正月も3日を過ぎ、お餅とおせちに飽きた午後の事だった。

「たーいーくーつーよー。」

「そーうーねー。」

「お、お義母様も、キョウコさんもみっともないですよ。」

リビングでたれ○んだの如く、たれているユイとキョウコにそれを窘めるマナ。
碇邸には現在この3人しかいなかった。


『僕、カヲル君とトウジ、ケンスケと出かけてくるから。』と、シンジ。

『・・・私は冬月と共にお偉いさんとの会議、新年会に出かけてくる。』は、ゲンドウ。

『リツコに呼ばれたから仕事よ!』が、アスカ。

『私も、アスカと一緒・・・。』で、レイ。


そんな理由があって出かけているので、家には3人しかいないというわけだ。

つけっぱなしにされてるTVからは似たような正月番組が映っているだけで、誰も見てはいない。

(私もぼうっとしようかしら・・・・・。)

マナがそう思ったその時!

『ぴんぽ〜〜〜ん♪』

「はーい!」

インターホンに出ようと受話器を上げ、モニターで来客を見るとミサトが立っていた。
しかも、カメラに向って手を振っている。

「ミサトさん、あけましておめでとうございます♪」

『おめでとう!よかったら入れてくれないかしら?寒くて寒くて・・・。』

「はい、今開けますね!」

マナが急いで玄関を開けに行くと、両手一杯に荷物を持っているミサトがいた。

「・・・なんです、それ?」

「お酒とおつまみ、ユイさん達はいる?」

「家には私とお義母様、キョウコさんしかいないんですよ。」

「大丈夫よ、アスカとレイは仕事が終わったらリツコとマヤちゃんと一緒に来るから。」

「はあ・・・。」

訳がわからない、マナの頭の上には?マークがぐるぐると回っていた。
それを見たミサトが、笑みを浮かべながらこう言った。

「女性陣で新年会をやるのよ、これから!」











                             〜愛のある生活〜

                        第六章「ドキッ!女だらけの新年会♪」











「ナイスアイディアよ〜!ミッちゃん!!」

「こうしてはいられないわ、準備をしなくちゃね!
 皆がここに集合する時間は?」

「19時には来れるって言ってました。」

ユイとキョウコは時計を見る、現在16時半を過ぎたころ。

「場所はダイニングでいいわね、男達には帰ってこなくていいって連絡しなくちゃ!」

「そっちはユイに任せるわね、私とミサトさんは荷物を運ぶわ!
 マナちゃんは会場の準備をお願いね。」

「は、はあ・・・。」

さっきまでたれてた人と同一人物には思えない。
マナはそう思いながらも言われた通りに準備を始めるのであった。


ユイは受話器を上げると、ゲンドウの携帯へかけ始めた。

『・・・もしもし?』

「私よ、あなた。」

『何かあったのか?』

「今日は帰ってこなくていいから、じゃあね。」

ユイはそのまま電話を切ると、続いてシンジの携帯へとかけようとする所に電話がかかってきた。

「はい、もしもし?」

『母さん?シンジだけど。』

「どうかしたの?」

『うん、今日はカヲル君の所に皆で泊まり込みで遊ぶ事になったから、その連絡。』

「そうなの、わかったわ。」

(予定通りよ、今回は思う存分遊んできなさい。)

電話を切った後、上手い具合に事が運んだ為、ユイは笑みを浮かべて準備を手伝いに行くのだった。


一方、ダイニングでは『ある物』を見つけたミサトが固まっていた。

「・・・なんです、これ?」

「書初めよ、知らないの?」

そこには碇邸にすんでる人数分の大きな半紙が並べて置いてあったのだ。

「いや、知ってますけど・・・どうしてこんなものが?」

「ユイの提案でね、暇だったこともあるけど。」

(にしても、結構面白い事書いてあるわねぇ。)


