The Restart Of Evangelion
                           
                          第2話 「リリスの力」


向かい合う初号機とサキエル。

「シンジ君、まずは歩くことだけ、考えて!」

ミサトからの指示が飛ぶものの、一向に動く気配の無い初号機。

(この近くにトウジの妹さんがいるんだ、どこだ・・・どこだ・・・)

エヴァの望遠機能を使ってあたりを見まわすシンジ、当然シンジの見ている映像は本部のモニターに入る。

「あの子、なにしてるのかしら?」

モニターの映像を見て、首を傾げるリツコ。

「知らないわよ!シンジ君、何やってんの!?」

まったく動かないどころか、きょろきょろとあたりを見渡すシンジにミサトの怒号が飛ぶ。

(やばい!ミサトさん怒ってる、って当然だよね。・・・いた!!)

ようやく探しているの人物を見つけると、通信を開く。

「ミサトさん、映像届いてますよね?あそこに避難してない人がいるんです、救助をお願いします!!」

「へっ・・・り、了解!!もしもし・・・」

シンジの指示を受けて、わけわからないといった顔をしながら内線の受話器を手に取り指示を出した。

「シンジ君、指示は出したわ!これで大丈夫ね?じゃあ、まずは歩く・・・」

そこまで言ったミサトはモニターに釘付けとなった、彼女だけではない発令所にいる全員だ。

ミサトの要請を受けて、出動した保安課の人達がトウジの妹を助け出すのを見届けた後、
初号機はサキエルの目の前までものすごい速さで移動していたのである。

「これは運命、君達と共に歩んでいくことはできないんだ。だから・・・、僕は君を倒すよ!」
(でも、カヲル君、君となら僕達は共に歩んでいくことができるのかな・・・。)

誰にも聞こえないぐらいの声で呟くと、赤く光るコアに手を伸ばす、ものすごい速さで。

ATフィールドの展開が間に合わなかったのか、簡単にコアをもぎ取られてしまうサキエル。

「すごい!けど、あの子は一体何者なの?」

いち早く復活を果たしたリツコが呟く。疑うよりも驚きのほうが大きい。

「これ本当にシンジ君が戦ってるのリツコ?」

「信じられないけど事実よ、これは・・・マヤ!」

「は、はい!すべて正常値、暴走ではありません。」

「おい、碇・・・」

「・・・・・・。」

発令所でこんな会話をしているうちに初号機はサキエルのコアを握り潰していた。

と、その時サキエルが初号機にとりついた。

「自爆する気!?」

ミサトがモニターに向かって叫ぶ。

(チャンスだ!ATフィールドで爆発を押さえて、その隙に母さんに会いに行こう)

その直後、大爆発が起こった。が、シンジがATフィールドを使い爆発の被害を押さえたのであった。
幸い、本部は爆発によって初号機が展開したATフィールドには気付かなかった。

混乱する発令所をよそに、シンジは目を瞑り、母・碇ユイに語り掛ける。

(母さん、いるんだろ?話があるんだ・・・出てきてよ。)

すると、シンジの頭に直接語り掛ける声がする。

(久しぶりね、シンジ。あれから大きくなって・・・)

(ごめん、母さん。時間が無いんだ、用件だけ言うね・・・。)

申し訳なさそうな顔をしてシンジは用件を伝えた。

自分が未来から来たこと、リリスの力を受け継いだこと、母をここから出したいこと、そのための方法と必要なこの力を受け渡すこと。

(そう、あなたが未来から来たのはわかったわ。でも、その方法がうまくいくとは限らないわ。それでもいいの?)

