やっぱり変だよエヴァンゲリオン

作:やがみ きょうしろう

 前回、ジオフロントについての考察を書いたら、何人かの方からいろんな意見や、様々なデータをいただいた。
 今回は、それを元にして、さらなる考察を加えてみようと思う。

 

注)これはあくまでパロディですが、エヴァの世界観を大切にしたいと思う方はご遠慮下さい。

 

閉所恐怖症の人、お断り!!

 前作「ここも変だよエヴァンゲリオン」を書いてから、しばらくたったある日、
ここの管理人でもあられるタームさんから、ジオフロントについてこんなデータをいただいた。

 

 1直径6キロ 高さ0.9キロの空間。

 2光ファイバーで太陽光が送り込まれる。

 3森林や湖も存在し、地上の生態系と変わらない状態になっている。

 (二酸化炭素は、森林がなんとかしてるのかな?)

 4地上とは、リニアレールで繋がっている。

 5リニアレールは、螺旋状に走っている。

 6巨大な球形のジオフロントだったが、89%が埋没している。

 7先史時代の遺跡と言われているが、正確な歴史は不明。

 8使徒,アダムと関係がある可能性有り。

 

 以下、現実の一般論からみたジオフロントについて。

 ・一般にジオフロントとは、大深度血か空間を利用した生活空間を示す。

 ・利点

 恒温性,静寂性,対防爆性が優れる。

 地熱利用発電,地下揚水発電の利用が有効にできる。

 実際には、大成建設のアリスシティ,清水建設のアーバン・ジオ・グリッド

 なんかがあるそうです。

 

 これは、どこかの設定資料集に載っていた、公式データだそうだ。
これを読んで、私は正直言って驚いた。

 まず1についてだが、高さ0.9キロというデータは、私が算出した0.75キロというデータにかなり近い。
少ない資料から割り出した値が、これほど公式設定に近いのは、作者としてもうれしいばかりである。

 だが、直径6キロに対して、高さが0,9キロしかないのは、少々問題がある。
これは、床面積の割に天井が低いということを意味しているのだが、こんな環境だと、ジオフロントにすんでいる人は、
圧迫感を感じてしまうのではないだろうか?

 人は、長い間、天井が低いといったような圧迫感を感じるところにいると、
ストレスが溜まりやすくなる。
 特に、閉所恐怖症も人にとっては、苦痛以外何物でもない。
まったく、えらいところに本部を造ったものだ。

 こうなると、ネルフの人事部は大変である。
新たな職員を入れるとき(非公開組織で、どのようにして募集するのかは謎だが)、
面接で入社(?)希望者にまず聞くことは、「あなたは、閉所恐怖症ですか?」である。
その人の能力や経歴なんてものは二の次。

 もちろん、「はい」と答えた時点で、選考落ちが確定する。
非情と思えるかもしれないが、その人の健康を思えばこそである。
まあ、涙を飲んでわかってやってくれい。

 

諜報部にはいるには、掃除がうまくなければいけない!!

 次に、2,3について考えてみよう。

 まず、3についてだが、あの限られた空間の中で、地上と同じ生態系になっているとは、非常に考えにくい。
これは、生態系というものは、地球全体の環境において、絶妙なバランスの上に成り立っているからである。

 たとえば、台風について考えてみよう。
台風というものは、生き物にとっては害をなすだけのもの、と思う方も多いかもしれないが、
太陽によって赤道下にたまった莫大なエネルギーを、拡散させている働きもしているのである。

 つまり、台風をどうにかしてなくしてしまったとすると、
それ以上の被害がでることも十分に考えられるだ。

 また、二酸化炭素についてだが、実は、地上で動植物によって吐き出される二酸化炭素の多くは、
海中にいる珊瑚などによって吸収されているのである。
いくら森林や湖があるからといって、それだけで生態系が保たれるとは思えないのだが・・・。


 少し小難しい話が続いてしまったが、とにかく気を取り直して、話を進めよう。

 次は、2について、つまり、ジオフロント内の光についてである。

 なるほど、確かに光ファイバーを使うという発想はすばらしい。ちゃんと昼と夜が存在できる。
だが、直径6キロもあるドーム全面に、太陽光を取り入れようとすれば、
どうやっても、直径6キロ分の光ファイバーが必要である。
それほどの光ファイバーを、どこからもってくるのか是非教えてもらいたいところだが、
まあ、ここは仮にできたとして話を進めよう。

