「あれ?ミサトさん、今日は早いんですね?」 さすがにマナは驚いた。 いつもなら自分達より早く起きる事のないミサトが、 マナとシンジがリビングにそろう頃にはすでに起きていて、「ビシッ!」っとした格好でいるのだ。 (ああ、そういえば今日だったな・・・JA。) 「ちょっちね、お・で・か・け♪」 「そうなんですか、夕食は?」 「うーん、いらないわ・・・。ごめんね、マナ。」 「は〜い。」 マナとミサトの「家族」の会話が一段落ついた所でシンジが話を始める。 「ミサトさん。短い間でしたけどお世話になりました。」 「そっか。今日だったわね〜、引越し。ごめんね、手伝えなくて。」 申し訳なさそうに、手をあわせるミサト。 「いいですよ、大した荷物があるわけ無いし・・・。」 「そういってもらえると助かるわ〜。」 「ところで、時間大丈夫ですか?ミサトさん。」 シンジの言葉に救われたかと言うように笑顔を浮かべていたが、マナの言葉に現実が容赦無く襲ってくる。 「しまった〜!ま〜た、リツコにどやされるわ!!じゃね、2人とも。」 「「いってらっしゃーい!」」 慌てふためきながら出かけるミサトを笑顔で送り出す2人であった。 「じゃあ、僕も引越ししなくちゃ。」 ミサトが行った後にシンジも行動を開始する。 「あっ、私も手伝うよ。」 ちなみにマナとシンジは学校・ネルフ共に休みである。 「いいよ、せっかくの休みなんだし。それに近いから、さ。」 「そう?わたしは別にいいのに・・・。」 「少し」どころか「かなり」残念がるマナ。残念がるしぐさもかわいいので、ちょっと見惚れるシンジ。 「いっ、いや。本当にいいんだよ。マナも家事やったりして大変だろ?こういうときはしっかり休まないと、ね?」 「うっ、うん・・・。心配してくれてありがとう、シンジ君。」 お互い顔を真っ赤にしたまま話す二人、端から見るとかわいらしいカップルである。 「それじゃ、マナ。また、学校やネルフでね。」 「うん。またね、シンジ君。」 こうしてシンジは新居へと引っ越していった。 「「おかえりなさーい。」」 シンジが新居へと到着すると、レイ・ユイの2人が出迎えてくれた。 「ただいま・・・。それにしても大きいね、ここ。」 家の大きさに驚くシンジ。この家ならゆうに10人くらいで生活しても問題なさそうである、それくらい大きかった。 「そうね。でも、これから増えるんだし・・・問題無いでしょ?」 「そうだね・・・ってええ?父さんでしょ、増えるって言っても。」 当たり前の疑問にユイはさらに疑問を浮かばせるように答えるため、混乱するシンジ。 「アスカが来るわ、お兄ちゃん。」 今度はレイがシンジに答える。 「アスカと一緒に住むのか・・・。そうなの?母さん。」 少し表情が暗くなるシンジ。 「そうよ。まさか、あなたあの娘をネルフの個室に住まわせるつもりなの?」 「そ、そんなことないけど・・・。ミサトさんの所だと思ってたから。」 ユイの言葉に穏やかな中にも剣幕を感じたを感じたシンジは言い訳する。 「ダ・メ・よ♪あの娘には花嫁修行してもらわなくっちゃ!」 「!!な、なにいってんのさ、母さん!!」 「誰もシンジのお嫁さんにするなんて言ってないでしょう?」 「なっ・・・・・。」 ユイにはかなわないシンジは沈黙してしまう。 「お兄ちゃん。お母さんもすべてを知ってるの、力を分けてもらったときに。力は失われても知識は残るわ・・・。」 レイの言葉に「はっ」とするシンジ、顔は真っ赤である。 「じ、じゃあ、母さんは僕の好きな人の事・・・。」 「もちろん知ってるわ。」 しれっと答えるレイ。ユイは息子の顔を見て笑いをこらえていた。 「・・・シンジ、過去はどうあれ逃げちゃダメよ。アスカちゃんはアスカちゃんなんだからね。」 「うん、わかってる。」 (そう、わかってる。過去でも還ってきたのでもアスカはアスカだ。僕は同じ過ちはしない!!) まじめな顔に戻りシンジを励ますユイに、シンジもまじめな顔で答えるのだった。 