作者注:このSSは、設定上の都合により、2002年8月を舞台にして書かれています。


セ界の中心でアイを叫んだのけもの

書いた人:右京



トウジ 「な、なんやてぇ!? いくら委員長でも、それは許さへんでぇ!」

ヒカリ 「何よ! 鈴原の方こそ、何であんなのが好きなのよ! 全然理解できないわ!」

トウジ 「あんなのぉ!? 言うに事欠いて、あんなのやてぇ!?」


ケンスケ 「お、おい、二人とも…。何そんなに熱くなってるんだ? 」

トウジ 「ケンスケ、邪魔すんな! これは、男としてどうしても譲れない戦いや!」

ケンスケ 「だから、一体何がだよ?」

トウジ 「それはやな……」


トウジ 「こいつが、『阪神なんて弱い』とかぬかしよるんや!」

ケンスケ 「…………は?」

トウジ 「しかもこいつ、どこのファンやと思う? ……中日やて。なにがええんか、あんなド田舎球団…」

ヒカリ 「阪神に言われたくないわよ! 大体、ウチから無理言って監督とコーチを盗んでいったのは、どこの球団だったかしら?」

トウジ 「ぐ…。やかましい!仙一と島野はんは、うちの為に来てくれたんや! そっちこそ、監督ではえらい苦労してるみたいやな……?」

ヒカリ 「や、山Qは悪くないもん! 確かにちょっと、おかしな投手起用をするけど…。でも、そっちの井川の酷使よりずっとましよ!」

ケンスケ 「はあ……何を騒いでるのかと思えば……。どうでもいいじゃねえか、そんなこと…」

トウジ&ヒカリ 「「どうでもよくな〜いっ!!!」」

ケンスケ 「…さいで」


アスカ 「あ、ヒカリー。何してるのよ、そんなところで」

ヒカリ 「アスカ、あなたはどう思う?」

アスカ 「は? 何の話?」

トウジ 「絶対に阪神や。惣流もそう思うやろ?」

ヒカリ「中日よ、中日。そうよね、アスカ。ね?」

アスカ 「……………………」

アスカ 「…はっ。な〜に言ってんのよ」

ヒカリ 「!?」

アスカ 「阪神?中日? 笑っちゃうわねえ。所詮どっちも打線ぼろぼろの投手頼み球団。悪いけど、優勝は無理ね!」

トウジ 「このくそアマ…。ほんなら、お前はどこのファンやねん?」

アスカ 「ふふん、『Red power 〜燃えろ!〜』! 我等の赤い軍団、広島東洋カープよ!」

ヒカリ 「……だっさ」

トウジ 「ようあんな貧乏球団応援できるのう…」

アスカ 「い、言ったわねえ二人とも…。貧しきことは美しきかななのよ? だから、黒田や河内が出てきたんだから!」

トウジ 「潰れた選手も数知れずやけどな」

ヒカリ 「ドミニカ出身の選手は全然駄目だし、しかもペレスやソリアーノは大リーグにさらわれるしねぇ」

アスカ 「カ、カープアカデミーのことは言うなあ! 大体外国人なら、ヒカリも人の事言えないでしょう。ディンゴとかリナレスとか…」

ヒカリ 「ディ、ディンゴはともかく、リナレスはまだわかんないもん! そんなセリフは、神のお告げで助っ人が帰った阪神に言ってよ!」

トウジ 「やかましいっ! 今まではともかく、今年のムーアとバルデスとアリアスはちゃんとやっとるわ!」

アスカ 「…ホワイトは?」

トウジ 「ぐ……」


ケンスケ 「まあまあ、それくらいにしておけよ…。所詮どちらも地方球団だし」

アスカ 「何ですってぇ…! 相田、あんたどこのファンよ」

ケンスケ 「くくく、聞いて驚くな。日ハムだ!」

ヒカリ 「地っっっ味い……」

アスカ 「しっしっ、どっか行って。パリーグ馬鹿に用はないわ」

トウジ 「お前んとこから貰った片岡、ちっとも使えんで。本拠地もないしのお……」

ケンスケ 「うるさい! あと数年で、札幌が本拠地になるんだ! 大体それは、毎年高校野球で締め出される阪神も一緒だろうが!」

トウジ 「このボケェ! 気にしていることをぬけぬけと!」

アスカ 「どっちもどっちねぇ。専用の球場があるってのはいいことねえ、ヒカリ」

ヒカリ 「ええ本当ね、アスカ」

ケンスケ 「箱庭球場と雨漏りドームは黙ってろ」

ヒカリ 「そ…それは昔の話よ!」

