(ここは・・・何処?)

目に入ってきたのは『白い天井』
レイは体をゆっくりと起こすと辺りを見回す。
そこは見慣れた場所であり、自分が何処にいるのかがわかった。

(私は倒れて・・・本部に連れてこられたのね・・・・・。)









「アタシが負けた・・・・・。」

アスカはベッドに横になりながら、そう呟いた。

昨日の戦闘は完敗だった。
目標だったシンジとカヲル、このどちらも『捕獲』する事が出来なかった。
それどころか、シンジが自分を激しく拒絶し、攻撃してきた。
結果、作戦は失敗し、EVAは中破、自分もこんな有様になっている。


(アイツ、恐かった・・・・・。)


思い出した時に甦った、昨日の光景。
『人』には出来ない事をしたという事実もそうだが、シンジが自分を殺そうとした事が恐かった。
自然と体が震え始める。

(アイツとは戦いたくない!)















                        ・ 自由への道のり、愛の扉 ・ 

                            第5話 「再会」















Nerv本部・発令所

朝、出勤してきたミサトはここへと向う。
発令所へと入ると、それに気付いたリツコが近づいてきた。

「おはよう、ミサト。」

「おはよう、リツコ。」

お互いに挨拶を交わすと、リツコが手に持っていた書類を手渡しながら言った。

「アスカの意識、戻ったわよ。」

「そう・・・。」

良い知らせのはずだが、ミサトの表情は明るくない。

「浮かない顔ね?」

「流石に、昨日の光景を見るとね・・・。」

ミサトの脳裏に浮かんでくる


『シンジが、A.T.フィールドで弐号機の腕を吹き飛ばした』


事実とわかっていても、認めたくは無いことだ。
この事はリツコも、と言うより、職員のほぼ全員が見ていた。

「それにも書いてあるけど、神経・脳波に異常は無いわ。問題なのは『心』の問題ね。」

「『心』?」

「アスカはEVAに関しては人一倍の執着を見せ、プライドの元にもなってるわ。
 シンクロテストで負けた時なんか、大変だったのは覚えてるでしょう?」

「ええ。」

「中でも、1番負けたくなかった相手がシンジ君。
 そのシンジ君にEVA無しで、生身で負けたとなると・・・・・。」

「ショックが大きい、わけね?」

「『人外の力』、恐怖感を抱いたままでは戦えなくなるわ。」

「・・・・・・・。」

「後は貴方の仕事よ、ミサト。」

そう言って、リツコは自分の持ち場へと戻っていった。

(そうは言ってもね、私も恐いのよ・・・リツコ。)

ミサトは俯き、立ち尽くしていた。






一方、シンジはカヲルとアルサミエルを伴って、Nervへと向っていた。

(お母さんに会えるかな〜♪)

笑顔でスキップしているアルサミエル、シンジはカヲルに耳打ちで尋ねる。

「どうして、あんなにご機嫌なの?」

「出かけるのが楽しみだったんだと思うよ、あまり遠出は出来なかったからね。」

「そうなんだ・・・。」

シンジは外に出るタイプではないので、その気持ちはよくわからなかった。

「君も楽しみな事があると思うけど?」

「え?」

「綾波さんに会える、これは楽しみじゃないのかい?」

「なっ!!」

シンジの顔が真っ赤になる、その様子をカヲルは笑顔で見つめている。

(君やアルサミエルだけじゃない、僕も彼女に会うのが楽しみなのさ・・・。)

「急ごうか、あまり遅くなるのは相手に失礼だからね。」






「来ました!」

発令所ではゲート前に到着したシンジ達を捉えていた。

「・・・司令室まで通せ。」

「わかりました。」

ゲンドウの指示に従い、ミサトがゲートまで迎えに出る事になった。

(司令は何をするつもりなのかしら?
 昨日の作戦も『捕獲』理由も聞けなかったし・・・。)

コツコツと、自分の足音が響く中を考えながら進む。

(シンジ君が生身でフィールドを張れた事も気になる、関係あるのかしら?)



「遅いね〜。」

「もうすぐ来ると思うよ、ミサトさんかな?」

アルサミエルにシンジがそう答えると、ミサトがゲート奥から現れた。

「予想通りだね、流石はシンジ君。」

「何が予想通りなのかしら?」

カヲルの言葉に、何処か表情の硬いミサトが尋ねた。
警戒しているのだ、目の前の3人に。

(シンジ君と渚カヲル・・・あれはレイ?!)

