第3新東京市の繁華街。
発展している最中とは言え、中央を通るメインストリートを中心に活気があり、物凄く大きい。



そのメインストリートから1本裏に入った所にある小さな店。
そこは、申し分の無い大きさで、少し地味目なお店。
看板には『魂友』と書かれている。

(本当・・・よくわかんない名前だよね。)

店の前で看板を見て首をひねっているのは、シンジだ。
ここが彼の職場なのだが・・・・・店の名前には納得できない部分があるのだろうか?
来るたびに首をひねり、中へと入っていく。

「おはよう!」

「おはよう、シンジ君。」

中には既に準備をはじめている男がいた。
ウエイターのような格好をして、笑顔でシンジを見つめる彼の名は、渚カヲル 24歳 独身 同性愛者の疑い・有

「今日はどうしたの?」

「うん、この間の話は覚えてるかい?」

「ああ・・・うん、覚えてるよ。」

「じゃ、裏で話そうか?」

そう言って、カヲルは奥へと姿を消した。
彼の後ろについて行くシンジ。


「それで、どうするの?」

「うん、僕は正直やりたくないんだ。」

「僕はいいと思ったんだけど・・・。」

彼らが話し合っているのは、とある客の言葉によるものだった。





1週間前、『魂友』カウンターにて・・・・・。



「シンジ君、この店でランチやらない?」

「えっと、カヲル君がここのオーナーですから。」

シンジの声が聞こえたのだろう、別のお客を接客を切り上げると近づいてきた。

「渚君、ここはランチをやる気って無いかしら?」

「はい?」

「ランチよ、ここならやってけると思うけど。
 アルコール無しでも、この料理の味なら大丈夫よ。」

「う〜ん・・・。」

腕を組み、考えこんでいる所に店の扉が開いた。

「こんばんわ〜って、リツコ来てたの?」

「何よミサト、今は貴方に構ってる場合じゃないの。」

『ランチを始めないか?』と持ちかけたのは、赤木リツコ 29歳 独身 彼氏無し 研究所『Nerv』所属の科学者
後から入ってきて、リツコに邪険にされたのは、葛城ミサト 29歳 既婚 夫婦別姓なので旧姓のまま

