ザザーン・・・・・ ザザーン・・・・・ ザザーン・・・・・ ピカァーーーーーーーー!!!!!! ザザーン・・・・・ ザザーン・・・・・ 「なによ・・・一瞬だけ激しく光ったと思ったら消えちゃってさ。」 紅い海の前で横になっていた「アスカ」は1人ごちた。 「いつのまにか、ファーストもバカシンジもいないじゃない・・・やっと1人、せいせいするわ。」 1人しゃべる「アスカ」に答えるものはいない。先ほどから指1つ、表情も変えずにしゃべっていた。 「アタシ・・・このまま死ぬのかしら・・・。 もう、どうでもいいわ・・・。EVAは無い、ママはいない・・・アタシは1人ぼっち・・・。」 呼吸はしてるのか、胸の部分は上下運動をしている。しかし、それ以外のところは動いていなかった。 「・・・そう言えばアイツ、アタシのこと好き、とか言ってたわね。 ふふ・・・無敵のシンジ様が足手まといのアタシをね〜、おかしくて笑っちゃうわ・・・。」 量産型との戦いで弐号機とシンクロし、戦闘をしていた「アスカ」は足手まといではないのだが、結果は惨敗。 過程より結果で物を言うのは彼女らしい。 そう言って、自分を卑下するも、彼女の両目から涙が流れていた。 「泣いてるのね、アタシ。もう、「泣かない」なんて言ってたのに情けないわね・・・。 でも、これが本当のアタシ。1人ぼっちが嫌、寂しいのは嫌・・・好きな男の子を「嫌い」って言ってる自分が嫌。 ・・・シンジ、アタシがもし、本当の自分を出して、アンタに接してたら、アンタとアタシがお互いの気持ちをはっきり伝えて、 お互いで支え合えれば・・・アンタも、アタシも、そして世界も、こうはならなかったのかもね。」 「アスカ」が自分の本当の心の内の独白、それを聞く、いや、聞いてほしい少年は、どこかへ消えてしまった。 「答えてよ、シンジ。アタシもアンタのことが好きなのよ!出てきなさいよ、バカシンジー!!」 「う〜ん・・・僕の好きな人をバカ呼ばわりしてほしくないなあ・・・、惣流=アスカ=ラングレーさん。」 どこからか出てきた少年に、ありったけの声での愛の告白を聞かれた「アスカ」は顔を真っ赤にして少年に言い寄る。 「ちょ、ちょっと!アンタだれよ?・・・って好きな人?アンタってホ、ホ○〜!?」 「いきなり失礼な人だね、君は。確かに彼と(ゴニョゴニョ)したいなあ〜・・・、って何を言わせるんだい。 おっと、自己紹介が遅れたね。僕はカヲル、渚カヲルさ。」 笑顔が引き攣りつつもカヲルは自己紹介を済ませる。とりあえず、落ち着いたのか「アスカ」はカヲルと話をはじめた。 「で?アンタは何しに来たの?」 「惣流さん、僕と一緒に過去へと還らないかい?」 この時、「アスカ」はカヲルが(惣流さん)と呼んでいたが(アスカ)と呼びなおさせなかった。 「はあ?そんなの出来たら苦労しないわよ。」 「シンジ君は還っていったよ。すべてをやり直すんだ、ってね。それに君は彼の近くにいたのに知らなかったのかい?」 「・・・興味が無かったのよ、その時はね。」 「あんなにストレートな告白をされたのに?」 「そこで「何かしてるわね?」って思ったら「ピカッ!」と光って、人の気配が消えたのよ。」 「ふうん・・・。君はシンジ君に会いたくないのかい?」 「そりゃ、会いたいわよ!でも、アタシは・・・。」 会いたい、この気持ちに偽りは無い、シンジのことも好きなのだが、自分がいざシンジの前に立ったら素直になれるか自信がなかった。 例え、シンジが「好き」と言ってくれても、ちゃんと受け止められる自信もなかった。 「自分の気持ちに正直になればいい。過去に戻ったからといって、今までと同じ生き方をする必要もないんだよ。 それこそ、EVAに乗れなくても、シンジ君は君を見てくれるさ。」 「・・・アンタ、いいヤツだったのね。」 少し顔を赤くしながらカヲルは話を続ける。 「僕も彼のことが好きなのさ。