翌日、ケージに一つの人影があった。
渚カヲルである。

(シンジ君、君の願いを叶える為に、僕は始めるんだ・・・。)

カヲルは『零号機』を『力』で操ると、『ターミナルドグマ』へと向い始めた。

「誰にも邪魔されない所で、君の願いの第一歩を始めよう、さあ!」



発令所内にけたたましいサイレンの音が鳴り響いた。

「ATフィールドです!発生源は・・・ぜ、零号機?!」

「モニターに出せ!」

冬月の指示で、モニターに映し出されたのは零号機とカヲル。

「ち、宙に浮いてるじゃない、アイツ!」


「委員会が直接送りこんでくるとはな・・・。」

「老人達は焦っているのだろう・・・。」

冬月とゲンドウが何やら小声で話している中、ミサトの指示が飛ぶ。

「アスカとシンジ君は弐号機と初号機で彼を止めて!!」

「任せて!」

ケージへと駆け出すアスカだが、シンジは俯いたまま動けないでいた。

(そ、んな・・・。)

「シンジ君!!」

「・・・は、はい!」

「聞いてたの?!初号機で彼を止めなさい、いいわね!!」

「は、はい!!」

涙が出そうになるのを堪えながら、シンジはケージへと走った。


一足早くケージについたアスカは弐号機に乗りこめないでいた。

「エントリープラグに入れないわ!ハッチが潰されてる!!」

「仕方ないわ、アスカは戻って来て。」

アスカが戻ろうとした時に、シンジが走って現れた。

「アイツ片付けたら、今日は帰ってきなさいよね。」

「・・・・・。」

アスカの言葉に返事せず、シンジはエントリープラグへと入る。

(無視したわね!覚えてなさいよ・・・昨日の分と合わせて引っ叩いてやるんだから!!)



「エントリープラグ挿入・・・シンクロ率・・・・・ハーモニクス・・・初号機、起動しました!」

「発進!!」

そして、初号機もターミナルドグマへと向う。


「ミサトさん・・・。」

「何?シンジ君。」

「彼は、カヲル君は使徒なんですか?」

ミサトは後ろを振り返り、冬月とゲンドウを見た。
冬月がミサトの無言の問いに、首を縦に振って答えた。

「ええ、彼は17番目の使徒に認定したわ。」

「・・・・・。」

シンジの口が微かに動いた様に見えた、ミサトは名前を読んだ。

「シンジ君?」

「嘘だ!」

『!!』

突如上がったシンジの声に、発令所にいた者が驚きの表情を浮かべる。

「嘘だ!カヲル君が使徒だなんて、嘘だ!!」

「事実よ、受け止めなさい。」

「信じないよ、カヲル君は僕の友達なんだ、使徒なんかじゃない!!」

モニターに映し出されてるシンジの目には涙が浮かんでいた。

(碇君・・・。)

心配そうに見つめるのはレイだけであった。



「使徒、零号機、共に最下層に到着・・・ヘブンズドアが開かれました!」

「同時に、零号機の活動停止を確認!」

報告された内容にミサトは首を傾げていた。

(初号機と戦わせる為に零号機を持ち出したんじゃないのかしら・・・?)

「初号機も最下層に到着、ヘブンズドアに入ります!」

初号機がドアの中に入った途端、激しいノイズと『砂嵐』が発令所を襲う。

「ど、どうした?!」

「初号機がドアに入った瞬間から、モニター出来なくなりました!」

「こちらの操作は何も受け付けません!」

モニターする事を諦めると、発令所に静寂が訪れた。

「碇・・・。」

「・・・・・。」



ヘブンズドアをくぐり、先へと進む初号機。

(零号機には誰もいなかった・・・カヲル君はこの先?)