「彼女の名前はアルサミエルって言うんです。」

「!!」

(アルサミエルですって、それって・・・。)

カヲルの言った名前には聞き覚えがあった。
それは、第16使徒殲滅後につけられた名前と同じだったのだ。

「予想通りだと思います、それよりも案内してもらえませんか?ミサトさん。」

「え、ええ、そうね、シンジ君。」

シンジの言葉に、ミサトはゲートを開けると3人を中へと入れた。



司令室へと向う間、無言であった。
シンジ達は会話をする必要が無かっただけだが、ミサトは口を開けなかった。

(私は彼らを、いえ、シンジ君を恐がっている・・・?)

いつもの彼女ならば、無理やり話題を作ったりしただろうが今回は違った。
それを自分で認識できたが故に、こう思ったのだろう。


司令室前に到着すると、冬月が立っていた。

「ご苦労だったな、葛城三佐。」

「後はお任せしても・・・?」

「構わんよ、君は発令所へ行くように。」

「それでは、失礼します。」

ミサトは冬月に一礼すると、早足でその場から立ち去った。
その姿を見ている3人に、冬月が声をかける。

「さて、ついてきなさい。」

ドアが開き、冬月を先頭に中へと入っていく。

(うわぁ、広いな〜、暗いけど・・・。)

中の広さにアルサミエルが驚いた表情を浮かべた。
カヲルは特に気にする様子も無く、シンジは奥で座っているゲンドウを見ている。

「・・・渚カヲル、アダムを返せ。」

ゲンドウの開口一番がこれだった。
アルサミエルはあきれ、シンジが睨みつける中、カヲルが答えた。

「お断りします。」

「・・・何が望みだ?」

「貴方では僕の望みを叶えることは出来ませんよ。だから、お断りします。」

ゲンドウの表情がゆがむ、一方のカヲルは微笑を浮かべている。

「そうですね、言うだけ言いましょうか?」

「・・・・・・・。」

「シンジ君ですよ、彼が僕の側にいてくれる事。」

「・・・好きにすればいい、代わりにアダムを渡せ。」

ゲンドウの言葉に、カヲルは『くすっ』と笑ってから言った。

「無理ですよ、シンジ君とアダムは完璧に同化してますから。」

「「!!」」

「と言う事はです、貴方の言う交換条件は成り立たなくなりますよね。」

まさにその通りだった、相手が相手だけに力づくでは不可能なのはわかっている事だ。
ゲンドウと冬月の表情が暗くなるのが3人にはわかった。

(それならば、シンジだけでも取り戻せば、何とかなる・・・。) 

「・・・シンジと話がしたい。」

「シンジ君さえ良ければ。」

全員の視線がシンジに注がれる。
シンジはカヲルの方を見て、首を縦に振った。

「僕らはどうすれば?」

「・・・好きにしろ。」

「ま、待て、碇!?」

いい加減とも思えるゲンドウの対応に、冬月が待ったをかけた。

「・・・構わん、エヴァでも使わねば止められん存在だ。
 それに、シンジがここにいるのだ、何もしないだろう。」

ゲンドウは視線だけカヲルに向けると、カヲルはそれを笑みで返した。

「じゃあ、後でね、シンジ君。」

「バイバイ!シンちゃん!!」

カヲルとアルサミエル、そして冬月は司令室を出ると、逆方向に歩き始めるのだった。





シンジ side

室内にはゲンドウとシンジが対峙していた。
無表情で見つめるゲンドウに対し、シンジは仇を見る様に睨みつけている。

「・・・戻って来い、シンジ。」

「いつもいきなりだよね、父さんは。」

「・・・・・。」

何も答えないゲンドウを気にせず、シンジは続ける。

「はじめて貰った手紙、あれには『来い!』だけだったし、いきなりなのが好きなの?」

「・・・戻ってくるのか?来ないのか?」

「無駄話はする必要は無いって事だね。」

「・・・・・・・。」

「答えはNoだよ、父さん。」

「!!」

自分と思っていた展開と違っていた。
ゲンドウはシンジが1人になれば、こちらに戻す事は容易い事だと思っていた。
親である自分の言う事は聞くものだと、今までだって思う通りに動かしていたのだ。
ところが、目の前にいる息子は、親である自分の言う事に逆らったのだ。

「・・・貴様、逆らうのか?」

「父さんが欲しがっているのは『碇ゲンドウの息子・碇シンジ』じゃなくて、
 『エヴァンゲリオン初号機パイロット、サードチルドレン・碇シンジ』だからだよ。
 それに、今は『アダム』も同時に手に入るんだからね。」

