シンジ達が夕飯を食べているころ、ユイ達は何かをしていた。 「さて・・・、準備は整ったわ。渚君、後はあなた次第よ。」 「わかりました。・・・ふう〜・・・はあ〜・・・ふう〜・・・。」 ユイの言葉を受け、カヲルは呼吸を整え始めた。 (渚君・・・あなたはそこまでして「力」を捨てたいの?) 「(ピタッ)・・・はあああああ!!!!!」 レイが心配そうに見守る中、「力」を全開まで開放したカヲルはそのまま姿を消した。 「さ・・・て、レイ。待ってる間、ご飯食べにいきましょうか?」 「はい。」 「渚君、頼んだわよ・・・。そうだわ、シンジに電話しないと・・・。」 そう言って、ユイ・レイはそこから立ち去った。 (ふむ・・・うまくいったみたいだね。キョウコさん、いらっしゃいますか?) (あなたは・・・前回「私」に乗った人ね?) (ええ。初めまして、渚カヲルです。) 弐号機のコアの中にいる「魂」、惣流=キョウコ=ツェッペリン。 惣流姉妹の母親である。正確には「アスナ」の母親なのだが。 (あなたは何者ですか?人、ではありませんね?) (僕は「人」になりたい者・・・今はそのための試練を受けている「シ者」です。) (「シ者」?・・・「渚」・・・なるほどね、ふふふ。それで、あなたは何者なのかしら?) 「シ者」と「渚」のつながりに少しウケたキョウコだが、カヲルの正体を今一度尋ねた。 (使徒ですよ。未来から来た、第17使徒。 今はアダムの力を継ぎし「モノ」ですし、特に何番目と言うことは関係ありませんけどね。) (そう・・・そのあなたが何の用なの?) (キョウコさん。ここから出て、娘さん達といっしょに暮らしませんか?) (「達」?そう言えば、アスカちゃんが2人でシンクロしてたわね・・・? それもあなたの仕業なのかしら?) (ええ。僕と一緒に還ってきたのは「アスカ」、この時代のは「アスナ」と名乗っています。) その後、なぜそうなったのかを説明するカヲル、キョウコは真剣な目で聞いていた。 (・・・・・と、言うわけです。おわかりいただけました?) (そう、アスカちゃんに好きな人が・・・。あの子には私と同じようになって欲しくないわ。 あなたは知ってるんでしょう?私のことも、あの子の父親のことも。) (ええ、知ってます。あと、すべてを知ってる人は碇ユイ、綾波レイ、碇シンジの3人です。 この3人は「リリス」の力に触れ、すべてを知りました。 今は間違った方向に進んだ歴史を正すため、戦っています。) (・・・私にも何かできるのかしら?) カヲルの話を聞き、出てみようか思案するキョウコ。しかし、疑問が頭に浮かんだ。 (もし、私をここから出したとき、弐号機はどうなるの?あの子達はシンクロ出来るのかしら?) (ご心配なく。同じく初号機から出てきたユイさんが協力してくれますし、 出てきた後の初号機にはシンジ君がシンクロ出来てますから、大丈夫です。) カヲルの言葉を聞き、キョウコは決心した。 (・・・わかったわ。それじゃ、お願いします。) (それでは、あなたに「アダム」の力を渡します。それでコアの情報を書き換えてください。 やり方のほうは力を受け継いだときに頭に入りますから、ご心配無く。 それでは・・・。) 「ピカーーーーーン!!!!!」 一瞬光ったと思ったら、すぐに消えた。キョウコは目を開けるとカヲルがいないことに気付いたが、 それよりも自分の頭の中にものすごい量の情報が入ってくるのを感じた。 (・・・・・これが「力」の恩恵ってわけね。 ユイ、あなたに会うのを楽しみしてるわ。 アスカちゃん、アスナちゃん・・・早く2人に会いたいわ、お母さんがんばるからね。) 「ふう・・・。「力」を失った、か。これで人になれるのか・・・僕は。」 「力」を無くしたため、コア内にいれなくなったカヲルはケージにいた。 「人」に近くなったのだが、「嬉しい」はずなのに、彼の心は複雑だった。 