EVAでNERVな日常生活物語
   
	第六話『新たな非日常』

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アスカ「シンジ、気にすることないわよ。」

シンジ「うん・・・そうだよね・・・」

二人は家に向かって歩いている。
シンジ君は、いまだにゲンドウのことが気になっているみたいだ。

アスカ「まぁいいじゃない。ね? それより、今朝の約束、覚えてるでしょ?」

シンジ「うん・・・そうだよね。今日は早く終わったから、ショッピングをかねてデートに。」

アスカ「じゃあ、早く帰って着替えなきゃ。」

シンジ「お昼・・・お弁当でも作って、外で食べよっか?」

アスカ「うん。いいわね。ピクニックなんてのも。」



シンジ「ただいま。」

アスカ「さ〜てと。じゃあ、30分後にリビングね。」

シンジ「うん。わかった。」

そう言ってアスカは自室に向かった。

シンジ「う〜ん。お弁当何にしようかなぁ・・・」

シンジ君はまずキッチンに向かった。
そこで彼は驚くべきものを見た。

シンジ「冷蔵庫になにかはいって・・・父さん?」

ゲンドウ「あぁ。」

そこにはゲンドウがいた。

シンジ「父さん? 何でここにいるの? 何してるの?・・・」

ゲンドウ「ここは私の家だ。いては悪いのか? 新聞を読んでいるに決まっている。
	見てわからんのか? だからお前はバカシンジと呼ばれるのだ。」

ゲンドウさんは、キッチンの手前にある食事専用のテーブルの前に座って新聞を読んでいた。

シンジ「父さん。そう呼んでるのはアスカだけだよ。」

シンジ君は、カバンを床に置きながら答えた。

ゲンドウ「黙れバカシンジ。」

シンジ「・・・・父さん、職員会議じゃないの?」

キッチンに向かいながら尋ねた。

ゲンドウ「ふっ。」

シンジ「いや・・・ふっ、じゃなくて・・・」

壁にかかっているエプロンを着ながら言った。

ゲンドウ「やはりバカシンジだな。」

シンジ「父さん、僕にはわからないよ。」

冷蔵庫を開けながら言った。

ゲンドウ「今日が何の日かわかっているのか? 」

シンジ「えっ? 今日? 」

冷蔵庫から食材を取り出しながら考えてみた。

シンジ「(今日は・・・)わからないよ。いったい何の日? 」

ゲンドウ「ふっ。バカめ。今日は月曜日だ。」

シンジ「だからなんだよ。」

ゲンドウ「まだわからないのか? 月曜日は食堂の焼きそばパン限定10個タイムセールで半額なのだ。」

シンジ「は?」

ゲンドウ「だが、全て私のものだ。ふっふっふっ・・・さらばだ。バカ息子よ。」

そう言ってゲンドウは、リビングに備え付けてあるネルフ本部直通エレベーターに乗って行ってしまった。

シンジ「父さん・・・そんなことで学校休みにしていいの? 」

シンジ君は料理をしながら考えていた。

シンジ「(父さんって、半額の焼きそばパンを毎週食べてたんだ・・・)」

すると、アスカがやってきた。

アスカ「し〜んじ。準備できたよ。」

シンジ「え・・・」

シンジ君。ここで問題発生。
ゲンドウさんとの会話に時間を使いすぎ、まったく昼食の準備が進んでいなかったのだ。

アスカ「さっ、早く行きましょ!」

そのことにアスカはまだ気づいていない。
というよりも、ゲンドウのことなど微塵も思っていない。

シンジ「ご、ゴメン。まだ、お昼、できてないんだ・・・」

アスカ「そっか・・・そうよね。わかった。じゃあ、手伝ってあげる。」

そう言うとアスカも、壁にかかっていたシンジ君と色違いの真っ赤なエプロンを身に着けた。

アスカ「けど、私が手を出すと、邪魔なだけだから・・・」

と言って、シンジ君の腕に絡みついた。

アスカ「こうしてるだけならいいよね。」

思うに、余計邪魔だと思うのだが・・・

シンジ「うん。なんだか落ち着くよ。」

まぁ、シンジ君がよしと言うならいいだろう。
そんなこんなであれからちょうど三十分。定刻どおりに昼食の準備ができた。

シンジ「ゴメン。待たせすぎちゃったね。」

アスカ「ううん。いいの。楽しかったから。」

確かに二人そろってLOVEx2な料理は楽しいだろう。本人たちにとっては・・・
ということで準備もできたようだ。




アスカ「わ〜、やっぱ広いわね〜。」

シンジ「うん。凄いねぇ〜。」

二人は今、芦ノ湖に来ている。
結局、ショッピングを後回しにしてピクニックに来たようだ。

アスカ「さぁ〜てと。そろそろお弁当食べましょうか。」

シンジ「そうだね。今日はアスカの好きなハンバーグを入れてきたよ。」

といってシンジ君は、背中のリュックからお花見で利用するサイズの重箱をとりだした。
しかも三段重ね。

アスカ「・・・・(シンジ、アンタいつのまにそんなの作ったの? たった三十分しかなかったのに・・・)」

シンジ「さっ、遠慮しないで食べてね。」

確か昼食はアスカとともに作ったはずだが・・・
そういえば、アスカは自分の世界に入っていたから料理を見てはいなかったのか。
もったいないなぁ・・・炎の料理人シンジ様の素晴らしい包丁さばきを見逃すなんて・・・
しかし凄かった。たったの三十分で重箱三段分の料理をするあの素早さ・・・