彼が幸せになるのに君が必要だというのならば、僕は何とかしたい。それだけだよ。」 少し俯き、考え始める「アスカ」。その隣でカヲルはやさしい笑顔で見守っていた。 「・・・アタシ、行くわ。」 「そうかい?じゃあ・・・行こうか。」 ピカァーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!! (リリス、君も来るといい・・・。そのほうがシンジ君も喜ぶさ。) こうして、3人はそれぞれのスタート地点へと還っていった。 The Restart Of Evangelion 第6話「アスカとアスナ」 「アスカ」とカヲルはドイツにいた。 「ここは・・・・・ドイツ支部ね。アタシ、還ってきたのね・・・。」 還って来たことを実感する「アスカ」。 「しまった!君をそのまま連れてきてしまったよ・・・。」 カヲルが「しまった」という顔をした。唖然とする「アスカ」。 「なにいってんのよ、アンタは〜。アタシを連れてくるって言ったんだから、いいんじゃないの?」 「シンジ君は精神だけ還ったんだよ、昔の肉体に戻るためにね。そうじゃないと、EVAに乗れなくなるからね。」 それを聞いて顔を真っ赤にして怒る「アスカ」。EVAに乗れなかったらチルドレン失格である。 日本どころか、ここでの生活も危うくなってしまう。 「どうすんのよ!今から精神だけ抜いて入れ替えなさいよ!!」 「そりゃ無理だよ。いいかい?やることはできるけど、失敗したらどうするんだい?精神を抜くってことは肉体が死ぬって ことなんだよ。失敗したら君の体は無くなってしまうんだから、体に戻る精神は消滅してしまうんだ。 それに、成功したらもう1人の君の精神はどうするんだい?君のために殺してしまうのかい? ・・・はあ、初めから精神体でいれば、精神の統合が出来たのに・・・・・。」 統合、2つの精神体を1つにすること。そのためには、どちらかの精神体の「心」を「無」にすることが必要なのだ。 取り出してすぐには「無」にならない、時間が必要なのだ。もうすぐ「こちらのアスカ」がやってきてしまうため、その時間も無い。 「アスカ」と同じく、カヲルのシンジに会いたい気持ちが強すぎた故のミスであった。 「じゃあ、どうすんのよ・・・。」 「死」という言葉に敏感なため、声のトーンが低くなる「アスカ」。 「もう1人の惣流さんの記憶を書き換える。彼女にはEVAの起動をしてもらうのに必要な人材だからね。 君一人ではシンクロすることは出来ないと思うから。 もう1人の惣流さんは・・・君の双子の妹にしておこうか。いいかい?」 「・・・それじゃあ、素直な自分でいられるようにしてあげて。あの生き方じゃ、ダメだから。」 カヲルの質問に自分の要望を伝える「アスカ」、その顔は微笑んでいた。 「それと、名前は・・・「アスナ」でいいわ。「アスカ」と「アスナ」語呂が似てるでしょ?」 「わかったよ。もう1人の君は「アスナ」って名前でいいんだね?」 最終確認に「アスカ」は首を黙って縦に振った。 「それじゃ、始めるよ。ふうう・・・・・はあああああ!!!!!」 力を込めるカヲル、目の色がよりいっそう紅くなる。その手の先にはATフィールドが発生した。 「・・・・・・・サイレンも使用不能にさせてもらったけど、終わったよ。 もうすぐ、ここにくるのは惣流=アスナ=ラングレーだよ。」 疲れきった笑顔で「作業」が終わったことを報告するカヲル。その際に自分の居場所も作っていた。 そう、例えて言うなら「集団催眠」の強化版といったところであろう。「アダム」の力だからこそ、出来る代物であった。 使徒のなかで1番の力を持っているので、その気になれば世の中の設定すべてを変えることだって出来るのだ。 (やっぱり僕には「フィフスチルドレン」がしっくりくるよ。) ついでに自分をチルドレン登録したのである、さすがカヲル抜け目が無い。 