「こうしてみると、やっぱり使徒って大きいんですね〜。」

そう言って、使徒を見上げるマナ。一方、シンジとレイはそんなマナを見ていた。

「・・・そ・れ・で〜、何かわかったの、リツコ?」

口調はふざけているが、目が真剣なミサト。まったく、面白くなさそうにリツコは答える。

「これを見て。」

「何これ?601?」

「・・・解析不能のコードナンバー、だそうですよ、ミサトさん。」

不意にシンジが声をかける。その発言に感心してるミサトと驚くリツコ。

「へ〜、よく知ってるわね。シンちゃん。」

「どこで聞いたのかしら、それ?」

「綾波に教えてもらったんですよ。ね?綾波。」

「・・・ええ。」

リツコの追求何のその、という感じのシンジとレイ。

「ふう、まあいいわ。詳しいことは説明してもしょうがないから言わないわ。
 ただ、使徒は構成素材の違いはあっても、その信号と座標の配置は人間の遺伝子と酷似してるの、99.89%もね。」

「「「・・・・・・・」」」

黙ってしまった3人のうち、2人はこの事を知っている。

「やっぱり大きいな〜。表面ぬるぬるするよ〜、気持ち悪〜。」

相変わらず、使徒を見ていたマナだった。そして、シンジ達がいる間にゲンドウは姿を見せることは無かった。

(何で来ないんだ・・・父さん。)


「そうそう、はいこれ。新しいカードね。」

そう言ってミサトが3人にカードを渡す。

(はあ・・・今回は綾波も貰えたのか、残念。)
(どうして・・・、こういう時だけちゃんと仕事をするの。葛城一尉。) 

前回同様、今回も「おいしい」思いをしたかったのだろうが、それが無くなり残念がるシンジ。やはり「年頃の男の子」である。
そして、レイも「今」の自分に触れて欲しかったと思うのも、やはり「年頃の女の子」と、いうことなのだろうか?

               

                 The Restart Of Evangelion

                   第4話 「碇ユイ帰還、そして・・・」 



翌日、EVA零号機再起動実験日

今のレイなら問題無く起動するはずだが、シンジは別のことを心配していた。

(今日、第5使徒が襲来する。母さんが還ってくる・・・けど、やっぱり加粒子砲は嫌だー!!!)

一度は死にかけた攻撃、しかもその事を知っているのだから怖くて当然だろう。
1人ブルーになってるシンジを尻目に実験は淡々と進んでいく。

「EVA零号機、起動しました!」

オペレーターの1人が報告する、同時にサイレンが鳴り響く。

「使徒接近中です!!」

別のオペレーターがミサトに報告する。

「実験中止!!シンジ君は出撃準備!リツコ、初号機は?」

「380秒後に出撃可能よ!!」

「了解!!シンジくん、頼んだわよ!!」

「はい!」

慌ただしくなる中、零号機を「ジッ」と見つめるゲンドウ。
そんなゲンドウに目をくれず、ケージへと走っていくシンジであった。

「EVA初号機、発進準備完了!」

「シンクロ率100%、ハーモニクス正常位置!」

オペレーターがシンジの状態を報告していく。

(さて、これからだ・・・。いくよ!母さん。)

目を閉じて、シンジは集中していく。

「発進!!!」

ミサトの号令が掛かり、地上へと射出される初号機。そして・・・

「使徒内部に高エネルギー反応!!」

「!まずい・・・シンジ君、避けてーーー!!!!」

(さあ、来い!!)

オペレーターの報告に、我を忘れて絶叫するミサト。初号機の中で覚悟を決めるシンジ。

ジョババババババババ!!!!!!!!!!!

「ぐわあああああああ!!!!!」

加粒子砲の着弾音と同時に発せられたシンジの絶叫に発令所にいる人達は目をそむける。

(母さん、早く!!)

