*こんな話があってもいいのでは?と思い、やってみました。 『美女』と言う言葉が似合う女性二人が、ダイニングでコーヒーを飲んでいた。 その女性とは『碇ユイ』・『惣流=キョウコ=ツェッペリン』の2人である。 「休日とはいえ・・・特に予定、無いのよねえ。」 「そうねえ・・・何しようかしら。(ゴクゴク)」 頬杖をつきながら、コーヒーを口に運ぶキョウコ。 それを見てユイはひらめいた。 「そうだ!リッちゃんと遊びましょう!!」 「・・・はい?」 「コーヒーと言えば、リッちゃんでしょう? せっかく、『新・東方の三賢者』を結成したんだし、親睦を深める意味を込めてってこと♪」 「そうねぇ〜、それもいいかもね。」 この3人が1度に全員休むとなると問題な気もするが、この2人にはそんなこと関係無い。 さっそく、ユイはリツコに電話を入れた。 『もしもし、赤木ですが?』 「もしもし、碇ですけど。」 『ユイさんですか? 何か?』 「リッちゃん・・・遊べる?」 『はい?』 「あのね、私とキョウコお休みなんだけど、予定も無く暇なのよ。 そこで、今日はリッちゃんも休みでしょ。 『新・東方の三賢者』として親睦を深める意味で、リッちゃんと遊ぼうかな、と思って電話したのよ。」 『・・・・・。(いきなり何を言うのかしら、この人は?)』 (う〜ん、やっぱりユイって子供っぽいところあるのよね。) 「もしもし?聞いてるの、リッちゃん?」 『えっ?はい、聞いてます。』 「も・ち・ろ・ん、暇よね?」 『(ビクッ!)は、はい、予定は無いです。(脅し入ってたわよ、今!?)』 (いくら暇で遊びたいからって、脅しはいけないわよ、ユイ。) 「それじゃ、後で迎えに行くから用意しておいてね。」 『は、はい、わかりました。』 「またね♪(ピッ!)」 お誘いの電話が終わり、予定が出来たため顔がほころぶユイ。 子供のようなユイの反応に、キョウコが『子供っぽい』と言うのもうなずけると言うところか。 「ユイ、迎えに行くって・・・どうするの?」 「? もちろん、車に決まってるでしょ?」 「持ってないでしょ・・・貴方。」 この2人、免許は持ってるが車は持ってないのだ。 そのため、碇家のガレージは空っぽの状態である。 「簡単よ♪あの人に用意させるから。(ピッ、ピッ、ピッ・・・プルルルル)」 「はあ、貴方に任せるわ。じゃ、私は出かける準備をするから。」 ため息混じりのキョウコ、さっさと自分の部屋に向かう。 『(ガチャ!)私だ。』 「・・・あなた、その電話の出かた、何とかしてちょうだい。」 『おお!ユイか、ついに私と一緒に暮らしてくれるのか?』 「違います!今日はあなたにお願いがあるの・・・聞いてくれる?」 『ああ、聞く、聞くとも!さあ、何でも言ってくれ。』 「ありがと♪私ね、車が欲しいんだけど・・・。」 『うむ、問題無い。それで、台数は?大きさは?色は?』 「台数は2台、大きさは家族で出かけるのにぴったりなやつ。色は白と赤が1台ずつ。」 『うむ、わかった。それで、いつまでに送ればいいのだ。』 「今日、今すぐ欲しいんだけど・・・無理よね?」 『いや、問題無い。今すぐだな、手配するから家で待っててくれ。』 「本当?ありがとう、あなた・・・愛してるわ。」 『!! よ、用はそれだけか?』 「ええ。それじゃ、またね。(ガチャッ!)」 『(ツーツ−ツー。)ユ、ユイ〜。』 久しぶりの妻の声に、最後にあっさり切られた事に涙するゲンドウ。 一方、女の武器(?)を利用して車を手に入れたユイはご機嫌の極致にいた。 「さて、私も準備しますか・・・。」 ユイもまた、自分の部屋に戻り準備を始めた。 ほどなくして、ゲンドウから花束・メッセージカードと共に2台の車が送られてきた。 「さすがね・・・愛する妻のためにはこんなこと朝飯前、ってところかしら。」 「私の為にここまでするなんて・・・もう、かわいい人ね♪」 こういう意味での「かわいい人」なのだろうか、ユイがゲンドウに惚れたのは? 感心するキョウコを尻目に、ユイは1人ほくそえんでいた。 「それじゃ、行きましょうか。どっちが運転する?」 「私が行き、キョウコは帰り、それでいい?」 「いいわ、行きましょう!」 運転する順番も決めて、まず始めにリツコの家へと向かった。 「そういえば、あの人達の『遊び』って何するのかしら?」 一方、家でユイ・キョウコの到着を待っているリツコは考え事をしていた。 見かけこそ若いが、実年齢は自分よりも上の人達が「遊ぼう」と言うのだ、何をするか不安がっても仕方の無いところである。 