■1

「はー、忙しい忙しい」

これが、シンジにとって、休日になると出る口癖となっていた。

いまや『主夫』という肩書きを得た彼は、学校へ行く平日よりも、
休養を取ったり遊ぶために存在する休日という日を、すべて家事に充てている。

朝起きるとまず、朝食の仕度に取り掛かる。この程度は毎日のことである。

そして、名ばかりの保護者と口うるさい同居人の食器を片付けた後は、
いよいよ掃除に取り掛かる。1週間分の掃除だから、これが結構大変だ。
しかし手際良くこなしてしまうから、そこが『主夫』たるゆえんである。

シンジはまず、共用部分のリビングやダイニング等から攻めていく。
それが終わると、各々の部屋に取り掛かるのだが、これがひと苦労だった。

大雑把な性格の保護者は、シンジが部屋を掃除してもほとんど気にすることはないが、
問題は同居人の部屋である。彼が一番苦労する場所だった。

戸を叩いて「入るよー」と呼びかけると、いつも、

「ダメよ、バカ」

と、朝も早くからいきなりバカ呼ばわりである。

そして、中で何やらゴソゴソと物音がして、しばらくすると「いいわよ」と許可が下りる。

入ってみると、これが案外片付いているのだった。しかし、所詮は悪あがきである。
『主夫』の目から見れば、僅かな時間での間に合わせの整理に過ぎない。

こういう時だけ無理して頑張ってくれるなら、いつも自分でやればいいのにと思うのだが、
そこはシンジの性格が許さない。自分が掃除しなければ気が済まないのだった。

自分の部屋を触れられるのは落ち着かないらしく、掃除の合間も同居人は部屋に居続ける。
そして手伝いもせずただ監視するのだ。但し、手伝われても要らぬ助力なのだが。

机の周りを掃除する時は、監視の目が一番厳しくなる時である。

掃除機が学校カバンに触れただけで、

「あーっ! 何してんのよバカシンジ!」

これである。たまに手の平が顔面に飛んでくることもある。

「そんなこと言うなら、自分でやってみろよ」

と言って掃除機を渡してみると、これがまた大変な惨事になってしまうのだった。

以前に1度だけやらせてみたのだが、なぜか吸い口がシンジの顔に襲い掛かり、
同居人は「わざとじゃないわよ」と言いながら大笑いするのだった。

それ以来、シンジは決して掃除を人任せにしたことはない。

部屋の掃除と一緒に蒲団干しもする。この時もまた色々言われるので面倒である。

家事の一環で、やましいことなど何もないのに「スケベ」だの「ヘンタイ」だの言う。
蒲団を触るだけでそれだから、洗濯物を扱う時はもっとひどい。

毎週毎週、同居人は飽きもせず意味不明な罵倒を繰り返すのだった。
それを無視しながら、シンジはせっせと家事をこなしていくのである。

さすがに慣れたが、きつい言葉をぶつけられるのは決して気持ちの良いものではない。
シンジはなるべく気にしない振りをしているが、本当は内心ため息をついている。

だから、今日もこれから色々言われるかと思うと、早速ため息が出た。

「アスカー」

手の甲でコツコツと戸を叩いて、相手の出かたを待った。どうせいつもの「バカ」だろう。

「・・・・・・・・・」

しかし、シンジ自身の無言があるばかりで、部屋の中からは何の返事もない。
おかしいな、と思って、もう一度呼びかけた。

だが、まったく反応がない。「バカ」もなければゴソゴソもなかった。

仕方ないので、小さく「開けるよ」と言いながら戸をゆっくりと開けた。

顔だけ入れて中を見渡してみたが、部屋の主はどこにもいなかった。
朝食後、彼女が部屋に戻っていくのを見た覚えがあるので、いないのはおかしい。

トイレかな、と思い、顔を廊下に戻して、さっきよりも大きな声で名前を呼んだ。
