〜プロローグ〜



「はぁ・・・・・。」

少年は悩んでいた。
自分の机に向い、何度もため息をもらす。

机の上には写真が飾ってあった、友人達と撮った写真だ。
その写真の中に写る、1人の少女を見つめていた。

その少女が、少年の学校に転校してきたのは3ヶ月前。
少年の隣の席に座る事になり、それがきっかけで仲良くなる事が出来た。
ここ最近では、1人でお互いの家に遊びに行く程になった。

少年は告白しようと思った。
少女は自分の事が好きなのだ、そう思っていた。
しかも、自分に彼女が出来れば、友人達よりも先を行く気分になれる。

しかし、間違った時のリスクの方は大きい。
振られるだけならそれでいいが、今の良好な関係まで壊れる事が恐かった。

(でも、このままじゃダメな気がする・・・・・。)

少年は、写真を見ながらそう思っていた。







「私の気持ち・・・わからないのかなぁ?」

少女は自分の机の上に置いてある写真を見ながら、そう言って写真立てを突ついた。
入ってる写真は友人達と撮った写真、その中に意中の少年が写っていた。

少女は3ヶ月前に転校してきた。
自分の座る席の隣に少年がいて、今では仲のいい友達になっていた。
他にも大勢の友達が出来たが、その少年だけは特別で、今ではお互いの家に1人で遊びに行くくらいだ。

少女は少年からの告白を待っていた。
最近の少年の様子から、自分の事が好きなのでは?そう思っている。
伝えあってないものの、両思いだと思っていた。

ただ、少年からの告白はまだ無い。
自分から、そう思った事もあったが、少女の中には『男性から告白』と言うのが憧れだった。

(待ってるんだけど、憧れは憧れなのかなぁ〜。)

写真の中の少年に、少女は苦笑しながらそう思った。





































                           

                           〜 愛のある生活 〜 


                       序章  「告白、これが全ての始まり」









































『ジリリリリリ・・・・・!!!!!』

けたたましいベルの音、現在の時刻は朝の7時。
この状況でベッドの中で寝ているのは、中々出来ることではない。

「・・・どうして、この子は朝が弱いのかしら?」

入ってきたのは、ベッドの主の母親で碇ユイと言う。
ユイは目覚ましを止めると、毛布を引っぺがし、主を揺り起こし始めた。

「起きなさい、シンジ!目覚ましが鳴ったでしょう。」

「・・・うぅ、起きるよ。」

「シャキっとなさい!朝ご飯が出来てるから、着替えて降りてくるのよ。」

「はぁい・・・。」

ユイが部屋から出ていくと、シンジと呼ばれた少年は、のそのそと制服に着替え始める。
彼の名前は碇シンジ、現在高校2年生。
進学校に通っているので、そこそこ勉強は出来るのだが・・・朝が弱い。

『私が起こしてなければ、あの子は進学なんて出来ませんでしたよ。』

卒業式の日、担任の教師にそう言っていた程だ。
碇家にはもう1人の子供がいるが、こちらは女の子で朝は普通。
シンジの双子の姉で、碇レイと言う。



シンジが着替えを終え、ダイニングに向うと食事は既に始まっていた。

「おはよう・・・。」

「はい、おはよう!早く食べちゃいなさい。」

ユイのいつものお言葉を聞きながら、席へとつく。
座ると、隣で食べていたレイが話しかけてきた。

「おはよう。」

「うん・・・おはよう。」

「相変わらず、朝が弱いのね。」

「何でだろう?起きられないんだよなぁ、目覚ましの音も聞こえないし・・・。」

「・・・何とかした方がいいわ。」

「わかってるよ・・・、いただきます。」

いつもと同じ会話、シンジは覚めない眠気と戦いながら朝食を食べ始めた。


「お前には、朝起こしてくれるような女性はいないのか?」

「・・・いないよ。」

不意に話しかけてきたのは、父親の碇ゲンドウ。
世界で有名な研究所『Nerv』の主任をしている。
よほどの事が無い限り、定時には帰ってくるマイホームパパだが、基本的に無口だ。