しばらく歩いていると、広い空間に出た。
目の前にあるのは大きな十字架と、張り付けられている『白い物体』、そして浮いているカヲル。

「カヲル君!!」

「・・・やあ、待っていたよ、シンジ君。」

昨夜話した時に見せてくれたのと変わらぬ笑顔、その表情にシンジはほっとした。
・・・目の前で、『人間』には出来ない事をしているというのにだ。

「カヲル君、嘘だよね?カヲル君は使徒じゃないよね?」

「・・・嘘じゃないよ、僕は使徒だよ、シンジ君。」

「そ、そんな・・・・・。」

何を見せられても、本人から聞くまでは信じなかった。
しかし、その本人の口から聞いた言葉は、聞きたくなかった真実。

「でも、君と僕は友達同士だよ。」

「け、けど・・・。」

ハッキリしないシンジに、カヲルは真剣な表情になると、こう問いかけた。

「君にとって『使徒』とは何だい?」

「そ、それは、人類を滅亡させよ「違うね。」

シンジが言い終える前に、カヲルに遮られてしまった。

「それは『大人』の言葉、僕は君の言葉で聞きたいんだ。」

「・・・・・・・。」

「答えられないかい?」

「・・・・・・・。」

「じゃあ、聞き方を変えるね・・・細かい事、使徒とかは無しにして、君と僕は友達になれないかい?」

「な、なれるよ、僕は君と友達だから。」

少し震えながらの答えに、カヲルは満足そうに笑みを浮かべた。

「じゃあ、もう一度聞くよ、君にとって『使徒』って何だい?」

「と、友達になれるそ、存在?」

「そう、もっとも、今までのは大きすぎたし、形状も特殊なのばかりだったけどね。」

そう言うと、カヲルは苦笑して続ける。

「シンジ君、僕、いや、僕達は『人』のいる世界で静かに暮らしたいと思ってる。」

「何を、言ってるの・・・カヲル君。」

「僕達は常にそのメッセージを発していたのさ・・・結果、伝わらなかったけどね。」

「そんな!」

「よく思い出してみてごらん、僕達から戦闘を仕掛けた事は無いだろう?」

「・・・・・・・。」

「僕の様に明確なメッセージを送る事が出来なかっただけ、敵だと判断していたのは大人達なんだよ。」

「で、でも・・・。」

「倒してしまった事なら気にしなくていいよ、彼らはここにいるんだからね。」

「!!」

『・・・・・・・・・・・。』

「こ、これは綾波?!」

「そう、ファーストチルドレン・綾波レイの『器』さ。
 君も見せられたのだろう、大人の醜い感情によって・・・。」

「・・・・・・・。」

「でも、よく見ると彼女とは違うはずだよ。
 コアの『色』とでも言うのかな、色彩の『色』ではないんだけどね、それが個々で違うから『器』にも影響される。」

「・・・・・・・。」

「してしまった事はしょうがないし、恨むつもりも無いよ。
 シンジ君、僕達と共に来ないかい?」

「どこへ?」

「僕達が静かに暮らせる場所、自由でいられる場所。」

「自由?」

「君も憧れているだろう?
 自分の時間に、今の生活は自分が望んだものではないから・・・。」

「・・・・・・・。」

「シンジ君、僕は君と戦いたくないんだ・・・。」

「わかったよ、カヲル君・・・僕も君達と共に行くよ。」

「ありがとう、シンジ君。」

(そして・・・・・・・。)



カヲルとシンジ、そして14人の少女達は姿を消した。



それから1週間が経過した。
シンジは行方不明となり、Nervが全力で捜索していた。

「バカシンジの行方はわかったの?ミサト!」

「今探させてるわ、気持ちはわかるけど落ち着いて。」

「気持ちがわかる?
 わかるわけ無いでしょ、この1週間コンビニ弁当ばっかで、部屋は汚くなるし、どうしてくれんのよ!」

「シンちゃんも、何か悩みがあるなら言ってくれればいいのに・・・。」

(家事全般をやらせて、言う事聞かなきゃ力で訴える・・・碇君も逃げたくなるわ。)

アスカとミサトがイライラしてる中、レイは声に出さず静かに怒っていた。

(でも、どこに行ってしまったの碇君・・・・・。)

こうして、自分達の生活の為、自分の思い人の為に彼女達は立ちあがった。











                        ・ 自由への道のり、愛の扉 ・

                        第1話 「全てはここから・・・」











第3新東京市

この街から出る事はせず、シンジ達は生活をしていた。
・・・と言っても、シンジは外を歩く事が出来ないのだが。

「ただいま♪」

「お帰り、サキエル。」

「ただいま、シンジ君♪」

買い物袋を持って1人の少女が家の中へと入っていく、彼女の名は『渚サキエル』。
かつて現れた『第3使徒・サキエル』である。

「お帰り、サキエル。」

「ただいま、カヲル兄さん。」

「あれ?誰もいないの?」

「皆は『散歩』に出かけたよ。」

カヲルの言葉に、サキエルは一瞬だけ真剣な表情を覗かせた。
しかし、すぐにそれは消える。

「そうなんだ、夕飯には帰って来るよね?」

「そう思うよ。」

「じゃっ、仕度しなくっちゃ♪」

買い物袋持って台所に行こうとすると、シンジが後ろから袋を掴んだ。

「僕も手伝うよ、サキエル。」

「ありがと!シンジ君はお料理上手だもんね♪」

笑顔でお礼を言うと、2人はそのまま台所で仕度を始めた。



(シンジ君の捜索が思った以上に進んでる・・・。まあ、心配はしてないけどね。)