一応、許可があってからでないと入ってはいけないような気がしたからだ。

すると、奥の部屋から保護者が顔を覗かせた。

「どったの、シンちゃん」

「アスカが部屋にいないんです。トイレかなと思って・・・・・・」

「ふうん」

彼女は部屋を出てきた。薄いパジャマからいつものミニスカートに着替えている。
朝食時に「あー土曜も仕事なんてヤダヤダ。学生時代に戻りたいなあ」と言っていた。

一時姿が見えなくなったが、しばらくして声がした。

「いないわよ、ここにも」

えっ、と呟いてシンジはトイレに向かった。

確かに、アスカはいなかった。バスルームも確かめてみたが、そこにも姿はなかった。

「あれ、おかしいな。出掛けたのかな」

そう呟いてから、いや待てよ、と思った。

シンジはさっきまでダイニングにいたから、外に出たとしたらその姿を見ているはずだった。
するとまだ家の中にいるはずである。念のためにシンジの部屋も覗いてみた。

しかしそこにもいなかった。狭い彼の部屋には、他の部屋以上に隠れるスペースがない。

さっきミサトの部屋も掃除のために入ったが、もちろんアスカはいなかった。
こうなったら、許可はないがアスカの部屋に突入してみるしかないと思った。

「ミサトさん、一緒に入って下さい」

しかしひとりで入れないシンジは、ミサトの腕をムリヤリ引っ張った。

「いいですか、入りますよ」

戸はさっき開けたので、中の様子は見えているのに、シンジの声は緊張していた。

「んー、本当にいないわね」

意気込んで突入しようとしたが、ミサトが先に身体を入れてしまった。
彼女の目にも確かにアスカの姿は認められないらしかった。

シンジも、口の動きだけで「お邪魔します」と言って部屋に入った。

起きっぱなしのベッドの上。閉じられたままのカーテン。床に乱雑に散らばった雑誌類。
机の上も学校のプリントの類がドサッと置かれている。普段はこんな調子らしい。
これを、いつも瞬時の内にある程度片付けられるのだから、案外たいしたものだと思った。

お世辞にも片付いた部屋とは言えないが、それでも人が隠れるスペースはなさそうだった。
ミサトがクローゼットを開けてみたが、もちろんそんな所にいるはずがなかった。

「あらー、本当に消えちゃったみたいね」

彼女は少し面白がっているように見えた。きっと楽観視しているのだろう。

「ま、たぶんどっかに遊びにいったんでしょ。夕方になれば帰ってくるわよ」

でも、出て行くところをシンジは見ていない。そう言うとミサトは、

「気付かなかっただけじゃないの。シンちゃん、ボーっとしてるから」

笑いながらシンジの頬をペチペチ叩いた。

実際そうなのかもしれないな、と思って、シンジは気にすることをやめた。
片付けなければならない仕事がまだ山のように残っているのだ。

そうだ、と思って玄関に行った。思った通り、アスカの靴が1足消えていた。
何も言わないのはらしくないと思ったが、とにかくアスカは外に出たらしい。

これで、シンジはもう家事に没頭することを決めた。

「それじゃ、私もそろそろ行ってくるわね」

上着を肩に引っ掛けて、ミサトが玄関に出てきた。

「あ、はい。いってらっしゃい」

ミサトが出て行く時すれ違いざまに、薄く香水のいい香りがした。
廊下を渡っていく後ろ姿は、品と色香のある大人の女性を感じさせる。

これだけならば、道行く男性はみな彼女に振り返るだろうな、と思わせる。
しかし家での豪快振りを見ているシンジは、ミサトの変わりように驚くだけだった。

掃除が終わったら、洗濯物を干し、蒲団も干し、そして買い物に出掛ける。
昼間は洗濯物と布団を取り込んだ後は、ほんのひとときの休息がある。
たいていは昼寝で潰してしまい、気がつくと夕飯の仕度に取り掛かる時間となる。

