この作品をタームさんにささげます。

























お姉様と呼ばないで





「お姉様っ、これ読んで下さいっ!」
「はぁ?」
 人気の無い放課後の昇降口。シンジくらいの背の髪の短い中性的な顔立ちの女の子。その娘は赤い顔をしてうつむきながら両手で封筒を差し出した。アスカはきょろきょろと周りを見回し、自分を指差して聞いた。
「あたし?」
「はいっ」
 その娘はさらにずずいと封筒を差し出す。アスカは勢いに押されて思わず受け取ってしまった。
「良いお返事、待ってます!」
 その娘はアスカが手紙を受け取ったのを確認するとさっと走り去った。後には呆然としているアスカが残される。
「ちょ、ちょっと!」
 我に帰って声をかけたときにはもうその娘はいなかった。仕方なくアスカは封筒を見る。ピンク色の可愛らしい封筒の表に宛名が書いてあった。
『惣流アスカ様
 確かに自分宛てのようだ。裏を返してみる。差出人の名前が書いてあった。
『1−B 葉山マリナ』
 差出人と持ってきた人物が同一だとするとさっきの娘は葉山マリナというらしい。アスカは再びその娘の走り去った方に視線をやると呆然とつぶやいた。
「何なのよ、いったい……」
 中身が分からないのでむげに捨てるわけにもいかない。アスカはしかたなしにその封筒を鞄に入れると、いつものように下駄箱に入っていたラブレターの山を捨てて靴を履き替え、帰途についた。


 コンフォート17マンション11−A−2号室。言わずと知れたアスカ達の住んでいるミサトの家だ。
「ただいまぁ」
 返事はなかった。シンジはトウジ達と遊びにいってるみたいだし、ミサトは相変わらずネルフにつめているらしい。ペンペンは昼間は大抵寝ている。アスカは自室に入ると制服からいつもの部屋着に着替え、ごろんとベッドに横になった。
「あ、そうだ、手紙……」
 思い出して鞄から封筒を取り出すとペーパーナイフで封を切る。中には可愛いキャラクターの便箋が入っていた。それをもって再びベッドに横になる。
 アスカは読み進めるうちにだんだんと赤面していった。中身はラブレターだった。それもかなり過激な。どんなにアスカのことを想っているかつづってあるのだが、R指定、下手をするとX指定な内容だ。とても中学一年生が書いたものとは思えない。
「何なのよぉ、これぇ!?」
 耐え切れなくなって便箋を放り出す。顔が真っ赤だ。起き上がってベッドの上にあぐらをかく。しばらくそうしていたがやはり気になって再び便箋を手に取り、続きを読み始めた。
 内容は要するに付き合って欲しいから明日の放課後体育館横の木の下で返事を聞かせてくれというものだった。
 こんなのどうしろっていうのよ!
 アスカは赤面したまま一人ごちる。まさか女の子からラブレターを貰うとは思ってなかった。ラブレターだと分かっていたら読まなかったし、そもそも受け取ってない。読んでしまった以上無視するのも後味が悪いし、アスカは思案にくれてしまった。そこで同居人の顔が頭に浮かぶ。
 そうよ、シンジよ!シンジに断りにいかせればいいんだわ!
 アスカはシンジに押し付けてしまうことにしてそのことを頭の中から追いやり、お菓子を片手にリビングでテレビを見始めた。


「ただいま」
 しばらくしてシンジがスーパーの袋を片手に帰ってきた。
「おかえり、シンジ。ちょっと頼みがあるんだけど」
「なに?」
 シンジが買ってきたものを冷蔵庫に入れながら聞いてくる。
「またラブレター貰ったんだけど、かわりに断ってきて欲しいのよ」
「え〜、やだよ!自分で断ればいいじゃないか!」
「なによ!あたしの頼みが聞けないってぇの!」
 アスカがシンジを睨み付ける。シンジはひるみながらもいった。
「だってそんなことしたら僕が怨まれるじゃないか。大体いつも読まずに捨ててるくせに何で今日に限って読んだのさ?」
「い、いろいろと事情があるのよ!頼みを聞いてくれないとこの間あたしの裸見たこと言いふらすからね!」
「あ、あれはアスカが勝手に見せたんじゃないか!」
 シンジは赤くなりながら反論したがアスカには効かなかった。
「ふふん、みんなはどう思うかしらね。あんた、闇討ちに遭うかもね」
 シンジだってネルフで戦闘訓練を受けているし、常時ガードがついているからそんな心配はないのだが、これ以上逆らっても勝ち目はないと思ったのかしぶしぶと承諾した。
「わかったよ、引き受ければいいんだろう」
「初めっからそう言ってればいいのよ。じゃ明日の放課後、体育館横の木の下で葉山って一年生だからよろしくね。……ところで今日の夕飯、何?」
「ハンバーグにしようかと思ったけどサンマの塩焼きにする」
 シンジのささやかな復讐。ドイツ育ちのアスカはあまり魚料理は好きでない。とはいえなんだかんだいってもシンジの料理なら食べるのだが。
「あんたあたしが魚苦手なの知ってるくせに!男のくせにせこいわよ!」
「うるさいな!文句あるなら自分で作れば良いだろう!」
「ううっ、なによバカシンジのくせに!」
 アスカはぷぅと膨れるとクッションを抱きかかえ、テレビの続きを見始めた。





