早朝、シンジの部屋にて動く影があった。

「たまには、アタシが起こしてあげるってのもいいわね♪」

影、それはアスカであった。
学校に行けることがよほどうれしいのか、今日のアスカは朝からご機嫌だった。
そして、未だ眠るシンジを起こしに来たのである。
しかも、格好は学校の制服で。
目覚ましのアラームを解除すると、早速起こし始めた。

「もう朝よ、起きなさい、シ・ン・ジ。」

普段なら聞くことのない猫なで声を出し、体を揺する。
しかし、シンジは起きなかった。

「しょうがないわね〜。ほら〜、起・き・て♪(チュ〜)」

今度は唇にキスまでする大サービスぶりである。
しかも・・・長い。

(!! うむっ・・・な、何だ!息が・・・く、苦しい。)

いきなりの感触に、シンジが鼻で息をするのを忘れ、パニックに陥っていた。
シンジの身体が震え出すと、アスカは唇から唇を離した。

「ぷはぁ! はあ、はあ・・・。」

「おはよう、シンジ♪」

「へあ!? ア、アスカか・・・お、おはよう。」

(『アスカか』って、どういう意味なのかしら?まあ、いいわ。)

シンジの発言に疑問を浮かべるアスカ。
一方、さすがに察しがついたのか、唇に指を当てるシンジ。
昨日のことを思い出すも、声をかけた相手がアスカであることに気付くと「ほっ」とした。

「どう?おはようのキスは。」

「き、気持ちよかったです・・・。」

「目、覚めた?」

「は、はい・・・、ばっちり覚めました。」

「アタシのこと、好き?」

「す、好きだよ!」

(そろそろね・・・さっきの『アスカか』って言った意味聞かなくちゃ。)

「さっき、『アスカか』ってあれ、どういう意味?」

「じ、実は昨日、マナと・・・はっ!!」

そこまで言いかけてシンジは口に手を当てるが、すでに遅かった。
満面の笑顔で話しかけていたアスカはもういなかった。
そこには、顔を真っ赤にして、作り笑顔で顔を「ピクピク」させているアスカが仁王立ちしていた。

「・・・昨日、マナと何をしていたのかな〜、碇シンジ君?」

「(ビクッ!)・・・・・・・。」
(しまった〜!ここは黙秘するしかない!!)

「昨日は渚のお見舞いと買い出しに行った後は、家でおばさまと料理してたわよね。
 何かしたのはその後、みんなを呼びに行ったときでしょ?違う?」

「(ビクビクッ!!)・・・・・・・。」
(ど、どうしよう、このままじゃ・・・絶対ヤバイ!!)

「どうなのよ!黙ってないで白状しなさいよ!!」

「(ビクビクビクッ!!!)・・・・・・・。」
(だ、誰か助けて〜。このままじゃ、絶対ヤバイってば〜。)

シンジが大ピンチを迎えるところにこの少年あり、カヲルがノックも無しに部屋へと入ってきた。

「おはよう、シンジ君。・・・って、どうしたんだい、アスカさん?」

「アンタは関係無いわ!引っ込んでなさいよ!!」

「まあまあ、シンジ君のことだね?
 そんなに頭ごなしに問い詰めてもダメさ、ここはいったん押さえて、ね?」

「むう・・・わ、わかったわよ!いい、シンジ、絶対白状してもらうからね!!」

カヲルの説得のおかげか、アスカは納得こそしないものの、シンジの部屋から出ていった。

「ふう、助かったよ・・・。ありがとう、カヲル君。」

「何、いいってことさ。けど、何があったんだい?」

「実は・・・・・。」

シンジは朝の出来事、昨日の出来事をカヲルの耳元で話した。
カヲルはシンジの息がこそばゆいのと嬉しさで笑顔だったが、話が終わると神妙な顔つきになった。
シンジの方は、カヲルしか頼れないので一生懸命だった。