『夫婦円満』 碇ゲンドウ

『世界征服』 碇ユイ

『夫婦善哉』 碇シンジ

『新婚夫婦』 碇マナ

『恋愛成就』 碇レイ

『彼氏獲得』 惣流アスカ

『花嫁衣裳』 惣流キョウコ


「キョウコさんの『花嫁衣裳』とは?」

「アスカちゃんが早く着てくれないかなぁって。」

「なるほど・・・。」

「もう乾いてるみたいだし、片付けて準備しましょう!」

マナとユイも合流して準備は終了、後は残りのメンバーが来るのを待つだけとなった。

現時刻 18:20





『Nerv』のリツコの研究室では4人が慌しく動いていた。

「アスカは機械の調整を!さっき説明した通りでいいわ!!
 レイは薬品の調合、配合表は持ってるわね?
 マヤは記録を欠かさずに!些細な変化も全てチェックして!!」

「任せて!」

「問題無いわ。」

「わかりました、センパイ!」

リツコ本人は物凄いスピードでキーボードを叩きながら指示を出している。
実験は大詰めなのだろうか、4人の表情には緊張が浮んでいた。

「これが終われば新年会よ、もうちょっとだけ頑張って!!」

現時刻 18:42





「そういえば、加持君は?」

碇邸では雑談が始まっていた。

「何処かに出かけてましたよ、取材とかメモがありましたけど・・・どうだか!」

「まあまあ、その辺は宴が始まったらたっぷり聞いてあげるわよ。」

「それにしても遅いですねぇ、皆。」

マナが時計に目をやると、開始5分前。

「リッちゃんは手間のかかることやってるの?」

「そうねぇ、そんな話が出てたわね。」

ユイの問いにキョウコはそう答えると、場が静まった。

現時刻 18:57





「「「「終わったーーー!!」」」」

実験は成功したらしい、笑顔で手を叩き合う4人。

「センパイ!時間がもう過ぎてますよ、急がないと!!」

時計が目に入った途端、マヤは慌てながらそう言った。

「急いで片付けるわよ!!」

「「「はいっ!!!」」」

慌てて片付け始める4人、リツコは心の中でこう思っていた。

(ユイさんの逆鱗に触れてませんように・・・。)

現時刻 19:08





碇邸ダイニングルーム、ユイがイライラし始めていた。

「遅いわ!リッちゃんは責任者として罰ゲーム決定!!」

こうなったら誰にも止められない、リツコに同情しながら、自分に飛び火しないことを願う3人。
その時、玄関のドアが開いた音がした。

「すいません、遅れました!」

リツコが頭を下げる、顔を上げると素敵な笑顔のユイが立っていた。

「いいのよ、大変だったでしょう?」

「は、はい。」

「それじゃあ、皆揃ったので始めましょうか?」

『はいっ!』

もう誰も逆らえないし、誰しもがわかっていた・・・ユイが怒っていると言う事に。

現時刻 19:26





「それではグラスを持って・・・かんぱーい!!」

『かんぱーい!!』

グラス同士がぶつかる音がする。
皆が最初の一杯を飲み、グラスを置いた所でユイが口を開いた。

「リッちゃんには遅刻の罰ゲームとして、このお酒を一気ね!」

『こう言う時』用に買っておいたのだろうか?
ビンのお酒のラベルは綺麗に剥がされており、何のお酒かわからないようになっていた。
新しいグラスに、そのお酒が並々を注がれる。

「さあ、飲んで頂戴!何のお酒かは飲み干してから教えてあげるわ♪」

「は、はい。」

そうは言ってもすぐに飲めない、やはり恐いのだ。

「ダメよ、早くしないと蒸発しちゃうでしょ。」

『えっ?!』

全員がグラスに目をやると、すでに3分の1が蒸発してしまっていた。

「・・・早く飲まないと、ビンごと飲ませるわよ。」

(ええい、なるようになれだわ!)

その一言に、リツコはグラスに入ったお酒を一気に飲み干した。
そして・・・・・。

『バタン!!』

顔は一気に真っ赤に染まり、そのまま倒れてしまった。

「あらあら、レイとアスカちゃん、リビングのソファに寝かせておいて。」

「「はい。」」

「あの〜、それでそのお酒は?」

2人に運ばれていくリツコを見ながら、ミサトはそのお酒の事を尋ねた。

「これはアルコール度数60オーバーの『マオタイ酒』って言うのよ♪」

(それはまずいでしょう、ユイさん。)

物凄く楽しそうにしているユイを見ながら、ミサトは心の中でそう思った。


それ以外は普通に宴は進んでいった。
時間は進み、全員がかなり酔ってるところでリツコが復活してきた。

「大丈夫ですか?センパイ・・・。」

「・・・何とか、ね。」

(真っ赤な顔で涙目なマヤって、素敵ね。)

酔ってるのだろう、リツコはそのままマヤの唇を奪った。

「んっ!」

『あー!!』

こんなイベントをここにいるメンバーが見逃すはずも無い、興味津々と言った表情で見続ける。

「せんぱぁい♪」

「もう、どうしてこんなに可愛いのよ、マヤは〜!」

抱き寄せてほお擦りしているリツコ、普段では絶対に見れない姿だ。

「・・・この2人の関係は私とアスカみたいなものね。」

「それ以上でしょ、これは!って・・・そんな関係じゃな〜い!!」

「あら?私はアスカちゃんが花嫁衣裳を着てくれるなら、レイちゃんでもいいのよ?」

(キョウコさん、それは間違ってますよ。)