 次の日の放課後。シンジは指定された場所に来ていた。シンジがついたときにはまだ誰もいなかった。しばらく待っていると女の子が駆けてきた。昨日アスカにラブレターを渡した娘だ。
 こいつ、いつもお姉様と一緒にいる……。
 マリナは険しい目でシンジのことをにらみながら尋ねた。
「あの、惣流先輩は?」
 シンジはマリナの視線に少し引きながらもこたえた。
「アスカ、惣流さんなら用があって帰ったけど。……もしかして葉山さん?」
 シンジはまさか、と思いつつも確かめた。
「そうですけど、何か?」
 嫌悪感を隠そうともせずにマリナ。シンジは相手が女の子という事実に愕然としていた。
「あの、惣流さんから伝言があるんだ。……えっと、その、君とは、その、付き合うことは出来ないって」
 そんな、お姉様……。
 こいつね。こいつがお姉様をたぶらかしたのね!
 マリナはきっ、とさらに険しい視線をシンジに送った。
「あの、あんまり気を落とさないでね。それじゃ」
 シンジは逃げ出すようにその場を立ち去った。
 マリナはしばらくその場に立ち尽くしていたが、やおら拳を握り天を仰ぐ。
 あんな男なんかに負けないわ!
 きっとお姉様を正しい道に引き戻してみせる!
 みてなさいよぉ!
 葉山マリナ13歳、めげない娘だった。


