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『続・首都高バトル』   作:WARA

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本作品は『首都高バトル』の続編となります。
宜しければ、先にそちらからお読み下さい。

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「アタシのマシンの調整終わったぁ?」

ここは、ドイツ車専門ショップの”ゲヒルン”です。
冬月コウゾウがここのオーナー兼メインチューナーです。

「ああ、終わったよ。クラッチもオーバーホールしておいたからね。」

「ありがとう。」

”湾岸の女王・レッドバード”と呼ばれる惣流・アスカ・ラングレーが
早速、愛車の真紅のポルシェの傍へ走り寄ります。

「次は2週間後にチェックしてくれるのよね?」

「そのことなんだけどね、アスカ君。」

「なに?」

「うちはもうチューンから手を引くことにしたのだよ。」

「ええ〜?!」

「この通り不景気でねぇ。整備オンリーでこれからはやっていこうと。」

「だってチューンドショップでしょう?」

「今は一般整備の方がうちの場合利幅大きくなっているんだよ。
 これも時代の流れなのかねぇ。」

「じゃあ、アタシのマシンはどうしてくれるって言うのよぉ。」

「それなんだが、すまないがこれからはここに面倒見てもらって欲しい。
 昔は専門学校で自動車機械を教えていてね。その頃の生徒なんだ。」

そう言って冬月はアスカに名刺を渡しました。

「チューンドショップ”ネルフ”?……ってユイさんのことろじゃない?」

「ほう。知ってるのか?」

「ええ。ここんとこ毎日通ってるもん。」

「だったら、話は早い。すまないがよろしく。」





「へ〜え。冬月先生、チューンはやめちゃうんだ?」

”ネルフ”のメインチューナーの碇ユイがアスカと話しています。

「ええ。『不景気の上に、年寄りにはチューンはしんどい』ですって!」

「そう。今度挨拶しておこうかしら?
 じゃ、これからはアスカちゃんのマシンも見なくちゃね。
 今日持って来てる?」

「ええ、もちろんです。」

「もし都合が悪くなければ、2番レーンに入れておいて。
 後で各部見とくから。
 久しぶりに冬月先生の技も見れるし、私も楽しみなのよ。」

「はい。ありがとうございます。」

「あれ、アスカ。来てたんだ?」

シンジがテスト走行から”ネルフ”に戻ってきました。

「ええ。忙しそうね、シンジ。」

「うん。”ネルフ”の後を継ぐと言ったら、
 早速こき使ってくれるから……」

「アハハ。頑張りなさい。」





そして3日後です。

「アスカぁ。ポルシェ仕上がったって。」

シンジがユイからの伝言を伝えます。

「わぁもう?何かいじったのかな?」

「ほとんどやってないって。『さすが冬月先生ね。』とか言ってた。
 でも、CPU周りだけは強化しておいたらしいよ。」

「さっすがユイさん……あっ!」

「アスカ、どうしたの?」

「見て見てシンジ。”ネルフ”のステッカーよ!」

「うん、そうだね。」

「ほらぁ、アンタのマシンとこうやって並んでいると、
 何かペアルックみたいじゃない。」

アスカは嬉しそうです。

「ハハハ……。」

シンジは照れていますね。

「早速今日から走りに行こうっと。シンジも来ない?」

「う〜ん、それが……仕事が一杯でとてもとても。」

「そっかぁ、残念ねぇ。まっいいわ。
 シンジがいない間にまた伝説増やしておくから。」

「ハハハ。アスカらしいや。」





一方、チューンドショップ”MAGI”にミサトはいました。

「ねぇ、リツコ。マシン仕上がった?」

「できてるわよ。ほら、アレよ。」

目でミサトのFDの場所を教えます。

「サンキュ。おお、凄いわこれ。」

助手席が綺麗に取り払われています。
でも軽量化のためではありません。
かわりにある機械がとりつけられています。

「やっほぅ。念願のビールサーバーっと。
 これでいつでも冷えた生ビールが飲めるわ。」

相変わらずビールを飲みながら運転するようですね。

「ミサト。一つ言っておくけど、
 そのサーバーを積んだ分、マシンは重いし、パワーダウンしてるからね。」

「えっ?どうしてよぉ。ちょっとぉ手を抜いたんじゃないの?」

「貴方ねぇ、前回私が徹底的にチューンしたFDで負けたんでしょう?
 この私に泥を塗ってくれて。もう貴方は用済みよ。」

「そ、そんなぁ。」

「ほら、さっさと帰って頂戴。忙しいんだから。」

そう言うとリツコはフィルター近くまで吸った煙草を揉み消し、
作業に戻りました。

「忙しいって、今度は何やってるの?」

ミサトが真面目な表情で尋ねました。

「アレよ。」

「アレってまさか……あの二人を使うつもり?」

「ええ。」

「マジなの?」

「貴方が無様な負け方をするからよ。」

「ゴミン。」

「もういいから、さっさと帰って頂戴!」

「ふぁ〜い。」





ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン
プシィィ……
ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン

夜、”ネルフ”ステッカーを引っさげて、
2日間連続でアスカは首都高に出撃していました。

「凄い。5500回転にあった小さな谷が綺麗に消えてる。
 昨日は湾岸しか走らなかったから、気づかなかったけど……。」

今日は環状線内回りを周回しています。

これは凄いわ。
暫く内回りで流してよ〜っと。

今日も”湾岸の女王・レッドバード”は快調です。
環状線でも無敵です。
難なく2台を撃沈。

「ま〜ったく、どうしてナンパまがいのヤツしか来ないのかしら?
 大体シンジ以外は眼中にないのにねぇ……。」

シンジは果報者ですね。
しかし、強敵が現れずアスカは少し物足りないようです。





ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン
パンッ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン





何かしら?
後ろから結構速いマシンが来るわね?
あの音……ミスファイヤリングシステムを搭載しているの?

ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン
パパパンッ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン

割りと小さな真っ白のマシンがどんどん迫ってきます。

ユーノス……かしら?