「そうか・・・、早く見つけた方がいいぞ。」

「まだそんな年齢じゃないよ、僕は。」

「まあ、異性との交際には反対はしないからな・・・。」

「ンッ!ゴホッ、ゴホッ!!」

シンジが驚いて咽る中、ユイの声が聞こえた。
 
「あなた、そろそろ時間よ!」

「ああ、行ってくる。」

「「行ってらっしゃい。」」

妻と娘に見送られて、ゲンドウは仕事へと出かけていった。

(父さんのさっきの言葉・・・わかるのかな、僕が悩んでる事。)

胸を叩きながら、シンジは先ほどのゲンドウの言葉が気になっていたが、考えこんでる時間はなかった。

「ほらっ、貴方達も早くしないと遅れるわよ。」

「っと、行ってきまーす!!」

「行ってきます、お母さん。」

「行ってらっしゃい。」

ユイに送り出され、学校へと歩く中でシンジは決めた。

(今日こそ言うんだ、僕の気持ちを!)

そう、意中の彼女に告白する事を・・・・・・・。







その頃、少女は既に学校にいた。

理由は2つ。

1つは、少女は事情により1人暮らしをしている。
その為に、生活は全て1人でやらなければならないのだ。
もし、シンジの様に起こしてくれる人がいるのなら、もっとゆっくりしていたのかもしれない。

(ゆっくりでもいいんだけど・・・1人って寂しいのよね。)

もう一つの理由がこれ、少女は寂しがりやなのだ。
少しでも人の気配がする所にいたい、その場所が学校だった。
ちなみに、席は窓際である。

(あっ!来た来た・・・。)

「おはよー!2人共!!」

外から見えたクラスメートの2人に声をかける。
かけられた方は手を振って答えると、校舎内へと消えていった。

(彼、今日は言ってくれるかな?)  










5時限目の授業中

悶々として過ごすシンジ、未だに彼は悩んでいた。

(どうしよう〜、言いたいけどなぁ、でも恐いなぁ・・・・・。)

彼の端末には、少女を呼び出すメッセージが未送信で保存されている。
そのメッセージも、1時限目の授業中に出来あがっていたのだが、ここまで送れずにいたのだ。
後は『送信』ボタンを押すだけ、そのボタンの上に指がのっている。

「じゃあ、ここを碇!」

「は、はいっ!」

先生に指名され、慌てて立ちあがった瞬間!

『ピッ!』

ボタンを押した時に鳴る電子音が彼の耳に入った・・・そして。

「ああーーー!!!」

「なっ、どうしたんだ、碇?」

「い、いえ、すいません。」 

(送っちゃったよ、どうしよう・・・。)

心の準備も出来ぬまま、送信されたメッセージのことを考えながら、質問に答えるシンジだった。



シンジが答えているその時、隣に座っている少女の端末には、メッセージの着信を知らせる画面が出てきた。  

(メッセージ?誰だろう・・・。)

早速メッセージを閲覧すると、そこにはこう書いてあった。

『霧島マナ様へ
 急にメッセージを送ってごめんなさい。
 今日の放課後、校舎裏で待ってます。
 用件はその時に言います。        碇シンジ』

(い、碇君!?)

少女の名前は霧島マナ。
3ヶ月目に転校してきた茶髪の少女、明るく礼儀正しい女の子だ。

そのマナの驚きの表情、そしてそれが喜びの表情に変わるのがわかった。
彼女の理想とするものの『第1段階』がそこにあるのだ。

(放課後の呼び出し・・・それは、告白ね!
 早く放課後にならないかしら〜。)

その状況を想像しながら、とびっきりの笑顔で授業を受けるマナであった。










放課後・校舎裏

授業も終わり、シンジはここでマナの来るのを待っていた。
事故とは言え、送ってしまったのは事実。

(上手く出来るかわからないけど、こうなったら・・・。)

覚悟は決まったらしい。
失敗しない為に落ち着こうと、シンジは深呼吸をしながら待つ。  






運悪く今日が掃除当番だったマナは、今から目的地に向う所であった。
嬉しいから走るのかと思えば、『廊下は走ってはいけない!』と言うルールを守って・・・早歩きをしていた。

「どうして、今日が掃除当番なのよ〜!
 誰か変わってくれてもいいのに、友達って冷たいわ!!」

彼女はここにいない友人に文句を言いながら、早歩きで急ぐ。
下駄箱に到着、靴を履いてからは走って校舎裏へと向うのだった。





(来たっ!)