「なになに?何の話、私にも教えてよ〜。」

「こんばんわ、ミサトさん。
 こう言う事なんですよ・・・・・・・。」

シンジが経緯を説明すると、ミサトの目の色が変わってきた。

「いい事言うじゃない!やんなさいよ、ランチ。」

「でしょ?ここならやってけると思うでしょ!
 そう言ってるんだけど、彼が渋ってて。」

リツコが視線を送った先にいるのはカヲル、彼は腕を組んだまま考えこんでいた。

「じゃあさ、1週間だけお昼やってさ、客の入りが悪かったら止めるってのは?」

「そう言う中途半端なのは、ちょっと・・・。」

「じゃあ、少し考えてみてよ、それでダメだったら諦めるわ。ご馳走様。」

そう言って、リツコは勘定を済ませると店を後にする。

「そうね、2人で考えてみてよ。
 それじゃあ、エビチュといつもの、お願いねん!」

と、ミサトもいつも頼んでいるのを頼み、飲み食いし始めた。



そして、閉店後。
後片付けを終えた2人は、店のカウンターに座った。

「どうしようか?」

「カヲル君がやってみたいんだったら、僕は協力するよ。」

そのシンジの発言は、今のカヲルには重荷にしか感じなかった。

「少し考えてみるよ、お疲れ様。」

「うん、お疲れ様。」



その日から今日で1週間。
毎日集まって話し合った結果、やらない事に決まった。






































                           〜愛のある生活〜 

                         第ニ章「旦那様のお仕事♪」






































メインストリートを歩く一行があった。
白衣を着ていないが、赤木リツコ・惣流アスカ・碇レイ、それにもう1人いる。

「センパイ、あそこでランチやってって言ったんですか?」

「ええ、1週間前くらいにね。」

4人の美女が雑談しながら歩いている。
彼女達に道行く人々が視線を送っているのだが、まったく気にして無いようだ。

「そんなの、今日始めて知ったわよ、ねぇ?」

「・・・ええ。」

「決まってないから、おいそれと言えないんじゃないの。」

「センパイ、まだ決まってないんですか?」

「昨日も行ったんだけどね、『考え中』って言われたわ。」

リツコに積極的に話しているのは、伊吹マヤ 25歳 片思い中 研究所『Nerv』所属でリツコの助手

「それじゃあ、今日はいつもの所?」

「アスカはあそこ以外にいい所知ってる?」

「別に嫌とは言ってないでしょうが!」

「アスカちゃん、大声出さないで。」

マヤがアスカを宥めながら、彼女達はいつも行くランチの店へと向かうのであった。







時間は経って、夜。
仕事を終えたリツコは『魂友』へと向う、ランチの件の返事を聞くため。
昨日の夜と違うのは、彼女の隣に助手のマヤがいる事だ。

「やってくれると良いんだけど・・・。」

「そうですね、シンジ君はお料理上手ですからね。」

ちなみに、レイとアスカにも声をかけたのだが、2人は早々に帰ってしまった。
アスカ曰く。

『渚に会いたくない、レイが悪影響受けるから。』

との事、今朝の事もカヲルの影響だと思っているらしい。



そうこうしている内に、2人は店へと辿り着いた。

「「いらっしゃいませ!!」」

「こんばんわ、いい返事を聞きに来たわよ。」

「こんばんわ。」

「わかってますよ、カウンターでよろしいですか?」

「ええ。」

いつもカウンターに座るリツコには問題無い、マヤもそれに従うと隣に座った。

「いつもの、でよろしいですか?」

「ええ、お願いね。」

「私もセンパイと同じのをお願いします。」

「はい、かしこまりました。」

カヲルが注文を確認し、シンジへと伝える。

「マヤ、渚君の方が年下なんだし、店員なんだから『お願いします』はいらないのよ。」

「そうなんですけど、つい。」

「僕は構いませんよ、マナーさえよければ。」

そう言って微笑む、それがこの店のルールなのだ。

「こんばんわ、リツコさん、マヤさん。」

奥からシンジが現れ、注文の品を2人の前に置く。

「こんばんわ、シンジ君。」

「相変わらず美味しそうね、貴方の料理は。」

「ありがとうございます。」

「そして、こちらがビールです。」

タイミングを計った様に、カヲルがビールを2人の前に置いた。
リツコは黙って一口飲むと、本題に入った。

「さて、いいお返事であることを期待するわ。」

「ええ、その事なんですが・・・・・。」

「やらない事に決まりました、申し訳ありません。」

シンジに続いたカヲルの言葉に、リツコは落胆の表情を浮かべた。
マヤも残念そうな表情だ。

「・・・そう、理由は教えてもらえる?」

「はい、うちでやる必要性を感じなかったからですよ。」

「と言うと?」

「ここはお酒があって、始めてお料理が生かされる店だと思ってます。
 ランチでしたら、メインストリートにあるお店で事足りますし、メニューも豊富ですからね。
 正直、お昼時に来るお客様をさばける自信も無いですから。」

最後が苦笑しながらそう言った。
マヤは周りを見渡してみる、お客は多くも無ければ少なくも無い。
客の回転率が緩やかなこの時間ならまだしも、お昼時と言ったらそうは行かない。
そんな時のサービスの低下と、夜の本業がおろそかになる事がカヲルは嫌なのだ。

「・・・なるほど、それなら仕方ないわね。」

「ミサト!?」

「葛城さん!?」

「いらっしゃいませ、こちらにどうぞ。」

背後からの声に驚くリツコとマヤ。
カヲルはリツコの隣の席を勧めると、エビチュビールをカウンターに置いた。

「で、よろしいんですよね?」

「さっすが!よくわかってるわねぇ〜♪」

「残りはシンジ君が用意してますので、もう少しお待ち下さい。」

「聞いてたの、ミサト?」

「ええ、彼らがそう言うなら仕方無いっしょ。」

「そうね、それで夜の営業が無くなったりしたら、それこそ大変だものね。」

「私達の憩いの場ですもんね。」

正直、期待はしていたのだろう。
納得したような事を言っても、3人の声の調子は暗かった。

そんな時、3人の目の前に頼んでもいない1品が出てきた。

「これは?」

「サービスです、と言うよりもお詫びですね。
 期待していただいたのに裏切ってしまったのですから、遠慮せずにどうぞ。」

カヲルがそう言うのだが、流石に手を出しにくい。
しかし、この人には関係無かった。

「そうねぇ、すっごく期待してたんだから当然よね!」

ミサトである。

(無理しちゃって、笑顔がぎこちないわよ。)

