The Restart Of Evangelion


                        第24話 「2人目のシ者 後編」







翌日の早朝。
ユイの研究室にはカヲルを含めて、3人が並んでいた。

「・・・出来あがったわ。」

「ありがとうございます、では・・・。」

「ええ。こちらに来て頂戴、始めるわ。」

キョウコはカヲルを連れ添うと、ベッドの上に寝かせた。
その隣には出来あがったカヲルの『体』が寝かされている。

「私達は発令所に行くわ、ここはロックしていくから。」

「安心して、絶対に上手くいくわ。」

ユイは装置のスイッチをONにすると、キョウコと共に研究室から出ていった。

「夢でも見れたらいいんだけどね・・・。」

カヲルはゆっくりと目を閉じると、そのまま眠りについた。





一方、発令所では大騒ぎであった。

「彼は病院にいたんじゃないの!?」

リツコがヒステリックに叫んでいた。
モニターされているのはケージで、四号機に乗りこむカヲルが映っているのだ。

『初号機は彼の愛機だったね、前回では弐号機だったけど専用機があるならいいか。』

「渚君、何をする気!!」

『決着を着けるんですよ、彼とね。』

「何を言って・・・!!」

四号機を起動させると辺りを破壊して、地下へと降りていく。

「子供達を呼び出して頂戴、急いで!!」

「は、はい!!」

リツコに言われて、マヤは碇邸へと連絡を入れるのだった。





一方、ここはゼーレと呼ばれる組織の会議場。
物々しいモノリスが立ち並ぶそこに、碇ゲンドウと冬月コウゾウはそこにいた。

「・・・様々な検討をした結果、ネルフは要らないと言うことになったよ。碇。」

「!!・・・いきなり何を言うんです。」

01と書かれたモノリスから声が発せられた。
ゲンドウの顔がこわばる、冬月も同様だ。
いきなりの召集だと思ったらこの発言、驚くのは当然である。

「碇ユイ、惣流・キョウコ・ツェッペリン、ネルフにいるそうではないか?」

「!!」

「報告が無かったな、我々に対する態度としてはいけないものではないのか、碇。」

「・・・・・・・。」
(確かに、だがユイが『言わないで』と言ったからには・・・。)

ゼーレよりもユイを大事にするのは、ゲンドウにとって当たり前のことである。
何も言わないゲンドウに別のモノリスが声をかける。

「冬月教授、貴方から説明をお願いしましょうか?」

「・・・何も言うことはありませんよ。」

「何を!!」

「我々にそのような態度を取るというのか、有色人種の分際で!!」

様々な声がモノリスから発せられるが、ゲンドウと冬月は何も言わずにいた。

「・・・わかった。」

01の発言で辺りは静かになると、そのまま言葉を続ける。

「君達も我々の計画を邪魔する者として排除することにしよう。
 その第1手が今ごろネルフを襲っているからな・・・・・。」

「な、何と!!」

「!!」

「驚異的な活躍をしているご子息に会えるといいな。」

(そうだ、シンジにレイ、そしてユイならば乗り越えてくれる、キョウコ君や子供達もいるのだからな・・・。)

ゲンドウは妻と息子と娘を思い浮かべながら、静かに目を閉じた。
冬月も同様に、ユイの事を思い浮かべながら・・・。

「ここでは死ぬ事は無い。」

「自分の組織が滅び行く様を。」

「愛する妻と息子が死に行く様を。」

「かつて愛した女が死に行く様を。」

「全てを失って死んで行くがいい・・・・・。」

モノリス達の言葉が聞こえなくなると、そこはいつもの司令室。
ゲンドウ達は目を開けると、発令所へと向かった。

「・・・行くぞ、碇。」

「・・・ああ。」



ゲンドウ達が発令所へ到着すると、子供達がリツコから話を聞いていた。

「渚カヲルが、四号機を奪って地下へと潜っているわ。」

「「「「「!!」」」」」」

「彼は先日まで病院にいたわ。
 ところが、今日はケージに現れたと思ったら、これ。」

リツコがモニターを指さす。
そこには辺り一面を破壊されたケージが映っていた。

「そんな・・・。」

「事実よ、シンジ君。
 それと零号機・弐号機・参号機は出撃が不可能よ。マヤ!」

「はい!」

「これってどうなってるんですか?」

マヤが別のモニターに3機の現状を映し出す。
マナは見てもわからないのか、リツコに状態を聞いた。

「3機とも操縦系に何かされた跡があるわ。
 出撃できるのは初号機、シンジ君だけよ。」

(カヲル君は繰り返そうとしてるの?あの時のように・・・・・。)