マナが走って来ているのを見ると、一気に緊張が甦った。
頬は紅潮し、体を上手く動かす事が出来ない。

(ど、ど、どうしよう!?)

緊張しきっている状態で、彼女がシンジの目の前に現れた。

「ゴメンねっ!遅れちゃった。」

「い、いいよ!き、急によ、呼び出した僕が、わ、悪いんだから。」

(お、落ち着け、ここからが大事なんだぞ!)

自分に言い聞かせながら、呼吸を整える。
マナは心配げな表情で見つめながら、確信していた。 

(告白なのね、碇君が私に・・・。)

「それで、用件って何?」

予想はついているが、あえて尋ねる。
そう答えるのか知りたいと言った好奇心であろう。

「う、うん。
 その事なんだけど・・・き、霧島さんって、好きな人とか、つ、付き合ってる人ってい、いるのかな?」

「ううん、いないよ。
 そもそも、転校してきてから出来たのはお友達だけよ。」

「そ、そうなんだ、よかったぁ〜。」

『お友達』、その単語に泣きそうになるが、交際相手がいない事に胸をなでおろすシンジ。

「それが、どうかしたの?」

「う、うん。
 僕ね、その、あのね、霧島さんの事がす、好きなんだ・・・。」

「えっ・・・。」

「そ、それで、よかったら・・・・・僕と付き合ってください、お願いしますっ!!」

顔を真っ赤にして、頭を下げるシンジ。
マナは『理想の展開』と嬉しさの余り、涙を流していた。

「わ、私もね、碇君の事ね、好きだよ。」

「ほ、本当!?」

「う、うん。
 そうじゃなかったら、私の部屋に入れたりしないもの・・・好きな人以外はね。」

そう言うマナの顔は真っ赤だ。
シンジも同じくらいに真っ赤になっている。

「じ、じゃあ・・・。」

「うん、初デートは日曜日にしよ♪」

「う、うん!」






校舎裏でお互いの気持ちを伝えあった2人。
その日から交際が始まり、学校では誰もが知ってるカップルとなる。
2人の気持ちを伝えあった校舎裏は、この事があってから告白のメッカとなった。











そして、それから7年後・・・・・・・。
















<後書き>

ども、ウエッキ−です。

やってしまいましたよ、続き物になりそうな雰囲気、じゃなくて続きます。(^^;
タームさんの所では、いつもアスカに虐げられてる(?)マナちゃんをメインにしたお話です。
『R.O.E』でもやらせていただいた、LMSと雰囲気が似ている感もしますが・・・気にしない、気にしない。(爆)

ここでは人物設定はこんな感じです。

碇シンジ・・・17歳 高校2年生 成績は中の上 
       性格は温厚で優しい 優柔不断だが内向的・内罰的では無い
       原作の悪かった部分を全てカット!・・・って、それじゃあシンジじゃないような気が。(−−;

霧島マナ・・・17歳 高校2年生 成績は上の下(シンジよりはいい)
       性格は明るく、社交的だが、本当は寂しがりや 家族はおらず、1人暮らしをしている
       『男性からの告白』に憧れるなど、少女チックな所がある

碇レイ・・・・17歳 高校2年生 成績は上位
       性格は寡黙、人見知りが激しい その為、友人が少ない
       シンジは普通に話せる数少ない男性の1人で、もう1人がゲンドウ、家族以外にもう1人いる
       
惣流アスカ・・17歳 高校2年生 成績は学年トップ (今回未登場)
       性格は意地っ張り、目立ちたがりや レイの親友であり、ライバル(らしい)
       シンジとレイの幼馴染で、マナとも友人関係。

渚カヲル・・・17歳 高校2年生 成績は上位 (今回未登場)
       性格は淡白、物事にこだわらない方 ただし、シンジが絡むと別
       男子には敵視されてるが、女子には人気があるのだが、特に興味は無いらしい