アスカ「シンジ、最近また料理の腕あがったわねぇ・・・」

アスカは自分のために作ってくれたというお弁当を口にはこみ、嬉しさに包まれながら言った。

シンジ「当たり前だよ。なんたって愛しのアスカに食べてもらうんだ。ついついがんばっちゃうんだよ。」

芝生にシートを敷いて、まるでお花見のようだ
しかし、そんな穏やかな日常の裏で、新たな非日常が行われていた。




場所は変わって『ネルフ本部第10会議室』
ネルフ主要人によって最重要機密会議が行われていた。


リツコ「・・・というわけよ。何か質問は?」

ミサト「ちょっと・・・なんで今頃になってそんなことするの? もう必要ないんじゃ・・・」

リツコ「いいえ。あなたの考えは間違っているわ、葛城三佐。マヤ!」

マヤ「ハイ。現在ネルフは超法規国際武装集団として世界各国の軍事力の均衡と、
	紛争の抑制の為、国連直属の公開組織として運営されていることはご存知ですよね?」

ミサト「・・・(あら、そうだったの?)」

リツコ「(ミサト・・・あなた今『あら、そうだったの?』って思ったわね。)」

マヤ「そして、本部としてその責務を達成するためには、この件を見過ごすわけには行かないのです。」

リツコ「わかったわね? 葛城三佐。」

ミサト「けど、何も14歳の子供を・・・」

リツコ「それに関しては、将来的に有利になる点と、同年齢のエヴァパイロットの
精神面での圧力の低下という利点があります。」

ミサト「・・・・」

ゲンドウ「赤木博士の提案を許可する。以上で会議を終わりにする。」

そう言ってゲンドウは部屋から出て行った。

ミサト「・・・・・」

ミサトは、会議室奥のスクリーンに映されているシンジ君とアスカの間に写っている
一人の少女を見つめていた。その名は・・・









『霧島 マナ』










アスカ「なんかすっかり暗くなっちゃったわね。」

場所は変わって第3新東京市市街。

シンジ「ゴメン。ショッピング行けなかったね。」

芦ノ湖で昼食を食べた二人は、そのまま湖周辺を散策していたのだ。

アスカ「けど、楽しかったよ。」

シンジ「うん。僕もだよ。」

アスカ「どっかで夕食たべようか?」

シンジ「そうだね。久しぶりに外食もいいね。」

二人は近くのファミレスに入った。

アスカ「ねぇシンジ、うちに帰ったら・・・約束、覚えてる?」

シンジ「えっ!? 約束・・・・あっ、チェロのこと?」

アスカ「そう。弾いてくれるでしょ?」

シンジ「うん。久しぶりだもんね。いいよ。」



そんな話をしている頃
自宅・・・キッチンのテーブル

ミサト「・・・・・・」

リツコ「・・・・・・」

ゲンドウ「・・・・・・」

仕事が終わった三人は、家に帰ってきていた。

ミサト「(しんちゃ〜ん、どこに行ったの? 早く帰ってゴハン作ってよ〜)」

緊張しているのか、ガチガチのミサトさんと、

リツコ「(アスカもいないということは・・・デートね。)」

机に頬杖をつきながら猫のキーホルダーで遊んでいる博士と、

ゲンドウ「(バカシンジ・・・飯・・・)」

新聞を目の前に広げている髭。
自宅の食堂は異様な雰囲気に包まれていた。

ミサト「(にしても随分やな雰囲気ね・・・きつすぎるわ。)」

リツコ「(・・・静寂って、意外と怖いものなのね。)」

ゲンドウ「・・・めし・・・」

空腹に耐えられなかったのか、ゲンドウさんが不意に口を開いた。

ミサト「はっハイ。只今お作りします。」

命令されたのかと思い、突然立ち上がったミサトに対し、

リツコ「ミサト! 」

ゲンドウ「葛城三佐、座れ。命令だ。」

ミサト「はっハイ。」

・・・静寂・・・

ミサト「(なによ。せっかく作ってやろうと思ったのに、このヒゲ。)」

リツコ「(ふっ、無様ね。)」

ゲンドウ「・・・シンジはどこへ行った?」

