子供達は学校へ行き、友達・クラスメートと話の華を咲かせていた。
そして、昼休み。

「じゃあ、屋上でご飯食べようか?」

「うん、行こうか。」

シンジはカヲルを誘い、屋上へと向かった。

「シンジ君、鈴原君達は呼ばなくてよかったのかい?」

「いいんだ・・・。前ほど仲良くないし、今後のことを話したかったしね。」

「今後のことって・・・・・まさか! 僕達の結婚のことかい!?」

「違うよ。(キッパリ)
 次の使徒は軌道衛星から落下してくるヤツだったよね。」

完璧に否定されたショックが抜けないカヲルは力なく頷いた。

「やっぱり、「誰かが受けとめて、別の人が殲滅」しかないのかなぁ?」

「それで問題無いと思うけど。
 けど、マトリエル戦の時のことを考えて用心しておく方がいいね。」

「でも、アスカとマナ、僕とアスナは仲が悪いから不安だよ。」

シンジはアスカ・マナがライバル同士気が合ったことをまだ知らなかった。

「その辺も問題無いと思うよ。
 アスナさんについてはマナさんに頼んでもらえばOKだと思うし。」

「でも、マナが僕のことでアスナに頼み事したら余計に仲が悪くなると思う・・・。」

「そうかもしれないね。」

結局、いい考えが浮かばないまま、教室へと向かう2人であった。





                    The Restart Of Evangelion
 
                            第13話「人間関係」





『ブブブブブ・・・』

レイのポケットの中で携帯が震えた、ネルフからの呼び出しである。
普段は音なのだが、学校内ではバイブにしているのだ。

「・・・先生、早退します。お、碇君、出撃よ。」

レイは咄嗟に『碇君』と言い直した。
クラスのみんなが首を傾げる中、子供達はネルフへと向かうのだった。



〜ネルフ本部・発令所〜

本部ではパターン青が検出されてから、嵐のように騒がしくなり始めた。

「軌道衛星上に使徒発見! モニターに回します。」

モニターに映し出されたのは、鳥のような形をしたオレンジ色の使徒だった。

((落ちてくるやつね・・・Magiのサポートと私達がいるから問題無いわ。))

ユイ・キョウコは余裕の表情を崩さず、モニターを見ていた。

「子供達の呼び出しは?」

「はい、こちらに向かってます。」

「よし・・・。」

久々に登場したゲンドウ。
いつもなら「第1種戦闘配置」等言うつもりだったが、相手が軌道衛星上じゃ意味が無い。

「もう一つ、パターン青! 場所は・・・シグマユニット・Aフロアー内、第87タンパク壁です!!」

「使徒の同時出現、スケジュールには無いぞ、碇。」

「ああ。しかし、ユイ達がいるからな、問題は無いだろう・・・。」

「まあ、それはそうだが。」

ゲンドウと冬月が話をしていると、三賢者が行動を開始した。

「サイズ的にEVAでの殲滅は不可能ね。」

ユイがそう言うや否や、マヤの悲鳴のような報告が入る。

「センパイ! Magiが・・・Magiがハッキングを受けています!!」

「そんな! これでは軌道衛星上の使徒の動きがわからなくなるわ!!」

リツコまでもパニックになっていた。
キョウコが近づき、頬を叩く。

『パンッ!』

「リッちゃん、いい?
 まずはMagiを取り戻すの、それにはあなたも必要なのよ。」

「は、はい・・・。」

「私・キョウコ・リッちゃんは直接アクセスをして使徒を『消去』します。
 マヤちゃんはMagiの状況報告を、いいわね?」

「は、はい。」

「それでは、行動開始!!」

個々に持ってるノートパソコンでMagiにアクセスすると、作業を開始した。

「カスパーから自律自爆が提訴されました!」

(カスパーから? 歴史が変わってるわね、ハッキングスピードも前より遥かに早いわ!)

