短編完結シリーズ その四

ちょっち危険なテレフォン・ショッピング

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とある日曜日。そしてここは葛城家。
久しぶりに何の予定もない休みだ。
アスカは、とくにすることがないので、テレビを見ている。
シンジは、そのとなりで雑誌を読んでいる。

『ジャンジャンジャンーー』
何かの番組が始まったようだ。

アスカ「ねぇ・・・シンジ?」

シンジ「ん?」

シンジは雑誌から目を放さずに答えた。

アスカ「あれ・・・マヤじゃない?」

シンジ「どれ?」

アスカ「だから・・・テレビに映ってるの?」

シンジ「へ?」

シンジは顔を上げ、テレビを見た。そこには・・・

『ネルフ・テレフォンショッピング』
『この番組は、皆様の生活の安全と快適を保障するする株式会社ネルフの提供でお送りします』

という文字が・・・

マヤ『皆さん、おはようございます。只今からは予定を変更して、ネルフ・テレフォンショッピング
をお送りします。』

シンジとアスカはテレビに釘付けとなってしまった。

マヤ「総合司会は、私 伊吹マヤが勤めさせていただきます。
それではさっそく商品紹介に参りましょう。連絡先は、後ほどお伝えします。
ではまず、商品番号一番。『第七世代有機コンピュータ マギ』です。お願いします。」

マコト「私、商品紹介係の 日向マコトがお茶の間の皆様にお送りします。
この商品は、我が社の赤木博士が二世代にわたって完成させた、究極のパソコンです。
OSには有能な博士の人格が移植されたものを使用。一種の人工知能コンピュータです。
インターネットは政府専用光回線によって常時接続はもちろん、ハッカー対策として
『666プロテクト』という仕組みが採用されています。HDD容量、CPUスペックについては、
以下の字幕の通りです。」

テレビの下には、パソコンの専門用語が使われた膨大な文字が高速で流れていった。

マヤ「すばらしい商品ではありませんか。たしかに一家に一台ほしい時代ですよね。
しかし、これほど高性能だと、お値段のほうが・・・」

マコト「ご安心ください。我が社では、インターネット無制限接続サービスもろもろを含め、
こちらの商品を消費税込みで一括払い現金でたったの1000兆円で販売いたします。
なお、今お買い上げの皆様には我が社特製の『レイちゃん人形1/1モデル』
を無料でお付けします。」

マヤ「まぁ・・・これはお買い得商品ですね。
資産総額1000兆円以上をお持ちの信じられないくらいの大富豪の皆様、
ぜひ、お電話ください。連絡先は、以下の通りです。」

マコト「(しかし、赤木博士も酷いよなぁ・・・こんなに高かったら、余裕のある政府
くらいしか買えないじゃないか・・・それに、わざと性能を落とすなんて・・・)」

マヤ「(しかたないですよ。今は経済的に困っているんですから・・・
それに、本物よりも性能を落とさないと、うちらが危ないんですって。
どうせ誰も気づかないわよって言ってました。)」

マヤ「それでは、続いて商品番号二番。『赤木博士の白衣』です。」

マコト「ハイ。こちらの商品は、一見普通の白衣に見えますが、
他社の製品とは比べ物になりません。
	なんたって、あの赤木博士が撮影時に着用していたナマの白衣です。
	これは、博士のお手製でして、防弾加工は勿論、防水・防炎・防寒・防熱・防紫外線
加工となっております。
それに加え強力な身体保護能力がありまして、N2の直撃を食らっても、
白衣で覆われている部分は完全に無傷です。
乾燥に弱いカエルで実験いたしましたところ、N2を998発受けても生存していました。
しかし、くれぐれも白衣で覆われている部分のみです。この件に関して使用者の生命
が危機にさらされても、当社は一切責任を負えません。
また、これは極秘事項なのですが、着用者は老化が防げるとか・・・」