「それにしても・・・さっきのアンタ、ちょっとカッコよかったわよ。」 心なしに顔が赤いアスカ、少し見とれてしまったらしい。 「ありがとう。でも、僕はその言葉をシンジ君から聞きたかったよ。」 どこか遠くを見つめるカヲル。それを見て、赤かった「アスカ」の顔が真っ青になる。 「やっぱり、アンタ・・・○モだったのね〜!!」 「なっ、違うといっただろう!」 珍しくあせるカヲル。2人で騒いでいると、控え室のドアが開いた。 「あ〜!お姉ちゃ〜ん!!」 そう言って、アスカに飛び込んでくるアスナ。 「ちょ、ちょっと・・・」 自分に甘えてくれるのはかまわないが、同じ顔の人間って言うのは少し抵抗があるアスカだった。 「寂しかったんだよ〜。朝起きたら、お姉ちゃんもカヲルさんもいないんだもん!」 「ちょっと、どう言うことよ?」 アスナの発言にアスカは小声でカヲルに問いただす。 「そういうことにしたんだ、話を合わせておいてよ。」 悪びれも無く、そう言うカヲルにアスカは観念した。 「ごめんね、アスナ。お姉ちゃんと渚はネルフに用事が出来たから。」 話を合わせることには納得したが絶対にカヲルを名前では呼ばない、と決めていた。名前で呼ぶのはあの少年だけだから・・・。 「EVAパイロット3名に連絡!ただいまから最終シンクロテストを実施する。各自、準備してから実験場へくるように!」 3人で雑談していると放送が入る、シンクロテストだ。それを聞くと、カヲルは学生服のまま実験場へと歩いていった。 「さあて、着替えようか?」 「うん!」 (本当のアタシって子供っぽかったのかしらねえ・・・。) アスカはそんなことを考えつつも、着替えを始める惣流姉妹であった。 実験場につくと、いつのまに着替えたのかカヲルはプラグスーツに着替えていた、前に着ていたのと同じ色である。 「アンタ、いつの間に着替えたの?」 実はドイツ支部にはチルドレン用の更衣室は1つしかない。 つまり、着替える場合はカーテンなどでしきりを作って着替えるのだが、カヲルはさっさと出ていってしまったのだ。 アスカは疑問に思って当然である。 「おや?アスカさんは僕の着替えが見たかったのかい?」 「そ、そんなわけないでしょ!バカッ!!」 顔を真っ赤にして否定するアスカをカヲルは笑顔で見ていた。 「ちなみに、アスカさん・アスナさんって呼ぶからね。惣流さんだと2人呼ぶことになっちゃうからね。」 「わかったわよ、しょうがないわねえ。」 2人して小声で話している姿を見ていたアスナは (本当に2人とも、仲がいいんだから・・・。でも、お姉ちゃんは渡さないわよ。) と、1人微笑んでいた。 「それでは、シンクロテストを始める。アスカ・アスナの両名はタンデムで、いいな?」 「「はい。」」 これもカヲルの仕業なのか、惣流姉妹は「タンデムシンクロ」で起動させるのが当たり前、となっていた。 「その後に、個々にテストするからな。では・・・テスト開始!!」 テストプラグに入る3人。程なくしてテストが終わった。 結果は、アスカ・アスナ・88.8%、カヲル・100%だった。 「うむ。前回より伸びているな、2人とも。タンデムシンクロを採用しているのはうちだけだからな、立派なデータになる。 次にカヲルは・・・相も変わらず「さすが」といったところか。引き続いて、個々のシンクロテストに入る! では・・・テスト開始!!」 別々のテストプラグに入ってのシンクロテスト。 結果は、アスカ・12.7%、アスナ・36.7%であった。 「個々で見ると・・・情けないな。しかし、おまえ達は2人で1人だからな・・・。よし、テスト終了とする。 それと放送でも言った通りだが、ドイツでのシンクロテストは今日が最後になる。 明日の日本行きに備えて、今日は早く休むように。それでは、解散!!」 ドイツ支部の責任者らしき人がそう言った後、3人はネルフ内の「家」へと帰っていった。 本当は個室なのだが、3つの個室がつながって1つの家のようになっている。