子供達の表情が重くなっているのを、ゲンドウ達も見ていた。


「碇、渚カヲルは使徒なのか?」

「・・・わからん。だが、可能性はある。」

2人はモニターに映し出された、ターミナルドグマへと降りていく四号機を見ていた。

「委員会が言っていたのはこの事であろうな。」

「・・・ああ、赤木博士!」

「!! 何時の間にいらしたんですか、碇指令?」

リツコはゲンドウの方へと振り返った。

「・・・ユイと惣流博士はどこにいる?」

「それが、どこにいるかわからないんです。」

『『ここよ!!』』

噂をすればなんとやら、ユイとキョウコが発令所へと姿を表した。

「一体何事なんですか?」

「キョウコさん、実は・・・。」

「!! それは本当なの?」

リツコから話を聞くキョウコ、ユイはモニターを見て絶句していた。

(そんな、彼はあそこにいたはずよ・・・。)
「マヤちゃん、これって何時の話?」

「え?は、はい!・・・20分ほど前ですが。」

(あそこへ彼が来たくらいの時間。でも、じゃあ彼は一体誰なの?)


「・・・シンジ。」

発令所が騒然となる中、ゲンドウの声が響いた。
途端に静かになり、シンジはゲンドウの方へと視線を向ける。

「・・・父さん。」

「お前が出撃して、彼を止めろ。」

「わかった・・・。」
(何にせよ、僕は負けるわけにはいかないんだ!)

シンジは返事をしてからケージへと向う、迷いの無い顔で・・・。





「EVA初号機起動・・・シンクロ率100%、ハーモニクス・・・問題ありません!」

「・・・頼んだぞ、シンジ。」

マヤの報告後、ゲンドウがシンジに言葉をかけた。
もう後が無いのだ、こうなったら息子を頼るしかない。

「行きます!」

シンジが地下へと降りていくのを、アスカは心配そうに見ていた。

(相手は渚なんでしょ?戦えるの、シンジ・・・。)



そんな中、発令所の端の方でユイとキョウコが小声で話しこんでいた。

(あれはこの時代の渚君でしょ?)

(ええ、還ってきた渚君は研究室にいるもの。)

(どうするのよ?)

(適当に言っとけばいいでしょ?ここは私に任せて。)

ユイはキョウコから離れると手を叩いた。

『パンパン!』

「皆、聞いてちょうだい!マヤちゃん達はそのままでいいわよ。」

そして、オペレーター3人を除く全員がユイに注目していた。

「今、ターミナルドグマに向かってるのは皆の知ってる渚君ではないわ。」

「それはどういう事ですか?」

発令所が騒然とする中、リツコがユイに聞き返した。

「彼は幼少のころ、誘拐されたことがあるの。
 そこで何かあったのね、たぶん誘拐したのは『委員会』の手の者よ。」

『委員会』
人類補完委員会を指す言葉である。
名前だけはここにいる全員が知っているが、構成員等になると一部の人間しか知らない。

「・・・ユイの言う通りだ。」

「碇指令?!」

「冬月、説明を頼む。」

(面倒くさいことは全て私任せか、碇。)

少しだけうんざりした表情を浮かべると、冬月は説明を始めた。

「先ほど、委員会からの召集があった。
 そこで我々は切り捨てられたのだ、そしてネルフを潰す為に仕向けられたのが彼だよ。」

『・・・それじゃ、あれは『カヲル君』じゃないんだね、母さん。』

「ええ、だから存分におやりなさい。」

発令所の雰囲気がちょっとだけ和らぐ中、シンジだけは表情を崩さずに目的地へと向かう。
「違う」と言われても表情を崩さないのがもう1人、アスカである。

(シンジ、がんばって!あれは『渚』じゃないんだからね。)