一方、碇家が話に花を咲かせている頃、零号機に乗ったマナとミサトがJAを止めていた。 The Restart Of Evangelion 第5話「アスカ登場」 アスカ来日前日 ネルフ本部・発令所 「今日からネルフ副指令兼技術部顧問として皆さんと一緒に働くことになった、碇ユイです。よろしくね、みんな。」 と、ユイが就任の挨拶をしていた。 これで冬月と副指令が二人となったが、冬月はゲンドウの秘書的な仕事に対して、ユイは技術部の顧問も兼ねている。 「Evangelionの基礎理論」を立てた人であるから技術部がピッタリだと考えたのだろう、ゲンドウのアイデアであった。 それに、本部内にいてくれるならいつでもユイに会える、というのもあるのだろう。 一方、ユイにしてみれば、部署なぞどうでもいいことだった。シンジ達と一緒にいたかったし、自分もなにかしたいと思ったのだ。 博士であったので技術部に配属したゲンドウの配慮には言葉にしないものの感謝をしていたのであった。 就任の挨拶も終わり、ユイはミサトに声をかけた。 「葛城さん。」 「なんでしょう?碇副指令。」 ビシッと答えるミサトに苦笑しながらユイは言葉を続ける。 「ユイさん、でいいわ。かわりに「ミッちゃん」って呼んでもいいかしら?」 「はっ?」 ミサトは唖然とした。上司が自分のことを名前に「さん」付けでいいよ、と言うのもそうだが、 29歳の女性に向って「ミッちゃん」と呼んでいいかと聞くのだ。驚くのが普通の反応である。 「ダメかしら?リっちゃんはいいって言ってくれたのに・・・。」 「あっ、いえ。驚いてしまって・・・かまいませんよ、ユイさん。」 「ありがとう、ミッちゃん!!」 そう言って笑顔でミサトに抱きつくユイ。飛びこんできたユイを「かわいい」と思ってしまったミサトは複雑な顔をして抱きとめていた。 しばらくして、ミサトから離れるとユイは話を続ける。 「本題に入るわね。明日来日するセカンドチルドレンの出迎えに私とレイ、そしてマナちゃんを連れていって欲しいのよ。」 言葉では「依頼」だが、上司からの「依頼」は「命令」である。ミサトはまじめな顔になり、ユイの真意を聞く。 「なぜでしょう?もしかしたら、使徒が来襲するかもしれません。危険が及ぶかもしれないんですよ!」 「かまわないわ。使徒殲滅ために弐号機とセカンドがここに来るんですから、来日途中で来ても大丈夫よ。」 「しかし・・・。」 「いいえ、連れていってもらいます。あの人の許可も出てますし、本部にはシンジを置いていくから使徒の襲来にも対応できます。」 本気でユイを止めるミサト、ユイも一歩引かない。 「・・・・・わかりました。明日お迎えに上がります、よろしいですね?」 「ありがとう、ミッちゃん!じゃあ、明日お願いね。」 「はい、お疲れ様でした。」 そう言ってミサトはユイを見送ったのだった。 (リツコがリッちゃんか・・・。お互い、かわいい呼び名をつけられたわね。) 「さあて!あたしも帰ろっかな・・・じゃ、みんなお先〜。」 「「「おつかれさまでした!」」」 オペレーター・日向、青葉、マヤの3人が答えた後、ミサトは帰っていった。 「レイ〜、明日はお母さんとマナちゃんとミッちゃんの4人でお出かけよ〜。」 自宅に着いたユイは返ってきた挨拶もそこそこに用件を話す。 (僕じゃないのか!!どうしてだよ、母さん!!) 夕飯を作りながら、顔がこわばるシンジ。 「シンジは本部で待機よ。使徒が来るかもしれないし、ね?」 キッチンに顔を出して、そう伝えるユイ。実際に来るのはアスカ・弐号機の所なのを知ってるのだがらシンジは納得いかない。 「母さんも知ってるだろ?アスカと僕のタンデムシンクロで次の使徒を倒したんだ!僕が行かなきゃだめなんだよ!!」 「そうは言っても、シンジ。歴史は変わってるわ、いままでのは過去と一緒だったからと言っても、次のは違うのかも知れないわ。 本部が狙われたら大変なことになる、だから、シンジを本部に待機にしたのよ。わかって、シンジ。」 「・・・わかったよ、母さん。」 「ごめんなさいね、シンジ。」 