不安を隠せないといった声で確認する、ユイ。

(それでもやってみて欲しい。そして、父さんを止めて欲しい。)

ユイはゲンドウが自分の為にいろいろ何かをやっているのは、初号機に語り掛けてくるのを聞いていたので知っていた。

(・・・わかったわ、やってみる。でも、今すぐ出ることは出来ないわ。いろいろしなくてはいけないから。)

(うん、待ってるから・・・またね、母さん。)

(またね・・・シンジ)

シンジが目を開けると発令所から慌てふためいた声が聞こえる。

(だいぶ時間が経ってるんだ、発令所のみんなも騒ぐわけだよね。)

そんなシンジに通信が入る。

「シンジ君!聞こえる?大丈夫?」

ミサトの声が響く。爆発による電波障害でプラグ内の映像をモニター出来ないのは知っていたので通信を返す。

「大丈夫です。」

「よかった。爆発してから映像は来なくなるし、呼びかけても返事が返ってこないから心配したのよ!」

半分、涙声になりつつも叫ぶミサト。

「すいません・・・。爆発のショックで気を失ってたみたいです。」

「でも本当に無事でよかったわ。さ、回収するわ。リフトに乗って頂戴。」

「はい」

リフトで降下中にもう1度母に語り掛ける。

(待ってるからね、母さん)



エントリープラグがイジェクトされ、そこからシンジが出るとミサトとリツコがいた。

「お疲れ様、シンジ君。」

と、笑顔で迎えるミサト。

「よくやってくれたわね、まずはシャワーに行って来なさい。その後に身体検査をします。」

と、微笑みながら迎えつつも、本当の目的は検査なリツコ。

2人の言葉に笑顔を返すと、その後ろに人影があった。

「えっと、後ろの人は誰ですか?」

「そうそう、紹介するわね。霧島マナちゃん、フォースチルドレンよ。」

(なんだって、マナがフォースだって!?戦自にいたんじゃ・・・?でも、よかった〜。マナの元気な姿がもう1度見れるなんて。)

驚き半分、うれしさ半分が織り交ざった表情ではあったが、目はずっとマナを見つめていた。

「はじめまして、霧島マナです。よろしくね、碇シンジ君♪」

握手の為に右手を出す。ずっと見つめられてるため、顔が真っ赤のマナ。

「こ、こちらこそ・・・。碇シンジです。よろしく、霧島さん」

出された右手を握り返す。相変わらず見つめるシンジと、顔を真っ赤にしながらも見つめ返すマナ。

「あっ、あの、霧島さん、じゃなくて・・・マナ、って読んでね。わたしはシンジ君、って呼ぶから。」

これにはシンジが顔を真っ赤にする。また、名前で呼び合えることはうれしいが照れてしまう。

「うん。・・・じゃあ、改めてよろしくね、マナ。」

「うん、こちらこそ。・・・よろしくね、シンジ君」

そう言って握手していた手を離す2人。

「あっら〜、さっそく仲良くなって。お姉さんはうれしいわ〜♪」

からかいモード発動である。こうなったらどうしようもないのを知ってるリツコは

「じゃあ、あとで。場所はマナに案内してもらってね。」

と、用件を伝えて去っていった。

「あっ、はい。そ、そうだ・・・マナ、シャワー室どこか教えてくれる?」

長い付き合いでヤバイ空気を感じたシンジもミサトから離れようとする。

「う、うん、こっちだよ、シンジ君」

焦るシンジに同調するように、その場から2人も去っていった。

「あっら〜、逃げられちゃったか。・・・・・ごめんなさいね、シンジ君」

笑顔をくずし、寂しげな表情で、そう呟くとミサトもそこから去っていった。



お互い少し気まずいのか無言でシャワー室に向かっていた。

「そういえばさ・・・」

話しかけたのはシンジだった。

「うん、な〜に?」

明るい笑顔で返事するマナ。

「(か、かわいいな〜)あっ、あのさ、ここに入ったのは霧島さんが先なんでしょ?どうして、霧島さんがフォースなの?」

「シンジ君!!」

いきなりマナは笑顔から怒っていた。

「マナ、って呼んでって言ったでしょ!!」

「!!ごっ、ごめん・・・。」

あまりの剣幕にビビってしまったのか、とっさに謝るシンジ。

「今度からはちゃんと呼んでね♪えっと、なんでわたしがフォースなのってことだけど・・・」

「うん・・・。」

「チルドレンとして選出されたのが同じ日だったらしいの、わたしとシンジ君。で、名前の50音順でシンジ君がサード、
 わたしがフォース、ってことなんだって。」

「そうなんだ。」

(それにしても、歴史が変わっているのはどうしてなんだろう・・・?)

