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  DISK2 EYES  ON  ME :trak2           BY zodiacok
 
 
 

ユイナの頭の中を、いろんな思いが駆け巡る
だけど、結局涙と一緒に出てきた言葉は

「わ〜ん!アスカがいじめた〜!!!」

だった
 
 
 

そしてユイナは、そのまま襖を(器用に人型に)突き破って外に走っていってしまう

「・・・・・・」

一瞬あっけにとられていた5人(除くアスカ)だったが、すぐにトウコがアスカに詰め寄る

「あんたぁ!なんてことゆうんや!!」

最初に言ったのは加持ような気もするのだが、とにかくアスカの襟に掴みかかった
しかしアスカはその手をかいくぐる

「俺に触るんじゃねぇ!!」
「な、なんやて!」
「・・・はん!」
「と、とにかく!ユイナを追いかけや!」
「・・・・・。」
「何、ぼーっとつっ立っとんねん!」

二人の視線が激しく交差する

「まあまあ、二人ともその辺にしといて・・・レイ、すまないがユイナ君を追いかけてやってくれないか?」
「・・・はい。」

レイは静かにヘッドホンを置くと、律儀に襖を開けて出て行った

「加持はん!」
「まあまあ。・・・アスカ君、そこに座りたまえ。」

じっと開け放たれた襖を見つめていたアスカだったが、黙ってそれに従った
続いてトウコもアヤメの隣に腰をおろした

しばしの沈黙の後、加持が口を開いた

「・・・なあ、何でそんなにユイナ君に冷たくあたるんだ?」
「せや!あんたのさっきの態度は・・・。」
「まあ、ちょっと静かにしていてくれないか。・・・なあ、どうしてだい?」

トウコを左手で制すと、再びアスカに話し始めた

「・・・・・。」

アスカは頬杖をついたまま、誰とも視線を合わそうとはしない
加持は、テーブルの上で手を組むと、それにあごを乗せた

「アスカ君?」
「だまっとったら・・・。」

再びトウコを左手で制し、さっきと同じポーズをとる

「・・・そんなに、ユイナ君を戦闘に巻き込むのがイヤなのかい?」
「!!・・・・・そうだよ。」
「ふむ・・・やはりね。」

今度は後ろの壁に寄りかかり、腕を組む
アスカはそんな加持に一瞬視線を向けるが、すぐに外してしまう

「ユイナ君はね、君のことが好きなんだよ。」
「・・・知ってるよ。」

(へーそうやったんか)
(何よトウコ、気付いてなかったの?)
(い、いや。もちろん気付いとりましたで)
(・・・うそつけ)
(な、うそとはなんや)
(ちょっと、二人とも止めろよ)
((・・・・・))

「コホン・・・だったらさ、ユイナ君の気持ちも察してやれよ。彼女は君と一緒に居たいし、君と同じ事がしたいんだよ。」
「別に、一緒にいてやるぐらいはかまやしね―よ。・・・でも、でもあいつがEVAに乗って戦うことはねーだろ!」

初めて真正面から加持を見つめるアスカ
それを受け止める加持

「それは、確かにすまないと思っている。君たち子供にばかり戦わせてしまっ「そーいう事を言ってるんじゃねー!!」

だんっ!!

アスカは、机にこぶしを叩きつける

「・・・そーいう事言ってるんじゃねーよ。・・・別に俺はEVAに乗るのが嫌なわけじゃない。むしろ誇りにすら思ってる。」
「せやったら、なんで・・・。」
「あいつは女の子なんだぞ!何で戦わなくちゃいけねーんだよ!・・・ユイナが、ユイナが戦っていい訳ないだろうが!!」