そして、彼は「力」を失ったことでの「後遺症」に気付いていなかった。 The Restart Of Evangelion 第9話・前編「新・東方の三賢者」 プルル・・・プルル・・・プルル・・・ガチャ! 「はい、こちら。発令所です。はい・・・はい・・・センパイですか?少々お待ちください。 センパイ!松代からお電話です。」 「松代から?何かあったのかしら?」 早朝の発令所内でリツコはマヤから受話器を受け取ると、相手と話し始めた。 「はい、赤木ですが、何かしら?」 (はい。アメリカから・・・EVA参号機と四号機が送られてきました。) 「なっ!?どういうことなの、それ!?」 (こちらとしてもわかりません。しかも、到着したEVA両機にはコアが無いんですよ。) (どういうことなの?確かにアメリカで開発してたと言うのは知ってたけど・・・。) 「それで、アメリカ支部に連絡を取ったの?」 (いえ・・・。あらゆる通信を試しましたが・・・ダメでした。音信不通なんです!) リツコは「シナリオ」を知っている人物である。 「シナリオ」では零号機・初号機・弐号機・参号機までロールアウトする予定であった。 しかも、参号機は「使徒」となりうるための機体であるのだが、予定よりも早く参号機・四号機が完成したと言うのだ。 コアが無いといっても、完全なイレギュラーである。 ゲンドウ・冬月・ユイの3人の内の1人でもつかまれば相談も出来るのだ。しかし、まだ早朝で誰もいないのだが・・・。 「・・・ようやく、持ってきたわね。」 「ユイさん!!」 「あら、リっちゃん。おはよう♪」 「おはようございます。じゃなくて、どういうことなんです、これは!!」 前日からネルフにいたユイが姿を表したと思ったら、「ようやく、持ってきたわね。」と言うのである。 お互い「シナリオ」を知ってるもの同士だから、ゼーレに疑われる行動をしないというのは「暗黙の了解」だとリツコは思っていたのに ユイのこの行動である。大声で問い詰めようとするのも無理もない。 「そのままよ。これで、マナちゃんと渚君が使えるわね♪」 「しかし、コアはどうするんです?貴方も知ってるはずです、「コア」というものを!!」 「コア」・・・それは搭乗者の近親者の魂が入っているモノで、 初号機にはユイ、弐号機にはキョウコ、前回の参号機にはトウジの妹、とこんな感じである。 魂と言うのも近親者でなくてはいけない。しかも、「死にたて」でないといけないのだ。 そのため、マナは親はセカンドインパクトで死別してしまっているが、コアにその魂を入れることは不可能である。 カヲルについては「過去の履歴は抹消」されているため、近親者がいるのかどうかもわからないのだ。 そのため、彼らにEVAがあてがわれるのがレイ・シンジ・アスカ&アスナよりも遅いのは仕方が無いのだ。 もっとも、カヲルは前回、弐号機に乗って(?)いたのだが。 「その件に関しては後で説明します。もう1人の科学者が到着したときに、ね。」 「もう、一人?」 リツコにとってはわからないことばかりだが、ユイはニコニコ微笑むだけであった。 「私は本部副指令の碇ユイです。参号機・四号機はこちらが後で取りに向かいますので、そのままにしておいてください。」 (わかりました。それでは、失礼します!) 置いてあった受話器をつかみ、そう伝えると向こうから電話を切ったのだった。 「マヤちゃん。子供達をここに来るよう連絡して頂戴、学校には欠席の連絡を。」 「はい、わかりました。・・・もしもし・・・」 「さて、私はその人を迎えに行って来るから、あとよろしくね。」 「は、はい・・・。」 ユイは言うだけ言って、発令所を後にした。 そして、そこには「何が起こってるのかわからない」という表情でリツコとマヤがいるのだった。 とある病室。 そこにはきれいな金髪の女性が横になっていた。 