答えの出そうに無い問題を考えてもしょうがないが、シンジは思考に耽っていた。

「あっ、ここがシャワー室よ。向こうにあるのが休憩所、あそこで待ってるから。」

振り向いてマナがシンジに説明をする、シンジは「はっ!」と顔を上げた。

「う、うん、わかったよ。ありがとう、マナ」

慌てつつも笑顔でお礼を言って、シンジはシャワー室に入った。

(マナがフォースってことは、バルディエルが乗っ取った参号機にマナが乗る、ってことはマナと戦わなきゃならないのか・・・
 そんなの嫌だ!けど、どうすればいいんだろう・・・とにかく、なんとかするしかないんだ!)

悩んだ所で答えが出るわけではないし、なんとかするしかないのだ。シンジは備え付けの洗濯機で制服を洗濯しつつシャワーを浴びた。


身支度を整えたシンジは待ち合わせ場所の休憩所に向かうと、マナが椅子に座りボーっとしていた。

「お待たせ。」

「あっ、うん。じゃあ、行きましょうか。」

シンジの声に気付いて、次の場所へと案内していく。

長い通路を歩いている二人、またもシンジから話しかける。

「もう1人の子ってどんな人?」

(もしかしたら、綾波じゃないのかもしれない・・・。いや、そんなこと無いはずだけど。)
ゲンドウの計画上レイは絶対いるはずなのを「知ってる」はずなのに、つい聞いてしまうシンジ。

「ああ、レイちゃんのこと?」

「レイちゃん!?」

驚き、それ以外の何物でもない表情を浮かべていた。
(レイちゃん?マナと綾波は仲がいいのかな?でもよかった、やっぱりもう1人は綾波だったんだ。)

「うん、綾波レイって言う子なの。わたしもかわいいけど〜、レイちゃんはわたしに負けないくらいにかわいいの!」

明るい笑顔を浮かべながらシンジにレイのことを話すマナに、やはり驚きを隠せなかった。
(自分で自分のこと「かわいい」って・・・、普通言わない気がするんだけど。
  それよりも、仲がいいというよりも、マナが綾波に一方的に話しかけてるだけなのかもしれない。マナが一方的に話して、レイが聞く。
 性格上ありそうだけど、何か違う気がする・・・。まあ、考えても仕方ないや、とにかく会ってみればわかるか。)

「大丈夫、シンジ君?」

物思いに耽るシンジを心配したのかマナが声をかけてくる。

「ごっ、ごめん。大丈夫だよ、心配しないで。」

そう言って微笑むシンジにマナは顔を赤くして俯くしかなかった。



そんなやり取りをしている内に診察室についた。

「ここが診察室よ。リツコさん、シンジ君を連れてきました。」

扉が開くとネルフの制服を着たショートカットの女性が出てきた。

「マナちゃん、ご苦労様。はじめまして、オペレーターの伊吹マヤです。さっ、どうぞ。」

マナに労いの言葉をかけ、シンジに自己紹介すると中に入るよう促す。

「あの、検査のあとで綾波さんって子に会いたいんだけど、案内してくれる?」

「うん。じゃあ、後でね。」

入る前にシンジがマナにそう伝えると、診察室の中に入っていった。

検査の結果は異常無しだったが、退室の許可は出なかった。

「じゃあ、シンジ君。いくつか質問いいかしら?」

「どうぞ」

(やっぱり、きたか・・・。)
予想通りの展開であった。初搭乗での高いシンクロ率、素人離れした戦闘内容、と聞きたい事柄があるからだ。

「戦闘内容についてなんだけど・・・どうしてあんな動きが出来たの?」

リツコにしてみれば聞きたいことはこれだけであった。高いシンクロ率については、これからやっていくテストの結果を見ればいいのだ。
その辺は初搭乗なのだからデータが少ない、次回乗ってもらっても100%なのかもしれないからだ。
ただ、戦闘内容に付いては予想外というかありえない展開だったからだ。
シナリオでは「初号機の中のユイが目覚め、暴走を引き起こし勝利」のはずなのに、この少年は自分の力で使徒を倒してしまったのだ。
シンジの話す内容によってはシナリオを書き換えなければならないかもしれない、そういう状況であった。