(もうせっかちね、シンジったら〜。今行くわよ〜。)

息子がヤバイ状態なのにのんびりしてるユイさん、只者ではない。

「戻して、早く!!」

そんな中、目をそむけなかった人の1人、ミサトが指示を出す。オペレーターも慌ててシンジを引き戻す。
射出口に固定されたままの初号機は、そのまま地面の中へと消えていく。
初号機が消えた後、使徒はドリルのようなものでボーリングを開始した。


ケージに戻った初号機の元へ向う、ミサト・リツコ・レイ・マナ。
そして、4人がケージに着いた時、リツコにマヤから通信が入る。

「センパイ!初号機のエントリープラグ内の質量、出撃前より増加してます!」

「な、なんですって?それで、シンジ君は無事なの?」

「は、はい。通信・映像モニターこそできませんが、生命反応は・・・2つ、2つあります!!」

「・・・わかったわ。こちらもケージについたから直接調べるわ。」

「はい。」

リツコは「2つ」と聞いて思い当たる事があったが、振りきってエントリープラグ内のシンジに呼びかける。

「シンジ君、出てきてくれる?」

「・・・はい、今出ます。」

はっきりした声で返すシンジ。無事を確認できた4人は安堵する。
そして、出てきたシンジは有無を言わさずにリツコの白衣をひったくる。

「な、何をするの、シンジ君!」

「すいません、少し借ります。」

そう言って、白衣をエントリープラグ内に投げ入れる。しばらくすると、もう1つの生命反応を示した「モノ」が出てくる。

「ふう、ひさしぶりね〜。うーん・・・、空気が吸えるってすばらしいわね。」

いきなり出てきた「モノ」は人間であった。その場にいた4人は驚きのあまり凍りつく。

「お還り、母さん。」

「ただいま。ようやく会えたわね、シンジ・・・。」

「ぎゅっ」と抱き合う2人、その姿はとても暖かい光景であった。そして、ユイはシンジから離れるとレイの元へ歩み寄る。

「はじめまして、ね。レイ。」

「・・・・・・・・。」

いきなり名前で呼ばれたことよりも、なぜ私の名前を知っているのか?レイは警戒した。

「あらあら、そんなに警戒しないで頂戴。お母さん、悲しいわ。」

「・・・どういうことなの?碇君。」

ユイの目尻に涙が浮かぶのを見ると、レイは矛先をシンジに向ける。

「そのまま、だよ。言ったでしょ、そのうち家族ができる、って。」

微笑みながらシンジはレイに優しく語る。ユイはレイに微笑みかけ、リツコは驚きを隠せず、
ミサト・マナの2人は展開についていけなかった。

「・・・・・お母さん、なの?」

「ええ、あなたのお母さんよ。誰が何と言おうとも、あなたは私の娘よ・・・レイ。」

ユイの言葉を聞いたとき、レイは何か熱いものがこみ上げてきた。それが何なのかわからないまま、レイは涙を流していた。

「お母さん!!うっ、うっ、うっ・・・。」

泣きながら飛び込んでくるレイをユイはやさしく受け止めた後、3人に自己紹介をする。

「初めまして、皆さん。私の名前は碇ユイ、碇ゲンドウの妻でシンジ、レイの母です。」

お辞儀をするユイに慌てて頭を下げ、自己紹介をする3人。

「は、初めまして、シンジ君とレイちゃんのクラスメートでフォースチルドレン、霧島マナです。」

「初めまして、ネルフの作戦部長をやってます、葛城ミサトと言います。」

「・・・初めまして、赤木リツコです。」

「よろしくね、皆さん。」

自己紹介も済んだ後、発令所から連絡が入る。

「葛城さん!!使徒がボーリングマシンのようなもので地面を掘っています。どうやら、本部を直接攻撃する模様です!!」

「到達時間は?」

「約12時間後です!!」

それを聞いた後、EVA初号機を見るミサト。先ほどの加粒子砲で胸の部分が融解しているのだ。

「赤木博士、初号機の胸の修理はどれくらいかかる?」

「・・・・・・・。」(あの人が還ってくるとはね・・・もう、私は用済みなのかしら。)