「うーん、うらやましいな、マナさんは。」

「へっ?ど、どういう意味?」

「ゴメン、ゴメン。ここは素直に話して、許しを請うしかないんじゃないかな。」

「はあ・・・それしかないよね、けど怖いよ。」

「まあ、そうなっちゃった以上は男として責任取るのが1番だよ。」

「そうだね、逃げちゃダメだよね、後で話してみるよ・・・ありがとう、カヲル君。」

「さて、朝ご飯の時間だね。」

「うん。」

(往復ビンタくらいは覚悟しなくちゃな・・・。)

カヲルのアドバイスにより、アスカに全てを話すことにしたシンジだったが、やっぱり怖かった。
だが、覚悟を決めると、カヲルと朝ご飯を食べにダイニングへと降りていくのだった。





                   The Restart Of Evangelion

                            第11話「学校」





「おはよう、お兄ちゃん、渚君。」

「おはよう、レイ。」

「おはよう、綾波さん。」

「おはよう、2人共。」

「「おはようございます。」」

「シンジ、渚君、おはよう。それじゃ、朝ご飯にしましょうか。」

シンジとカヲルがダイニングに入ると、みんなと朝の挨拶を交わす。
ただ、マナだけは挨拶はしなかった、と言うより出来なかった。

(夢だとは言え、やっぱ恥ずかしいよ〜。
 それに、シンジ君はアスカの彼氏なんだし・・・。
 でも、夢じゃなくて、実際にしたいな・・・なんてキャー!)

マナはアスカとシンジが付き合ってるのは知っていた。
だが、アスカの来る前の葛城家の同居中に抱いていた恋心。
やはり、あきらめきれるものではない。

食事中もみんなが雑談する中、マナは1人黙々と朝ご飯を食べていた。

一方、アスカは終始機嫌よく雑談していた。
シンジのことは気にかかるが、自分が不機嫌でいて場を悪くしてしてしまうのを避けたのだ。
しかし、怒っているのも当然で、シンジが時折アスカの方へ視線を送るが、まったく無視していた。



「「「「「「行ってきまーす!」」」」」」

「「いってらっしゃい。」」

楽しい朝食の時間も終わり、子供達は久しぶりの学校へと向かった。
それを送り出した2人の母親も、玄関のドアを閉めて車庫へと向かう。

「それじゃ、私達も行きましょうか?」

「そうね、運転よろしく〜。」

こうして、ユイ・キョウコはネルフへと向かった。



「久しぶりの学校だね。」

まず、カヲルが口を開いた。

「そうね。」

次にレイ。

「そうですね。」

次はアスナ。

「トウジやケンスケに会うのも久しぶりだよ。」

と、シンジ。

「「・・・・・・・。」」

アスカ・マナは無言だった。
結局、4人で学校の話で盛り上がる中、2人は一言も発することは無かった。

(ダメでもいいから、告白した方がいいよね・・・。)

(マナと何したってぇのよ、シンジ・・・。)



「よ〜、久しぶりやな、シンジに渚。」

「おはよう、シンジ、渚。」

「おはよう、トウジ、ケンスケ。」

「おはよう、鈴原君、相田君。」

男子4人は久しぶりの再会を喜び合っていた。
しかし、マナを除いた、レイ・アスカ・アスナはそういう喜び合う人はいない。

(そういえば、今回はヒカリと友達になってないのよね。)

アスカはそれが寂しかった。
今回は前回よりも学校に行ってる日が少ないのだ。
シンジは第4使徒戦で前回と同じく、トウジ・ケンスケを救ったことをきっかけに友達になった。
しかし、転校したその日から学校へ行けなったアスカは、ヒカリと知り合うきっかけが無かったのだ。
転校初日の学校案内はマナがやったからなおさらである。

そのヒカリこと洞木ヒカリも、転校してきた美少女姉妹に話しかけようか悩んでいた。

(委員長としてでなくても、転校生には色々話し掛けた方がいいんだけど・・・。
 その方が学校に早くなれると思うし、友達にもなれるし・・・だけど。)

