ネルフ本部・発令所

「エヴァシリーズからエネルギー反応、復活します!!」

「来るわよ、皆!!」

ユイの声で、構え直すシンジ達。
この状況でパニックに陥る事が無いのは、その事を前もって聞いていたからだ。
しかし、そんな子供達の表情は、まるで気味の悪いものを見ているようであった。



そんな中、復活したエヴァシリーズは『剣』の柄をしっかりと握り締める。

『シュルシュルシュル!』

変わった音と共に、エヴァシリーズの持った『剣』が『槍』へと変化していく。

「あの槍って、『ロンギヌスの槍』じゃないですよね?」

「ええ、複製でしょうね。
 ゼーレがドイツ支部、もしくは別の所に造らせたのかしら、それとも・・・。」

発令所で『槍』を見たマヤはリツコに尋ねたが、リツコにわかるわけが無い。
知ってるであろうユイとキョウコは、モニターに視線を移したまま振りかえることは無かった・・・・・。












                 The Restart Of Evangelion

                      第29話 「最終決戦 〜後編〜」 











ドイツ・ゼーレ本拠地内・地下通路

「暗いわね〜、やな感じ。」

「しかも、いるのは爺さんだからな。」

真っ直ぐに延びている地下通路を進む2人。
軽口が出るものの、表情は硬い。


しばらく進んでいくと、左右に道が分かれていた。

「さて、どうする?」

加持がミサトに尋ねると、すでにミサトは考え始めていた。

「・・・・・左に行くわ、加持君は右を。」

「いいのか、それで?」

「ええ、女の勘ってところよ。」

ミサトはそう言うと返事を聞かずに左の道へと入っていく。

「ハズレだった方は急いで駆けつけるんだぞ!」

「OK〜♪」

加持はそんなミサトの声に「ふう。」と、息を吐いてから右の道へと歩き出した。





第3新東京市

一方、対峙するエヴァとエヴァシリーズ。
エヴァシリーズはすでに復活を終えて、手には『槍』を持っている。

(あれは投げるんだ、避けてしまえば・・・・・。)

「皆、『槍』は避ければ問題無いからね!」

シンジが目をやると、映し出されたウインドウの顔が頷くのがわかった。

(そう、誘導じゃないんだ・・・避けてしまえばどうと言うことは無いはずだ。)

自分に言い聞かせる様に、心の中で呟く。
すると、9体の巨人が手に持った『槍』を投げようと振りかぶった。

「来るよ!!」

『スラ・・・。』

そう言って、1歩前に出ているシンジはマゴロクを抜いた。

『グググ・・・・・・・ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!ブンッ!』

投げられた『槍』は一直線にシンジ達を襲う。

「弾いてしまえば!!」

『キンッ!!』

シンジがマゴロクを振るって、『槍』の軌道を逸らす!
甲高い音がして、弾かれた『槍』は地面に刺さる。

そこまではよかった・・・・・しかし、全てを防げるわけはない。

(前回、アスカのATフィールドを破るのに時間がかかったのは知っている、なら!)

『キィィィン!!!』

咄嗟にフィールドを展開するシンジ、『槍』がそれを破ろうとする。

『メキメキ・・・メキメキ・・・・・』

そんな音を立てながら、文字通りに接触面から『槍』の先端部がフィールド内に入ってくる。

「皆、その位置から離れて!!」

シンジが全員にそう言うと、その場を離れていく。

「!!!!!」

『グサグサグサグサグサグサグサグサ!!!!!!!!』

それを確認して、シンジは咄嗟に上空に飛びあがってやり過ごす。
フィールドを破った『槍』はそのまま山の斜面へと刺さった。

(『槍』の無効化に成功、後はコアさえ破壊出来れば!)