 そのまた次の日の昼休み。アスカがお弁当を出しているとマリナがやってきた。
「お姉様、一緒にお弁当食べましょう!」
「お、お姉様!?」
 周りのクラスメート達は思わず引いていた。
「あんたねぇ。返事はシンジから聞いたでしょ」
 アスカが面度臭そうにこたえた。
「聞きましたけど……。でもお弁当一緒に食べるくらいいいじゃないですか」
「いやよ」
 アスカはにべも無い。と、マリナは顔を覆い泣き始めた。
「そんな。私はただ一緒にお弁当を食べたいだけなのに」
「ア、アスカ、いいじゃない、一緒にお弁当食べるくらい」
 ヒカリが慌ててアスカに言った。アスカもさすがに泣かれてはたまらないのでしぶしぶと承諾する。
「わかったわよ。その代わりヒカリも一緒にね」
「本当ですか!じゃあ中庭に場所とってあるんでいきましょう」
 マリナはころっと元気になってアスカの手を引っ張った。どうやら嘘泣きだったらしい。アスカはため息一つつくとその後に従った。
 中庭の木陰にレジャーシートが敷いてあった。常夏となった日本ではあまり外で昼食を摂る生徒はいない。今日も日陰にまばらに女の子がいる程度だった。三人はレジャーシートに座り込むとお弁当を広げる。
「あの、お姉様、お弁当作ってきたんですけど食べてもらえます?」
 おずおずと可愛らしいお弁当箱を差し出す。アスカは自分のお弁当箱を持ち上げながらこたえた。
「ちゃんとあるからいらない」
 マリナはアスカの答えに瞳をうるうるさせながら詰め寄る。
「そんなぁ、せっかく今朝早起きをしてお姉様のために愛情込めて作ったのに……」
「う、わかったわよ、ちょっとだけだからね。それとそのお姉様ってのやめて」
「じゃあなんて呼べばいいんですか?」
「もっと普通の呼び方があるでしょ」
「じゃあ……アスカ先輩って呼んでいいですか?」
「まあいいわ」
 そういうとアスカは自分のお弁当箱を開けた。今日のおかずはハンバーグ。昨日の夕飯で作らなかったので今日のお弁当に入れたらしい。ご飯の間に醤油を付けたかつお節を挟んであったりしていつもながら手が込んでおり、栄養のバランスも考えてあるようだ。
 マリナもお弁当箱を開けた。奇しくもおかずは同じハンバーグ。見栄えではシンジの作ったお弁当に負けている。
「わぁ、お姉、アスカ先輩のお弁当、すごいですね。自分で作ってるんですか?」
「えっと、その……」
 言葉を濁すアスカに代わってヒカリがこたえた。
「アスカのお弁当は碇君が作ってるのよ」
「誰ですか、それ?」
 嫌悪感もあらわにマリナ。
「あんた、昨日あってるじゃない」
「あいつ……。どうしてその人がアスカ先輩のお弁当を作るんですか?」
「アスカと碇君、一緒に住んでるのよ。アスカ、料理が下手だから碇君が作ってるの」
「ヒカリ、下手って事はないでしょ。面倒だから作らないだけよ」
「何いってんの、アスカ。碇君にかなわないくせに」
「そりゃあ……。もう、いいじゃない!」
「アスカ先輩、どうして男なんかと一緒に住んでるんですか?」
「ああ、保護者が一緒だから仕方なくね」
「仕方なくなんですね。よかった、同棲してるんじゃなくて」
 マリナは心底ほっとした様子でいった。その発言に赤くなるアスカとヒカリ。
「ど、同棲ってあんたね!あたしはバカシンジのことなんか何とも思っちゃいないんだからね!」
 耳まで赤くなりながらいっても説得力に欠けるが、マリナは言葉どおり受け取ったようだ。
「そうですよね。アスカ先輩が男なんかとそんな事するわけないですよね」
 そこにヒカリが爆弾を落とす。
「あら、でもこの間キスしたって言ってたじゃない」
「ええっ!そんな、お姉様が男なんかとキスしたなんて!嘘ですよね!?」
 悲壮な表情でマリナが詰め寄る。
「あ、あれは別に好きとかそんなんじゃなくて、その……」
 赤い顔をしてしどろもどろに言い訳するアスカ。そのアスカに更にマリナは詰め寄った。
「男なんかにお姉様の唇を汚されたなんて……。私の唇で清めて差し上げます」
 目を閉じて唇を突き出すマリナ。危うく唇を奪われるところでアスカはマリナの口を押さえた。
「何すんのよ!」
「だって……」
「だってもへったくれも無いわよ!あたしはそういう趣味ないんだから!もう帰る!」
 アスカはお弁当箱に蓋をして教室に帰ろうとした。マリナがその手を捕まえて嘆願する。
「待ってくださいぃ!私が悪かったですぅ。もうしませんから帰らないで下さいぃ!」
 マリナは半べそをかいていた。かわいそうに思ったのかヒカリがとりなす。
「アスカ、反省してるみたいだし許してあげたら」
 アスカはヒカリとマリナを交互に見ると座り直した。
「もうしないわね!?」
 アスカが恐い顔をして確認した。
「はいぃ。……あの、これ食べてみてください」
 しょげた顔をしながらアスカのために作ってきたというお弁当を差し出す。アスカは無言で箸を伸ばした。ハンバーグを取って口に入れる。
「どうですか?」
 マリナは不安げな表情でお弁当を食べるアスカの様子をうかがった。
「いまいち。こっちの方がおいしいわね」
「そんな!私のお弁当が男なんかの作ったお弁当に負けてるって言うんですか!?信じられません!」
「じゃあ食べてみれば」
 アスカはちょっと惜しい気もしたがシンジ特製のハンバーグを差し出した。マリナはアスカがかじった方に箸を伸ばす。
「そっちじゃない!隣の!」
 怒られてマリナはびくっと首を竦めると隣のハンバーグを取って食べた。
 おいしい……。
 表面はこんがりと焼けているのに中はジューシーでふわっと仕上がっている。さめていてもあまり硬くなってない。肉に何か下味がついているのかソースも何もいらない。まさにお弁当のためのハンバーグ。マリナはあまりのおいしさに言葉を失った。
「わかったわね。もうあたしのお弁当作ってくるんじゃないわよ」
「……はい」
 マリナは力なくうなだれた。アスカが毎日こんなにおいしいお弁当を食べているとは思わなかったのだ。料理には結構自信があったから、『毎日お弁当を作ってあげてお姉様のハートをゲットしちゃうぞ作戦』は完璧だと思っていたのに。
 あの男、このお弁当でお姉様を篭絡したのね!
 男のくせに料理がうまいなんて許せない!
 絶対負けないんだから!
 マリナはお弁当をぼそぼそと食べながら次の作戦を練っていた。気を取り直して取りあえず情報収集をする事にする。
「あの、アスカ先輩の趣味って何ですか?」
「趣味?そうねぇ、特に無いけど……」
 人差し指を頬に当て考え込むアスカ。
「あら、アスカの趣味って言ったらあれじゃない。碇君をいじめる」
「あ、あれは別に趣味なんかじゃなくって、その、バカシンジがいつもグズでボケボケっとしてるくせに人の顔色だけには敏感に反応するのが気に障るっていうかなんて言うか……」
 しどろもどろのアスカ。さすがにヒカリは親友だけあってアスカの弱いところを熟知している。
「要するに気になるんでしょ?」
 ヒカリが笑いながら指摘する。
「もう、そんなんじゃないったら!」
 アスカが赤い顔でぷぅと膨れる。
「その碇って人、どんな人なんですか?」
 恋敵が気になるマリナが聞いた。
「ただの馬鹿よ」
 アスカがそっけなくこたえた。ヒカリがそれに続ける。
「とっても優しい人よ。繊細で人付き合いが下手なところがあるけど。アスカとはお似合いだと思うんだけどな」
「やめてよヒカリ。あの馬鹿とお似合いだなんて。あいつにはあの優等生の方がお似合いよ」
 いってからレイの顔を思い出して不愉快になるアスカ。
「綾波さん?碇君確かに綾波さん気にしてるとこあるけど、でも好きなのはアスカの方じゃないかなって思えるんだけどな」
 アスカはシンジが自分を好きかもしれないと聞かされて期待している自分に驚いた。
 もしかしてあたしも……。
 アスカはそんな考えを振り払った。アスカにとってそれは認めたくない事実だ。
「でもアスカ先輩はその人の事は何とも思ってないんですよね?」
 マリナが期待を込めて聞く。
「ま、まあね」
 アスカの答えにマリナは安堵の表情を浮かべた。
「よかった。じゃあまだ私にもチャンスはありますよね」
「無いわよ」
 憮然とした表情でアスカ。
「え〜、どうしてですか?」
「あのね。あたしは女、あんたも女でしょうが!あたしはね、そういう趣味はないの!」
 アスカがきっぱりという。マリナはなおも食い下がった。
「でもアスカ先輩も汚らわしい男なんか嫌いなんじゃないんですか?」
「それはそうだけどね。だからって女同士って趣味はないからね」
「そんな〜」
 マリナは泣きそうな顔でアスカを見る。が、アスカには効果が無かった。アスカはさっさとお弁当を食べ終えると立ち上がる。
「一緒にお弁当を食べるのもこれが最後だからね。じゃあね」
「あ、待ってください!」
 アスカはマリナが引き止めるのも聞かずヒカリと連れ立って教室へと戻った。こうしてマリナのお弁当作戦はシンジのせいで失敗に終わったのである。
 あの男、許せない!
 己を知り、敵を知れば百戦危うからずよ!
 見てなさい!
 お弁当では惜敗を喫したが、まだまだめげない葉山マリナ嬢であった。





