(眠れないよ・・・。)

第15使徒・アラエル戦後、シンジはアスカの願いもあって一緒に眠ったのだが・・・。
共に起きてる時から眠るのは初めてでは無いのだが、妙に意識してしまう。
当然、シンジは眠れなかった。

『AM 3:12』

(まだ、こんな時間だけど・・・。)

時計を見た後、シンジはアスカを起こさないようベッドから降りた。
そのまま、シンジはリビングへと降りていった。

(あれ?)

リビングから光が漏れていた。
隠れて中を見てみると、中にいたのはカヲルだった。

「どうしたのカヲル君、眠れないの?」

「やあ、シンジ君・・・。」

カヲルは重い表情で顔を上げる。
シンジは歩み寄ると、隣に腰掛けた。

「君はどうしたんだい、こんな時間に?」

「えっ?うん、ちょっと眠れなくて。」

シンジは顔を真っ赤にしながら、状況を説明した。

「・・・・・と、いうわけなんだ。」

「ふふふ、それは恥ずかしいだろうね。」

やっとカヲルにいつもの笑みが戻った、シンジもつられて顔に笑みが浮かぶ。

「カヲル君も眠れないの?」

「・・・うん。」

カヲルは自分の話題になった途端、重い表情に戻ってしまった。

「もしかして・・・お風呂で言ってたこと?」

「うん・・・。」

「よかったら、話してくれないかな?力になりたいんだ。」

「ゴメン、話せないんだ。
 話してしまうと・・・今すぐ『何か』が起こってしまうかもしれないから。」

カヲルの体は震えていた。
シンジは包む様にカヲルを抱きしめた。

「・・・わかった、無理には聞かないよ。
 けど、僕は君も護りたいんだ。だから、話せる時が来たら話してほしいな。」

「ありがとう・・・。やっぱり、君は好意に値するよ。」

(けど、『何か』起こる時まで話せないだろうと思う・・・ゴメンね、シンジ君。)

カヲルはシンジの優しさが嬉しかった。
安堵感からであろう、カヲルはそのまま倒れこんでしまった。

「カヲル君、寝ちゃったの?」

シンジがカヲルの顔を覗き込む。
元々白い顔だったが、それが真っ青になっていた。

「!!」

カヲルの体をソファーに乗せると、シンジは電話をかけた。

「もしもし、母さん?僕、シンジだけど。」

『どうしたの、こんな時間に?』

「ゴメン、カヲル君が大変なんだ!」

『落ち着いて話して頂戴、どうしたの?』

シンジはカヲルとリビングで会って話した事、その後倒れた事を伝えた。

「・・・ってわけなんだけど、どうしよう!?」

『今から車をよこすから、渚君をこっちに運ばせるわ。
 それで診察、必要なら入院させるわ。』

「わかった、早くしてね!」

シンジは電話を切ると、カヲルの元へと戻った。
顔色は真っ青で、苦しげな表情を浮かべていた。

(カヲル君、どうしたんだよ・・・さっきまで普通に話をしてたのに。)

電話から5分後。
ユイの遣した車が到着し、カヲルは病院へと運ばれたのだった。







                      The Restart Of Evangelion

                             第22話 「悩み事の重さ」







『病院・診察室』

診察室のベッドに寝かされたカヲル。
キョウコは聴診器をつけると、シャツをめくって診察する。

(異常は無いようだけど・・・。)

「彼をアレに乗せてくれる。」

キョウコが指したのは横に長い大きな機械だった。
筒状で、寝台が少し出ている、全身のレントゲンが撮れる物だ。

『ガー・・・ピッピッピ!』

寝台が筒に吸い込まれる様に消える。
その後、中から電子音が聞こえてきた。

(随分・・・胃が荒れてるわね。)

即座に画像がキョウコの目の前の端末に送られてくる。

(ストレス。悪い言い方だけど、人間でない彼にもそれはあるのかしら?)

胃の部分が写った画像を見る、それを見て『ストレス性胃炎』と診断した。

「彼をこの間の病室へと移して頂戴。」

こうして、カヲルは前に入院していた部屋へと入れられた。



『碇邸』

シンジはそのまま眠れずに朝を迎えた。

(カヲル君のお見舞いに行かないと・・・会えないかもしれないけど。)

ソファーから立ちあがると、洗面所に向かう。

「よし、朝ご飯作るか。」

顔を洗った後、キッチンへと向かった。
彼はこの後に起こる事を知らず、朝ご飯を作りはじめた。



『シンジの部屋』

(ベッドってこんなに大きかったかしら・・・?)