躊躇しているのは、ヒカリはこの姉妹と一緒にいる時に比べられるのが嫌なのだ。
お互いにきっかけをつかめないまま、1時限目が始まった。



「あっ!」という間にお昼休みになった。

シンジ・カヲル・トウジ・ケンスケは屋上へと上がっていく。
マナは今日はアスカを気にしてしまうのか、友達の方へと行ってしまった。
アスカはアスナ・レイと食事をしようとした時だった。

「あっ、あの、アスカさん・・・よかったら、一緒にお昼食べない?」

ヒカリであった。
一緒にお昼を食べて、話をして、友達になろうとしたのだ。
アスカはいきなりのことで驚いたものの、笑顔を浮かべて答えた。

「ええ、いいわよ。けど、アスナとレイも一緒に、ね。」

「うっ、うん。いいわ、みんなで食べましょう。」

教室で机を寄せ合い、4人は昼食を食べ始めた。

「それじゃあ改めて・・・洞木ヒカリです、よろしくね。」

「よろしく。アタシはアスカって呼んでね、ヒカリ。」

「よろしくね。私はアスナって呼んで、ヒカリ。」

ヒカリの自己紹介に姉妹は答えた。
アスナも、パイロット以外の同世代の友達が出来たことが嬉しかったのか、終始笑顔だった。

長い昼休み、4人は話に華を咲かせた。もっとも、レイは聞き役が主だったが。

「アスカやアスナは好きな人、いるの?」

「「いるわよ。」」

「そ、そうなんだ。」

ユニゾンで躊躇無く答える姉妹に、ヒカリは驚いた。
1人無言のレイに、今度はアスカが聞いた。

「レイ、アンタは好きな人っているの?」

「こくん」と頷くが、アスカは一言付け加える。

「言っとくけど、お父さん、お母さんやシンジって言うのはダメよ。」

そう言われると、「ふるふる」と首を振るのであった。

「どうして碇君はダメなの?」

「ヒカリは知らないのよね。苗字は違うんだけど、レイとシンジは兄妹なのよ。」

「そうだったの・・・。」

「・・・あんまり、他言しないで。」

ここで始めてレイが口を開いた。
よほどのことだと感じたヒカリは、黙って首を縦に振った。

「ところで、ヒカリは好きな人いるの?」

「う、うん。」

アスナが聞くと、ヒカリは顔を真っ赤にして答えた。

「だれ?このクラスの人?」

「アスナも教えてくれるなら、教えてあげる。」

「じゃあ、耳貸して・・・。(私はマナお姉様が好きなの。)」

「えっ!!(そ、それって、霧島さんのこと!?)」

「そうだよ。」

さも当然と言ったアスナに、ヒカリは驚くことしか出来なかった。

「そういう子なのよ、気にしないで。」

そんなヒカリに、アスカは笑いをこらえながらそう言った。

「ヒカリは?」

「私は(黒いジャージの・・・鈴原のことが好きなの。)」

「そうなんだ〜。お姉ちゃんは聞かないの?」

男の名前を聞いてどうでもいいと思ったのか、話に参加しないアスカにアスナは声をかけた。

「アタシはいいわ。」

「ふ〜ん。」

この後、4人は昼休みが終わるまで話をしていた。



昼休みも終わり、5時限目が始まった。
授業が滞り無く進んでいく中、6つの携帯が同時に震えた。
液晶画面には「使徒接近中」の文字が浮かんでいた。

「先生、すいません。」

シンジが手を上げると、教師は一つ頷いた。

「みんな、行こう!」

シンジの掛け声にアスカ・アスナ・マナ・レイ・カヲルは鞄を手に取り、教室を後にしたのだった。

この後、何も無かったように授業は進んでいった。
教師はネルフからのお達しで彼らの正体を知っていたし、
クラスの生徒達は「ある2人組」が正体をばらしていたので、疑問の声一つあげることは無かった。



(この使徒が来たときはネルフは停電に襲われていた筈・・・母さん達か?)