「!!」

「ここに手紙で呼び出された時は期待してたんだ。
 でも、ここに来てからは『チルドレン』って言うパーツでしか扱われない。
 しかも、住まわせてもらっている所では主夫業までやらされるんだ。」

「・・・・・・・。」

「だから、僕を『僕』として見てくれるカヲル君達と一緒にいる事を望んで、ここを出ていったんだ!
 一緒の『刻』を生きたいが為に、同じ『モノ』へとなりたいが為に、『アダム』と同化することを望んだんだ!!」

「・・・戻ってくるつもりは無いんだな?」

「当然だろっ!
 自由になる為の『力』を手に入れたんだ、もう父さんの言いなりになんかならない!!」

「・・・ならば、ここから出ていけ。力づくで『アダム』を取り返す。」

「やってみればいいだろ、次にあった時は・・・・・。」

そこまで言うと、シンジはドアの方へと歩いていく。
ドアを開けると、振り返ってこう言った。

「殺すからね、父さん。」



「はあはあ・・・。」

ゲンドウの息が乱れる、背中には嫌な汗をかいた事を感じていた。

(私が、私が、恐怖を感じたと言うのか・・・シンジに!!)

「くっ!!」

『ダァーーーン!!』

机を思いっきり叩いた。
今まで自分の意のままに動かしてきた相手、しかも息子に恐怖を感じたと言うのは、彼にとっては屈辱だった。

(絶対に取り戻す、計画も大事だが・・・私のプライドの為にも!!)





カヲル・アルサミエル side

司令室を出た2人は何処かへと向っていた。
先頭を歩くのはカヲル、アルサミエルはここに来た事が無いので、後をついて歩いていた。

「何処に行くの、お兄ちゃん?」

「迎えに行くのさ。僕らの、シンジ君の大事な人をね。」

「それって・・・。」

「君の思ってる通りだよ。」

(お母さんに会えるんだ!)

カヲルの言葉に、アルサミエルは喜んだ。
よほど嬉しいのだろう、スキップまでするくらいだ。

「嬉しいのはわかるけど、慌てなくてもいいんだよ。」

「そうかもしれないけど、嬉しいんだもん!」

場所を知らないのに、先に行ってしまった『妹』を見ながら微笑む。

(シンジ君、こっちは僕に任せてね。)



一方、司令室を出た冬月は発令所にいた。

「彼らは何処にいる?」

「はっ、モニターに出します。」

職員がキーボードを叩くと、モニターにはカヲルとアルサミエルが映し出された。

「何処に向っている?」

「ここから先は医療フロアです。」

(医療フロア?確か今は・・・・・はっ!!)

「ファーストとセカンドは何処にいる?!」

「えっ、あっ・・・。」

突如大声で聞いてきた冬月に、職員は驚いた。

「何処にいる?!」

「び、病室です!ファーストは301、セカンドは303です!!」

「急いで保安部を向わせろ!」

「は、はい!!」

指示を出してから、辺りを見まわす。
そして、ここにミサトがいない事に気付き、そこにいたリツコに尋ねる。

「赤木君、葛城君は何処かね?」

「ミサトは今、アスカの様子を見に行ってますが・・・。」

「急いで連絡してくれ、『彼ら』が向っているから注意せよと。」

「わかりました、マヤ!」

「はい、先輩!」





303病室

ミサトがここに入ってから、数分が経過していた。
その間、2人は会話を交わしていない。

「ねぇ、アスカ・・・大丈夫なの?」

3回目の同じ台詞。
先ほどからミサトが話しかけるが、アスカはシーツを頭まで被り、一言も話さないのだ。

(あんな目にあったから、仕方無いっちゃぁ、仕方無いのかもしれないけど・・・。)

『プルルル・・・!!』

突然、部屋にある内線電話が鳴った。

「はい?」

『葛城さん、伊吹です。
 渚カヲルと一緒の女の子がそちらに向ってるそうです。注意してくれとの事です!!』

「わかったわ。」

ミサトは受話器を戻すと、腕を組んだ。

(アスカの命を狙ってるの?・・・まさかね。)

ミサトは2つ隣の病室にレイがいる事を知らなかった。
無駄だと知りつつも、懐から拳銃を取り出し、弾の確認をする。

(ここにいるのは危険かもね、アスカを連れ出さないと・・・。)

