「まったく・・・冗談じゃないわよっ!」

「ああ、ドイツ支部がすでにゼーレに下っていたとはな・・・。」

ここはドイツのとある路地裏。
ここで加持はタバコを吹かし、ミサトは地団太を踏んでいた。

「元々、ドイツはヤツらの本拠地がある国だから、こう言う可能性は考えられたけど・・・・・。」

「こうなった以上、俺達だけでやるしかない、な。」

「まあ、仕方ないわね。」

加持はくわえていた煙草を捨てて火を踏み消した。

「ぼちぼち、行きますか?」

「・・・足だけは引っ張らないでよね。」

「そりゃ、俺のセリフだよ、ミサト。」

「そう・・・ね。」

途端にミサトの表情が曇る。
何と言っても、少し前まで加持は『そういう』世界にいたのだ。
ミサトといえば、勘を忘れない程度に訓練していただけ・・・大きな差があるといってもいいだろう。

「な〜に、辛気臭い顔してんだ。お前にゃそう言う表情、似合わんぞ。」

「うっさいわね!・・・行くわよ。」

こうして、2人は教えられた場所へと向う・・・・・目的地はゼーレの本拠地。



ちょうど向い始めたこの時、日本の本部では侵入部隊を撃破し、エヴァが出撃した所であった。







                 The Restart Of Evangelion

                      第29話 「最終決戦 〜中編〜」







日本・第3新東京市

上空にいるエヴァシリーズを見据える3機のエヴァと、周りの戦車隊に構える2機のエヴァ。
各自が戦闘配置に着く。

『ズドォン!ドッコォォン!!チュドドォォォン!!!』

突如火を吹く戦車。
出てきた時に合わせたのだろう、狙いはエヴァだった。

「・・・フィールド、展開。」

「ATフィールド!」

レイとマナがフィールドを展開し、ダメージは0。
1発の流れ弾を出す事無い様、全ての弾丸を防御する。

『レイちゃん、マナちゃん、そのまま打ち尽くさせて!
 戦車なんて、弾が無ければ何の驚異でもないわ!!』

「「了解!」」

キョウコの指示に返事する2人、やはりキョウコは人を殺させたく無いようだ。
続けざまにユイが指示を飛ばす。

『シンジ、渚君、アスカちゃんとアスナちゃんは個々にエヴァシリーズを撃破して頂戴!』

「「「「了解(です)!」」」」

答えると同時に散開する。
余裕のつもりなのだろうか、様子見なのだろうか、未だに空中をぐるぐる回っているエヴァシリーズ。

「さてシンジ君、どうしようか?」

「1人3体ずつで、ピンチになったら助けを呼ぶ事、いい?」

「問題無いよ。」

「がんばります!」

「アタシ1人でも充分なのに・・・。」

シンジの提案に、アスカ1人だけが不満そうだった。
前回は自分1人で撃破できたのだ、『1回目』は、だが。

「ダメだよ、あいつらは復活するんだから。」

「アタシだって、あの時とは違うわよ!」

「僕はもう2度とあんな目にあって欲しくないんだ・・・わかってよ、アスカ。」

後半部分の声は何とか聞き取れるくらいに小さかった。
だが、アスカにはシンジが自分の事を本気で心配してくれてる事がはっきりとわかった。

「ゴメンね・・・。ありがとう、シンジ。」

「アスカ・・・。」

なんともいい雰囲気が流れる中、カヲルの声が2人のエヴァに入る。

「無粋ですまないけど、来るみたいだよ。」

その声で構える3機のエヴァ、そして降下し着地するエヴァシリーズ。

    『3対9』

数では不利だが、互いに向き合う巨人達。

「行くよ、皆!!」

「「「了解!」」」

シンジの声に答え、相手との間合いを詰める3体のエヴァ。
相手も、手に持った大きな剣を構える。



「頑張って・・・お兄ちゃん、カヲル。」

「負けないでよね、アスナ、アスカ!」

フィールドを展開しながら、戦車隊の攻撃を防御したままエールを送るレイとマナだった。







ドイツ・ゼーレ本拠地内

日本で本格的な戦闘が始まった頃、加持とミサトは難なく本拠地に侵入していた。

「・・・こんなに簡単でいいの?」

「おかしいな・・・警備の兵もいなければ、どこにも連中がいないとはな。」

本拠地、それはドイツ郊外に立てられた中世の城だった。
2人は全ての部屋を回ったものの、中には人っ子1人いないのだ。

そして今、彼らは大広間で休んでいた。

「探せる所は全て探したわよね?言われてた地下には何も無かったし・・・。」

ミサトは手に持った地図を広げて頭を抱えていた。
元々この城は観光名所で、街で城内部の地図が売っていたのだ。