いつもならシンジの土曜日は、このままあっという間に過ぎていくはずだった。




■2

静寂を切り裂くような電話のコール音が、けたたましく響いた。

ビクンと身体を揺らして、シンジはソファから起き上がった。
咄嗟に時計を見ると、そろそろ午後の5時という頃だった。

夕飯の仕度をする時間なので、ちょうどいい目覚ましになった。
ありがたいと思いながら受話器を取り上げる。

「あ、シンちゃーん?」

相手はミサトだった。仕事中に電話をよこすとは、きっと「帰れない」コールだろうと思った。

「帰れないんですか、今日は」

「あら、何でもお見通しなのねー」

ミサトは電話の向こうでクスッと笑った。

「そーなのよ。チョッチ立て込んじゃってね。明日の朝には帰れるから」

「あんまり無理しないで下さいよ」

この1週間で、ミサトの朝帰りが3回目であることを思い出した。

「ありがと、シンちゃん。優しいのね」

「いや、別に・・・・・・」

「あれ、照れちゃってる。かわいー」

「からかわないで下さい」

シンジは少し顔を赤くした。

あ、そうだ、と急にミサトの声が変わった。

「アスカは帰ってきた?」

「まだです」

シンジもそれで、アスカが帰ってきていないことを思い出した。
家事の忙しさにすっかり忘れていた。

「そう・・・・・・どこで何してるのかしらね。友達の家とかに電話してみた?」

「あ、してません」

「してみたほうがいいわよ。アスカから何も連絡はないんでしょ」

「はい」

「あのコ、財布か何か持ってったのかしら」

「分かりません」

ミサトの指摘に、シンジはただ首を振るばかりだった。

気にしていない振りをしていながら、ミサトは本当は心配だったのだ。
自分の無頓着さに呆れながら、シンジは受話器を置いた。

やはりどんな理由にせよ、アスカが何も言わずに消えるなんてことはおかしい。
とりあえず、彼女がいそうな委員長の所に電話してみようと思った。

冷蔵庫に貼り付けた連絡網を見ながら、ひとつひとつ番号を押す。何だか緊張した。

「もしもし、洞木です」

電話に出たのは、シンジの知っている声と少し違うようだった。

「あの、ぼく碇と言います。あの、イインチョ・・・・・・あ、いえ、ヒカリさんはいますか」

「あ、ヒカリの友達ね。換わるからちょっと待っててね」

受話器を置く音が聞こえた。どうやらいまのは委員長のお姉さんらしかった。
確か3人姉妹だという話をアスカから聞いたことがある。

受話器を持ち上げる音が聞こえた。

「もしもし、碇くん?」

「あ、もしもし、碇くんだけど」

思わずおかしな返答をしてしまい、向こうで委員長がクスッと笑った。

「どうしたの。碇くんが電話くれるなんて珍しいね」

「あの、アスカ、そっちに行ってないかな」

「アスカ? ううん、来てないけど、アスカがどうしたの」

「実は、今朝出て行ってから帰ってこないんだ」

「えっ、どこへ行ったか分からないの?」

「うん。何にも言わないで勝手に消えちゃったんだ」

そう、と呟いたきり、委員長は押し黙った。彼女なりに考えているのだろう。
シンジも黙って相手の言葉を待った。

「アスカは、何も持たないで出て行ったのかな。財布とかはある?」

彼女はミサトと同じことを言った。

そういうところを確認したほうがいい、というアドバイスを残して、
委員長は電話を切った。もし家にアスカが来たら連絡する、とも言った。

さて、どうしたものかとシンジは迷った。

アスカの部屋を捜索しなければならない。彼女の財布がどこにあるかなど知らないからだ。
だが、シンジは例えアスカがいなくても、勝手に彼女の部屋に入るマネをしない性格だ。

それなのに、彼女のプライベートを引っ掻き回すようなことをしなければならないと思うと、
後ろめたさによるため息が出たが、それよりもアスカの身を案じるほうが強かった。
何の連絡もないと、何かあったのではないかと心配したくなるものだ。ましてアスカである。

シンジは急いで、アスカの部屋に向かった。もうためらうことなく中に入れた。

机を探すのは少し躊躇したので、学校カバンのほうから先に手をつけることにした。

心の中でゴメンと呟き、中を調べてみた。しかし財布は出てこなかった。
他にあるとすれば机の中と思って、仕方なく、遠慮がちに手を伸ばした。

抽斗をひとつひとつ開けて探ってみたが、どこにも財布はない。
一応お金は持って出掛けたらしいことが分かった。

それよりも、シンジは抽斗から見つけたあるモノに驚いて、手を止めた。

ニコニコ笑っている自分がいた。ボーっとどこかを眺める自分もいた。
何かに真剣になっている自分も、そこにいた。

シンジだけが写っている写真が、机の抽斗から何枚も出てきたのである。
数えただけで15枚はあった。いつこんなものを撮ったのだろう。

中には、暗くてほとんど分からないが、寝顔を写しているらしいものもあった。
夜中、勝手に部屋に入ってきたことがあるのだ。これがその証拠である。

シンジはドキドキしていた。

自分の写真を、アスカはいったい何をしようとしていたのだろうか。
別に写真くらい言ってくれれば好きに撮っていいのに、アスカはコソコソ隠し撮りしている。

それに、写っているのはシンジだが、ほとんどが顔ばかりなのだ。
よく気付かれずにちゃんと撮れるものだと感心しながら、写真を抽斗にしまった。

いつの間にかアスカのベッドに腰掛けて、落ち着くために時間を使った。

気を取り直して立ち上がろうとした時、机の棚に小さめのノートがあるのを見つけた。
もしや日記かと思って、思わず手が伸びた。

その大学ノートの表紙には何も書いていないが、サイズからして日記帳らしい。

見たい、と思った。アスカが日々何を思っているのか知りたい。

いや、ダメだ。見てはダメだ、という声がする。シンジは迷った。

その内、これの中に、アスカの行方について何かヒントが書かれているかもしれない、
という勝手な想像が膨らみ、シンジの背中を後押しした。

おそるおそる、ページをめくってみた。




■3

6月5日(土)

明日はシンジの誕生日、と思うと、心がうきうきする。
プレゼント、喜んでくれるかなあ。胸がドキドキする。

今日はヒカリに付き合ってもらって、シンジへのプレゼントを買いに行った。

男の子が、特にあーいう無趣味なヤツが好むのは何なのか、ちっとも分からない。
あーでもないこーでもないと言いながら、ヒカリとたくさんの店を見て回った。

シンジは、休みの日は家事ばっかりで、ちっとも遊びに外へ出ない。
だから、遊びに誘ったらどうかとヒカリは言った。

そこで、外行きの洋服をプレゼントしたらどうかということになり、
シンジに似合いそうな服を探して回った。そしてちょうど良いのが見つかった。

爽やかなシンジに合いそうな、真っ白なポロシャツにした。
ポロシャツなんてオヤジくさいけど、シンジならうまく着こなせる。

誘うのは明日にしようと思って、まだシンジには何も言っていない。
何て言えばいいのか考えても、本番でとちりそうでビクビクしている。

明日のことを考えると、眠れそうもない。でも、ちゃんと寝ないとダメだ。
寝不足の顔なんか、恥ずかしくてシンジに見せられない。

頑張れ、アスカ。明日は決戦の日だ。




6月6日(日)