ギュッ

アスカが迎撃体勢に入ります。





「赤木博士。”レッドバード”を発見しました。」

『レッドバード?』

「噂通り、”ネルフ”が手を入れているみたいです。」

『そう……”ネルフ”がねぇ。私に泥を塗ってくれた憎い存在。
 だったら撃沈してもらわないといけないわね。』

「それは、希望ですか?」

『これは命令よ……レイ。』

「了解。命令とあればそうします。」

チカ……チカ……

レイがパッシングします。

「来たわね!よ〜し、行くわよ。」

アスカが勝負を受けて立ちます。





──首都高環状線C1内回り 飯倉にてバトル開始──






ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン
プシィィ……
ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン

ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン
パパパンッ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン

「は、速いあのマシン!このアタシより速い!」

アスカが驚愕しています。
一の橋ジャンクションにて2号線から合流してくる一般車の間を縫って
レイのマシンが一気にテール・トゥ・ノーズ。
ピッタリと後ろに張り付きました。

「どうして?ユーノスってたかだか1800ccでしょうが?
 ターボ化してると言ってもこのアタシに一気に詰めるなんて?!」

前に2台の一般車が道を塞いでいます。

「ちっ!」

アスカはアクセルを緩め、タイミングを見ます。

「浜崎橋を抜けたら3車線になるから、待つしか無いわね……」

ですが、レイのマシンがアスカを抜き去り、
前の一般車に突っ込んでいきます。

あ、あのマシン、ユーノスじゃ無い!
CR−X。それも……





「デルソル!!」





レイのデルソルがハザードを上げ、無理やりこじ開け
前に進みました。

「なっ、何よあのデルソル。何て強引なの?!
 目標の為なら手段を選ばない主義ってヤツね。」

走りに美学を求めるアスカには許せません。

ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン
プシィィ……
ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン

浜崎橋を抜け、3車線に広がったところで一気に加速。
レイに並びます。

汐留の左コーナー。
インを突くアスカのポルシェ。
しかしレイのデルソルが外からかぶせます。

「ちっ、こしゃくな真似を!」

次は右コーナーです。
インとアウトが逆になります。

クッ!!

RRのポルシェが前に出ようとしたところですが、
レイに塞がれ行き場を失ってしまいました。

キュアアアァァァァ…………ン
ガツン





アスカ、クラッシュ。

僅か4分の1周でバトルは終わってしまいました。

「動け、動け……!」

キュルキュルキュル
バラバラバラ……

エンジンは掛かりました。
しかしアライメントが狂ってしまい、マシンが真っ直ぐ進みません。

「畜生ぉぉぉ。こんなやり方なんて……絶対許せないわ!」





車載トラックを引っさげ、シンジがアスカを迎えにいきました。

「結構やられたね。」

「悔しい……ホント悔しい。
 あんなやり方なんて……。」

「でも、無理に進路を塞いだ訳じゃないだろ?」

「そりゃそうだけど……確かに上手く鼻先を抑えられたんだけど。」

「その前に無理に一般車をこじ開け、アスカの闘争心をかき乱した。
 かなり計算ずくだと僕は思うよ。」

「ちょ、ちょっとぉ、アンタはアタシの味方じゃないの?!」

「僕はただ客観的に見て……。」

「な、なによ!良いコぶっちゃって!」

「ご、ごめん……」

「そうやってすぐ謝れば済むと思って。
 謝るぐらいなら、初めから言わなければいいのよ!」

「…………」






3日後。

「おう、シンジ元気か?」

「トウジ……。」

「な、なんや、辛気臭いなぁ。」

「うん、ちょっと、アスカが……。」

「ああ、聞いてるで。事故ったそうやな。
 せやけど怪我は無かったんやろ?」

「うん……そうなんだけど。」

「なんやねん?」

「ちょっと喧嘩しちゃって……」

シンジは簡単に経緯を話しました。

「お前なぁ、男やったら女なんか恐れんと、
 思ったことはハッキリ言わんかい!」

「だけど、アスカが怒っちゃうよ。」

「おいシンジ。惣流が怒ったんはな、
 お前が自分の本心をきちんと伝えへんかったことや。」

「どういうこと?」

「それは自分でよ〜考えるんやな。」





「母さん、もう上がってもいいかな?」

「ええ、いいわよ。何急いでるの?
 はは〜ん、さてはアスカちゃんのところへ遊びに行きたいのね?」

「え?う……まぁそんなところだよ。」





20分後、パープルのスープラが首都高を巡回してました。





僕がアスカの分の借りを返さなくちゃ。
言葉で伝えられない分、せめて走りで……

環状線内回りをシンジがゆっくり流しています。

確か相手はデルソルだったよな。
出て来てるかな?

環状線を半周。
銀座付近でデルソルは停車していました。

「赤木博士。碇シンジのスープラを発見しました。」

『フフフ、ようやくお出ましね。徹底的に叩きのめして頂戴!』

「了解。」

バババババ……
ドドゥドドォォゥ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン
パンッ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン

早速来たな。
アスカ、必ず君の敵討ちはするよ。
僕にできることは、これくらいしか無いんだ。

ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン
プシャァ……
ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン

銀座を抜け京橋……




──首都高環状線C1内回り 京橋にてバトル開始──





ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン
パンッ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン

凄い加速だな。
あのミスファイヤリングシステムは音だけじゃ無く、
かなり高い完成度だ……

江戸橋ジャンクション
急な左コーナーです。

ギュウウウゥゥゥ

フルブレーキング

合流車を見ながら一気に加速する2台。

ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン
プシャァ……
ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン

ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン
パンッ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン

レイのデルソルが一般車の間をすり抜けて行きます。

あのデルソル、女のコのドライブなんだ……
だけどアスカ顔負けの強引さだな。

しかし、あのパワーは一体どうしたことか?
デルソルって上のクラスでも1600cc
しかもFFの筈……なのにこの加速。

まさか……





ツインエンジン?!





ホンダ得意のFF車。
もちろんエンジンは前に積まれている。
それを後ろにも搭載して、前のエンジンで前の車輪を。
後ろのミッドシップエンジンで後ろの車輪を駆動させているんだ。

だからあの弾き出されるようなダッシュが可能なんだ……

さすが、”MAGI”チューンだな。

しかし、焦っちゃ駄目だ。
アスカのやり方じゃきっと勝てない。
良く相手を見てからで……十分だ。





そうこうしている間に霞ヶ関のトンネル。

前回のアスカとのバトル以降、すっかりシンジの得意個所です。

ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン
プシャァ……
ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン

ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン
パンパンパンッ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン

しかし、イン側の右車線に数台走る一般車。
外から立ちあがる2台。

次は左コーナー。
シンジは外から中へ、様子を見ながらトライ。

ブラインドで恐ろしいコーナーを目一杯インから突っ込むレイのデルソル。

「クッ、作戦失敗。」

レイの前に一般車がいました。

ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン
プシャァ……
ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン

シンジが右車線からかわします。
行き場を失ったレイが失速。

これでケリが付いたか?
いや、もう来てる?!

ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン
パッパッパッパッパンッ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン

赤坂ストレートで引き離したはずのレイが、
怯むことなく谷町ジャンクションを目一杯の速度で突っ込みます。

4号線から流れ込む一般車なんかおかまい無し……か。
どうしてあんな自殺行為まがいのドライブするんだ?

30m程後ろにレイが来ています。

浜崎橋からの加速で引き離すシンジ。
しかし汐留から京橋の区間で詰め寄るレイ。

宝町ストレート。

よし、めずらしく一般車がバラけてる。
あのツインエンジンの実力を掴むチャンスだ。
フルスロットル!!

ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン
プシャァ……
ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン

ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン
パンッ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン

時速250km。
環状線とは思えないとんでもない速さまで速度を乗せるシンジのスープラ。

レイはやや遅れて来ています。





江戸橋ジャンクション

ギュウウウゥゥゥ

急激なブレーキング。

インを付いたままシンジは丁寧に加速。
しかしレイは遅れを取り戻すべく、一気にアウトへ膨らみ、
6号線からの合流車線へすっ飛びます。

なるほど、分かった。
あのデルソルはアレしかできないんだ……

2基のエンジン重量。
確かに2基のエンジンパワーで加速は鋭いけど、その分慣性力が大きい。
小さい車格の見かけにだまされるけど、意外に小回りきかないんだ。

大体の状況が分かったシンジは、コーナーの度に引き離していきます。

千代田トンネル。

先の見づらいトンネルで、シンジはセオリー通りのラインで抜けます。
レイは、やはり強引にインを攻めていきます。

しかし、一般車が多い区間になると、レイが置いていかれはじめました。





「勝負あり……だね、レイ?」

漆黒のマシンを駆る男がそう呟きました。

『ええ、そうみたい……。
 意外に彼、冷静だったわ。』

「フッ。では、いよいよ僕の出番だね?」

『そうね、任せるわ。』

ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン
ガシュゥゥ……
ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン





あのデルソルと入れ替わるように、黒いマシンが来てる?!
あの音は……直6のターボ、GT−Rか?
ライトの形状からしてR34。

間違い無い。
ついに渚カヲル君が出てきたな。

先日アスカが”MAGI”のデルソルにやられています。
シンジは”MAGI”について雑誌やネットで情報を集めていました。

『MAGIのマシンがやられた時だけ出てくるって言う、
 幽霊のようなマシン──渚カヲル』

久しぶりだね、カヲル君。
僕が知ってるのは子供の頃、カートで一緒に練習した時だけだから、
随分上手くなったんだろうね。

そうです。
ゲンドウによって英才教育を受けていたシンジですが、
幼少時代、彼と一緒にカート・ドライビング・スクールで
共に競った仲なのです。

でも、今回はどうしても譲るわけにはいかないんだ。
アスカがいつも言ってる。
やられた借りは10倍にして返すんだ……って。
アスカの借りを返すには、どうしたって君も倒さなきゃいけない!





──首都高環状線C1内回り 一ノ橋にてバトル開始──





ずっと一定距離を保ったままで付いてきている。
ってことは、付いて来るのが精一杯なのか、或いは……

宝町ストレート。

ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン
プシャァ……
ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン

ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン
ガシュゥゥ……
ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン

やっぱりきっちり付いて来る。
抜けないんじゃない。彼は敢えて抜かないんだ。

よし、様子を見る意味でも9号に回るか……

江戸橋ジャンクションで右に曲がるシンジのスープラ。
そして6号線に合流。

フッ……シンジ君。
久しぶりだね。
相変わらず自分を過信しない走り。
尊敬に値するよ。
だがしかし、今日は少し動揺しているようだね。
冷静を保っているように見えるけど……何か不安があるのかい?

まだ来ない……
時期を待ってるのか?

シンジはバックミラーが気になります。

それにしても……何というオーラ。
アスカの燃えるような熱いオーラとは違う。
しいて言うなら、冷めた炎。
黒い炎。
カオル君もこういう雰囲気を持つようになったんだね。

箱崎ジャンクション。9号線へ。

まだ来ない
湾岸……で勝負のつもりか?

辰巳ジャンクション。
イン側が少し広い右コーナー。

ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン
ガシュゥゥ……
ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン

ついにカヲル君が来たな!

ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン
プシャァ……
ブワオオオオォォォォォォォーーーーーーーン

シンジも予想していたので、遅れることなく加速。





湾岸線合流──

一般車が多い……
一瞬の判断ミスが勝負を分けるな。

スラロームで一般車をかわしていきます。

「あっ……」

気づいた時にはカヲルが前へ出ていました。

芸術的な流麗なライン。
一般車の間をすり抜けているように見えない走りです。

す、凄い。とんでもなく上手い!
昔から人離れした滑らかなラインが得意だったが、まさかここまでとは!

シンジも懸命に追います。

落ち着け……落ち着くんだ。
この先はこのまま湾岸か?
いや違う。きっと有明でレイボーブリッジ経由だ。

予測通り、有明ジャンクションで左に寄るカヲルのR34。

右に曲がるレインバーブリッジへの道を、
スムーズに抜けます。

ここで置いていかれたら追いつけない!
アスカの分も頑張らなくちゃいけないんだ!

シンジフルスロットル!
一般車を流麗にかわすカヲルにすがり付きます。

ズルズル……

「マズイ!」

アウトにはらむスープラ。
目の前に迫る一般車。

「くっ」

ゴンッ
ガーーーーーーーーーーーーーガリガリガリガリ

壁に当て、追突事故を避けるシンジ。





「赤木博士。仰せの通り撃沈しましたよ。」

その頃、カヲルがリツコと通信していました。

『良くやってくれたわ。』

「はい。」

『ミサトがやられた湾岸でケリつけてくれた?」

「はい。予定通り新環状ルートで……。」

『流石ね。あの酔いどれとは違うわね。
 もういいわ。上がって。』





一方、”ネルフ”は大騒ぎでした。

シンジは救急病院に運ばれました。
右腕骨折。
左足骨折。

追突事故を避けようと、踏ん張った状態で壁にマシンを押しこめた代償。
全治6週間です。

「フッ。この未熟モノめ!」

病室へ現れるなりゲンドウがそう言い放ちました。

「と、父さん……。」

「他人の走りに惑わされて、自分を見失うとは……。
 お前には失望した。」

「…………」

今度ばかりは言い返せません。

「シンジ、アスカちゃんは来た?」

ユイが尋ねます。
シンジは首を横に振りました。

「おかしいわね、連絡したんだけど……。」

「実は……」

シンジが経緯を話します。

「そう……。」

「でも、僕が悪かったんだよ。
 結局僕もこうやって事故して……。」

「シンジ。あなた集中力かけてたんでしょ?
 あの場所で事故るほどの腕では無いわよね。」

「…………」

「相手がカヲル君だったからかしら?違うわよね。」

「うん。それは違うと思う。」

「アスカちゃんのことね。」

「そう……だね。」

「無言で出かけて落とし前つけて、それでカッコイイつもりかしら?」

「そういう訳じゃないけど……。」

「言っておくけど、走りだけで思いが伝わるなんて考えが甘いわ。
 アスカちゃんだってシンジの口から聞きたいことはあるのよ。
 ま、とにかくゆっくり休みなさい。
 そして落ちついて考えることね。」