本部へと向かう中、前回の記憶をたどるシンジがいた。



そのころ本部では、ネルフに工作しようとしていた工作員を捕まえて尋問をしていた。

「さて、君はどこの組織の人なのかな?」

「・・・・・・・。」

「答えなさい!今なら手荒な真似はしないわ。」

「・・・・・・・。」

尋問しているのは、ミサトと加持の2人であった。
そこにユイが現れた。

「どう、なんか話してくれた?」

「いえ、奴さん手ごわいですよ。」

「そう・・・。」

ユイは現状を確認した後、ポケットから薬を取り出した。

「これは?」

「自白剤よ。ミッちゃん、試してみる?」

「い、いえ、遠慮しときます・・・。」

「じゃ、あの人に使ってみて。」

ユイは薬をミサトに渡す。
ミサトは工作員の口を強引に開き、薬を飲ませた。

・・・・・10分後・・・・・

「正式、な名称は、知ら、ないがJ、Aを造った、とこ、ろが私、のクライ、アン、ト、だ。」

「はい、よく出来ました!賞品は・・・赤木博士の実験材料になれる権利を送りま〜す!!」

加持がふざけてそう言うと、どこからともなく現れた黒服の人が工作員を連れていってしまった。

「・・・本当に行っちゃたわね、加持君。」

「・・・そうだな。」

「それじゃ、私は戻ります。あと、よろしくね♪」

呆然とするミサト・加持を置いて、ユイはそこから立ち去っていった。

「さて、クライアントの方々にもお仕置きしないといけないな・・・。」

「そうね・・・。」

加持とミサトは尋問に使った部屋の中で考え込んでしまっていた。



そのころ、発令所では使徒が現れたことで警戒体制に入っていた。

「使徒、第5防衛ラインを突破しました。
 このままでは街に被害が及んでしまいます!!」

「子供達はまだか?」

「先ほどから到着してますが、出撃準備の方が整ってないので出撃できません!!」

「むう・・・。」

マヤとゲンドウのやり取りが行われてる中、ユイが発令所に姿を表した。

「どうなってるの?なんで誰も出撃してないの?子供達はまだ到着してないの?」

「碇博士・・・。実は、子供達が喧嘩をしてしまって・・・キョウコ博士が仲裁に行ったまま戻ってこないんです。」

「リッちゃんは?」

「センパイは、『いい実験材料が入ったから、実験させてもらうわ。』っていって研究室へ。」

「リッちゃんはいいとして、キョウコは何やってるのよ・・・わかった、私も行くわ!!」

「お願いします。」

ユイは表情こそ変わらないものの、怒り爆発寸前といった感じで更衣室へと向かった。



少し時間を戻そう。

更衣室へと着いた子供達は個々に着替えを始めた。
シンジとカヲルが着替えを終え、更衣室から出るとアスカが立っていた。

「シンジ、話があるわ。」

「・・・わかった。カヲル君、席をはずしてくれる?」

「わかったよ。僕らは休憩室にいるから。」

「ありがとう、カヲル君。アスカ、中で話そうよ。」

そう言うと、シンジとアスカは更衣室へ入っていった。

「話って・・・今朝のことだよね?」

「そうよ、あれはどういうことなの?」

シンジも覚悟を決めたのか、自分からアスカの用件を言った。
アスカも声の調子こそ押さえているが、怒っていることは隠せない感じで立っていた。

「昨日、みんなを呼びに行ったときに、マナがリビングで寝ていたから起こしたんだ。
 そのとき、マナが寝ぼけてたんだと思う、僕にいきなりキスしてきたんだ。」

「・・・・・本当に?」

「嘘じゃないよ、本当だよ!・・・証人はいないけど。」

「・・・・・・・。(ここはマナも呼んで話を聞くしかないかしらねぇ・・・。)」

アスカはシンジの話を聞くと考え込んでいた。
自分もシンジを信じてあげたいが、相手が他ならぬマナである。
前回のことを考えると、そう簡単に許せる気にならなかった。
あの時の『マナ』とは違うマナが相手だとしても・・・。

