The Restart Of Evangelion
 
                         第12話「思いがけない強敵」





5つの射出口から、5つのEVAが出てきた。
零号機から四号機まで勢揃い、まるで戦隊物である。

「使徒はこっちへ真っ直ぐ向かってるわ。1対5とはいえ、油断しないでね!!」

発令所からミサトの激励をうけると、我先にとアスカとマナが攻撃を仕掛けていく。

((まずはここで、シンジ(君)にアピールよ!!))

「ちょっ・・・、マナ、アスカ!!」

シンジが呼びとめるが、2人はマトリエルに向かう。

(コイツは溶解液が厄介だったわね・・・。)

アスカはソニックグレイブを手に持つと、左側からマトリエルに斬りかかった。

「でやあああああ!!!!!」

同時に、マナはスマッシュホークを持ち、右側から攻撃を仕掛ける。

「はあああああ!!!!!」

偶然にもタイミングが合い、2人は勝利を確信した。

「「やったわ!!」」

しかし、マトリエルは姿に似合わない素早い動きで後ろに下がり2人の攻撃をかわした。

「「ウソッ!!」」

驚いてるのは2人だけではなく、シンジ達も驚いていた。

「カヲル君、あの強さ・・・どうなってるんだろう?」

「僕達が戻ってきた影響が出てるのかもしれないね。」

「・・・お兄ちゃん、渚君、アスカ達を助けなくていいの?」

レイの言葉に、シンジとカヲルはアスカ達を見た。
そこには、素早い動きで溶解液を吐いて攻撃するマトリエルに苦戦するアスカ・マナがいた。

「くっ、コイツ!!」

「お姉ちゃん、落ち着いて!!」

「もう、ちょこまかしないでよ〜!!」

見かねたカヲルが、シンジに声をかけた。

「シンジ君、僕が行こうか?」

「あの2人は少し頭を冷やした方がいいと思うんだ。」

「なるほど。」

「レイも手を出さなくていいからね。」

「わかったわ。」

こうして、シンジ達3人は射出口から動かずに戦いの行方を見ていた。



「どうして助けに来ないのよっ!!」

戦闘が始まってから動きの無い3人に、アスカは苛立ちを覚え始めていた。

「はあ、はあ、ま、まったく当たらないなんて・・・。」

一方、マナは立て続けに繰り出す攻撃を全てかわされ疲労困憊していた。

「そろそろ限界みたいだね。」

「レイはマナの救助を、カヲル君はアスカを避難させてくれる?」

「「了解。」」

2度目のカヲルの声かけに、シンジはようやく動き始めた。



「マナさん、肩を貸すわ、ここから撤退しましょう。」

「ご、ごめんね、レイちゃん・・・。」

マナ・レイ、戦闘区域から退場。

「アスカさん、ここから撤退するよ。」

「何言ってんのよ!アタシはまだまだやれるわ!!」

「お姉ちゃん・・・。」

カヲルの言葉を思いっきり突っぱねるアスカ、アスナはアスカの態度に困ってしまった。

「アスナちゃん、アスカさんのシンクロを強制カットしてくれる?」

「わ、わかりました。」

「ちょっ、アスナ、やめなさい!」

アスナはアスカのシンクロをカットし、自分だけが弐号機にシンクロしている状態にする。

「カットしました、ここから撤退します。」

「渚!後で覚えときなさいよ!!」

アスカ&アスナ、戦闘区域から退場。



アスカ達が射出口から退場していくのを見届けると、カヲルはシンジに声をかけた。

「シンジ君、待たせたね。」

「それより、僕から仕掛けてみるよ。カヲル君は状況を見て援護してくれる?」

「わかったよ。でも、注意しないとあの2人の二の舞になるからね。」

「了解。」

カヲルに作戦を指示すると、シンジはマトリエルに接近していった。

「はあああああああっ!!」

シンジは拳を握り、力一杯殴りつけ始めた。

『ドカドカドカドカドカ・・・・・!!!!!』