リツコ「私の推測では、弐号機パイロットと外出中だと思われます。必要なら呼び戻しますが?」

ゲンドウ「問題ない。最優先事項だ。」

ミサト「(なにが『問題ない。最優先事項だ。』よ。ハンッ、指令だからって気取っちゃって、
バッカじゃないの?)」

ミサトさん、本人に言ってごらん。
しかし、この夜、二人は帰ってこなかった。
何故なら・・・

アスカ「ふぁ〜、やっぱりシンジのご飯が一番よね。」

シンジ「そっそうかなぁ・・・」

帰宅途中・・・

レイ「あっ、シンちゃんにアスカ〜、やっほー。」

シンジ「あっレイ。」

アスカ「あら、あなた達もお出かけだったの?」

カヲル「僕たちは愛しのエリーと真実の愛を探しに行っていたのさ。」

レイ「カヲルくん・・・」

二人はスリップしてしまった。

シンジ「(エリー?)」

アスカ「(真実の愛?)」

シンジ「で、見つかったのかい?」

カヲル「勿論さ。全て愛しのエリーのおかげさ。」

レイ(エリー?)「うん。第3新東京市中央図書館六階北から六番目の棚の上から三段目
		向かって西から31冊目の『世界大百科 あ段』42ページで見つけたよ。」

カヲル「それこそ僕たちの愛の深さ故の結果なのさ。」

レイ「カヲルくん・・・」

シンジ「よ・・よかったね・・・」

アスカ「(あんた達・・・そんなに暇なの?)」

シンジ「ところで、二人は今からどこ行くの?」

レイ「えっとね、カヲル君の部屋でビデオ鑑賞会を開くの。」

アスカ「えっ? 渚の部屋って・・・私たちの家でしょ? 反対方向じゃないの?」

カヲル「これだから(赤毛猿は)・・・僕の・・・いや、僕らの秘密基地さ。君たちも一緒にどうかな?」

レイ「っとね、今日は『ジュラシッX・パークW(洋画)』と、『ファイナルXァンタジーV(洋画)』と、
   『カXン スペシャルエディションアユ生誕(アニメ)』と、『世にも微妙な物語(邦画)』を見るの。」

シンジ「へぇ〜、面白そうだね。行ってもいいのかい?」

カヲル「勿論だよ。シンジ君と僕の仲じゃないか。」

アスカ「ねぇレイ、私たち行ってもいいの? 邪魔じゃない?」

レイ「え〜、そんなわけないじゃない。アーちゃんと私の仲よ!」


というわけで、四人は、本部地下深くの『カヲルの秘密の寝室』へ向かい、
一晩中映画鑑賞をしていた。

そして、翌日。四人は本部に呼び出され・・・

続く
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作者あとがき

何故か『新たな非日常』が一部しか出ませんでした。
次回では、全容が明らかに!!

「鋼鉄」初めてやりました。
正直、マナっていい感じの娘なんですね。
明るくて女の子らしく・・・イメージが変わりました。
前回はちょっとひどい扱いになってしまったような(笑)
これからはもっと大切に扱っていこうと思います。
アスカのよきライバルとして。

USSでした。


マナ:わたしの名前がちょっと出てるけど・・・これからどうなるか不安。

アスカ:アンタに限らず、大人たちの思惑がみんな不気味で不安よ。

マナ:碇司令?

アスカ:確かに不気味だけど・・・別の意味で。問題はリツコよ。

マナ:何か企んでるみたいよねぇ。

アスカ:やっと平和に暮らしてるんだから、もうそっとしといてほしいわ。

マナ:きっとドラマティックな展開が待ってるのよ。

アスカ:アタシは今のままで満足なんだけど。

マナ:駄目よ駄目よ。物語は波乱万丈なのよ。

アスカ:そうかなぁ。

マナ:アスカの死を悲しむシンジ。慰めるマナちゃんとの間に愛が芽生えて・・・。

アスカ:アンタの思惑が1番不気味じゃないのよっ!!!(ーー#
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