「まあ、隠し部屋くらいあるだろ?または作った、とかな。」

「じゃあ何?怪しいと思った所を弄くり回して、地下の隠し部屋を探せっての!?」

あくまで冷静な加持の態度に、ミサトが大声を張り上げる。

「仕方ないだろう。
 こうしてる間にも子供達は戦ってるんだ、俺達が先にへばってどうする?」

「ゴメン・・・。
 そうね、あの子達も頑張ってるんだし、ここでいい所を見せとかないとね♪」

落ち着いたのだろう、笑顔を見せて加持に答える。
それを見て、加持も満足そうに頷いた。

「よし、早速ここから調べるぞ!」

「わかったわ!」

こうして、2人はゼーレの幹部達がいると言われる地下室への入口を探し始めるのだった。



ゼーレ本拠地・会議場

「鼠が入り込んだ様だな。」

「加持リョウジと葛城ミサトですな。」

「我々を探しているみたいだな。」

「簡単な仕掛けだ、もうすぐここに現れるだろう。」

「今ごろ我々を殺した所で計画は終わらん、無駄な行為だな・・・。」

「万が一、エヴァシリーズがやられる事を考えると、ここで死ぬわけにはいかんだろう。」

「その通り、彼らにここへ到着されては困る。」

「しかし、警備の兵はここにはいない。」

「まあ、ここに来るまでに計画は発動する・・・。」

「我らとて、簡単に殺されるほどお人好しではないからな。」

「彼らには一足早く死を・・・。」

「・・・・・・・・・・・。」

11人が好き放題話しているのを、キールは黙って聞いていた。
バイザーで表情はわからないが、この事に何の興味も無いようだった。





日本・第3新東京市 ネルフ本部・発令所

「戦自の戦車部隊、沈黙!弾を撃ち尽くしたようです。」

「そのまま、撤退していきます!」

日向を青葉の声が状況を知らせる。
モニターには、我先にと撤退していく戦自の戦車部隊が映っていた。

『私とマナさんはこのまま本部の防衛に入ります。』

『頑張ります!』

「了解。2人共、無理はダメよ。」

レイとマナの通信にマヤは笑顔で返した。
返された2人も笑顔で通信を切ると、再びフィールドを展開した。


オペレーター達の後ろに立っているリツコが口を開いた、その表情は明るい。

「後はエヴァシリーズの殲滅だけ、ですね。」

「ええ。でも、アレはそう簡単に終わる代物ではないのよ。」

ユイの表情は真剣なままだった、まだ終わっていないのだ。

「そうよ、リッちゃん。
 ミッちゃん達の連絡もまだなんだから、アレの殲滅だけじゃないわ。」

続いてキョウコも口を開く、表情はユイと同じだ。

「す、すいません。そのミサト達はどうなってるんでしょうか?」

「たぶん、2人でやってるでしょうね。」

「そうね・・・、ドイツ支部はゼーレの物だと言っていいから。」

ユイとキョウコの発言に、リツコの表情が沈む。

(ミサト、無事に帰って来て・・・。)

親友の安否を気遣いながら、モニターへと視線を移すのであった。



一方、外で戦ってる4人は思わぬ苦戦を強いられていた。
前回と時と違い、エヴァシリーズが強くなっていたのだ・・・ロンギヌスの槍の複製を使っていないのに、である。

「何よコレ〜!こんなのインチキ!!」

前回は楽勝だったアスカが1番堪えていた。
『槍』は使われてないのに、未だに1体も倒せていない。
しかも、1人3体ずつのノルマをこなせるかどうかも不安になっていた。

「お姉ちゃん、落ち着いて!」

「わかってるわよ!けど、攻撃が効いてないのは仕方ないでしょ!!」

と、アスナに当り散らすが意味は無い。
しかし驚くのは、1体も倒せてないのに、3体も相手にしているアスカ達が無傷である事だ。

そもそも、エヴァシリーズの攻撃自体は大した事は無い。
『槍』を使ってこない以上、『剣』の攻撃はATフィールドで防げるからである。

だったら、何故苦戦するのか?
それは、エヴァシリーズが前回以上にタフ・防御力が高いという事だろう。
もちろん、ATフィールドの硬度ではなく、肉体の方だ。

以上の事から、アスカ達を含めた4人は苦戦を強いられているのだ。



「はあああぁぁぁ!!!」

『シュッ・・・・・ズバァァァ!!』

「これで、やっと2体目・・・か。」

真っ二つに両断されたエヴァシリーズ、物凄い勢いで血飛沫が上がる。
そして、シンジは『マゴロク』を鞘へと戻す、何とか2体目のエヴァシリーズを倒した所だった。

(前回よりも強力になっている・・・・・後ろの2人にも協力してもらった方がいいのかな?)