これもまた、カヲルの仕業であるのは言うまでもない。 「それじゃあ、わたしはお風呂入ってくるね!」 「は〜い、ゆっくりしてらっしゃい。」 アスナがお風呂に入ったのを確認すると、アスカはカヲルとこれからのことについての話を始めた。 「まさか、日本行き前日だったとわね。」 「早くシンジ君に会いたかったからね。空母にくるのは彼と彼の友達2人、そしてミサトさんだったね。」 明日のことを考えていたのか、笑顔でアスカに答えるカヲル。 「そうよ、って何で知ってるのよ!?」 その場にいたかのように答えるカヲルにアスカは疑問の声をあげる。 「サードインパクトで僕は第1使徒アダムと融合し、力と知識を得たからね。」 「ふうん、まあいいわ。・・・明日なのね、シンジと会うのは。」 カヲルの説明に納得したと思ったら、今度はシンジのことで表情が曇るアスカ。 「怖いのかい、彼と会うのが?」 「正直言うと怖いわ。でも、そんなこと言ってらんないし、ね。ただ・・・。」 アスカの曇った表情に、カヲルは不安以外に悩みも見ていた。 「ただ?」 「どう接したらいいのかな、って。いきなり、「アタシも未来から還ってきたわよ、シンジ!」って言うのもね。」 「彼も同じく還ってきたんだから、気にすることないさ。なんだったら、彼1人にだけ言えばいいさ。」 アスカの不安と悩みを吹き飛ばすようにカヲルはやさしく答える。 「彼1人ってシンジ以外に、アタシとアンタだけじゃないの?」 アドバイスよりも引っかかる事柄にアスカはまたも疑問の声をあげる。 「リリス・・・いや、綾波レイも還ってるはずだよ。僕がそうしたからね。」 「ふうん、ファーストもね。いいわ、ファースト・・・じゃなくてレイとも話をして、今度は仲良くしようかしら。」 「そうしたほうがいいと思うよ。」 前回は素直になれなかったがために、レイにも辛くあたっていたことを後悔したアスカは、レイと「友達」になろうと決心した。 「そうするわ。はあ〜、早く明日にならないかしら・・・。」 「本当だね・・・。」 かれこれ1時間は話していただろうか、アスナは未だにお風呂に入っていた。バスルームからは鼻歌が聞こえる。 「それにしても・・・彼女、お風呂長いね。君もそうなのかい?」 「ええ。これくらいが普通でしょ?」 「いや、違うと思うけど・・・。」(こんなに長いと知ってたら、先に入ればよかった!!) アスカの答えを聞き、カヲルはげんなりしていた。 「うう・・・お風呂〜、お風呂に入りたいよ〜・・・うう。」 本部に向かう車の中でうなされているカヲル。しかし、車は目的地に着いていたので止まっていた。 「ちょっとカヲル!ネルフについたわよ、早く起きなさいよ!」 「・・・・・はっ!夢だったのか・・・よかった。」 「ほら、行くわよ!」 シンジに会えることがうれしいのか、思いっきりカヲルを急かすアスカ。それを見て微笑むカヲルにアスカの一撃が炸裂した。 バッチーーーーーーーーーーン!!!!!!!!! 「な〜に、人の顔見てニヤニヤしてんのよ!このスケベ!!」 「う〜ん・・・、照れ隠しにしては手痛い一撃だね、アスカさん。」 じゃれあう2人に見かねたアスナが声をかける。 「お姉ちゃん、カヲルさん。早くしないと、みんな待ってるよ!」 アスナの言った通り、ユイ・レイ・マナ・ミサト・加持は車を出て入り口前で待っていた。 「あっ、まずいわ!ほら、早く行くわよ!2人とも!!」 みんなを待たせていた1人だったアスカが、さもアスナとカヲルが悪いように急かす。 「カヲルさん、早くしてね。待って〜、お姉ちゃん!」 アスカに追いついたアスナはアスカの腕に自分の腕を組む。 「ちょ、ちょっと、アスナ・・・腕!」 「行きましょ、お姉ちゃん♪」 そう言ってアスカの腕を組んだまま、姉妹はさっさと入り口へと歩いていった。 「シンジ君。