家・シンジ&レイの部屋

「・・・ねぇ、どうしたらいいのかな?」

「・・・碇君のやりたいようにすればいいわ。」


「で、でも・・・。」

「・・・私にもわからないもの。」


「・・・・・・・。」

「・・・碇君はどうしたいの?」


「ぼ、僕は、その・・・・・。」

「・・・・・・・。」


「話してみたい、出来るなら。」

「・・・なら、そうすればいいわ。」


「そ、そうだね。」

「・・・私も。」


「えっ?」

「私も、一緒に行く。」







2時間前 家・ダイニングルーム

夕食を食べ終えた時だった。

「シンジ君、聞いてほしい事があるんだ。」

「何かな?カヲル君。」

「君のお母さんの事だよ。」

「えっ・・・。」

シンジは何を言われたのか、一瞬わからなくなった。
彼の中では、母親は既に死んでいるのだからである。

「君のお母さん、生きてるって言ったら信じるかい?」

「う、嘘だよ!」

「どうして?」

「だってお墓だってあるし、僕は最後に会ったのはいつか覚えてないくらい昔なんだから。」

墓参りだってした事がある。
共同墓地に墓石があって、父親ともあったのだ。

「じゃあもし、生きてたとしたらどうしたい?」

「会いたいよ、会って話がしたいよ!」

「わかった、教えてあげるね・・・・・。」



「君のお母さんはEVA初号機なんだ。」



「・・・・・・・。」

信じられなかった。
カヲルが今までに嘘をついた事はない。
だから、これも嘘だとは思えなかった。

「正確には、君のお母さんは初号機に『取りこまれている』んだ。」

「・・・・・。」

ショックが大きかったのだろう。
シンジはその事に反応を示さなかった。

「だから、君が初号機に乗れば、話が出来るかもしれない。」

「・・・話?」

「そうだよ、お母さんと話が出来るかもしれないんだ。」

(もし出来るなら、母さんといろんな話がしたい・・・。)

シンジは期待が膨らみ、表情が明るくなってきていた。

「シンジ君、話してみたいかい?」

「う、うん。」

「じゃあ、明日にでもNervに行こう。」







そんな事があり、1度は決めたものの、また悩んでいたと言うわけだ。
そして、新たな問題が発生した。

「い、一緒に行くって・・・?」

「・・・碇君。」

レイはシンジの目を見つめた。
なにげなく視線を合わせたシンジだが、突如逸らした・・・顔を真っ赤にして。

「わ、わかったよ、明日一緒に行こう。」

「・・・ええ。」


こうして、話が決まった所で、2人は眠りについた。















                        ・ 自由への道のり、愛の扉 ・ 

                           第8話 「母と息子」















翌朝、身支度を整えた3人がリビングにいた。

「そろそろ行こうか?」

「うん。」

「・・・ええ。」

「じゃあ、留守は任せたよ。」

「わかりました、兄さん。」

イロウルの返事を聞くと、3人はNervへと向った。



「まさか、君まで来るとは思わなかったよ。」

「・・・いけないの?」

睨みながらレイは言うが、カヲルも気にもしない。

「そんな事はないさ、シンジ君が『いい』と言ったなら僕には拒否できないよ。」

「・・・そう。」

「ふ、2人共、険悪にならないでよ。」

(仲悪いのかな?この2人って・・・。)

2人の様子を見ながら、シンジはそう思った。





Nerv・赤木リツコ研究室

この部屋には普段はリツコしかいない事が多い。
しかし、今日はこの部屋にミサトとアスカがいた。

「昨日言ってた事、本当なの?アスカ。」

「嘘じゃないわよ、初号機が勝手にファーストモドキを握りつぶしたんだから。」

「それ、貴方見たの?」

「死体しか見てないわ、アタシも襲われてたんだし。」

昨日、使徒っ娘達が撤退した後で、2人はアスカから報告を受けていた。



『初号機が勝手に動いて、ファーストモドキを握りつぶした。その後はまったく動かなかった。』



これを聞いた時、2人の脳裏には同じ言葉が浮かんだ。



『暴走』



しかし、今までの暴走はシンジが関わっていた。
シンジが聞きに陥った時、それを助けるように『暴走』していたのだ。
リツコはそれが起こる原因を知っていたが、ミサトは知らなかった。

・・・アスカのこの一言を聞くまでは。



「初号機にも、弐号機みたいにシンジのママがいるんじゃないの?」



「そ、それってどう言う事?」

「!!」

(まさか、アスカが気付いてたなんて・・・。
 いえ、違うわね。だからこそ、と言うことなのかしら。)