着地して構えると、3体のエヴァシリーズが攻めてくるのが目に入った。
シンジの後ろ、左側にレイ・カヲル、右側にはアスカ・アスナ・マナがいて、そこにも3体ずつ攻めようとしている。

「『槍』がダメだったから、数で攻めてきたみたいだね。」

「まあ、『槍』が無ければどうって事無いわよ、あんなの。」

「任せるよ、2人共。」

「「了解!」」

アスカとカヲルが通信を切って構える。
そんな中、シンジは肩からナイフを取り出した。

「アスカ!」

「何?シンジ。」

「これ使ってよ、無いよりはいいと思うから。」

そう言って、シンジはナイフをアスカに投げた。
手渡ししたい所だが、そんな余裕は無いのが現状だった。

「ありがとう、シンジ。」

「無理は、しないでね。」

「心配ご無用よ!マナもいるし、何とかなるわ!!」

「そうそう、アスカのおもりはお任せよ!」

「アタシがアンタを守るのよ、まったく。」

こんな状況で、こんな言い合いをする2人を苦笑しながら見つめていると、アスナの声が入る。

「言い合いしてる場合じゃありません、来ますよ!」

「頑張ってね、シンジ!」

マナが笑顔で通信を切るが、アスカは切ろうとしない。
そんな彼女に、シンジが優しく声をかける。

「どうしたの、アスカ?」

「・・・絶対に無理しないでよね、死んだら許さないからね。」

「約束するよ。」

「1人なんだから、危なくなったら逃げるなりして時間を稼ぐのよ、アタシが助けてあげるから。」

「うん、わかった。」

「全部終わったら、デートするんだからね!」

「うん、約束する。」

シンジの言葉に満足したのか、笑顔を見せてアスカは通信を切った。

「これで負けられないな・・・行くよ!!」

こうして、本当に最後の決戦が始まった。





地下道・左側の道

その頃ドイツでは、加持と別れたミサトが左に曲がり、真っ直ぐに伸びる道を歩いていた。
辺りを警戒し、手には銃を持っている、顔には余裕を感じている様には見えない。

(さっきまではアイツが一緒だったけど、ここからは1人・・・気をつけないとね。)

と言っても、先ほどから人の気配は何もしない。
これがミサトから更に余裕を奪っていた、何時襲われるかわからない恐怖があるからだ。



地下道・右側の道

一方、ミサトと別れて右側の道を行く加持。
歩いて100mもしない内に、ドアを発見した。

「こっちは、ハズレだな。」

そう言いながらも、ドアノブに手を伸ばす。

『ガチャッ・・・キィィ。』

「おいおい、鍵もかかってないなんて、確実にハズレだな。」

手に銃を持ち、ゆっくりドアを開け、中に入る。
そこにはメインと思われるコンピュータが1台、そこから9つの端末が繋がっている。
前方にある大きなモニターにはエヴァとエヴァシリーズの戦いが映し出されていた。

「この映像、この端末の数、ここは・・・・・まさかっ!!」

何かに気付いた加持は、近くの端末を覗き込んだ。

(予想通りだな。)

声を出さずに、加持は予想が的中した事に笑みを浮かべる。
そう、ここはエヴァシリーズのコントロールルームであった。

「さて、調べさせてもらうとしますか・・・・・・・。」

『カタカタカタ・・・』

そのまま、加持は覗き込んだ端末のキーボードを叩き始める。
モニターにはエヴァシリーズが3体1組でエヴァに襲いかかっている所だった。





第3新東京市 アスカ・アスナ・マナ

「いい?アタシが1体ずつ倒していくから、その間に近づいてくるヤツの注意を逸らすのよ。」

「任せて!」

「頑張ってくださいね、お姉様♪」

迫り来るエヴァシリーズを前に、打ち合わせを終えた3人は戦闘を開始した。

(硬い体を剥ぐのも大変だけど、コアを砕くのはもっと大変そうね・・・。)