カヲルはリビングのソファに座り、目を閉じて、集中し始める。
そして、自分の妹達にテレパシーのようなものを送り始めた。

{イロウル・・・聞こえるかい?}

{何か?カヲル兄さん。}

{どうだい?『捜索人』の方は?}

{ええ、ガギエル姉さんとゼルエルが全滅させたわ。}

{そうか・・・けど。}

{どうかした?}

{女性で『ガギエル』・『ゼルエル』はちょっとね、と思って。}

{名前は気にする必要が無いわ。}

{まあね、もうすぐ夕飯だから戻ってくる様に皆に伝えてくれるかい?}

{わかったわ。}

『会話』を終えると、カヲルはソファに深く腰掛け、息を吐いた。

「ふう。」

(今のままだといずれはばれてしまうね・・・直接『彼ら』は滅ぼすしかないのか?)

「どうしたの?カヲル君。」

「!! シ、シンジ君、驚かさないでくれるかい?」

いきなり声をかけられたカヲルは、思いっきり驚いた。

「ゴメン、味見を頼もうと思って・・・いいかな?」

「いただくよ。」

カヲルはスープの入った小皿を受け取り、一気に飲み干した。

「どう、かな?」

「凄く美味しいよ、こんなに美味しいスープを作れる君は好意に値するね。」

「ありがとう。でも、誉め過ぎだよ。」

嬉しそうにはにかみながら、シンジは台所へと戻っていく。

(僕はシンジ君に『あれ』をしなければならない・・・した後でも、彼は今のような表情を見せてくれるだろうか?)