1発、2発、3発・・・コアを殴り壊す勢いで思いっきり殴りつける。

「・・・・・・・。」

しかし、マトリエルに対した効果は無かった。
次に、シンジはプログレッシブナイフを装備して攻撃を再開した。

「くっ・・・、すばしっこいヤツ!これならっ!!」

攻撃が当たらないことに業を煮やしたシンジは、マトリエルの足を攻撃、切断することに成功した。

「!! シンジ君、あぶないっ!!」

「えっ?」

カヲルがシンジの前に立ち、ATフィールドを展開し防御する。
最後の抵抗なのか、マトリエルは溶解液を吐くとその場から動かなくなった。

『キィィィィィ!!!!!』

カヲルはATフィールドを解除すると、マトリエルのコアにナイフを突き立て止めを刺した。





「使徒、活動停止。完全に沈黙しました!」

発令所ではマヤの報告を聞く、三賢者と惣流姉妹にレイとマナがいた。

「さて、アスカちゃんとマナちゃんはシンジ君にたっぷりしぼられてらっしゃい。」

「「・・・・・。」」

キョウコがそう言うと、2人はうな垂れたまま休憩室へと向かった。

「アスナちゃんとレイも行ってちょうだい。」

ユイに促され、アスナとレイも休憩室へと向かった。



「2人共、そこに座ってくれる?」

休憩室には椅子に座ったシンジ、その隣に立つカヲルがいた。
アスカ・マナは言われた通り、シンジの正面の席に座る。
レイはアスカの、アスナはマナの横にそれぞれ立つ、それを確認してからシンジは口を開いた。

「出撃後、2人同時に攻撃を仕掛けたのは作戦?」

「「・・・・・。」」

「黙ってたら、わからないじゃないか。」

「「・・・・・。」」

「まさか、出撃前の言い争いが原因、じゃないよね?」

「「(ビクッ!!)」」

「そうなんだね。どういうことなのか、説明してほしいんだけど。」

「・・・・・。」

「シンジに・・・いいところを見せて、アピールしようと思って・・・。」

(はあ・・・、やっぱりね。)

ここで始めてアスカが口を開いた。
シンジも予想がついていたのか、口には出さないものの、呆れていた。

「マナもそうなの?」

「・・・うん。」

(そんな!お姉様には私がいるのに・・・酷い!!)

マナの言葉に、アスナは大きなショックを受けていた。
自分の思い人には好きな人がいると言ってるようなものである。
第3者から聞くのならまだしも、本人から聞くのだからショックも大きくて当然である。

「・・・・・とにかく、2人の気持ちは嬉しいけど、僕はそんなことで怪我をして欲しくないんだ。
 だから2人共、先走ることはしないでね。」

「「・・・はい。」」

シンジのお説教も終わり、2人が反省したところでミサトが駆け込んできた。

「シンジ君、大変よ!
 使徒が、さっきの使徒が活動を再開したわ。もう1度、出撃してちょうだい!!」

「わかりました! 行くよ、みんな!!」

「「「「「了解!」」」」」

シンジの掛け声に5人が答えると、ケージに向かって走り出していった。

「シ、シンジ君がリーダーなのね。
 アスカがやってるかと思ってたのに、以外だわ・・・。」

そう言うと、ミサトは頭を掻きながら発令所へと戻っていった。



「射出、完了しました!!」

マヤが現状を報告する。
モニターで使徒を見ていたユイが呟いた。

「ATフィールドの新しい使い方ね。」

「切れた足の代わりに使うなんて・・・防御はどうなるんでしょうか?」

「『防御』するんじゃなくて、『回避』するんでしょうね、きっと。」

リツコ・キョウコも使徒を見て言葉を発する。
そして、使徒の前に射出されたシンジ達も使徒の足の事に気付いた。

「あれは・・・ATフィールド。」

「あんな使い方もあるなんて・・・。」

(アタシは武器として使ったことがあるくらいなんだから、これには驚きはしないけど・・・コイツ、前のときと全然違う!)