ここ最近のアスカの好調振り。
これが原因だとしたら、ありえない話ではない。

「リツコは知ってたんでしょ?この事。」

「・・・ええ。」

「話して頂戴。」

「わかったわ、ちょっと待って。」

リツコは端末を操作し、目と耳を停止させた。

「私が話す前に、アスカは何処でそれを知ったの?」

「EVAに乗った時。この前、強引に乗せられて水の中に放りこまれた時よ。」

「そう、じゃあ話すわね。」





・・・・・・・(説明中)・・・・・・・





ミサトはもちろん、アスカも始めて聞いたその話に驚いた。

「じ、じゃあ、鈴原の時って・・・。」

「そう、彼の妹が亡くなったのよ。
 そこで、その魂を参号機のコアに使う事にしたのよ。」

「じ、じゃあ、シンジ君とアスカの場合は?」

「碇ユイ博士。EVAの基礎理論を打ち立て、作り上げた人。
 惣流・キョウコ・ツェッペリン博士も協力したと聞いてるわ。
 2人は日本とドイツで1機ずつ作り、自分で起動実験を行ったの。
 そして・・・・・」

「・・・取り込こまれたのよ、前のシンジの時みたいに。」

リツコの続きをアスカが話した。
ミサトはシンジの時の事を思い出して、震えた。

「結果として、EVAは起動するようになったわ。
 起動させるには『コア』の近親者に限定されるけどね。」

「だ、だったら、レイはどうして?零号機のコアには誰が?」

「言われてみれば、ファーストって他人なのに初号機を動かせるんでしょ?」

「他人じゃないわ。」

「「え?」」

「レイは他人じゃないわ。
 碇ユイ博士の、司令の、娘みたいなものよ。」

「みたいな、ってどういう事?」

あいまいな表現に、ミサトは再度尋ねた。

「正確には『ユイさんの遺伝子を持つモノ』かしらね。
 サルベージを行った際に、引き出せた遺伝子情報から作られたのがレイよ。」

「「!!」」

「だから、レイは初号機を動かせた。
 もっとも、今では初号機がレイを拒否しているのだけど。」

何て事の無い様に語られる真実。
ミサトとアスカには衝撃が強すぎるものばかりであった。

「零号機のコアの話だけど、あれには私の母さんが使われてるわ。」

「あ、赤木ナオコ博士の?」

「ええ。」

「で、でも、それだとファーストが動かせるのって変じゃない。」

アスカの言う通りである。
ナオコとレイには何の関係も無い、遺伝子上でも赤の他人なのだ。

「だから、シンクロ率も、ハーモニクスも、戦闘スコアも、1人だけ低いでしょ?」






しばらくの間、誰も口を開かなかった。
アスカとミサトはショックが大きかったのだろう。
リツコは2人が落ち着くのを待っているようだった。

「・・・落ち着いたかしら?」

「まあね。」

「何とか、って感じね。」

「話を続けても良いかしら?」

リツコの問いに、2人は黙って頷いた。

「昨日の初号機の件だけど、今までの暴走とは違うわ。シンジ君の危機ではないと言う事よ。」

「あそこではそうかもしれないけど、連れ去られた場所ではわからないじゃない!」

「アスカの言う事ももっともだけど、だったらそこへと向うはずでしょ?
 初号機にはアンビリカルケーブルは必要無いんだから。」

「じゃあ、司令の危機を救ったとか?」

「・・・可能性としてはありえるわね。」

命を助けられた出来事とはいえ、その理由はどこか嬉しくないリツコだった。

「そうだったら、次に来た時も反応してくれるかも。」

「アタシだって不覚を取らなきゃ、アレくらい・・・。」

(・・・それは、どうかしらね。)

僅かな希望を感じたミサト、次こそはとやる気を出すアスカ。
2人が盛りあがる中、リツコはそれを冷めた目で見ていた。







Nerv・正面入口

何事も無く到着した3人。
見張りの職員は既にカヲルによって気絶させられている。

「さて、行こうか?」

「うん。」

「・・・ええ。」





一方、オペレーションルームでは日向が3人の姿を確認した所だった。
すかさず、作戦部長のミサトを呼び出す。

「もしもし?」

『葛城さんですか?
 日向です、シンジ君達が本部内に進入してきました!
 渚カヲルと綾波レイもいます!!』

「何ですって、すぐに行くわ!」

ミサトはアスカとリツコに話の内容を伝える。

「アタシはケージに行くわ!」

「私達はオペレーションルームに行くわ、気をつけてね。」

リツコの研究室を出ると、お互いの目的地へと向う。

(今回こそは連れて帰るんだからね、シンジ!)



