「アスカ! 僕と一緒に来てくれ!!」 「な、何よ、何なのよ、いきなり・・・。」 いきなりのシンジの発言にアスカは驚いた。 「頼む、僕と一緒に来て欲しいんだ。」 「だから、何なのよ、いきなり!!」 周りの目が気になるのか、アスカは大きな声を出した。 「シンジ、私じゃダメなの?」 「アタシが誘われてんじゃないのよ!」 「だって、嫌なんでしょ? ねぇ、シンジ〜。」 アスカがシンジの誘いをごねているのを見て、ここぞと出てくるマナ。 「ごめん・・・、アスカじゃなきゃダメなんだ。」 「・・・・・わかったわよ。行くわ、ちゃんと説明してよね。」 「ありがとう、アスカ!!」 シンジはアスカの手を引いて、ケイジへと向かった。 「ちょっと、シンジ? 何なのよ、もう〜!」 残された、と言うより相手にされなかったマナはふてくされてしまった。 〜ケイジ〜 ケイジへ到着すると、アスカが口を開いた。 「シンジ、手・・・離してくれる?」 「!! ゴメン、痛くなかった?」 「・・・大丈夫。」 思えば、発令所から手を繋ぎっぱなしでここまで来たのだ。 そのことに気付いた2人は、すっかり顔が真っ赤になってしまっていた。 「あ、あのさ、説明、してほしいんだけど・・・。」 「う、うん、あのね・・・。」 シンジは前回倒した方法でレリエルを倒せないこと。 そして、その代わりに2人でシンクロして内部からの殲滅を試みることを説明した。 「だから、もしかしたら・・・と言うより、失敗したら死んじゃうんだ。」 「・・・・・・・。」 「僕はどうせ死ぬなら、アスカと一緒がいいって思ったんだ・・・。」 『パァンッ!』 小気味のいい音がケイジに響いた。 「アタシは死ぬ気は無いわ。 いい?絶対にあの使徒倒すわよ。」 「そうだね、ゴメン。」 「それじゃ、早速行くわよ!」 「うん!」 こうして、シンジとアスカは初号機のエントリープラグへと入っていった。 〜発令所〜 「あれを第12使徒として認定、EVA初号機を出撃させます。 パイロットは碇シンジ・惣流=アスカ=ラングレーの両名。 初号機の出撃準備、お願いします。」 ユイは全員にこれからすることを伝えた。 作戦とは言わなかったのは、細かい説明をすることが出来なかったからである。 説明をするとなると、「自分達がどうしてここにいるのか?」などまで説明しなくてならなくなるからだ。 「シンクロスタートしました。」 「「・・・・・・・。」」 マヤの報告に固唾を飲んで見つめるのは2人の親、ユイとキョウコ。 「シンクロ成功です! シンクロ率は・・・100%です!!」 「相性がいいんですね、あの2人・・・。」 これにはリツコも驚いたのか、素直に感想を述べた。 「EVA初号機、射出します!」 (流石ね、内部に入ったらモニター出来ないわ・・・。アスカを頼んだわよ、シンジ君。) (生きて帰ってきてちょうだい。使徒殲滅も大事だけど、あなた達の方がもっと大事なのよ。) 射出される初号機を祈るような目で見つめるユイとキョウコであった。 The Restart Of Evangelion 第15話「愛の奇跡」 〜地上〜 レリエルは動いていなかった。 「動いていようが、無かろうが関係ないよ。」 シンジは新兵器の『マゴロク・E・ソード』(これから『マゴロク』とします)を手に持ち、使徒へと飛びこんでいった。 「初号機、モニターから消えました!」 「あらゆるセンサー、反応しません!!」 「そんな!いったい、どうなってると言うの・・・。」 いきなりの事に発令所では、リツコやオペレーター達がパニックに陥っていた。 〜レリエル内部〜 「真っ暗ね・・・。」 「うん。」 「・・・これからどうするの?」 不安なのか、アスカの声にはいつもの張りが無かった。 「初めて2人で乗ったときみたいにシンクロしてみよう。」 「それはいいけど・・・。 あの時は「開け、開け。」って思ってやってたでしょ、今回はどうするの?」 「あっ!!」 (しまった・・・考えてなかったよ。) 