 すると、地下にあるネルフ本部から、直径6キロの光ファイバーの束が、地上に向かって走ることになる。
もちろん、光を取り入れる部分の太さも、直径6キロだ。

 つまり、地上では、直径6キロの巨大なガラス板が、突如出現することになる。
こんなものが地上にできた日には、近くの住民もびっくりだ。

 この狭い日本のどこに、直径6キロものガラス板をおくところがあるのか、はなはだ疑問であるが、
仮に周りの住民の反対を押し切って建てたとしても、今度はその維持が大変である。

 光を効率よく取り入れるためには、採光面であるガラス版を、常にピカピカに保っておく必要かある。
そこで、好奇心旺盛な子供たちや、心ない人たちに傷つけられないように、
周りを有刺鉄線などで囲った上、諜報部を使うなどして、厳重な警戒が必要になる。
もちろん、ゴミがたまってもいけない。

 だが、光を効率よく取り入れる上での最大の敵といえば、やはり鳥だろう。
鳥は、その体の構造上、飛びながらフンをする。まさか、採光部に鳥が近づくだけでその鳥を殺すわけにもいかないので、
一定期間ごとに掃除をする必要がでてくる。
問題はその掃除を誰がやるかだが、もし、「経費削減のため」とか、
「機密保持のため」とかいって、諜報部の人間がやることにでもなったら、諜報部にとってさぞかし迷惑ななことだろう。

 諜報活動から、直径6キロのガラス版の掃除まで引き受ける諜報部。やはりただ者ではない。

 また、これほど巨大な建造物が地上にあるのは、使途に対して、自分の位置を自ら知らせているようなものである。
いつぞやゲンドウが、「ヤツめ、ここに気づいたか」と言っていたが、
地上に直径6キロものピカピカ光る板があれば、サルでも気づくと思うのだが・・・。

 

二日酔い、禁止!!

 さて、今度は、ジオフロントの交通機関について考えてみよう。

 資料によると、地上と本部は、螺旋状に走るリニアによってつながっているらしい。
なるほど、確かに劇中でもそんな場面があった。
では、地上から本部まで、いったいどれぐらいの時間がかかるのか計算してみよう。

 まず、直径が6キロというところから、円周の長さがわかる。

6000(m) x 3.14 = 18840(m) = 18.84(km)

 次に、1周する間に登る高さだが、これは勾配によって決まる。
実際に画面で確認してみたのだが、ほとんど水平に近い。おそらく2%ぐらいだろう。
すると、1周する間に上昇する高さは、

18840(m) x 0.02 = 376.8

 つまり地上にでるまでには、

2500(m) / 376.8(m) = 6.6(周)

である。

 1周するときの走行距離は、三平方の定理より、約18.85(km)とわかる。

そこで、地上にでるまでの、総走行距離は

18.85(km) x 6.6(周) = 124.956 = 125(km)

 うーむ、125キロか・・・。結構長いな。

 これを読んでくださっている人の中には、
「リニアでつながっているんだから、すぐじゃないの?」
と、思う方もいるかもしれない。

 確かに、リニアは、排気ガスがでない、高速である、と言う、地下向きの利点を持っている。
現在、500キロのリニアが、実験走行を成功させているので、
ネルフだと、さらに速いリニアを実用投入することもできるだろう。

 だが、円軌道をはしている以上、常に遠心力が発生することを忘れてはならない。
仮に、時速600キロで走るリニアでは、その遠心力は

600(km/h) = 167(m/s) x 167 (m/s) / 3000(m) = 9.3(m/s*s)

                                      = 0.95(g)

 つまり、時速600キロで走るリニアに乗っている人は、真横に自分の体重の0.95倍の力を受けるのである。
よって地球の重力との関係上、斜め下43.5度で、引っ張られることになる。

 これは、乗っている人にとっては、はっきり言って気持ち悪い。
画面でみる以上、リニアのシートは、地下鉄などでおなじみの、対面式になっているようだ。
すると、外側の座席に座っている人にとっては、自分のお尻が、常に斜め下45度の角度に引っ張られることになる。
痔持ちの人は、外側に座るのは遠慮した方がいい。

 内側の座席に座ることは、さらに危ない。
自分の頭が斜め下45度に引っ張られることになるのだから、
座っている人は、踏ん張って自分の頭を支えておかなければならないのだ。
うっかりくしゃみなどして、前屈みになろうものなら、そのまま自分の頭が床につっこむことになる。
風邪を引いている人が内側の座席に座るのは、是非やめてもらいたい。

 また、このリニアだと、巨大なコーヒーカップに乗っているようなものなので、酔ったまま乗るのも厳禁である。
うっかり、酔ったミサトなどが、リニアの内側の座席に座ってリバースでもされた日には、
阿鼻叫喚の地獄絵図のできあがりである。
もちろんその当の本人は、真っ先につっこんでいるのだが・・・。

 

リニア、エレベーターに完敗!!