翌朝。

「ユイさん……おはようございます。」

「あら、アスカちゃん。シンジならまだ病院よ。
 2週間は入院することになるらしいわ。」

「あの……今日はお願いが。」

「駄目よ!」

「はい?」

「アスカちゃんの言いたいことは分かってるわ。
 ポルシェを修理して欲しいんでしょ?」

「え、ええ。」

「っで、黙ってシンジの敵討ちに行くの?
 そんなのでいいの?」

「でも……シンジに会わせる顔が。」

「そんな逃げ腰で首都高に行って勝てると思ってるの?
 シンジは幸い命に別状無かったけど、
 そんなことでは、アスカちゃん。あなたが死ぬわ。
 悪いけど、今のままではアスカちゃんに手を貸せない。」

「アタシは……どうすれば?」

「アスカちゃんなら分かってる筈よ。
 悪いけど、開店準備があるから戻るわね。」





「なんやシンジ。惣流は来とらんのか?
 てっきり寝ずの番で付きっきりかと思うとったのに。」

受け付け開始と同時にトウジがお見舞いに来ました。

「来てないよ。それに、何を話せばいいんだよ?」

「前も言った通りや。
 自分が考えてること、そのまま言うんや。」

「でも、それでこの前アスカが怒ったんだよ?」

「それはちゃうな。お前がハッキリ言わんかったからや。」

「だって……。」

「それや。そういう態度があかんのや。分かるか?」

「分からないよ!」

「そうなんかなぁ?自分では気づいてるんとちゃうんか?
 ただ逃げてるだけとちゃうんか?」

「悪いけど……ちょっと屋上に行ってくるよ。」

「屋上って、お前そんな足で無茶するなや!」

「ちょっと風に当たって一人で考えたいんだ。」

「そうか……分かった。ゆっくり考えたらええ。
 じゃ、ワイは”ネルフ”に顔出ししてくるわ。」

「わざわざ朝からありがとう。」

「いまさら何遠慮しとるんや。ワイとシンジの仲やないか。じゃあな。」

「うん。」





トウジは病室を出ました。
そして病院から出ようとした時に、見覚えのある栗色の髪を発見しました。

「おう、惣流やないけ。
 来るのえらい遅かったな。」

「そ、そんなのアンタに関係無いでしょっ!」

今にも殴りかからんばかりの形相です。

「おっと……その意気や。」

「は?」

「今のシンジには惣流のそういう態度が必要っちゅ〜ことや。
 あ、そうそう。シンジは今病室におらへんで。
 多分屋上や。」

「フンッ。何よ、分かったような態度とってさ。」

「ワイとシンジは長い付き合いやからな。」

「どうせアタシは付き合いが短いわよ。」

「せやけど、ワイにでけへんこともある。
 シンジのこと……よろしゅう頼むわ。」

トウジはそのまま帰りました。

ちっ、何よあのバカ鈴原が。
アタシに意見しようなんて10億年早いわよっ!

しかし、トウジと話したアスカは”ネルフ”を出て行った時と異なり、
いつもの力強い足取りになっていました。





病院の屋上。
アスカが行った時はシンジはフェンス越しに外を眺めていました。

何を見てるのかしら?
あの方角……有明か。

まったく、ウジウジ考えてるわね。

「シンジ!」

「あ、アスカ……。」

「この前は良くも言いたいこと言ってくれたわね。
 何よ、自分も事故っちゃってさ。」

「全く……その通りだよ。」

「アンタが負けるとなると、よほどの強敵かしら?
 それとも自分自身に負けたのかしら?」

「強敵だったよ。でも、アスカの言う通りだ。
 僕は自分に負けたんだ。
 あの時、アスカのことが頭をかすめたんだ。
 気が付いたらマシンが手の内からスルスルと抜けていった。」

「アタシの……こと?」

「うん。ホントのこと言うよ。
 アスカは血が上ってあのデルソルに破れた。
 そう思っていたんだ。
 だから、僕はいつも冷静になって戦おうと。
 僕ならできると……ちょっと自惚れていたんだ。
 でも違ったんだよね。
 僕もあの日、自分のコンセントレーションが乱れた。
 ハハハ……僕ってバカだよね。」

「そうよ、大バカよ!
 でもね、シンジの言う通り、アタシは負けるべくして負けた。
 だけど、怒ったのはそんなことじゃ無いわ。」

「じゃ、どうして?」

「ハッキリ言ってくれればいいのよ。
 アタシのやり方に問題があるって言ってくれれば良かったのよ。」

「トウジにも……母さんにも言われたよ。
 ハハハ……僕よりみんなの方がアスカのことを良く知ってるよね。」

シンジが自嘲気味に笑っています。

「アンタバカァ?」

パシーーーーン

アスカの平手打ちが炸裂しました。

「アスカ?」

「アンタはアンタでいいのよ。
 そうやって無理に自分を責める態度が気に入らないのよ。」

「ゴメン。」

「またすぐ謝る。」

暫くシンジは黙っていました。
アスカの腕が震えています。
平手打ちのせいでしょうか?

シンジは母・ユイの言葉を思い出しました。

そうだよ。
僕が……僕にしか分からないこともあるんだ。
でも、それを言わなきゃ、アスカには伝わらないんだ。

「アスカ……この前言おうとしたことなんだけどさ……。」

「なによっ?」

「いや、だから……、ねぇ、アスカ。落ちついて走りを組みたてるんだ。
 アスカにもいいとこもあれば、必ず悪いところもある。
 でも、それを自分で把握すれば……そうすればあのカヲル君に君なら勝てる。
 僕にはこんなことしか言えないけど……」

「シンジぃ……」

アスカの腕の震えは止まっています。

「行くんだろ?」

「もちろんよ。ア、アンタの尻拭いを他の誰がするってぇ〜の?」

「アスカ……ありがとう。」

「なに遠慮してんのよっ!アタシとアンタの仲でしょうが!」

「ハハハ、そうだね。ねぇ、アスカ。」

「なに?」

「もし良ければ同乗させてくれないかな?」

「構わないけど、どうして?」

「保険だよ。」

「保険?」

「うん。アスカが無茶しないように。
 僕が乗ってれば、自制も……。」

「アタシが2度も同じ間違いをする筈無いでしょぉ〜がっ!
 まっ、でも同乗はOKよ。」

「ありがとう。」

「その前に、まずはアンタの怪我を早く治すことね。
 退院しないと同乗もへったくれも無いわよ。」

「そうだね。」

「よ〜し。こうなったら二人でヤツらを追いこむわよ。」

「うん。」

「やられた借りは10倍にして見返してやんのよ!」





病院を出たその足で、アスカは”ネルフ”へ向かいました。

「ユイさん。」

「シンジからも電話があったわ。」

「え?」

「最強マシンを組んでくれって。
 今のアスカちゃんならどんなマシンでも大丈夫だからって。」

「そう……シンジが。」

「そうと決まれば、早速やるわよ!」

「ハイ。ありがとうございます。」

「でも、どうする?
 アスカちゃんのポルシェも、見た目以上にダメージ大きいのよ。」

「そう……ですか。」

「ねぇ、996に移行したら?」

「996?」

「ええ。この事故で保険は下りるでしょ?
 その保険を頭金に996を買う。
 ちょうど知り合いのブローカーが程度の良い中古見つけてあるのよ。
 4駆で水冷よ。どうかしら?」