「初号機、最下層に到着・・・ヘブンズドアが開いてます!!」

信じられないと言った表情の日向に、ゲンドウは表情1つ崩さない。

「・・・構わん。シンジ、相手は17番目の使徒として処理しろ。」

『わかったよ。』

シンジは手に『マゴロク』を握り、ドアの中へと歩みを進める。
やがて、十字架に磔られた『アダム』の前に四号機が立っていた。

『ようやくのお出ましだね、待ちくたびれたよ。』

「カヲル君の真似をするな!!」





『ザザザ!ザザザザザ〜!!』

「初号機から映像拾えないの?」

ミサトが焦りを隠せない様子で青葉に詰め寄っていた。

「結界の様になっていて・・・無理です。」

「そんな!!」

「落ち着いて、ミッちゃん。
 マヤちゃん、このコマンド試してみてくれる?」

キョウコが何かをメモした紙を渡した後、マヤがそれを入力した。

『決着をつけようじゃないか、碇シンジ君。』

すると『カヲル』の映像と声がモニターに入ってきた。

「成功ね。ミッちゃん、これでいい?」

「はい、あり・・・え?」

お礼を言って1番近くでモニターを見ようとするミサトの前に、アスカが割り込んできた。

「ゴメン、これだけはどうしても見届けないといけないの!」

「・・・そうね、アスカが1番前ね。」

「ありがとう、ミサト。」

ミサトが黙って頷くと、全員がモニターに注目した。





「お前は一体何者なんだ!」

『見てわからないのかい?渚カヲルだよ。』

「嘘をつくな!!」

シンジは構えを解かない、ゆっくりと間合いを詰めていく。

『恐いね。それに君は正体はわかってるだろ?』

「くっ・・・。」
(これを言ったら、皆にばれてしまう・・・。)

『僕からは言わないさ、君の口から聞きたいからね。』

シンジの動きが止まってしまった。
見ていたアスカは耐えきれずに正体を言った。

「アイツは、アダムよ・・・。」

『!!』

シンジを始めとして、ユイ・キョウコ・リツコ・レイ・ゲンドウ・冬月・ミサトが驚きの表情でアスカを見ていた。

『おやおや、彼女がばらしてしまったよ?』

アダムが軽口を叩く中、発令所の中は大騒ぎになっていた。

「どうしてそんな事がわかるのかね?!」

「アスカは何を知ってるの?!」

問い詰めるリツコと冬月を、キョウコとユイが何とも言えない表情で見ていた。

「言ってしまったわね。」

「ええ・・・この戦いが終わった後が大変ね。」

追及の勢いが厳しくなってきた所為か、アスカがキレた。

「うっさいわね!この戦いが終わったらシンジが説明してくれるわよ!!・・・いいわよね?シンジ。」

『・・・わかったよ、アスカ。』

「ゴメンね、それと負けないで・・・。」

『ありがとう、絶対に勝つから。』

「「・・・・・・・。」」

モニターを見ながらそう言うアスカに、冬月もリツコも黙るしかなかった。




シンジは発令所からの通信を切った。

『どうやら終わった様だね、続けるとしよう。』

「これで吹っ切れたよ、覚悟しろ!」

『それでも勝つのは僕だよ。』

シンジが構えてから一気にダッシュ、アダムとの間合いを詰める。
そのまま抜刀して攻撃をしかけた。

「はあああああ!!!!!」

『シュッ・・・・・!』

『!! 速い!!』

『キィィィン!』

アダムは咄嗟にATフィールドを展開する事によってダメージは無い。
シンジはそのまま返し刃で攻撃を続ける。

「まだだ!」

『ブオン!!』

『何だって?!』

『チッ!』

解いてしまってから急には展開できないのと、2段攻撃が予想できなかったのであろう。
しかし、咄嗟に後ろへと飛んだため少しかすっただけだった。

「避けられるなんて・・・。」

『『居合』ってやつだね、驚いたよ。』

そう言いながら、アダムの右手に紅い何かが出来ていく。

『『刀』とはこんな形だったかな?』

それはATフィールドで形成した『刀』であった。
アダムは出来栄えのほどを確かめていた。

(紅い?もし、ATフィールドなら、防御は出来ないはず・・・。)