『サワサワ、サワサワ』

シンジの部屋で眠るアスカは、寝ぼけ眼のまま手を動かしていた。

『サワサワ、サワサワ』

(シンジはどこよ〜・・・って、いない!?)

ベッドの上にシンジがいない事を自覚する。
その瞬間、アスカは一気に目を覚ましたした。

「シンジがいな〜い!!」

そのまま勢いよく起きあがると、アスカは下まで一気に駆け下りた。

『ドタドタドタ・・・!!』

(何だろ、この音?)

朝食作りが半ば終わろうとしている中で、物凄い音が家の中を鳴り響く。

「シンジー!!」

「うわぁ!!」

シンジは殴られるのを覚悟して、情けない顔で仰け反る。
しかし、キッチン入り口には泣きそうな顔をしているアスカが立っていた。

「あれ・・・アスカ?」

「なんで、勝手に一人で起きてるのよ!!・・・酷いわよ、シンジ。」

「ゴ、ゴメン。だって、眠れなかったんだよ。」

「・・・何で?」

「へっ?」

「何で眠れなかったのよ?」

(ど、どうしよう・・・。)

シンジは悩んだ。
答えを正直に言うべきか、嘘をつくかどうか。

「何でって聞いてるの?」

「あ、あのさ、緊張しちゃったんだよ・・・。」

(そ、そうよね・・・アタシって結構凄いことしてたんじゃ?)

シンジは正直に言い訳することにした。
『一緒に寝る』、アスカも思い出したのか、顔が真っ赤になっていた。

「ま、まあ、いいわ。」

(た、助かった・・・。)

「その代わり。」

「えっ?」

「き、今日こそ一緒に寝るわよ!いいわね!!」

(ここで『嫌』って言ったらヤバイかも・・・。)

「う、うん。」

ここで話は終わって丸く収まるはずだったのだが・・・。

「じゃあ、アタシはシャワー浴びるから・・・ってレイ!?」

「えっ、レイ!?」

「・・・・・・・。」

レイはそこに立って『ジッ』とアスカを見ていた。
アスカとシンジ顔を真っ赤にして立ちつくす。

「私も・・・。」

「な、何?」

「私もお兄ちゃんと一緒に寝たい・・・。」

「ダメー!!それはダメ、マナかアスナか渚にしなさい。シンジはダメよ!!」

「でも、兄妹だからいいんじゃないの?」

シンジがとんでもない事を言い出す。
アスカが当然許す訳も無く・・・。

「アンタは何言ってんのよ!いいから朝ご飯でも作ってなさい!!」

「は、はいぃ!」

シンジ、朝食作り続行決定。

「いい、レイ。リビングに行くわよ。」

『コクン』

レイは頷くと、アスカと二人リビングへと向かった。



『リビング』

朝の光が大きな窓から差し込んでくる、その部屋でアスカとレイは話をしている。

「いい、兄妹同士で一緒に寝る事は悪い事ではないわ。」

『コクン』

「でも、それは小学校に上がるまでの話なのよ。」

「・・・・・・・。」

「それからは兄妹同士で一緒に寝ると犯罪なのよ、犯罪。」

「・・・・・。」

「アンタの我が侭で、シンジが犯罪者になるのは嫌でしょ?」

『コクン』

「だったら我慢しなさい、シンジのためにね。」

「・・・わかったわ。」

「それじゃ、朝ご飯食べに行きましょ。」

そう言って立ちあがり、レイの前を歩くアスカ。
その表情は『してやったり』と言わんばかりの笑みだった。

(いくらなんでも騙せるとはねぇ・・・まあ、これであんな事言わなくなるからOKね。)



『ダイニング』

「「「「「ごちそうさまでした。」」」」」

あれから起きてきたマナ・アスナを加えて朝食が始まり、今終わった。
シンジは手早く後片付けをすると部屋へと戻り、すぐに降りてきた。

「それじゃ、僕は出かけてくるから。」

朝の早い時間から出かけようとするシンジにアスカが声をかけてきた。

「どこ行くの?」

「カヲル君のお見舞いだよ、朝早くに倒れて病院に運ばれたんだ。」

「そっ、行ってらっしゃい。」

カヲルが苦手と言うより嫌いなアスカは一緒に行くわけ無く、シンジをその場で送り出すのだった。

「あれ?シンジと一緒に行かないの?」

「そうだよ、お姉ちゃん。」

「アスカはお兄ちゃんが嫌いなの・・・?いっしょに寝てるのに。」

「な、何言ってんのよ、アンタは〜!!
 いい、アタシは渚が苦手だから行かないの、わかった!?」

シンジと一緒に出かけるものだと思っていたマナ・アスナ・レイの3人。
だが、そんなことよりもレイの一言が気になった2人はアスカに詰め寄った。

「ちょっと、アスカさん。説明してもらいましょうか?」

「そうだよ、それによっては・・・。」(私もお姉様と毎日・・・うふふ。)