僕は君に会うために、とびっきりのお土産を持って還ってきたよ・・・ご褒美くれるよね、フフフ。」 不気味な笑いを浮かべつつ、入り口に向かうカヲル。 「じゃあ、行きましょう。」 ユイは全員揃ったことを確認すると中に入っていく、その後ろを皆がついていくのだった。 「今日は顔見せと自己紹介だけね。3人とも・・・じゃないわね、マナちゃん含めて4人は家で引き取るわ。」 発令所に向かう道の途中でユイはさらりと言った。 (ってことは・・・マナともいっしょなのね。シンジはアタシのことが好きだって言ってたし仲良くしようかしら。 シンジのこと抜きに考えれば、コイツも悪いヤツじゃないのよね・・・。) 「ちょっと待ってください、ユイさん!」 アスカが考え事をしている中、ミサトが抗議する。当然である、人間らしい生活が出来てたのはマナのおかげなのだから。 そんなミサトにとっての、ライフラインとも言えるマナを取られるわけにはいかない。 「な〜に?ミっちゃん。」 こういう展開になると予想したユイは「来たわね」と言った感じで答える。 「その、シンジ君やレイ、それに今日来た3人の上にマナちゃんを引き取るのは大変なのでは?」 ミサトの言うことも正論なのだが、ユイにはミサトを黙らせるカードを持っているため取り合わない。 「だめよ、ミっちゃんのところは。男の人がこれから住むんだから。ねっ?加持君。」 「そういうことだ、よろしくな。葛城!」 結局、対ガギエル戦終了後、日本に向かう空母の中でユイは加持に彼の追っていた「真実」を話していたのだ。 「なっ、何を言うんですか!ユイさん!!アンタも何言ってんのよ、加持君!!!」 顔を真っ赤にするミサトにユイはまじめな顔をした。 「レイ、マナちゃん。みんなを発令所に先に案内していてくれるかしら。」 「わかったわ、お母さん。」 「わかりました。行こう、みんな。」 そう言って子供達がいなくなったことを確認した後、ユイがミサトの顔を真っ直ぐ見つめた。 「ミっちゃん、素直になりなさい。加持君がいなくなってから、その気持ちに気付いても遅いのよ。」 「いなくなってから・・・ってどういうことですか?」 ミサトの顔はまだ少し赤かったが、声はまじめで落ち着いていた。 「・・・俺はな、スパイだったのさ。日本政府とネルフのな。」 この時、ゼーレの名前をあげなかったのは、ミサトが知るのはまだ早いとユイと加持が決めたことであった。 「なっ、スパイってアンタ・・・。」 「そういうことよ、ミっちゃん。加持君はいつ殺されるかもわからなかったのよ・・・そうなってからじゃ遅いじゃない。 2人が過去に交際してたことは調べて知ってるわ。勝手にこんなことして、ごめんなさいね。 だから、ここに来るまでに彼の追っていたことを私が答えたわ。代わりにミっちゃんのそばにいてあげてって言ったの。」 ユイは勝手に過去のことを調べたことを謝りつつも、加持と一緒になることを説得した。 「・・・加持君。アンタが追ってたのってなんだったの?」 「すまない。それを言ってしまうと、お前まで危ない目にあってしまうかもしれない。すべてが終わったら・・・話す、必ず。」 「そう、わかったわ・・・。」 ミサトは俯きながら、これ以上の追求をあきらめた。普段、おちゃらけている加持がまじめな顔をしているのだ、 何をしても教えてくれないだろう、と。例え、一緒に住むから教えて、と言っても。 「葛城、オレが本気で惚れた女はお前だけだ・・・結婚、とまでは、まだいかないが一緒に住まないか?」 「信じていいのね、それ?」 加持とミサトが2人だけの世界を作っている中、ユイは1人離れたところにいた。 「仲人って・・・こう言う感じなのかしらね。」 しばらくして、2人が歩いてきた。 「決まったようね、2人とも。」 「はい・・・。マナちゃんのことよろしくお願いします。」 そう言ってミサトはユイに頭を下げた。 「まかせて!