「リツコ!!」

「あっ・・・、ごめんなさい。修理は今から始めて5時間後には完了するわ。」

「では、修理の方はお願いします!!後のみんなは発令所に上がって、作戦会議をします!」

リツコの様子が気になるものの、ミサトは他のみんなを連れて発令所に向かった。


「ごめんなさい、葛城さん。何か服は無いかしら?この格好だと風邪をひいてしまうわ。」

発令所に向う途中、ユイがミサトに声をかける。

「・・・・・レイ、お母さんをシャワー室に案内してあげて。ユイさん、そこに何かあるでしょうから自由に使ってください。」

「ありがとう、葛城さん。さっ、レイ、案内してちょうだい?」

「こっちよ、お母さん。」

そう言ったレイの顔は真っ赤だった、きれいな笑みを浮かべて。うれしさ半分、照れ半分なのだろう。
そうこうしている内に、残りのメンバーは発令所に着いた。

「各種、いろんな実験をしました。結果、一定範囲内にある目標を100%加粒子砲で狙い撃ち。
 ATフィールドは位相空間が肉眼ではっきり見えるほど強力なやつが展開されています。」

「ごくろうさま、日向君。」

ミサトはオペレーター・日向の報告・レポートに目を通し、可能な作戦を組み立て始める。

「・・・攻撃されないように遠距離からの攻撃で、ATフィールドを突き破って殲滅。これっきゃないわね!」

「確かに、ね。でも、うちにはそんな強力な武器は無いわよ、葛城作戦部長。」

いつのまにか戻ってきたリツコがミサトの作戦に意見する。

「・・・シンジ君はどうすればいいと思う?」

続け様にシンジに意見を求めるリツコ、目は真剣である。

「ここにないのなら、どこか他から借りればいいんじゃないんですか?」

シンジが口を開く前にマナが答える。そして、ミサトの両目が「かっ!」と見開く。

「それよ〜!!マナちゃん、えっらーい!!リツコ、零号機借りるわよ。マナちゃん、出撃準備!!」

「!!彼女にはシンクロ出来ないわ。」

「そんな事言ってる場合じゃないでしょ?前に零号機でシンクロ出来たじゃない!
 前回のテストで記録を伸ばしてるんだから、大丈夫よ!」

シンジが来る前にマナは1度、零号機に乗ったことがある。その時に起動したが、少し動いただけだった。

「準備できました!!」

2人が口論をしてる中、零号機に乗りこみ、出撃準備完了しているマナ。

「よし!!青葉君、お願いね。」

オペレーター・青葉に声をかけるミサト、青葉は困った顔をしてリツコに確認する。

「いいんすか?赤木博士。」

「ふう、やるだけやって頂戴。ダメならあきらめるでしょ、ミサトも。」

投げやりな感じで許可を出すリツコ。LCLが注水され、シンクロを開始する、マナ。

「シンクロ率・・・31.4%!!」

「いけるわね!!行くわよ、マナー!!」

ミサトは駆け出していった。目的地は戦自研である。

(いったいどうなってるのかしら・・・?あれから半月も立ってないと言うのに、しかも零号機で・・・。)