アスカ 「そうよ! もうすぐ駅前に、凄い新球場を造るんだから!」


レイ 「くすくす…。可笑しい」

トウジ 「な!?」

アスカ 「ふぁ、ファースト!?」

レイ 「どんなに否定しても、あなた達の贔屓球団は、ここ数年優勝していない…。それは、チームの強化策が間違っていた証拠」

トウジ 「ぐ……」

アスカ「そ、それは……」

ケンスケ「確かに……」

レイ 「…つまり実績からみて、今一番強い球団は、間違いなくヤクルト……。他のチームはカス。くすくす」

ヒカリ 「か、カスですってぇ!?」

アスカ 「去年は運がよかっただけじゃない!あのややこしい順位表記がなければ……」

ケンスケ 「しかし、ヤクルトとは…。ミーハーだな、綾波。五十嵐ファンか?」

レイ 「いえ。私は、広岡監督時代からのファン……」

トウジ 「…いくつや、綾波」

レイ 「安田茂の投球は、素晴らしかったわ…。『タブチ君』でも、準主役を張っていた…」


カヲル 「はっはっは!見苦しいねえ。たかが野球でそこまで騒ぐなんて」

アスカ 「このすかしたナルシスト声は…!」

ケンスケ 「な、渚!」

カヲル 「僕にとって、勝ちと負けは等価値なんだよ。何故スポーツでそんなに盛り上がるのか、僕には理解できないねえ。ふふん」

トウジ 「く…。こいつ、野球嫌悪派か……」

アスカ 「『予約録画が狂うから中継延長をやめろ』っていうタイプね、こいつ」

レイ 「違うわ……」

カヲル 「リ、リリス?」

ヒカリ 「違うって何が? 綾波さん」

レイ 「タブリスは、熱狂的な横浜ファン……。野球嫌いなんかじゃない」

カヲル 「ああ、リリス、それを言ったら……」

トウジ 「(ぽん)同情するで。お前の気持ちは、ワイが一番よおわかるわ」

ヒカリ 「(ぽん)あなたは悪くないわよ。悪いのはフロントね、うん」

アスカ 「(ぽん)まあ、こういう時期もあるわよ、うん。そのうち、いいことあるわ」

カヲル 「同情しないでくれ……。佐々木とローズと谷繁さえいれば……。こんな規格外の弱さ、反則だよ……」

ケンスケ 「パリーグくるか?多分、オリックスあたりといい試合できるぞ?」

カヲル 「うるさい! 大体、中日が悪いんだ! 谷繁だけならまだしも、あんな弱肩キャッチャーつかませて!」

ヒカリ 「武志を馬鹿にするんじゃないわよ! 相川以上の捕手をあげたんだから、感謝しなさい!」

カヲル 「うう……」


リツコ 「無様ね」

ミサト 「あっらー、みんなお揃いで。どうしたの?」

レイ 「あ…。赤木博士と、葛城三佐」

ケンスケ 「そうだ! お二人とも、好きな野球チームはおありでございますか!?」

リツコ 「え? ええ、あるわよ」

ミサト 「私も、まああるわね」

トウジ 「どこでっか? 阪神ですよね!?」

ヒカリ 「中日ですよね、二人とも!」

ミサト 「うーん、違うわね。私は、ダイエーよん」

リツコ 「…あら?」

ミサト 「ん? どしたの、リツコ?」

リツコ 「ミサト…。あなた、西武ファンじゃなかったの? 確か、大学時代はそう言っていた様な……」

ミサト 「あー、西武? 駄目駄目、あんなの。ユニフォームはダサいし、ホーム球場は屋根を乗っけただけの灼熱ドームだし。
    やっぱ、パならダイエーよ!」

リツコ 「おかしいわね。私の記憶違いかしら…?」

アスカ 「そういえば、加持さんが西武ファンだって言ってたような……」

一同 「…………………………」

リツコ 「……ミサト。加持君、どこかで見なかった?」

ミサト 「さあ? 今頃、ジャングル大帝の餌にでもなってんじゃないの?」


〜西武ドーム〜

実況 『さあ、1アウト1、3塁、西武逆転に絶好のチャンス。ここでバッターボックスには、西武の主砲カブレラが立ちます!」

〜バックスクリーン左に設置された、謎の十字架〜

加持 「何で、何で歩いてて女の子と眼が合っただけで、こんな目に合わなければならないんだ…。
    カブレラ、チャンスだ打て、いやこっちには打つな、あっ打った、こっち来た、やった、いや駄目だ、うわーーーーっ!」