「なんて、弱気なこと言ってる場合じゃないわよ!」

『ガシッ!!』

1体の顔を掴み、握り始める。
その間に2体が弐号機を攻撃しようと接近するが・・・。

『シュオーーーン!シュオーーーン!!』

『キンッ!キンッ!!』

後方にいた参号機のライフルが唸りを上げた。
しかし、硬い体の前にダメージを与える事が出来なかったが、注意を逸らす事には成功した。

「私が逃げまわってる間に、倒しておいてよね、それ!」

「任せなさいって!」

そのまま、マナはライフルを置いて逃げ始める。
2体がそれを追いかけて行くと、アスカは掴んでいた顔を離した。

「さっさと片付けてあげるわよ!」

『バキッ、ドカッ、ガギンッ!!』

拳が唸りを上げ、的確に急所を攻撃するが、やはり硬い体に阻まれてしまう。

「まだまだー!!」

再び攻撃を仕掛ける中、マナは精一杯逃げていた。

「恐いんじゃないのよ、戦略的撤退なんだからね!」





同時刻・第3新東京市 レイ・カヲル

3つに別れて迫るエヴァシリーズを前に、この2人も作戦を立てていた。

「僕が2体引き受けるから、君は残りの1体を引き離してくれればいいよ。」

「・・・大丈夫?」

表示されたレイの顔は心配しているのがわかった、カヲルは安心させる為に優しく微笑む。

「心配いらないよ、死ぬつもりは無いからね。
 それよりも、君に1体任せなければならない事が、僕には残念でならないよ。」

「私なら大丈夫、だから・・・。」

「わかってる、気をつけるよ。」

暗い表情のまま俯くレイに、微笑んだまま声をかける。
そして、目前に迫る敵に構えた。

「危なくなったら逃げるんだ、接近戦は危険だからね。」

「(コクン)」

頷いたレイは通信を切り、後方へと走った。
エヴァシリーズが3体共、それを追いかけようとするが・・・。

『ドォォォォォン!!』

四号機の足が1体の足を引っ掛けた。
転んだエヴァシリーズに引っかかって、もう1体がその場に転倒する。

「何処に行くんだい?君達の相手は僕だよ。」

起きあがったエヴァシリーズ2体との戦闘が幕を開ける。
それを逃げながら眺めるレイの心は不安に満ちていた。

(無理だけはしないで、死なないで・・・カヲル。)





同時刻・第3新東京市 シンジ

他は待ちうける中、シンジだけは責めてくる3体に向って走っていた。

(他の皆の邪魔だけはさせない、絶対に負けないんだ!!)

走りながらも、初号機の手には『マゴロク』が握られている。
何時でも攻撃は可能だ。

「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」

声を上げて抜刀し、刃がエヴァシリーズの体を両断しようと迫る。

『シュッ・・・・・キィィィン!!!』

「くっ、効果が無いなんて。」

甲高い音共に刃が返される。
シンジは後ろへ下がり間合いを取るが、既に前3方向にエヴァシリーズが構えを取っていた。

(数でも絶対的に不利なのに、攻撃の効果も望めない・・・最悪だよ。)

この時、始めてシンジの顔に『絶望』と言う名の表情が浮んだ。





地下道・左側の道

「・・・にしても、遠いわね。」

別れてから10分ほど歩いていたが、真っ直ぐな道が伸びてるだけで、先には何も見えない。
この状況が、ミサトをいらつかせていた。

「ハズレだとは思いたくないわね・・・・・、本当に。」

『カツカツカツカツ・・・・・・・』

自分の足音が響く中、長く伸びる通路を進む。
何時の間にか、ミサトは独り言も無くなり、もくもく遠くへと進んでいった。



地下道・エヴァシリーズコントロールルーム

『カタカタカタ・・・ピッ!』

加持のキーボードを叩く手が止まった、端末のモニターにはあらゆる情報が表示された。

「なるほど・・・・・な。
 皮膚を硬質化させる事により防御力をアップ、コアの位置は胸部、武器の『ロンギヌスの槍』化はここで出来るのか。
 と、言う事は、こうすれば・・・。」

『カタカタカタ・・・ピッ!』

自分の思いついた通りにキーと叩く。

「成功、だな。
 これで彼らが負ける事は無くなる・・・ミサトの所へ行きますか。」

そう言って椅子から立ちあがると、元の道を引き返して左側の道を走るのであった。


ちなみに、打ち込んだ端末のモニターには、こう表示されていた。

『エヴァシリーズ アーマーモード・解除 ロンギヌスモード・解除』




地下道・左側通路

あれからしばらく進んだミサトは、大きな扉の前に立っていた。

(ここね、中から人の気配・・・するわね!)

慎重になって、その扉を開ける。
中には12人の老人達が扉の所にいる自分を見つめていた。

「貴方達が・・・ゼーレ?」

「そう、君達には『委員会』と言った方がいいのかな?」

ミサトの問いかけに、1番奥に座ったバイザーの男が答えた。

「そのバイザー・・・・・貴方が議長、いえ、トップのキール・ローレンツね。」

「君はここに何をしに来たのかね?」

「・・・貴方には聞いてないわ。」

『ダンッ!!』

ミサトは答えた男に向って引き金を引く、弾は見事に命中し、絶命した。

その光景にキール以外の者が騒ぎ出す。
しかし、キールが静かに手を上げると、水を打ったように静かになった。

「父親の復讐の為、だな。」

「ええ。貴方達は何が起こるか知っていたのに、父が率いる研究チームには何も言わなかった。
 父の研究である『S2機関』の研究結果が欲しいが為に、事実を捻じ曲げて公表した!!」