「足に展開してるとしたら・・・防御には使わないのかなぁ?」

「足があるから避けるんじゃないかな。」

(避けられる前に倒せばいいんだけど、コアはあそこ以外にもあるの!?)

「すいません、使徒のコアの位置を調べてください!!」

マトリエルのコアにナイフを突き立てたことで殲滅したと思っていた。
しかし、この使徒は現在活動中であることから、「あれ以外にコアがあるのでは?」 
と、思ったシンジは発令所にいる人に、コアの位置の検索を頼んだのだった。

「みんな、各種モニター使ってコアの位置を調べて!」

「「「了解!!」」」

「シンジ君、検索の指示は出したわ! みんな、結果が出るまでやられないでね!!」

「「「「「「了解!!」」」」」」

ミサトの報告を聞いた後、矢継ぎ早にシンジは皆に指示を出す。

「みんな、使徒の溶解液に注意して、アスカ!マナ!先走った行動は無しだよ、いいね?」

「は〜い。」

「わかったわ。」

『ビュッ!!!』

勢いよく、マトリエルが溶解液を噴出してきた。
狙われたのは零号機、レイはATフィールドで防御する。
そして、パレットライフルで反撃するが、素早い動きをするマトリエルには当たらない。

「早い!」

レイの次に狙われたのは参号機。
レイと同じくATフィールドで防御するが、マナはフィールドの展開になれていないために遅く、そして薄かった。
そのため、溶解液を防御しきれなかった。

「キャアアア!!!」

「マナ、大丈夫?」

「だ、大丈夫よ、シンジ君。」

参号機はマナが咄嗟に出した右腕が少し解けていた。
マトリエルはATフィールドの弱い参号機に狙いをつけ、溶解液を吐き出し続ける。

『ビュッ!!ビュッ!!ビュッ!!』

「危ない!!」

マナの前にシンジが立ち、溶解液を防御する。
シンジのフィールドは強固なため溶解液にもビクともしないが、マナをかばってることもあり防戦一方である。

「くっ! このままじゃ、どうしようもないよ。」

「ごめんね、シンジ君・・・。」

「大丈夫、マナ?」

「私は大丈夫・・・でも、どうするの?」

「ミサトさん達の報告を待つしかないよ・・・。」

一方、アスカは面白くなかった。
自分の方に使徒が来ないからいいが、シンジがマナをかばってるのはいい気ではない。

『ガシッ!ガシッ!』(シンジ〜! どうしてマナをかばってるのよ!!)

シートを蹴りながら、心の中で悪態をつく。
同じシートに座ってるアスナはたまったものではない。

「お、お姉ちゃん、やめてよ〜。」

「うるさい!!」

「うう〜・・・。」(怖いよ〜。お姉様、助けて下さ〜い。)

アスナにとっても面白くないはずだが、アスカの方が怖いのか、それどころではなかった。



しばらくすると、シンジの元へ通信が入る。

「おまたせ、シンジ君! 使徒のコアらしき場所が判明したわ!!」

「それで、場所はどこですか?」

「どうやら・・・体の下にあるようなのよ。」

「下ですか・・・、わかりました。後はこちらに任せてください!」

「頼んだわよ!」

シンジは早速考え始める。

(下と言われても、どうすればいいのか考えつかないよ・・・。)

「シンジ君、ちょっといいかい?」

「何、カヲル君?」

「足の部分のATフィールドを中和して、みんなでひっくり返してコアに止めを刺す、ってのはどうかな?」

「それでいこう。アスカが中和を、カヲル君とレイで使徒をひっくり返し、アスカが止めを刺す、いいよね?」

「シンジ君にまかせるさ。」

作戦が決まり、さっそくアスカとレイに通信を送る。

「アスカは使徒のATフィールドの中和をして!レイとカヲル君が使徒をひっくり返すから、コアへの攻撃も頼むよ。
 レイはアスカが使徒のATフィールドを中和した後、カヲル君と一緒に使徒をひっくり返してね。
 みんな、溶解液には注意を忘れないで!」