「別に誰かに言ってはいけないとは聞いてないわ。」

こうして、アスカは今日1日退屈な時間を過ごす事は無かった。

(これも全部シンジが悪いんだからね。覚えてなさいよ〜、バカシンジ!!)



『病院』

病院に着いたシンジは受付でカヲルの病室を聞こうとすると、ちょうどそこにユイが現われた。

「母さん!!」

「シンジ、ちょうどよかったわ。少し話が聞きたいんだけど、いい?」

「うん、いいけど・・・。」(カヲル君の事なのかな・・・?)

ユイの案内で、シンジは机と椅子のある個室へと案内された。

「そこに座って頂戴。」

そう促した後、ユイはシンジに向かう様にして椅子に座る。

「さっそくだけど、あの時何があったのか話してくれる?」

「うん・・・。」

シンジは電話で話したときよりも詳しく、その時の状況を話した。

「・・・って事なんだ。」

「そう・・・。まずは診察の結果なんだけど。」

ユイは机にあったカルテを取る。

「ストレス性の胃炎よ。」

「ストレス性の胃炎・・・。」

「シンジ、最近の彼はどこかおかしい所があったと思うの。何か聞いてない?」

ユイは最近のカヲルがおかしいと思っていた。
人でない事を差し引いても、よく倒れる事、最近ではどこかおかしい態度をとったり、と。

「悩んでるみたいだった、原因は教えてくれなかったんだけど・・・。」

「そう・・・。原因はそれね、悩みは結構深刻な事だと思うわ。」

「うん。だって、『話すと僕に迷惑がかかる』みたいな事を言って話してくれないんだ。」

「・・・・・・・。」
(これはかなりの重症ね・・・シンジを会わせない方がいいのかしら。)

「母さん?」

「あっ、ゴメンね。渚君の病室はこの間と同じ部屋よ、行ってあげて頂戴。」

そう言うと、ユイはまた考えこんでしまった。
シンジは声をかけるのを止め、静かに部屋から出ると病室に向かった。



『病室』

『コンコン!』

「カヲル君、シンジだけど、入っていいかな?」

『どうぞ。』

シンジはドアを開けて中に入る。
カヲルはベッドに半身起こした状態で、シンジの方を見ていた。

「やあ、シンジ君。」

「大丈夫、カヲル君?」
(顔色はいいみたいだけど・・・。)

「まあまあかな、物が食べられないんだよ。」

シンジが来る前にユイから言われた事だった。
そのため、カヲルの腕には点滴がついている。

「そうなんだ・・・。」

「でも、君がお見舞いに来てくれるなんてうれしいよ。」

「気になったんだ、悩みがあるみたいだったし・・・。」

「うん、あるよ。まあ・・・言えないんだけどね。」

そう言って微笑むカヲルの笑顔は、いつもと違って暗いものだった。

「・・・わかった、聞かないよ。」

「ゴメンね、シンジ君。」

「いいよ、無理に聞いた僕が悪かったんだから。」


この後、シンジとカヲルは長い時間雑談をしていた。


「・・・・・って事だったんだよ。」

「ふふ、相変わらずだね。」

「あっ!もう、こんな時間なんだ。」

『PM 2:21』

シンジが壁に掛かった時計を見る。
座っていた椅子を片付け、部屋から出る準備を始めた。

「シンジ君。」

「何、カヲル君?」

「君は・・・僕がこの世界で生きてく事ができると思うかい?」

「当たり前だよ、そういう世界を作るために僕は頑張ってるんだから。」

シンジとカヲルの目が合うと、お互い真面目な顔で、目線を逸らさず見つめあう。

「ゴメン、変な事を聞いたね。」

(カヲル君・・・。)