「そうね、いただくわ。」

親友の行動にツッコミを心の中で入れつつも、それに乗って食べるリツコ。
ミサトのこう言う所は本当にありがたいと思いながら。





閉店近くになって、3人はカウンターでまだ飲んでいた。

ミサトはとっくに潰れてしまい、寝てしまっている。
リツコはマヤはお互いの恋愛感について熱く、それはそれは熱く語り合っていた。

「・・・この時代なんだからぁ、結婚しなくても子供は作れるわけよ。
 男なんて要らないの!若い女にしか興味無いんだからさぁ、こっちが年取ったら浮気するに決まってるの!!」

「そんな事無いですよぉ〜。
 本当に自分の事好きでいてくれる人と結婚すればぁ、そんな事ぜ〜ったい無いですってぇ〜。」

困ったのはシンジとカヲル。
これでは店を閉められないと思い、シンジは何処かへと電話をかけた。


数分後・・・。


「いや〜、すまないな。」

「いえいえ、こうなったら加持さんを呼ぶしかないですから。」

呼ばれたのは、加持リョウジ 29歳 既婚 ミサトの夫 フリーライター(そこそこ売れている)

「おい、ミサト帰るぞ。」

「う〜ん・・・。」

「仕方ないな、よっと!
 それじゃ、今度は飲みに来るよ、またな!」

「「ありがとうございました。」」

加持はミサトを背負うと、そのまま店を後にした。
しかし、残った2人は未だに語り合っている。

「すいません、もう閉店なんですけど・・・。」

「「今はそれどころじゃないの!!」」

「・・・はい。」

この2人が一緒の日は大抵こうなる。
カヲルが言っても、シンジが言ってもダメなのだ。
と言っても、確実に返す方法が無いわけではないんだが・・・・・・・。

「(シンジ君、いつものを頼むよ。)」

「(わ、わかったよ。)」

嫌そうな顔をして、2人の前に立つ。
2人は気にもならないのか、シンジに視線を送りはしないで語り合っている。

「・・・夜も遅いから帰れ、でなければクビだ。」

「「は、はいっ、失礼しました!!」」

シャキッと言う音がよく似合うであろう。
直立したと思うと、正確に代金を払って出ていった。

「効果高いね、君のお父さんのマネは。」

「あんまりやりたくないよ・・・。」

何か辛い思い出でもあるのだろうか、心底嫌そうな顔をしながらそう言った。

「さあ、後片付けをして帰ろう。」

「うん。」

店舗内の後片付け、ゴミ捨て、元栓の確認、全て終えるとシンジは外へと出た。

「それじゃあ、おやすみ。」

「おやすみ、カヲル君。」

カヲルはここが自宅でもある、店を開店させた時に移って来たのだ。

(はぁ、今日も1日終わったよ・・・。)