「キョウコ・・・キョウコ・・・起きてちょうだい。」 「うう・・・ん。あら、ユイ。おはよう♪」 今から3時間ほど前に現世に戻ってきた、惣流=キョウコ=ツェッペリン。その人であった。 「悪いわね、寝てるところ。もうすぐ、アスカちゃん達が来るわよ、仕度してちょうだい。」 「あらあら、それは急がないといけないわね。そうだ、シンジ君も来るんでしょ?」 「?ええ、そうだけど・・・なにかしら?」 ユイはキョウコも自分と同じく「知識」を得たことに気付いていなかった。 「だって、アスカの選んだ男の子でしょ、気になるじゃない♪でも、よかったわね、貴方に似てて。旦那さんに似てたら・・・。」 「そう?私にとってあの人は「かわいい人」よ。」 「・・・はいはい。そうそう、こんなこと言ってる場合じゃないんでしょ?」 「そうよ。みんなに紹介する以外に、さっそく仕事してもらわなくちゃいけないんだったわ。」 「仕事」と言う言葉で、今まで微笑んでいたユイ・キョウコの顔が真剣なものへと変わった。 「何をすればいいのかしら?」 「量産用のコアの製造、とでも言えばいいのかしら?貴方も「コア」については知ってるはずでしょ。」 「そうね・・・。でも、そんなもの作ってどうする気?」 「今、EVAの無いパイロットが2人いるのよ。出来れば乗ってほしくないのだけど、今後のためには戦力は多いほうがいいでしょ?」 「なるほど・・・、わかったわ。コアの次は電源の改良でもしようかしら?」 「それもいいわね。」 「ところで・・・貴方も知識を得ていたの?」 「そうよ。やだ、今ごろ気付いたの、貴方。」 「むう〜・・・。」 キョウコの明らかに小馬鹿にした物言いに、ユイはむくれていた。 「ところで、ナオコさんはいないのよね?」 「ええ。今は娘のリっちゃんこと、赤木リツコさんがMagiを管理してるわ。」 赤木ナオコ・・・ネルフにとって、第三新東京市にとって、絶対必要と言うよりすべてを管理・運営しているスーパーコンピューター Magiを作った女性。この人もまた、ゲンドウに利用されていた女性である、Magiを作るためだけに・・・。 Magi・・・これには3つの人格がある「母・女性・科学者としての赤木ナオコ」の人格。 それぞれに「カスパー・メルキオール・バルタザール」と言う名前がついている。 使徒らしきモノが襲来した際も、その判断をするのはMagiであるのだ。 「そう。じゃあ、「新・東方の三賢者」結成ね。」 「そう・・・ね。3人であの子達のためにがんばりましょうか。」 「ええ。それじゃあ、行きましょうか。」 ユイ同様、キョウコは白衣を羽織ると共に病室を出ていった。 一方、子供達・・・。 「いったいなんだってのよ〜。急に「ネルフに来い」、だなんて〜!!」 朝からご立腹なのはアスカ。 久しぶり、と言うより、せっかくシンジと一緒に学校に行けると思ったらの呼び出し。腹が立って仕方ないと言った感じである。 「まあまあ。そんなに怒ると顔にしわが出来るよ〜。」 「な〜んですって!!この、レ○のくせに〜!!」 「なによそれ!あたしとアスナは「親友」です〜。勘違いしないでよ!!」 「「うう〜〜〜・・・」」 機嫌の悪いアスカにからむマナ。シンジとアスナは「我関せず」とばかりに先を歩いていた。 前回の2人の関係は最悪であったが、今回は違う。喧嘩といってもじゃれあう程度のものである、 それを知っているから、周りは止めないのだ。 (それにしても・・・どうなってるんだろう? 母さんがネルフに行くのはいいとして、レイやカヲル君を連れていったのはどうしてなんだろうか?) シンジは不安だった。 前回の歴史を知るものが多いためか、個々で行動を起こしているような面が見られる。 ユイをサルベージした・シンジ、アスカ・アスナを連れてきた・カヲル、マナをネルフ所属にした・レイ、自分に正直になった・アスカ、 アスカは完全にすべてを知っているわけではない。