アスカが今だ目覚めぬ中、14番目の使徒が接近していた。

〜発令所〜

『ドーーーーーーーン!!!!!!!』

「と、特殊装甲版が一瞬で破壊されました!!」

「そんな・・・22枚の装甲を一瞬!?」

日向の報告にミサトは唖然とした。
かつて現れた第5使徒・ラミエルも装甲を破ろうとしたが、それには時間がかかっていた。
パワーが違うとはいえ、その装甲を一瞬で破壊してしまう威力には驚く。

「こんなときに使徒が来るなんて・・・。」

ユイには使徒来る日がわかっていたものの、今現在の状況は非常にまずかった。
アスカが意識不明のため弐号機は出撃不可、シンジはどうなるかわからないのだ。
はっきり言って、カヲルがいてもマナとレイの3人では戦力不足は否めない。

「パターン青を確認!先程の攻撃は使徒からです、開けた穴からこちらに向かっています!!」

「ユイさん、どうしますか?」

青葉の報告を聞き、リツコはユイに指示を仰ぐ。
ユイが口を開く前に、一段高い所から声が響いた。

「・・・出せるだけのEVAを全機出撃、使徒の本部侵入を絶対阻止だ。」

「あなた!!」

「ユイ、こうしなければ全てが滅ぶ。」

ゲンドウの言う通りだった。
ユイは結局口を開くことなく、状況を見守ることにした。

「赤木博士、出撃準備だ。」

「・・・わかりました。」

リツコは使徒襲来のサイレンを鳴らし、子供達に出撃準備をさせるのだった。



〜本部内 個室〜

ここにいるシンジとカヲルにもサイレンの音が聞こえた。

「使徒が来たみたいだよ。」

「ゴメン、ボクは・・・。」

「わかってるよ。」

シンジの言葉を遮るカヲル。

「大丈夫だよ、使徒は任せて。」

「ありがとう・・・カヲル君。」

「君が戻ってくるまでの時間は稼ぐよ。」

そう言うと、カヲルは部屋を出ていった。

(この戦いの鍵を握るのはアスカさん・・・君と言うわけだね。)


「アスカ・・・。」

シンジも立ちあがり、個室から出ていくのであった。







                   The Restart Of Evangelion

                           第18話「戦闘拒否?」
                    





〜発令所〜

ケージに辿り着き、出撃可能なEVAはカヲルの四号機のみ。

「・・・たった1機か。かまわん、出撃させろ。」

「わかりました。EVA四号機、発進!!」

(レイさんにマナさんはまだか・・・いないよりはいた方がうれしいんだけどね。)

カヲルが乗った四号機が、静かにジオフロント内へと出撃していく。



それから数分後、レイ・マナ・アスナ到着。
レイとマナはプラグスーツに着替え済みである。

「状況は?」

「渚君が出撃、使徒と交戦中よ。」

「押されているわ、状況はよくないわね。」

レイの問いにユイとリツコが答える。
その答えに名前が1人しか出てこなかったのでマナが聞いた。

「あの、シンジはどうしたんですか?」

「あの子はやることがあるのよ。」

「やること・・・ですか?」

「そう。でも、それを今説明している暇は無いわ。
 マナちゃんとレイはケージへ行って、すぐに出撃してちょうだい!!」

「「わかりました!!」」

レイとマナはケージへと向かった。

「やることってなんだろうね?」

マナが走りながらレイに聞いた。

「・・・大切なことよ、お兄ちゃんにとって。」

「わかるの?レイちゃん。」

「ええ・・・。」

そこまで話した所でケージへ到着。
レイは零号機、マナは参号機に乗り出撃した。

(アスカ・・・すべては貴方次第よ。)

レイとマナはカヲルと合流するために、戦場へと向かうのだった。



〜ジオフロント〜

ここではカヲルと第14使徒・ゼルエルの戦いの真っ最中であった。
果敢に攻撃をするカヲルだが、攻撃によるダメージは見られない。
ゼルエルは手(?)を使って攻撃してくるが、カヲルは何とか避ける。
まさに、「動きが遅い分だけ助かっている」と言う状況だ。

(これで動きが速かったら対処できなくなるからね、これくらいなら問題無いけど。)

そんな時、通信が入ってきた。
そこに映るのはマナとレイ、どうやら救援が来たらしい。

『渚君!大丈夫?』

「何とかってところだよ。
 早速だけど、2人は僕のバックアップをして欲しい。」

「「わかったわ。」」

2人の返事を聞くと、満足そうな表情を浮かべるカヲル。

「目的は使徒の殲滅ではなく、シンジ君が来るまでの時間稼ぎだよ。僕らではコイツは倒せそうに無いからね。」

『・・・近くで相手のフィールドを中和する人と、攻撃する人が必要なのね。』

『だから、シンジが来るまでの時間稼ぎが目標なのね。』

こうして、3機のEVAはゼルエルとの『時間稼ぎ』が始まった。


「はあああああ!!」

カヲルはソニックグレイブを手に取り、ゼルエルのATフィールドを中和しつつ攻撃。
しかし、これでは攻撃の方に力が入らないためダメージは与えられない。

(どっちつかずじゃダメって事だね・・・。)

シュオーーーン!!   ズドーーーン!!