何も考えてないのがわかったのか、アスカは怒り出した。 「ちょっと、シンジ!!」 「あの、その・・・アスカの知恵を貸して欲しいな〜、なんて思ってたんだ。」 「なによ、それ?」 アスカの怒りが収まったのを見ると、シンジはおだて始めた。 「だから、アスカは勉強できるじゃないか。こういう時のいい文句が浮かぶんじゃないかな、って。」 「まあね〜。 日本語も2回目の生活で上手くなってきてるし、元々の知識はアンタよりあるしね。」 「そ、そうそう、そういうところでもアスカと一緒が良かったんだよ。」 「しょうがないわねぇ〜、このアタシが考えてあげるわよ。」 シンジの作戦は功を奏したのか、アスカは早速考え始めたのだった。 (こういう「おだてに弱い」ところは変わってないんだな、助かったよ・・・。) シンジが安堵の表情を浮かべていると、アスカがすかさず言った。 「何してんのよ! アンタも考えなさいよね!!」 「はいはい・・・。」 〜 考え中 〜 「浮かんだ?」 「そうねぇ・・・『破れ』なんかどう?」 「球体状だったし、いいかもね。」 地上に出てるのは影なのだが、そこから思いついたのであろう。 2人はさっそくシンクロを開始する・・・。 「「破れ・・・破れ・・・破れ・・・破れ・・・破れ・・・破れ・・・破れ・・・。」」 〜 5分後 〜 「何よ! うんともすんとも言わないじゃないの!!」 「ア、アスカ、落ち着いてよ・・・。」 狭いエントリープラグ内でかんしゃくを起こすアスカにシンジは困ってしまった。 「ダメだったけどさ、他の手段を考えようよ。違う文句でもいいから、ね?」 「・・・わかったわよ。文句はアタシが考えるから、アンタは別の手段を考えなさいよね?」 「わかったよ。」 こうして、2人は役割分担を決めると、また悩み始めた。 (「居合」では無理だと思うし・・・。いや、物理攻撃は全て無駄だろうな・・・。) (球体・・・ボール・・・ボールは「爆ぜる」かしら・・・。) (物理攻撃以外で「この方法」を思いついた以上、これでいくしかないんだけど・・・。) (「爆ぜる」でダメだったら、前みたいに「開け」でやってみようかしら・・・。) とりあえず、考えがまとまったアスカはシンジに声をかけた。 「シンジ。」 「何、アスカ?」 「爆ぜろ、ってのはどう?」 「うん、やってみよう!」 もう1度、2人はシンクロを開始した・・・。 「「爆ぜろ・・・爆ぜろ・・・爆ぜろ・・・爆ぜろ・・・爆ぜろ・・・爆ぜろ・・・爆ぜろ・・・。」」 〜 5分後 〜 「なんでダメなのよ!!」 (そんな! この方法じゃダメなのか!?) 「シンジ!」 (アスカまで巻きこんで・・・何をしてるんだ、僕は!!) これしかない、そう思ったシンジはアスカと一緒に使徒の内部へと入った。 しかし、実際には「2人シンクロ」も通用せず、アスカの呼びかけにも答えずにシンジは自己嫌悪に陥っていた。 「シンジ、聞いてるの!? シンジ!」 「ゴ、ゴメン! 何、アスカ?」 「アンタは他の手段、思いついたの?」 アスカは口調こそ厳しいが、目には不安の色が浮かんでいた。 「・・・何も。」 「そ、そんな・・・どうすんのよ、これじゃあジリ貧じゃない!!」 「・・・・・。」 「!! そうだ、さっきの模擬戦でやってたヤツじゃダメなの?」 アスカは「居合」を思い出してシンジに提案してみるが、シンジの表情は暗かった。 「ダメだよ・・・。この使徒には物理攻撃は効かないと思うから。」 「いいから! やってみなさいよ!!」 「わかったよ・・・。」 シンジは居合の構えを取り、精神を集中する。 邪魔してはいけないと思ったアスカも、口を閉じシンジを見ていた。 (お願い、これで何とかならなかったら・・・。) 『シュバッ!!』 何も見えない暗闇の中、シンジは刀を抜いた。 しかし、効果は無く、それを見たアスカはショックを受けた。 「どうしよう・・・シンジ、アタシ死にたくない。」 「死なせない! アスカは絶対に死なせるもんか!!」 