もう、シンジなんか知らない。シンジなんか・・・・・・だいきらい。




6月7日(月)

「アンタなんか、だいっきらい」

昨日アタシが言ったセリフが、いまも頭の中で渦巻いている。

たぶんシンジは、アタシがどうしてそんなことを言ったのか、分かってない。
バカみたいにキョトンとしていた。いや、シンジは本当にバカだ。

どうして誕生日の日に限って、友達と遊ぶ約束なんかするのよ。
友達って言っても、どうせいつものバカ2人に決まってる。
誘ったあいつらも最低だけど、アタシの気持ちを察しないシンジが一番悪い。

せっかく買ったプレゼントも渡せなかった。渡すわけにはいかなかった。

結局、昨日はそれきりシンジと顔を合わせることもなかった。

今日も、学校へ行くのも別々だし、話しかけられてもシカトしてやった。

夕飯もほとんど食べずに、これ見よがしにお菓子ばっかり食べた。
アンタが作ったものなんて誰が食べてやるか、というつもりだった。

なのにシンジのヤツ、「お菓子ばっかりだと栄養が偏るよ」とか言って、
心配してる振りなんかして、アタシの心を揺さぶるようなことをしてくれる。
こっちが怒ってることをぜんぜん知らないんだ。すごくムカツク。

シンジが謝るまで、絶対に口聞いてやらないんだから。




6月8日(火)

おなか空いた。今日も、ごはんを食べる代わりにお菓子を食べた。
でも、お菓子だけだとすぐにおなかが空いてくる。だからもっと食べる。
またおなかが空く・・・・・・悪循環だ。

昨日の日記の言葉は訂正しようかと本気で思い始めている。

シンジが作ったごはんが食べたい。シンジに「おはよう」って言いたい。
シンジの優しい顔を見つめていたい。シンジとたくさんお喋りしたい。

こんなにつらいことはない。自分で制限しておいて、勝手に苦しんでる。
バカなのはアタシだ。もう自分をかわいそうだとも思わない。

このままだと、おかしくなっちゃう。アタシがアタシでなくなっちゃう。
アタシの生活の中に、シンジがいないなんてことは考えられない。

もうバカみたいに意地を張るのはやめよう。

明日起きたら、笑顔で「おはよう」って言うんだ。




6月9日(水)

相合傘って、初めてだ。

今日は午後から急にざあざあと降ってきて、帰りにシンジの傘に入れてもらった。

シンジは、雨の日も晴れの日も、いっつも折り畳み傘を持ってきている。
たまにはアンタも役に立つことがあるのね、なんて言ってやった。
本当は、すぐそばにいると思うと恥ずかしくて、その気持ちを抑えるために言ったのだけど。

シンジは優しくて、自分の肩が濡れるのも構わずに傘をアタシのほうに寄せた。
アタシはそのことに気付いていたけど、黙ってた。でもすごくうれしかった。

それからアタシたちはずっと黙ったまま、雨の中をゆっくりと歩いた。
しとしとと静かな雨の音を聞きながら、何だかいいムード、って思った。

チラッとシンジを見ると、彼もこっちを見ていて目が合った。

思わずそらして、もう一度、おそるおそる見た。

シンジは前を向いていた。目が合ったのが恥ずかしかったのか、頬が赤かった。
でも、シンジの横顔は何だかとてもりりしくて、アタシはドキッとした。

好き、って言いそうになった。でも、慌ててその言葉を飲み込んだ。
この関係が壊れてしまうような気がしたから。シンジがアタシを好きだとは限らない。

家に帰っても、何だか照れちゃって、あんまりシンジと話せなかった。
でも久しぶりに食べた夕飯は、とってもおいしかった。涙が出そうになった。

相合傘、またしたいな。




6月10日(木)




6月11日(金)