その迫力に、思わず後ずさりするトウコ

「ユイナが、戦っていい訳ねーだろーが・・・。ユイナが、ユイナがっ!!」

そう叫ぶたびに、強く拳を握り締めていく
手のひらに爪が食い込み、うっすらと血がにじんできても、その力を緩めようとはしない
その拳をじっと睨みつける

「・・・・・・。」

みんな、無言でアスカを見つめている

「・・・なあ、惣流。」
「なんだよ、ヒカル。」

ようやく声をかけたのは、‘委員長’こと洞木ヒカルだった

「オレもさ、そう思うよ。」
「な、イインチョ!」
「ま、ちょっとオレの話を聞いてくれよ。・・・加持さん、いいですか?」
「ああ。」

トウコをなだめ、加持に許可を貰う
ヒカルは、うつむいたままのアスカに声をかける

「オレもそう思う。・・・そりゃそうだよ、だってあんなか弱い女の子なんだもんな。何も思わない方がおかしいぜ。
・・・だけどさ、碇さんの気持ちもわかるんだ。好き人のそばに居たいって気持ちがね。」

そう言って、一瞬トウコに視線をやった

「碇さんだってさ、EVAに乗ってるのがどんだけ危険なことかわかってると思う。なんか、しょっちゅう入院してたみたいだったし。」
「だったら!」
「まあ待てよ。・・・だから、それでもそうしたいってことはさ、そんだけ惣流のこと信頼してるってことだろ?
それにさ・・・・オレ、彼女が泣いてるとこなんか見たの初めてだよ。」

「・・・・え?」

「い、いやさあ・・・オレもそんなに碇さんと親しくしてたわけじゃないし、知り合って半年も経ってないんだけどさ。
なんか、いつもニコニコしていた彼女からは想像できなくて・・・な、そうだろ。」
「せや。あたしらも戦ってる最中にEVAに載せてもろてこともあるけど、そん時もセンセは泣いたりせーんかった。」
「うん、さっきはちょっとビックリしたよね。」
「か、加持さんもか?」
「俺もだ。」

「・・・・・・・。」

「そ、惣流?」
「・・・そっか。」

手を開いてみると、爪の跡が残っている

「そっか、そーか・・。」

ゆっくりと立ち上がるアスカ

「なんだよ、ユイナのくせに・・・むかつくな。」
「どこ行くんや?」
「るせーな。・・・ユイナを追っかけてやるんだよ。」
「へん!いまさら行っても遅いんとちゃいますかな?」
「はっ!ユイナが俺以外の人間で泣き止むかよ。」
「大した自信ですなあ。」
「知ってるからな。・・・加持さん。」
「なんだい?」
「いいさ、俺ユイナと一緒に居てやるし、同じことをしてやる。」
「そうか、場所は丘の上の公園だそうだ。ユイナ君を幸せにしてやれよ。」

加持はいつに間に取り出したのか、携帯を片手にそう言った

「な、なんだよ・・・そんなこと、わかってるよ。」

そういい残すと、アスカは走り出した
そして残された4人

「か、加持はん。それはどーいう意味でっか?」
「ん?・・・ああ、そういう意味だよ・・・・・。」

  ・・・・・・

一方その頃、丘の上の公園では

「うわ〜ん!アスカがいじめた〜。うわ〜ん!!」

おろおろ、おろおろ

ブランコに座って泣き叫んでるユイナと、それを見て「おろおろ」するしかないレイが居た
公園内に誰も居ないのが数少ない救いか

「わ〜ん!アスカァ、アスカァ!!」

おろおろ、おろおろ

「うえ〜ん!ぐすっ、ぐすっ・・・わ〜ん!!」

おろおろ、おろおろ

「わ〜ん、わ〜ん!」

おろおろ、おろおろ

自分が泣いたことの無いレイにとって、他人のそれを止めさせるなんてことは、どだい無理な話ではあった

「え〜ん、え〜ん、え〜ん。アスカァ。」

おろおろ・・・(はっ、そうだわ)

しかし、彼女は頭のいい娘だった

「ひ、ひっく。ひっく。・・・わ〜ん!アスカァ!!」
「や、やあアスカだ。もう泣くなよ・・・。」
「え・・・・・。」

「・・・・・・・。」

「ぐすっ・・・・わ〜ん!ぜんぜん似てないよ〜!うわ〜ん!!」

(がーん・・・・)

・・・やっぱり、無理な話であった

「うわ〜ん、う、うわ〜ん、アース―カー!」

(がーん・・・)

「アスカァ、アスカァ、アスカァ!!」

(がーん・・・)

「アスカー!・・・うわ―ん、アス「うるせーな!」」

 どげしっ!