ユイの言うことは正論である。歴史が変わってる以上、次が過去と一緒という保証は無いのである。 シンジにもそれがわかったが故の返事であった。 「さあ、御飯にしようよ!レイ、食事の準備手伝って〜!」 「は〜い、お兄ちゃん。」 そんなこんなで碇家の夜は更けていく・・・・・。 アスカ来日当日 ネルフ本部・赤木リツコ研究室兼自室 ユイ・ミサト・レイ・マナの4人がアスカの元へと向ったその日、リツコは自室で考え事をしていた。 (結局、仲良くなってしまったわね・・・ユイさんと。絶対に仲良くなれないと思ってたのに人間関係はロジックじゃないわね。 これでよかったのよ・・・。私にはあの人を「受け止めること」はできるわ、けど「受け入れられてはもらえない」のだから。 私とあの人の繋がりは「体」と「Magi」だけ、どんなことしても「心」の繋がりは得られなかった。 ユイさんがいなければ・・・違うわね、あの人にはユイさんしか映ってなかった。 レイを見ているときもユイさんを見てた。どうであれ、私はユイさんには勝てない。「科学者」としても「女」としても、ね。 あ〜あ、私にも「いい人」いるかしらねえ・・・。) そんな時、「ガチャ!」という音にリツコは反応し、ドアの方に目を向ける。 「あの、センパイ。ちょっと聞きたいことがあって・・・。」 マヤであった。本当に困った顔をして、そこに立つ姿にリツコはときめいた。 「そこじゃなんだから・・・入ってらっしゃい、マヤ。」 「はっ、はい!失礼します。」 その日、発令所にマヤは戻ってこなかったと言う・・・。 ネルフ本部・パイロット更衣室 「う〜ん、アスカ・・・好きだよ・・・・・むにゃむにゃ・・・ぐう。」 シンジはなにかあってもいいようにプラグスーツに着替えていたのだが、暇なために備え付けの長椅子に横になり寝ていた。 一方、ヘリコプター内 「ミサトさん、これからどこに行くんですか?」 それまで海を見ていたマナがミサトに今日の目的を聞く。 「う〜ん、クルージングかな。まっ、着いてからのお楽しみ♪」 別に言ってもいいのだが、さらりとかわすミサトであった。 その頃、日本に向っている軍艦からこちらに向ってくるヘリを見上げる人影1つ。 「もうすぐ、日本か・・・。」 それからしばらくして、ヘリが軍艦の上に着陸すると、こちらに向ってくる人影1つ。 「はじめまして、皆さん。僕はカヲル、渚カヲル。ドイツで見つかった、フィフスチルドレンです。」 そこには14歳にしては丁寧な物言いで挨拶をする少年がいた。 「私はネルフ本部所属の作戦部長、葛城ミサトです。それよりもフィフスがいたなんて初耳よ。」 自己紹介もそこそこに、さっそく疑問をぶつけるミサト。 「さあ、僕にはわかりませんよ。」 そこに残りの3人も降りてくる。 (フィフス!?・・・そう、あなたも還ってきたのね。)はレイ。 (レイちゃんに似てる!?でも、かっこいいな・・・彼。)はマナ。 (確か貰った知識では、彼はフィフスであると同時に第十七使徒だったわね・・・。)はユイ。 「後ろの皆さんも初めましてですね。渚カヲルです、よろしく。」 至ってマイペースなカヲルであった。そんなカヲルにもう1つの疑問をぶつけるミサト。 「私達はセカンドチルドレンとEVA弐号機の受け取りに来たんだけど・・・アスカはどこ?」 「・・・警戒してますね、当然です。これがドイツ支部から預かった弐号機の使用書と命令書です、どうぞ。」 そう言って、書類を渡すカヲル。受け取ったミサトは早速中を確認する。 「・・・・・・・わかりました。それで、アスカはどこなの?渚君。」 「こちらです、皆さんどうぞ。」 そう言って歩き出すカヲルの後ろ4人は歩くのだった。 「ここです。」 「ここって・・・食堂じゃないの?」 カヲルの案内した場所は食堂であった。マナがドアの横にあるプレート見て聞く。 「そうだよ・・・え〜と、君の名前は知らないんだ。後で自己紹介してくれるとうれしいな。」 「うん!じゃあ、そのアスカさんって人と会った時に。ねっ?