これを書くことで、別にどうにでもなるわけじゃない。
でも、何かしていないと、本当に自分で自分を殺してしまうかもしれない。
だからここに書き残すことにした。

昨日、突然の悲劇がアタシを襲った。

学校の帰りだった。この日に限って、シンジは隣にいなかった。
いや、いなくて良かったと言ったほうがいいかもしれない。

気がつくと、周りを数人の男が取り囲んでいた。
それは全員、同じ学校の男子で、見たことのある顔もあった。

真ん中の男が、ヘラヘラ笑いながら一枚の写真を取り出した。

遠目に見ても、そこに写っているものが何なのか、すぐに分かった。

アタシだ。それも、着替えの最中だ。ほとんど全裸だった。

これが欲しかったら、それを貸してくれないかと男は言って、アタシの身体を指差した。

緊張した。周りを見ても誰も通りかからず、運悪く住宅から離れた場所だった。
逃げようにも男たちに囲まれているし、写真もあるから無視は出来ない。

もし無視したら、これを学校中にばら撒いてやると言って男は脅してきた。
そうなると、お前の大好きな碇シンジの目にも触れるぞ、などとも言う。

従うしかなかった。その時にされたことは、さすがにここには書けない。

男たちはさんざんアタシを弄んだ後、写真を投げつけるように渡した。

ほとんど魂の抜けた身体を起こして、アタシはその写真を見た。

すぐに、騙されたことを悟った。

それは、何かエッチな写真に、アタシの顔を貼り付けただけの代物だった。
脅迫の道具は、偽りの写真だったのだ。完全に力が抜けた。

男は、本物はこっちだと言って、別の写真をひらひらと顔の前に飾った。

暗かったのでよく見えなかった。だから、それが本物なのかどうか分からない。
これを返して欲しければ、土曜日にでも、朝早くから来てもらおうかと男は言った。

あれがもし本物だとしたら、と考えると、アタシはどうしようもない。
まさか、誰かに相談することなど出来ない。もはや汚された身だ。

暗くなるまで遊んでやるよ。夜の海にも連れて行ってやる。
もしも誰かに言ってみろ。碇シンジが無事でいられると思うなよ。
男はそう言って、どこかへ去っていった。

行きたくない。もうあんな目に遭いたくない。でも・・・・・・行くしかない。




■4

シンジは、床にへたり込んだ。

うつろな目をベッドカバー辺りに向けながら、頭を忙しく働かせた。

昨日、一昨日と、アスカの様子はどうだったか。
どこか変わった感じはなかったかと、思い出してみる。

ところがアスカは、いつものように明るく振る舞っていたような気がする。
これだけひどいことがあったのに、家ではつらさを微塵も見せなかったのだ。

その時のアスカの心情を考えると、胸が押しつぶされそうになる。

絶望が、全身を包んだ。それはそのまま体内に忍び寄り、心臓を猛然と叩いた。
鼓動はやがて身体に影響を与え、シンジはしゃくり上げるように泣いた。

後悔の涙は、床にぽたぽた落ちていく。声は枯れそうになった。

真っ赤になった目をごしごしこすると、シンジは立ち上がり、日記帳に目を落とした。

夜の海――

これだと思った。

アスカの部屋を飛び出し、シンジはテーブルの上にある財布をつかむと、
カギをかけるのも忘れるほどの勢いで家を飛び出した。

海――どこの海だろう。とにかく、一番近い所を探すしかない。

電車に乗り込むと、シンジはドア付近に立ったまま、外の景色に目をやっていた。
だが実際は何も見えていない。目の焦点が定まっていなかった。

「アスカ・・・・・・」

シンジは小さく呟いた。

アスカの笑顔が思い出される。その笑顔がかわいらしいだけに、悲しみはより一層強まった。

彼女の無事が心配ではあるが、それと同時に、相手の男たちのことも気になる。
同じ学校の男子とあったが、まさかこんなことをする連中がいるのかと目を疑った。

数人とは実際何人なのか知らないが、シンジは全員を殴り飛ばすつもりでいた。
当然抵抗されるだろう。反撃もされるだろう。羽交い絞めにもされるかもしれない。
それでもシンジはやってやると思った。アスカの痛みを思い知らせてやる。

いや、アスカはもっとひどくつらい痛みを身体になすりつけられてしまったのだ。
殴るだけでは済まない。シンジはほとんど本気で、殺してやろうかとさえ思った。

そんな思いが自分の手に表れた。爪が、手の平に食い込んで赤い痕を作っている。

痛々しい手の平を見て、シンジは自虐的な思いにとらわれた。

なぜ、気付いてやれなかったのだろう。こんなことがあって平常心でいられるはずがない。
苦しみをアスカひとりに背負わせて、いったい何が家族だ、と思った。

こうなってしまったのもすべて、アスカの気持ちを察せない自分のせいだ。
アスカは何も悪くない。全部ぼくが悪いんだ――そう思っても、むなしいだけだった。
起きてしまったことは、もう今更変えることが出来ないのだ。