(がー・・・ん、どげし?)

レイが我に返ると、目の前には地面に突っ伏しているユイナ

「ふぇっ・・・。」

そして振り返ったユイナの前には、右足を前に掲げたアスカ

「うぇ〜ん!アスカがけったぁ〜!!」
「ちげーよ。‘蹴っ飛ばした’んだ。」
「ふえ〜・・・そうなの?」
「そうだよ。」
「うん・・・ふぇぇ〜ん!アスカが蹴っ飛ばした〜!!」
「はぁ・・・。ほら、もう泣き止めよ。」
「わ〜ん!アスカが〜!!」

「泣き止まないのか?」
「え・・・ひっく・・・・え?」

「泣・き・止・ま・ないんだな!」
「ぐす・・・な、泣き止む・・・。」

「よし!早く泣き止め。」
「ぐっ、ぐすっ・・ひっく、ひっく・・・うっ・・・・。」

「どうした?」
「ぐす・・・ぐっ、な、泣き止んだ・・・。」

「そっか、いーこだ。」

ご褒美に頭をなでてやる

「ぐす・・・えへへ〜・・・・・ねえ、アスカァ。」
「なんだ?」
「もう、いじめない?」
「ああ、いじめない。」
「ほんとに?」
「ほんとに。(泣かすかもしんねーけどな)」
「えへへへへ〜。うれしい。」
「そりゃ良かった。さ、帰るぞ。」

しかしユイナはキョンシーのように両手を広げたまま、そこを動こうとはしない

「ん〜。」
「何やってんだ?さっさと帰るぞ。」
「おんぶ。」
「はぁ〜?おんぶだぁ?」
「ん〜!お・ん・ぶ!!」
「はいはいはい。・・・ったく、しょーがねーな。」

とかなんとか言いながら、結構嬉しそうにしゃがみこむ
そして「うわぁ〜い」といってその背中に飛び乗るユイナ

「わ〜い。おんぶ、おんぶー。」
「おい、騒ぐな。しっかりつかまってろよ。」
「えへへへへ〜。は〜い。」

アスカの首にぎゅ〜っとしがみつく
今日も、幸せな帰り道だった

 ・・・・

そんな二人を不思議そうな目で見ていたレイだったが

(私、忘れられているのね)

一人さびしく、その後を追ったのだった
 
 
 

そしてその時を境に、二人のユニゾンは完成度を増して・・・いくはずも無かった

「だぁぁぁ〜!おーのーれーは〜!!」
「・・・ごめんなさい・・・・・。」

ヘッドホンをたたきつけようと振り上げた右手を、力なく下ろした

「はぁ〜。とりあえず昼飯にでもしようぜ。」
「は〜い。」

アスカはそのまま力なく椅子に座ると、いつものように頬杖をつく
ふと横に目をやると、ユイナの姿が目に映った

「・・・・・。」

ユニゾンの衣装のままエプロンを着けようとしてようとしていた
ちょっとうつむきながら首にエプロンを引っ掛け、腰のあたりでちょうちょ結びにする

その姿は、アスカに少なからずショックを与えた

「・・・・・ユイナ」
「何、アスカ?」

振り向いたその笑顔を、正面から見ることができない

「な、なんでもねーよ・・・。」
「?・・・変なアスカ。」

(・・・変なのは、お前の方だよ)

アスカは、ユイナの後姿をじっと眺めていた

 ・・・・・

向かいに座ってるユイナの顔をじーっと見つめてみる
もう、何も感じない

(さっきのあれは、なんだったんだよ)

もちろんそれが、どんな感情だったかは知ってる
でも、それをユイナに感じたことを認めたくなかった

「・・・・・。」
「・・・どうしたの?」

だけど・・・いや、だからこそ自分が今思ってることを伝えなければいけないのかもしれない

「ユイナ・・・。」
「なに?」

(ミサトなら、わかってくれるよな)

もう、視線をそらしたりはしない

「ホテル、行こうぜ。」
 
 
 

ん!・・・んぐ、ん〜・・・・・・んんっ・・ん・・・・・・あぁっ・・・・

 チンッ!