拳銃の安全装置を解除すると、アスカのいるベッドに近づく。

「アスカ、ここは危険になるわ・・・起きて!」

「・・・・・・・。」

「アスカ!!」

反応の無いアスカに、ミサトは強引にシーツを引っぺがした。
そこには体を縮こませて、震えているアスカが現れた。

「アスカ・・・。」

「恐いのよ、シンジが恐いの、恐いのよ・・・。」

「アスカ!!」

『パァァァン!!』

アスカを強引に引き起こし、ミサトは頬を思いっきり張った。

「!!」

「恐がってる場合じゃないわ、このままだと死ぬわよ、アンタ!」

「いい、恐いシンジに会いたくないもの・・・死んでも、いい・・・・・。」

『パァァァン!!』

「アンタがそれで良くてもね、私はまだ死にたくないのよ!」

ミサトはそう言うと、アスカを強引に引っ張っていく。

(ここよりは弐号機の中の方が安全なはず・・・。)

俯き、よろよろと歩かされるアスカを見る。

(ここで、エヴァを失うわけにはいかないのよ・・・ゴメンね、アスカ。)

こうして、2人はケージへと向う。



発令所

「葛城三佐、セカンドを確認!」

「彼らは何処だ!」

冬月はモニターから目を離さず、大声で尋ねる。

「さ、301病室の前です!!」

「何だと!!」

(彼らの狙いは、綾波レイ・・・・・そう言う事か!!)

『ギリッ!』

今まで気づかなかった事が悔しいのか、思いっきり歯軋りをした。

「保安部はどうしたのだ!」

「駆けつけてますが、間に合いません!!」

「何て事だ・・・。」

呆然とする冬月の瞳に、カヲルとアルサミエルが301病室の中へ入っていくのが映った。



301病室

ノックも無しにドアが開いた。
レイはドアノ方向に視線を向けると、知った顔がいた。

「お久しぶりだね、綾波レイ。」

「・・・渚、カヲル。」

カヲルの名を呼んだ後、彼の後ろに人影があるのに気付いた。

「・・・後ろの人は、誰?」

「紹介するよ、君達が読んでいた名前だと『第16使徒・アルサミエル』だよ。」

「こんにちわ!」

「!!」

(あ、あれは・・・私?)

明るい声で挨拶する女の子の姿を見た時、レイの表情が変わった。

「君の体を使わせてもらったよ、あと13人いるかな。」

「・・・どう言う事?」

「僕達は静かに生活したいだけさ、シンジ君と一緒にね。
 僕はその為に、『妹』達を甦らせたに過ぎない・・・君の体を使ってね。」

「・・・・・・・。」

「そして、君を呼びに来たのさ。
 シンジ君もここに来ているし、君は『僕達』の側だろう?」

(そう、私は『人』じゃないもの・・・。)

カヲルが『その事』を知っていた事には驚かなかった。
予備の体を使われた時点でわかっていると思ったのだろう、実際は違うのだが。

「質問をしてもいいかな?」

「・・・構わないわ。」

「ありがとう。君は昨日、体に異変を感じなかったかい?」

「!!・・・どうして、それを?」

「やっぱり、アダムの覚醒を感じたからだよ、君の中にいるリリスがね。」

「・・・・・・・。」

「ちなみに、アダムは碇ゲンドウじゃない、シンジ君さ。」

「!!」

ゲンドウがアダムを持っていた事は知らされていた。
実際に、ゲンドウの腕に『融合』するのを見ていたのだ。

「碇ゲンドウは『適格者』ではなかったのさ。
 だから、表面上での『融合』しかできなかった。
 でも、シンジ君は違う。
 彼は『同化』する事が出来たのさ、『適格者』だからね。」

「・・・・・・・。」

「・・・どうするかは、シンジ君に会ってから決めるかい?」

「・・・会えるの?」

一見しただけではわからない程度の変化だが、レイの表情が明るいものに変わった。

「会えるさ、今からここに来る様に『伝える』から。」



司令室を出たシンジは何処かへと向って歩いていた。

{シンジ君、聞こえるかい?}

「カヲル君なの?」

{そうだよ、僕の声を忘れてしまったのかい?}

頭の中に直接響いてくる『声』に、シンジは辺りを見渡す。

{君にテレパシーの様にして伝えてるのさ、頭の中でメッセージを思い浮かべてくれればいいんだ。}

{こ、こうかな?}

{そう、それでいいよ。
 早速なんだけど、301病室に来てもらえるかな?}

{わかったよ、カヲル君。}

{待ってるよ、シンジ君。
 部屋の外には『邪魔者』がいると思うから、気をつけてね。}

カヲルがそう『言い』終えると、『声』が聞こえてこなくなる。
シンジは言われた、そして、自分の行こうとしていた医療フロアへと向った。



一方、『伝え』終わったカヲルはレイの方へと振り向いた。

「もうすぐ来るよ、元々こっちに向ってたみたいだけどね。」

「・・・そう。」

(碇君、会いたい・・・・・。)