『ニャ、ニャ、ニャンニャンニャン♪ニャ、ニャ、ニャンニャンニャン・・・♪』(着メロ・猫踏んじゃった) そんな折り、リツコの携帯に電話がかかってきた。 「(ピッ!)はい、もしもし・・・。」 『リッちゃん?碇ですけど、着いたから出てきてちょうだい。』 「えっ?」 リツコが窓から下を見ると、手を振っているユイの姿が見えた。 『それじゃ、早くね〜。(ピッ!)』 「・・・はあ。」 結局、目的地もわからない、何をするかもわからないまま、リツコはユイ・キョウコの元へと向かった。 「おまたせしました。」 リツコがユイ・キョウコの前に現れると、2人は満面の笑みを浮かべ、立っていた。 「さて、行きましょうか?」 「そうね、行きましょう。」 「さあ、リッちゃん乗って、乗って!」 「えっ、あっ、ちょ、ちょっと・・・。」 いきなり押し込められるようにして車に乗せられるリツコ。 こうして、『新・東方の三賢者』の「休日」が始まった。 The Restart Of Evangelion 番外編・「新・東方の三賢者のとある休日」 「ところで・・・どこに行くんですか?」 早速リツコは誘われたときからの疑問をぶつけた。 「そうよ、どこ行くの?」 「キ、キョウコさんは知らないんですか?」 「そうよ。言いだしっぺはユイですもの。」 実はキョウコも目的地は知らなかったのだ。 キョウコとしては退屈がまぎれればよかったのであろう、面白そうなユイの提案に乗っただけなのである。 「そうね〜、どこ行きましょうか?」 「「・・・・・はい?」」 当のユイも『何かしよう』と考えたのだが、『どこで』、『何をする』ということを考えていなかった。 これにはキョウコ・リツコも呆れて何も言えなかった。 「貴方・・・何も考えてなかったの?」 「あはは、気にしない、気にしない。」 「とりあえず、これからどうしましょうか?」 「「「うーん・・・。」」」 『3人寄れば文殊の知恵』さながらに、これからの予定を考え始めた。 「市内ドライブなんて、どう?」 「繁華街でのウインドウショッピングは?」 「・・・何もせず、ここで解散。」 上から、ユイ・キョウコ・リツコの案である。 上2つの案はともかく、最後のリツコの案が通るわけ無く・・・ 「ちょっとリッちゃん、『解散』ってどういうことかしら?」 「あっ、いえ。その、明日からはいろいろあるでしょうから、家でゆっくり休養を取ることも大切か・・・と。」 (ど、どうしよう・・・人体改造されるかも!!) すっかり怒り心頭のユイ。 乗り気じゃないリツコは、正直に自分の気持ちを口にしたことを後悔していた。 「ユイ、落ち着いて、ね? リッちゃんも私かユイの案から選んでくれる?」 キョウコが間に立ち、ユイをなだめ、リツコには2択の選択肢を与えることで場を落ち着かせる。 「は、はい!・・・・・じゃあ、ウインドウショッピングに行きたいです。」 「わかったわ・・・。それじゃあ、行きましょうか!!」 自分の案が棄却されても、『3人でお出かけ』出来ればいいのか、ユイはすっかり機嫌をよくし、車を発進させた。 (ほっ、何とかご機嫌が直ったみたいね。) (ありがとうございます、助かりました。) (いいわよ、気にしないで。でも、ユイは怒らせないで・・・すっごく怖いから。) (わ、わかりました。) 後部座席に座るキョウコ・リツコ。 リツコはキョウコにユイに聞こえないよう小声でお礼を言っていた。 「な〜に2人で話してんの?」 「な、何でも無いわよ。ねっ、リッちゃん?」 「は、はい、何でも無いです。」 そんな2人に、当然ユイも気付くわけで・・・。 とはいえ、深くは気にしない。 それよりも、これからの事を2人に聞いた。 「? 変な2人。ところで、どこから行きましょうか?」 「とりあえず、歩きながら決めればいいんじゃないかしら?」 「そうですね。」 「そう? ってよく知らないんだものね、私とキョウコは。」 ユイは繁華街の駐車場に車を止めると、美女3人は繁華街を歩き始めた。 実はEVAの中から出てきてから繁華街に出かけたことが無い、ユイ・キョウコ。 夕食の買い物は近所の商店街で済ますし、通勤にはバスで直通のため、繁華街は通りすがることも無いのだ。 「いろんなお店があるわねぇ。」 「そうね。すっかり変わってしまって・・・。」 「そうですね。お店が増えましたし、外観を整備したりしましたから。」 「リッちゃんは、よく行くお店なんてあるの?」 