「でも、どうしようもないじゃない! LCLも濁ってきてるし、ここの電気ももうすぐ切れるわ・・・。」 前回、シンジが1人でいた時とは違い、今回は2人。 しかも、大きな声で叫んだりしてLCLの濁るスピードも速い。 生命維持装置が切れるのも時間の問題、まさに風前の灯であった。 「ゴメン・・・、僕がこんなことを思いついたばっかりに。」 「それはいいの。シンジがアタシに『一緒に来てくれ』って言ってくれた時、うれしかったから・・・。」 フッ・・・。 電気が消え、とたんにプラグ内の温度が低くなっていった。 「シンジ・・・寒いよ・・・。」 シンジは黙ってアスカを抱きしめる。 「こうすれば、暖かいよ・・・。」 「バカ・・・。」 2人とも顔は真っ赤だったが、お互いの体温が感じあえるのは嬉しかった。 それこそが、2人にとって唯一の生きてる証拠だったから。 「アスカ、聞いてもいい?」 「何?」 「アスカは僕のどこが好きなの?」 「・・・いいじゃん、そんな事。」 言葉こそそっけないものだったが、アスカの顔は真っ赤だった。 いきなりこんなことを聞かれたら照れるものであろう。 「聞きたいな〜、僕。」 「じゃ、じゃあ、シンジはアタシのどこが好きなの?」 困ったときには同じ質問を相手に聞き返す、相手の出方を見るための手段の一つである。 アスカはこうすることで、シンジがどう答えるのか聞きたかったのである。 「僕は、あの時言った通りだよ。」 「聞いてなかったわよ〜♪」 「明るく、元気なところかな。」 (あっさり返されるとは思わなかったわね・・・計算外だわ。) アスカは言葉を濁すなどして答えないと思ったのだろう。 しかし、シンジは臆面もなくあっさり答えてしまった、まさに計算外。 「そ、そうなんだ・・・ふ〜ん。」 「・・・本当は、わからないんだ。」 「・・・・・。」 アスカは言葉が出なかった。 しかし、シンジは嘘をつくような人じゃないことはアスカは知っていた。 アスカの反応が無いのを知ってか知らずか、シンジの告白は始まった。 「あの時、サードインパクトが起こった時、僕の頭の中にはアスカしかいなかったんだ。」 「・・・・・。」 「ミサトさんの所で、アスカといっしょに過ごした日々・・・。 僕にとって楽しかった思い出、印象に深く残った思い出だったんだろうね。 いつも僕はアスカにキツイ態度ばっかりとられてたのに、嫌な思い出じゃなかったんだ・・・。」 「・・・・・。」 「いつも元気に、明るく、自分の言いたいことが言えて、自分をしっかり持ってたアスカは憧れでもあったんだろうね。 そんなアスカが何も言ってくれなくなった時、寂しかった・・・苦しかった・・・こんな風にしてしまった自分が嫌だった。 使徒の攻撃が引き金になっただけで、あそこまで追い詰めたのは僕だから余計に嫌だった。」 「・・・・・。」 「海岸でアスカに自分の気持ちを素直に伝えた後、「過去に戻ったらアスカを守ろう、みんなを守ろう。」 そして、今度はアスカと仲良くしたいなって、「自分は恋人をつくらない、みんなを守る為に戻ってきたんだから。」って思ったんだ。 だから、僕は過去へ戻ってきたんだ、2度とあの過ちを繰り返さないために。」 「・・・・・。」 「アスカ?」 「・・・・・。」 自分の告白が終わったが、一向に反応を示さないアスカにシンジは声をかけた。 しかし、アスカは目を閉じていて意識が無かった。 「嘘だろ、ねぇ、アスカ・・・アスカ、起きてよ、ねぇ!!」 「・・・・・。」 「アスカーーー!!!」 シンジは思いっきり叫んだ、そんな彼に危機が訪れる。 「ガハァッ!!」 (ダメだ・・・息が、苦しく、なって・・・ゴメン、アスカ・・・・・。) ついに酸素無くなり、シンジはが呼吸不能になった。 (アスカ・・・好きだよ。) 薄れゆく意識の中、シンジはアスカを抱きしめ唇を重ねた、あたかも最後のKissになるかのように。 こうして、2人の意識は途絶えた・・・・・。 〜発令所〜 「生命維持装置が停止して1時間が経過しました・・・・・。」 