いつも以上に疲れた体で、家路に付くシンジであった。







「ただいま〜。」

夜も更けている、家の者を起こさない様に小さな声で言って、中へと入る。
自分達の部屋へと向うと、部屋の中から明かりが漏れていた。

「あれ?まだ起きてたの?」

「お帰りなさい、あなた。」

「うん、ただいま、マナ。」

『ちゅっ♪』

お帰りのキスを済ませると、部屋から出ていく。
これからお風呂に入る為、脱衣所で服を脱ぎ、中へと入る。

          〜入浴中〜

浴槽にゆっくり浸かってリラックスした後、部屋へと戻る。

「先に寝ててくれればよかったのに、もう遅いんだから。」

「そんな事言ったら、ほぼ毎日1人で寝なくちゃ行けないでしょ。
 ・・・寂しいもん、新婚なのに1人寝なんて。」

シンジの仕事の事も知っていて、理解はしているものの、これがマナの本音だった。
新婚と言う事除いても、寂しいものは寂しいのだ。

「ゴメンね、それじゃあ、今日はいっぱい愛してあげるからね。」

「そ、そう言うつもりで言ったんじゃないもん!」

・・・確かに、そう言うつもりじゃないだろう。

しかし、シンジはマナを後ろから抱きしめていた。
もう逃げる事は出来ない、抵抗はしないだろうけど・・・。

「マナ、愛してるよ。」

「シンジ、私も愛してる・・・だから」

「だから、何?」

「・・・・・ベッドでお願い、ね?」

「わかってる。」

そう言ってマナを抱え上げると、ベッドにゆっくりと下ろした。



そして、彼らが朝まで『夜の夫婦生活』に励んでいたのは言うまでも無い・・・・・。





































<後書き>

ども、ウエッキーです。

いきなりですが、バーと居酒屋ってどう違うんでしょう?
向こう(外国)の居酒屋の事をバーって言うんじゃないでしょうか?

作中に出てくるバーは居酒屋だと思ってくれれば良いです、そう言うイメージで書いたので。(^^;


予想はしてましたが、反響が少ないですねぇ。
LMSだからでしょうか、前作・『R.O.E』書いてた時に感想くれた方でLASの人はくれないんですよね、やっぱ。
それでもくれる方はいますし、新しくくれる方も出来ましたので、これからも頑張りたいと思います。
いつも感想くれる皆さん、本当にありがとうございます、これからもよろしくお願いします。m(_ _)m







ユイ    「・・・タイトル通りね。」

ウエッキー 「何か、怒ってらっしゃいます?」

ユイ    「そんな事無いわ、『美味しい所』が無かったけどね。」

ウエッキー 「近い内に出しますよ、待っててくださいよ。」

ユイ    「まあいいわ。けど、シンジがバーテンとはねぇ。」

ウエッキー 「調理師免許もってますからコックですかね、接客はカヲルがほとんどですから。」

ユイ    「なるほど、家じゃ腕前披露してもらう事がほとんど無いから、お店に行ってみようかしら。」

ウエッキー 「いいんじゃないですか、キョウコさんと昔話に華を咲かせるも良いでしょう。」

ユイ    「そうね、そんな話を期待しましょう。」

ウエッキー 「それでは、次回にまたお会いしましょう、さよなら!」

ユイ    「さようなら。」







<次回予告>

シンジがお休みの日、マナと何をしているのか?
ユイが家事を休んでキョウコと飲みに行くことに、もちろん、お店はあそこ。
その他にも、アスカ・レイ・カヲルの休日の過ごし方はどんな感じ?

次回 〜愛のある生活〜 第三章「それぞれの休日の過ごし方♪」

を、お送りしまーす!


マナ:ランチサービスって嬉しいよねー。

アスカ:交渉が決裂したわっ!(ーー#

マナ:仕方ないわよ。渚くんにだって事情があるんだからっ。

アスカ:ランチのことなんか、どーでもいいわよっ!(ーー#

マナ:よくないわよーぉ。ランチサービスは、安くて美味しいのが食べれるんだよ?(●^O^●)

アスカ:やかましいっ!!!!(ーー#

マナ:なに、怒ってるのよ・・・。(・・)

アスカ:こうなったら、たとえユイさんでも敵だわっ!(ーー#

マナ:わたしのお義母様になんてこと言うのっ!?(ーー)

アスカ:だいたい、最後の新婚生活ってなによっ! あれはーーーっ!!!(ーー#

マナ:だって、新婚だもん。(*^^*)

アスカ:こうなったら、徹底抗戦よっ! 武器だわっ! 武器が必要だわっ!(炎 炎)

マナ:ぶ、武器って・・・。ちょっと。落ち着いて。(@@)

アスカ:殺してやるっ! 殺してやるっ! 殺してやるっ!(▼▼#

マナ:なんだか、やばーーくなってきたわ・・・。(ーー; 後は宜しくね。>ウエッキーさん
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