「「「了解!」」」

アスカ・レイ・カヲルの3人は作戦を開始し、シンジはマナをかばっていた。

「シンジ君も戦いに行ってよ、私は大丈夫だから。」

「ダメだよ! マナは狙われてるんだし、損傷もしてるんだから、ね?」

「・・・優しいね、シンジ君。」

「あ、ありがとう・・・。」



作戦遂行チームはマトリエルの前に立ち、作戦を開始することとなった。

「アスカさん、準備はいいかい?」

「もちろんよ! アタシは問題無いわ、アンタ達こそ大丈夫なの?」

「・・・問題無いわ。」

「それじゃ、行っくわよ〜!!」

アスカは勢いよくマトリエルに向かっていく。
吐き出される溶解液を避けて、マトリエルの足に展開されるATフィールドの中和にかかる。

「覚悟しなさいよ、アンタ! 今のアタシは機嫌が悪いんだからねぇ〜!!」

華麗なステップでマトリエルに接近すると、「あっ!」と言うまに中和を終わらせる。

「レイ、渚、アンタ達の番よ!」

「・・・まかせて。」

足の無くなったマトリエルに素早くとりつくと、その体をひっくり返す。

「よい・・・しょっと! アスカさん、任せたよ。」

「了解! 行っくわよ〜、とりゃあああああ!!!!!」

剥き出しになったコアに向かって、プログレッシブナイフを突き立てる。
激しい光を放つナイフとコア。
しばらくすると光が消え、マトリエルは完全に動かなくなった。

「使徒、完全に沈黙。今度はもう動かないですよね?」

「大丈夫でしょう・・・たぶん。」

マヤの報告にミサトは断言できないものの、「ホッ」と胸をなでおろしていた。


発令所で安心しきった空気が流れる中、戦場では厄介事が起こっていた。

「ちょっと、シンジ! いつまで引っ付いてんのよ、戦闘は終わってんのよ!!」

戦闘が終わってもマナをかばったまま動かないシンジにアスカの怒りが爆発した。

「あっ、本当だ・・・。アスカ、お疲れ様。」

「うっ・・・うん、シンジの作戦のおかげよ。・・・って違うでしょ!!」

戦闘が終わったのを確認し、笑顔で労いの言葉をかけるシンジ。
しかし、アスカの怒りが収まることなく、シンジを責めたてた。

「へっ? 何か問題あった?」

「お・お・あ・り・よ!!」

「シンジ君、とっても怖かった・・・。」

鈍いシンジがアスカの怒ってる理由がわかるわけも無くアスカに理由を聞く中、マナがここぞとばかりにシンジに甘える。

「もう終わったから大丈夫だよ、マナ。」

「終わっちゃったのか・・・残念。」

優しいシンジはマナを安心させるように優しい声をかける、しかしマナは戦闘が終わってしまたのを残念がっていた。
小声でぼそっと言った言葉をアスカが聞き漏らすわけも無く、マナに突っかかる。

「なんですって!!」

「アスカ、一体何怒ってんの?」

「シンジは黙ってて! ちょっと、マナ!!」

アスカはよほど癪にさわったのか、シンジよりもマナに口撃をしかける。

「何よ。」

「シンジはアタシのなんだから、手を出さないでって言ったでしょう!
 しかも、使徒を殲滅した時に『終わっちゃったのか・・・残念。』ってどういうつもりよ、
 使徒を倒すのがアタシ達の役目でしょうが!!」