ドアの窓に映る自分の顔を見て、シンジは思い切り殴ってやりたくなった。

再び手に力を入れ、憤りをすべてそこで発散させるように拳を握り締めた。
爪が食い込むたびに、怒りは発散されるのではなく、蓄積していくのを感じた。

また、アスカの笑顔が浮かんだ。

何度、彼女の笑顔に癒されたことか知らない。そして何度、ドキッとさせられたかも。

初めて彼女と会った時から、シンジはアスカに心を奪われていた。
その気持ちをよくもいままで隠し通せたかと思うと、感心するほどである。

ある時、アスカはこんなことを言ってシンジを困らせた。

「ねえ、キスしたことある?」

2人のファーストキスは、その言葉がキッカケだった。

アスカはほとんど興味本位のようだったが、実は本心だったのかもしれない。
シンジをなかば挑発するようにしてキスをすることを決意させたのも、
単なる照れ隠しだったのかもしれない。そう思うと、なおさら今回のことが不憫である。

彼女は、清い身体だったに違いない。それを、いとも簡単に汚されてしまったのだ。
アスカがどんな思いでいたかを想像すると、頭をかきむしりたくなった。

ますます男どもが許せない。許そうなんて気はさらさらない。極刑に値する。
それを施行するのは、自分しかいない。シンジは改めて誓った。

シンジをそれだけ強く激しい思いにさせるのは、ひとえにアスカへの愛情があるからだ。
愛情というと大袈裟かもしれないが、そう言っておかしくない感情をアスカに抱いている。

普段は怒りんぼで明るいアスカだが、本当はとても寂しい女の子だということを知っている。
その寂しさをなくしてやりたい、幸せを与えたいという気持ちが心の中に生じた。

シンジはそれを露骨には表さなかった。いや、本当は怖くて出来なかったのだ。

アスカを好きだという気持ちは、シンジの中でめぐりめぐっているだけで、
彼女がシンジに対して同じ感情を抱いているとは限らない。

そうした中で気持ちを伝えてしまっては、これまでの関係が壊れてしまう。
これは奇しくも、アスカの日記帳に書かれていたのと同じ気持ちだ。

だが、いまはもうアスカと心が通じ合っていることを知っている。
彼女を助けられるのはぼくしかいない――シンジはそうやって自分を励ました。

電車を降り、駅から出ると、一目散に海のほうへ走った。もう空は暗くなり始めている。

海は建物の隙間に確実に見えているのに、一向に近づいてこない。
これほど自分の足の鈍さに苛立ったことはなかった。

タクシーをつかまえればよかったが、あいにくそれだけのお金を持ち合わせていなかった。
実のところ、帰りの電車賃すら怪しいのだった。

途中、コンビニの前を通りかかった時、店の前に若者が数人たむろしているのを見た。
まさかあれかと思って、シンジは足を止め、隠れて様子を見た。

いや、あれはどう見ても高校生だ。あれで中学生だったら、人間は何とも不思議である。

それでも一応、向こうに見られないようにこっそりと横を通り過ぎた。

相当走った。足がガクガクだ。しかし海はまだ手の届かない所でシンジを待っている。
こんな所で音を上げていては、ヤツらに立ち向かうことが出来ない。アスカを助けられない。