「リッちゃん、大丈夫?」

「何とか間に合わせてみせます・・・。」

キョウコの問いかけにもぎりぎりの返事を返すリツコ。
状況はかなり悪かった。

(このままだとMagiどころか、本部が無くなるわね。・・・これを試してみますか。)


ユイはいつのまにか作っていたワクチンを使った、おかげで使徒のハッキングスピードが遅くなった。

「今のうちに頼むわよ、2人とも。」

「「はい!」」

しかし、状況はすぐに悪くなる。

「メルキオールが自爆に賛成してます!」

(このままじゃ・・・!!)

ユイが唇を噛んだ。
その時、後ろのドアが開いた。
子供達が到着したのだ。

「・・・お前達は着替えてケージで待機していなさい。」

ゲンドウがシンジを見ながら、そう言った。

「わかったよ、父さん。行こう、みんな。」

こうして、子供達は発令所を出て行った。


(ゲンドウさんも少しは反省したのかしら?)

シンジに対して柔らかな物の言い方を聞き、ユイは少し嬉しくなった。

「バルタザール、後10秒でハッキングされます!
 9・8・7・6・5・4・3・2・」

「「「出来た!!」」」

三賢者は『使徒消去プログラム』が完成すると同時に起動した。

「・・・カスパー・メルキオール共に自爆を取り下げました!」

「やりましたね。」

「ええ。」

マヤの報告にキョウコ・リツコは喜ぶ中、ユイは渋い顔をしていた。

「どうしたの、ユイ?」

「結局、Magiは使い物にならないわ・・・。」

「それって・・・。」

「あの軌道衛星上の使徒については、ミッちゃんとあの子達に任せるしかないわね。」

ユイは発令所の隅で所在無さげにしているミサトを呼んだ。


「ミッちゃん、軌道衛星上の使徒についてはあなたに一任するわ。」

「へっ?」

「いい、ミサト。Magiは先程の使徒によって使えなくなってしまったわ。
 次は、優れた作戦を立てることの出来るあなたの番なのよ。」

「わ、わかったわ。」

リツコの説明により、事を理解したミサトはケージへと向かった。



〜ケージ〜

すでに、子供達はプラグスーツを来て、出撃の指示を待っていた。

「どうなったのかしら?」

「母さん達がいるから大丈夫だよ。」

「そうね。」

「みんな、EVAに乗ってちょうだい! 出撃よ!!」

ミサトがやってきて、搭乗命令を出す。
子供達は自分の機体へ搭乗するとミサトの声がする。

「Magiが使用不能のため、衛星軌道上の使徒に対しては私達のほかに対処できる人がいないわ。
 まずは出撃して、様子を見てきてくれる?」

シンジが初号機の手で了解の意思を伝えると、リフトから射出された。
引き続いて、他のEVAも地上に射出された。


(あれ?Magiが使えないなら、リフトも使えないんじゃ・・・?)