「でもそれだと、とてもチューン代は……」

「そんなの心配しないの。マシン代は無理だけど
 チューン代なんて要らないから。」

「そ、そんなぁ。」

「あらぁ、未来のお嫁さんからお金取るわけにいかないでしょ?」

ボッ

アスカが真っ赤に燃えています。

「どうする?ポルシェ996はいいわよ。
 2世代目の完成された水冷システム。
 ノーマルでもターボ車は420馬力を絞り出す。
 何より4輪駆動が魅力よね。」

「ええ。」

「エンジン本体もいいわ。ショートストローク化されたエンジン。
 手の入れ方次第で、高回転高圧縮エンジンになる。
 こんな車って、世界でもほかに例がないのよ。
 チューナーとしては、断然996を勧めるわ。」

「あ……あの、それは分かりますけど、できればこのまま964で。」

「どうしてもRRがいいの?」

「ええ。アタシ加持さんに憧れて、ずっとRRで来ました。
 今は加持さんに対する想いとかそういうのでは無いんですけど。」

「今更4駆では違和感があると?」

「ええ。そんな気がするんです。」
 でも、4駆とかそういうんじゃないんです。
 996のRRでも嫌なんです。
 964がアタシのポルシェなんです!」

「じゃじゃ馬マシンになっても?」

「ハイ。今までのスタイルは変えたくないんです。
 これだけは、どうしても。」

アタシはず〜っとこのマシンで戦ってきた。
加持さん亡き後、一人で戦ってきた。
そしてシンジとの戦い……
そう、このマシンで無ければならないのよ!

アスカの真剣な表情に押され、ユイが折れました。

「やっぱり……そう言うと思っていたわ。
 結構ポルシェ乗りって996を否定するのよねぇ。
 分かったわ。964で、とっておきのアレをやりましょう。」

「アレって?」

「ふふふ。ゲンドウさんに任せておきなさい。」

「え?ユイさんが手を入れるんじゃ?」

「私は板金できないのよ。
 あの人、見かけによらず、コツコツ丁寧に仕上げるのよ。」

「へぇ。」

「ただし、1ヶ月頂戴。」

「1ヶ月……ですか?」

「ええ。その分……凄いマシンにしてあげるわ。」

「ハイ。」

愛車ポルシェの無い1ヶ月。
しかし、アスカは暇ではありません。
シンジの面倒を見ていました。
また、シンジの代わりに”ネルフ”のテストドライバーも勤めていたのです。





修理を始めて1週間後。

「あなた、進んでる?」

ユイがゲンドウに声をかけます。

「ああ、大丈夫だ。作業は2%も遅れていない。」

「そうですか。私の方は大体終わりましたよ。
 今度はこういう仕様です。」

一枚の用紙をゲンドウに渡しました。

「フッ。全てシナリオ通りだ。」

ニヤリと笑うゲンドウです。




2週間。

シンジが退院しました。
まだ松葉杖は離せませんが、歩くことはできるようになりました。

「心配かけたね、アスカ。」

「全くよ!」

「964でやるんだって?」

「駄目かな?」

「僕はアスカに賛成だよ。
 アスカにはアスカのやり方がある。
 今はそれでいいと思うようになったんだ。」

「シンジ……。」





そして3週間……

ゲンドウが休むこと無く、アスカのポルシェを仕上げています。
真紅のボディが真っ黒になってます。

「あの……お義父さま?」

「むっ?」

アスカにお義父さまと呼ばれ、ゲンドウは緊張していました。

「あ、あの……これって?」

「ああ。君の予想通りだ。」

「カーボンモノコック?!」

レイとのバトルで痛めたボディを
今度はカーボンで形を作っていたのです。

「ああ、そうだ。これなら物凄く軽量だ。
 それにユイがフルチューン施してるから、文字通り無敵の速さだろう。」

「有難うございます。」

「う、うむっ。その代わりもう一度呼んでくれ。」

「何をですか、お義父さま?」

「そ、それだ……フッ問題無い。」

どうやら”お義父さま”の響きが気に入ったようです。





そして、修理から1ヶ月。

「アスカちゃん、できたわよ。」

真紅のポルシェが完成していました。

「あ、ありがとうございます。ユイさん。
 それとお義父さま。」

「む。問題ない。」

「あらぁ、ゲンドウさん照れちゃって。」

「あの、ユイさん。エンジンも手を入れたって?」

「ええ。今まではタービン2基掛け。いわゆるツインターボだったんだけど、
 今回は大容量シングルタービン化。パワーは800馬力まで引き上げたわ。」

「800?!」

「ええ。ゲンドウさんが作ったこの軽量ボディでこそ生きるシングルタービンよ。」

「ハイ!」

「アスカ……今更なんだけど、どうしても行くんだね?」

シンジが心配そうに見ています。

「ええ。」

「ちょっと、シンジ。」

ユイが口を挟みました。

「な、なに、母さん?」

「何を心配しているの?
 旦那の尻拭いは女房がやるの!女って強いのよ。
 ね、アスカちゃん?」

ボッ

女房と言われ、アスカは真っ赤に燃えています。
シンジも同様のようです。

「じゃぁ、アスカ。頼むよ。」

「ええ、任せておいて。」

「でも、前も言った通り同乗させてもらうよ。」

「もちろんよ。」

二人の様子を見ているユイは嬉しそうです。

「その選択は正解だな、シンジ……」

「と、父さん?」

「この超軽量ボディ。左の運転席にアスカ君が乗ると、
 左右のバランスが崩れる。一応助手席にバラストを積んではいるがな。」

そう言うと、ゲンドウは助手席下に設置しておいたバラストを取り去りました。

「お前が乗る方が、バランスも良い。
 運転できぬ役立たずモノは、それくらい貢献しろっ!」

「……うん。もちろんだよ。」

相変わらず口が悪い父親だと思いつつも、
最近、ようやく本心が見え始めていたシンジでした。

きっと、父さんも応援してるんだ。
頑張ろうね、アスカ。





アスカとシンジはそれからテスト走行に1週間励みました。

ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン
プシィィ……
ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン

「凄い加速だね。未だに慣れないよ。」

「アタシも。1200Kgを切る超軽量車体はダテじゃないわね。」

800馬力のエンジンに超軽量の車体。
生まれ変わった真紅のポルシェが気持ち悪いほどの加速をします。

「そうかぁ……だから母さんはシングルタービン化したんだな……。」

「え?どういうこと?」

「ツインターボの利点って中速からスムーズにパワーが出るとこにあるんだ。
 今回は大容量のシングルにした、ということは、
 アクセルを抜いてタービンの回転が落ちたら、
 直ぐには元の回転まで上昇しない……
 いわゆるターボラグが出て、少しもたつきが出るんだよ。
 でも、この軽量ボディなら、軽さのメリットでソレを補えるんだ。」

「なるほどぉ。」

「それと、アスカの技術を見込んだんだよ、母さんは。」

「そ、そうなのかな?」

「うん。アスカは左ブレーキ使うだろ?」

「ええ。」

「ちゃんとターボを自分のモノにしている。だからだよ。」

「ふ〜ん。」





テスト走行の後、シンジとユイがガレージのソファーに並んで話していました。

「シンジ。これでセットアップ完了よ。」

ユイが宣言します。

「1週間か……長かったね。」

「でも、アスカちゃと一緒で楽しかったでしょ?」

「う……うん、まぁ。」

「ふふふ。」

こういう時のユイは非常に楽しそうです。

「でも母さんらしくないよね?いつも電光石火で仕上げるのに。」

「お父さんがね……。
 あの人、私と違ってじっくり仕上げるから。
 お父さんが焦ってるの見たことないでしょ?」

「そうだね。」

「とにかく、とんでもないモンスターマシンよ。
 ”NERV”の結晶とも言えるわ。
 それはシンジ。貴方も加担してるのよ。」

「ええ?僕はただの……バラストだよ。」

「違うわ。シンジを同乗させてからアスカちゃんて走り方、変わったのよ。
 昨日、クラッチばらして分かったわ。
 シンジも気づいてるでしょ?」

「うん、まぁ。」

「あなた達、結構相性いいわよ。
 羨ましいくらいよ。」

「…………」

シンジが俯いた状態で固まっています。

「とにかく、あとはあなた達次第よ。」

「うん。」





モンスターマシンの完成。
そして、陽は沈みきり、闇の中。
満を持して真紅のポルシェに乗る二人。

キュルキュルキュル
ドドーーーゥ
バラバラバラ……

800馬力を絞り出す水平対向のエンジンの音がこだましました。





湾岸の女王”レッドバード”再びあの舞台へ──





「シンジ、ヤツらいるかな?」

「いるよ。向こうが待ち構えている筈だよ。」

「そうね。」

ドドドドドドドド……

水平対向特有の音を轟かせ、
環状線内回りをゆっくり3速2500回転での巡航です。

「あ、いた……」

銀座付近で小さな白いマシンを発見しました。
レイのデルソルが闇の中で停車しています。

「あの冷血女とまずは再戦ってとこね。」

アスカのモチベーションがグっとあがります。

ババババババ……
ドドゥドドーーゥ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン
パンッ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン

「さ〜て、行くわよ!」

ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン
プシィィ……
ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン

京橋のコーナーまで加速する2台。





──首都高環状線C1内回り アスカVSレイ 京橋にてバトル開始──






宝町ストレートで速度を乗せる2台。

そしてタイトな江戸橋ジャンクションの左コーナー。
シンジ戦と同じく、アウトに吹っ飛びながらレイが加速していきます。

しかしアスカは違います。
フロントに荷重のかかるブレーキングの間にピタリとインに付け、
縦へ前へ、直線的なラインで矢のように加速。

ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン
プシィィ……
ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン

「あのポルシェ……何て加速なの?!
 加速と言うより瞬間移動するみたいな……」

レイが驚愕しています。

一般車で混んでいる個所でも、瞬間的に減速。
そしてフル加速。

1200Kgを切る軽いポルシェが、
物凄いパフォーマンスを出しています。

ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン
パンッ
ビュアアアァァァァァァーーーーーーーーーン

レイも4駆とパワー生かし懸命に加速。
しかし、ツインエンジンの重い車体が、足を引っ張ります。

強引過ぎるレイの一般車のかわし方。
ですが、ジリジリ離されます。





アスカ……上手くなったね。

シンジはアスカの走りを観察していました。

ポルシェをきっちり手中に収めている。
一見強引に見えるけど、無理が無くなった。
ラインは鋭角でも緩やかな動き!
これなら……カヲル君が相手でも。

シンジは手応えを感じていました。

シンジが感じているように、アスカのポルシェは、
一般車が多く攻めきれない難しい状況でも、
滑らかに抜けていきます。

危険と背中合わせな攻め方のレイとは違います。





環状線2周目。
差が開いています。

「ここで引導を渡してやるわ!」

江戸橋ジャンクションから右へ折れ6号線へ。
厳しい右コーナーを目一杯までブレーキングを遅らせ突入するアスカ。

一方レイはアスカより遥か手前でブレーキング。

6号線合流。
瞬間的な加速を開始する真紅のポルシェ。
レイの視界から消え去りました。





「勝負あり……だね。
 赤木博士。聞こえますか?」

『ええ。何かしら?』

「レイがレッドバードに撃沈されました。」

『なんですって?』

「これから僕が行きますよ。」

『頼んだわよ。あのポルシェは”ネルフ”の結晶よ。
 必ず撃沈しなさい!』

「もちろんですよ。彼女を撃沈しない限り、
 シンジ君とはバトルできませんからね。」

交信を終え、カヲルが戦闘態勢に入りました。

さて、行くにしても、あのポルシェ……
結構やっかいな存在になったようだね。

ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン
ガシュゥゥ……
ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン





「アスカ……」

「ええ、来たわね。真打ちが。」

チカチカチカ……

カヲルがパッシングしてきました。

「行くわよシンジ!」

「うん、頑張って、アスカ。」





──首都高速6号向島線 アスカVSカヲル 箱崎にてついにバトル開始──





箱崎ジャンクションで右に折れ、9号線に合流するアスカのポルシェ。
シンジ戦の時と同じく、カヲルは一定距離で付いてきます。

そんな戦法でこのアタシについてこれるかしら?

9号線に入るやいなや、フルスロットル!
とんでもない加速であっと言う間に200Kmオーバー。

福住のS字も自在に抜けていきます。

「フッ、あのポルシェ、なかなかなモノだね。
 油断していると置いてかれそうだ。」

まるで楽しんでいるかのように、状況を見つめるカヲル
流麗なラインで一般車を抜けてきます。

木場の直角コーナーを過ぎどんどん車速を乗せる2台。





瞬間移動を繰り返すアスカのポルシェ。
対称的に緩やかなラインを描くカヲルのGT−R。

「カヲル君の凄さが分かったよ。」

「どういうこと?」

「GT−Rってアテーサ4WDシステムを搭載してるんだ。
 状況によって前後のトルク配分がコンピューター制御で変化するんだ。
 誰が乗っても速いマシンなんだ。」

「それじゃ、アイツが凄いわけじゃないんじゃないの?」

「でも、それを手中に収めるとなるとまた別だよ。
 人間の感性とは異った動きをする可変トルクシステム……。
 それを彼はホントに完璧に乗りこなしているんだ。
 しかも見た感じ、赤木リツコがそのアテーサET−Sシステムを
 カスタマイズしている。
 かなり強力な武器だ……。」

「やっぱ、簡単にはいかなそうね。」

「でも、僕は……アスカならやれるって信じてるよ。」

「その言葉で……十分よ!」

恐ろしい程にカヲル君の実力は知っている。
でも……でもアスカなら大丈夫だ。
あの時の僕と違って、迷いが無い。
きっと勝てる!