 放課後。アスカとシンジは特に他に用事も無く真っ直ぐ家に帰っていた。アスカの後ろ3mほどをシンジが歩く。並んで歩くとアスカが怒るのだ。この事自体アスカがシンジを意識している証拠なのだがアスカはそれに気付いていない。
 そんな二人をつける影が一つ。電柱の影から二人をうかがう姿はいかにも怪しい。男の子のようにも見えるが第一中学の女子の制服を着ていた。二人をガードしているネルフの保安部はその少女をマークはしていたが同じ学校の生徒という事で尾行を黙認していた。大体いちいちこんな事で動いていてはガードが出来ない。
 それはともかく。葉山マリナは二人の後をつけていた。取りあえず住んでいるところを調べるためだ。二人の住所は保安条項により非公開になっていて、学校の名簿では分からなかったからだ。
 待っていてください、お姉様。今私がその男の毒牙から守って差し上げますから!
 奇妙な使命感に燃えながらマリナは慎重に二人の後をつけていった。コンフォート17マンションに入る。マリナはエレベータが11階で止まるのを確認した。ポストを見ると11階で名札が入っているのは一部屋だけ。その部屋の番号を確認するとしばらく様子を見て、頃合いと思ったあたりでエレベータに乗り11階に行き、問題の部屋の前へと来た。ドアに耳を当て耳を澄ます。かすかに声が聞こえてきた。
『シンジぃ、なんか食べるものなあい?』
 テレビの音に混じってアスカの声が聞こえた。間違いない。この部屋だ。
『ないよ。お菓子、昨日アスカが食べちゃったじゃないか』
『なんか買ってきてよ』
『しょうがないなぁ。夕飯の買い物もしてくるから、何が食べたい?』
『そうねぇ、昨日魚だったからお肉が良いな。ビーフシチューなんてどう?』
『わかった、じゃあビーフシチューにするね。お菓子はいつものでいいんでしょ?』
『うん。急いでいってきなさいよ』
『わかってるよ。それじゃ、行ってくる』
 マリナは急いで廊下のかどに隠れた。ちょうど隠れた瞬間にシンジが出てきた。マリナはシンジがマンションから出て行くのを確認すると再びドアに張り付いた。今度はテレビの音だけが聞こえてきた。しばらくそのまま聞き耳を立てる。
「あら、あなたなにしてるの?」
 マリナは突然かけられた声にびくっと体を硬直させる。心臓は早鐘を打っていた。恐る恐る振り向くと髪の長い美女が立っていた。年の頃は二十代後半ぐらい。
「第一中学の子よね。アスカのお友達?それともシンジ君の追っかけかな?」
 その美女は人当たりのよい笑顔で聞いてくる。
「えっと、その……。失礼しますっ!」
 マリナは脱兎のごとく逃げ出した。が、その美女は思いのほか速い身のこなしでマリナの手を掴まえた。
「ちょっと待ちなさい。せっかく来たんだからよってかない?」
 形の上では質問だが有無を言わせない雰囲気があった。
「え、でも……」
「いいから、いいから。あたしは葛城ミサト、二人の保護者よ。さ、どうぞ」
 ミサトはドアを開けると強引にマリナを引っ張り込んだ。
「たっだいま〜」
 奥からアスカが顔を覗かせた。
「おかえりミサト、今日は早かったじゃ、あー!あんた!!こんなとこで何してんのよっ!!」
 アスカはマリナに気付いて大声を上げた。
「あら、アスカのお友達だったの」
「友達なんかじゃないわよっ!」
「そんな〜、アスカ先輩ひどいですぅ」
「まあまあ、二人とも。話はお茶でも飲みながら聞かせて」
 ミサトは新しいおもちゃを見つけた子供のような表情で二人をダイニングへと押しやった。アスカはしかたなしに紅茶を入れる。
「アスカ先輩にお茶を入れてもらえるなんて感激ですぅ」
 感極まった様子でティーカップを持っているマリナ。
「あ、そう」
 アスカはふてくされた様子だ。
「それで、あなたは?」
 ミサトがマリナに尋ねた。
「はい。私、葉山マリナと申します。アスカ先輩の恋人候補です!」
「ちょっと、あたしは断ったでしょうが!」
「私、あきらめません!」
「まあまあ、落ち着いて。それであなた、どうしてアスカを?」
 ミサトは面白がっている様子で聞いた。にやにや笑いを浮かべながらアスカを見ている。
「あれは先週の事でした。私がふと教室の外を見ると水泳をやっているアスカ先輩がいたんです。とっても凛々しくてカッコよかった。思わず見とれちゃいました。ひとめぼれだったんです。この人だって」
 マリナは手を前で組んで遠い目をした。いわゆる夢見る乙女のポーズだ。
「ふーん」
「いい迷惑よ」
 アスカが吐き捨てるように言った。
「そうよねー、アスカにはシンちゃんがいるもんねー」
「な、何いってんのよ!あたしはバカシンジの事なんか何とも思ってないっていってるでしょ!」
 アスカは耳まで赤くなりながらいつもの台詞を繰り返した。
「ま、そういうことにしといてあげましょ。ところでシンちゃんは?」
 にやにや笑いを浮かべたままミサトはアスカに聞いた。
「買い物に行ったわよ。もうすぐ帰ってくるんじゃないの」
 噂をすれば影がさす。ちょうどシンジが帰ってきた。
「ただいま」
 スーパーの袋を提げてシンジがダイニングにやってくる。
「ミサトさん帰ってたんですか。あ、君は……」
 シンジがマリナに気がついた。マリナはぷいっとそっぽを向いて拒絶を示す。雰囲気を察したミサトがマリナを紹介した。
「この娘は葉山マリナさん。アスカの恋人候補だって」
「そ、そうですか。あ、あの、僕は夕飯の支度がありますから」
 シンジは額に冷や汗を流しながらそそくさとエプロンをして台所へと逃げ出した。
「葉山さん、夕飯食べていったら?シンジ君の料理は絶品よ」
 ミサトの提案にマリナは悩んだ。アスカと一緒に食事はしたいが恋敵の手料理を食べるのは癪だ。
「ちょっと母に聞いてみます」
 そういうとマリナは携帯電話を取り出し、自宅に電話して夕飯にお呼ばれしてもいいか聞いた。二言三言言葉を交わす。どうやら許可が下りたらしい。
「それじゃご馳走になっていきます」
「シンちゃん、今日の夕飯は四人分お願いね。メニューはなあに?」
 ミサトが台所のシンジに聞いた。
「ビーフシチューです。煮込まなきゃならないんでちょっとかかりますよ」
 シンジが包丁を動かしながらこたえた。小気味よい作業の音が台所に響く。元々性に合っていたのか、ミサトと暮らし始めてからシンジの料理の腕はかなりのものになっていた。アスカが来てからは要求が高くなったのでなお更だ。
「ところで葉山さん、あなた男の子には興味無いの?」
 ミサトがマリナに聞く。
「私、男なんて嫌いです!馬鹿でがさつで不潔でいやらしくて!」
 吐き捨てるように言うマリナ。
「ふーん。そういえばアスカもちょっち前までそんな事言ってたわね」
「やっぱり!アスカ先輩なら分かってもらえると思ってました!」
 勢い込んで言うマリナにアスカは冷たくこたえる。
「あのね。だからってあんたと付き合ったりしないからね」
「あっら〜、いいじゃない、付き合ってあげれば。あ、そうそう、遊園地の招待券貰ったのよね。今度の日曜日はテストも無いし四人で行きましょうよ」
 ミサトは懐から四枚の招待券を出した。
「四人ってだれよ?」
 アスカの質問にミサトはしれっとして答えた。
「あたしとシンジ君とアスカと葉山さん」
「私もいいんですかぁ!?ありがとうございます!」
 心底嬉しそうにマリナ。
「ちょっとミサト!あたしは嫌だからね、バカシンジやこんなのと行くのは!」
 当然のようにアスカが反対する。
「まあまあ、ここは一つあたしに免じて、ね?」
 ミサトが片手でアスカを拝むようにする。
「い・や」
 アスカは断固拒否の構え。腕を組んでそっぽを向いている。
「あ、そう。じゃあ……」
 ミサトが何やらアスカに耳打ちした。見る見る赤くなるアスカ。
「な!なんで知ってるのよ!」
「シンちゃんに言っちゃおうかな〜」
 にんまり笑いを浮かべながらミサトはアスカを伺う。
「だ、駄目っ!」
 耳まで赤くなってアスカが止めた。よっぽど知られたくない事らしい。
「じゃ、行くわね?」
「わかったわよ!行けばいいんでしょ、行けば!」
 アスカは投げやりにこたえた。それを聞いてマリナはぱぁっと表情を明るくする。
「やったぁ、アスカ先輩とデートですぅ!」
「違うでしょ!」
 すかさずアスカが突っ込むが聞いちゃいなかった。幸せそうなマリナとおもいっきり不機嫌なアスカ、そしてその二人をにやにやとした笑みを浮かべてみているミサト。そうこうしているうちに料理の方が一段落ついたのかシンジがやってきた。
「あと三十分ほどで出来ますから」
「あ、シンジ君、今度の日曜日に遊園地に行く事になったから予定開けといてね」
「はあ」
 そして三十分ほどしてシチューが出来た。さっそく食べ始める。
「おいしい……」
 思わず感嘆の声を上げるマリナ。さらにシンジに対して警戒を強める。それはともかくとしてその日の葛城家の夕飯は概ね平和に過ぎていった。