レイがシンジの到着を待ち始めてから数分後、部屋の外では『邪魔者』が集まっていた。

『副司令、ドアが開きません!!』

「どういう事だ?!」

『わかりません、正確にはドアに触れる事が出来ません!!』

「わかりました!ドアの前にA.T.フィールドが張られています。
 きわめて弱い物だったので、反応しなかった様です!」

マヤの報告が冬月の耳に入った、表情が苦いものへと変わっていく。

『どうしますか?』

「もうすぐ現れるサードを部屋に入れるな、何をしても構わん!」

『了解!』

(時間稼ぎにもならんだろうが、隙がつければいい・・・。)

冬月はモニターへと目をやる。
そこには301病室に向う、シンジが映し出されていた。

(人外の力を得てしまった少年か、ユイ君に怒られてしまうな・・・碇。)



シンジが医療フロアに入ると、『邪魔者』達が立ち塞がった。

「ここより先は立ち入り禁止となってます、お引き取りください。」

「お断りします、友達と約束してますから。」

そう言って避けようとするが、進行を遮られてしまう。

「お引き取りください。」

「邪魔、するんだね?」

「お引き取りください。」

「そう、邪魔をするんだね・・・。」

かみ合わない会話。
そして、シンジの様子が一変した。

「邪魔をするな!!」



「医療フロアにて、強力なA.T.フィールド反応!発生源は・・・」

「・・・シンジ君ね。」

発令所にて、マヤの報告を引き継ぐ様にミサトが呟いた。
全員が見つめているモニターには、倒れて血反吐を吐いている『邪魔者』が映っていた。

「シンジ君が301病室へ入っていきます!!」

(ここで起こすつもりなのか?彼らの狙いは一体何なんだ?!)

『ザザザザザーーーーー!!!!!』

病室内のカメラからの映像に切り替えようとした瞬間、モニターにノイズが走った。

「どうした?!」

「モニター出来ません、カメラが壊された様です!」

(万事休すか・・・・・。)



『コンコン!』

「入るよ。」

レイはドアに目をやると、そこには待ち焦がれたシンジの姿があった。

「やあ、綾波。」

「・・・碇君。」











<後書き>

ウエッキーでございます。

まず始めに、すいませんでした!m(_ _)m
レイが思ったより目立ってなかったですね、次回こそは・・・。

でわでわ。



レイ   「・・・このアスカ、劇場版の碇君?」

ウエッキー「そうですね、劇場版も含めてます。と言っても戦自は出てきませんけど。」

レイ   「・・・くす。」

ウエッキー「ど、どうしたんですか?」

レイ   「・・・このアスカなら負ける気がしないわ。」

ウエッキー「そ、そりゃあ、良かったですね。」

レイ   「・・・ユイさんは出てくるの?」

ウエッキー「今回は名前だけ出ましたけど、今後も名前だけの予定です。」

レイ   「・・・そう。」

ウエッキー「今までの私の作品には、ユイさんはレギュラーでしたからね。
      気にしてくれてありがとうございます。」

レイ   「・・・出てこられると、私の出番がもっと減るから。」

ウエッキー「あうう、すんませんでした。」



<次回予告>

病室で再会したシンジとレイ。
レイはシンジと一緒にいる事を選択し、病室から出て行こうとする。
その際に触れた2人の手。
その瞬間、病室は光に包まれた。

一方、アスカは弐号機のエントリープラグ内で眠っていた。
彼女は夢を見ていた、大好きだったママの夢を・・・。


次回、・ 自由への道のり、愛の扉 ・ 第6話 「夢と現実」


レイ:やっと、碇君に会えたわ。

マナ:シンジにとって、渚くんサイド以外みんな敵なのね。

レイ:アスカは?

マナ:この展開にショックで寝込んでるわ。

レイ:おみやげに包帯を持って来たの。

マナ:は?

レイ:だって碇君、病室に来たもの。

マナ:だから、シンジは綾波さんに会いに。

レイ:病室・・・怪我をしたら来る所。

マナ:そうじゃなくてね。

レイ:包帯の巻き方、知ってるもの・・・。

マナ:アスカが綾波さんとのコメント、嫌がる気持ちがわかったわ。(ーー)
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