マヤが現状を報告する、目には涙が浮かんでいた。 「・・・・・。」 (僕の出番か・・・。シンジ君、今助けに行くよ。) それを聞いて、カヲルはケイジへと向かった。 (アスカ、シンジ君・・・。) (アスカ・・・シンジ・・・。) (お姉ちゃん、死なないよね・・・?) (・・・お兄ちゃんに会いたい。) キョウコは涙が出そうになるのを必死にこらえていた。 それはマナ・アスナ・レイも同様であった。 「・・・EVA四号機を出撃させます。」 「・・・了解です。」 ユイの指示により、四号機は地上へと射出された。 「・・・・・渚君、任せたわ。」 「はい・・・。」 重苦しい、暗い空気が漂う中、カヲルはレリエルの内部に入ろうした。 「!! これは・・・。」 「使徒、ひび割れが起きてます!!」 「そんな!?」 カヲルの声に、日向が使徒を確認する。 レリエルの影の部分にひび割れが起きていたのである、しかも無数に。 「渚君、内部への進入は中止! その場で待機!!」 「了解です。」 (まさか、成功したとでも言うのかい?シンジ君、アスカさん。) 「使徒内部から何かが出てきました!・・・これは初号機の腕です!!」 ひび割れから割れ目になった所、そこから腕が出てきた。 その腕が割れ目をこじ開けようとしていた。 「そんな!生きてるというの、2人は!?」 「微弱ながら生命反応を感知、数は・・・2つです!!」 リツコの驚きをよそに、マヤが喜びの声を上げる。 その報告に、発令所内の重苦しい空気が消えていった。 「救護班を用意させて、私も直接行きます!」 キョウコはそう言うと、走り出していった。 バリバリ・・・メキメキ・・・グシャァ!! 「使徒、バラバラになりました。パターン青、消失! 使徒、完全に沈黙しました!!」 「何とか、なったわね・・・。」 (今後の使徒のことを考えると、まだまだ安心は出来ないけど・・・よかったわ。) 青葉の報告に、ユイは心底ホッとした。 しかし、前回とは違う結果に、この後に出現する使徒への不安を浮かべていた。 〜地上〜 「渚君、プラグを排出してくれる?」 「はい。」 プシュー! という音ともに排出されたプラグは静かに地面へと置かれた。 そして、救護員がハッチを開ける。 「あらあら・・・。」 そこには、2人抱き合い、唇を重ねて気絶しているシンジとアスカがいた。 「写真、取っとかなくちゃ♪」 キョウコは白衣のポケットから、使い捨てカメラを取り出すと写真を撮り始めた。 カシャ!カシャ! 「これでよしっと。皆さん、運んでください。」 ところが、救護員が2人を離そうとするが、離れない。 「あらあら・・・すいませんが、このまま運んであげてください。」 こうして2人はこのまま運ばれていったのであった。 〜病室〜 「それにしても、上手くいくとは思わなかったわね、ユイ?」 「そうね・・・。『愛の奇跡』なのかしら?」 未だに意識が戻らない2人を見ながらユイは言った。 「この姿を見る限りでは、愛かもしれないわねぇ。」 「・・・マナちゃんが怒りそうね?」 「見てる分には、楽しくなりそうだわ。」 「キョウコ、あなた酷いわね?」 「そう?」 雑談に耽っていた2人。 勝手なことを言う中、アスカが意識を取り戻した。 「うう・・・ん、ここは?」 「大丈夫? アスカちゃん。」 「あっ、ママ?」 アスカは体を起こそうとするが起きれない。 それを見たキョウコは隣りを見るように目配せする。 「シンジ!?」 シンジが抱きついたいたのだ、これでは起きれない。 結局、アスカは体を起こすことをあきらめ、話をすることにした。 「使徒はどうなったの?」 「殲滅したわよ、2人がね。」 「どうやって?」 「それはこっちが聞きたいわよ、アスカちゃん。」 ユイの言葉にアスカは使徒の中での事を思い出すが、殲滅出来るような事はしていない。 「・・・わからないんです。」 「そう・・・。」 「ところで、シンジは大丈夫なんですか?」 