カヲルはシンジから目を逸らすと俯いてしまった。

「悪いんだけど、もう来ないで欲しいんだ。」

「!! どうしてそんな事言うのさ?」

「正直、今の状態で君に会うのは辛いんだ・・・。」

「・・・わかったよ、カヲル君。」
(たぶん、悩み事は僕に関係するんだね。)

カヲルの表情はわからない。
シンジは辛いのはカヲルだと察すると、了承するしかなかった。

「少し疲れたよ、眠ってもいいかい?」

「うん、そうするといいよ。」

カヲルがベッドに横たわると、シンジはシーツをかけてあげた。

「ありがとう。」

「それじゃ、僕は帰るね。」

「うん、ありがとう・・・。」

シンジは静かに部屋から出た。



病院から出ようとすると、入り口近くのロビーでユイが手招きしていた。

「シンジ、こっちこっち。」

「何、母さん?」

シンジはユイの正面の椅子に座った。

「渚君は何か話してくれた?」

「うん、『もう来ないで欲しいって。』後は雑談してただけだったよ。」

「そう・・・。」

ユイの表情が沈んだ。
これでストレスの原因がシンジだとわかった。

「もしかしたら・・・。」

「何?」

「前回の時と同じ事が起こるんじゃないかって、それを気にしてるのかもしれない。」

「渚君が使徒で、シンジと戦ったって事ね。」

ユイは声を潜める。
いくらなんでも大きな声で言える話ではないからだ。

「うん・・・。」

「もし、そうなったら貴方はどうするの?」
(我ながら酷い事を聞くわね・・・。)

だが、聞かなければならない。
いかなる理由があっても『サードインパクト』は防がなければならないのだ。

「・・・戦うよ。
 でも、カヲル君は親友なんだ。そうならない事を祈ってる・・・ううん、信じてるんだ。」

「ごめんなさい、何も出来なくて。」

「ううん、母さんがここにいる。
 僕や父さん、レイにはそれだけでうれしいんだから。」

ユイは立ち上がると、シンジを抱きしめた。
その顔には涙が浮かんでいた。

「子供にこんな辛い目にあわせるために、エヴァを造ったわけではないのに・・・・・ゴメンね、シンジ。」

「大丈夫だよ、カヲル君はそんな事にならないから。」

「そうね、ごめんなさい。」

ユイはシンジから離れると、奥へと向かっていく。

「車に気をつけて帰るのよ〜。」

「わかってるよ・・・もう。」

こうして、シンジは家へと帰るのだった。



『碇邸』

「で、シンジと一緒に寝たのはどうだったのよ?」

「うるさいわね、関係無いでしょ!!」

未だに追求は終わっていなかった。
特にマナはしきりに問い詰めるのだが、アスカも覚えてない上に先に起きられたのだ。
答えるにも答えようが無かった。

「お姉様〜、今日は私達も一緒に寝ましょう♪」

(ナイス!アスナ〜、さすが私の妹ね。)
「そうよ、アンタはアスナと一緒に寝てればいいのよ!!」

「な、何よ、それ〜。」

「・・・私は?」

レイがポツリと呟いた事にアスカが答える。

「アンタには渚が余ってるわよ。」

「彼は入院中。それに・・・ホモは嫌。」

「あっはっはっはっは!!!そうよね、ホモは嫌よね〜、ゴメン、ゴメン。」

「やっぱり、お兄ちゃんがいい・・・。」

アスカの大爆笑もここで止まった、顔はにやけたままだったが。

「だ・か・ら、ダメだって言ったでしょ。犯罪者よ、犯罪者。」

「何、嘘教えてんのよ!兄妹で寝たって犯罪になるわけ無いじゃない!!」

(バ、バカ・・・。)