『シンジ』

地上へ出たシンジにのみユイからの通信が入る。

「母さん、通信できるの?」

「たった今からね、応急処置で通信は何とか使えるわ。
 けど、モニター機能が死んでるから「SOUND ONLY」でしょ?」

「ホントだ。」

シンジが確認すると、確かに顔は写っていなかった。

「それと、前のことを踏まえてMagi無しでも電気さえあればリフトは使えるようにしたのよ。」

「そうだったんだ・・・。」

「シンジ、使徒は降下しているはずよ。目測で何とかしてちょうだい!」

「そ、そんなの無理だよ!!」

さすがにシンジも弱音を吐いた。
前だってMagiのサポートがあって何とか出来たのに、目測だけで何とかしろと言うのは酷である。

「渚君に頼んでみたらどうかしら?」

キョウコの一言でシンジはカヲルにだけ通信を開く。

「カヲル君・・・使徒の位置わかる?」

「やあ、シンジ君。僕にははっきりわかるよ。」

「それじゃ・・・・・。」

「言わなくてもいいよ、僕がみんなを誘導すればいいんだね?」

「うん、お願いできるかな?」

「任せてよ。」

満面の笑顔で答えるカヲルに、シンジは安心感を得たのであった。



〜作戦開始〜

「マナさんは僕の正面から100M真っ直ぐ進んでくれるかい?」

カヲルの誘導が始まった、マナは言われた場所に立つと通信を開く。

「立ったよ〜。」

「次は、アスカさん・アスナさんはマナさんの位置から左に250M進んで。」

「何でアンタの言うこと聞かなきゃいけないのよ!?」

「君達じゃ使徒の位置がわからないのと、僕のEVAの望遠機能が他の機体より凄いからだよ。」

アスカの噛みつきをサラリと避けると、レイに指示を出す。

「レイさんはアスカさんアスナさん達の逆で、右に250M進んでくれるかな。」

「・・・わかったわ。」

3機のEVAがカヲルの指定したところに立つと、シンジに声をかけた。

「シンジ君はみんなが受けとめてる間に、中和&攻撃だからね。」

「わかったよ。」

「ミサトさん、こういう感じになりましたがいいですか?」

カヲルはミサトに自分の作戦の許可を問う。

(まさか、EVAで受けとめるなんて・・・同じ事を考えてると思わなかったわ。)

「構わないわ。こちらからはそちらの状況がわからないので、渚君、あなたに指揮を任せるわ、いいわね?」

「了解です。」

「みんな、任せたわよ! 作戦が終了したら夕飯おごるから、がんばってね!!」

それだけ言うと、ミサトは通信を切った。

「ミッちゃん、私達の分もご馳走してくれるのかしら?」

「えっ、その・・・。」

ミサトはユイのいきなりの問いかけにうろたえた。

「うふふ、嘘よ。私達はMagiの復旧で今日は徹夜になるから、子供達のこと任せるわね。」

「は、はい、子供達のことはお任せ下さい。」

「あと、この事を伝えといてくれる・・・(ボソボソ)」

「・・・わかりました。」

一方、発令所内にある指令席では中年2人が話をしていた。

「碇、食事代くらい出してあげたらどうだ?」

「・・・ああ、そうだな。経費で落としてもいいと伝えてくれ。」

「経費じゃなくて、お前のポケットマネーからだしたらどうだ?」

「・・・・・。」

「まったく、作戦終了後に葛城君を呼ぶから渡すのだぞ、経費では落とさせんからな。」

「・・・わかった。」



〜戦闘開始〜

そのころ、地上では全員が肉眼で使徒を確認していた。

「・・・来たようだね。」

「うん。みんな、気をつけてね!!」

「当然でしょ!」

「がんばるからね〜。」

「・・・任せて、お兄ちゃん。」

アスナは無言だったが、みんながシンジに答えた。

「来た!!」

カヲルの声と同時にアスカ・レイ・マナがATフィールドを展開する。

「シンジ、こっちは任せて!」

「・・・お兄ちゃん。」

「は、早く来て、シンジ〜!!」

アスカ・レイは余裕があるのだが、マナは厳しいのか辛そうな声をあげる。

「はあああああああ!!!!!!!」

手にナイフを装備して、マナの元へと全力疾走する。

「大丈夫、マナ!?」

「ちょ、ちょっと辛いけど、が、がんばる・・・。」

シンジは左手で受けとめるようにして使徒のATフィールドを中和する。

「だあああああ!!!!!」

中和して穴が空いたようになった使徒の眼の模様が描かれている部分、そこにあるコアにナイフを突き立てた。

(前と同じ手応え・・・コイツはパワーアップしてないのか。
 でも、使徒が同時にやってくるなんて事は無かった・・・そこが変わった部分なのかな。)