アスカは未だに意識が戻らないシンジのことを2人に聞いた。 「・・・意識は戻ってないわ。」 「生きてることは確かよ。怪我をしているとか、病気とかになったわけでもないしね。 初号機から運び出して、このベッドに寝かせて軽く検査しただけだから、なんとも言えないけど。」 「そんな・・・、どうして検査してくれないの!!」 サラッと言われた事が頭にきたアスカは2人に向かって怒鳴った。 「だって、しょうがないじゃない。シンジがアスカちゃんを離さないんだから。」 「そうそう。本当だったら2人は別々のベッドに寝てるはずなんだから。」 「あっ・・・。」 (そうよね。いくらママ達がアタシ達のこと認めてくれるとは言え、『こういうのはまだ早い!』とか言うものね。) アスカは冷静に考えてみた結果、検査が出来ないのはシンジが原因である事がわかったのだった。 「私達は使徒の処理なんかで発令所に行ってます。アスカちゃん、シンジを頼むわね。」 「シンジ君を襲っちゃダメよ、アスカちゃん。いいわね?」 「な、何言ってるのよ、ママ!!」 怒鳴るアスカを尻目にユイ達は発令所へと向かった。 2人が出ていったのを見届けると、アスカはシンジを見つめた。 「シンジの話は聞いてたわ。」 「・・・・・。」 「・・・アタシの話、聞いてくれる? アタシはね。シンジに酷いこと言ってた、叩いてばっかりだった。 それでも、アタシの前からいなくならなかったよね。 アタシ、シンジに甘えていたんじゃないかって思うんだ。」 「・・・・・。」 「でも、素直になれない生き方をしていたから言えなかったの。 それを言ってしまうと、アタシじゃなくなっちゃう気がしたの。」 「・・・・・。」 「量産型EVAにやられた時、出てきてくれたでしょ? 意識が無くなる前に見えた時ね、嬉しかったんだ。 『シンジが助けに来てくれた』って、本当はもう少し早く出てきて欲しかったんだけどね。」 「・・・・・。」 「こうして戻ってこれて、シンジの気持ちを知ることが出来たし、アタシの気持ちを伝えることが出来た。 これからは素直になるわ。でも、酷いこと言ったり、叩いちゃったりするかもしれない。 それでも、アタシを好きでいてくれる? ・・・アタシはアタシらしくさせてくれる、甘えさせてくれるシンジが好きよ。」 「・・・僕も好きだよ。」 「シンジ!!」 アスカはシンジの声を聞き、顔を覗き込んだ。 そこには疲れ切った表情を浮かべるシンジがいた。 「・・・心配かけて、ゴメン。」 「・・・・・どこから聞いてたの?」 「・・・全部。」 アスカが顔を真っ赤にしている、シンジはしてやったりの笑顔を浮かべていた。 「うう〜・・・。ま、まあ、いいわ。」 「・・・使徒はどうなったの?」 「殲滅したそうよ。」 「どうやって?」 「さあ? アンタがなんとかしたんじゃないの?」 「僕は何も・・・。」 「どうなってるのかしら?」 「ゴメン、アスカ。僕はもう少し寝るよ・・・おやすみ。」 こう言うと、シンジはすぐに眠りについた。 「アタシも寝よっかな・・・おやすみ、シンジ。」 未だに抱きついてるシンジを見て、アスカは顔を真っ赤にしながらシンジに抱きつき、眠りにつくのだった。 〜地上〜 カヲルが乗る四号機がレリエルの残骸を片付けていた。 (しかし、シンジ君はどうやって倒したのかな?) そんなことを考えながら掃除は進んでいく。 ほぼ片付け終わったところで、真っ二つに割れた球体が出てきた。 (これは・・・コアだね。 ・・・・・これのコアは肉眼では見えない、それどころか触ったってわからないんだからね。 斬れた事は偶然、奇跡だね。 ふふふ・・・改めて好意に値するよ、シンジ君。) 片付けも終わり、シンジも気がついた。 これにより、12番目の使徒・レリエルを殲滅することが出来た。 翌日はいつも通りに休日が与えられ、その次の日から訓練に明け暮れる毎日であった。 そんなある日・・・・・ 〜 家 〜 シンジはアスカに耳掃除をしてもらっていた。 