シンジとマナは家に帰ると、ゲンドウとユイに事の顛末を全て話した。 「「・・・・・。」」 「「・・・・・。」」 4人が4人共、口を開かない。 重い空気と長い時間が過ぎ行く中、ゲンドウが口を開いた。 「・・・マナ君は『これ』でいいのか?」 ゲンドウがシンジの方へ目線をやりながら、マナに確認を取った。 「はい、シンジ君じゃなきゃダメなんです。」 「そうか・・・。なら、私は何も言うことは無い。」 ゲンドウは口を閉じた、次はユイだった。 「シンジ、逃げちゃいけないのよ、わかってる?」 「うん。僕はマナと一緒にいたい、彼女を不幸にしない、絶対に何があっても逃げないよ。」 シンジはユイから一時も目線を外すことなく答えた、そのシンジの態度にユイは満足した 「2人の気持ちは本物のようね・・・。」 「・・・だったら、何も言うことは無い。」 「「ありがとうございます!!」」 こうして2人は、親公認の『婚約者』同士となった。 The Restart Of Evangelion 番外編\「学校生活」〜LMS〜 翌日。 朝ご飯を食べ終えた子供達は登校した。 「「「「いってきます!」」」」 「はい、いってらっしゃい。」 「・・・気をつけてな。」 お決まりの挨拶を終えると、シンジ×マナ・レイ×カヲルの2組のカップルができあがる。 マナは腕をシンジの腕にからめると、学校へと向かった。 「シンジ、今日のお弁当は期待してて。」 「いいけど、なんで?」 「いいから、いいから・・・。」 「?」 笑みを浮かべているマナに、シンジは不安を感じたが気にしなかった。 「おはようさん。」 「おはよう。」 「おはよう、みんな。」 学校に到着し、教室に入る。 トウジの挨拶が始まり、ケンスケ・ヒカリも4人に声をかける。 「「「「おはよう。」」」」 4人は揃って挨拶を返すと、各々の席へと向かう。 「なんや、霧島とシンジはずいぶん仲がええんやな?」 「えっ、そう?」 (まだ皆には言ってないんだよな、マナと付き合ってる事。) 自分の色恋には鈍いが、人には鋭いトウジがそう言った。 「いつも仲良う話してるんやけど、今日は何かいつもと感じが違う気がしたもんやから。」 「そうそう、何かあったのか?『幸せ』って言う表情がよく出てる感じだぞ。」 ケンスケもトウジ同様、マナの変化に気付いた。 (これは言った方がいいのかな?) 「お昼のときに言うよ。」 シンジが否定すると思っていた2人は、思いがけないシンジのリアクションに驚いた。 「よっしゃ!絶対やぞ、期待してるさかいな。」 「これはスクープの匂いがする、後で『やっぱ無し』って言うのは無しだからな。」 先生が教室に入ってきたため、2人はそう言い残して自分の席へと戻っていった。 授業中、シンジはマナにメールを送ることにした。 『マナ、僕達の事を皆に話そうと思うんだけど、いいかな?』 皆とはトウジ・ケンスケ・ヒカリの3人である。 シンジはメールを送信すると、返事を待った。 『メールが届きました。』 マナの端末にメール到着のメッセージが届く。 (誰からかしら?) メールを開き、中のメッセージを見る。 差出人はシンジだった。 (どれどれ・・・・・そうね、隠しててもしょうがないし、いいかな。) メッセージを見た後、返事を書いてメールを返信した。 『メールが届きました。』 シンジは待ってましたと、メールを開く。 『シンジがいいなら、私もOKだよ!』 シンジはマナのほうを向くと、マナもこっちを見ていた。 お互いに微笑みあうと、前を向き、授業を聞き始めた。 そして、運命の昼休み。 「ほな、シンジ行こか?」 「屋上で食べようぜ、みんな。」 ケンスケの呼びかけに、いつものメンバーは屋上へと向かった。 屋上には誰もいなかった。 いつもなら人がいても気にしないが、今日はいないことにシンジは安堵した。 全員が円を描く様に座り、弁当を広げる。 (そう言えば、『お弁当は期待してて。』って言ってたけど・・・。) シンジが弁当を開けると、そこにはシンジの好物ばかりが入っていた。 マナの弁当を見ると、中身が違う。 