ナイフを突き立てたまま、シンジはそんなことを考えていた。

「ミサトさん、使徒の殲滅完了しました。」

「ご苦労様、今日の夕飯おごっちゃうわよん♪」

カヲルの報告にミサトはご機嫌だった。

「さすが・・・と言う所かしらね。」

「ええ。でも、彼がいなければ失敗していたわ。」

ユイとキョウコは作戦成功は嬉しかったが、どこか納得できない部分があったのか表情は渋かった。



「葛城君、ご苦労であった。」

「いえ、子供達に頼りっぱなしでしたから・・・。」

ここは司令室。
作戦成功の報を聞いた後、冬月がミサトを呼んだのだ。

「時に、君はこの後、子供達に夕飯をご馳走するとか?」

「ええ、それくらいのことしか出来ませんし、この作戦ではいつもより子供達に頼ってしまいましたから。」

「そこでだ、おい、碇。」

冬月に声をかけられたゲンドウは引き出しから封筒を出す、それを机の上に置いた。

「・・・持っていきたまえ、葛城君。」

「これは?」

「・・・私からの餞別だ、使ってくれ。」

ミサトは机の上の封筒を手に取り、中を見るとお金が入っていた。

「こ、こんなに!! いただけません、こんな大金。」

餞別というから、子供達の夕飯代くらいだと思っていたが、それには多すぎる額である。

「いいんだよ、貰っておきたまえ。」

冬月が貰うように進めるが、ミサトも「はい、そうですか。」と受け取れない。

「しかし・・・。」

「いいんだよ、コイツのポケットマネーだからな。」

「・・・入らないなら置いていけばいい。」

「わかりました、ありがたくいただいていきます。
 ・・・それでは、失礼します。」

これ以上、気を使わせるのも悪いと思ったミサトは受け取ることにした。



〜休憩室〜

子供達は着替えを終え、ミサトを待っていた。

「ミサトだから屋台でラーメンが関の山かしらねぇ。」

前の時と同じだと思っているアスカは誰彼無くそう言った。

「手作りは嫌だよ〜。」

「マナさん、ミサトさんの料理はそんなに酷いのかい?」

「すっごく酷いの、特にカレーが・・・。」

「だ〜れのカレーが酷いって、マナちゃん?」

ミサトが苦笑いをしながら現れた。

「い、いえ、そんなこと言ってないですよ。」

「まあ、いいわ。みんな、ご苦労様! 早速行きましょうか?」

「で、ミサト。どこに連れてってくれるの?」

「ふふ〜ん、みんなのリクエストを聞こうかしらん?」

「いいの、そんなこと言っても?」

展開が違うことにアスカは驚き、聞き返した。

「碇指令から餞別を貰ったのよ。美味いものを食べさせてやってくれ、って事なのかしらね。」

「父さんが・・・。」

前のゲンドウならそんなことをするはずがない。
歴史が変わってきているのか、そのゲンドウからの餞別にシンジは少し嬉しくなっていた。

「じゃあ、アタシはフランス料理フルコース!」・アスカ

「私は中華がいいなぁ。」・マナ

「お姉様といっしょでいいです〜。」・アスナ

「・・・お肉が無ければなんでもいいです。(ニンニクラーメンチャーシュー抜き、食べたい。)」・レイ

「何でもいいですよ、決まったところで。」・シンジ

「僕もシンジ君と同意見かな。」・カヲル

「ふむふむ。じゃあ、中華かフランス料理の2択かしら?
 私は居酒屋でドンチャン騒ぎなんてのもいいなぁなんて・・・。」

ものの見事にバラバラな意見に休憩室で考え込む全員だった。

「じゃあ、多数決にしましょう。フランス料理・中華・居酒屋の3つから選んでね♪ 文句のある人は?」

ミサトが全員を見る、文句は無いことを確認すると決を採り始めた。

「じゃあ、フランス料理がいい人〜?」

「はーい!」・アスカ

「「「「「・・・・・。」」」」」

「アスカだけね、私も反対だからねん。次に中華がいい人〜?」

「「はい!」」

「「「「・・・・・。」」」」

「マナとアスナの2人、っと言うことはシンジ君、渚君、レイは居酒屋でいいの?」

当然、ミサトは居酒屋に行きたいのだから居酒屋希望が4人。
ミサトを入れなくても3人だから、決まりである。

「ええ。行くところにもよりますけど、いろんな物があるんじゃないかな、と。」・シンジ

「シンジ君が手を挙げなかったからね。」・カヲル

「お兄ちゃんと一緒がいいから・・・。」・レイ

「じゃあ、文句は無しだったから・・・居酒屋に決定!!」

ミサトは自分の意見が通ったこともあり、喜びは大きかった。
しかし、アスカ・マナ・アスナは納得がいかない顔をしていたが、文句は無いと言った以上あきらめた。

「あっ、と。みんなに伝えることがあるわ。」

「なによ、ミサト。」

自分の意見が通らなかったのと、お腹が空いてる事で気が立っているアスカ。

「ゴメン、ちょっち待ってね、アスカ。
 ・・・明日から学校が休校になります、生徒達は疎開することになったわ。」

「えっ、何で急に!?」

聞き返したのはマナ。
学校に長く通っているのは彼女だから、ショックも大きい。

「マナちゃん、この街は危険なのよ。使徒が来たら戦わなくてはならない、EVAで戦うのはいいけど街はボロボロになってくわ。
 今回の使徒の時もそうだったんじゃない?」