「今からマナを呼んで話を聞くわ、いいわね?」

「いいよ、僕は嘘をついてないから。」

アスカから目をそらさずにシンジはそう言った。
アスカは更衣室を出て、休憩室にいるマナに声をかけた。

「マナ、ちょっと来てくれる?」

「い、いいけど、何で?」

「あとで話すわ、いいから一緒に来て。」

「・・・わかったわ。」

アスカの後をついて歩くマナ。
当然、この子もついて来ようとする訳で・・・。

「お姉ちゃん、マナお姉様をどうする気?」

「・・・渚、お願い。」

それだけ言うと、アスカとマナは更衣室へと入っていった。

「少し、休んでいてもらおうか。」

カヲルはアスナに向かって手をかざすと、アスナは眠りについてしまった。

「・・・便利ね、それ?」

「教えようか?」

「遠慮しておくわ。」

カヲルとレイは休憩室で雑談をはじめていた。



「マナ、アンタに聞きたいことがあるんだけど、いいかしら?」

「かまわないけど、何?」

更衣室ではマナの話を聞くところであった。

「アンタ、この間のパーティーの時、シンジとキスした夢見たでしょ?」

「!! どうして知ってるの!?」

「やっぱりね、もういいわ。シンジ、今回は許してあげるわ。」

アスカの言い方にカチンと来たのか、今度はシンジが怒り出す。

「ちょっと待ってよ、『許してあげる』ってどういうことだよ。
 僕のせいじゃないのに、僕が悪いみたいの言うの止めてよ!!」

こうなったらどうしようもない。
アスカも負けじと言い返す。

「アンタが悪いんでしょう!
 事故なら事故って最初から言えばいいのに、あんな言い方するから悪いんでしょうが!!」

「なんだって!!」

「なによ!!」

「ちょっと止めてよ、2人共!!」

マナが大声で止め、で2人の間に入った。
それを『マナがシンジをかばった』と思ったアスカがさらに怒る。

「何なのよ、アンタは!!
 元々、アンタがアタシのシンジにキスなんかするからいけないんでしょうが!!」

マナはアスカの方へ向かず、シンジの方へ向く。

「シンジ君、私とキス、したの?」

「う、うん。起こしに行ったときにマナが寝ぼけて、僕にキスしたんだよ。
 だから、さっき言ってたのは夢じゃなくて本当のことだったんだ。」

お互い、顔を真っ赤にして俯いてしまった、シンジとマナ。
それを見て、アスカはさらにヒートアップした。

「いいかげんにしなさいよ、マナ!!
 どうして、どうして、やっとお互い素直になれたアタシとシンジの仲を壊そうとするの!! 
 おねがいだから・・・邪魔、しないでよ・・・。」