「だが、君は父親が嫌いだったのだろう。」

「確かに、好きではなかったわ。
 けど、命を掛けてまで救ってくれたのは事実!それに、研究一筋の人でも私の父親なのよ!!
 父で家族で命の恩人で、そんな人を殺した貴方達を許せるわけ無いでしょう!!」

「ふっ。」

ミサトの大きな声での独白を聞き終えると、キールは鼻で笑った。

「何が可笑しいのよ!」

「その程度の事でここへ乗りこんできたわけではあるまい。
 そう、『補完計画』の発動を防ぐのなら無駄だ、私達を殺した所で意味は無いのだ。
 発動してしまえば、今死んだとしても我々は新たな生命として復活するのだ。
 さらに、1つになることで人々の心の隙間もなくなる、何の問題も無い・・・・・。」

キールがそう言うと、他のメンバーも悦にいった表情をしている。
それがミサトの怒りに火をつけた。

「アンタ達は、救い様の無い大馬鹿者の集まりよ!!」

『ジャキッ!』

そう言い放ち、銃口をキールに向ける。
向けられたキールは表情を変えず、ミサトを真っ直ぐに見据えている。

「撃ちたければ撃てばいい、我々の計画は必ず成功するのだ。
 ネルフのエヴァンゲリオンが5機いようとも、な。」

「!!」

驚くミサト、しかし何も言わない。
シンジ達を信じているのだ、キールが何を言おうとも、それは変わらない事。

『その自信もそこまで、ですかね。』

「この声・・・加持君!!」

「遅くなった、スマンな、ミサト。」

「加持リョウジ、貴様もネルフについたのか・・・・・。」

ここで始めてキールの顔に驚きの表情が浮ぶ、名前を言われた加持は気にもしていない様だが。

「元々は3足の草鞋を履いていたのから、2足を脱いだだけですよ。
 しいて言うなら、『ネルフには葛城ミサトと言う、生涯を掛けて愛する女がいるから。』ですかね。」

「それより、先ほどの言葉・・・どういう意味だ。」

「さて、ご自分の目で確かめた方がいいと思いますがね。
 ここでもモニター出来るのでしょう?キール議長。」

加持の言葉を聞き、キールは中央にモニターを出すと戦いを眺め始めた。

「どういう事なの、加持君?」

「見てればわかるさ、詳しい説明は後でする。」

「わかったわ。」

こうして、ミサトも戦いを眺め始めた。








第3新東京市 アスカ・アスナ・マナ

逃げていたマナは既に捕まってしまい、2体のエヴァシリーズに攻撃されていた。

「ちょ、ちょっと、何とかしてよ・・・アスカー!!」

「うっさいわね!フィールド全開で我慢してなさいよっ!!」

マナからの通信を切るアスカ、顔は苦痛にゆがんでいる。
硬い体を殴る蹴るしているのだ、フィードバックによる痛みが拳と足を襲っていた。

(骨が折れたりしないとは言え・・・洒落になんないわよ、もう!)

もう何度目かになる、愚痴も声に出して言う余裕も無くなり始めていた。
しかし、相手には体力を気にする必要が無いのか、変わらぬ早さで攻撃を仕掛けてくる。

「うざったいわね、いい加減にしなさいよ!!!」

『バッキィィィ!!!』

カウンター気味に相手の顔面に拳がめり込む、その感触にアスカは違和感を感じた。

(柔らかい?もしかして・・・攻撃が通用する?)