エレベーターが着くと同時に、男を突き飛ばすようにして降りる女性

「もう、加持君とは何でもないんだから。こういうの止めてくれる?」
「でも、君の唇は止めてくれとは言わなかったよ。」

そう言って、うやうやしく一礼をする加持
ミサトは、すでに閉じてしまったエレベーターの扉に、手に持った書類を叩きつけるのだった
 
 
 

ここは、アスカの泊まっていたホテルの一室

「ねぇ、やっぱり加持さんに知らせといた方がいいんじゃないの?」
「だいじょーぶだよ。・・・向こうもこっちがどこにいるか、なんてことぐらい知ってるよ。」
「え〜、そーかなー?」
「そーだよ。大体、それが仕事だしな・・・。」
「何でそれが仕事なの?」
「・・・子供はわかんなくてもいーんだよ。」
「ぶ〜!」
「はいはい。・・・さ、続き行くぞ!」
「は〜い。」

「S・T・Fは何の略称だった?」

「スペース・トルネード・オガワ。」
「それはS・T・O!」

「スタイナーズ・スクリュー・ドライバー。」
「S・S・D!」

「ストライク・ガンナー。」
「S・T・G!」

「自動現金預け払い機。」
「A・T・M!」

「ブリティッシュ・アメリカン・レーシング。」
「B・A・R!・・・ぜんぜん違う!!」

「む〜。・・・ねぇ、ユニゾンの練習はしなくていいの?」
「だからさっき言ったろ?ようは使徒のコアに対して二点同時荷重攻撃をすりゃいいんだよ。」
「そーだけど。それだったらユニゾンだっていいじゃない。」
「だーかーら!それやって、もし相手が別々の動きをしてきたらどーすんだよ。」
「む〜・・・・。」
「だろ!?それに、今からユニゾンなんかやったって間に合わねーよ。」
「うん・・・。」
「ほれ、時間ねーんだから。どんどんいくぞ。」

 ・・・・・

そして、時刻は決戦前夜

「っふぅ〜。」

アスカが頭をタオルで拭きながら、バスルームから出てくる
背中に睨みつける眼のマークが入ったT−シャツに、いつもの短パン
ユイナはお気に入りの電気ねずみの形をした黄色いパジャマを着て、自分のベットに腰掛けている

「ねぇ・・・明日、だね。」
「・・・・・怖いのか?」

フルフルフルと首を振るユイナ

「うんん。だって、アスカが一緒だもん!」
「そっか・・・そらっ!」

ユイナの手もって立たせ、自分に抱き寄せる

「え・・・。」
「ほら、もっとよって。で、手はここ。・・・そう。」
「え・・・な、何?」

顔をゆでだこのように赤くしながらも、アスカの腰にまわした手に力を入れる

「・・・もっと肩の力を抜いて。」
「あ、あ・・・・う、うん。」

はふぅ、と一息つくユイナ
それでもその目はアスカの顔にくぎ付けのまま

「ア、ア、ア、アスカァ?」
「・・・お前は、レディになりたいんだろ?」
「え・・・?」
「レディとして扱ってほしいんじゃないのか?レディファーストをしてほしいんだろ?」
「うん・・・。」