同様にレイとカヲルの弁当とも違う、2人の中身はマナと同じだった。 「おっ!シンジ、今日の弁当は凄いな〜。」 早速、トウジがからんでくる。 同じく、ケンスケもやってきた。 「これって、自分で作ったのか?」 マナがその光景を見ながら、嬉しそうに笑みを浮かべていた。 隣に座っていたヒカリは、お弁当が入っていた袋の一部が盛り上がってるのを見つけた。 「碇君、まだ何か入ってるみたいよ。」 ヒカリが袋を取り、中身を見ると・・・。 「・・・栄養ドリンク?」 「「な、何〜!!」」 トウジとケンスケの悲鳴が上がる中、シンジはマナの方を見る。 そこには、頬を赤くしながら『我関せず』といった表情で、お弁当を食べるマナがいた。 (勘弁してよ、言いにくくなったじゃないか・・・。) シンジが思いがけないお弁当のおまけに頭を痛める。 トウジとケンスケはある程度騒いだ後、シンジの方へ向いた。 そして、始まった・・・・・。 「さて・・・と、シンジ君。霧島さんとはどういうご関係ですかな?」 「そやそや、最近は妙に仲良うなってな〜。」 (普通に言おうと思ってたのに・・・。) 芸能レポーターのような口調で質問するケンスケ、同調するトウジ。 マナの『おまけ』のおかげで、全ての算段が狂ったシンジ。 マナには期待できないと思ったので、カヲルに視線を向ける。 (助けて、カヲル君!) (まかせて、シンジ君。) まさにアイコンタクト。 カヲルはシンジにウインクして視線を受けとめると、口を開いた。 「まあまあ、そんなに問い詰めても仕方ないじゃないか。」 ケンスケとトウジはカヲルの方へ振り向いた。 「しかしな、渚。シンジが『お昼に言う』って言ったんだぜ。」 「そやで、無理に吐かせようしたんちゃうわ。」 (確かに言うつもりだったけど・・・。) 『おまけ』が無く、『好物ばかりの愛情弁当』だけだったら問題無かったのだ。 交際を見とめた後、『おまけ』が話題の中心になり、有らぬことを言われるのは目に見えていた。 「仮にそうだとしても、シンジ君が落ち着いてから聞けばいいんじゃないのかい?」 「・・・わかった、ご飯食べた後に絶対話してくれよ。」 「ほな、弁当食うかな。」 とりあえず、時間稼ぎに成功した。 シンジはまた、カヲルに視線を送った。 (ありがとう、カヲル君。) (お安いご用さ、シンジ君。) この2人、目で会話が出来るらしい・・・。 シンジは目線を外すと、お弁当を食べ始めた。 「「「「「「「ごちそうさまでした。」」」」」」」 食後の挨拶を終え、弁当箱を片付ける。 それも終わった後、シンジから口を開き、話し始めた。 「え〜っと。まず、僕とマナは付き合ってるんだ。」 「「おお〜!」」 (いいなぁ、マナは上手くいって・・・私から告白しなきゃだめかしら?) お約束通りに驚く2人を尻目に、ヒカリは自分の恋について考えていた。 (お弁当とか作ってあげてるのに気付いてくれないんだもんな〜。) ちなみに、今日のトウジの弁当を作ったのはヒカリ。 餌付けは成功しているが、そっからの進展は無いらしい。 「じゃあ、あの栄養ドリンクの意味は?」 「そや、あれはもしかして・・・。」 「「イヤーンな感じ!!」」 そろった動きが何度も練習したんだろうな、と周りに思わせる2人。 そして、疑惑の人・マナが口を開いた。 「それは私・・・入れた覚え無いよ。」 「「「「えっ?」」」」」 レイとカヲルはマイペースで箸を進める中、4人は固まった。 「んな、アホな事があるかー!!勝手にこのドリンクが入ったっちゅーんか、おお?」 「まだ早い年齢かもしれんが、嘘をつくよりは言いと思うぞ。」 「マナ、不潔よ〜!!」 まさに『新・3バカトリオ』結成の瞬間であった。 この流れるような連続ツッコミは、息が合ってないと出来ないからである。 「だから〜、私じゃないって言ってるでしょう。」 「ちょっと、ちょっと待っとけ。」 マナの釈明も何のその、トウジはケンスケ・ヒカリと話しこみ始めた。 「まあ、いいわ。シンジ、デザート食べましょ。」 「そんなのあるの?」 「うふふ・・・。」 マナが鞄から取り出したのは、タッパ−に入ったゼリーを取り出した。 