レイとマナの同時射撃。
コアがある部分を狙ったが、そこを覆う皮膚が硬くダメージに結びつかない。

「・・・ダメね、目標へのダメージ0。」

「硬いわ、コイツ!!」

「もう一度やりましょう。」

「わかったわ!!」

シュオーーーン!!   ズドーーーン!!

2度目の同時射撃。
やはり、コアへダメージが与えられない。
そこへカヲルから通信が入った。

『無理にダメージを与えようとしなくていいよ、足止めだけでいいんだから。』

「わかってるわ。」
(やっぱり、私はお兄ちゃんの役に立てないのね・・・。)

「でも、このままじゃ・・・。」

マナの言う通りであった。
足を止めてると言っても、『止まってる』のではなく『スピードダウンさせてる』だけなのだ。
依然として、ゼルエルは本部に向かって侵攻中であった。

(確かに・・・これじゃシンジ君が来る前にGameOverだね。)

カヲルはゼルエルに攻撃しながら、『時間稼ぎ』の作戦を立て直し始めた。

(コイツを相手に、現戦力でのフォーメーション戦闘は意味が無いのはわかったけど・・・。
 僕が『本気』を出すしかないのかい、シンジ君。)

そんなことを考えてるカヲルに通信が入る、ユイだ。

『渚君!こちらでも何とか考えてみるから、早まってはダメよ!!』

「わかりました、期待しますよ。」

『だから、このまま通常戦闘を続けてちょうだい。』

それだけ言うと、ユイからの通信が切れた。

「聞こえたかい?このままがんばって欲しいとの事だよ。」
(シンジ君、こちらは少しまずい雰囲気だよ。早く来てくれることを望むよ・・・。)

「やるしかないもんね。」
(早く来て、シンジ〜。)

「・・・了解。」
(お兄ちゃん、早く・・・。)

侵攻を食い止める効果しか上げられない通常戦闘を続ける3人。
この現状を打破してくれる、それぞれの思い人を待ちながら・・・・・。



〜病室 303号室前廊下〜

カヲル達がゼルエルの侵攻を食い止める中、シンジはアスカが眠っている病室の前へと来ていた。

(アスカ・・・。)

ドアのノブに手をかけようとすると、ドアが勝手に開き始めた。

「あら、シンジ君?」

出てきたのはキョウコだった。
サイレンを聞いたのだろう、発令所へと向かうため病室から出てきたのだった。

「何やってるの、使徒接近中のサイレン聞かなかったの?」

「・・・・・。」

シンジは目を逸らさず、キョウコを見つめた。
その瞳は真剣そのものだった、これにはキョウコも言葉を失う。

(この間の事が嫌で逃げ出して来たんじゃなさそうね・・・。)

「ユイはこの事知ってるの?」

「・・・カヲル君が伝えてくれたと思います。」

「・・・そう。」

「「・・・・・・・。」」

お互いに沈黙し、見つめあう2人。
しばらくしてから、キョウコが息を吐いた。

「ふう、アスカちゃんの事、頼むわね。」

「はい・・・。」

「シンジ君は、アスカちゃんについていてあげようと思ったのね。」

これを聞いたシンジの顔が真っ赤に染まる。
真剣な気持ちであったのだが、ここまではっきり言われると流石に照れてしまうのだろう。

「僕が油断したばっかりにこうなったわけだし、その・・・アスカの事が心配だったので。」

「わかったわ。けど、寝てる女の子に『酷い事』しちゃだめよ♪」

「!!」

シンジの脳裏に思い出されるあの光景。
アスカが治療を受けてる病室に入り、彼女に助けを求めながら、自らを慰めたあの時の光景。
キョウコももちろん知っていた。

「でも、貴方ならアスカちゃんを目覚めさせることが出来るかもね。」

「それって・・・?」

「怪我事体は軽傷なの。だた、眠りから目覚めないだけだから。」

「そうですか・・・・・。」

怪我の話を聞いて、シンジは俯いてしまう。

「私は発令所へ行きます。シンジ君も戦闘への参加、忘れちゃダメよ。」

「はい。」

こうしてキョウコは発令所へ、シンジは病室へと入っていった。



〜病室 303号室〜

「アスカ、入るよ?」

静かにドアを開け、シンジは中へと入っていった。
そこにはキョウコによって、病院服に着替えさせられたアスカが眠っていた。

*病院服・・・大きなTシャツみたいなものだと思ってください。ワンピースと言うか、そんな感じです。(^^;