最後にはアスカは泣いていた。
シンジもバツが悪そうに俯いてしまった。
しかし、マナはそれに臆することなく、こう言った。

「アスカには悪いけど、私もシンジ君のことが好きなの。
 2人がどこで知り合ったとか、どういう経緯で付き合ってるのか知らない。
 けど、恋することは自由でしょ?」

「だからって、人の彼氏に恋すること無いでしょ!!」

「そんなこと言ったって、仕方ないでしょ!!
 好きになっちゃったんだから・・・。」

「マナ・・・。」

更衣室で壮絶な三角関係(?)を作っている中、いつまで経っても来ない子供達をキョウコが呼びに来た。

「ちょっと、あなた達。使徒が接近中なのに、何やってるの?」

「シンジ君達を待ってるんですよ。」

「そういえば、アスカちゃんとマナちゃんもいないわね?」

キョウコは休憩室を見回す。

「そういうわけですから、キョウコさんもここで待ってましょうよ?」

「そうね。」

今度はキョウコも含め、雑談に夢中になっていた。



「ごめん、マナ。僕はアスカが好きなんだ・・・君の気持ちには答えられないよ。」

更衣室ではシンジがマナに謝っていた。

「それは仕方ないわ。
 でも、いつかきっと私に振り向かせて見せるわ!」

「な〜に言ってんのよ。
 アタシは今朝も含めて、3回シンジとキスしてるんだからね!」

前回のも含めると4回なのだが、あれはキスとして数えたく無いのか、数に入れなかった。

「なによ、それ〜!
 じゃあ、私もあと2回していいでしょ?」

「ふざけんじゃないわよ!!」

「「うう〜!!!」」

2人にらみ合う中、シンジは更衣室内の長椅子に座って、2人を見ていた。

(よかったんだか、悪かったんだか・・・。
 マナには悪いけど、僕の気持ちは変わらないよ。
 そのために、僕は帰ってきたんだから・・・って何か忘れてるような気がする。)



シンジが何かを思い出そうとしている時に、ユイが到着した。

「この、馬鹿キョウコ!!」

「ゴンッ!」という音が似合う拳骨を食らわせた。

「痛!!ご、ごめん、ユイ・・・。」

涙目になるほど痛かったのか、キョウコは素直に謝ると事の次第を伝えた。

「・・・・・なるほど、わかりました。
 キョウコはここの3人を連れてケージへ、私は中の3人を連れてくわ。」

「了解。みんな、行くわよ〜。」

キョウコ達が去っていくのを見届けると、ユイは指の骨を鳴らしながら更衣室へと近づいた。
そして、鍵が掛かっているのを見越して、スリットにカードを通し鍵を開ける。
続けてドアを開けると、中の3人を一喝した。

「なにやってるの、あなた達!!
 現在、使徒接近中なのに何やってるの!!」

「あの、実は・・・・・。」

シンジが説明すると、3人に拳骨が飛んだ。

「ぐっ!」

「痛っ!!」

「いった〜い!!」

「そういう年頃なのはわかるわ。
 けど、時と場所を選びなさい、いいわね?」

「「「はい・・・。」」」

「それじゃ、ケージへ急ぎなさい。
 他のみんなは先に向かってるわ。」

シンジ・アスカ・マナの3人は頷くと、走ってケージへ向かった。

「若いっていいわね・・・。」

ユイは誰もいない更衣室で1人呟くと、発令所へと向かった。



そして、第9使徒・マトリエル戦が始まった。





<後書き>
ども、ウエッキーです。
「学校編」でやっとヒカリが加わりました。
学校で修羅場、というのも考えましたが止めました。
今後の三角関係(?)の動向に注目してくださいね〜。

*第5防衛ラインは1番外側の防衛ラインという設定です。
実際はいくつ防衛ラインがあるか知りませんので適当です。
場所的には、TV本編でイスラフェルを迎え撃った海岸周辺がそうだと思ってください。



<次回予告>
前回、苦戦したサンダルフォンは楽勝だった。
前回、楽勝(?)だったマトリエルは大苦戦!?
コイツはこんなに強くなかったはずなのに〜、なぜ!?

次回、The Restart Of Evangelion

        第12話「思いがけない強敵」

を、お送りしまーす。


マナ:もう、わたしは危ない世界から帰ってこれないのかと思ってたけど、大丈夫みたいねっ!

アスカ:この鋼鉄娘がっ! 前回に懲りず、今回迄ちょっかい出してくるかぁっ!

マナ:当然でしょっ!(^^v

アスカ:シンジ。アタシが好きだって言ってるでしょうがっ!

マナ:もともとシンジは、わたしみたいな娘が好きなのよ。そのうち、気付くわっ!

アスカ:人のシンジの唇奪っといてっ! よく言うわねっ!

マナ:アスカなんか、3回も4回も奪ったじゃないっ!

アスカ:奪ったんじゃなくてっ! アタシのよっ!

マナ:ぜーーーたいっ! 奪ってやるんだからぁぁぁっ!

アスカ:アンタには、アスナがいるでしょうがっ!

マナ:そっちの世界から脱出して、シンジを奪うのよっ!

アスカ:アスナを利用してでも、阻止するわっ!

マナ:やれるもんなら、やってみなさいよねぇーーーだっ!
作者"ウエッキー"様へのメール/小説の感想はこちら。
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ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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