加持君の処遇については夫からの指示にしたがってもらうわ、悪いようにはしないから安心して。」 「よろしくお願いします。いや〜、これでユイさんには頭が上がらないですね。」 頭を下げた後、笑顔で冗談を言うのが加持らしかった。 「さて、みんな待ってるわ。私達も行きましょうか?」 そう言うと2人は首を縦に振り、発令所へと向かった。 大人3人が発令所の前に着くと、子供達はそこで待っていた。 「ごめんなさい、みんな。じゃあ、入りましょう。」 ユイが代表で謝り、全員が発令所の中へと入っていった。 「みんな〜!新しいチルドレンを紹介しま〜す!!」 こういうことが好きなのか、司会をかってでたミサト。 「惣流=アスカ=ラングレーです、よろしく♪」(シンジは・・・いないじゃない!!どこいったのよ、アイツは!) 「妹の、惣流=アスナ=ラングレーです、よろしくお願いします。」 「渚カヲルです、よろしく。」(なんでシンジ君がいないんだい、僕に会いたくないのかい!!) 笑顔の裏で個々に違うことを考える2人であった。 「もう1人おまけよ!」 「おまけって、おい・・・。加持リョウジだ。所属は決まってないが、これからよろしくな。」 加持の紹介も終わり、解散の予定だったがアスカがミサトに聞く。 「サードはどこにいるの?」 「ちょっと待ってね・・・待機中だから、更衣室かしら。今、呼んであげるわ。」 そう言うと、内線で更衣室のシンジに声をかける。 「・・・・・・・・早く来てね。さて、もうすぐ来るから、みんな待っててね。」 それから5分ほど経ったころ、学生服姿のシンジがやってきた。 (アスカが2人!?しかも、カヲル君まで・・・どうなってるの、一体!?) 発令所に入るや否や驚くシンジ、それに気付いたアスカ・カヲルだったが気にせず自己紹介をする。 「アンタがサードね・・・ふーん、まあまあね。アタシは惣流=アスカ=ラングレーよ、よろしく!」 「はじめまして、アスカの双子の妹、惣流=アスナ=ラングレーです。よろしくお願いします。」 「僕はカヲル、渚カヲル。よろしくね。同じ男同士仲良くしようね♪」 呆然としていたシンジだったが、気を取り直して自己紹介をする。 「あっ、えっと、はじめまして、碇シンジです。よろしくお願いします。」 何とか自己紹介を済ませたシンジだが、わけがわからなかった。 (どうなってるんだよ、アスカが2人だと思ったら双子だし、カヲル君がいるし・・・レイは何か知ってるのかなあ。) 「・・・レイ、どうなってるの、これ?」 「・・・わからないの。多分フィフスが関わってると思うけど・・・。」 考えてもわからないので、小声でレイに聞くシンジだったがレイもわからないと言う、悩みは深まるばかりだった。 「ところで・・・リツコは?」 ミサトが誰となく聞いた。 「赤木博士なら、指令のところに行きましたよ。」 ミサトの声に反応した日向が答える。 (あら、リっちゃんたらアレをやりにいったのね♪) 「ミっちゃん、加持君行くわよ、司令室。」 ユイは笑顔で言った、どうなるか楽しみで仕方ないといったところか。 「はあ、なぜです?」 「加持君の処遇を決めるのよ。」 ミサトの問いに笑顔で答えるとユイはさっさと歩いていった、2人もそれに続く。 「そうそう、シンジ・レイ・マナちゃん。アスカちゃん達に本部内の案内をしてあげて。 こっちの用事が終わったら呼ぶから、それまでお願いね。」 ユイは最後にそれだけ言いに戻ってきた後、走って司令室に向かうのだった。 「それじゃあ、案内するよ。僕はアスカさんとカヲル君を、レイとマナはアスナさんを頼むよ。」 シンジがそう言うと、アスカ・アスナ・マナは面白くない顔をする。 「わかったわ、お兄ちゃん。・・・行きましょう、2人とも。」 ((怖い!!逆らったら・・・絶対、ヤバイ!!!)) 前半は明るい、後半は冷たい声でそう言うと、2人は素直にレイの後についていくのだった。 「じゃあ、僕達も行こうか?」 