自分が入院している間とロストしてる間のことは知らないのだ。 (母さんが何かをした、また歴史が変わるかもしれない、いい方向に変わるといいんだけど・・・。) ネルフに到着し、発令所へとあがる。 「やっと、着いたわね。それで何のようなのかしらね?」 「さあ。「来たら教える」っていってたから・・・予想つかないよ。」 「そっか。まあ、行けばわかるわね。」 言葉を交わし合う2人の後ろには、仲睦まじく腕を組むアスナ・マナの2人がいたのだった・・・。 「あら、来たわね。あなた達に紹介したい人がいるのよ・・・どうぞ!」 発令所に着いてから、待つこと5分。ユイが現れた、その後ろには人影が。 「はじめまして、みなさん。私は惣流=キョウコ=ツェペリンです、よろしくね! ・・・ところで、噂のサードチルドレンはどの子かしら?」 この挨拶はキョウコの演出。かつて、愛娘がやった自己紹介を真似したのだ。 ((ど、どうして、ママが!!)) 突然の母の登場に驚く惣流姉妹。会えないと思っていた母親が出てきて、自己紹介までしてるのだ、驚いて当然である。 「は、はい!僕ですけど・・・。」 (どうして、アスカのお母さんが・・・って母さん達の用事ってまさか、これ!!) 「そう、貴方が碇シンジ君ね。(アスカをよろしくね♪)」 シンジは還ってきてから、妙に鋭くなっている。 変わっていく歴史に対応すべく、つけた「生活の知恵」というのところか。 「あなたは・・・霧島マナちゃんね?」 「は、はい!よろしくお願いします。」 (うわあ、きれいな人・・・。アスカやアスナも大人になったら、こんな素敵になるのかなあ〜。) 「アスナのこと、ごめんなさいね・・・。」 突然、自分の名前を呼ばれ、驚くマナ。 キョウコに見とれつつも、何とか返事を返した。 「そんな、仲良くしてますから・・・。気になさらないでください。」 「そう言ってくれると・・・ありがとう♪」 キョウコが微笑むと、発令所にいた男集が見とれる。それほどに凄いものであった。 「・・・アスカちゃん、アスナちゃん、ただいま。」 「「お帰りなさい・・・ママ。」」 惣流姉妹は泣いていた。 アスカは弐号機にキョウコがいることは知っていたが、アスナは何も知らない。 アスカにしろ、アスナにしろ、会いたかった母が目の前にいて、声をかけている。 姉妹にとって、それだけで十分であった。 「さて、リっちゃん、説明するわね。」 「はい。」 少し離れた場所で、ユイはリツコに朝言った「説明」をはじめた。 「実は参号機・四号機用のコアは出来てます。ですが、微調整が必要なので松代へ行き、コアをセットし、調整します。 コアのセットは、私とキョウコでやります。リっちゃんはサポートを頼むわ♪」 「これが私達「新・東方の三賢者」の初仕事ね♪そうそう、はじめまして。惣流=キョウコ=ツェペリンです。」」 子供達との対面も果たし、キョウコが会話に入ってきた。 「はい。私は赤木リツコです、よろしく。ところで、「新・東方の三賢者」とは?」 「私こと、碇ユイ。キョウコ、貴方のお母さんのナオコさん、この3人のことを「東方の三賢者」と呼ばれていたわ。」 「今はナオコの代わりに・・・私もリっちゃんって呼ぶわね。りっちゃんが加わって、「新」なのよ。」 ユイの説明にキョウコが補足をする。 この時、リツコはマヤ以外に「絆」が出来た気がした。 かつて、母と並び賞された科学者2人が自分の力を認めているのだ。 リツコにとってこれはとてもうれしいことだった。 「わかりました・・・。マナ、渚君、いいかしら?」 「「はい!」」 リツコの呼びかけに、マナ・カヲルはリツコの元へ急いだ。 「2人には私達3人と一緒に松代へと向かいます。新しいEVAのテストをします。」 「わ、わかりました!!」(ついにわたしにもEVAが・・・。) 「わかりました・・・。」(バルディエル?