「それは、そうですけど・・・。」

「街は元に戻すことは出来るけど、人は死んだらそれっきりなのよ・・・だから、ね。」

「・・・はい。」

「お姉様・・・。」

ミサトは言うタイミングを間違えたかのように思った。

「マナ、僕達が使徒を全部倒して平和になれば、みんな帰ってくるよ・・・だから、がんばろう。」

「シンジ・・・うん。」

「さ〜て、お腹空いたから早く行くわよ、ミサト!」

シンジとマナの雰囲気がよくなっているのが癪なアスカは、ミサトを急かす。

「(ありがとう、シンジ君。)はいはい、みんな入り口で待ってて。」

声に出さないものの、シンジに礼を言うと駐車場へと歩き始めた。



「シンジって優しいね、そういうところ・・・好き。」

「マ、マナ・・・。」

甘い雰囲気を醸し出していると、アスナが敵意剥き出しの目でにらみつけていた。

「お姉様に手を出さないでください、シンジさん!!」

「いっ・・・!!」

いきなり奇声をあげたシンジを、アスナとマナが目を丸くして見つめた。

「・・・ダメ、お兄ちゃん。」

レイがシンジのお尻をつねっていた。

「レ、レイ、僕が悪かったよ・・・離してくれる?」

コクン、と頷くとレイはつねるのを止めた。
しかし、まだお尻が痛いのかシンジは手でお尻をさすっていた。

(レイさん、ありがとうございます!)・アスナ

(レイちゃんってば・・・恨んでやる〜。)・マナ

「はあ、なんか散々だよ、僕。・・・うん?」

変な感触がしたのでシンジは後ろを振り返ると、カヲルがシンジのお尻を撫でていた。

「ちょ、ちょっと、カヲル君!」

「シンジ君、お尻は大丈夫かい?」

「も、もう、痛みは引いたから・・・手を離してよ。」

「いや、丹念にやっとかないと、ね?」

そう言って、幸せそうな顔をしてシンジのお尻を撫でまわしていた。

(やっぱり渚君はホモなのね〜!!)・マナ

(同性好きでは同類なのね、私と彼って。)・アスナ

「・・・お兄ちゃんから手を離して。」

レイの怒りの表情を浮かべながら、カヲルに近づく。

「僕の邪魔をしな・・・」

カヲルが言い終わる前になにかが飛んできた。

「何やってんのよ、アンタは〜!!」

「ぐはあ!!」

アスカの飛び蹴りが綺麗に決まり、カヲルは吹っ飛んだ。
よほど怖かったのか、シンジはアスカに抱きついた。

「ううう〜、怖かったよ〜。」

「よしよし・・・。もう大丈夫よ、シンジ。
 そこの変態はほっといて、早く行かないと、ミサト怒るわよ。」

「行きましょう、お姉様!」

「そうね!」

走って入り口に向かう2人。

「シンジ、私達も行きましょ?」