辰巳ジャンクション。
右に折れ、首都高速湾岸線に合流。

ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン
プシィィ……
ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン

ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン
ガシュゥゥ……
ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン

「行っけぇ、アタシのポルシェ!」

アスカが車速を乗せていきます。





正真正銘800馬力を絞り出す真紅のポルシェ。
車線が広がった湾岸で真価を発揮します。

しかし、後ろの漆黒のGT−Rも離れません。
ジリジリ追い上げます。

「ど、どうして追い上げてこれるのよ?」

「一般車さえ無ければ離せるかもしれない。
 でもやっぱり4駆の力だね。
 スラロームしててもしっかり路面を捉えているんだ。」

「ちっ!」

「どうするアスカ?
 湾岸で行く?それとも有明で環状に戻る?」

「アンタは有明でやられたんでしょ?
 そこで決着つけてやるわ!」

左に車線をとり、有明ジャンクションで11号線へ向かいます。

導入路を上りきって、右の高速コーナー。
前に2台の一般車。

アスカは一般車のインを突き、パス。
そのまま直線的に、縦へ前へ、RRのトラクションを生かしフル加速。

カヲルはアウトから緩やかにラインを描き、
可能な限り速度を維持して加速体勢へ。





ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン
プシィィ……
ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン

ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン
ガシュゥゥ……
ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン

大きく左に曲がるコーナー
4駆の有利さを生かし、カヲルが詰め寄ります。

そしてレインボーブリッジ。
すでに280kmオーバーの2台。





「シ、シンジ……何よこれぇ?」

「接地感が無いんだ。」

「どうして?」

「元々RRのポルシェはフロントに荷重がかかりにくい。
 その上、超軽量化された車体。
 高速での安定性が低下してるんだ。」

芝浦ジャンクションで羽田線に合流した時には、カヲルが前を走っていました。





「思わぬ……弱点だったね。」

「違うわ。アタシが踏めなかっただけよ!」

「アスカ。無理は駄目だよ。」

「無理じゃないわ。今度はちゃんと走らせるわ。」

「でも……。」

「アンタ。自分のお父さんの仕事が信じられないの?」

「え?」

「きっとお父義様は全て分かってるわよ。
 踏めばきっちり答えてくれる筈。」

「アスカ……。」

「とにかく、今は前へ出ることに集中よ。行くわよ!」

浜崎橋ジャンクションにて環状線内回りへ合流。




首都高速新環状バトル。2周目トライ──





汐留で一気に詰めるアスカのポルシェ。

「ふぅ、さすがにこの区間ではあのポルシェには敵わないようだね。」

相変わらず、カヲルは状況を的確に把握しています。
彼の強さはここにもあるのかもしれません。

銀座から京橋の右直角コーナー

「行ける!」

一般車の右側を取り、一気にインを突き、アスカがかわします。





江戸橋から6号、そして箱崎で9号線へ。

前をキープして真紅のポルシェが湾岸に向かいます。





辰巳ジャンクションの右コーナー。

湾岸線トライ開始!

ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン
プシィィ……
ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン

ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン
ガシュゥゥ……
ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン

車速250km。
一般車が多く、それ以上では走れません。

「アスカ、この先は?」

「アタシは湾岸の女王”レッドバード”よ!
 今度はこのまま湾岸でケリをつけてやるわ。」





有明を過ぎ、東京港海底トンネル。
時速300kmの世界へ。

大井ジャンクション付近で再び一般車が増えました。

「ふぅ。ポルシェもヒートアップしているようだね。
 さすがに紅い怪鳥の名前はダテじゃないね。
 そろそろ全開で行かせてもらおうかな。」

カヲルがブーストスイッチを弄ります。

大井南を過ぎてオールクリア。
最高速バトル開始。





300……310……320……

風が立ちはだかる速度域でグングン速度をあげます。

「アスカ、大丈夫?接地感は?」

「す、凄いわ。このボディ……
 踏めばキチンと真っ直ぐ進む。
 接地感は確かに落ちてる筈なのに。」

「そうなんだ?」

「行けるわ!」

「そうか……ディフューザーだ。」

「ディフューザー?」

「うん。アスカはグランドエフェクトって知ってる?」

「え〜と、マシンの底面と地面との間の空気の流速を速くすることで、
 マシンを下に押しつける効果……よね?」

「そう。元々、ポルシェは空力に優れたアンダーパネルが付いてるんだ。
 だからRRでも高速ステージでそれなりに走る。
 でも父さんがワンオフでフロント・ディフューザーを製作してたんだよ。
 超高速域で威力を発揮するグランドエフェクト効果。
 超軽量の車体を見越してそういう仕様にしてたんだ!
 あの父さんが、そこまで緻密に考えていたなんて……」





325……330……

加速が鈍ります。

カヲルもブースト全開。
1.8という途方も無いブーストです。
こちらも正真正銘800馬力。

普通の速度域なら真っ直ぐにしか見えない湾岸線。
しかし時速300kmを越えると微妙な緩いカーブが
魔のカーブへと変貌します。

250kmまで落ちる車速。
アスカは超軽量ボディを生かし加速。

カヲルはアベレージ速度を重視し時速270km前後をキープ。
後ろをついてきます。

「さて、アスカさん。どこで捕らえましょうかね?」

カヲルは笑みを浮かべ、その時を窺っていました。





空港中央。

一気に一般車が増えます。

「なかなかブっちぎれないわね。」

「アスカ……落ちついて。」

「そうね。」

すぅーーーーーーはぁーーーーーーー

もう一度、コンディションを整えます。





川崎浮島ジャンクション。
料金所です。

「シンジ……このポルシェ、凄いことになってるわ。」

「え?」

「前にシンジとやった時は、ここで熱が苦しかったの。
 でも見て……。」

シンジも油温計を見ます。
95℃を差していたメーターがみるみる下がり86℃。

「さすが母さんだね。」

「ホント凄いわよ。長いこと走ってきたけど、
 こんなに熱に悩まされなかったのって初めてよ。」

これなら行ける。
なんたってこの先は……





料金所を抜け加速するポルシェとGT−R

扇島付近は正真正銘の直線。
そうです、アスカが最も得意とするエリアです。

日本一の最高速地帯。湾岸線扇島エリア……トライ!!





ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン
プシィィ……
ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーン

ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン
ガシュゥゥ……
ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーン





車速は340kmに迫っています。

アスカも全速。
カヲルも全速で後ろを張り付いています。

「クッ……このアタシのテリトリーでも引き離せない?」

「焦っちゃ駄目だ。それだとカヲル君の思うツボだよ。」

「ええ、そうね。」

自分を信じ、集中するアスカ。

いい感じだよ、アスカ……それでいいんだ。





「フッ、速いねあのポルシェ。正直ここまでとは思わなかったよ。
 尊敬に値するね。」

相変わらずマイペースのカヲルです。
彼の言葉だけ聞くと一見優雅に流しているように見えますが、
車体は激しくきしみ、凄まじい振動です。

湾岸用に固めた足廻りの弊害。
それはアスカのポルシェも同様です。




ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーー

5速全開のアスカ。

ドオオオオォォォォォーーーーーーーーーーー

6速全開のカヲル。





時間帯的に一般車も時速100km近くで走っています。
しかし、この2台との時速差200km以上。
近づいて来たと思ったらあっと言う間に目の前に迫っています。

まさに目の眩むような速度。
微妙なアクセルのオン・オフで車線変更を繰り返すアスカのポルシェ。
離れまいとアスカの走りをコピーするカヲルのGT−R。

チラチラ……

時折バックミラーを見るアスカ。
後ろのGT−Rは一向に離れる気配がありません。

くっ……ここまで食らいついて来れるのってシンジだけかと思ったのに。

凄い……正直僕だったら精神力が持たないかもしれない……





250kmから320km以上の加減速の繰り返しに、
アスカのモチベーションが遠くにかすみそうになります。

いえ、シンジ以外のマシンにこのアタシが負ける筈ないのよっ!

でもアスカが負ける筈がない!

二人のシンクロする思いを乗せて、真紅のポルシェがかっ飛びます。





ヴォアアアアァァァァァァーーーーーーーーー

再度引き締めるかのようにアスカがアスセル全開!





「ふぅ……ここまでかい?」





「あれ、シンジ。GT−Rが来ないわよ?」

アスカの言うようにみるみる離れていきます。

どうしたんだカヲル君……。
トラブルか?!
ミスファイヤ?……違う。
タービントラブル?……それも違う。
ペースは落ちているものの、おかしなエンジン音はしていない。

「そうか……オーバーヒートなんだ!」

「どうして?向こうは水冷でしょ?」





その頃、カヲルは油温計と水温計を見ていました。

コレ以上ではオーバーヒートか……
ポルシェの後ろをついたのが失敗だったかもね。
負けたよ、アスカさん。そしてシンジ君。

カヲルはブーストを0.8にまで落としていました。





「カヲル君はずっとアスカの後ろを走っていた。
 スリップストリームで温存していたつもりだんだろうけど……
 逆に風を沢山吸い込むことができなかったんだよ。」

「なるほど。」

「でも、彼もああするしか手が無かった。
 そこまで追い詰めたのはアスカ……君の腕だよ。」

「違うわよ。」

「え?」

「二人の力よ!」

「ハハハ……ありがとう。」

「本当よ。もしアタシがちょっと無理してたら、
 こっちが先にオーバーヒートしてたわ。
 それに集中力を切らさなかったのもシンジのおかげよ!」

「そう?そうかも……しれないね。」

「そうなのよっ!さ、帰りましょ。”ネルフ”へ。」

「うん。」





一瞬の油断。
そして、ほんの少しの読み違い。

それが大きくモノを言う超高速ステージ湾岸線。

アスカとシンジの勝利で決着がつきました。





翌朝。
アスカの勝利で”ネルフ”は盛り上がっていました。

「良くやったわね、アスカちゃん!」

「そんな。アタシ一人の力じゃないです。」

「そんなこと無いよ。アスカの力だよ。」

シンジもアスカを持ち上げます。

「だから、言ったでしょ。アタシとシンジの力よ。」

そんな二人の様子を、ユイは楽しそうに見ていました。





2週間が経ちました。

すでにシンジも松葉杖無しに歩けるようになり、
”ネルフ”のテストドライバーに復帰です。

「シンジ。あなたのマシンが上がったわよ。」

ユイがシンジに知らせます。

「ええホント?」

「良かったわね、シンジ。」

アスカも自分のことのように嬉しそうです。

「あれ、母さん。どこにもスープラが無いよ?」

「ああ、あれは売っちゃったから。」

「ええ〜〜〜?!どうして?」

「大破したでしょ?もうアレでは首都高は無理よ。
 だから修理して格安で売っちゃった……」

「だって、僕のマシンが上がったって言わなかった?」

「アレよ、アレ!」

ユイが指差したのはワゴンのエスティマです。

「ど、どうしてワゴンなの?」

シンジはビックリしています。

「あんた達二人の為でしょ?」

「え?」

「これならあんた達が結婚しても困らないでしょ?」

シンジは固まってしまいました。
アスカも同様です。

「さ、張りきって、子供沢山作ってちょうだいね。
 その為にエスティマにしたんだから。
 アスカちゃんも頑張ってね。」

「ハ……ハイ。」

アスカは向こうの世界から戻ったようです。
しかし、シンジは未だ硬直しています。

「ま、これは、シンジの完治祝い兼、
 あなた達への私からのささやかなプレゼントよ。
 もちろん、スーパーチューンを施してあるからね。」

「あ、ありがとうございます。ユイさん。」

アスカは嬉しそうです。
しかし、シンジは最後まで硬直していました。





それから、とんでもなく速いエスティマが、
首都高を連日駆け抜けていました。

「見て見て、シンジ。海が見えるよ。」

ここは横浜ベイブリッジ。
日本の有名な名所の一つです。

「ハハハ……いくらシャコタンしたって、ワゴン車だからね。
 背があるから遠くまで見えるね。」

「うん。」

今は運転席と助手席だけが埋まっています。
しかし、数年後には後ろの席も一杯になっているかもしれませんね。





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あとがき

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『首都高バトル』は一話完結の予定でした。
しかし、その時に感想や応援メール等を頂きまして、
続編を執筆させていただきました。

頂いたメールから閃いたレイのデルソル。
これがきっかけで執筆に漕ぎつけました。

超軽量ボディのポルシェ……
また、某マンガの影響です。(^^)

今回は閑話休題役のマナちゃんがいなかった為、
少し展開が一本調子になりそうで、その点が苦労しました。

話を盛り上げ様と専門用語が多数出てしまい、
カーマニア以外のLASな方には読み難い作品と
なってしまったかもしれません。

こういう限られたジャンルのSSですが、
最後まで読んで下さった方、本当にありがとうございます。
そしてこの場を借りて、メールを下さった方々に感謝いたします。

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