「・・・アスカ、出来ないんだったら無理しなくていいんだよ?」 「だ、大丈夫よ。アタシに出来ない事は無いんだから、おとなしく膝枕されてなさい!」 どうやら頼んでやってもらってるんじゃなくて、強引にやられているらしい。 シンジはあきらめた表情で、TVを見ていた。 『次のニュースです。 かつて製作されたものの、暴走事故を起こしたことがあるロボット、JAの新型機が発表されました。』 「な、なんだって〜!?」 「あっ、動くんじゃないわよ! 危ないでしょ!!」 「アスカ、静かにして。」 「ううー!!」 シンジはアスカの口を手で塞ぐと、ニュースの続きを見始めた。 『開発責任者の時田さんです。』 『どうも。この度はアメリカで開発を進め、完成したので発表をしようと思ったわけです。 このJAUは・・・・・核では無く・・・・・完全な・・・・・無線操縦で・・・・・ 連続稼働時間が・・・・・<中略>・・・・・と、言うわけです。』 『は、はあ。』 『そ・こ・で、ネルフの諸君に告ぐ! 前回の屈辱を晴らすために勝負を挑みたい!! そちらは何体でこられても構わん、次こそは絶対にJAUがEVAに勝ーーーつ!!!』 プツンッ! 「何するんだよ、アスカ!?」 いつのまにかシンジの手をどけていたアスカが、リモコンでTVを消してしまった。 「いい根性してるじゃないの。」 「へっ?」 「アタシの弐号機でボッコボコにしてあげるわ!!」 「どうせ挑戦は受けるんだろうし・・・頑張ってね。」 シンジはそう言うと、その日の夕飯の仕度をするのだった。 〜発令所〜 翌日、訓練のためは発令所に行くとミサトが怒っていた。 「何よ、あれ! 誰のおかげで核爆発が防げたと思ってんのよ!!」 前回同様、JAの内部に入り機能を停止させたのはミサトである。 止めなければ核爆発が起こっていただけに、昨日のニュースはミサトの怒りに火をつけた。 「ユイさん、もちろん挑戦は受けますよね。」 「そうね・・・。」 (あんまり興味無いんだけどね・・・。ミッちゃんが怖いし、やりますかね。) 「アタシがやるわ!!」 昨日の宣言通り、アスカが対戦相手に立候補する。 「ナイス、アスカ!!」 「・・・EVAは初号機と弐号機が出撃、他の機体は本部の防衛にあたってもらいます。」 喜ぶミサトを横目に、ユイはこう命令するのだった。 「行くわよ!シンジ君、アスカ!!」 「はいはい。シンジ、行きましょ。」 「うん。」 3人が発令所から出て行くと、マナが愚痴をこぼす。 「シンジ、またアスカといっしょだよ・・・。」 「はいはい。みんなは訓練しててちょうだいね、リッちゃんお願いね。」 「はい。 行くわよ、みんな。」 〜演習場〜 ここはJAUとEVAの演習を行うために作られた演習場。 演習と言うより、私闘と言うべきかもしれないが・・・。 「それでは、これよりJAUの演習を行います!」 時田の声が高々と響き渡る。 「「うっさいわね〜。」」 ミサトとアスカのユニゾン。 一方のシンジは黙って見ていた。 「それでは・・・始め!!」 「さあ、スクラップにしてあげるわよ!」 こうして、JAUvsEVA弐号機の戦いが始まった。 <後書き> 明けましておめでとうございます。m(_ _)m いよいよ21世紀! まあ、劇的に何か変わったことがあるわけではないんですけどね。 これからも作品を書いていきたいと思ってるので、応援よろしくお願いします♪ いまいち、タイトルが空回りしているような気がするんですが、どうでしょうか? <次回予告> 宣言通りにスクラップにしようと張りきるアスカ。 何事も無く、アスカの勝利が決まろうとしていた時に起きた事件。 それによって弐号機は大破してしまう。 いったい、何が起きたのか? そして、アスカは無事なのか? 次回、The Restart Of Evangelion 第16話「アスカ、散る」 を、お送りしまーす。
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