アスナをけしかけられたマナの反撃にアスカは詰まった。

「アスカ、嘘ついたのね。」

「あ、あれは、そのね、え〜と。」

「・・・嘘吐き。」

「ひっ!!」

レイの顔には怒りが浮かんでいた、あまりの厳しい目線にアスカも怯える。

「・・・アスカの嘘吐き。」

「わ、わかった、わかったたわよ!!」

「・・・・・。」

アスカはため息一つ吐くと、レイに妥協案を提供する事にした。

「じゃあ、今日はシンジとアタシとレイの3人で寝ましょう、それでいい?」

「・・・いいわ。」

「位置としては、アタシ・シンジ・レイね。」

「それで・・・いい。」

シンジを間に挟む事で、喧嘩両成敗。
さっきまでの怒りはどこへやら、レイの顔にはうっすら笑顔が浮かんでいた。

「私は〜?」

「アンタはアスナと2人でよろしくやってなさいよ。」

「は〜い!!」

「そ、そんな〜。」

アスナの明るい返事と、マナの蚊の泣くような返事が出たところで、この話は終わりを告げるはずだったのだが・・・。

「ただいまー!!」

シンジが帰ってきた事により、『シンジと一緒に寝るのは誰だ!!選手権』の第2ラウンドが開始した。

*以下、会話だけで展開します。発言者は「」の前に名前が出てます。

アスカ「いい?今日シンジと一緒に寝るのはアタシとレイなの!」

レイ「そう・・・、同性愛の人達は邪魔しないで。」

マナ「私は違うっていってるでしょ!!」

アスナ「お姉様は私を弄んだんですか!?」

シンジ「い、いきなり、何の話なの?」

アスカ「シンジ!アンタが初めっからちゃんと寝てればよかったのよ!!」

マナ「ダメよ、そうしたら私がシンジと寝るチャンスが無かったわ!!」

レイ「そう。貴方はどうでもいいけど、私は一緒に寝たいもの・・・。」

アスナ「私はお姉様といっしょに濃密な夜を過ごしたいんです!!」

シンジ「・・・・・。」(逃げた方がいいかもしれない。)<シンジ退場>

レイ「アスナさんが呼んでるわ、お・姉・様。」

マナ「私はノーマルよ!」

アスカ「アスナはとってもいい娘よ、マナ。」

マナ「だったら、アスカが一緒になればいいでしょ!?」

レイ「そうしたら、私がお兄ちゃんと・・・。」

アスナ「禁断の兄妹愛・・・素敵ですわぁ〜。」

アスカ・マナ「「何、バカな事言ってんのよー!!」」

『『パッカーーーン!!!』』

アスナ「こういう愛情表現はいらないです〜・・・。」<アスナ撃沈>

アスカ「こういう時は気が合うわね・・・。」

マナ「そうね、シンジが好きなもの同士だものね。」

レイ(お兄ちゃんがいないわ・・・探さなきゃ。)<レイ退場>

アスカ「でも、アンタは諦めた、と。」

マナ「最後の思い出って事でいいでしょ?」

アスカ「ダメに決まってんでしょ!
    本当はアタシとシンジの2人で寝るつもりだったのに、今日はしょうがなくレイを入れるんだからね。」

マナ「独占欲が強すぎて、シンジに嫌われないかしら?」

アスカ「うっさいわね!!こうなったら、シンジに決めてもらいましょ?」

マナ「いいわ、その時に選ばれなかった方は身を引くのよ。」

アスカ「アンタがね。」

マナ「貴方も睨みつけたり、脅したりするのは無しだからね。」

アスカ・マナ「「シンジ、選んで頂戴!!・・・・・って、あれ?」」

2人が部屋を見回すと、気絶してるアスナしかいなかった。

*以下、通常モード(?)に戻ります。

「マナ、一時休戦よ。」

「そうね、ここはシンジを探さないと・・・って、レイちゃんもいないわよ。」

アスカとマナはリビング内をもう1度見回す。
確かにシンジとレイがいない。

「まさか、1人抜け駆けしたんじゃ!?」

「それはズルイわ!!」

「いい?見つけたら相手を呼ぶのよ。」

「わかったわ、貴方もね。」

2人がリビングを出ようとすると、ダイニングの方から声が聞こえてきた。



「・・・僕がお見舞いに行ってる間にそんな事があったんだね。」

「ええ、賑やかだったわ。」

そこでは、シンジとレイが仲睦まじくお茶を飲んでいた。

「レイ、お変わりは?」

「ありがとう、お兄ちゃん。」

シンジは急須でレイの茶碗にお茶を注ぐ。

「レイは日本茶が好きなの?」

「ううん、お兄ちゃんがいれてくれたのが・・・好き。」

「ありがとう、レイ。」

微笑みながらお礼を言うシンジに、レイは顔を真っ赤にして俯いてしまった。

一方、アスカ達は隠れながらダイニングの様子をうかがっていた。

(何か、いい雰囲気よね・・・あの2人。)

(って言うか、何で私達は小声なの?)

(そりゃ、見つかっちゃヤバイからよ。)

(何で?ここで隠れてる方がおかしいんじゃないの?)