 さて問題の日曜日。ミサトは急な仕事が入って前日からいなかった。かわりにメモが置いてあった。内容はこうだ。
『ちょっち仕事が入っていけなくなっちゃった。代理頼んであるから券はその人から貰ってね。
ミサト
追伸、アスカ、ちゃんと行かないとあればらすからね!!』
 アスカとシンジは連れだって待ちあわせ場所の駅へと向かった。アスカは赤いノースリーブのシャツに白いミニスカート、シンジはプリントのある白いTシャツに黒のGパン姿だ。駅にはすでにマリナが待っていた。マリナは黄色いTシャツに青のGパン姿。ぱっと見はまさに男の子だ。
「先輩!」
 そういうとマリナは腕をアスカの腕に絡める。アスカはその腕を振りほどいた。
「ちょっと、やめてよ!」
「いいじゃないですかぁ。せんぱ〜い」
 マリナがアスカに甘える。アスカはつんと無視した。
「代理の人、来てないみたいだね。誰に頼んだんだろう?」
 シンジがきょろきょろと周りを見回しながら言った。待ち合わせの時間まであとわずかだ。
「マヤあたりなんじゃないの」
 アスカは興味なさそうに言う。と、その時後ろから声がかかった。
「おはよう」
「わ!」
「きゃ!」
 シンジとアスカが驚いて後ろを見ると、そこには白いワンピース姿の綾波レイが立っていた。気合の入った格好のアスカにも負けていない。
「ファ、ファースト、あんたなんの用よ!」
「葛城三佐にいわれてきたの。さ、いきましょ」
 レイは事務的に告げると、ミサトに何かいわれたのかシンジの腕を取って歩き出した。
「あ、綾波」
「なに?」
「えっと、その、普段着の綾波って初めて見たけど、に、似合ってるね」
 シンジのその発言にレイは表情こそ変えなかったがうっすらと頬を染めた。
「そう。葛城三佐に買って貰ったの」
 良い雰囲気のところをアスカが二人の間に割り込んで引き離す。
「あんた、ちゃんと券は持ってきたんでしょうね!?」
「心配しなくても持ってきてるわ」
 レイは白いポーチから券を出してみせた。ほとんど表情は変わってないがかすかに不機嫌さをにじませていた。邪魔されたのが気に食わなかったらしい。しばしアスカと睨み合う。
「アスカ先輩、この人どなたですか?」
 レイと面識の無いマリナが聞いた。
「同じクラスの綾波レイよ」
 アスカはそっけなくレイを紹介した。
「はじめまして。アスカ先輩の恋人候補の葉山マリナです」
 マリナの自己紹介にレイは珍しく驚いた表情をしてアスカを見た。アスカは慌てて否定する。
「違うでしょ!何が恋人候補よ!そんな事言ってると帰るからね!」
 アスカの言葉で思い出したかのようにレイがぼそっと言った。
「葛城三佐から伝言があるわ。途中で帰ったら例の件をばらすそうよ」
 ミサト〜!
 レイのその発言にアスカは毒づいた。アスカが凍り付いている隙にレイは再びシンジと腕を組む。
「碇君、いきましょ」
「あ、うん」
 シンジは赤くなりながらレイに従う。ちらっとアスカの方を見て冷や汗を流した。アスカがものすごく不機嫌な顔でシンジを睨んでいたのだ。
「あの人、ちゃんと彼女いたんですね」
「………」
「アスカ先輩?私たちも行きましょうよ」
「そうね」
 アスカはマリナが再び腕を絡めてきているのにも気付かずに二人の後についていった。