とまあ、こんな感じですかね。
未登場なキャラも、主役の2人も次回では成長してます。
基本的な性格は変えませんので、話の舞台に合わせた紹介にしました・・・・・って、続けますよ、私は。(^^;;;



キャラクター関係表(チルドレンのみ)
( )の中が左の人物が、右の人物に対して思っている関係です。

碇シンジ    (恋人関係)   →霧島マナ
        (寡黙な姉)   →碇レイ
       (恐ろしい幼馴染) →惣流アスカ
        (大事な親友)  →渚カヲル

霧島マナ    (恋人関係)   →碇シンジ
      (お友達で未来の義姉)→碇レイ
        (喧嘩友達)   →惣流アスカ
        (変わり者)   →渚カヲル

碇レイ     (大事な弟)   →碇シンジ
       (元気なお友達)  →霧島マナ 
      (幼馴染で大事な親友)→惣流アスカ  
        (似ている人)  →渚カヲル

惣流アスカ  (幼馴染で下僕?) →碇シンジ
       (唯一の喧嘩友達) →霧島マナ
       (ライバルで親友) →碇レイ
        (変なヤツ)   →渚カヲル

渚カヲル    (大好き!)   →碇シンジ
       (特に興味無し)  →霧島マナ
     (似ていると思っている)→碇レイ             
       (特に興味無し)  →惣流アスカ 



ユ=ユイ ウ=ウエッキー

ユ「・・・なるほどね。」

ウ「ど、どうでしょう?」

ユ「エヴァとかは出ないのね?」

ウ「出ないです、LMSのラブコメで行きます。」

ユ「そう、私の出番はあるの?」 

ウ「・・・意地悪な姑役ですかね。」

ユ「貴方・・・・・死んでみる?」

ウ「じ、冗談ですよ!
  まあ、こんな感じで行こうと思いますけど・・・・・。」

ユ「・・・まあ、合格にしておきましょう。
  そうそう、年齢は出さないように!出したら、ただじゃ済まさないわよ。」

ウ「り、了解です。」

ユ「LASな人達からは相手にされないでしょうけど、頑張りなさいな。」

ウ「そ、そんなわけで、属性はLMSで行きます!
  と言っても、コメディーなのでLAS・LMSなんて関係無しで読んでもらえれば幸いです。」

ユ「読んでくれた方は感想のメールを送ってあげてください、返信率は100%ですから。」


ウ(うわっ!読者様相手だと丁寧な物腰だよ・・・。)

ユ「何か言った!」

ウ「何にも言ってないですよ、でわ!」

ユ「次回の後書きまで、さようなら。」








<次回>
次回は7年後の彼らが登場!
シンジとマナの『愛のある生活』に他のキャラはどう絡んでいくのか!?

次回、〜愛のある生活〜 第一章「7年後、生活の始まり」

を、お送りしまーす!


マナ:ウ、ウエッキーさん!(涙)

アスカ:コロス(▼▼#

マナ:外伝じゃないのよっ! 本編よっ! 本編っ!(涙)

アスカ:な、なんで、アンタがヒロインなのよっ!

マナ:とうとう、わたしがメインのラブストーリーが来たのよーーーっ!(^○^v

アスカ:いい度胸じゃないっ! このアタシをさしおいてっ!

マナ:あら? どうしたの? 脇役さん?

アスカ:ムカーーーーーーーーっ! わ、わ、脇役ですってーーーーーっ!!!(▼▼#

マナ:さぁ、これから、わたしとシンジの恋愛がどうなるか楽しみだわっ!

アスカ:楽しくないっ! 楽しくないっ!

マナ:今迄、散々見せ付けられた分。たーっぷり、見せ付けてあげるわねっ。(はーと)

アスカ:いやーーーーーーっ! アタシ、コメント係降りるっ!

マナ:駄目よ。わたしも頑張って、コメントやってきたんだからっ。

アスカ:殺してやるっ! 殺してやるっ! 殺してやるっ!!!!

マナ:なんか、なんか、なんかねっ! やったーーーーっ!(^○^v

アスカ:(ブスー)(ーー)
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frontier@tokai.or.jp

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ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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