この状況でツッコミをいれたらどうなるか、ミサトは声に出さずにいる。

「アスカは、私じゃダメなの?嫌いなの?あの日の事は遊びだったの?」

上目遣いに擦り寄るレイから何とか逃げようと、周りを見るが助けてくれるような人はいない。
・・・リツコとマヤはそれ所じゃない。

「な、何にも無いでしょう、誤解されるような事言わないの!」

「レイちゃん、何があったか教えてよ〜。」

「マナ!余計な事聞いてんじゃないわよ!!」

慌てて立ちあがるも、足元がおぼつかずに座りこむ始末。
そんな中、レイはアスカとの関係を赤裸々に告白していく。

「・・・本当に?!」

「ええ、可愛かったわ・・・。
 顔を真っ赤にしながら『レイ、お願い・・・焦らさないで。』とか言うのよ。」

先ほどの『マオタイ酒』を平気で飲みながら、ユイは引きつった笑顔を浮かべていた。

(そんな所まで似るとはねぇ、私も昔は色々したものだけど・・・。)

一体何があったのだろうか?
キョウコは話を聞きながら、意味ありげな視線をユイに送ってるし・・・親子2代でそう言う関係だったのだろうか?

「ちょっと、ユイさん!」

「どうしたの?ミッちゃん。」

「私の愚痴を聞いてくれるって言ったじゃないですかぁ。」

「そうだったわね。」

こうして、ユイはミサトの愚痴を聞く羽目になった。
・・・ミサトが酔いつぶれるまで。





      〜3時間経過〜





リツコとマヤは抱き合う様に酔いつぶれてしまい、ミサトはスッキリした表情で眠っていた。
残りのメンバーは未だに飲みつづけている。

(ここからしばらくはセリフオンリーになります、「」の前に名前の1文字目があるのでそれでキャラを判断してください。)

ユ「最近はシンジとどうなの、マナちゃん?」

マ「いつも優しくて、かっこよくて、夜の方も・・・で最高ですよ♪」

キ「正直、浮気しようと思った事とか無いの?」

マ「シンジ以上の男性にあった事無いんで、無いですねぇ。」

ア「仲が良いのはいいんだけどさ、もうちょっと自重してくれない?」

レ「・・・気にしなくて良いわ、その分、私達もいちゃつくから♪」

ア「ちょ、ちょっと、何処触ってるのよ!」

キ「この娘も男運が無いのよねぇ、私に似たのかしら?」

ユ「でも、旦那さんは良い人だったじゃないのぉ。」

キ「あの人で最初で最後かしらね、もういい年齢だしね。」

マ「ダメですよ!お2人共若いんですから、まだまだ現役ですよ。」

ユ「そうよ、老けこむにはまだ早いわよ!」

ア「そうそう、ママなら男がほっとかないわよぉ。」

キ「・・・だったら、貴方もそうなるはずでしょ、アスカちゃん。」

ア「そ、そうかも・・・。」

レ「だから、アスカに私がいるわ。」

マ「そっちの2人もベストカップルで感じだよ♪」

レ「ありがとう、マナさん。」

ア「余計な事言ってんじゃないの!」

レ「アスカはもう少し素直になったほうがいいわ、あの時みたいに。」

ア「そ、そんな事ーーー!!」

(アスカ、ここで退場。)

レ「アスカがもう少し素直になれるよう、『説得』してくるわ・・・。」

(レイ、ここで退場。)

マ「絶対、言葉によるものじゃないですよね?」

ユ「そうねぇ、本当にそんな事をしていたらの話だけど。」

キ「現場を見たわけじゃないから、何とも言えないわね。」

3「・・・・・想像中・・・・・」

ユ「それはいいとして、あの髭と別れようかと思ってるんだけど。」

マ「お義父様とですか?!」

キ「随分と急な話ね。」

ユ「正直、あの人はいてもいなくても良いでしょう。」

キ「キツイわね・・・。」

マ「ノーコメントですぅ。」

ユ「そうなったとしても、追い出すのはあっちだから。」

キ「家の事は気にしないで、もうすぐ建て直しも終わるから。」

マ「そうなると、アスカもいなくなるんですよね?」

キ「でもまあ、近所だから。」

ユ「家にずっといてくれてもいいのに〜。」

キ「そうもいかないわよ。」



マ「・・・それで〜。」

ユ「本当なのよ、でね〜。」

キ「すごいじゃない、けどさ〜。」


このまま、3人は明け方まで雑談に耽るのでありました。










〜おまけ〜

新年会も終わったものの、ゲンドウは家には帰れない。

(ホテルに部屋でも取るか?)