Nerv・オペレーションルーム

「お待たせ!」

「じ、状況は?」

余裕なミサトと、息も絶え絶えなリツコが到着した。
上司を気遣う余裕も無いのか、教育の賜物なのか、マヤは状況の説明を始めた。

「はい。
 3人は見張りの職員を気絶させた後、本部内に侵入。
 目的はわかりませんが、進路はここかケージだと思います。」

「ケージだと思う理由は?」

「昨日がそうであったように、今回もどちらかが目的だと思ったからです。」

ミサトがモニターに目をやると、廊下を歩く3人が映っていた。
小さく映ってるMAPを見る限りではマヤの言う通り、ここかケージが目的だと思える。

「ケージにはアスカがいるわ。
 ここに来た場合、鍵を握るのはシンジ君ね・・・。」

職員達は3人の動向を静かに見ていた。
そして・・・。



「オペレーションルームは素通り、狙いはケージの様ね。」

息も整ったリツコがそう言った。
ミサトは、弐号機に乗りこんでいるアスカに通信を送る。


『アスカ、シンジ君達はそちらに向ってるわ。』

「任せなさい!アタシがシンジとファーストを取り返して、渚カヲルを殲滅してやるんだから!!」

『頼もしいわね・・・頑張って!』

ミサトからの通信が切れると、操縦レバーをゆっくりと握った。

(アタシは負けない!生活の為にも、アタシの気持ちの為にも!!)



ケージに3人が現れた。
3機のEVAが並んでいる中、シンジは初号機に目をやる。

(今まで乗っていたコレが、母さんだったなんて・・・・・。)

感慨深げに見つめるシンジを、レイは黙って見つめていた。

(碇君・・・。)

そんな中、カヲルは1人弐号機を見ていた。

(そこにいるんだね、シンジ君達を取り返す為に。)

「さあシンジ君、初号機に乗るんだ。」

カヲルがそう言った途端、初号機のエントリープラグが飛び出してきた。
挿入口を覆う装甲が吹き飛び、冷却水のプールの中へ落ちる。

「えっ?」

「初号機に乗ってシンクロするんだ、お母さんと話がしたいのならね。」

「わ、わかったよ!」

シンジが乗りこもうと走り出すと、弐号機が動いた。

「取ったーーー!!!」

腕を伸ばし、カヲルを捕まえようとするが届かない。
距離にして数cm、真紅の壁に手が遮られていた。
シンジが振りかえると、カヲルは笑顔を浮かべて言う。

「こちらは気にしないで、君は早くシンクロするんだ。」

黙って頷くと、プラグ内に乗りこんだ。
しかし、有るべき筈のL.C.Lが無いのがシンジを不安にさせた。

(どうする?これじゃあ、シンクロ出来ないよ!)





オペレーションルーム

事の一部始終を見ていたミサトはマヤに言った。

「L.C.Lの注入、急いで!」

「えっ?で、でも・・・。」

マヤはリツコを見ると、リツコは黙って頷いただけだった。

(貴方の事だから、ユイさんがシンジ君を説得してくれるとか思ってるんでしょうね。
 でも、どうかしら・・・・・。)

無謀とも言えるこの行為を止める人間はもういなかった。
ゲンドウと冬月が留守にしていたからである。





ケージ

エントリープラグ内で困っていた所にL.C.Lが注入されてきた。
あまり好きになれないこの液体が、今日ほど待ち焦がれた事は無かった。

(理由はわからないけど、これで!)

シンクロをスタートさせる。
徐々に自分と初号機が1つになっていく感覚。

(母さん!)

シンジが心の中で母を呼ぶと、プラグ内からシンジの姿が消えた。





「シ、シンクロ率400%!」

「シンジ君の反応、消えました!」

前にもあった事が再度起こった。
だが、前回と違って今回はミサトもリツコも、状況を聞いていたアスカも慌てふためく事は無かった。
・・・もっとも、アスカはそれどころではないのだが。



「こ、この・・・!!」

「君は、その弐号機と本当に一つになっているようだね。」

「!?」

「コアが何たるか、知ったんだね?」

「ここにアタシのママがいるって事なら、知ってるわよー!!」

目の前の壁を破らんと、必死で手を伸ばすがびくともしない。
その事実も気に入らなかったが、カヲルが微笑んだままと言うのが一層気に入らない。

「でもね、それでは僕に勝てないよ。」

「きゃぁぁぁ!!」

一段と赤い色をした壁が展開されると、思わず弾き飛ばされてしまっていた。

「僕は今日は戦うつもりは無いんだけどね。」

「な、何ですって?」

「シンジ君がお母さんと話をしに来た付き合いなんだからね。」

(それは、アタシも気になるところね・・・。)

「わかったわ、終わるまで休戦よ!」











ここは・・・・・?