その場に残ったリツコは答えの出そうの無い疑問に悩んでいた。



そんな中、発令所から出たシンジはシャワー室に向っていた。ユイ達と合流してゲンドウの計画を止めるためである。

「母さん、綾波!!」

2人の姿を見つけると駆け寄るシンジ。近寄るにしたがってユイの顔が怒っていることに気付く。

「シンジ・・・綾波じゃなくてレイって呼びなさい!たった一人の妹なんだから。」

「わ、わかったよ。母さん。そうだ、父さんの所にいかないとね・・・レ、レイも一緒に、ね?」

ユイに一喝され、顔を真っ赤にして「レイ」と呼ぶシンジと、呼ばれてこちらも顔を真っ赤にするレイがいた。


総司令執務室、すなわちゲンドウの部屋である。

「・・・指令、レイです。入室してもよろしいですか?」

インターホンから聞こえるレイの声、近くのモニターでドアの前の人物を確認する。そこにはレイが1人で映っていた。

「・・・許可する、入りなさい。」

「失礼します。」

そう言って入ってくる3つの人影にゲンドウは警戒する。ドアと机の距離がかなり離れている上に、部屋の中は薄暗いのだ。

「レイ、そこの2人は誰だ?」

「僕だよ、父さん。ここにつれてこられて以来だね、元気?」

シンジが軽口を叩くが一切無視のゲンドウ。

「あなた・・・シンジが話しかけてるのに無視をするなんて、どういうつもりなのかしら?」

今度はユイが話しかける。その声を聞くと、「ガタンッ」と椅子から立ち、駆け寄ってくる、ゲンドウ。

「ユ、ユイー!!!!」

しかし、そんなゲンドウの突進を「ひらり」とかわすユイ。

「あなた・・・シンジを「先生」のところに預けてたんですって?10年の間も、どういうつもりですか?
 それと、レイのことも知ってます。今すぐに計画を中止してください。さもなくば・・・。」

「・・・すまなかった、シンジ、レイ。
 ユイ、君が戻ってきてくれたのだから計画は当然中止する。」

どうするのかわからないのに、ただならぬユイの雰囲気にあっさり謝罪し、計画中止を決めるゲンドウ。しかし・・・

「と・こ・ろ・で、赤木リツコさんと「ただならぬ関係」だったみたいですね〜。」

例えて言うなら「般若」というのがぴったりな表情で怒りをあらわにするユイ。

「あ、いや、それは・・・君を助けるために、だなあ・・・。」

「私を助けるために彼女を利用したと言うことですか・・・・・反省しなさい、この大馬鹿者が〜!!!」

バキイイイイイイッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!

「ぐはあああああああ!!!!!!!」

レイがシンジを殴ったときよりも数倍威力のありそうな音を響かせた。

「しばらく別居です!シンジとレイと3人で暮らしますから、反省なさい!」

そう言って3人は執務室から出ていった。



3人が発令所に戻ると、ミサト・マナも戻ってきていた。

「それでは、作戦の確認をします!
 翌日、午前0時にニ子山にて作戦開始。第5使徒を超長距離からの狙撃で殲滅します。
 射撃はシンジ君、防御はレイに担当してもらいます。いいかしら、2人共?」

「僕よりも綾波のほうが射撃の成績が上なんで、綾波が射撃で僕が防御の方がいいと思うんですけど。」

ミサトの作戦での自分の役割に意見するシンジ、レイを前回のような目にあわせたくないのである。

「シンジ君の方がシンクロ率が高いのはわかるわよね?シンクロ率が高ければ高いほど「痛み」のフィードバックが大きいの。
 もし、使徒の攻撃を防ぎきれなかった場合、シンジ君よりもレイの方が助かる可能性が高いからよ。」

ミサトの代わりにリツコが説明をする。シンジは実感でそれを知っていたが譲る気はなかった。

「けど!!僕が撃つより、綾波のほうが命中率が高いはずです。だから勝率も高いはずです!!」

「・・・一理あるわ。でも、私は出撃や役割分担よりも今の初号機にシンジ君がシンクロ出来るか疑問だわ。
 シンクロが出来るのなら、あなたの言う通りにしましょう。いいわね、葛城作戦部長?」

「・・・・・わかったわ、許可します。シンジ君、シンクロテストの用意、急いで!!」

シンジにとって、この展開は望むべき展開であった。レイを危険な目にあわせなくて済むのだから。
しかし、リツコの言う通りにシンクロ出来るかはわからないのも事実である。
自分の提案したアイデアとはいえ、過去に成功した例があるわけないからだ。
もし、失敗してシンクロ出来ないとなると、戦力の大幅ダウンは否めない。それは、人類滅亡へとつながる事なのだ。


「準備完了しました!」

「シンクロテスト、開始!!」

マヤの報告を聞いて、実験が始まった。

(この感じは・・・母さん、なのか?今までと変わらない気がする・・・成功、したんだな。)

シンジが考え事にふけつつもシンクロを続ける。

「シンクロ率100%、いままでと変わりません!」

(そんな馬鹿な!!そんな事ありえないわ・・・いったい、何をしたの?ユイさん、アナタは!)