「うん。さっきはありがとう、アスカ・・・。」

「いいのよ。」

そう言うと手を組んで入り口へと向かう2人。

「・・・さよなら、ナルシスホモ。」

そう言い捨て、スタスタ歩き去っていくレイ。

「うう〜ん・・・、シンジ君ったら照れ屋なんだから。」

どこか勘違いしたまま復活、そして入り口へと向かうカヲルであった。



「遅いわね・・・あの子達。」

とっくに入り口についているミサトは待ちぼうけていた。

「ミサトさん、すいませ〜ん!」

「遅いわよ! って、他のみんなは?」

「もうすぐ来ると思いますけど・・・。」

「あの、ミサトさん、いいですか?」

アスナはミサトの車を見て、質問した。

「何? アスナちゃん。」

「その車だと、みんな乗れませんよね?」

「大丈夫よん♪ みんなはタクシーに乗ってもらうから。」

「タクシーは何台呼んだんですか?」

今度はマナが聞く。

「1台よ、何で?」

「1台に前と後ろで4人ですよね。後の2人はミサトさんの車ですか?」

「そうよ、みんなが来たらどうするか決めるけど・・・って来た来た。」

「ミサトさん、すいません。」

ここで残り4人が到着し、ミサトが説明をした。

「ジャンケンで決めましょ。」

ミサトの発案でジャンケンが始まった。

「「「「「「ジャ〜ンケ〜ン、ポイッ!」」」」」」

1回目で席が決まった。

「あら、凄いわね〜。え〜っと、アスナと渚君が私の車で、後はタクシーね。」

(お姉様と一緒がよかったのに〜。)・アスナ

(シ、シンジ君と別だなんて・・・。)・カヲル

(マナが向こうに行けばよかったのに!!)・アスカ

(アスカが向こうだったらよかったのになぁ。)・マナ

(お兄ちゃんと一緒、嬉しい・・・。)・レイ

(・・・・・・・はあ。)・シンジ

「それでは、しゅっぱーつ!!」

個々の思いを乗せて、車はミサトのいきつけの居酒屋へと向かった。



〜居酒屋〜

「今日は本当にご苦労様、カンパーイ!!」

「「「「「「カンパーイ!!」」」」」」

全員がビール片手に乾杯をした、こうして宴は始まったのである。

「ミサトさんの許可があるって言ったって、いいのかなぁ・・・。」

「シンジ君、たまにはこういうことがあってもいいんじゃないかな?」

酔ってるのか、酔った振りなのか、カヲルはそう言いながらシンジにもたれ掛かってきた。

「チョット! そこでおホモ達一直線してんじゃなーい!
 お兄ちゃんはわ・た・しのなんだからねぇー!!」

「あら〜、レイとシンジ君はそういう関係だったのね!?」

(って、レイは酔うとおしゃべりになるのね・・・。)