 遊園地はそれなりの人出だった。招待券はパスポートになっていたのでほとんどのアトラクションを楽しむ事が出来る。四人は手近なところから手当たり次第にまわり始めた。
「それじゃ、いよいよジェットコースター行くわよ」
 適当に回った後でアスカが宣言した。
「ええっ!ぼ、僕はいいよ。みんなでいってきなよ」
 絶叫系の苦手なシンジがそういうとレイも、
「碇君が行かないなら私も行かない」
と言い出した。
「それじゃアスカ先輩、二人でいきましょ!」
 マリナが嬉しそうに言う。シンジをレイと二人っきりにしたくないし、マリナと二人っきりにもなりたく無いアスカはシンジを捕まえていった。
「あんたも来るの!」
「いいってば!」
 アスカはシンジを睨みつけて更に言う。
「きなさい!」
「……わかったよ、行くよ」
 しぶしぶとシンジが承諾する。四人はジェットコースターの列に並んだ。すぐに順番が回ってくる。乗り込むとシンジはがちがちに緊張していた。タイミング良くシンジの隣に滑り込んで座ったアスカの手をぎゅっと握って放さない。誰の手でもよかったのだろうが、アスカは悪い気はしなかった。
 一分後。シンジはふらふらになっていた。
「男のくせに情けないわねぇ」
 アスカがあきれたように言う。実際は男の方が苦手な人が多いらしいのだがそんな事アスカは知らない。
「ごめん……」
 シンジが青い顔で謝った。
「碇君、横になったら」
 すっとさりげなくレイがシンジを支えてベンチへと引っ張っていく。ベンチにつくとシンジを横にさせ、膝枕をする。アスカのまなじりが上がった。
「あ、綾波、いいよ」
 慌てて頭をどけようとする。レイはその頭をそっと押さえた。
「じっとしてて。気にしなくていいから」
「アスカ先輩、どうします?」
「僕のことは気にしないで行ってきてよ。綾波も」
「私は碇君を看てるわ。あなたたちは楽しんできて」
 アスカとレイの視線がぶつかる。レイの視線は無理矢理ジェットコースターに乗せたアスカを非難しているように見えた。アスカは何も言えなかった。
「いきましょ、先輩」
 後ろ髪引かれるような思いをしながらもマリナに引かれるままに歩いていくアスカ。その後絶叫系を立て続けに乗ったがどこかしらアスカは上の空だった。マリナが話し掛けても気の無い返事しか返ってこなかった。
「アスカ先輩、観覧車に乗りましょうよ」
「そうね」
 二人は観覧車に乗り込んだ。ゆったりとまわる観覧車。頬杖を突いてボーッと外を見ていたアスカは、相変わらずレイに膝枕してもらって寝ているシンジを見つけた。とたんに嫌な気分になるアスカ。
「……カ先輩、アスカ先輩!」
「え、なに?」
「どうしたんですか?元気ないみたいですけど」
 マリナが心配そうにアスカの顔を覗き込んだ。
「別に。何でもないわ」
 アスカはマリナの方を見ようともしない。
「……あの人の事、気になるんですか?」
「そ、そんなわけないでしょ!あたしは別にあいつの事なんか……」
 アスカの否定の言葉も尻すぼみになっていた。本当は気になってしょうがないのだ。その事はだんだんとマリナにも分かってきた。
 お姉様、やっぱりあの男の事を……。
 その後二人は何の会話も交わさなかった。アスカはじっと外を見詰めつづけ、マリナはそんなアスカを見続けた。そして一周が終わり、二人は黙って降りた。
 アスカ達がベンチのところに戻ってみると、シンジはレイの膝の上でぐっすりと寝ていた。アスカはなんとなく腹が立ってシンジのほっぺたを引っ張った。
「う〜ん、やめてよアスカ……」
 シンジが寝言を言う。アスカは自分の名前を呼ばれた事がなんとなくうれしかった。対照的にレイは微妙に寂しそうな顔をする。
「やめて。碇君が起きるわ」
「起こしてるのよ。こらっ、バカシンジ!起きなさい!」
 シンジの耳元で大声を出す。シンジはびくっと目を覚ました。
「あ、アスカ。あ、ごめん綾波。僕寝ちゃったみたいだ」
 慌てて体を起こすシンジ。
「気にしなくていいわ」
 レイはシンジの頭の重さを名残惜しく思いながらも表面的にはそっけなくこたえた。
「シンジ、もう大丈夫なんでしょ?」
「うん」
「じゃ、最後に観覧車乗りましょ!」
 そういうとアスカはシンジの手を引っ張っていく。後には無表情なレイと寂しそうなマリナが続いた。
「綾波先輩、あの二人、やっぱり出来てるんですか?」
「わからない。碇君は誰にでも優しいもの」
 ほんの少し寂しさをたゆたわせながらレイがこたえた。レイもアスカの気持ちに気付いているらしい。
「そうですか……」
 あの男、要するに女こましなのね!
 腹が立ったマリナはシンジの後ろから駆け寄って頭を殴ろうとする。絶妙のタイミングでシンジがしゃがみこんで当たらなかった。
「あんた、何してんのよ!」
 アスカがマリナの行動を見咎めた。
「え、え〜と、あはははは」
 わらってごまかす。靴紐を結び終えたシンジはきょとんとしていた。
「ほら、さっさと行くわよ」
 アスカは再びシンジの手を取って歩き始めた。
 ちっ、運の良い奴め!
 心の中で舌打ちをするマリナにレイがぼそっと声をかけた。
「あなた、碇君に手を出したら許さないから」
 凍り付くような冷たい口調にマリナはすくみ上がった。
 あ、綾波先輩って恐い……。
 4人は観覧車に乗って眺めを楽しんだ後、遊園地を後にした。