レイちゃん。」 「・・・そうね。」 マナが笑顔で答えるのに対して、レイはカヲルを睨んでいた。 「後で話がある・・・リリス。」 それを見つけたカヲルが食堂のドアを開けみんなを通す、レイが入ろうとする時にすれ違いざまにそう囁いた。 中に入ると食堂のテーブルについてる3人がいた。1人は不精髭の男、後の2人は女の子で双子のようにそっくりだった。 「よう〜、葛城じゃないか!!」 「げっ!か、加持!!・・・うかつだったわ、考えればわかることなのに。」 不精髭の男・加持リョウジはミサトになれなれしく声をかけた。 そんな加持に隣に座った女の子達が口を開いた。 「ちょっと、加持さん!アタシの紹介がまだなのよ!!世間話は後にしてよね!!!」 「そうですよ、加持さん。お姉ちゃんの言う通りです。」 2人に責められてはたまらないのか、加持もおとなしくなる。 「さて、初めまして!私が惣流・アスカ・ラングレー、セカンドチルドレンよ。よろしくね♪」 「あの、初めまして・・・。私の名前は惣流・アスナ・ラングレーです、よろしくお願いします。」 唖然とするミサト・ユイ・レイであった。彼女達が知るアスカには姉妹はいなかったはずなのだ。 「え〜っと、初めまして!私は霧島マナ、フォースチルドレンです。よろしく♪」 1人マイペースなマナは自己紹介を始めていた。それに気付いたのか後が続く。 「・・・初めまして。綾波レイ、ファーストチルドレンです。よろしく。」 「私は碇ユイ。日本にいるサードとこのレイの母親です。レイと苗字が違うのは気にしないでね。」 「私は葛城ミサト・・・って知ってるわよね?」 全員の自己紹介も終わり、アスカが口を開く。 「ところで、サードチルドレンはどうして来てないの?」 「あら〜、シンちゃんの事気になるの?アスカ。」 からかいモードに入り、完全にやけ顔でアスカに聞くミサト。 「まあね。実戦で使徒を倒したのってそいつなんでしょ?どんなヤツか気になって当然じゃない!」 「優しい子よ、家の子は。」 (この娘がアスカちゃんか・・・かわいい娘じゃない!さすが、シンジ。まあ、キョウコの娘だもの、美人で当然かしら。) ミサトのかわりにユイが答えた。心の中では全然別のことを考えていたが。 「それにしても、アスカに姉妹がいたなんてね〜。どっちがお姉さんなの?」 「私よ。本当は双子だったのよ、私達。育ての親が違うだけ、実際会ったのは1ヶ月くらい前よ。」 アスカの答えに満足したのか、今度は加持と話に耽っていった。 「アスカちゃん、ちょっといいかしら?」 ユイが話を切り出した。 「かまいませんよ、なんでしょうか?」 「じゃあ、ちょっと場所を変えましょうか。弐号機はどこにあるのかしら?」 「こちらです。アスナもかまいませんよね?」 「ええ、いいわ。」 「アスナ〜、ちょっと来なさい。」 「な〜に、お姉ちゃん?」 呼ばれてやってくるアスナはアスカの横に立つと、アスカの服の裾をつかむ。 「じゃあ、行きましょうか。」 アスカ達の後ろにユイはついて歩いていった。 ついた場所には弐号機があった。 (キョウコ・・・。) ユイは弐号機を見つめ親友の名を心の中で呟くと、アスカ達に目を向ける。 「単刀直入に言うわ。日本についたら私達と一緒に暮らさないかしら?」 さっそく本題を切り出すユイにアスナは目を見開いて驚いたが、アスカは反応しなかった。 「なぜでしょう?ネルフ本部内に住居を与えてもらえますから、一緒に暮らす必要はないと思いますが。」 冷静に切り返すアスカ。 「そうね。けど、年頃の女の子があんな所に住むのはどうかと思うわ。家は広いから気兼ねしなくてもいいと思うんだけど・・・。」 ユイも負けじと説得するが、アスカはまったく聞かない。アスナは2人の雰囲気におびえたのか声も出せずにいた。 「ドイツでも2人でネルフ内に住んでましたから、問題ありません。話はそれだけですか?失礼します!」 そう言って、食堂に戻ろうとする惣流姉妹にユイは言葉を続ける。 「家の子、シンジって言うんだけどね。