マナの言う通りである、シンジはアスカの彼氏なのだ。
堂々と中に入って『何してんのよ、アンタはー!!』とシンジにビンタの1つでもかませばいいのに、それをしないで隠れている。
まったくもって、訳が分からない。

(そう言えば、そうね。)

(でしょ、行きましょうよ。)

2人は立ち上がり、アスカは中に入りながら叫んだ。

「何してんのよ、アンタ達!!」

「あ、アスカ、話し合いは終わったんだね。」

「えっ?うん、まあ・・・。」

このシンジの反応で、アスカはすっかり怒気を抜かれてしまった。

「マナもこっちに来て。2人共、お茶にしようよ。」

「は〜い♪」

「しょうがないわね〜、飲んであげるわよ。」

2人が入ってきた事により、レイが思いっきり嫌な顔をしたのだが、誰も気がつかなかった。

(せっかく、お兄ちゃんと2人きりだったのに・・・。)





『夕食後』

シンジは事の顛末を聞いて、出した結論はこうだった。

「じゃあさ、アスカとレイが一緒に寝て、マナとアスナが一緒に寝て、僕は1人で寝ればいいんじゃない?」

「「ええ〜。」」

「・・・・・。」

「賛成です!!」

あからさまに反対の声を上げる者2人、嫌そうな表情を浮かべ無言の抗議をする者1人、思いっきり賛成な者1人。

「シンジの意見は反対3、賛成1で否決よ、ひ・け・つ。」

「・・・最初に決めた通りでいいと思うわ。」

「そうですね、そうしましょう!」

最初に決めたのはアスカ・レイ・シンジとマナ・アスナである。
アスナにしてみれば、どちらの案でもマナと一緒だから反対する理由は無いのだが。

「じゃあ、決を採るわよ!これでいいと思う人〜?」

「「はい!」」

「・・・・・。」

「反対、反対!!」

声に出してまで賛成な者2人、微笑んで賛成の意味を醸し出す者1人、必死の表情で反対する者1人。

「日本は民主主義の国だから、賛成多数でこの案は可決ね♪」

「こうなるのは目に見えてたけど・・・やっぱり、嫌〜!!」

マナはそのまま自室へと逃げこんでいった。

「お、お姉様〜!!」

アスナもその後を追っかけていった。

「ま、いいんじゃない?」

「そうね。」

アスカとレイは食後のお茶を啜る。

(カヲル君、大丈夫かな・・・・・。)

シンジはシンジで片付けをしながら、まったく関係無いことを考えていた。


その夜。
あまり広くないベッドでシンジを中心に川の字を作って寝たそうな・・・。

(シンジ、暖か〜い・・・。)

(お兄ちゃんの匂いがする・・・。)

(せ、狭い〜・・・。)

その頃、マナの部屋ではアスナがマナの隣で寝息を立てていた。

(鍵をかけたはずなのに・・・何故?)

(お姉様・・・大好きです〜。)







<後書き>
ども、ウエッキーです。
前半のシリアス(?)なカヲル編はどこへやら・・・。
後半は結局ラブコメ(?)になってるし。(−−;
いまいち、LASだと筆が思うように進まないですね〜、何でだろ?

この話の途中は、『コメント係の会話』っぽくなってしまいました。
あそこは一番書きやすかったです、手抜きだと思われるでしょうけど・・・手抜きじゃないですよ。(^^;



<次回予告>
ついに来た、16番目の使徒。
前回はレイが侵食されてしまったために、取った手段は自爆だった。
今回はそうならない様に戦う子供達だが・・・どうなる!?

次回、The Restart Of Evangelion

       第23話「第16使徒・アルサミエル」

を、お送りしまーす。


マナ:なんでっ? 綾波さんは一緒に寝れるのに、わたしは駄目なのぉ?

アスカ:アスナが可愛そうでしょ?

マナ:その前にわたしが可愛そうよっ。

アスカ:あらぁ、恋人同士一緒に寝るって、素敵よぉ?

マナ:恋人じゃなーいっ!

アスカ:似たようなもんでしょ。

マナ:姉妹なんだから、アスカがアスナと寝たらいいじゃないの。

アスカ:イヤよっ。襲われたらどーすんのよっ。

マナ:姉ちゃんを襲う妹なんていないわよっ。

アスカ:いーえ。アスナならするわ・・・。(ーー;

マナ:そんな危ない娘とわたしを一緒に寝かしてたのかーーーっ!(ーー#
作者"ウエッキー"様へのメール/小説の感想はこちら。
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感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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