今一度構えると、シンジは先程よりも速い速度で抜刀して攻撃。

「食らえ!!」

『シュッ・・・・・!』

刃が襲い掛かろうとする中、アダムはおもむろに左手を広げた。

『キィィィン!』

『残念、防御できてしまうんだよ。』

「くそう!!」

シンジは返し刃での攻撃をしないで、鞘へと収刀して間合いを取る。

『動きは・・・こう、かな?』

見よう見真似で構えると、一気に間合いを詰めて抜刀してきた。

『シュッ・・・・・!』

「な!そんな!!」

『シュッ・・・・・!』

シンジは動揺しながらも、抜刀して防御する。

『『キィィィン!』』

見事成功し2つの刃がぶつかり合うと、甲高い音が鳴り響いた。

『感じはつかめたかな?』

「このままじゃ・・・。」

いい策が浮かぶはずも無く、考えながらのシンジの攻撃には鋭さが消えていた。



「このままじゃ、シンジが!おばさま、ママ、なんとかならないの!!」

発令所でこの戦いを見ているアスカは、泣きそうな声で母達に助けを求めた。

「EVAによる助太刀は無理、残念だけど・・・策が無いわ。」

「ユイの言う通り、新しい武器も無いわ。シンジ君を信じて見守るしか無いのよ、アスカちゃん。」

「そ、そんな・・・。」
(アタシはこうして見てるしかないの?)

アスカが出撃できたと言えど、この戦いのレベルについていけないであろう。
それでも、何も出来ない自分が悔しかった。



一方、今だシンジとアダムはターミナルドグマ内で戦闘を繰り広げている。
アダムは四号機でシンジの乗る初号機相手に、圧倒的優位に戦闘を進めていた・・・。

『こんなものかい?』

「ま、負けられない、負けられないんだ!!」

あれから何度かの抜刀を繰り返すものの、お互いにダメージは無い。
しかし、シンジの体力の方は限界が近くなっていた。

『随分と、息が上がってる様だけど・・・大丈夫かい?』

「うるさい!!」

そう言って構えると同時に攻撃をしかける。

「うおおおおお!!!!!」

『やれやれ、馬鹿の一つ覚えってやつだね。』

そう言いながらも刀を構えないアダム、避けるつもりだ。

『シュッ・・・・・!』

『見えてるんだよ。』

一撃目は難なく避けられるが、返し刃を振るう。

『ブオン!』

『無駄だってば。』

上段から振るわれたニ撃目も避けられてしまった。

『反撃と・・・何!?』

『ブワッ!!』

『しまった!避けきれない!!』

『ズバッ!!!』

避けきったと思った所へ、横に薙ぐ三撃目が襲い掛かったのだ。
これにはアダムも予想外であったのか、胸部にダメージを食らった。

「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ・・・・・。」

刀を手に持ったまま初号機の動きが止まる、シンジの体力が限界へと達してしまったのだ。

『流石に驚いたよ、あそこから三撃目が来るなんてね。』

「はあ、はあ、はあ・・・・・。」

『君の体力の回復のためにも、少し話をしようか。』

「な、何だって!?ここで僕を殺せばお前の勝ちじゃないか?」

『まだまだ君とは戦いたいからね、だからだよ。』
(僕もヤバイからね、コアにダメージが入ってしまったし・・・少しでも回復しなければ。)