「これでいいですね?ミサトさん、リツコさん。」

無事シンクロ可能だということが確認できて満足げなシンジと自分の理解の範疇を越えた出来事に苦悩するリツコ。

「・・・わかりました。射撃はレイ、防御はシンジ君にしてもらいます!各員、準備急いで!!
 シンジ君達は時間まで自由にしてていいわ、ネルフ本部内でね。」

ミサトが指示を出すと、各々が指示に沿った行動をとるのであった。


ユイは発令所から出ていこうとするリツコを呼んだ。

「赤木さん、ちょっといいかしら?」

「はい?かまいませんけど・・・。」

「2人でゆっくり話の出来る所、ないかしら?」

「では、私の研究室へ。」

リツコの後ろに歩くユイ。リツコの顔はこわばっていたが、ユイからはその表情を伺うことは出来ない。

「どうぞ。」

「ありがとう。・・・ここに座ってもいいかしら?」

「どうぞ、今コーヒー煎れますね。」

リツコの煎れたコーヒーを1口飲み、ユイから話を始めた。

「・・・リツコさん。「リッちゃん」って呼んでもいいかしら?私の方が年上だし、ね。」

「ええ、かまいませんけど・・・。」

いきなり呼び方についていわれるとは思わなかったので驚くリツコ、ユイは気にせず話を続ける。

「あなたとあの人の関係のことは知ってます・・・。その結果、あなたがあの人に利用されていたことも。
 リッちゃん、あの人のことは忘れて・・・いい人を探しなさい。あなたならきっと素敵な人が見つかるわ。」

「・・・・・あの人が私を利用するために「そういう関係」になったことは認めます。
 あと、あの人の気持ちを振り向かせることも出来ないということも・・・。」

「あなたは悪くないわ・・・。けど、あなた自身の為に、ね?」

「はい。」

そう言うと2人共椅子から立ち、ユイはリツコの前まで行くと右手を振り上げた。

パアーーーン!!!

ビンタが炸裂し、リツコの左頬は赤くなった。

「これであの人との関係もお終い、ね?あとは、あの人にリッちゃんが思いっきりビンタかましてらっしゃいな!」

「はい!本当にすみませんでした。」

その後、2人は時間の許す限り話しこんでいたのであった。



作戦開始時間10分前、ニ子山。

「作戦の最終確認をします。ライフルでの射撃はレイ、盾での防御はシンジ君にやってもらいます。
 盾というのはSSTOの底部に電磁コートしてあるもので、17秒は敵の加粒子砲を防げます。」

「ちなみにライフルの再充填には20秒かかるわ・・・わかるわね、レイ?」

ミサトとリツコの2人の説明が終了し、タラップを昇る2人。シンジが隣を見ると、レイの顔からは緊張が痛いほど伝わってきた。

「大丈夫だよ、綾波。リラックスして、いつも通りにやればいいんだから。」

「ええ、わかってるわ・・・。大丈夫・・・だから。」

2人の立場が入れ替わったことにより、シンジは自分の望んだ通りになったが、
レイは「自分が失敗すると碇君が。」というプレッシャーに悩まされていた。

「大丈夫だよ。綾波は守るし、僕も死なないから、ね?」

「ありがとう、碇君。私・・・がんばる。」

多少の緊張が残るものの、レイは微かに微笑んで、そしてシンジも微笑み返し、それぞれ搭乗していった。

「時間よ、2人共!レイ、日本中の電気をあなたに預けるわ!!」

「はい!」

「撃鉄起こせ!」

ミサトの作戦開始の合図と激励にはっきりとした返事で答えるレイ。
レイのかぶったバイザーが目標にロックされた。中継車の中に同じ映像が出てるモニターを見るミサトが指示を出す。
同じくしてラミエルも加粒子砲の発射準備を開始していた。