 では、安全に運行するためには、どうすればよいのか?

 これはもう、速度を落として、遠心力を減らすしかない。
具体的にどれぐらい落とせばいいかだが、実際にある列車を参考にしよう。
列車が、急カーブに差し掛かったときにかかっている遠心力が、だいたい0.1gである。

 画面で確認すると、普通に立っていられるようなので、、まあ、0.03gぐらいだとしよう。
これだと、外側に2度引っ張られるだけなので、立っていることも十分に可能だろう。

 すると、速度は29.7(m/s)、つまり時速107キロで走ることになる。
地上までにかかる時間は、

125000(m) / 29.7(m/s) = 4209(s) = 1(h)10(m)9(s)

 うーむ、1時間10分か・・・。
微妙な時間だが、地面の真下にある本部まで行くのに、1時間以上かかるのは、少々長いのでは?

 また、緊急事態の時にはどうするのだろう。
「使途よ!すぐに本部まで来て!!」などと言う連絡があってから、本部に到着するまでに1時間10分・・・。
・・・その間に、本部が壊滅する可能性があるのでは・・・。

 では、ほかの交通機関ではどうか?
上下に関する交通機関で、真っ先に思いつくのはエレベーターだが、では実際にどれぐらいかかるのだろうか?
横浜のランドタワーにある、世界最速のエレベーターだと分速750メートル。
所要時間は、わずか3分20秒である。

 かたや1時間10分、かたや3分20秒。この差っていったい・・・。
ネルフの連中は、それほどリニアが好きなのだろうか?

 

歩くのは無謀だ!!

 そういえば、確か劇中で、停電のために交通機関が使えなくなったシンジ達が、
歩いてネルフ本部まで行ったはず。

 どのようなルートをたどったのかが気になるところだが、
ネルフの中心には、先ほどの光ファイバーがあるはずなので、その内部を歩いたとは考えにくい。
すると最短ルートは、先ほどの半径3キロの円周を歩くことになる。

 リニアの時と同じ勾配だと、歩く速度を、張って進んでいるときや、直接真下に向かっているときなども考慮に入れ、
秒速50センチ(1歩の歩幅が50センチ)とすると、所要時間は、2日と21分25秒かかる。
1.5倍の勾配でも、丸2日かかる。
途中で、ダウンしている可能性が高いのでは・・・。

 リツコが、「大丈夫。あの子達はきっと来るわ」と言っていたが、その根拠を是非聞かせてもらいたい。

 

結局何なんだ?

 いろいろとやってきたが、結局よくわからなかった・・・。
残りの7,8,9に至ってはさっぱりわからない。
特に7に書いてあることが事実だとすると、その下端は地下20キロに近いことになる。
これでは、層の薄いところでは、地殻を突き破って、マ
ントル層と言う溶岩で満ちあふれているところに達しているのだが・・・。
 やっぱりよく分からないままだったなあ・・・。

 


(後書き)

 どうも、お久しぶりです。非常に長い間が開いてしまって、本当に申し訳ございません。

 今回のお話、いかがだったでしょうか?
前作を書いてから間が空いてしまったので、初めて読まれる方もいるかと思い、
少し緊張しています。

 今回は、前作を書いてから、いろんな方にメールをいただき、その中からヒントを得て完成しました。

 後、訂正ですが、前回、ジオフロントの気圧が825気圧になる、と書きましたが、
あれは地面などの土砂の重さも入れた場合だそうで、実際にはそんなに大きくならないそうです。
本当に申し訳ございません。これからもビシビシと指摘をお願いします。

 次回作ですが、おそらくLCLについての話になると思います。

 それでは。

special thanks to

n.m , oneeven, ターム、REAL, y, s.k , omokane, bolt, n, t, e

やがみ きょうしろう


マナ:ネルフって、直径6キロの光ファイバーがあったのね。

アスカ:そんなのあったかしら?

マナ:きっと何処かにあるはずよ。探してみたら?

アスカ:直径6キロのものを・・・。探すも何も・・・。あったらすぐ見えると思うけど。(ーー)

マナ:しかも、閉所恐怖症の人は駄目だったのね。

アスカ:そう言えば、ネルフの人で閉所恐怖症の人って見たことないわね。

マナ:シンジ達は大丈夫ね。あんな狭くて暗いダクトの中入って行ったんだから。

アスカ:あったり前よっ! アタシはそんなの平気よ。

マナ:まぁ、アスカはそれくらいじゃどってことないでしょうねぇ。

アスカ:狭いとこ怖かったら、シンジと隠れて・・・ごにょごにょ・・・できないじゃない。(*^^*)

マナ:狭いとこでなにしてんのよーーーーっ!(ーー#
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