カヲルは皆が帰ってくるまで、天井を眺めたままでいるのだった。



『いただきます。』

皆が揃い食事が始まると、カヲルが全員に向って語り始めた。

「ちょっと聞いてくれるかい?」

皆が食事の手を止め、カヲルに視線を向ける。

「皆知っての通り、シンジ君を探している『捜索人』がここ近辺に現れている。
 そこで、僕がNervに行こうと思う。」

『!!』

「そんな!いくら何でも危ないよ、カヲル君!!」

シンジに微笑みながら、カヲルは続ける。

「大丈夫だよ、シンジ君。
 危なくなったら逃げるから、それに戦っても負けるつもりもないしね。」

「で、でも・・・。」

「大丈夫です、カヲル兄さんは強いですから。」

シンジの隣に座っているイロウルが言うと、カヲルは微笑みながら頷いた。

「戻って、来てくれるよね?」

「当然だよ。君の料理をまだ食べたいし、何より君と一緒にいたいからね。」

「約束だよ?」

「ああ、約束だよ。
 さあ、夕食の続きにしようか?」

こうして、夕食の時間は過ぎていく・・・・・。





シンジの部屋

夕食の後片付けを終え、自分の部屋でくつろいでいると、ドアをノックする音が聞こえた。

『コンコン!』

「はい?」

「僕だけど、入っていいかい?」

「うん、いいよ。」

シンジの許可を得て、カヲルは部屋の中へと入る。

「話をしたいと思ってね。」

「うん、何の話?」

「君の事なんだけど・・・・・。」

言いづらい内容なのだろう、カヲルの表情が少しゆがむ。

「君は僕達をどう思う?」

「どうって?」

「姿形は『人間』だけど、『人』であらざるものについてさ。」

「いいんじゃないかな。」

「どういう、意味だい?」

「ぱっと見てカヲル君達が『人』じゃないなんてわからないと思うんだ。
 だから、普通に生活をする事は問題無い事だと思うよ。」

そして、シンジは顔を少し赤くしながら言葉を続けてこう言った。

「それに、皆は僕の大事な『友達』だから・・・。」

「ありがとう・・・。」

2人はお互いに照れ笑いを浮かべていた。



しばらくして、カヲルが意を決した表情で話しかけてきた。

「シンジ君。」

「何?カヲル君。」

「君は僕達と同じ様な『力』が欲しいと思うかい?」

「そんな事が出来るの?」

「この家にいるのは3〜17番目の使徒なんだ、2番目はNervにいる。
 そして、1番目の『力』を引き継ぐ事が可能なんだ。」

「Nervにいるの!?」

カヲルの言った『2番目はNervにいる』と言う発言に驚き、シンジは聞き返した。

「そうか、知らなかったのかい?」

シンジが黙って頷いた、カヲルはそのまま続ける。

「ファーストチルドレン・綾波レイは造られた存在なのは知ってるね?
 彼女は君のお母さんの遺伝子と第2使徒・リリスを使って造られたのさ。」

「だから、綾波を母さんだと思ったんだね・・・。」

「『器』・『魂』と造られた彼女、リリスの『力』は彼女の『魂』となって受け継がれているんだ。」

「じ、じゃあ、1番目って言うのは・・・?」

レイの事に衝撃を覚えながら、自分が受け継ぐかもしれない『1番目』について尋ねた。

「第1使徒・アダム、セカンドインパクトを起こした存在、そして僕よりも強い存在・・・。」

「・・・・・。」

「今、アダムは君のお父さんが持っている。」

「そ、そんな・・・。」

「明日Nervに行った時に回収してくるつもりだよ。」

「と、父さんを殺すの?」

お互い、歩み寄る事も歩み寄ってくれる事も無い存在だが、シンジは尋ねた。

「そんな事はしないさ、返してもらうだけなんだから。」

「そうなんだ・・・。」

「出来れば、君には受け継いでほしい。
 僕達と同じ『刻』を過ごしてほしいからね。」

「き、急には決められないよ、考えさせてもらえるかな?」

「そうだね、そうしてもらえると嬉しいよ。」

シンジの答えに満足そうな笑みを浮かべると部屋を出ていこうと立ちあがった。

「それじゃあ、おやすみ、シンジ君。」

「うん、おやすみ、カヲル君。」

お互いに挨拶を交わすと、シンジはベッドに横になったが寝付けない。

(僕が『人』でなくなれば・・・カヲル君達と一緒にいられる、か。)

空が明るくなっても、シンジは眠れずに考えつづけていたのであった・・・・・。





翌日

「それじゃ、行って来るよ。」

「うん、気をつけてね。」

やはり心配げな表情を浮かべるシンジに、カヲルは微笑み返す。
そして、昨夜言った通りにNervへと向った。



Nervに到着したカヲルは、ゲートのスリットにIDカードを通すと、

『ピッ!』

短く高い機械音が鳴り、ゲートが開いた。

(僕が使徒だと言う事はわかっているはずなのにずさんだね、・・・まあそれどころではないんだろうけど。)

笑みを浮かべたまま、発令所へと向う。



その頃、発令所では早朝から『碇シンジ捜索隊』の第2陣を編成、捜索に向わせていた。

「昨日、Wポイントの調査に向ったメンバーが戻ってこなかった事から、今回はWポイントを徹底的に調査・捜索、いいわね!」

『はっ!!』

捜索隊メンバーに通信で指示を送る、ミサトの表情は必至そのものだった。
その様子を離れてみているのはアスカとレイ、リツコだ。

「ミサト、相当テンパッてるわね。」

「シンジ君を心配しているんでしょう、一応は家族として。」

「・・・違うわ、貴方と一緒、生活がかかってるからよ。」

レイはアスカの方を向いて、そう言い放つ。

「なんですって!!」

「・・・事実、碇君、辛そうに私に話してくれたもの。」

(シンジの奴〜、見つけたらお仕置き決定ね!)

顔を真っ赤にして拳を握るアスカに向って、リツコは言った。

「無様ね・・・。」





ちょうどその時、発令所の扉が開いた。

「朝からご苦労様です、皆さん。」

入ってきたカヲルは、丁寧な物腰で頭を下げた。

「・・・何の用だ?」

「指令もいらっしゃったんですね、貴方にも用があるんですよ。」

「まさか!」

カヲルの言葉に驚いたのは冬月だった。
ゲンドウは無表情のまま、カヲルを見つめている。

「予想通りだと思いますよ、副指令。
 そして、皆さんに、特に葛城さんとファースト・セカンドチルドレンが知りたい事を教えにきました。」

「それって・・・。」

「シンジの事?!」

「・・・・・・・。」

三者三様の反応を見てから、カヲルは頷いてから言葉を続ける。

「その通り、シンジ君は僕達が預かっています。」

『!!』

「・・・人質か?」

「いえ、シンジ君との交換では貴方は渡さないでしょう?
 それに元々、交換するつもりも、貴方に選ぶ権利もありませんけどね。」

「・・・・・。」

「・・・どうして、碇君を?」

「彼を自由にするためだよ。
 彼自身、僕達と共にいる事を選んだんだよ、強制じゃない。」

「シンジを返しなさいよ!!」

「断るよ、君達の所にいたら彼は不幸になる。」

「「!!」」

この発言にミサトとアスカは固まり、数人の首が立てに何度か振られた。

「彼は僕達の所へ来てから、色々と話してくれたよ。
 楽しかった事よりも、辛かった事や悲しかった事の方が多かったかな。
 最後には愚痴を沢山聞けたよ、10個の内8個は君達2人の事だったね。」