カヲルを突き飛ばし、シンジにじゃれつくレイを見てミサトは驚いた。

「ちょ、ちょっと、レイ!? 離してよ、お願いだから・・・ねっ?」

「い・や!」

頬を膨らませ、すねるレイ。
普段の光景なら可愛げがあるが、この状況ではそんなことを言ってられない。
シンジは背後に殺気を3つも感じていた。

「シンジ〜、マナに続けて今度はレイ?」

「兄妹同士は行けないんだよ〜、シンジ。」

「お姉ちゃんにお姉様だけじゃなく、今度はレイさんですか・・・。」

ゆっくり後ろを振り返った時、シンジは死を覚悟した。

「ち、違うんだよ。 これはレイが酔っ払ってるだけだから。」

シンジの言い訳を聞いたアスカは、攻撃目標をレイに変えた。

「レイ、あの時言ってたじゃない! 兄として好き、ってあれは嘘だったの、アンタ!?」

「すうすう・・・。」

「寝ちゃったみたいだね。」

レイ、沈黙。

矛先がそれたことをいいことに、会話に参加したシンジ。
アスカは攻撃目標をシンジに設定しなおして、襲い掛かってきた。

「シンジ、アンタもアンタよ! アンタがハッキリしないからこうなったんでしょうが!!」

「そうよ、ハッキリ言ってよ。「マナが好きだよ。」って!」

「さあ、シンジ君。「僕はカヲル君と結婚するんだ」と・・・」

「「バカ言ってんじゃなーい!!」」

「ぐっはあああ!!!」

アスカとマナのダブルパンチを食らって、カヲル沈黙。
そんなカヲルにアスナが近寄った。

「カヲルさん、同性愛って難しいですね。」

カヲルはそれに答えることは出来なかった。
結局、アスナはカヲルの看病をすることとなった。

(見てて飽きないわね、この子達。下手なお笑い芸人より、よっぽど面白いもの。)

ミサトは我関せずと言ったところか、1人ビールを飲んでいた。


一方、アスカvsマナの戦いはヒートアップしていた。

「そもそも、なんでシンジがアンタの事「好き」なんて言わなきゃなんないのよ!!」

「それは、私がシンジのことが好きだからよ!」

「答えになってないわよ!そんな事だったら、アタシもシンジのことが好きなのよ!!」

「じゃあ、シンジ君に決めてもらおうよ!」

「そうね。 シンジ、アタシとマナどっちを選ぶの?」

いきなり自分に矛先が向いたシンジは戸惑った。
アスナもシンジがどちらを選ぶのか気になる、耳ダンボ状態である。

「あっ、えっと、それは・・・。」

(アタシに始めに告白したじゃないの、ハッキリしなさいよ、ハッキリ!!)・アスカ

(私の気持ちは本物なの、私を選んで、シンジ!!)・マナ

(面白くなってきたわね・・・お酒も進むわ〜。)・ミサト

(ど、どうして、どうしてこうなるの〜。でも、言わなくちゃ・・・って、ミサトさん楽しそうだよ、はあ。)・シンジ

(お姉ちゃんを選んで、お姉様は私のなんだから。)・アスナ

((・・・・・。))・レイ&カヲル

いろんな思いが交錯する中、シンジが口を開いた。

「僕が好きなのは・・・。」

((((((・・・・・。))))))

「僕が好きなのは、アスカだよ。」

「シンジー!!」

「あっらー、アスカ強烈ー!!」

言ったと同時にアスカが飛びこんできた。
人の目気にせず、キスをしてくる。
それを見たマナは事切れたように倒れた、だいぶお酒を飲んでいたツケが来たのだ。

(私はまだ、あきらめたくな・・・・・。)

「お姉様!!」

カヲルのことはもういいのか、一直線にマナのもとに向かい、看病を始めた。


シンジに持たれかかりながら、アスカはシンジに話しかけた。

「シンジ〜、疑ってゴメンね♪」

「僕こそ、ハッキリしないから・・・。」

「いいのよ、アタシを選んでくれたから・・・。」

「アスカ・・・。」

これ以上、こんな光景を見せられたらたまらない、そう思ったミサトは2人に話を聞く。

「幸せなところ悪いんだけど、2人はどこで知り合ったの?」

「あの、それは・・・。」

「アタシとシンジは親同士が知り合いだから、小さな時からの知り合いなのよ。」

「へえ〜、幼馴染ってやつ?」

「そう。その時に恋した、ってやつよ。」

「いい話ね〜。ほら、2人とも飲んで、飲んで〜。」

そう言うと、ミサトは2人のグラスにビールを注ぐ。

「はい、2人の幸せに乾杯。」

「「乾杯。」」

「ありがとう、アスカ。」

「いいのよ、「親が」って言っとけば信じると思ったのよ。」

ミサトがビールを飲んで入るときに、シンジはアスカにそう言った。


〜3人で乾杯してから10分後〜

幸せの絶頂にいるためか、アスカは酔いに酔っていた。

「ねぇ〜、シンジ〜。」

「何、アスカ?」

「目を閉じて〜。」

「えっ?何で?」

「いいからぁ〜、ねッ、閉じて。」

「う、うん・・・。」

シンジが言われた通り目を閉じていると、唇になにかの感触を感じたと思うと液体が流し込まれた。

(アスカ・・・口移しとはやるわね〜。キスの延長戦だからいいでしょ、別に。)