                                                EVAの中、と言う所かしら?

だ、誰?

                                                    お母さんよ、シンジ。

か、母さん?

                                               そうね、覚えてないのね・・・。

父さんが写真は全て処分した、って言ってたから。

                                                  ・・・あの人らしいわね。

どう言う事?

                                  あの人なりの優しさなのよ、振りかえらずに乗り越えろって。

よく、わからない・・・。

                               強い子になってほしかったのね、親がいなくても大丈夫なくらいに。

・・・・・・・。

                                                   ・・・信じてないのね。

そんな風には思えないよ、嫌われてるならわかるけど・・・。         

                                              シンジはお父さんの事が嫌いなの?

当たり前じゃないか!!

                                                      ・・・・・・・。 
父さんは、僕を僕として見てくれないんだ!EVAを動かす部品だと思ってるんだよ!!


                                                      ・・・・・・・。
ずっと放っておいたくせに、急に呼び出して、来てみたらこれに乗れって言うんだよ・・・。    

                                                      ・・・・・・・。

一緒に暮らしてくれるわけでもない、会ってくれる時間も作ってくれない・・・嫌いなんだよ、僕の事なんか。


                                                ・・・それは違うわ、シンジ。
どうして、そんな事が言えるのさ?

                                      お父さんね、シンジが産まれた時、すごく喜んでた。 
・・・嘘だよ。

                             嘘じゃないわ。産まれるずっと前から名前を考えてたくらいなんだから。           
・・・・・・・。

                                        それに、シンジには姉妹が出来るはずだったの。

えっ?


                                              お父さん、名前を2つ考えてたの。
も、もしかして・・・。

                                         そう、男の子ならシンジ、女の子なら・・・。
・・・レイ。

                                                そう、あの娘の名前がそうね。
知ってるの?綾波の事。


                            言ってみれば、あの娘は私だもの。EVAを通して色々知る事は出来るわ。
じゃあ、僕が母さんに『会い』に来たのも・・・?


                                      わかってるわ、あの時の使徒の男の子との事でしょ?  
それもあるけど、普通に話がしたかったんだ。

                                       そうね、あれから10年も経つんだものね・・・。  
母さんはさ、カヲル君との事に反対、なの?

                               貴方が決めた事に反対しないわ、そんな事言える立場でもないもの。

・・・・・・・。

                                            シンジは嫌なの?彼と一緒に居るのが。

そんな事無いよ!! 

                                       だったらいいじゃない、早い親離れだと思うから。

・・・へ?

                                            お母さんがお父さんを説得してあげる。

ど、どうやって?

                                 ここから出たら、サルベージを頼んで頂戴。着る物と一緒にね♪ 

わ、わかったよ、母さん。

                            ・・・もう初号機はいらないもの、倒すべき使徒は敵対してないのだから。

じゃあ、行くね。

                                                  ええ、後で会いましょう。






「シ、シンクロ率が下がっていきます!
 400・・・350・・・300・・・250・・・200・・・150・・・100%!」

「生命反応を確認!!」 

(ここからよ、これからが大事なんだから・・・。)