「発射ー!!!」

「も、目標に高エネルギー反応!!」

「なんですって!?」

互いの砲撃が干渉し合い、弾道が逸れる。

「第2射急いで!!」

「零号機ヒューズ交換!」

「レイ、そのままでは狙い撃ちされるわ!再充填まで時間を稼いで!!」

指示を受けて、コード類を手繰り寄せ、山の斜面を滑り降りるレイ。ラミエルは第2射の充填が完了し発射してきた。

「!早いわ、シンジ君!!」

「うおおおおおおお!!!!!!!」

レイの前に立ち、加粒子砲を防ぐシンジ。すでに10秒経ち、残り7秒しか耐えられないのに対し、再充填まで後10秒。

「く、くそううううう!!!!!」

盾が解け始めるが、再充填は終わらない。

(早く・・・早く・・・じゃないと碇君が・・・お兄ちゃんが死んじゃう!!)

「がああああああああ!!!!!!!」

レイが焦る中、盾が解けきって直接照射されるも受け止めつづけるシンジ。

「再充填完了!!」

「レイ、発射ー!!!」

再充填完了のサインが出ると同時に、出たミサトの指示にあわせて引き金を引くレイ。その弾道は見事にラミエルのコアを貫いた。

「シールド、本部の直上にて停止! 完全に沈黙しました!」
 
日向の報告に安心する面々。しかし、レイは零号機から飛び出すと倒れている初号機の元へと走る。
レイが初号機の元へたどり着くと、シンジが自力でエントリープラグから出てきた。
それを見たレイは両目に涙を浮かべつつ、シンジの胸に飛び込んだ。

「よかった・・・よかった、お兄ちゃんが無事で・・・。」

「お兄ちゃん?ああ・・・母さんがそう呼んでって言ったんだね。」

「大丈夫、体?」

「ああ、大丈夫だよ。そろそろ迎えが来る頃だから座って待ってようか。」

シンジがその場に座ると、隣にレイも座る。そのまま2人は迎えが来るまで夜空に浮かぶ月を見ていた・・・。


 
<後書き>
どうも、ウエッキーです。
すいません!!アスカを出すつもりがラミエル戦だけで第4話が終わってしまいました、本当にすいません。m(_ _)m
次の第5話には絶対、絶対出します。みなさま、もう少しお待ちください。
それにしても、主線は本編の流れですけど、かなりアレンジ入ってるような気がします、最近。


<次回予告>
おまたせしました、アスカ登場です!!
さて、アスカは「還ってきたのか」、「過去なのか」はお楽しみに〜♪
さらに・・・。

次回、The Restart Of Evangelion

          「アスカ登場」 

を、お送りしまーす。


マナ:とうとう、ユイさんが帰って来たわね。

アスカ:ちょっと待って?

マナ:ん?

アスカ:アタシが来日した時点では、どうなってるのかしら?

マナ:どうって? シンジも綾波さんも、幸せいっぱいなんじゃない?

アスカ:そうじゃなくてよ。ダレが何処に住んでるの?

マナ:そりゃ、シンジと綾波さんはユイさんと住むんじゃない? 親子なんだし。

アスカ:アタシは?

マナ:え・・・・。(ーー)

アスカ:まさか、アンタと同居なんてならないでしょうねぇーーっ!!!

マナ:いやーーーっ!! ガサツな女2人と同居なんていやーーーっ!!

アスカ:ちょとっ! ミサトと一緒にしないでよっ!
作者"ウエッキー"様へのメール/小説の感想はこちら。
frontier@tokai.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system