ガラガラガラガラガラ・・・・・・・。

四号機から降ろされたカヲルは、担架に載せられ運ばれていた。
表情は穏やかだが、顔色は真っ青だった。

「指定の病室に運んで頂戴、処置室ではないわよ!」

キョウコが担架を運ぶ職員に指示を出す。
職員は怪訝な顔一つせず、指示に従うのであった。

そして、運ばれた病室は301号室。
アスカの病室の2つ隣であった。

「力の使い過ぎによるものらしいから・・・こうしておけばOKね。」

ユイとキョウコはカヲルから前回倒れた原因の聞いていた。
だから、処置室ではなく、病室へと運ばせたのだった。

カヲルの腕に点滴の針を刺し、様子をうかがうのだった。







                    The Restart Of Evangelion

                        第19話「渚カヲル」 〜カヲル編〜







〜カヲルの意識の中〜

「また、君に会うとはね・・・。」

『つれない言い方だね、僕は君だと言うのに。』

松代で倒れた時も現れた、アダムである。

「・・・そうだったね、アダム。」

『そうだよ、タブリス。』

「!! 僕をその名で呼ばないでくれないか、その名は捨てたんだよ。」

『すまなかったね、カヲル。』

「で、何の用なんだい?」    

『・・・カヲル、君はいつまで人間に付き合う気なんだい?』

真面目な質問をしているのだが、表情は微笑を浮かべている。
そんなアダムを気にすることなく、カヲルは答える。

「僕はずっと付き合っていくつもりさ。」

『・・・・・・・。』

「僕は決めたんだ、シンジ君達と同じ時を過ごすとね。」

『・・・しかし、綾波レイの体と違って成長しないのだぞ。』

そう、カヲルの体は成長しない。
前にも触れたが、レイには人の遺伝子があり、体がそれに反応して成長できるようになっていた。
しかし、カヲルには人の遺伝子がない。
ゼーレがレイと同じ方法で体を作っても、遺伝子が無いと言うだけでこういう違いが出てくるのだ。
(この設定は私のオリジナルです。実際はどうなのか私にはわかりません。)

「シンジ君達と一緒にいられなくなるようだったら、世界中を気ままに旅でもするよ。」

『なら・・・この時代の僕と接触する気は無いのかい?』

「無いよ。それに、この時代のアダムに、アダムの僕が接触しても仕方が無いんじゃないのかい?」

『ふふ、それはどうかな。』

「タイムパラドックス・・・接触したらどちらかが消えるだけだよ。」

その時代に同じ人間は1人しかいられない。
違う時代の自分と出会った時に発生する現象・タイムパラドックス。
アスカとアスナの場合はどちらかが消えてしまうはずだった。
しかし、カヲルが力を使ったおかげでこの時代にアスカは1人となり、アスナと言う人間が出来た。
そのため、両者とも消えずにすんだと言うわけである。
(タイムパラドックスについては、もしかしたら違ってるかもしれません。あしからず。)

『それでいいのさ。
 そうすれば、僕がこの時代のアダムとなってサード・インパクトが起こせる。』

「だけど、ゼルエル戦では起きなかったじゃないか。」

『直接触れなかったからだよ。』

ネルフの地下にいるのはリリス。
だから、いくら使徒が進行してきてもサード・インパクトは起こらない。
しかし、カヲルが直接使徒と触れたら、その時点で人類は滅亡してしまうと言うことだ。

『それに、この時代のアダムだろうが、僕だろうが関係無いんだよ。
 アダムの力を持つ「モノ」と接触すると発動するんだからね。』

「・・・余計にEVAと言う鎧が必要になったようだね。」

『まあ、いいさ。
 最後に笑うのは僕だからね、君はせいぜい人間の味方をするといいよ。』





「どういうことなんだ!!」

「だ、大丈夫なの・・・渚君?」

いきなり叫び、飛び起きたカヲルに、付き添っていたキョウコも驚く。

「キョウコさん、ここは・・・。」

「ここはネルフの病室よ。」

カヲルはゆっくり周りを見渡す。
すると、前に世話になった病室と感じが似ていた。

(アダムとだけ言わなかったのはよかったかもしれない・・・。)

そう思いながら、カヲルはゆっくり息を吐いた。

「悪い夢でも見てたの?」

「まあ、そんなところです。」

「何かあったら相談してね、役に立てないかもしれないけど。」

「ありがとうございます。」

カヲルはキョウコに頭を下げた。
例え、何を言われようが、何をされようが言うつもりは無いが、そういう心遣いが嬉しかった。

「それじゃ、私は発令所に戻るけど、ゆっくり休んでね。」

「はい、ところでアスカさんは?」

「目が覚めたみたい、シンジ君効果ってヤツかしらね。」

「それはあるかもしれませんね。」

カヲルとキョウコに笑みが浮かぶ。

「それじゃ渚君、お大事にね。おやすみ。」

「はい、おやすみなさい。」

バタン。
ドアが閉まり横になると、カヲルはさっきのアダムの言葉について考えていた。

『最後に笑うのは僕だからね、君はせいぜい人間の味方をするといいよ。』

(そう言っていった、彼は僕の体で何かするのだろうか・・・。
 明日にはシンジ君が来てくれるだろうから、それとなく言った方がいいのかな。
 ・・・・・ダメだね、彼には余計な心配をかけたくないからね。
 自分で何とかするしかない、か。)

「早くお見舞いに来て欲しいな、シンジ君・・・。」

そう呟くと、カヲルは眠りについた。
思いの人は2つ隣でアスカと抱き合って眠っているとは知らずに・・・。







<後書き>
ども、ウエッキーです。
分ける必要あるのか、これ?って感じに短いですが見やすいですよね?
ちなみに、カヲルはアダムです。
意識の中で話している相手はアダム元来の意識です。
ちょっとややこしいですが、勘弁してください。m(_ _)m



<次回予告>
カヲルは翌日に退院。
出番はあんまり無いかも・・・。
でも、シンジとお話できるからOK?

次回、The Restart Of Evangelion

        第20話「ロンギヌスの槍」

を、お送りしまーす♪


マナ:渚くんも怪しいけど、アダムはもっと怪しいわね。(ーー;

アスカ:この先、使徒戦が大変になるって時に、変なこと起きなきゃいいけどね。

マナ:でも、渚くんが使徒と触れたらサードインパクトだったなんて。

アスカ:爆弾が戦闘してるようなもんねぇ。

マナ:エヴァに穴でも開いたら、大変なことになるじゃない。

アスカ:LCLが流れ出ちゃうわ。

マナ:そうじゃなくて・・・。あのね。
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