ミサトがモニターを凝視していると、通信が入る。

『すいません。』

「何かしら?シンジ君。」

『初号機の、母さんのサルベージをお願いします。』

「「!!」」

思ってもみなかった発言に、ミサトとリツコが固まった。



「シンジのママが出て来れるなら、アタシのママも出て来れるの?」

『出れるわ。けど、ニ度と弐号機は動く事が出来なくなるけど・・・。』

「も、もうちょっとだけ我慢してね、ママ。」

『わかってるわよ、アスカちゃん。』



「君はどう思う?」

「・・・何が?」

「シンジ君さ、僕達の所に残ってくれると思うかい?」

「・・・ええ。」

「どうして?」

「・・・碇君は幸せそうだもの。」

「僕達と一緒にいる事が、かい?」

「・・・ええ。」



この日、司令であるゲンドウが居ない事からサルベージは行われず、後日戻ってきた時に決行することが決まった。             


「だったら、まだ初号機は使えるのよね?」

「どうしたの?アスカ。」

「シンジ!アタシと勝負しなさい!!」

「はぁ?何言ってるの、アスカ!」

ミサトの言葉が聞こえてないのか、アスカはシンジの返事を待つ。

「断る、そんな事する理由は無くなるんだから。」

「どういう事よ!」

「母さんがサルベージされた際、父さんに僕達に関わらないよう言ってくれるんだ。
 そうすれば、貴方達は手出しできなくなる。」

「関係無いわ!アンタさえ戻って来てくれれば、アイツらが勝手に暮らそうが問題無いのよ!!」

「僕はカヲル君達と一緒にいたいんだ、アスカ達の所には戻らない!」

「だから、勝負しなさいって言ってるのよ!!」

アスカはありったけの声で叫ぶ。

「・・・なんでさ?」

シンジは呟く様にボソッと言ってから、声を張り上げた。

「なんでそんなに戻って欲しがるんだよっ!
 そんなに奴隷が欲しいの?ストレス発散の道具が欲しいの?
 僕はそんな生活が嫌だから、僕本人を必要としてくれる友達の所に行ったのに!!」

「なっ!そ、それは・・・。」

「違うとでも言うのかよっ!
 家事やるのが当然の様に扱われ、気に入らない事があったら叩く・・・。
 これの何処が違うんだよ、僕は奴隷でも玩具でもないんだ!!」

息を切らせ、肩で呼吸しているシンジに、誰も何も言えなかった。
当事者であるミサトはばつの悪そうにしていた。

「・・・違うわよ、アンタは奴隷でも玩具でもないわよ。」

「えっ?」

「言われなくても、そんな風に思った事無いわよ!
 アタシはねぇ、アンタが好きだから、好きだから意地悪したりしてたのよ!
 今は一緒に生活したいから、こんな事してるんでしょうが!!」





『はっ?』





全員が大口開けて固まった。
その歪んだ愛情表現の為に、こんな事が起こってるかと思うと呆れてしまっても仕方ない。

「・・・ふざけないでよ。」

「ふ、ふざけてこんな事言えないわよ!」

「僕は・・・アスカなんか、大ッキライだー!!」

シンジが声を張り上げると同時に、弐号機が大きな衝撃を受けた。



一方、オペレーションルームではMagiが『警告』を発していた。

「何事?!」

「きょ、強力なA.T.フィールド反応です!発生源は・・・。」

報告されずとも、全員がわかっていた。
場所はケージ、発生させたのはシンジだと・・・。



「うっく・・・。」

「このまま殺してやる、そうすれば全てが終わるんだ!」

弐号機の前後同時にフィールドを発生させ挟みこむ。
そして、その間隔がどんどん狭くなっていく。

「うああああああ・・・!」

「何が好きだよ、そんな事まで言っても家事をやらせたいの!!」

「ああああああ!!」

弐号機の体から悲鳴があがる、アスカからも悲鳴があがる。
誰も何も言わない中、1人の声が響いた。



「・・・碇君。」



「綾波?」

シンジはフィールドを押しつけながら、レイの方へと振り向いた。

「・・・約束。」

「えっ?」

「・・・約束、破らないで。」

「・・・ゴメン、わかったよ。」

シンジは声の調子を落として謝ると、フィールドを解除する。
圧迫感が無くなったアスカは、プラグ内で呼吸を整えていた。

「はあはあはあ・・・。」

「アスカ。」

「な、何よ・・・。」

アスカが声に答えると、シンジ達がケージの入口に立っていた。

「勝負する気はないから。」

「ち、ちょっと!」

アスカが止める声のも空しく、3人は本部から立ち去っていくのであった。      











<後書き>

ども、ウエッキーです。

すっかり遅筆になってしまいました。
読んでくださってる皆様、申し訳ございません。m(_ _)m


閑話休題


最近、三国志にはまってます。
元は『真・三国無双2』ってゲームからなんですけどね。(^^;
今では活字の三国志を読み、ゲームの三国志をプレイしてたりしてます。

エヴァのキャラで三国志、なんてのも面白いかな?とか考えてたりします。
キャラの数が圧倒的に足りない等、色々と問題あるのですが書けたらいいなぁと。

でわ!


アスカ:告白までしたのにぃぃぃっ!!!(TOT)

マナ:シンジ・・・だいぶ意地になってるみたい。

アスカ:なんで、なんでなのよぉっ!

マナ:それまでの奴隷扱いが酷すぎたんじゃない?

アスカ:どうしたらいいのよ。

マナ:もう、何を言っても無駄かも。

アスカ:あーーーーーーーん。シンジぃぃぃ。(TOT)

マナ:最後の望みだったユイさん・・・味方になってくれるのかなぁ。

アスカ:マナのばかぁぁっ!!!

マナ:わたしのせいにされても・・・。(ーー;
作者"ウエッキー"様へのメール/小説の感想はこちら。
frontier@tokai.or.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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