!

真っ赤なバスタオルを体に巻いて、勢いよく走ってきたアスカがアコーディオンカーテンをこれまた勢いよく開ける。

「こぉんのバカシンジ!!! あんな熱いお湯に誰が入れるっての!! アンタ、このアタシをゆでだこにする気!!!」

僕を指差し、アスカがののしる。

「お風呂の温度は40度キッカシって前にも言っておいたでしょ! なんで言われたとおりにやっとかないのよ!!」

 

ああ、部屋で眠ってたアスカはあんなにかわいらしかったのに、、、

そんなことを考えているそぶりはつゆも見せずに僕は答える。

「はい、はい、分かりました。今お湯を冷ましてきますから、、、」

「なによっ!その態度は!? 反省の色が全然見られないじゃない!!」

そんなに言うなら自分でやればいいのに、、、

僕はアスカに聞こえないようにそうつぶやくと、湯加減を調節しにお風呂場へと向かった。

 

 

 

 

、、、ザーーーッ

フン、フフ〜ン♪ フ〜ン♪

さっきまであんなに怒ってたのに今ではシャワーの流れる音といっしょに微かに鼻歌まで聞こえてきたりする。

女の子ってみんなあんなものなのだろうか。僕にはちょっと理解しかねる。

まあ、アスカの機嫌がいいことに越した事はないが、、、

 

僕はといえば、さっきアスカの叫び声によって中断されたリンゴの皮むきをはじめようとしていた。

果物や野菜の皮むきってよく家庭科の時間なんかにあるらしいけど、僕にとってはこんなの「お茶の子さいさい」ってヤツだ。

アスカなんかは洞木さんの言ってたところによると3箇所も指を切ったあげくにそのリンゴを踏み潰して教室を出ていって

しまったらしいが。

う〜ん、なんともアスカらしいエピソードだ。

、、、アスカには絶対言えないけど。

 

僕ならやろうと思えば目をつぶってでもリンゴの皮むきくらいできるのに。

えっ?そんなの無理だって? 、、、よし、やってやろうじゃないか!

たとえ目をつぶってたとしても、こうやって包丁じゃなくてリンゴの方を動かすようにすれば、、、

親指で皮を押し出すような感じかな?

ほら、、、できるもんでしょ。

 

あと、最後の1週。もうちょっとだ。

 

 

 

 

 

、、、イテッ!

 

やっちゃった。

 

 

つづく


マナ:tomas.さん、新作の投稿ありがとうっ!

アスカ:まったく、アイツ何度言ってもっ。

マナ:あのさぁ、アスカ? いつも思うんだけどさぁ。

アスカ:なによっ。

マナ:女の子らしくとまでは言わないけど、もうちょっと普通にシンジに接することできないの?

アスカ:はぁ? 十分普通よっ。

マナ:あれじゃ、下僕よ。

アスカ:あれくらいが、丁度いいのよ。

マナ:ミサトさんも最近あまりいないみたいだしさ。アスカの横暴ばかり目立つわよ?

アスカ:横暴とは失礼ねぇっ!

マナ:そのうち、シンジに見捨てられるんだから。

アスカ:だーいじょうぶよ。

マナ:何が大丈夫なのよ?

アスカ:飴と鞭をうまく使うのよ。

マナ:・・・・・。

アスカ:このストーリー、アタシの好きにしていいって言われてるから、自由気ままにやらせてもらうわよ。

マナ:アスカの好きにって・・・とんでもない方向に向かわなければいいけど・・・。
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