アダムを乗せた四号機もそこから動かなくなると、勝手に話し始めた。

『何を話そうかな・・・そうだ、同胞の話でもしようか。』

「・・・・・。」

『聞いててくれればいいさ、答えなくてもいいよ。
 それにしても、皆はこれが『アダム』だと思ってたんだよねぇ、馬鹿な話だよ。
 ねぇ、碇ゲンドウさん。』

「・・・・・。」

突如話を振られ、注目されるが口を開かないゲンドウ。

『あれは『リリス』だもんねぇ、綾波レイを使っての人類補完計画・・・いや。
 奥様こと、碇ユイさんに会いたいが為に、こんな施設で、こんな事してるんだから、愚かとしか言い様が無いよ。』

「・・・・・。」

『まあ、シンジ君達のおかげで会えたんだから、彼に感謝しとかないといけないね。
 愚かと言えば、副指令の冬月さんもそうかな?セカンドインパクトの正体を知ってて計画に荷担したんだから。』

「!!」

「セカンドインパクトの正体って・・・どう言う事?」

ミサトがモニターに映るアダムに向かって聞いた。
『うんうん』と首を頷きながら、話を続ける。

『葛城ミサトさんでしたね?
 お父上は殺されたんですよ、碇ゲンドウによってね。
 正確には『碇ゲンドウと所属する組織』によって、かな?』

「何ですって!?」

ミサトがゲンドウ達を見据える。
冬月はあからさまに目を逸らし、ゲンドウはいつもの様に手を組んでモニターを見ていた。

『人間ごときが僕に接触するからです。
 まず、碇ゲンドウは僕が目覚める日を知っていた。
 そして、貴方のお父上の研究成果を盗んで帰国したんです。
 翌日にはセカンドインパクトが発生・・・貴方のお父上が亡くなった日ですね。』

「・・・・・。」

ミサトは怒りで拳を握っていた。
ゲンドウが何かしらの理由で全員を帰国させれば、父親は生きていられたと思うと腹が立つ。

『その事を聞いたのに、冬月さんは彼の計画に荷担したんです。
 事実を公表できる立場にいたのに、です。』

「・・・・・。」

「・・・もういい、もう何も言うな!!」

発令所が嫌な空気で包まれる中、初号機から声が発せられた。

『体力が回復した様だね?』

「うるさい!お前は絶対に許さない!!」
(この後で説明しようと思っていたのに、あんな言い方するなんて!)

シンジは刀を放ると、そのまま殴りかかった。

「だあああああ!!!!!」

『格闘戦、しかも武器は無し・・・いいね!』

アダムも殴り合いに応じる為に突っ込んだ。

『最後にこれだけは言っておくよ。
 僕は補完計画に興味はないよ、人類を滅ぼした上で新たな世界を構築するのさ。』

「させるものか、絶対にさせない!!」

『ブンッ!』

『バキイィ!!』

シンジが右手でパンチを放つと、見事にクリーンヒットした。

『くっ!さすがだね、君こそ倒すのに相応しい相手だよ!!』

『シュッ!』

『ズドム!!』

「がはぁ!!」

アダムの放った拳はシンジのみぞおちにヒットした。
口から空気が吐き出され、後ろへ数歩下がる。

『まだまだ、こんなもので終わってほしくないよ。』

『シュッ!シュッ!シュッ!』

「あ、当たるもんか!!」

下がった顔に向かって踏み込んでの三連撃。
しかし、これを何とかシンジは避ける。
そのまま、懐に潜り込むとボディにパンチを連続で当てる。

『ドスドスドスドスドス!!!!!』

『ぐううう・・・。』

「うわあああ!!!」

剥き出しになった四号機の顎に向かって、突き上げるようなアッパーを繰り出す。

『ブオン!!』

『バキィィィ!!!』

『があぁ!』

見事にヒットして、今度はアダムが後ろへ下がる。
シンジは踏み込んで足元にローキックを繰り出した。

『シッ!』

『バキン!』

これまたヒットすると、そのまま仰向けに四号機が倒れた。
馬乗りになろうとシンジが飛びかかると、体を横に転がして避ける。

「避けられた!?」

転がっていった方に目をやると、すでに起きあがり構えている四号機が目に入った。

『・・・素手の格闘戦をここまでやるとは思わなかったよ。』

「負けられないんだ、それに訓練もしてる!」

『だったら、まだまだ楽しめそうだね!』
(正直、さっきの胸のダメージが辛いんだけどね・・・。)