「でも、1つしかないよ。」 「そ・れ・は、私がシンジに食べさせてあげるからよ。」 少し大きめのゼリーをスプーンで1口大の大きさに取ると、シンジの口の前に持っていく。 「はい、あ〜んして♪」 シンジは周りを見渡した。 レイとカヲルは2人で話をしていたし、『新・3バカトリオ』は密談を続けていた。 (まあ、いいか・・・。)「あ〜〜〜ん。」 シンジの口にスプーンを持って行くと、ゼリーを中に入れた。 「おいし?」 「とっても美味しいよ!」 「よかった〜。じゃあはい、あ〜んして♪」 「うん、あ〜〜〜ん。」 ここでマナは考えた。 (普通に食べさせるのもどうかしら、『アレ』やってみようかな・・・。) マナは周りを見渡す、状況はシンジの時と変わっていない。 (よし!) マナは取ったゼリーを自分の口に含み、手でシンジの口を少し塞ぐ。 そして、シンジと唇を合わせた。 (マ、マナ・・・。) (シンジ・・・。) お互い、自然に目を閉じる。 そのまま、お互いの唇の感触に酔いしれた。 「じゃあ、今度は僕が食べさせてあげるよ。」 「うん・・・優しく食べさせて♪」 こうして2人は自分達の世界を作ると、お互いに口移しで食後のデザートを楽しんだ。 「お兄ちゃん、学校でそれは大胆過ぎよ。」 「シンジ君、次は僕とそれをしないかい?」 突如、レイとカヲルの2人に声をかけられる。 シンジとマナは周りを見渡した。 「なんや〜。やっぱ、『そういう仲』やったんやな。」 「そうか、シンジは『大人』なんだな・・・。」 「ふ、2人共・・・不潔よー!!」 新・3バカのトリオアタックにシンジ・マナは天を仰いだ。 ((しまった・・・見られてるなんて思わなかった。)) 結局、トウジ・ケンスケと言う2人によって、『シンジとマナの関係』が全校に知れ渡ることになったのは・・・言うまでも無い。 「これで堂々といちゃいちゃできるわね、シ〜ンジ。」 「そうだね、マナ。」 今日から2人は腕を組んで通学するようになったとさ。 〜おまけ〜 その日の夕食が終わった後のこと。 「今日はデザートがあるわよ〜。」 ユイがそう言って、冷蔵庫に向かう。 「ユイさん、人数分ありますよね?」 「ちゃんとあるけど、どうして?」 カヲルの問いに、ユイが首を傾げながら聞いた。 「それが、今日なんですけど・・・。」 「ちょ、ちょっと、カヲル君!?」 シンジの妨害も1歩間に合わず、今日のことが全て聞かれてしまった。 「あらあら、シンジもマナちゃんもやるわね〜。」 「そう言うと、ユイはデザートの持った器を3つにした。 6つ有ったのだが、1つをもう片方に移したのだ。 「じゃあ、今日はお互いに食べさせっこしましょうか?」 「いいですね、やりましょう!」 「「「「えっ?」」」」 ユイの案に乗ったのはマナだけであった。 しかし誰もユイに逆らえないので、個々に移動を始める。 ユイとゲンドウはダイニング(そのまま動かず) レイとカヲルはリビング、シンジとマナは庭へと移動した。 ユイとゲンドウ、レイとカヲルは口移しこそしないが、お互いに食べさせあっていた。 まんざらでもないらしい。 「はい、シンジ・・・。」 「んっ・・・美味しいよ、マナ。」 昼間にもやっていたのに、この時の2人の顔は真っ赤であった。 「デザートが、私の唇が?」 シンジは口にデザートを含むと、マナに食べさせる。 「あん♪そんなのズルイよ、シンジ。」 「両方だよ。あえて言えば・・・マナの方が美味しかった。」 (くうぅ・・・私ってばとっても幸せよ〜!!) マナは自分の幸せをかみ締めながら、食べさせっこを続けたのであった。 <後書き> ども、ウエッキーです。 ラブコメってこんな感じでしょうか? 本編でやってた『口移し』をマナちゃんにやってもらいました。 コメント係のマナちゃんは喜んでくれることでしょう・・・。 しかし、この先はどうなるんでしょう? 続く・・・でいいのかな?(^^; 次回は番外編で『新・東方の三賢者』をやろうと思います。 でわ!!
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