まぁ、こんな一日         BY zodiacok
 
 
 

朝7時
大体の人はそうだと思うけど、僕の一日は朝起きることから始まる

それからパジャマを脱いで、学校の制服に着替える
こんな所もその他の中学生なんかと変わらないと思う

・・・まぁ、毎日こんなことを考えながら着替えてるわけじゃないんだけどね
たいていの時は‘ぼ〜’っとしながら着替えてるんだけどね
こんなことを考えながら着替えるのは・・・う〜ん、頻度なんてわからないな
なんてことを考えてたら、いつのまにか着替え終わっていた
なんか、すごいな

「ママ、パパ、おはよう。」
「あら、シンジおはよう。」
「ああ。」
「あなた。もう少しきちんとした挨拶をしてくださいっていつも言っているでしょう。」
「ああ。」
「ああ、じゃありません!」
「ああ。」
「・・・・・・。」

また、いつもと変わらない会話をしている
別にパパが無口でもいいと思うんだけどな
やっぱり、ママは暗いのが嫌いなのかな・・・・

「ほら、シンジも早くご飯を食べちゃわないと、アスカちゃんが来るわよ。」

あっ!そうだった!!
アスカが来る前にお弁当を作らなくっちゃ

アスカ・・・僕の幼馴染み
・・・あれ?
なんか、間違ってないけど正解じゃないような気もする
なんでだろう?

・・・ま、いいや

なんてことを考えてると・・・・ほら、もう朝ご飯を食べ終わってる
人間の神秘、ってやつかな

さ、急いでお弁当の用意をしなくちゃね
今日のおかずは何にしようかな?
ミニハンバーグは欠かせないんだよね
だって、アスカの好物なんだもんね

・・・・やっぱり、料理を作るのって、楽しいな
ん?

「相変わらずの料理好きですね。」
「・・・どこで、育て方を間違えたのかしら。」
「いいえ、おば様。今時男性が家事をするのは珍しいことではありませんわ。」
「あら、アスカちゃんはそれでいいの?」
「え?・・・ええ。」
「まぁ、アスカちゃんがそれでいいと言うなら、いいんだけど。」
「う・・・・。」

あ、アスカが来た

アスカ、おはよう

「シンジ君、おはよう!」

さ、お弁当も急がなくっちゃね

 ・・・・・

「「いってきます。」」
「はい、いってらっしゃい。」

そう言って僕達は学校に出発した
エレベーターホールについた所でアスカが僕の腕を引っ張った

何、アスカ?

「シンジィ、忘れ物だよ。」

えっ、僕なんか忘れ物してきったっけ?

「あ〜!やっぱり忘れてるなー!!」

ちょっと待ってて、かばんの中を確認・・・ん!んぐっ!!

いきなり、アスカに唇をふさがれた・・・

「ほら、忘れ物を届けてあげたわよ!」

あ、ありがとう

そして、僕はようやくアスカの正解を思い出した
アスカは、僕の彼女だったんだ
 
 
 

でも、そんな関係は長くは続かない
マンションから出ると、僕はアスカとはなれて登校する
アスカには叫ばないと聞こえない距離
だけど、決して見失わない距離

だって、僕なんかがそばにいたらアスカが迷惑するから
ほら、アスカの周りにはたくさんの人が集まってくる
鈴原君、相田君、洞木さん、霧島さん、ムサシ君、山岸さん、渚君・・・
その中に僕なんかが入っていったら、みんな嫌な顔をするだろうから

・・・アスカも嫌がるだろうから

それに、さっきは僕は‘アスカの恋人’みたいなことを言ったけど、ほんとは違うと思う
僕なんかのことを、アスカがほんとに好きなわけ・・・無いじゃないか
アスカにはもっと素敵な男性が似合うと思う
例えば、加持先生とか、渚君とか・・・

でも僕は、アスカのそばにいたい、アスカのそばを離れたくない
・・・僕って、情けなくって、勝手なやつなんだ

「碇君、おはよう。」

ん?・・・綾波さん、おはよう

「じゃ、私は先に行くわ。」

うん・・・・

綾波さんも、アスカの輪の中に入っていく
・・・綾波さんも、僕なんかに声をかけることなんて無いのに
 
 
 

授業中に考えることなんて高が知れている
この先生は、当てる先生
この先生は、僕のことは当てない
今日は、この先生は僕を当てない日
この先生は・・・

当てない先生のときは、ずっとアスカのことを見てる
アスカの髪、アスカの手、アスカの横顔
アスカはまじめに勉強している
それに比べて、僕は一体何をしてるんだろう・・・

当てる先生のときはじっと机を見つめたまま時間が過ぎるのを待つ
ちゃんと勉強しないといけないのはわかってる
でも、分らないものはしょうがないじゃないか!