お料理上手なのよ、得意料理は・・・ハンバーグだったかしら。」 過去の知識から得た情報であった。アスカの好物はハンバーグ、食べ物で釣るのはどうかと思うがユイはなりふり構っていられなかった。 「ハンバーグ」に「ピクッ!」と反応する惣流姉妹、2人とも好物は一緒らしい。 急に足を止めたアスナにアスカは妹の方を見つめた。 「どうしたの?アスナ・・・。」 「どうしてお姉ちゃんはあの人達のこと嫌がるの?私は一緒に暮らしてみたいよ。同い年の子の友達だって欲しいもん。 私達は中学生じゃないけど、向こうの学校に通ってみたいもん。あの人の息子さんが作ったハンバーグ食べてみたいもん・・・。 ねえ、お姉ちゃん。あの人にお世話になろうよ。お世話になるのが嫌だったら、家賃払って「下宿」してることにすればいいじゃない。 そうしようよ、お姉ちゃん。」 そう言って、姉を説得するアスナの目には涙が溜まっていた。 「・・・ふう、わかったわよ。だから、泣かないで、ね?アスナ。ユイさんでしたね?同居の件、お願いします。」 妹の涙に降参したアスカは同居の件をOKしたのだった。 「こちらこそよろしくね。シンジって言うんだけどね、家の子。喜ぶわ〜、かわいい娘が2人も来るんだから♪」 喜ぶユイの笑顔は惣流姉妹を自然に微笑ませるほど、素敵な笑顔であった。 そのころ、人影少ない所にいる2つの影。レイとカヲルであった。 「やあ、リリス。久しぶりだね、元気だったかい?」 「私はあの時からリリスじゃないわ。今の私は綾波レイ、人間よ。」 「ふ・・・む、どうやらそうらしいね。リリスじゃないことは知ってたさ。力をシンジ君にあげた所は見ていたからね。 体組織も・・・驚いたね。還ってきてからかい、そうなったのは?」 「ええ。あなたはまだアダムの力を持ってるようね。」 「そうさ、僕にはあげる相手がいなかったからね。」 お互いの現状を確認しあった後、レイはカヲルに尋ねた。 「アスカが2人いるわ。あなた何かしたの?」 「どうして、そう思うんだい?」 「あの場にいた「人」はお兄ちゃんとアスカだけだったわ。あなたが戻ってくるときに、彼女も連れてくることは可能だったもの。」 「なるほど。あの時の彼女は確かにシンジ君のことが好きだったよ。でも、僕もシンジ君のことが好きなのさ。 ライバルを連れて還ってくるなんてすると思うかい?僕はしないさ。」 「・・・・・・。」 カヲルの軽口に殺気のこもった目で睨むことで答えるレイ。 今のレイにカヲルをなんとかできるはずはないのだが、その視線にカヲルは背中に嫌な汗をかいた。 「それよりも、ユイさんが還ってきてるなんてね。シンジ君かい?」 「そう、私の力を使ったわ。お母さんに力をすべて渡して、お母さんはコアの書き換えに力をすべて使ったわ。 だから、リリスの力はもう無いわ。」 「そうか・・・。僕もアスカさん達のお母さんをサルベージすればこの力無くせるかな?」 「わからないわ。もし、実行するならお母さんにやり方を聞いたほうがいいわ。」 「そうだね。日本についたら相談してみるよ。」 「じゃあ、食堂に戻るわ。」 「僕も行くよ。」 そう言って戻ろうとしているときに水中衝撃波が艦隊を襲った。第6使徒ガギエル襲来である。 その時、惣流姉妹は未だに弐号機を格納している所にいた。 「衝撃波・・・まさか使徒!?」 ユイの一言に姉妹は反応する。近くの棚に入れてあった鞄を引っ張り出すと階段したに降りて行く。 「行くわよ、アスナ!」 「うん、お姉ちゃん。」 すばやい動きでプラグスーツに着替えると弐号機に飛びこむ。 「アスカちゃん、アスナちゃん2人で乗るの?それより、今の弐号機はB型装備よ、大丈夫?」 ユイが2人に確認する。 「「大丈夫です。私達は2人で乗るんです。それより、ミサト(さん)に発進許可を!」」 2人がきれいにユニゾンして答える。 「じゃあ、私が許可します。大丈夫、私はミッちゃんの上司なんだから。」 「「じゃあ、お願いします!!」」 「それでは・・・EVA弐号機、発進!!」 発進の号令を聞き、動き始める弐号機。