「そうね。」 「それじゃあ、案内頼むよ。シンジ君。」 そう言うと、シンジ・アスカ・カヲルの3人はレイたちの逆の方向を歩いていった。 「それで・・・用件は何かね?赤木博士。」 一方、こちらは総司令執務室(以下司令室とします。)ゲンドウとリツコが対峙していた。 冬月はゲンドウの雑務を押し付けられたのか、出張でいなかった。 「・・・・・・・・・。」 「黙っていてはわからんよ、用が無いなら出て行きたまえ。」 リツコがここに着てから5分近くになるが、リツコは一言もしゃべらずに「じっ」とゲンドウの目を見ていた。 ゲンドウもユイにリツコとの浮気がばれているため、リツコの出方を伺っていた。 「・・・・・碇指令。」 ようやく話を始めたリツコに、ゲンドウはいつものポーズで聞く姿勢に入った。 「・・・なにかね。」 「失礼します。」 そう言って出て行くと思ったら、リツコはゲンドウの目の前まで近寄ってきた。 「・・・椅子から立って、こちらに出てきてもらえませんか?碇指令。」 「・・・・・。」 無言でリツコの言う通りにするゲンドウ。さっきからリツコの様子がおかしい、と感じていたゲンドウはこう思った。 (なぜかわからんが、・・・逆らうと危険だ。) 「ありがとうございます、それでは・・・いきます!!」 そう言って、リツコは右手を振り上げた。 ヒュッ・・・バッチイイイイイイイインンンンンンン!!!!!!!!!!!!!! 「ぐっ・・・・・・・。」 リツコ渾身の一撃のビンタをゲンドウは一言発しただけで堪えた。 「これでけじめはつけました。ユイさん、そしてご家族とお幸せに。」 「リツコ君・・・すまなかった。」 踵を返し、司令室から歩み去るリツコにゲンドウは謝罪した、頭を下げて。 しかし、リツコは振りかえらなかったため、それを見ることは無かったが・・・。 「もう、気になさらないでください。ユイさんとも仲良く出来てますし・・・いい人もできましたから。」 「・・・リツコ君。」 「それでは失礼します。」 そう言って出ていったリツコの前にマヤがいた。 「・・・センパイ。」 「待たせたわね、行きましょうか・・・マヤ。」 ユイ達はその光景を見ることなく、司令室に入ることになったのであった。 「ここが休憩室だよ。」 シンジが2人の案内をしていた。 「・・・ふうん、ここで少し休んでいきましょうか?」 アスカの提案にシンジ・カヲルは首を縦に振った。 「さて、シンジ君。話をしてもいいかな?」 椅子に座り、ジュースを飲んでいたシンジにカヲルが声をかけた。 「うん、いいよ。」 持っていたカップを置き、まじめな顔で聞く姿勢をとるシンジ。 「まずは・・・お帰り、シンジ君ってところかな。」 「やっぱり、そうだったんだね・・・。お帰り、カヲル君。」 そんな2人の様子をアスカは黙って見ていた。 「君がリリス・・・いや、綾波レイの力で過去へと還って行ったのを見て、追いかけてきたのさ。」 「そうなんだ。あの、そのさ・・・アスカ、さんに双子の妹がいるって言うのもカヲル君の仕業なの?」 ここに来た惣流姉妹のことを聞くシンジ、カヲルなら何か知ってると思ったのだ。 「うーん・・・アスカさん、教えてあげてよ。」 「・・・はあ、しょうがないわね。」 カヲルがいきなり振ってきた事にめんどくさそうに話し始めるアスカ。 「アタシも還ってきたのよ、バカシンジ。」 「えっ、そうなの!?」 「当たり前でしょ。じゃなきゃ、バカシンジなんて呼ぶわけないでしょ?」 わざと「バカシンジ」と呼んだのにも気付かないシンジに、アスカはあきれるのを通り越して感心してしまった。 「あっ、そうか、そうだね・・・。お帰り、アスカ。」 「た、ただいま、シンジ。」 とびっきりの笑顔に顔を赤くして答えるアスカ、それを見てシンジはアスカの顔に見とれてしまっていた。 「な、なによ・・・ジロジロ見ないでよ。恥ずかしいじゃない・・・・・。」 「ご、ごめん。