「ええ、猫の小物が置いてあるお店があるんです。そこはよく行きますね。」 「猫好きなの?」 「ええ、昔は家で飼ってたんですよ。今は忙しくなってしまったんで預けてますけど。」 「そうだったの。」 「それじゃ、リッちゃんの言ってた猫の小物のお店に行きましょうか?」 「そうね、行きましょう。」 「じゃあ、案内しますね。」 こうして、3人は目的の店まで雑談しながら歩いていった。 「あっ、ここです。こんにちわ。」 「「こんにちわ。」」 「おや、リツコさん。それにお連れの方、いらっしゃい。」 カウンターで座っていた店の主と思われる老婆は、リツコ達の方へ歩み寄ってきた。 「こちらは店主の通称『猫ばあさん』です。」 「はじめまして、『猫ばあさん』です。」 自己紹介をして、深深と頭を下げる『猫ばあさん』。 あわてて、ユイとキョウコも頭を下げる。 「ご丁寧にどうも。私はリツコさんの友人で、碇ユイ、と申します。」 「同じく友人の、惣流=キョウコ=ツェッペリン、と言います。」 ユイ・キョウコの自己紹介を聞き、頭を下げる『猫ばあさん』であった。 「ご丁寧にまあ。ところで、ユイさん達も猫がお好きですか?」 「「ええ。」」 「それは、それは。よければ店内ご覧になってくださいな、お気に入る1品があるといいんですけど。」 「それじゃ、見せてもらいましょうか。」 「ええ。」 早速、2人は店内を見まわり始めた。 一方、リツコは2人が離れていったのを見届けた後、『猫ばあさん』と話し始めた。 「あの子は元気? おばあちゃん。」 「あの人達には『私の祖母』ですって、紹介してもよかったんじゃないのかい?」 「いいのよ、気にしないで。」 「そうかい?まあ、いいけどね、あたしゃ。」 「ところで、あの子は?」 「ああ、元気じゃよ。連れてこようか?」 「ダメよ、ばれてしまうもの。」 「気にしなきゃいいじゃないか、あたしの猫だって言えばいいんだし。」 「・・・そうね、お願いしようかしら。」 「はいはい、ちょっと待っときな。」 そう言うと、奥へと引っ込んでいってしまった。 少しして、猫を抱いて戻ってきた。 「ほら、大きくなったろう。」 「本当に・・・。」 こうして、リツコが猫と感動の再会をしてる中、2人はとある所で盛り上がっていた。 「見て見て、キョウコ!金の招き猫よ、かわいい♪」 「貴方、本気で言ってるの?」 「当然じゃない!あ〜ん、かわいい♪」 「・・・・・。」 (この人の感覚って、よくわかんないわ。あの『碇ゲンドウ』をかわいいって言うんだから。) 呆れかえったキョウコは、ユイを放っておいて1人で店内を見て回っていた。 「あっ・・・これ、いいかも。」 2つの小さな猫の置物、一目で気に入ったキョウコはそれを購入することにした。 かなりの時間が経ったころ、3人は『猫ばあさん』の店を出た。 ユイは『金の招き猫』を、キョウコは『小さな猫の置物』を購入した。 リツコは、あれから猫とずっと遊んでいた。 「リッちゃんて、本当に猫が好きなのね。」 「? どうしてですか、ユイさん。」 「だって、『猫ばあさん』の猫と遊んでる時の貴方、とっても優しい、いい顔してたもの。」 「そ、そうですか?」 「そうよ、とっても素敵だったわ。」 「・・・よく見てたわね、貴方。」 「まあ、気にしないで。ところで、今何時?」 「今・・・午後の1時半を少し過ぎたくらいですね。」 「それじゃ、お昼にしましょうか?」 1度車まで戻り、荷物を入れると、3人は近くのレストランへと入っていった。 『カラン、カラン♪』 「いらっしゃいませ。」 ドアを開けるとベルの音が鳴り響き、ウエイターがメニュを脇に抱えて現れた。 「いらっしゃいませ。・・・これは赤木様、いつものお席でよろしいですか?」 「ええ、お願いします。」 「それでは、こちらへどうぞ・・・。」 ウエイターに案内された席は店の奥、窓の近くの席だった。 「それでは、ごゆっくりどうぞ。」 リツコがいるためか、テーブルにメニューを置いて、行ってしまった。 「リッちゃんは、ここによく来るの?」 「ええ、まあ。ネルフでの仕事が遅くまでかかったときは、ここで食事して帰るんです。」 「そうなの。ところで、何にする?」 「ここは何でもおいしいですよ。値段も手ごろですし・・・ランチでいいんじゃないでしょうか?」 「そうしようかしら・・・。ユイはどうする?」 「私はリッちゃんに任せるわ。」 「じゃ、私も。」 リツコはテーブル脇にあるボタンを押した。 