 コンフォート17マンション前。
「それじゃ僕は綾波を送っていくよ」
 そういってシンジはレイと一緒に行ってしまった。見送るアスカにマリナが声をかけた。
「あの、アスカ先輩。アスカ先輩の心の中には私の入る隙はないんですね」
「はぁ?」
 アスカにはマリナが何を言っているのか分からなかった。
「いえ、もういいんです。分かりましたから。今日は楽しかったです。それじゃ、さようなら!」
 そういってマリナは走り去った。アスカは何の事か分からなかったがどうやら自分の事はあきらめてくれたようなので安心した。
 その晩、遊園地での話はミサトの酒の肴にされた。アスカは散々マリナとの事をからかわれた。アスカが怒り出す前にシンジが止めたためなんとか事無きを得たが。その晩はアスカまでワインをのみ出す始末だった。美女二人に絡まれてシンジはほうほうの体で逃げ出した。
 次の日の昼休み。
「あ〜、あたまいた……」
 ワインの飲み過ぎで二日酔いのアスカ。
「だからもう止めとけばって言ったのに」
 頭痛薬を渡しながらシンジ。
「うるさいわね、バカシンジ……」
 アスカの悪態もいつもの切れが無い。そこに甲高い声が響き渡った。
「アスカ先輩、一緒にお弁当食べましょ!」
 思わず耳を押さえるアスカ。
「あんた、あたしの事はあきらめたんじゃなかったの?」
 痛む頭を押さえながらアスカが聞いた。
「誰がそんな事言ったんですか。私、あんな男なんかに負けませんよ!さ、いきましょ!」
 めげない少女葉山マリナ。アスカの頭痛はしばらく続きそうだった。