「ミサトさんが、「歩くことだけ考えて」と言ったので、「高速で接近」と考えたら、目の前に使徒がいたんです。」

「なるほど・・・。次に、あの赤い球体を狙ったのはなぜ?」

「体全体であそこだけ赤かったのを見て、弱点かな?っと思ったので「もぎ取る」と考えたら手にあの球体を握っていたんです。」

「それで、そのあとその球体を握り潰したのは?」

「あのままにしてたら復活してしまうと思ったんで握り潰したんです。あの球体から心臓の鼓動のようなもの感じたので。」

「鼓動、ね。なるほど・・・。わかったわ、今日はもう帰っていいわよ。」

「お疲れ様、シンジ君」

「はい、失礼します。」

シンジにしてみれば予想していた展開だったのであっさり答えることができた。

(リツコさんがさっきの話しを信じるかはわからないけど、質問数が少ない気がする・・・。もっと、いろいろ聞かれると思ったけど。)

なんとなく、釈然としないシンジだった。



診察室から出るとマナが待っていた。

「お待たせ、じゃあ行こうか。」

「うん、こっちよ。」

マナについて行く、行き先はレイの入院してる病室であった。

コンコン、扉をノックすると中から返事が返ってきた。

「・・・誰?」

「マナちゃんだよ〜!レイちゃん、入ってもいい?」

「・・・いいわ、どうぞ。」

少しの間が開いた後に返事が返ってきた。

「おっじゃましまーす!さっ、シンジ君。」

「うっ、うん」

(一応、ここは病院なんだよね?こんなに大声出さなくてもいいのになあ・・・。)
シンジは1人苦笑しながら中へと入っていった。

そこは見なれた病室だった。はっきり言って、いい思い出は1つも無い部屋。

目を2人の方に向けると仲良く話しをしてる姿が見える。と、いってもレイはほとんど聞き役だったが。

(綾波が他人と話してるなんて、一体どうなってるんだろう?)

またも、思考に耽るシンジにレイが声をかける。

「・・・あなた、誰?」

その発言で気付いたのかマナはシンジの紹介をする。

「彼は碇シンジ君、サードチルドレンよ。」

「碇シンジです。よろしくね、綾波さん。」

微笑みながら自己紹介をすると、レイが微笑み返してきた。さすがにシンジは驚きを隠せなかった。

「・・・マナさん、悪いけど席をはずしてくれる?碇君と話しがしたいの・・・お願い。」

驚いてるシンジの顔を見ながらレイはマナにそう言った。

「え〜・・・じゃあ、今度学校の帰りに何かおごってくれる?」

「・・・わかったわ。」

「OK!じゃあ、またね。シンジ君、レイちゃん。」

「うん、またね。」

「・・・さよなら。」

そう言ってマナが病室から出ていくと病室に取り残されたシンジはレイを見つめた。すると、レイが口を開いた。

「まずは・・・お久しぶりね、碇君」

「お久しぶりって・・・まさか、綾波も還ってきたっていうの!?」

「そう、私も還ってきたの。」

シンジには理解できない、還ってきたのは自分だけだと思ったからだ。しかも、レイはリリスの力をシンジに渡してしまったのだから
還れるはずが無いのだ。そんなときにシンジは1つ思い浮かんだ、アスカのことだ。

「綾波が還ってきたってことは・・・アスカも還ってきてるの!?」

「・・・ごめんなさい、わからないの。私は無に還るはずだった。その時に目の前が光ったと思ったら、ここで入院していたわ。
 だから・・・わからない。でも、」

少しながらの希望を見つけたような気がしたシンジは聞き返す。

「でも?」

「碇君に引き寄せられたのかもしれない・・・。」

「僕に?」

「ええ、けど確証があるわけじゃないの。」

「そうなんだ・・・。」

(確かにあの時に力を貰ったから、綾波を還すことはできたかもしれない。けど、どうしてアスカじゃなかったんだろう?)