「・・・残念って言ったのは悪かったわよ、ごめん。
 でも、シンジ君、いえ、シンジはあきらめないわよ!!」

「何、『シンジ』なんて呼び捨てにしてんのよ!!」

「アスカだって呼び捨てじゃな〜い!!」

「「うう〜〜〜!!!」」

ケージに戻っている最中もこの調子の2人に、カヲルとレイは早々に立ち去ることにした。

「シンジ君、ここは君に任せるよ。僕と綾波さんは戻るから。」

「ごめんね、カヲル君。」

シンジはカヲルとレイを見送ると、いつのまにかEVAから降りて口喧嘩する2人に近づいていった。



現場ではアスナを含めた3人で口喧嘩をしていた。
しかし、アスナは2人の間に入り、何とかなだめようとしていた。

「お姉様もお姉ちゃんも落ち着いてよ〜。」

「「うるさい!!」」

「う〜・・・。(シンジさんのどこがそんなにいいんだろう?)」

「だいたいね〜、『アタシのシンジ』なんて、シンジは物じゃないのよ!!」

「そんなことわかってるわよ!アタシはシンジから告白されてつきあってんのよ!!
 それを横から、アンタが邪魔するからいけないんでしょうが!!!」

「私が誰を好きになったっていいじゃない!!」

「それはいいわよ。けど、アンタはさっき振られたでしょうが!」

「そんなの関係ないわ、振り向かせてみせるもの!!」

「アンタねぇ〜、しつこいのはもっと嫌われるわよ。」

シンジは現場に到着すると、早速2人を止めた。

「2人共、落ち着いてよ。」

「「!!!!!!!」」

しかし、口喧嘩に夢中なのか、シンジの声は届かなかった。
唯一、シンジの存在に気付いたアスナは、シンジの手を取り歩き始めた。

「行きましょう、シンジさん。」

「えっ!でも、2人を止めないと・・・。」

「聞こえませんよ、今の2人には。・・・それより、話があるんです。」

「・・・・・わかったよ、行こうか。」

「話がある」、そう言われたシンジはアスナの真剣な目に、話を聞くことにした。


休憩室に着いたシンジとアスナは、向かい合うように座った。
そして、アスナが口を開いた。

「シンジさんはマナお姉様のこと、どう思ってらっしゃるんですか?」

「・・・好きだよ、友人としてね。」

「友人?」

「そうだよ、僕の彼女って言う人はアスカだから。」

「そのことをお姉様は・・・。」

「知ってるよ、出撃前に話したからね。そしたら・・・」

「そしたら?」

「振り向かせてみせる、って言われたよ。」

(同性よりも異性を選んだのね・・・お姉様は。)

アスナにとっては初恋の人、マナ。
アスカには懐くだけだったが、心の奥から好きになった人、マナ。
そのマナが目の前の異性に夢中、それはアスナにとって大きすぎるショックだった。

「アスナが、マナの事好きなのは知ってる。
 同性同士だから恋人同士にはなれるかどうか知らないよ。
 けど、マナがそういう関係が嫌と言うんだったらやめてほしいんだ。」

「どうして、そういうこと言うんですか?」

「恋人同士ってのはダメでも、親友にならなれるでしょ?
 カヲル君が僕のこと好きって言うから、同性に好かれた人の気持ちって言うの、わかるんだ。
 だから、マナとしっかり話をして、恋人がダメだったら親友じゃダメですか?って聞いてほしんだ。
 そして、君には親友としてマナのことを思ってあげてほしいな。」