ユイは号令を出す、という気持ちよさに酔っていた。 「おい!!誰だ?勝手に動かしてるやつは!?」 艦隊の艦長が叫ぶ。その時、弐号機から通信が入った。 「ごめんなさい、艦長さん。でも、使徒が来ちゃったから・・・。本当にごめんなさい!」 アスナであった。その声を聞くと艦長の顔は緩み、たれていた。 「副長!!電源ソケットの用意、急げー!!」 「了解です、艦長!!電源ソケット用意!!!」 副長が通信機で指示を出す、それを聞いて軍人達は急いで電源ソケットを用意した。 「みなさん、ありがとうございます!」 アスナが礼を述べると歓喜の声が上がる。アスナはどうやらこの艦隊のアイドル的存在だった。 「行くわよ!アスナー!!」 「電源接続完了!いいわよ、お姉ちゃん。」 騒ぎが起こってるのでミサト・マナ・加持が外を見てみると弐号機が戦っていた。 加持はそこから離れ、携帯で連絡を入れようとする。が、後ろから伸びた手によって邪魔された。 「誰だ!!」 「あら、加持さんでしたわね?ダメですよ、1人だけ逃げようとしては。」 ユイである。加持ほどの男を相手に気配を読まさせずに背後から近づく、只者ではない。 「なぜ、逃げると?」 「その中のアダムを届けるために、ですわ。家の人の指示ね。」 加持は驚いた。苗字からしてゲンドウの妻だとは思っていたが、ここまで知ってるとは思わなかったからである。 「だったら・・・わかるでしょう。」 「い〜え、それは対ゼーレに対する有効なカード。けど子供達が戦ってる中、逃げてまで渡すモノではないわ。」 「・・・・・。」 「それにここで最後まで残ってくれるなら・・・あなたの追ってる真実、教えてあげるわ。」 (どうする・・・ネルフ総司令の妻、この中のことも知ってる。悪い取引ではない・・・か。) 「わかりました、残りましょう。そのかわり・・・。」 「いいわ、日本についたらね。それと、もう一つ条件があります。」 「なんでしょう?」 「ミッちゃんのそばにいてあげて・・・。あなた達のことは知ってるわ、だから。」 (そんな事まで知ってる・・・これから教えてもらえる「真実」とやらも期待できそうだな。) 「わかりました。アイツが俺をフッたんで、許してもらえるか・・・どうか。」 「大丈夫よ。あなたと話してるときのミッちゃん、すごくうれしそうだったから。」 「・・・信じましょう。」 大人同士の会話が終わりにさしかかる頃、ガギエル戦も終盤を迎えようとしていた。 「いいわね?2人共。深度70まで上げたら、戦艦によるゼロ距離射撃、頼むわよ!!」 「「了解!!」」 いつのまにか指示を出してるミサトであった。 「深度100・・・90・・・80・・・70です!!」 「ミサイル発射ー!!!」 大きな水中爆発、見事に使徒を殲滅した弐号機&艦隊であった。 「やったわね・・・アスナ。」 「やったわね・・・お姉ちゃん。」 戦艦に吊り上げられた後、彼女達は自室で日本到着まで眠っていた。 「シンジく〜ん、もうすぐ会えるからね〜!!」 その頃、カヲルは珍しく大声で、愛する少年に早く会いたい気持ちを叫んでいたのであった。 <後書き> ども、ウエッキーでございます。 ようやくアスカ登場しましたー!!!はあ、長かったなあ・・・(しみじみ) 今回は各キャラ会話がメインになってますんで戦闘はおざなりです、すいません。m(_ _)m 一通りのキャラが出揃ったので「投稿作家様のコーナー」にてキャラ紹介などをやろうかと思います。 この作品が掲載されたらやりますので、興味のある方は見てやってください。 <次回予告> アスカ・アスナとシンジの初対面!! なぜ、双子になってしまったのか?これも歴史が変わった所為なのか? そして、ユイは加持にすべてを話すのか?その後の加持の行動は? 次回、The Restart Of Evangelion 「アスカとアスナ」 をお送りしまーす。
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