まさか、そんなわけはないだろう。けど、一体どうなってるんだ、新しいEVAって?) 同じ言葉での返事。しかし、裏で考えることはまったく違っていた。 (大丈夫よ、渚君。アメリカから送られてきたのにコアは無いわ、こっちで用意したから。) (そうでしたか、わかりました。) カヲルの危惧するところがわかったのか、ユイは小声でカヲルに説明をした。 前回のバルディエルは空輸中に通った雲海の中でコアに寄生したのだ。 つまり、コアが無い参・四号機には寄生できないのである。 「それでは、行きましょうか?」 「「はい!」」 「アスカ、アスナ、帰ってきたらいろいろお話しましょう。」 「「うん!!」」 こうして、マナ・カヲル・ユイ・キョウコ・リツコの5人は松代へと向かった。 一方、こちらは浅間山にある観測所。 ここには数日前に「溶岩の中に謎の物体を発見。」と言う報告を聞き、ミサト・日向が出向いていた。 「どう、日向君?」 「・・・・・わかりません。溶岩内という事もあり、はっきりサーチできないんですよ。 今までにわかってることは、「卵」のような形をしている、くらいでしょうか。」 「使徒じゃないの?」 「はい。パターン青は出てません、使徒ではないようですが・・・。」 「そう。それじゃ、少し休憩にしましょうか?」 「はい。」 「それでは所長さん、後はお願いします。」 「わかりました。」 ミサトと日向の2人は部屋から出ていった。 こちら、松代に着いた5人は早速実験を開始した。 「コアのセット、確認しました!」 「わかりました。2人ともいいわね?実験開始!!」 作業員の報告を聞くと、リツコは実験を開始した。 「さて・・・うまくいったかどうか。量産用と言っても、これ以上EVAを作るつもりは無いわ。」 「そうね。戦力は5台のEVAと6人の子供達、これでじゅうぶんよ。」 「しかし、ユイさん。いつの間にあんなものを?」 「う〜ん・・・ひ・み・つ♪」 実験棟での三賢者の会話。 ユイはアメリカから送ってもらうのを頼んだときから、コアの製作をしていた。 初号機のコアを書き換えた経験を元に1人で作っていたのだから、リツコが知るはずもない。 ((ひ・み・つ♪って・・・かわいいじゃないの、もう。)) ユイのしぐさにちょっぴり「ドキッ!」としてしまったキョウコ・リツコであった。 (なんか・・・包まれてる気がする、暖かいって言うか・・・不思議な感じ。) (・・・。) 実験棟での会話が盛り上がる中、マナとカヲルはシンクロしていた。 「起動しました!現在のシンクロ率、フォースが56.1%、フィフスが77.7%です。」 「渚君、前回よりシンクロ率が低いわね。マナちゃんは上がってるけど。」 オペレーターの報告にユイは顔をしかめた、リツコも同様である。 この間の第7使徒戦、弐号機に乗ったカヲルは「コア」に関係無しに100%の数値をたたき出したのだ。 (ユイ、渚君はアダムの力を使って私を戻したでしょ、力が無くなったから、じゃないかしら。) (はっ!!そうだったわ・・・それでも77.7%じゃ凄い、というわけね。) (そういうことよ。) 「それじゃあ、2人とも。上がってちょうだい、実験は成功よ!」 キョウコの指摘により、カヲルのシンクロ率が前回より低い理由がわかったユイは実験終了を宣言した。 「それでは、結果発表よ。マナが56.1%、渚君は77.7%よ。 マナはテストする度にシンクロ率が上がってくわね、その調子でがんばってちょうだい。 渚君は新しい機体とは言え、この数値。問題無いわ、次回に記録更新を目指してね。」 リツコが結果を発表した後、キョウコが言葉を続ける。 「30分の休憩の後、戦闘用実験を開始します。頑張ってちょうだいね、2人とも。」 「それじゃ、ご飯でも食べてらっしゃいな。」 そして最後に、ユイが言葉をかけた。 松代での起動実験が終わったころ、浅間山では変化が起こっていた。 