「いっくわよーーー!!!」

『ググッ・・・・・ドカンッ!!』

よろける相手に思いっきり振りかぶって拳を放った。
見事に命中し、後方へと吹き飛んでいくと、それを見たアスカの顔に笑顔が浮んだ。

「何だかわからないけど、チャンスって事ね!
 マナ、聞こえる?」

「な、何よ、早く助けてよ!!」

「適当に攻撃してみなさい、ダメージが通るわよ。」

「信じるからね、嘘だったら化けて出てやるんだから!!」

通信を切って、マナがフィールド解除と共に攻撃を仕掛ける。

「せえのっ!!」

『バッキィィン!!』

小気味よい音を立てて、前方にいた相手が吹き飛んだ。
これにはマナが驚いた。

「本当だ・・・って事は、いけるわ!」

「1体は倒しなさいよね、こっちが終わったら直ぐに行くわ!」

「任せて!」

(まあ、アスカの出番は無いかもしれないけどね♪)

笑顔を浮かべると、吹き飛んだ相手の方へと攻めるマナであった。





同時刻・第3新東京市 レイ・カヲル

2体の相手をしているカヲル、彼は相手の単調な攻撃を避けながら考え事をしていた。

(攻撃の効果が薄いのに、持っている武器はナイフのみとは・・・困ったね。)

「きゃあああ!!」

どうすればいいのか考えている時、彼の耳に大きな悲鳴が聞こえてきた、レイだ。

「しまった!・・・どけぇ!!」

『ドンッ、ドンッ!!』

そう言うや否や、目の前の2体を吹き飛ばし、後ろで組み敷かれている零号機の元へと走る。

「こっの、邪魔だ!!」

『バキャッ!』

(!? 何かおかしい・・・こんなにあっけなかったか?)

ここまで感情を露にするカヲルは始めてだろう、助けられたレイも声をかけるのを躊躇っていた。

「大丈夫かい?」

「・・・ええ、ありがとう。」

四号機の手を取り、零号機は体勢を立て直すと、カヲルからの通信がレイに入った。

「レイ、君に1体任せるよ。」

「でも・・・。」

「大丈夫、『前』のに戻ったみたいだ。」

「・・・わかったわ、任せて。」

2人はここで通信を切り、手にナイフを装備した。
既に体勢を立て直していたエヴァシリーズが2機を取り囲むようにしている。

「君達とお別れのときが来た様だよ。」

「さよなら・・・。」

レイの言葉がスタートの合図、2人はそれぞれ敵に向っていくのであった。





同時刻・第3新東京市 シンジ

『ズバァァァァァ!!!』

「やっと・・・これで1体か。」

コアごと縦に裂かれたエヴァシリーズの1体がそこにいた。
残りの2体は警戒しているのか、初号機と距離を置いている。

(あんなに硬いモノを斬ったからな、ヒビが凄いや・・・・・。)

彼の握っている『マゴロク』の刀身はヒビだらけになっていた。
相手の固さは伝わってくる感覚でわかってはいたが、シンジはそれほど驚いてはいなかった。

「残りは2体か、いくよ!」

刀を鞘に戻し、1体に向ってダッシュで接近する。
向ってこられた相手も攻撃に備えて構えるが・・・。

「はああ!!!」

『シュッ・・・ズバァァァァァ!!!』

「あれ?」

斬った相手があっけなく縦に裂かれた、もちろんコアもキレイに2つに分かれている。

「何にせよ、これで殲滅できる!」

深く考えるのは止めて、自分の受持ち最後の相手に斬りかかるのであった。







ゼーレ本拠地・会議場

「し、信じられん。」

会議場のモニターには、倒れていくエヴァシリーズが次々と映し出されていた。
数で有利だったはずなのだが、今では逆転されてしまう勢いだ。

「ど、どう言う事だ、加持!」

「キール議長、それより周りを見た方がいいんじゃないですか?」

「周り・・・な、何!?」

加持に言われるまま、キールは辺りを見渡した。
すると、会議の椅子に座ったまま、他のメンバーが絶命していた。
皆、頭を打ち抜かれていたのだ。

「あとは貴方で復讐も、狂った計画も、全てが終わるわ。
 ご自慢のエヴァシリーズも急に弱くなって、あれでは貴方達は勝てないわ。」

「下等な黄色人種の猿どもに我々の、私の計画が潰されるとは・・・。」

「言いたい事はそれだけ?
 その下等な黄色人種の学者の研究成果を盗み、その学者の娘に銃口を向けられ、自分の部下と子供達に計画を破綻させられる。
 アンタは・・・見下している黄色人種以下の存在よ!!」