会場出口を出た所で悩んでいると、冬月が現れた。

「どうかしたのか?碇・・・。」

「・・・冬月か、実はな・・・・・。」

      〜事情説明中〜

「そうか、だったらワシの所に来るか?」

「・・・いいのか?」

「所詮は一人身だ、途中の屋台でおでんでもどうだ?」

「・・・すまない。」

冬月は黙ってゲンドウの肩を叩くと、止まっていたタクシーへと乗りこんだ。



下ろされた場所のすぐそこに屋台があった。

「あそこだ、きんちゃくと昆布巻きが絶品だぞ。」

「・・・酒は日本酒か?」

「当然だな。」

2人がのれんを捲って座ると、親父が笑顔で話しかけてきた。

「へいらっしゃい!冬月さん、いつもありがとうございます!」

「・・・よく来るのか?」

「まあな、親父さん、いつものを盛ってくれ。」

「あいよ!横の人も同じでいいかい?」

「・・・ああ。」

そう言って出てきたのが、丼に山盛りに盛られたおでんと冷酒。

「・・・凄いな、これは。」

「味も凄いぞ、食べてみろ。」

ゲンドウは言われるままにちくわを掴むと、口に運んだ。
食べ終わったその表情は笑顔であった。

「・・・美味いな。」

「だろう?辛い事を忘れて、今日はワシの奢りだからな。」

「ヤボな事聞きますが、なにかあったんですかい?」

「・・・実は・・・・・。」

ゲンドウは親父に今までの事を話した。

「そうだったんですかい・・・。
 よしっ!今日は閉店、あっしの奢りでさぁ、好きなだけ飲んで食べてしてくだせぇ!!」

「いや、それは悪いよ、親父さん。」

「気にしないでおくんなせぇ、あっしとゲンドウさんは年も近いし、お正月特別サービスでさぁ!!」

「・・・感謝する。」

こうして、新たな友人と今日の寝床を確保したゲンドウは、辛かった事を忘れて楽しんだのであった。















<後書き>

あけましておめでとうございます、ウエッキーです。

1ヶ月ほどお休みしてました、色々あったものですから。
今まで読んでくださった方々には申し訳無かったです、これから徐々に頑張りたいと思ってます。

それでは、今年もよろしくお願いします!m(_ _)m



ウエッキー 「久しぶりだなぁ〜。」

ユイ    「あら?生きてたのね、貴方?」

ウエッキー 「ひ、酷いですよぉ。」

ユイ    「まあ、クリスマスSSも書かないような貴方にはピッタリの挨拶だと思ったけど?」

ウエッキー 「すみません・・・。」

ユイ    「今日は忙しいのよ、代わりにレイに相手してもらって頂戴。」

レイ    「・・・こんばんわ。」(書いてるのが夜なので。)

ウエッキー 「どうも、今回はどうでした?」

レイ    「貴方はレズが好きなの?」

ウエッキー 「そ、そんな事は無いですよ。」

レイ    「今回は3組、前作では2組。」

ウエッキー 「一般的にそう思われてる組み合わせ以外は、話のネタとしてるだけですよぉ。」

レイ    「・・・まあ、そう言うことにしておくわ。」

ウエッキー 「おっと、それではこの辺でさようなら〜♪」

レイ    「・・・さようなら。(逃げたわね、作者。)」





<次回予告>

書初めを実行する為に、ユイは決戦兵器の開発に着手する。
はたして、彼女は世界征服できるのか?
ゲンドウとは離婚するしかないのか?

次回、愛のある生活 〜第七章〜 「碇ユイ、世界征服への道!」(嘘)

を、お送りしません!

*次回については未定です。(本当)


アスカ:アタシは、ず〜れ〜じゃなーいっ!!!(ーー#

マナ:今回はちょっと黙っててっ。(どかっ! ぐしゃっ! ばきっ!)

アスカ:う〜ん。(沈黙)

マナ:煩いのは黙らせてっと、今日はゲストにΔLoveForceの綾波さんに来て貰いましたぁっ!

Δレイ:ここに来るの久しぶりね。

マナ:で、ですねぇ。この綾波さんの動きはやっぱり、脈ありと思うかしら?

Δレイ:私ならドサクサに紛れて、アスカに抱きついてるわ。

マナ:じゃぁ、まだ真相はわかんない?

Δレイ:おちゃめなだけかも・・・。

マナ:うーん。この話で、1番謎めいてるのはやっぱりこの綾波さんねぇ。

Δレイ:で、この目を回しているアスカ。貰っていい?(*^^*)

マナ:あっ。持ってって。うんうん。好きにしてくれていいわよ。

Δレイ:ありがとう。感謝の言葉。(*^^*)(ズルズルズルズル)

マナ:アスカ。無事でいてね・・・。(もう帰ってこないでね。)(^^v
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ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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