責任者らしからぬことを考えながら、相変わらずミサトは飲んでいた。

(うっ、これってビール!?)

(結構、恥ずかしいわね・・・これ。
 でも、ちょっと気持ちいいかも・・・・・。)

流し込まれた後、唇から感触がなくなったのを感じたシンジは目を開けた。
そこには、お酒以外の所為で顔を真っ赤にしたアスカがいた。

「アスカ・・・。」

「おいしかった、シンジ?」

「う、うん・・・。」

さすがに限界を迎えたのか、ミサトが声をかけた。

「な〜んかすっごく熱いし・・・、お開きにしましょうか? 2人共、みんなを起こしてくれる?」

「「は〜い。」」




〜家〜

「シンジ君、アスカ、後は任せるわね、おやすみ。」

「「おやすみなさい。」」

そう言うと、ミサトは愛車をかっ飛ばして家へと帰っていった。

「ほら、みんな歩いて。 寝るなら部屋で寝てよ。」

こうして、シンジとアスカでみんなを部屋へと運ぶと、リビングで一息ついていた。

「はい、アスカ。」

「ありがと、シンジ。」

ソファに座り、水を飲む2人。

「今日は楽しかったわね。」

「そ、そうだね・・・。」

『口移し』体験を思い出したのか、顔を真っ赤にするシンジ。

「ちゃんと言った以上、浮気したら許さないわよ。」

「うん、わかった・・・。」

不意に時計を見ると、夜中の1時を指していた。

「アスカ、そろそろ寝ようか?」

「一緒に?」

「えっ、あっ、それは、その、あの、まだ、早いと言うか・・・。」

「冗談よ♪ お休み、シンジ。」(チュッ♪)

アスカは顔をさらに真っ赤にしてうろたえるシンジを笑いつつ、キスをすると自分の部屋へと入っていった。

「お休み、アスカ。 さて、僕も寝ようかな・・・。」

こうして、楽しかった宴も終わり、夜はふけていくのであった。





<後書き>
LAS度アップ!!
アスカの口移しにシンジメロメロ(死語?)です。(^^;

さあ、マナは振られてしまいましたが、あきらめてはいないようです。
けど、コメント係のマナちゃんの言う『危ない世界』に突入させようか、悩みどころです。



<次回予告>
一応の決着がついた、人間関係。
そんなころ、ネルフからシンジ用の新兵器が出来た連絡を受ける。
それに伴って、子供達の訓練が始まった。

次回、The Restart Of Evangelion

           第14話「特訓」

を、お送りしまーす。


アスカ:使徒が同時に来るなんて・・・。

マナ:(ーー#

アスカ:ま、エヴァシリーズに比べたら2体くらい。

マナ:(ーー#

アスカ:ちょっと、何黙ってんのよ?

マナ:使徒なんかどうでもいいわ。(ーー#

アスカ:は?

マナ:口移しって何っ!?(ーー#

アスカ:あ・・・いや・・・あれは。(*^^*)

マナ:しかも、わたしが振られてるじゃないっ!!!!!!(ーー#

アスカ:そ、そんなことないわよ。

マナ:どうしてよっ!(ーー#

アスカ:アスナは、アンタのこと好きって言ってるしさ。(^^; 後書きにもさ・・・。(^^;

マナ:ウエッキーさん? お仕置きして欲しい?(▼▼#
作者"ウエッキー"様へのメール/小説の感想はこちら。
frontier@tokai.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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