アダムが物凄いスピードで接近して、その勢いを加えた拳を初号機に繰り出した。

『うおおおおお!!!!!』

『ブオオオン!!!』

シンジはその拳をカウンターしようと、パンチを繰り出す。

「いけえええええ!!!!!」

『ブオオオン!!!』

『『バッキィィィィィン!!!!!!』』

見事なクロスカウンターが決まった。
四号機の拳は初号機の頬の部分を破壊したが、初号機のパンチは四号機の顔を破壊していた。
そのまま倒れた四号機に近づくと、エントリープラグを排出する。

『・・・僕の負けのようだね。』

「ああ、僕の勝ちだ。」

『前回同様握りつぶせば、君の勝ちだよ。』

『バキンッ!!』

「さようなら、アダム。」

手に持ったエントリープラグを握りつぶし、発令所との通信をONにする。

「・・・今から、そちらに戻ります。」

「お疲れ様、シンジ・・・。」

シンジは勝ったとは言え、この後の事を考えると気が重かった。
発令所でも嫌な空気はそのままで、シンジの声にアスカを除いて答える者はいなかった。







<後書き>
ども、ウエッキーです。

最初に前編の感想をいただいた時に、いろんな質問が来たのでここでお答えしますね。

まず、ここにいるアダムは「この時代のカヲル(タブリス)」と融合した者です。
「還ってきたカヲル」は前編最後では倒れてる方であり、後編ではユイの研究室にいるほうです。
すでにアダムでは無くなってます。

次に、「アダムがいなくなっても生きてたら、カヲルはその時点で人間ではないか?」との事ですが。
これは私の考えた設定で説明します。
今までのカヲルは、コアから無限のエネルギーが発生してました。
S2機関によるものだったんですが、アダムが抜け落ちると同時に
その供給はストップします。
ですが、最後に供給されたエネルギーがある間は動けるんです。
そして、エネルギーが切れると同時に彼は死んでしまいます。
つまり、アダムがいなくなってもエネルギーの供給がストップするだけで、人間にはなれないんです。

と、こんな感じです。

これにて使徒戦が終わりました。
次回はシンジの告白が始まります、アスカが耐え切れずに話してしまいましたからね。
EOEのストーリーも追って行こうかな、と思ってます。
ゼーレはここで初登場で、いきなり敵対関係になってしまったんで。(^^;
でわ、失礼します。


P.S.コメント係のアスカさんへ
    マナちゃんとの「スマキ」最高でした、またお願いしてもいいですか?<こらこら



<次回予告>
戦闘が終わり、シンジは発令所にて全ての告白をする。
それに伴って、色々な事実が明らかにされる中、ネルフの職員達はどうするのであろうか?
そして、カヲルは無事に『人』へとなれるのであろうか?

次回、The Restart Of Evangelion

         第25話 「告白」

を、お送りしまーす!


マナ:スマキは、もういやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!(TOT)

アスカ:やかましいわよっ! いきなり。(ーー)

マナ:だってぇ。(;。;)

アスカ:コメントよ。コメントっ! アダムが倒れたわよっ!

マナ:今回はシンジが頑張ったわねぇ。

アスカ:かなりやっかいな相手だったけどね。

マナ:これで、渚くんが人間になったら言うことないね。

アスカ:ふぅ・・・。(ー。ー)

マナ:どうしたの?

アスカ:せっかく、前回・・・。ラブラブシーンが無いとは何ごとかーっ!!(▼▼#

マナ:ちょ、ちょっと・・・。そんなこと言ったって、話の都合ってもんが。(@@)

アスカ:マナとの外伝では、ラブラブシーンばっかだったくせにーーーっ!(▼▼#
作者"ウエッキー"様へのメール/小説の感想はこちら。
frontier@tokai.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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