『ダァァァン!!!』

銃口が火を吹き、キールは前のめりに倒れた。
怒りによる興奮からか、ミサトの息は切れていて、肩が激しく上下している。

「・・・大丈夫か?ミサト。」

「これで、これで終わったのよね・・・・・加持君。」

「ああ、日本へ帰ろう。」

そう言って、加持はミサトの肩を抱き、地下室を後にするのであった。





第3新東京市

ゼーレに片がついた頃、ここでも戦いが終わろうとしていた。

「残りは1体だね。」

「シンジは休んでて、折れちゃったんでしょ?」

アスカがそう言うので、シンジが刀を見ると確かに折れていた。

「3体目を斬った時かな、気付かなかったよ。」

「アタシに任せてくれない?シンジがくれたナイフがあるから。」

「う〜ん・・・。」

「任せたほうがいいんじゃないのかな?
 弱いとはいえ、武器があるのはアスカさんだけみたいだしね。」

シンジが考えこんでいると、カヲルから通信が入る。
この言い方からすると、レイもマナも手持ちの武器が無いという事だ。
2人は疲れているのだろう、肯定も否定もしない、と言うより出来ない様だ。

「わかったよ、油断はしないでね。」

「まっかせない!」

手に紫の柄のナイフを握り、赤い巨人が1歩前に進む。
相手はそこから動こうとはしない。

「アンタで最後よ、覚悟はいい?」

『ダッ!!!』

大地を強く蹴る音がすると、物凄いスピードで接近していく。
ナイフの刃が発光しているので、残像を描いているのが美しかった。

『シャッ!・・・・・ズバァァァ!!』

振るわれたナイフが見事に相手の胸元を切り裂く、その一撃で相手のコアが露出した。

「正直疲れてるし、終わりにするわ。」

『ガスッ!・・・キィィィィ・・・・・ン』

ナイフがコアに突き刺さる、1度激しく発光したと思ったら光が消えた。
そのまま相手の体が倒れ、消滅していった。

「これで、終わったわね。」

「うん・・・。」

『皆、ご苦労様!』

発令所から通信が入る、言葉を発しているのはユイだ。

『本当によくやってくれたわ、近くのリフトに乗って戻ってらっしゃい。』

「「「「「「了解!!」」」」」」

こうして、子供達の戦いは終わりを告げた・・・・・・・。







<後書き>

ウエッキー「まず始めに・・・どうもすみません!
      本当に読みにくくなってます、申し訳ございませんでした。」m(_ _)m

ユイ「・・・本当ね。」

ウ「あうぅ・・・。」

ユ「わかりにくいわよ、これ。」

ウ「ド、ドイツと日本を行ったり来たりですから。」

ユ「まぁ、いいわ。皆様に怒られるのは貴方だし。」

ウ「・・・怒られるほど、メールは来ませんよ。(涙)」

ユ「(メールチェック中)本当ね、話が進めば進むほどメールの数が減っていってるわ。」(実話)

ウ「どうしてなんでしょうね・・・悲しいです。(涙)」

ユ「貴方が話数を進めるごとにダメになってくからでしょ?」

ウ(グッサーーー!!)「ひ、酷い・・・これでも頑張ってるのに。」

ユ「精進しないさいよ。
  さてと、私はシンジと『にゃんにゃん』してこよ〜っと♪」





<次回予告>
使徒、ゼーレとの戦いを終え、普通の生活に戻る子供達。
自分達の未来を掴んだ彼らはこの後どうなったのか?

次回、The Restart Of Evangelion

       最終話 「新しい未来、幸せの始まり」

を、お送りしまーす♪


マナ:やったっ!

アスカ:勝ったっ! 勝ったわっ!

マナ:アタシ達と加持さんやミサトさんのチームワークの勝利ねっ!

アスカ:アタシの勝利よーっ!

マナ:どーして、アスカはそーなのよ。(ーー;

アスカ:ウソ、ウソ。ちょっと嬉しくって。

マナ:これで、本当に平和が訪れたのねっ!

アスカ:エヴァシリーズ、今回はめちゃくちゃ強かったから、一時はどうなるかと思ったけど・・・。

マナ:ほんと、よく勝てたって思うわ。

アスカ:やっぱ、みんなで力を合わせるのって大事よねぇ。

マナ:うん。とっても素敵な勝利ね。

アスカ:この凄まじいクライマックスを乗り越えて、いよいよ次回、最終話らしいわ。

マナ:楽しみだけど・・・終わっちゃうのね。泣いちゃうかも。
作者"ウエッキー"様へのメール/小説の感想はこちら。
frontier@tokai.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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