襲いかかってきている3体目の攻撃を難なく避けながら、シンジは考えていた。
カヲルも1体倒しているので、残りは6体。
2人に協力してもらえば、5対6・・・数の不利は無くなると考えてもいい。

(でも、2人には援護攻撃しか頼めない、と言う事もある。
 レイは元々がそう言うタイプだし、マナにコイツは荷が重過ぎるんだよね・・・。)

そんな事を考えつづけながら、シンジはアスカ達の弐号機へ視線を向けた。


「いいかげんに・・・しなさいよー!!」

『ザシュッッッ!!!』

プログレッシブナイフで頭を切り裂く、あまりの固さにナイフの刃が折れる。
しかし、効果はあった、手に持った『剣』を落としたのだ。

『バッキィィィ!!!』

腹部に蹴りを入れ、吹き飛ばす。
その間に『剣』を手に取り、止めを差しにいく。

「まずは、これで1体!」

相手が起き上がるのと同時に、『剣』を思いっきり横に薙いだ。

『ブオンッ・・・・・ズバァァァ!!』

見事に腰にヒットし、上半身と下半身に別れる。
切られた断面から血飛沫を上げながら、2つの部位は地面へと落ちた。

一部始終を見ていたシンジが2人に声をかける。

「アスカ、アスナ、大丈夫?」

「大丈夫よ、シンジ!」

「お姉ちゃんを信じてますから。」

2人の元気な声を聞くと、シンジは微笑んだ。

「残りは5体、頑張ろうね!」

「「まっかせて(下さい)!!」」

そう言うと、2人の駆る弐号機は残った2体に攻撃を仕掛ける。

「レイ、マナ、2人は僕らが危なくなったら援護射撃をしてくれる?」

「「了解!!」」

シンジは後ろの2人も声をかけた、この間も攻撃を避け続けている。

「カヲル君は大丈夫?」

「もちろんだよ、君もいるし、大事な人もいるからね・・・僕は負けないよ。」

「そっか、頑張ろうね!」

シンジの激励に笑みで返すと、そのまま戦闘を続けるカヲル。
言葉通りに表情はまだまだ余裕を感じられた。


「さて、そろそろ・・・。」

『ドカッ!』

向ってきた相手を吹き飛ばし、間合いを開いた。
そして、刀の柄に手を添える。

「終わりにして、皆を手伝わないとね。」

手を添えたまま、シンジは相手に向って間合いを縮めていく。

『シュッ・・・・・ズバッ、ズバァァァ!!』

相手を通り抜け様に2回の斬撃を加える。
通り抜けた後、シンジが『マゴロク』を鞘に戻すと同時に、相手は活動を停止した。

「よしっ、次!!」

自分の受持ちが終わったシンジは、戦っている仲間の元へと向うのであった。



ドイツ・ゼーレ本拠地内

散々探し回ったものの見つからず、彼らは大広間で休憩を取っていた。

「・・・無いわね。」

「・・・そうだな。」

のんびりしている時間は無い、しかし入口は見つからない。
これでは口数も少なくなる。

「まったく・・・・・。」

『ゴトッ。』

ミサトは立ちあがり、テーブルの上においてあった花瓶を床に置いた。

「・・・何する気だ?」

加持の声に耳を貸さず、置いた場所から数歩下がった。

「お、おい、ミサト・・・。」

「何で見つかん無いのよーーー!!!」

下がった場所から走りこみ、彼女は花瓶を思いっきり蹴った。

『ヒューーー・・・・・・・パリンッ!』

花瓶はそのまま飛んでいき、飾られている大きな絵に当って砕けた。

「はぁ、スッキリした。」

「おいおい、こんな事したって・・・・・。」

『ガゴッ!』

突如、部屋内で音がした。

「な、何だぁ!?」

「もしかして・・・ヤバイ事しちゃった、私?」

『ガゴッ、ガゴッ、ガゴッ、ガゴッ、ガゴン!!』

ミサトと加持が呆然としていると、大きな絵のしたにある暖炉が半回転した。

「・・・もしかして?」

「だろうな、きっと。」

2人は顔を見合わせて頷き合う。
そして、そのまま中へと入っていくのであった。





日本・第3新東京市

「これで・・・ラストォォォォォ!!!!!」

『ズバァァァ!!・・・・・ブシュゥゥゥ!!!』

アスカの振るった『剣』がエヴァシリーズの首を飛ばし、切り口から血が噴出した。
終わってみれば、怪我一つ無い状況で殲滅に成功していた。


「エヴァシリーズ、1度目の沈黙!」

マヤはあえて『1度目』と言ったのは、前回の事を聞いているからである。