マヤ「科学者にはもってこいの白衣ですね。しかし、それほど重装備ですと、
相当な筋力が必要かと・・・」

マコト「その必要はありません。質量に関しては、他社の製品よりも軽い特殊素材で
できております。
一説には、アダムという生物の表皮を裂いて作られたとか・・・」

マヤ「しかし、そんな特注品ですと、お値段のほうが・・・」

マコト「その心配は御座いません。お金がなくてスランプ状態の科学者さんでもご調達できるよう
になっております。
・・・というわけで、お値段はたったの7万円です。」

マヤ「そ・・・それはお安い。皆さん、お買い得商品ですよ。」

マコト「しかも今なら・・・なんと『金髪ヘアカラー』セットが無料でついてきます。」

マコト「(しかしいいのかなぁ・・・これ、ホントはただの白衣なんだよなぁ・・・
これじゃあ、完全に詐欺じゃないか・・・)」

マヤ「(大丈夫ですよ。なんたって私たちはネルフなんですから。捕まったりしませんって。
それに、実際N2を使って実験するような人はいませんって。)」

マコト「(しかし、なんで金髪セットなんだ? こんなもん貰ったって・・・
博士、いったい何考えてるんだろう・・・)」

マヤ「無料ですか? これは買うしかありませんね。皆さん、是非是非お電話ください。
それでは、続いて商品番号三番『初号機使用済みLCL』です。

シンジ「な・・・なに?」

マコト「この製品は、我が社の葛城さんの推薦で皆様にご紹介します。
これは特殊な液体で、この液体を肺に含むことによって、
直接酸素を取り入れることができます。」

マヤ「それは画期的な商品ですね。しかし、何に使うんですか?」

マコト「ハイ。葛城さんのお話によりますと、料理にちょこっとかけると、どんな料理でも
ベリーデリシャスになるそうです。
何でも、自宅で料理をするときには必ず使っているそうです。しかも、精密検査の結果、
『使徒』というウィルスから体を護る働きと、アルコールを急速に分解する
作用があるそうです。」

シンジ「・・・・」

アスカ「・・・LCL・・・嘘ね。ぜっったい不味いわ。ミサトを基準に考えてるわね。」

シンジ「・・・あんなの使ってるから、料理不味いんだね・・・」

マヤ「そ・・・それは素晴らしい・・・そんな嘘のような調味料。やはり・・・」

アスカ「嘘よ。」

シンジ「嘘だね。」

マコト「いえいえ。当社はこの製品の大量生産に成功し、
一年分をたったの6000円でお送りします。」

シンジ「・・・詐欺だ・・・」

マヤ「そんな・・・私も買わないと・・・」

マコト「さらに今なら、葛城さん特製のカレーが一食分無料でつきます。」

アスカ「・・・死人が出るわね・・・」

マコト「(・・・しかしこんなものホントに売れんのか? 怪しすぎるぞ・・・)」

マヤ「(葛城センパイの手料理、ホントに送るんですか?)」

マコト「(・・・葛城さん、ふざけてるな・・・)」

マヤ「それでは次の商品です。商品番号四番、『独12式自走臼砲赤木バージョン』です。」

マコト「これは、2012年に本社にて正式に採用された列車型レーザー砲です。
それを我が社の天才サイエンティスト赤木博士が特別に改良したバージョンで、
設置型です。玄関においておくだけで、最新型の探知システムにより、
不審者と思われる動体物質を消滅させます。
なお、この商品の取り扱いが生じますので、購入者の方全員に、
我が社の開発部にて十年間指導を受けてもらいます。

マヤ「まぁ。一人暮らしの女性にはお勧めの一品ですね。」

マコト「はい。それを只今は特別に、個人的な赤木博士との直接交渉にて
値段を決めていただきます。」

マヤ「まぁ、本当ですか? というと、赤木博士とは、随分人柄がよさそうですね。」

マコト「ええ。社内ランキングナンバーワンです。しかし、気に入らない相手の場合は、
人体実験に使われてしまうので注意しましょう。」

マコト「(・・・一応ナンバーワンだよな・・・怪しすぎる女性ランキングで・・・)」

マヤ「(センパイ・・・最近実験材料が足りないって悩んでましたから・・・)」

マコト「(そうだよな。それが目的だよな・・・しかし、こんな危険なものを一般人が
買うわけないじゃないか・・・いったい誰が選んだんだよ・・・)」

マヤ「(商品選考委員会会長の碇指令です。)」

アスカ「・・・モルモット募集中ってわね・・・」

シンジ「当分近づかないほうがいいね。」

マコト「(こりゃ、当分近づけないな・・・)」

マヤ「そろそろお別れの時間が近づいてまいりました。それでは、最後の商品です。
商品番号四番『キール議長のバイザー スーパープロフェッショナルアカギバージョン』
です。」