「ごめんなさい、碇君。」

「綾波だって、なんで還ってきてしまったのか、よくわからないんでしょ?だったら、綾波が謝ることは無いよ。」

(それに、あのときのアスカが還ってきても不幸になるだけだ、結果としては戻ってきてない方がよかったはず・・・。
 でも、今度新しく来るアスカじゃダメなんだ。だって、僕が知ってる「アスカ」じゃないから・・・。)

物思いに耽るのが癖になりつつあったが、ここで今まで疑問に思ったことを口にした。

「そういえば、どうしてマナがチルドレンになってるんだろう?」

「碇君が望んだ結果になるためには、これが1番いいと思ったから・・・。」

思いがけないレイの返事に驚きを隠せなかった、確認のため聞き返す。

「じゃあ、このマナの件は綾波がやったことなの?」

「ええ、あの人のためを思えばこっちの方がいいと思うの。」

「・・・うん、そうだね。ありがとう、綾波。」

前回、マナは戦自に所属していた。「ロボット事件」で2人は出会ったが、事件の結末はシンジの心に傷をつけたものだった。
もし、戦自に入ってなかったら?入る組織もネルフで、チルドレンだったら守れたかもしれないのに・・・と後悔していたのが発端。
そして、結果こうなったのだとシンジは結論を出していた。

「あとの2人は?ケイタ君とムサシ君だっけ?」

「学校に通ってるわ、チルドレン候補として。」

「そっか・・・。あっと、もうこんな時間か。そろそろ帰るよ、またね。綾波。」

「さようなら、碇君」

(綾波のおかげでいい方向に歴史が変わったのか・・・僕もがんばらなくちゃ!!)

当初の疑問も解け、俄然やる気の出たシンジであったが重要なことに気付いた。

「住む所どうしよう?やっぱり、ミサトさんのところかな〜」


噂をすれば影、ミサトが通路を歩いてきた。

「いたいた、シンジ君。住む所なんだけど・・・結論から言うわ。私と一緒に住まない?」

(あれ?なんか展開が早いな・・・これも綾波の仕業なのかな?)
シンジ本人はそれでもかまわない、というかミサトと同居したかったが一応聞き返す。

「何でいきなり、そうなるんですか?」

「だって、指令とは仲良くなさそうだから一緒に暮らさないと思って。それとも、本部内の個室で1人暮らしする?」

「えっと・・・。じゃあ、ミサトさんのところでお世話になります。」

「よかった〜。んじゃ、早速行きましょう!」

元々、シンジは1人暮らしをするつもりは無かったし、ゲンドウと暮らすのは問題外だった。
「一緒に暮らさない?」と言う言葉を期待していたのは確かだが、始めからそう来るとは思っていなかった。
シンジにしてみればこの結果には大満足であった。



「ミサトさん、家事ってできますか?」

おもむろにシンジが聞いた。もしかしたら、やらなくてすむかも。と期待をしていたのである。

「あ、あはは、苦手なのよね〜。そういうのって。でもね〜。」

「なんですか?」

「マナちゃんがいろいろやってくれるからね〜。」

「へ〜、そうなんですか・・・。ってマナが住んでるなんて聞いてませんよ!!」

「そんなに喜ばなくてもいいじゃない、シンちゃんってば。」

ミサトのからかいモードが発動したので何を言ってもしょうがない。

「はあ〜、もういいです。でも、マナが反対したらどうするんです?」

「うん?大丈夫よん。さっき電話したら喜んでたから。」

シンジのささやかな反撃も効果無しであった。


「あっ、ここよ、ここ。シンジ君の荷物も届いてるわね。さあ、入って〜。」

(あの言葉は言ってくれるのかな・・・?)
と、淡い期待を込めて言ってみる。

「おっ、おじゃまします・・・。」

入ろうとするシンジをブロックするミサト。

「ストーップ!!ここは今日からシンジ君の家にもなるのよ。だから〜。」

(やっぱり言ってくれたんですね。ミサトさん)