その、かわいかったから、つい・・・。」 お互いの顔が、ますます真っ赤になったことは言うまでもない。 「い、妹のことなんだけど、渚のバカがアタシを還すときにミスったもんで出来ちゃったのよ。」 カヲルがもう少し説明を補足してこれまでのことを説明した。 「・・・・・ってことなのさ。シンジ君、がんばった僕にご褒美がほしいな。」 そう言って唇を突き出してくるカヲルの横っ面をアスカが思いっきり張り倒した。 パッシイイイイインンンンン!!!!! 「のっは〜〜〜〜〜〜!!!!!」 吹き飛ぶカヲルに怒鳴り散らすアスカ。カヲルは壁に頭をぶつけてダウンしていた。 「な〜に考えてんのよ、アンタは!!人の好きな人に手〜出してんじゃないわよ!!」 「えっ、アスカ・・・それって。」 突然の告白とも言える発言に真っ赤になるシンジ。 「そ、そうよ・・・アタシもあんたが好きなのよ。」 真っ赤に答えるアスカは自ら墓穴を掘ってしまったことに気付かなかった。 「アタシもって・・・まさか聞いてたの!!」 「そ、そうよ。聞いてたわよ!!あの後、アンタがいなくなって、1人になってから、はっきり自覚したのよ!!」 恥ずかしいからなのか、墓穴を掘ったのが悔しいのか、涙目になりつつも大声で怒鳴る。 「僕でいいの?その、恨んでないの?」 前回の人生ではいろいろあった。決定的なのはシンクロ率が抜かれたときにすれ違うようになっていったのだ。 「確かに悔しかったことは認めるわ・・・。でも、アタシの生き方は間違っているって気付いたの。 それがわかったら、シンジを恨むのは筋違いだってことがわかったの。 だから、今のアタシは恨んでるんじゃなくて、シンジのことが・・・好きなの。」 それを聞いたシンジは無言でアスカを立たせると、「ギュー」っと抱きしめた。 「ちょ、ちょっと・・・シンジ。」 「僕も・・・僕も、アスカのこと好きだよ。」 「シンジ・・・。」 お互い見詰め合った後、2人はどちらからでもなく口付けをした。 時間こそ短いものの、2人の愛を確認しあうには十分過ぎるものだった。 「あうう・・・シンジ君。こちらでのファースト・キスは僕のものだと思ったのに・・・。」 いつのまにか復活したカヲルは、今回こそは。と思っていたが、 カヲルの目論みは、あろうことかシンジに阻止にされてしまったのだった。 そのころ、同様に案内をしていたレイ・マナ・アスナの3人。 「それにしても・・・レイさんって肌が白くてきれいですね、マナさんは笑顔が素敵だし、 お姉ちゃん以外にも魅力的な女の人に会えるなんて・・・ス・テ・キ♪」 ((この娘・・・危ないわ!!)) そんなアスナの危ない発言にレイ・マナはおびえていたのだった。 <後書き> ども、ウエッキーです。 この話はシンジ・アスカ・カヲルがメインのつもりです。 アスナが危ないキャラになってますが、直接描写は書きません。(と言うより書けません。) シンジ・アスカがラブラブフィールド展開しました。なんとかLASっぽくなったと言ったところでしょうか。 ちょっと話の流れが逸れてますが、次回はイスラフェル戦を書こうかと思っております。 私信ですが、メールアドレスが変わりますので、よろしくお願いします。 <次回予告> 還ってきたのは名前通りアスカだった。 シンジは浮かれているが、アスナは、マナは面白くない。 そんなときに分裂する使徒襲来!シンジのパートナーは歴史の通りアスカなのか? アスカだとアスナもついてくるがどうなる?それとも別の人なのか? 次回、The Restart Of Evangelion 「ユニゾン、僕のパートナーはだれ?」 を、お送りします。
感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構 ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。 |