何をしているんだ、走るんだシンジ――自分を叱咤激励して、足を動かす。

ようやく、潮の香りが分かるほどまで近づいた。あともうすぐだ。

波の音も聞こえるようになり、いよいよ海岸を見渡せる所まで来た。
しかし暗くて、人がいるかどうかいまいち分からない。

とにかく、砂浜に出てみることにした。

海は穏やかで、静かなさざ波の音が心地良い。これが嵐の後か前か、どちらとも言えない。

とうとう足がもつれて、シンジは転んだ。砂が口の中に入る。
素早くペッと吐き出したが、それでもずっと口の中がジャリジャリいっていた。

荒く息をつきながら、力を振り絞って立ち上がり、再び走り出す。

遠くの空に、星が輝いていた。ここは比較的空気の澄んだ場所らしい。
吸い込まれそうな宇宙が広がっている。その真下では、黒い海が地球を覆っている。

そしてその脇では、ひとりの少年が、少女を助けるためにひた走っている。

ボロボロになった身体を引きずって、少年は走っていた。いまにも倒れそうな身体で。

そして、少年は、シンジはついに何か物影を視界にとらえた。

近づいていくと、白いものが砂浜の上に横になっているのが分かった。
白いのは、少女のワンピースだ。アスカが倒れている。

シンジは急いで駆け寄った。

「アスカ!」

彼女は倒れたまま動かない。シンジが身体を揺すると、やっと「うーん」と唸った。

「アスカ、アスカ、しっかりしろ」

叫びながら、シンジは周りを見回した。他には誰もいない。
ということは、これは嵐の後なのだろうか。アスカはまたも汚されてしまったのか。

シンジは目に涙をためながら、アスカの肩を揺すった。

「あ・・・・・・シンジ?」

「アスカ! よかった、気がついたんだね」

アスカは目を見開いた。

「あれ、シンジ、どうしてここに?」

「アスカ、ゴメン。気付いてやれなくて、本当にゴメン」

シンジは彼女の頭を自分の胸に押し付け、思い切り抱きしめた。
そして何度も「ゴメン」を繰り返した。

しばらくして、シンジはアスカに泣き顔を向けた。

「アスカ、もう大丈夫だよ。これからはぼくがずっとそばにいて守ってあげるから。
もう絶対にひどい目には遭わせないから。ずっと、ずっとそばにいるから・・・・・・」

「え? ・・・・・・シンジ、どうしたの」

「アスカ、ぼくは・・・・・・きみのことが、好きだ」

「・・・・・・・・・」

アスカは言葉を失った。信じられないといった顔をシンジに向けている。
次第に、その目に涙が浮かんできた。

その瞳がいじらしくて、シンジはもう一度抱きしめた。
今度は「好きだよ」を何度も繰り返して・・・・・・




■5

「でも、アタシがここにいることがよく分かったわね」

落ち着いてから、アスカが言った。

「何にも言わないで出てきちゃったのに」

「それは・・・・・・」

シンジは、あの日記帳のことを言おうか少し迷った。

すると、アスカが先に言った。

「ごめんね、心配したでしょ」

「そりゃ心配したよ。本当に心配したんだから」

シンジは睨むようにアスカを見た。彼女はクスッと笑って、

「シンジがそんな顔しても、ぜーんぜん怖くない」

と、明るい声を出した。

何だか、アスカはまだ心の苦しみを隠して演技をしているような気がした。
もしかして、ある種の現実逃避なのかもしれないと思って、シンジは悲しくなった。

アスカは立ち上がって、ぐーんと伸びをした。

「うーん、寝ちゃったのか。どのくらい寝てたんだろ」

「寝てた?」

シンジは首をかしげた。

「うん。ずーっとここで海眺めてたら、いつの間にか寝ちゃったみたい。
誰かに襲われなくてよかったあ」

「は?」

アスカの言っていることが飲み込めない。

「あのう、アスカ・・・・・・」

「なあに」

「今日、ここへは何をしに来たの?」

「え、まあ、それは・・・・・・気分転換よ」

アスカは事実を隠そうとしている。シンジに心配させないために。
なんていじらしい子だろうと思って、涙が溢れそうになった。

「アスカ、実はぼく、知ってるんだ」

「えっ、何を?」

アスカの顔が引きつった。

「見ちゃったんだよ。あの、日記帳」

「日記帳? アタシ日記なんてつけてないけど」

彼女はそう言ってから、「うん?」と言って腕を組んだ。そして叫んだ。

「あーっ! まさかアンタ・・・・・・見たの? あれを」

アスカのリアクションが妙なのを気にしながら、シンジはうなずいた。

「ああ、もう、サイテー! 信じらんない! アンタ、常識ってもんがないの?」

「え、え、え?」

急に怒り出すアスカに、シンジは戸惑うほかなかった。

「もう、ほんっと、意味わかんない。人のノート勝手に覗いて・・・・・・」

「あの、あれは日記帳じゃないの?」

「違うわよ!」

あれのどこが日記帳じゃないのだろう。しかしアスカは猛然と否定した。

「あれは、アタシが書いた・・・・・・小説よ」

ボソッと言ったので聞き取りづらかったが、小説という言葉は聞き逃さなかった。

「小説? あれが、小説?」

「そうよ。あんな説明的な日記なんてあるわけないじゃん」

開き直ったように、アスカはそっけなく答える。

「でも、あれに書いてあったことって、ほとんど現実と一致してるじゃないか。
6日にぼくがトウジたちと遊びに行ったこととか、9日に相合傘したこととか」

「その辺は、現実感を持たせてるのよ。感情移入しやすいように」

「はあ」

情けない相槌しか打てない。

「そしたら、その先に書いてあったことは、あれはいったい何なの?」

「あんなの、作り話に決まってるじゃない」

「作り話?」

どうやら、アスカに一杯食わされたらしい。

「もしかしてアンタ、あれを信じてここまで来たの?」

「・・・・・・・・・」

遠慮がちにうなずく。

「バッカじゃないの。あんなことが現実にあるわけないじゃん」

アスカは突き放すように言った。

「そもそも同じ学校の男子がよ、アタシにヘンな気起こそうなんて話からしておかしいでしょ。
アタシを誰だと思ってるの。エヴァ弐号機パイロット、惣流・アスカ・ラングレー様よ」