「ただいま、ミサトさん。」

「おかえりなさい、シンジ君。」

中の様子はよく掃除が行き届いていて、マナがどれだけ苦労していたかを思わせるほどきれいであった。

リビングまで行くシンジとミサト。

「おかえりなさい!」

「ただいま〜!ほら、シンジ君も」

ミサトに急かされるシンジの顔は赤かった。

「たっ、ただいま。」

「はい、おかえりなさい。」

こちらは笑顔で答えるマナであった。

「ミサトさーん、食事の用意もお風呂の用意もできてますよ〜。」

「先に夕食にしようか〜。マナちゃん、ビール!」

「はい、どうぞ!」

ラフな格好に着替えたミサトが席について

「「「いっただきまーす!」」」

そう言った後の3人は顔を見合わせて笑いあったのであった。

「おっ、おいしい〜。マナって料理上手なんだね!」

「よかった、喜んで貰えて。」

シンジは自分の出番を取られたような気もしたが、家事をしなくていいというのも、それはそれでうれしかった。


「「「ごちそうさまでした!」」」

「あっ、僕が洗い物はやるよ。」

そう言ってシンジは洗い物を始めた。その姿は立派な主夫である。

「シンジ君って、洗い物上手だね。」

「そう?前からやってたからね。家事全般出来るよ。」

「すごいね〜。じゃあ、明日は夕飯にシンジ君の手料理食べたいな〜。」

「うん、いいよ。」

若い二人が家事の話題で盛り上がる中、ミサトはお風呂に入っていた。


「はい、終わり。」

「お風呂いいわよ〜。」

シンジが洗い物を終えると同時にミサトがお風呂から上がってきた。

「マナ、お先にどうぞ。」

「うん、じゃあお先に〜。」

マナがお風呂に入ってる間にミサトが話しかけてくる。

「シンジ君、今日はご苦労様。それと・・・ごめんなさいね。」

と、いきなり頭を下げるミサト。

「どうしてあやまるんですか?」

「だって、いきなりあんなことになってしまって・・・。」

「確かにビックリしましたけど。こうして生きてるんだし、僕はやれることはやりたい、と思ってますから。」

真っ直ぐミサトの目を見つめるシンジの目には強い決意の光があった。

「・・・ありがとう、シンジ君。」

そんな時、マナが出てきた。

「お風呂いいよ〜、シンジ君。」

「それじゃあ、お風呂入ってきますね。ミサトさん。」

「ゆっくり入ってらっしゃい、風呂は命の洗濯よん♪」

(あんなにいい子達を、自分の復讐の道具として使ってる。最低ね、私)

「マナちゃん、あたし寝るわ。明日の予定、シンジ君に伝えといてくれる。おやすみ。」

そう言って、ミサトは手に持ったビールの中身を一気に流し込むと部屋へと入っていった。

「はーい、おやすみなさい。」

台所で麦茶を飲んでいたマナは、ミサトにそう答えるとリビングでテレビを見始めていた。


「ふう〜・・・疲れた。」

頭の中で今日のことを整理する。

(まずは、歴史が変わっていること。マナがチルドレンになっていたとは思わなかった。トウジの妹さんも救えたし、彼がチルドレンに
 選ばれること無いと思う。次は、綾波も還ってきてること。知識はあるから、協力者がいてくれるなら何かとやりやすい。
 しかも、心なしか明るい感じだし。近いうちにいろいろ話をしておいた方がいいかな・・・。
 そして、母さんだ。「リリスの力」を使ってコアの情報を書き換えてもらっているから、終わり次第コアから出てきてくれる。
 そのことについては明日のテストの時に聞けばいいか・・・。)