おわり




あとがき
 タームさんに投稿していただいたのでそのお礼としてこのお話を書きました。葉山マリナの性格設定は私のホームページにあるGenesisWの森山ミナミとほぼ一緒です。タームさんがミナミを気に入っていたようなので。森山ミナミは女の子女の子した容姿でしたが葉山マリナはボーイッシュな娘にして見ました。いかがだったでしょうか。
 このお話は最初は結構調子良くかけたんですが、途中でやむなく中断したら詰まってしまいました。勢いだけで書いているとこういう時困ります。私の短編としてはちょっと大きいものになってしまって出来もいまいちかな。皆さんの感想、待ってます。


マナ:銀狼王・A.J.Wolfさんが、投稿して下さいました。ありがとうございます。ゴホゴホっ。すみません、風邪をひいてしまいました。今回は代理として転校生レイと代わってもらいます。ゴホゴホ。では・・・。

転校生レイ:はじめまして、レイちゃんです。

アスカ:まったく、なんでこのアタシが女の子なんかに・・・。(ブチブチ)

転校生レイ:わたしが、Ring Standard Products Infomation Serviceで女の子に言い寄られている時、面白そうに見ているからこういう目に合うのよ!

アスカ:アンタは、いいでしょうが! どうせ独り身なんだから! アタシはそういうわけにはいかないのよ!

転校生レイ:な、な、な、な、な、なんてこと言うのよ!!!!!!! まだ、決着ついてないでしょ!!!!!!!

アスカ:アンタがいくらがんばっても、無理ね。

転校生レイ:そんなこと無いわよ〜だ! わたしは、マリナちゃんを全面的に応援するんだから! みなさん、マリナちゃん応援委員会を結束しましょう!! おぉー!!

アスカ:や、やめなさいよ!! ずっとつきまとわれたらたまんないわ!!

転校生レイ:けっこう、お似合いなんじゃない? あなた達。

アスカ:ど・こ・が、お似合いなのよ!

転校生レイ:羨ましい限りだわぁぁぁあ、年下の女の子からラブレターだなんて。(ぷッ、ククククク)

アスカ:そぉ、そんなに羨ましいの。へぇ〜。(ピッポッパッ)xxx-x373っと。

転校生レイ:何してるの?

アスカ:羨ましそうだから、アンタに恋焦がれる年下の乙女を呼んであげようと思ってね。・・・あ、もしもし?

転校生レイ:いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!


行く(笑)
戻る
inserted by FC2 system