おっしゃるとおりで、とシンジは心の中で呟いた。

「そんな輩が来てみなさいよ。エヴァで踏み潰してやるんだから」

アスカは物騒なことを言うが、シンジも似たようなことを思っていたのだった。

「じゃあ、アスカがここにいるのはどうして・・・・・・?」

「それは、まあ、夜の海ってどんなものかなあって思って、見に来ただけよ」

「それだけ?」

「そうよ。ずーっとここでボーっと眺めてたの。バカみたいでしょ、アタシ」

シンジは安易にうなずけなかった。

「・・・・・・もうここまで喋っちゃったから全部話しちゃうけどね」

アスカはため息をついてから言った。

「あの日記は、ちょうどあそこで終わってるの。で、偶然シンジが日記を見てしまう。
そして、夜の海にアンタは駆けつける。男たちを次々となぎ倒していく。
アンタは、さっき言ったみたいに告白してくれる。アタシは泣きながら抱きしめる。
・・・・・・まあ、そういう風に小説は展開する予定」

ほとんどやけくそで言っていた。いま思えば、確かに破綻しまくりの日記だった。

「その情景を思い浮かべるために、わざわざここまで足を運んだってわけよ、要は。
で、そんな理由を言うのが恥ずかしかったから、黙って出てきちゃったってこと」

「でも、どうして夜の海?」

「なんかいいでしょ、夜の海の決闘って。カッコいいじゃない」

そう言われると返しようがない。シンジはガックリとうなだれた。

うつむきながら、シンジは最後の質問をした。

「なぜに、小説を?」

「そんなの、いいじゃない。書いてみたくなっただけよ」

適当に言っているが、それって実は本音だったりするのかもな、とシンジは思った。

「でも・・・・・・」

アスカは、急に小さな声になって言った。

「来てくれてうれしかった。ありがと、シンジ」

そして、シンジの肩に頭を預け、ウットリと夜の海を眺めた。

フッと息を洩らすと、シンジも彼女の肩に腕を回して、彼女の髪にキスをした。

ところが髪の毛が砂まみれで、シンジは思い切りくしゃみをした。

「ひっどーい。せっかくロマンチックな気分だったのに」

「ゴメン」

鼻水をすする音がやけに大きくなり、余計にムードはぶち壊しになった。

アスカは笑いながら立ち上がった。

「帰ろっか」

「そうだね」

シンジが立ち上がると、アスカはやや遠慮がちに手をつないできた。

「シンジの手、あったかい」

「そう? アスカの手も、あったかいよ」

彼女はうふふと笑った。シンジは、心もあったかくなったような気がした。

しばらく歩きながら、シンジは色々と訊いた。

「そういえば、抽斗にぼくの写真がたくさんあったんだけど」

「えーっ、そこも見たの? ありえない、それ」

「どうして隠れて撮ったりしたんだよ」

「だって、いつでもシンジの顔を見ていたいなんて言うの、恥ずかしいじゃない」

「・・・・・・・・・」

「他に訊くことは?」

「うん。それから、例の日記のことなんだけど、あれはちょっと・・・・・・」

「ああ、アタシが襲われるってところ?」

「うん。読んでて心が痛くなった」

「あら、そう? アタシって文才あるのかな」

「そうとは言ってないんだけど」

「何よ、もう。ラブストーリーには、悲劇が付きものでしょ。それを入れたのよ。
何か悲劇があってこそ、愛は強まる。それを表現したかったの」

「はあ・・・・・・それにしても、ちょっとなあ」

「ぶつくさ言わないでよ。どうせあんなの作り話なんだし。それに・・・・・・」

「それに?」

「アタシの初めてをあげる相手は、とっくの昔から決まってるんだから」

「え?」

「何でもない」

いきなり駆け出すアスカの後を、シンジは重い身体を引きずりながら追いかけた。

それから駅まで競走になり、シンジは大差で負けた。アスカは寝たぶん、元気一杯だった。

「そういえば、今日はミサトさん、帰ってこないんだって」

ふと思い出して、駅のホームでシンジがそう告げると、アスカはなぜか顔を赤くし、

「バカ」

と言ってシンジを突き飛ばした。

危うく線路に身体を投げ出すところだった。しかもその直後、電車が滑り込んできた。

シンジが咄嗟に飛びのくと、アスカの身体にぶつかり、抱きしめられる形になった。

そして、電車の中、家までの道と、彼女はずっとシンジにくっついたきり離れなかった。
さすがに車内は恥ずかしかったが、アスカは腕を背中に回して決して離そうとしなかった。

それは、家に帰ってからも同じことだった。




終わり




≪あとがき≫

どうも、うっでぃです。

なんじゃそりゃ、という終わりかたになってしまいましたが、
直接的じゃないからいいんだ、と自分に言い聞かせました。
ずい分都合のいい話です。ご都合主義がふんだんに散りばめられております。

文中の日記は冗談なんですよーと、タイトルがそう言っております。
くらーい話を書くのに、このタイトルはつけません。
だからあれはあれでいいんです。どうせ作り話ですから。
・・・・・・と、自分に言い聞かせました。

要は、虚構の中に虚構を描くということをしてみたかっただけです。
このアイデアは、某氏の某作品からヒントを得ています。
って、私の場合ほとんどが考えを拝借した話ばかりなんですが。

というわけで、ではではまたまた。


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