「・・・・・・・。」

「・・・何か、話が逸れちゃったかな?
 とにかく、僕はマナのことは友人として好きだから。
 それじゃ!」

それだけ言うと、シンジは席を立ち、更衣室へと入っていった。

「わかってた・・・ダメなことくらい。
 親友じゃダメなのに、それしかないのかな?
 でも・・・嫌われるよりはいいかもしれない。」

1人残されたアスナの目には涙が光っていた。



「早かったね、シンジ君。」

更衣室に入るとカヲルがプラグスーツのままでいた。

「うん・・・って、何で着替えてないの?」

「ああ、シンジ君とお風呂に入ろうと思ってね、行こうか?」

「うん。」




大浴場に着き、体を洗い、頭を洗い終わった後、2人は湯船に浸かっていた。

「それで・・・2人は止められたのかい?」

「あっ! 忘れてた・・・。」

カヲルの一言に、すっかり忘れていたことを思い出したシンジ。

「おやおや、君らしくないね。」
 
「・・・どうして、2人は仲良くしてくれないんだろう?」

「君が誰にでも優しいからだよ、シンジ君。」

「僕が? そんなこと、ないよ・・・。」

「君は優しいよ、具体的には言わないけどね。
 君のいいところが無くなってしまうと困るからね。」

「・・・・・。」

シンジにはカヲルの言葉をわからなかった。
しかし、自分の愚痴を嫌な顔1つせずに聞いてくれるカヲルの存在はありがたかった。

「まあ、あの2人なら気にすること無いさ。」

「・・・そうかな?」

「そうだよ。」

こうして、2人が湯船で疲れをとっている中、渦中の2人は怒られていた。



「いいかげんになさい!!」

『ゴンッ!ゴンッ!』とユイの拳骨の音がケージ内に鳴り響いた。

「いった〜い!!」

「痛いですよ、おばさま〜。」

涙目で恨めしげにユイを見る2人、当のユイは笑顔だった。

「うちのシンジがこんなにもてるなんて・・・母として、うれしいわ。
 で・も、戦闘終了後だからって口喧嘩はいただけないわ。」

「「・・・・・。」」

「私はどちらでもいいわ。
 けど、自分達だけじゃなくて、シンジの気持ちも大事にしてあげてね、2人共。」

それだけ言うと、ユイは来た道を引き返して行った。
ユイの姿が見えなくなってから、お互い見つめ合う2人。
アスカがおもむろに口を開いた。

「・・・シンジがアタシの事、好きって言ったことを信じるわ。
 アタシはシンジが好き、シンジもアタシが好きなのが今よ。
 それでよければ、かかってらっしゃい!!」

「言ったわね〜。
 ぜ〜ったいに、負けないんだからね!!」

ユイのおかげで、お互いを『シンジを巡るライバル』となった2人は仲良く家路へとついた。




<後書き>
本当に、どうもすいません。m(_ _)m

ども、ウエッキーです。
なんだか上手く出来ませんでしたが、現在はこれで精一杯です。(−−;
最近、話が上手く出来なくて困ってます・・・スランプってヤツなんでしょうか?



<次回予告>
ありがちな恋の三角関係に、残りの3人がどう絡んでいくか。
相談役のカヲル、影の薄いレイ、傷心のアスナ、どうなってくんでしょうね〜?
微妙な人間関係形成中でも、使徒はやってくるようで・・・。

次回、The Restart Of Evangelion

        第13話「人間関係」

を、お送りしまーす。


マナ:ようやく、危ない関係から完全脱出できたようねっ!(*^^*)v

アスカ:だからって、シンジにちょっかい出すなっつってるでしょうがっ!(ーー#

マナ:フフフ。あなた忘れてないでしょうねぇ。

アスカ:なにがよ?

マナ:あなたは、1度わたしに敗北してるのよっ。

アスカ:だっ、誰が敗北したってのよっ!

マナ:今はシンジも義理立てしてあんなこと言ってるけど、本当の好みの女の子はわたしみたいな娘なのよぉっ!

アスカ:アンタのどこが好みだってのよっ!

マナ:あなたみたいに乱暴者じゃないわっ。

アスカ:シンジは、アタシみたいな活発な娘が好きなのよっ!

マナ:そうそう、2人でしかエヴァを動かせないような人は、わたしと張り合わないでよねぇ。

アスカ:ムキーーーーーっ! よーしっ! とことん対抗する気ねっ!

マナ:シンジは絶対わたしのものにしてみせるわっ!(ギラリっ!)

アスカ:望むところじゃないっ!(ギラリっ!)
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