そして、発令所にいるメンバーの顔には笑顔は無い。

「皆、復活するから気をつけて!
 それと、『槍』の攻撃は『受けて』はダメよ、『避ける』のよ、いいわね!」

「「「「「「了解(です)!!」」」」」」

ユイの注意を耳に入れ、子供達は構えたまま、『その時』を待った。

「エヴァシリーズからエネルギー反応、復活します!!」

「来るわよ、皆!!」



こうして、本当に最後の決戦が始まる・・・・・・・。







<後書き?おまけ?>

ユイさん、原稿チェック中。

ユイ「いやぁん♪シンジがとっても凛々しいわ。 お母さん、惚れちゃいそうよ。」

ゲンドウ「作者に続いて、ユイも私を捨てるのか・・・。」

突如現ると同時に、いじけ出すゲンドウ。

ユイ「あら?髭が何か言ってるけど、無視無視っと、シンジ〜♪」

『髭親父』扱いされて、ついに地面に『の』の字を書き始めてしまった。

ゲンドウ「だからシンジを呼び戻したくなかったのだ、私は・・・。(ぶつぶつ)」

ウエッキー「それじゃ、アンタ・・・話が始まらないでしょうが。」

ゲンドウ「貴様!貴様の所為でユイは、ユイは、ユイはーーー!!」

作者登場に怒り出すゲンドウ、その手で首を絞め始めた。

ウエッキー「ちょっ、首、首がし、絞まって・・・死ぬって・・・・・。」

ユイ「何してんのよ、この髭親父がー!!」

大声で叫びながら、脳天に激しい一撃を加えた。

『ゴスッ!!』

ゲンドウ「がっ、がふ!」(ゲンドウ、沈黙)

ウエッキー「た、助かりました・・・ユイさん。」

助けてくれたお礼を言いながら、ユイの顔を見た途端・・・作者の顔は引き攣った。

ユイ「お礼なんていいわよ、私とシンジをラブラブにしてくれれば。」(ニヤリ)

ウエッキー(ちゃっかり要求してるじゃないですか、お礼・・・。)

そう、お礼を要求しているその表情は、髭も真っ青な程だった。

ユイ「もちろん、書いてくれるわよねぇ?」

ウエッキー(ま、まずい!ここで『No!』と言った日には殺され・・・もとい、改造されてしまう!!)
     
     「ま、前向きに考えさせてもらいます、でわー!!」(ウエッキー、逃亡)

命、じゃ無く、人間としての生活の危機を感じ、作者は全力でその場から逃走。

ユイ「さて、これから忙しくなりそうね・・・。」(ニヤリ)

逃げる後ろ姿を見ながら、ユイはまたも『ニヤリ』と笑うと、どこかへと消えた。



何でしょう、これ?(爆)
私もよくわからないうちに書いてました、怒らないで下さい。
LYS?(ユイ×シンジ)はやるかもしれないですね・・・もしかしたら。(^^;



<次回予告>

ドイツでミサト達はゼーレの老人達と対面、そこで最後の仕事に取り掛かる。
一方の日本では、『槍』を装備したエヴァシリーズとの本当に最後の戦いが始まる。
ネルフは2つの戦いに勝利する事が出来るのか?

次回、The Restart Of Evangelion

       第29話 「最終決戦 〜後編〜」

を、お送りします。


ミサト「アンタ達は、救い様の無い大馬鹿者の集まりよ!!」<後編より


マナ:いよいよ、わたし達の戦いね。

アスカ:なんか、エースのアタシが弱くないっ?(ぶぅっ!)

マナ:アスカが弱いんじゃなくて、敵がタフなのよ。

アスカ:それでもシンジは倒してるじゃないのっ。

マナ:シンジは強いからねぇ。

アスカ:アタシがエースなんだってばっ!(ブツブツ)

マナ:そういきがらないの。わたしだって、後方支援なのよ?

アスカ:アンタみたいな、弱っちいのと一緒にしないでっ。

マナ:(ムカっ!)なによっ! その言い方っ!(ーー#

アスカ:もう、この大事な時になんて顔してんのよ。

マナ:アスカがそんなこと言うからでしょっ。

アスカ:今こそチームワークが大切なのよ。喧嘩してちゃダメでしょ。

マナ:アスカが怒らしてるんでしょーがっ!(ーー#

アスカ:さぁ、エヴァシリーズとの最終決戦よっ。、みんなで仲良く強力しなきゃダメよっ! いいことっ!?

マナ:がるるるるる。
作者"ウエッキー"様へのメール/小説の感想はこちら。
frontier@tokai.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system