リビングに出るとマナがテレビを見ていた。

「あれ、ミサトさんは?」

「もう、寝ちゃったの。そうだ、シンジ君。明日ネルフでテストをやるから、いっしょに行こ!」

「わかったよ。」

「それじゃあ、わたしも・・・。あっ、シンジ君、寝込みを襲っちゃ嫌よ。」

顔を真っ赤にしながらシンジに釘をさすマナ。

「そっ、そんなこと・・・するわけないだろ!!」

こちらも真っ赤にして反論するシンジ。

「冗談だよ〜。そんなに怒らないで、ね?それじゃ、おやすみなさ〜い。」

「うっ、うん、おやすみ。」

お互い、自分の部屋へと入っていった。

(アスカ、早く君に会いたいよ。今度は仲良くできるといいね・・・おやすみ、アスカ。)

誰もいない部屋にそっと小声でそう呟き、シンジは眠りについた。



<後書き>
はい、ウエッキーでございます。
なんだかよくわからない内容な気がします、我ながら。なんか、マナといい雰囲気だしね。
アスカの出番はもう少し後です、もうしばらくお待ちくだされ。m(_ _)m
さて、本文で何度も言ってますが、歴史が結構変わってます。マナがいること、レイが心なし明るいこと、ユイが目覚めてることです。
この後もいろいろ変わってることありますが「こういう作品」だと思ってください。

では、勝手に解説コーナー!!(笑)
今回は「なぜ、マナがネルフにいるのはレイの仕業にしたのか?」ですが。
プロローグでシンジの願いを叶えたときに、シンジの護りたい人のイメージがレイの頭に入ってきて、そこにマナの顔があったわけです。
私は「鋼鉄のガールフレンド」をやったわけではないので詳しくは知らないので、この辺の設定は適当になってます。以下が設定です。

ロボット事件のときにレイもいてマナの事を知っていた、そしてその事件の最悪な結果も。そして、シンジがマナのことを少なからず  好きであったことをサードインパクトが起こってリリスになったことで知る。最後に頭に入ってきたイメージを踏まえて、チルドレンと
言う立場にマナを置いたのであった。
と、こういう風にしました。(見にくくなってしまいましたが怒っちゃイ・ヤ・よ♪)(爆)
一応言っておきますが、この物語のイメージ属性はLASなのでLMSになることはありません。


<次回予告>
歴史が変わったため、マナとも同居することになり、少なからず幸せを感じていたシンジ。
だが、そんなシンジを見て、レイは怒りを覚える。
そして、レイはシンジを屋上へと呼び出すのであった・・・。

次回、The Restart Of Evangelion

      「炸裂!!レイ、怒りの鉄拳!」  (コメディー路線まっしぐら〜っすね。)

を、お送りしまーす。


アスカ:アンタっ!! ネルフで何なにしてんのよっ!!(ーー)

マナ:やったーーーっ! 本当に戦自から抜け出してるわぁぁぁっ!(^O^)

アスカ:さっさと戦自に戻りなさいよねっ!!!!

マナ:べぇぇぇーだっ! 当分アスカも現れないしっ! ちゃーんすっ!

アスカ:ネルフが大変なことになってるのにっ! アタシは、今何処でなにしてんのよーーーっ!

マナ:ドイツに決まってるでしょ。

アスカ:アンタなんかがうろつくネルフに、シンジをおちおち置いてけないわよーーーっ!

マナ:チッチッチ(指フリフリ)。ネルフだけじゃないわ。家でも同棲よ同棲。いやーん。(*^^*)

アスカ:同居って言いなさいよっ! 同居ってっ!(ーー#)

マナ:そうそう、わたしって寝てる間に人の布団に潜り込む癖があるのよねぇ。(*^^*)

アスカ:コロスっ!(▼▼#)

マナ:最高の展開だわぁぁぁぁぁっ!!!

アスカ:絶対殺してやるぅぅぅぅうううううっ!(▼▼#)
作者"ウエッキー"様へのメール/小説の感想はこちら。
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感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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