視線を上げたまま、こくこくとうなづく

「だったら、ダンスの一つでも踊れるようになっとけよ。な?」
「あ・・・うん!」

今度は、力いっぱいうなづいた

「じゃ、俺の後について動いてみな。」

そう言ってアスカは、一歩踏み出す
それを慌ててまねするユイナ

「そう・・・そう、その調子・・・うん・・・・・・そう・・・。」
「あ・・・・・・あっ・・・え・・あ、ああ・・・。」

「うん、いい感じじゃん。・・・・そう、・・・・はい、アイン・ツバイ・ドライ、アイン・ツバイ・ドライ。」
「ああ・・・あ、あはっ・・・・・あははははっ。」

ユイナは少しづつ、ついていけるようになった
ダンスをはじめてから、ずっと下に向けていた顔をはじめてアスカに向ける
アスカはそれに笑顔で答えた

「えへへへへっ・・・・アスカァ・・・。」

ぽて、とその胸に寄りかかる
心臓の音が聞こえる
ほのかに、石鹸の香りもする

「アスカァ・・・私・・・・。」

二人は、いつしかその動きを止めていた

「私・・・・・私、アスカのこと・・・。」

T−シャツを握り締める
けど、アスカはユイナの肩をそっと突き放した

「ア、アスカ?」
「・・・さ、もう寝ようぜ。」
「ア、アスカッ!・・・私、アスカのことがっ・・・。」

アスカは、ユイナの頭を「ポンポン」とたたく

「ほれ、いよいよ明日は決戦なんだから、お子様はもう寝なさい。」
「む〜。私お子様じゃないよ!」
「ふ〜ん。じゃあ、今日は一人で寝られるんだな。」
「ね、寝られるもん!」
「だーいじょーぶなのか〜?昔はよく人のベッドに入ってきたりしてたじゃん。」
「もう大丈夫だもん!」
「ほんとか〜?家からいつものぬいぐるみを持ってきてやろうか?」
「ほんとだもん!‘こげちゃ’がいなくても寝られるもん!」
「そーか、そーか・・・・じゃあ・・・。」

そういうとアスカは二つのベッドも間に立ち、両手で大きく四角を描く

「じゃあ、ここには見えない壁、絶対に崩れない‘ベルリンの壁’がある。・・・越えるなよ。」
「こ、越えないもん!アスカの意地悪!!」
「意地悪じゃないさ。・・・それじゃ、おやすみ。」
「ぶ〜・・・おやすみなさい・・・・・。」

そういうと、二人は同時にベッドについた

 ・・・・・・

「眠れない・・・。」

夜中に、むっくりと起き上がるユイナ
隣を見ると、月明かりに浮かぶアスカの寝顔があった

(えへへへ〜、私知ってるよ。‘ベルリンの壁’って崩壊したんだよね)

ベッドから降りると、アスカのタオルケットにもぐりこむ

(わ〜い、あったか・・い・・・)

上を見上げるとアスカの顔がアップになった

(ア、アスカ・・・)

すごい速さで、心臓が鳴ってるのがわかる
どんどん、顔が熱くなる

(アスカって、ほんとにキレイ・・・)

その唇に、指をそっと這わせてみる

「・・・ママァ・・・・・。」
「アスカ?・・・・きゃ!」

突然に抱きしめられ、ビックリしてしまう

「え・・・ア、アスカ?」

どうやら、目を覚ましたわけではないようだ

(む〜。な、何よ。自分だってお子様じゃない)

真っ赤に染まった顔を、アスカの胸にうずめる

(でも、いーよ。だってアスカだもん。・・・アスカ、おやすみなさい)

ようやく、ユイナは眠りにつけた・・・
 
 
 

「ほら二人とも、使徒が活動を・・・って!」

ホテルのドアを開け、入ってきた加持の目に映ったのは、同じベッドに眠るアスカとユイナの姿だった・・・
 
 
 

「目標は、強羅絶対防衛線を突破!」
「役に立たない防衛線だな、まったく・・・。アスカ君、ユイナ君。音楽と同時にATフィールドを展開。後は作戦どうりに。いいね!」

モニターの中の使徒を睨みつけたまま、加持が二人に話し掛ける

「OK!・・・なぁ、加持さん。今朝のはユイナが勝手に入ってきただけだってぇ。マジで。」

「ああ、わかってるさ。俺は君たちを信じてる。」

「サンキュー!・・ったく、ユイナは!」
「えへへっ。ごめんなさ〜い。」

ジロっと睨みつけるアスカに対し、かわいらしく舌を出して謝るユイナ

「はぁ・・・。」

これには呆れるしかないアスカだった

「使徒、山間部に到達。」
「さあ、いよいよだぞ!」

「いいぜ。・・・ユイナ、準備はいいな!」
「うん!‘時間無制限・一本勝負’だね!!」

そして、使途が予定の場所にやってきた

「目標、ゼロ地点に到達」
「エヴァンゲリオン発進!!」

そして流れ出す音楽

 チャララッチャチャ〜、ジャン!チャララッチャチャ〜、ジャン!・・・・

「こ、この曲は・・・!」
「王者の魂!!」
「「「「「なんだって!!」」」」」

いまだざわめきの収まらない司令部をよそに、使徒にタックルをかますEVA二体
そしてそのまま‘ダブルブレーンバスター’の状態に抱え上げ、真下に落とす!