すると、すぐにウエイターがやってきた。 「ご注文がお決まりになりましたか?」 「ええ、ランチを3つお願い。」 「お飲み物はいかが致しますか?」 「「「コーヒーを食後に。」」」 「か、かしこまりました。ご注文確認させていただきます、ランチが3つ、コーヒーは食後に、以上でよろしいですか?」 「ええ。」 「それでは失礼します。」 メニューを回収すると、ウエイターは去っていった。 「リッちゃん、ここはランチメニューって1つしかないのね?」 「はい、最近始めたんですよ。好評ならメニューを増やしてくんじゃないでしょうか。」 「なるほどね。」 しばらくして、注文したランチが運ばれてきた。 「こちら、ランチになります。食後にコーヒーの方、お持ちします。」 ・・・・・・・・・・・食事中・・・・・・・・・・・ 「こちら、食後のコーヒーになります。ごゆっくりどうぞ。」 ウエイターはコーヒーを置き、一礼して去っていった。 「おいしかったわね。」 「よかった。さっき、「何でもおいしいですよ」って言ったばっかりに気になってたんです。」 (口に合わなかったら・・・どんな目にあわされるか、不安だったわ。) 「そうね、今度はディナーを食べに来たいわね。」 「ところで、今何時?」 「もう、3時近くですね。」 「それじゃ、飲み終わったら帰りましょうか?」 「そうね。」 「そうですね。」 ほどなく、コーヒーを飲み終わり、清算して帰路に着いた。 リツコの家の前に到着し、リツコが下車したところでユイが声をかけた。 「リッちゃん、今日はありがと。」 「いえ、今日は楽しかったです。また、誘ってください。」 「そんなこと言っていいの?この人、本当に誘いに来るわよ〜。」 「何よ、それ。リッちゃんが『また誘ってください』って言ってるからいいじゃないの。」 「あの、私なら休みの時は、大抵暇なんで問題ありませんから。」 キョウコに茶化され、むきになるユイ。 リツコは苦笑しながら、間に入った。 「ありがと、リッちゃん。それじゃ、またね!」 「また明日、ネルフでね。」 「はい、また明日。」 そして、ユイ達は走り去っていった。 家へと帰ったリツコは一言、こう呟いた・・・。 「こういう休日もいいかもね・・・。」 一方、ユイ達が家に着くと、子供達が帰ってきていた。 「「ただいまー!」」 「「「「「「お帰りなさい。」」」」」」 さっそく、ユイは袋から『金の招き猫』を引っ張り出した。 「見て見て、かわいいでしょ、これ〜。」 シンジ・(母さん、趣味悪いよ・・・。) アスカ・(おばさま・・・ちょっと理解できないわ。) アスナ・(素敵です〜。) レイ ・(・・・かわいい。) マナ ・(ノーコメントです。) カヲル・(普通の色の方がよかったと思うよ、僕は。) ニコニコと喜びながら、見せてくる『金の招き猫』。 子供達は唖然とするばかりであった・・・。 「どうしたの、みんな?」 「呆れてるのよ、みんな。 そうそう、アスカちゃん、アスナちゃん、おみやげ。」 そう言って、キョウコは買ってきた置物の入った袋を2人に渡した。 「開けてもいい?ママ。」 「いいわよ。」 2人が袋を開けると、赤いリボンを首に巻いた猫の置物が入っていた。 アスカのは『丸まっている猫』、アスナのは『毛繕いする猫』の置物だった。 「「かわいい・・・。ありがとう、ママ。」」 キョウコは首を縦に振ると、部屋へと入っていった。 それを皮切りに、みんな自分の部屋や、リビングへと戻っていく。 「何よ・・・かわいいじゃない、この『金の招き猫』だって。」 1人愚痴るユイに、後ろからレイが声をかけた。 「・・・お母さん、飾らないの?」 「あら、レイ? あなたはわかってくれたのね・・・。」 「コクン」とうなずくレイを見て、ユイは微笑を浮かべた。 「さ〜て、どこに飾ろっか?」 「玄関が・・・いい。」 こうして、碇家の玄関には『金の招き猫』が飾られるようになった。 <後書き> ども、ウエッキーです。 「『新・東方の三賢者』の話を書いてください。」というメールが来たんでやってみました。 科学者っぽい話(?)にしてもよかったのですが、 「この人達の休日ってこんなんだったらどうかなぁ?」 っていう感じでやってみたんで、この人達でなくてもよかったかもしれない内容になった気がします。 P.S 三賢者のみでの話にはできませんでしたが、これでいいでしょうか?
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