アスカ 「ところで、リツコはどこのファンなのよ?」

ミサト 「あ、それ興味あるわねえ。普段、野球なんか観そうにないのに」

ヒカリ 「中日ですよね、勿論」

トウジ 「いや、阪神やな。マスコットはネコ科やし、髪と眉毛がタイガースカラーや」

ケンスケ 「いやいや、日ハムでありますね?」

アスカ 「カープよ、カープ!」

レイ 「……ヤクルト」

カヲル 「横浜だったりしてね?」

ミサト 「ダイエーかもね?」

リツコ 「残念、全部違うわ。……千葉ロッテよ」

ケンスケ 「うわー…。そりゃまた……」

ヒカリ 「ロッテって……。18連敗のイメージしかないわ……」

ミサト 「“クールミント打線”とまで呼ばれる貧打だしねえ……」

リツコ 「最近は打ってるわよ! …ふ、言っておくがいいわ。喜多や加藤は育っているし、ジョニーさえ帰ってくれば、間違いなく来年には優勝…」

アスカ 「監督が偽コージじゃ無理ね、間違いなく」

リツコ 「に、偽コージって言うなあ!! 山本功児を、舐めるんじゃなあい!」

トウジ 「いや、ワイも無理だと思うで、山功で優勝は……」

ヒカリ 「私も……」

レイ 「コバマサが可哀想だわ……」

カヲル 「初芝や堀に拘り過ぎだねぇ……」

アスカ 「まあ、どう贔屓目に見てもダメ監督よねえ……」

リツコ 「う、うるさいうるさい! 山功には何か考えがあるのよ!野球はロジックじゃないわ!」

トウジ 「……ま、確かにそうやけどな」

ミサト 「しっかし、みんな見事に贔屓球団がばらばらねえ……」


シンジ 「あれ? みんな集まって、何やってるの?」

ヒカリ 「あ、碇君! 碇君は、勿論ドラゴンズ党よね?」

トウジ 「何言っとんのや! シンジは、トラキチに決まっとるやろう!!」

アスカ 「シンジ? アンタもちろん、カープファンよね?」

ケンスケ 「日ハムだよな、碇!」

レイ 「碇君……。ヤクルト……」

カヲル 「シンジ君、君なら、横浜ファンの僕の気持ちをわかってくれるよね?」

ミサト 「ダイエーだったりしてねん?」

リツコ 「ロッテね」

加持(!?) 「ライオンズだよな、シンジ君?」


シンジ 「え? あは…あっはっはっは!」

アスカ 「シンジ?」

トウジ 「何が可笑しいんや?」

シンジ 「ははっ、だって……。野球っていったら、ジャイアンツに決まってるじゃないか」


一同 「え゛?」


シンジ 「だって昔から言うでしょ? 『巨人、大鵬、玉子焼き、巨人ファンじゃなきゃ人でなし』。巨人あってのプロ野球。
     他の11球団は、まあおまけ。監督も変わったし、今年からは10連覇……。あれ、みんな、どうしたの?」


ヒカリ 「碇君……。正直、がっかりだわ……」

トウジ 「ほうか…。お前、読売ファンやったんか……」

シンジ 「ど、どうしたの、二人とも?」

ヒカリ 「鈴原、行きましょ」

トウジ 「ほやな」

シンジ 「ね、ねえ……」


ケンスケ 「碇…。もうお前とは、親友じゃない」

シンジ 「ケンスケ……。そんな……」


シンジ 「綾波……。まさか、君まで……」

レイ 「……知らないわ。私は多分、三人目だから……。さよなら」

シンジ 「綾波……!」


シンジ 「カヲル君……」

カヲル 「僕は君と別れる為に生まれてきたのかもしれない…。それ以上近づくと、ATフィールドを展開するよ?」

シンジ 「………………」


ミサト 「リツコ、すぐにネルフに戻って、初号機のデータを書き換えて」

リツコ 「わかってるわ。MAGIのデータに、碇シンジという少年は存在しない」

シンジ 「ミサトさん、リツコさん……」


アスカ 「…………」

シンジ 「アスカ…。君は違うよね? アスカは、僕の味方だよね?」

アスカ 「………………」

シンジ 「アスカ…笑ってよ! いつもみたいに、僕を馬鹿にしてよ!ねえ!」

アスカ 「……気持ち悪い」

シンジ 「!?」

アスカ 「気持ち悪いって言ってんのよ! 巨人ファン? 最低ね! そんな奴だとは思わなかったわ! 近寄らないで、二度と!」

シンジ 「アスカ…………。君まで……」

アスカ 「先に帰るわ! ふん!」



…………………………………………………………



シンジ 「誰か、僕に優しくしてよ……」





おわり♪


どうも、お久し振りです。右京です。
今回は、私がサッカーと並んで心から愛するスポーツ、野球をテーマにして書いてみました。テーマというほどのもんでも無いですが(^ ^;)

ちなみに右京は、巨人ファンです。
『カープファン以外は人でない』土地、広島で巨人を応援するのは、物凄く疲れます。
まじで、作中のシンジの様な扱いを受けます。差別です。アパルトヘイトです。開放を要求します。

FAで某選手を奪ったりしたので、どうしても強くはいえませんが。
原さん……。あなたは巨人の金権体質を治してくれると、信じています。

あ、オチで気分を害された方は、口直しにソースをどうぞ。
それでは。

こっそりお詫び:
マナ嬢も近鉄ファンの役で出そうかと思っていたのですが、うまく絡ませることが出来ずに没になってしまいました。
イメージぴったりなんだけどなあ。マナと猛牛。



マナ:(ゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!)(▼▼#

アスカ:い、いきなり何の音?

マナ:わたしを猛牛とか言った人を、とりあえず焼いておいたの。

アスカ:前振りも無しに・・・。

マナ:そもそも、わたしは関西でも近鉄ファンじゃないわ。

アスカ:そうなんだ。じゃ、阪神?

マナ:南海に決まってるでしょ。

アスカ:それは・・・古過ぎるような。

マナ:ラピート綺麗だもの。

アスカ:オチがわかったのは、鈴原だけね。きっと。
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ukyo_las@yahoo.co.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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