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EVA・RETURNER
                    Prologue
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                                    Youth−K.


サードインパクトが起こった。エヴァ量産機が初号機を依代として。目が覚めたときには世界はLCLの赤い
海が広がっていた。僕と初号機を残して。
僕は意を決して巨大な綾波―リリスに願った。皆を、LCLから出してあげて、と。願いは届いた。しかし、
黒い月の影響が強すぎたのか日本の人々全員、アスカやミサトさんや父さんをはじめとした僕の知っている人
は誰もいなくなった。


戻ってきた大人達はエヴァを奪おうとした。でも、母さんは誰にも渡さない。だって、今世界中の中で唯一僕
が知っている人だから。だから僕は父さんの残していった遺産でエヴァとネルフを買い取った。父さんへの供養
にはこれしかないと思った。でも、これだけじゃいやだった。母さんを助けたい。この一心で僕は必死に勉強し
た。血は争えないのか、高校を一年で卒業した僕は新ベルリン大学へ進学した。そこで僕は食べているときと寝
ているとき以外例外なくずっと研究をつづけた。たまにゼーレの刺客がやってくることもあったのでSPも雇っ
たがそれではいざというとき危険に陥ることもあるので格闘技や銃の訓練もした。格闘技は結局免許皆伝してし
まったので今は体がなまらないように軽く動かす程度。でも、研究している間だけは全て忘れられた。悲しいこ
とも後悔も。


5年経った。僕はやっとサルベージの方法を完成させた。リツコさんとリツコさんのお母さんの失敗したデータ
も使って。


サルベージ当日。何事もなく準備は整っていった。サルベージは順調、LCL濃度も濃くなってきた。だんだ
んヒトの形が作られていく。そのすがたは僕の目の前から消えた時と全く変わらなかった。エントリープラグか
ら母さんを出して、医務室へ運んだ後、つきっきりで看病した。翌日、仮眠室で寝ていた僕の元へ母さんが目を
覚ました、と連絡が入った。僕は母さんに駆け寄り、抱きつき、大声で泣いた。周りがどう思おうと関係ない。
ただそうしていたかった。母さんは、懐かしい声で僕にささやいた――「お疲れ様」・・・と。


初号機の前にやってきた。僕はそこでただ一言言う。

「ありがとう」

と。すると突然初号機が輝きだし、光に包まれ、あの時、サードインパクトの時と同じ6対12枚の羽を広げた。そ
の光にシンジは暖かく包み込まれた。と、その時、綾波の気配がした。姿は見えなかったけど。なんとなくこう
なった理由がわかった気がした。
「そうか、僕はあの時の罰を受けるんだね。」
「いいえ、違うわ、チャンスよ。酷かも知れないけど。あなたにはその力がある。」
「そんなことないよ!」
「事実、あなたはユイさんを助けたわ。自信を持っていいの。あの頃に戻って今度は皆を救ってあげなさい。そ
れがあなたに与えられた使命。」
「綾波は?綾波も来るんでしょ?」
「私は行けない。もう綾波レイじゃないの。魂さえない存在。だから、あなたを見守ることしかできない。ごめ
んなさい。」
「そうか、わかった。やってみるよ、どこまでできるかわからないけど。でも、ひとつだけいいかな。あの戦い
の前に向こうでやりたいことがあるんだ。だから時間がほしい。」
「あなたの望む時へ戻れるわ。」
「ありがとう。じゃあ、あの頃にしよう。それくらいあれば十分だろうから。」
そして光の消えた後、世界のどこにもシンジはいなかった。



あとがき

初めて投稿させていただいたYouth−K.です。読むのには慣れていても書くのはまったくの初心者なので、
ありきたりな逆行物になってしまいそうなのですが、そうならないように精一杯書かせていただきます。大学受
験も控えているので勉強のおろそかにならないペースで頑張ってみます。よろしく。

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