「だ、だからって・・・。」

「彼にしてもらうばかりで、貴方は何もしていない。
 扶養手当も酒代にする、形ばかりの保護者、そんな貴方に彼は絶望し、疲れきっていた。」

ミサトに言い終えると、続いてアスカの方を向く。

「事ある事に『バカシンジ』、作った料理は誉めもしないで悪態ばかり。
 要求するばかりで、その通りやっても『さも当然』と言った態度、または文句を言われる。
 君のそんな態度に不満を漏らせば、暴力で言う事を聞かせられる。
 理不尽な要求、理不尽な態度、自分では何もしないのに、そんな君に彼は言えない不満を持っていた。」

「ぐっ・・・。」

2人は何も言えない、言われてみればその通りなのだから。
黙って俯いている2人を一瞥すると、カヲルは体を浮かし、ゲンドウの目の前へと現われる。

「さて、貴方からは返してもらいますよ・・・『アダム』を。」

「!!」

「やはり、それか・・・。」

組んでいる手に力が入る、サングラスで表情が窺い知れないが。

「くっ!」

冬月が持っていた拳銃を構えるが、カヲルは気にも止めない。

「撃ちたければご勝手に、効きもしませんし、こちらも止めるわけにはいきませんから。」

カヲルは組んであるゲンドウの手を取ると、してある手袋を剥ぎ取った。
現れたのは手と融合している『アダム』。

「貴方は『適格者』ではない・・・。」

『ピカーーー!!』

カヲルの手が『アダム』に触れた瞬間、辺りが赤い光に包まれた。


気がつくと、そこにカヲルの姿は無く、ゲンドウの手から『アダム』が消えていた。

「碇・・・。」

「ああ、取り返さねばならん・・・。」

サングラスで表情は窺い知れないが、ゲンドウは組んだ手に力を入れながら、そう呟いた・・・・・。

















<後書き>

ども、ウエッキーです。

『自由〜』の第1話でございます。

作中のレイの予備の体(?)についてですが、確か24話の前にリツコによって破壊されてましたよね?


・・・・・今回はそれが行われなかった、と言う事で。(^^;


<独自設定>
ゲンドウとリツコの仲が原作より良く、嫉妬する事は無かった

細かい所は色々あるでしょうが、すいませんが勘弁してください。m(_ _)m
そんでわ!



レイ    「・・・碇君。」

ウエッキー 「心配ですか?」

レイ    「当然、あの人と一緒に消えたから・・・余計心配。」

ウエッキー 「おホ○達になるような事はありませんから、大丈夫ですよ。」

レイ    「早く私が・・・。」(ぽっ)

ウエッキー 「まあまあ。」

レイ    「・・・ラーメン。」

ウエッキー 「はい?」

レイ    「我慢するから・・・、ニンニクラーメンチャーシュー抜き。」

ウエッキー 「そう言うと思ってましたよ、はい。」

レイ    「じゃあ、我慢する・・・。」(食事中)

ウエッキー 「そんなこんなですがこの辺で、感想メールは何時でもお待ちしております♪」

レイ    「・・・おいしい。」

ウエッキー 「やれやれ・・・。」(^^;



<次回予告>

アダムを取り返し、後はシンジ次第。
シンジは『人』でいるのか、『使徒』となるのか・・・。

一方、Nervではゲンドウの指示で大掛かりな捜索が始まろうとしていた。
捜索隊が再編成され、EVAもスタンバイする事が決まった。
見つかり次第、第17使徒・渚カヲルを殲滅する為に・・・。

次回、・ 自由への道のり、愛の扉 ・ 第2話 「選択」


アスカ:アンタっ! にんにくばっかり食べてたら、臭うわよっ!

レイ:美味しいもの・・・。

マナ:にんにくより、シンジが使徒になっちゃうわよっ!

レイ:同じようなものよ。

アスカ:ど・こ・が・よっ!

マナ:シンジまで、にんにく好きになったら困るわ。

アスカ:そういう問題じゃなくてっ!

レイ:大丈夫。「し」と「ひ」の1文字しか違わないもの。

マナ:でも、同じ文字も「と」の1文字だけよ。

レイ:フィフティーフィフティーなのね。(・;)

アスカ:いや、だから。アンタら・・・そうじゃなくてね。これだから、コメントにファーストが入ると嫌なのよ。
作者"ウエッキー"様へのメール/小説の感想はこちら。
frontier@tokai.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system