「ビーーー!ビーーー!ビーーー!」 「どうしたの!?」 「葛城さん!大変です、溶岩内の謎の物体にパターン・青が検出されました!!」 突然の日向の報告にミサトは驚きを隠せない。 先ほどまでは何の反応も無かったものが使徒だと言うのだ、驚いて当然である。 「本部のリツコかユイさんに連絡を!!」 「はい!・・・・・もしもし・・・はい、はい・・・わかりました。」 「どうしたの?」 「赤木博士も碇副指令も松代で参・四号機の実験を行ってるそうです。」 「それじゃあ、松代に連絡を取ってちょうだい!!」 「はい・・・本部の日向です。そちらに赤木博士と碇副指令がいると聞いたのですが・・・はい・・・あっ、赤木博士ですか? 大変です!浅間山の火口内の溶岩の中から使徒を発見しました!!」 「なんですって!・・・本部にいるシンジ君、アスカ・アスナに連絡してそちらに向かわせて! あと、マヤに特殊装備の用意をするように伝えてちょうだい!!」 「わかりました!!」 「それで、なんだって?」 「はい。本部のシンジ君、アスカ・アスナちゃんを出撃するように、 それと、マヤちゃんに特殊装備を用意させるように、とのことです。」 「わかったわ!本部に連絡してちょうだい。・・・所長さん。今からここはネルフの管轄とします、よろしいですね? いきなりの出来事にパニックを起こしかけてた所長。ミサトの言葉にも首を縦に振った後、急いで逃げ出していた。 「・・・葛城さん!連絡つきました、こっちにすぐ向かうそうです。」 「わかりました。」 本部内では問題が発生していた。 特殊装備は1人用なのだ。しかし、弐号機は2人乗りとなっているために装備が不可能になっていたのだ。 しかも、特殊装備が可能なのが弐号機以降のEVAなので、零・初号機には装備できないのである。 「どうすんのよ!!」 「お姉ちゃん、落ち着いて。」 アスカにとっては「シンジに助けてもらったイベント」である。 前回、思えばこの時から、シンジを「男」としてちゃんと見るきっかけになったのだ。 死にかけたとはいえ、アスカにとってはユニゾンに次いで欠かせない「イベント」なのだ。 「それで、どうするんですか?」 「うん。センパイに連絡してみるわ、その指示を仰ぎましょう。 ・・・もしもし、赤木博士お願いします・・・センパイですか?マヤです、あの・・・はい、はい・・・わかりました。 ・・・使徒のほうは動きは無いようです・・・・・はい、失礼します。」 「で、どうなったのよ!」 「う、うん。アスカちゃん達は本部で待機。使徒はマナちゃんと渚君で何とかするそうよ。」 「そんな!!・・・くっ。」 聞きたくない結果であった。 前回はユニゾンもこの使徒との戦いも自分が関わっていた。 母が帰ってきて、シンジと気持ちが通じ合えたことの代償にしては、彼女にとっては大き過ぎるものであった。 自分が役に立たない、そう思ったアスカは走っていってしまった。 「アスカ!!」 (歴史が・・・変わっている、大きく。 このままではアスカがまた壊れてしまうかもしれない。僕が何とかしなくちゃ!!) シンジは急いでアスカを追いかけた。 <後書き> ども、ウエッキーです。 始めての前後編でございますが、上手く出来るかどうか心配です。(^^; キョウコが出てきて、一応メインキャラは出し終えたんじゃないか、と思っとります。 ちなみに、ナオコは復活しませんのであしからず・・・。(聞いてない、って?) <次回予告> シンジは不安の中にいるアスカを救えるか? 参・四号機は間に合うのか?潜って、戦うのはどっち? そして、レイのセリフは次回あるのか? 次回、The Restart Of Evangelion 第9話・後編「新・東方の三賢者」 を、お送りします。
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