マコト「ハイ。この商品は、国際連合上層部のキール議長が常に着用している
バイザーを、我が社の赤木博士が独自に改良を重ねたバイザーです。
最新技術を用いたため、これを着用することにより、どんなに凶悪面
をしている人間の顔が相手でも、対等に話し合いができるという優れものです。」

マヤ「まぁ。上司に逆らえない部下の方々にはもってこいですね。」

マコト「技術は秘密なのですが・・・いまなら・・・23万円です・・・」

マヤ「素晴らしいですね。きっとそれだけの価値はあるんですよね。」

マコト「(ていうか・・・これも詐欺だな。赤木博士・・・マッドになりすぎて
おかしくなったんじゃないか?)」

マヤ「(・・・たしか、内側に鏡を貼っただけなんですよね・・・たしかに相手の顔は
見えなくなりますけど・・・)」

マコト「(まぁ、あの指令を相手に話をするにはちょうどいいんじゃないか? にしても、
すごい名前だな・・・博士って、こんなにネーミングセンスなかったっけ?)」

マヤ「(これは葛城先輩です。)」

マヤ「それでは皆さん。たくさんのご利用をお待ちしております。それでは、よい週末を・・・」

『ジャジャーーン』

シンジ「終わった・・・」

アスカ「たしかに経費集めにはいいかもしれないけど・・・」

シンジ「どうみても詐欺商品・・・悪質商法だな・・・」

アスカ「きっと国際公務員の特権ってやつで逃げ切るきよ。それに、あの指令相手に
文句いえる警官なんていないだろうし・・・」

シンジ「やっぱ企画したの父さんだろうな・・・」

アスカ「それにミサトが調子に乗って・・・」

シンジ「リツコさんも自分の天才さを見せびらかそうとしたのかな?」

アスカ「・・・まぁ、リツコが天才なマッドだってことが全国に知れ渡ったってことよね。」

シンジ「副指令も許可したのかな?」

アスカ「なわけないわよ。きっと指令に命令された諜報部に拘束されてるわよ。きっと。」

シンジ「ハァ・・・とうとうネルフも卑怯な手を・・・」

アスカ「・・・最近おかしくなってきてるわよね・・・この組織・・・」

数日後、ネルフ内の施設や設備が全て新しくなっていたという事実が・・・

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作者あとがき

はぁ・・・
ちょっとした気分転換に書いてみたのですが・・・
なんか物足りないような・・・
けど、脇役の二人の活躍ってことで・・・
青葉さんには、次回頑張ってもらおうと思います。
まぁ、暇つぶし程度に読んでいただけたなら幸いです。

USSでした。


マナ:よくこれで、消費者が苦情出さないわね。

アスカ:相手がネルフだからねぇ。下手なこと言ったら、身が危険よ。

マナ:泣き寝入りってわけね。可愛そうに。

アスカ:っていうかさぁ。こんなの買うヤツがバカなのよ。

マナ:そうかもしんないけど、結構高い出費よ?

アスカ:いいんじゃない? 贅沢してる金持ちから、多少はお金取っても。

マナ:お金はともかく・・・葛城さんのカレーを渡しちゃマズいわよ。

アスカ:ありゃ、確かにマズイわ。(ーー)

マナ:いや、そうじゃなくて・・・。

アスカ:でも、設備が新しくなったのはアタシ達にとっては嬉しいことよっ! アタシの希望も聞いて貰ったんだから。

マナ:一般市民を犠牲にして、何作って貰ったのよ?

アスカ:アタシとシンジの愛の部屋よ。

マナ:そんなものに、市民のお金を使わないでーーーーーーーっ!!!!
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