「ビッグハイヤーデモリッション!」
「まさにシトをシトとも思わない技ね。」

そして立ち上がったところに前後からの挟み撃ち

「「サンドイッチアックスボンバー!!」」

その衝撃で二体に分裂する使徒

「ユイナ!ここからが本番だ!!」
「うん!!」

‘ビクトル膝十字固め’‘胴締めチョークスリーパー’‘フィギュア4レッグロック’‘ストレッチプラム’と、関節技主体に戦う初号機
‘タイガースープレックス’‘カレリンズリフト’‘サンダーファイヤーパワーボム’‘ジャックハマー’と、大技を中心に攻める弐号機

そして、使徒を担ぎ共にジャンプ!

「「ユニゾンドッキング!!」」

「ま・・・まさか!!」
「エバスターとエヴァドライバーのドッキングなんて・・・。」
「こんなことが・・・!!」
「物理的に可能なのか。」

着地し放り投げた瞬間に、使徒は大爆発を起こした

「アスカ!やったぁ!!」

「よーし、行くぞユイナ。・・・ノー!」
「ウィー!!」
「フィアー!!」

右手の人差し指を、前方に勢い良く突き出した弐号機と
親指、人差し指、小指を突き出した右手を、上空に掲げた初号機

「こんのバカユイナ!何度そっちじゃねーつったらわかるんだ!!」
「えー!違ったっけ?」
「ちげーよ!そっちは‘スタン=ハンセン’、こっちは‘ノーフィアー’だっ!!」
「え〜、ごめんなさーい。」

「な、なんなんだね、一体?」
「不様・・・なのかしら?」
「ま、使徒は倒せたんだし、これで良しとしますかね。」
 
 
 

〜次回予告

マグマの中に眠る使徒・サンダルフォン
って、お前「カーズ」よりすごくないか?
しかしそこで何をするつもりなんだ?
まさか「東京フライパン作戦」じゃ!

 CHANGE DISK TO THE ROCKET DIVE

「だめ!とにかくお前はこっち。」

「ぶ〜!アスカって横暴!!」
 
 
 

あとがき

当初はレイじゃなくてカヲルくんに登場いただく予定でした
が、そうするとアスカを喰ってしまいそうだったので止めました
それから「ダンス」シーンがギリギリになって入った
あれが無いとサブタイトルの意味が(半分ぐらい)無くなってしまうとこでした

ちなみに「S・T・F」の正式名称は「ステップオーバー・トーホールド・ウィズ・フェイスロック」です

お贈りしたのは「趣味に走りまくり」のzodiacokでした.


マナ:綾波さんがユイナを追い掛けるなんて・・・珍しい展開ね。

アスカ:でも、何の為に追い掛けたのかしら?

マナ:・・・・・それを言っちゃ駄目。(^^;

アスカ:おろおろしてただけじゃない。

マナ:アスカの泣き止ませ方も、たいがいだと思うけど?

アスカ:どうしてよ。ちゃんと、泣き止んだじゃない。

マナ:なんか・・・脅迫って感じが・・・。(^^;

アスカ:泣いてる娘は、ああやってスパっと言ってあげるのが一番いいのよ。

マナ:ほんとに?

アスカ:もちろんよ。変に優しくしちゃ、逆にダメなのよ。

マナ:じゃ、もしアスカが泣いちゃったら、シンジには「早く泣き止め。」って言って貰えばいいのね。

アスカ:そんな偉そうな言い方したら死刑だわっ!

マナ:・・・・・・。(ーー;
作者"zodiacok"様へのメール/小説の感想はこちら。
tyasud@yahoo.co.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

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