「・・・・・・・。」

「まだ、目が覚めないんだね・・・アスカ。」

ベッドに眠るアスカは呼吸器も無く、点滴も無く、ただ眠っているだけだった。
シンジはアスカの手を取り、握る。
その手は暖かく、シンジは安心した。

「どうしたら・・・目を覚ましてくれるの?
 僕を置いていってしまうの?」

「・・・・・・・。」

シンジの目には涙が浮かんでいた。
眠ってるとはいえ、何の反応も示さないアスカにシンジはあせった。

「ど、どうして何も反応してくれないの!?
 うるさかったら、『うるさい!!』とか言ってビンタしてくるのに・・・。」

「・・・・・・・。」

(こういう場合、どうしたらいいんだろう?)

シンジは一頻り考えると、口を開いた。

「そう・・・アスカは僕を置いていくんだね。
 僕はマナと一緒に仲良くやることにするよ、さよなら。」

そう言って、アスカの手を離し、そこから離れようとする。
すると、シンジの服の裾が掴まれた。

「・・・いや。」

(ちょっと卑怯だけど・・・成功したみたいだ。)

間違うことの無いはずのアスカの声。
しかし、その声は始めて聞いた。
とてもか細く、弱々しい声だった。

「お願い・・・独りにしないで、マナの所になんか行かないで・・・・・。」

「マナの所には行かないよ。でも、今みんなは戦闘中なんだ。」

そう言って、アスカの手を離そうとするが離れない。

「アスカ、みんな戦ってるんだ。終わったらすぐ来るから、ね?」

「嫌・・・嫌よ。アタシ、恐いの!!お願い、一緒にいてシンジ・・・・・お願い。」

アスカの目には涙が浮かんでいた、シンジを真っ直ぐ見つめている。

「我が侭なのはわかってるの・・・お願い、シンジ。」

ここまで弱気なアスカを始めて見たシンジは、背中に悪寒が走るのを感じた。

(ゴメン、みんな。ここでアスカを置いていったらいけない気がするんだ・・・。)

「・・・わかったよ、一緒にいるよ。」

「・・・ありがとう、シンジ。」

そう言うと、アスカはベッドを半分開ける。

「寒いの、暖めて・・・シンジ。」

「うん・・・。」

シンジはアスカの隣に横になる、そのシンジに抱き枕に抱きつくかのようにアスカは抱きついた。

「シンジは暖かいね・・・。」

「・・・ゴメンね、アスカ。僕が油断したばっかりに。」

「アタシが1人でやろうとしたからいけないの、シンジは悪くないわ。」

「ありがとう、アスカ。」

シンジのお礼を聞いたアスカは、小さなあくびをした。

「もうチョットだけ眠いの・・・おやすみ、シンジ。」

「おやすみ、アスカ・・・。」

こうして、2人は仲良く眠りについたのだった。

(ゴメン、カヲル君・・・・・。)



〜ジオフロント〜

(!! シンジ君は戦闘参加不可みたいだね。)

カヲルはゼルエルの攻撃を避わしていた。
ゼルエルもカヲルを倒すことに意地になったのか、本部侵攻からカヲル殲滅へと動きを変えていた。
そんな時に聞こえたシンジの声、その内容はショックであった。

「ユイさん、聞こえますか?」

戦闘を続けながら、カヲルはユイに通信を開く。

『何?渚君。』

「・・・シンジ君は戦闘に参加できないようです。」

『わかったわ。渚君、お願いね・・・。』

「・・・了解しました。」

(侵攻されてはダメ。ならば、ここでやってみろってことですか?)

カヲルは精神を集中し始めた。
徐々にシンクロ率が上がっていく。
そして、ATフィールドが肉眼で確認できるぐらいまではっきり現れた。

(さて、どこまで持つか・・・。)

カヲルの状況を見る、ユイの表情は暗かった。

(松代の時の実験中、彼は倒れた。
 その事も心配だけど、『アダムの力』によって使徒にどう影響が出るかも不安だわ。)


「レイさん、マナさん、ATフィールドを全開にして防御していてくれるかい?」

「で、でも、それじゃ渚君が1人で戦うって事に・・・。」

「どちらにせよ、私達ではあの使徒にダメージは与えられないわ。
 彼の言う通りにするのが得策よ。」

「わ、わかったわ・・・。」

レイとマナはカヲルに言われた通り、ATフィールドを全開にして防御姿勢をとる。
それを確認したカヲルはゼルエルに攻撃を開始した。

「時間が無いんだ、すまないね。」

ガシッ!!   ベリベリベリ・・・・・ブチンッ!!!

そう言うと、カヲルはゼルエルのコア周辺にある皮膚を一気に引き千切った。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・止めを刺してあげるよ。」

拳を握り、コアへとパンチを叩きこむ。

バキッ! バキッ!! バキッ!!! バキッ!!!! 

「これで、終わり・・・・・。」

(ここで・・・、タイムリミットのようだね・・・・・。)

拳を握ったまま、カヲルの乗る四号機は停止した。
松代のとき同様、エントリープラグ内で倒れてしまったのだ。


『レイ!そこから使徒のコアへの射撃よ!!
 マナちゃんは四号機の回収、急いで!!』

「・・・了解。」

「わ、わかりました!」

ユイの命令に従うレイとマナ。
使徒は動かなくなった四号機を無視すると、本部への侵攻を再開した。

(やらせない・・・。)

レイは静かにライフルを構えると、コアを射撃した。

シュオーーーン!!   ピシッ!
シュオーーーン!!   ピシッ!!
シュオーーーン!!   ピシッ・・・ピシ、ピシ、パッキーーーン!!!


ドドーーーーーン!!!!!


〜発令所〜

「パターン青、消失!使徒の撃退を確認しました!!」

「よくやったわ、レイ。」

青葉の報告に、ユイはレイに労いの声をかける。

「キョウコは渚君を頼むわ。」

「!! いつから私がここにいたこと気付いたの?」

「貴方がここに来てからよ、さあ早く!」

「わかったわ。(まったく、人使いが荒いんだから・・・。)」

「なんか言った?」

「いいえ。」

キョウコはそのまま発令所を出ると、カヲルの様子を見に行く。

「リッちゃん、アスカちゃんの様子は?」

「それが・・・モニターできないんです。」

「(キョウコめぇ、余計な事して〜。)わかったわ。
 じゃあ、リッちゃんはEVAの修理をお願いね。」

「わかりました、マヤ!行くわよ。」

「はい、センパイ!」

リツコとマヤはケージへと向かうのだった。

「じゃ、私はシンジとアスカちゃんの様子を見てくるわ。
 ゲンドウさん、後の処理はお願いしますね。」

「ああ、わかった。」

こうして、ユイも発令所から303号室へと向かうのであった。







<後書き>
どうも〜、なんか変な文章です〜。(前から?)
最後は慌しいと言うか、なんか意味不明です〜。
次話は2つの話にしようと思ってます。
「第19話 シンジ×アスカ編」 「第19話 カヲル編」ってな感じですね。
カヲル編は番外扱いでもいいんですけど、本編にしちゃいます。
だって、次回の番外編は「マナ×アスナの愛の物語 〜アスナ、優しくしてね〜」の予定ですから。(70%嘘です)(^^;



<次回>
あれほどに怯えてしまっているアスカ。
彼女は弐号機に乗ることは出来るのだろうか?
もし、乗れなくなってしまったらアスカは、アスナはどうなってしまうのか?

次回、The Restart Of Evangelion

     第19話「2人の今後」(シンジ×アスカ編)
     第19話「渚カヲル」 (カヲル編)

を、お送りしまーす♪


マナ:あなたねぇ。気がついてんなら、さっさと起きなさいよ。

アスカ:怪我人に向かって何言うのよ。

マナ:シンジまで巻き込まないで。

アスカ:アンタって奴ぁっ! 怪我人に労わりの言葉もないのっ!?

マナ:こんな我侭娘ほっといて、ほんとにシンジ、わたしの所に来てくれないかしら?

アスカ:誰が我侭よっ!

マナ:どうして、あそこでシンジを引き止めるのよっ!

アスカ:怖いんだから仕方ないでしょっ!

マナ:だから我侭だってのよっ!

アスカ:違うわっ!

マナ:何処が違うのよっ!

アスカ:世界はアタシの為にあるのよっ! アタシが傍にいて欲しって思ったら、シンジは傍にいなきゃいけないのよっ!!

マナ:・・・・・・・・・・・・・・・・・・負けた。(TT)

マナ:PS.アスナ、優しくしてねが本物になったら、やさしく殺してあげるわね。ウエッキーさん。(は〜と)
作者"ウエッキー"様へのメール/小説の感想はこちら。
frontier@tokai.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system