僕には、無理なんだから・・・

 ・・・・・

ようやくきたお昼休み、僕はアスカに屋上に呼ばれた

・・・学校で僕に声をかけちゃだめなのに
案の定、みんなに変な目で見られた
お前なんかにアスカがなんの用があるんだよって・・・

屋上に行くと、アスカが先に着いて待っていた

ア、アスカ。何?

と、

ボカッ!!

と‘グー’で殴られた

「シンジ!あんた、今朝レイに話し掛けてたでしょ!!」

え?

「何度言ったらわかるの!?あんたみたいな根暗な男に話し掛けられたら、女の子は迷惑なの!やめなさいよね!!」

ご、ごめんなさい

「わかったら、今度から気をつけなさい。」

うん・・・綾波さんに謝ってくるね

パシーン!

と、今度は‘パー’でぶたれた
・・・‘チョキ’ではどうなるんだろう

「何にもわかってない!あんたに声をかけられること自体が、女の子にとって不快なことなの!・・・ううん、男だってあんたに声をかけられるのは嫌なのよ!!」

・・・ごめんなさい

「あんたと話しても平気なのはあたしだけなんだからね。あんたとは幼馴染みのあたしだから、大丈夫なのよ!
あたしじゃなかったらあんたのことなんか絶対に好きになったりしないんだからねっ!!」

うん、ありがとう、アスカ

「・・・本当にわかったの!?。」

うん、わかったよ、アスカ

「そう、わかったのなら・・・・ほら、シンジィ、わかったって言う印を見せなさいよぉ。」

そう言って、目を閉じてかわいらしく唇を突き出してくるアスカに
僕はキスをした

 ・・・・・

教室に帰ると・・・
よかった、かばんも机にも何もされてない
そういえば、僕がいじめられなくなったのも、アスカのおかげなんだよね

前に、僕が初めてかばんを隠されたときアスカがすごく怒ってくれたんだよね
関係ある人無い人巻き込んで
確か、隠した人三人とも病院送りにしたんだよね
一人、転校して行ったっけ

アスカって、正義感が強いんだよね

 ・・・・・

放課後、僕はいつものように一人で帰った
 
 
 

家に帰ってすること
TVを見て、宿題をやって、食事をして・・・
お風呂に入る

お風呂に入ると、いつもなにか考え事をする・・・・それは、たいてい嫌なことだけど
友達なんて、誰もいない
ママだって、僕ぼこと嫌ってる
パパも、僕のことは邪魔だと思ってる
アスカにも迷惑ばかりかけている
僕なんていてもいなくても・・・いや、いない方がいいんだ

そんなことを、いつも考えてしまう

そして、そんなことを考えているからだろうか
僕は以前、浴槽で溺れかけたことがある
その時のことはあまりよく覚えていない
ただ・・・一つ、アスカにすごい剣幕で怒られたことだけは、覚えている

確かに僕は、まだ死にたくない
明日見たいテレビがある、ゲームの続きが気になる
そんな理由だけど・・・まだ、僕は死にたくないと思う
 
 
 

寝る前に少しだけゲームをやる
アクションなんてのは苦手だから、僕がやるのは大体RPG
だけど、うちにあるのはほとんどが格闘アクション、って呼ばれてるもの
全部アスカのものだ
アスカも、自分のゲーム機買えばいいのに

今日はレベルアップに専念しようかな

 ・・・・・

チャッチャッチャッチャッチャ、チャチャチャラチャチャチャ・・・・・

あ、着メロがなってる
アスカからだな
・・・って、ほかに僕の携帯の番号を知ってる人はいないんだけどね

もしもし、アスカ?

『シンジィ、まーた忘れ物だよ。』

あれ、今度は何を忘れたっけ?

『今度はね・・・シンジッ‘おやすみなさい’!』

おやすみなさい、アスカ
 
 
 

僕の一日は・・・まぁ、こんな一日
 
 
 

あとがき

・・・我ながら、なんなんでしょうこれは?
一応‘Rebirth’最終回記念のつもりなんですが・・・(もちろんアスカは女の子です)
まぁ、ほとんど一日で仕上げたようなものですしねぇ
とりあえずは実験作、というつもりでもあります


マナ:あそこまで言ったら、シンジが可哀想じゃないっ!

アスカ:シンジはアタシだけ見てたらいいのよ。

マナ:いくらなんでも、シンジのことも考えてあげなさいよ。

アスカ:だって、他の女に目が眩んだら嫌だから・・・。

マナ:そんなの、自分のことしか、考えてないじゃないっ!

アスカ:だいたい、アタシがあそこまでアプローチしてるのに、わからないシンジが悪いのよ。

マナ:アスカが無茶苦茶言うから、わけわかんなくなってるんじゃない。

アスカ:その分、ちゃーんと飴も与えてるわ。

マナ:このままじゃ・・・シンジが調教されてしまうわ・・・。わたしがなんとかしなくちゃ。

アスカ:アンタの入り込む余地は無いくら、大きな飴あげようかしら。

マナ:あなたねぇ・・・。(ーー;;;
作者"zodiacok"様へのメール/小説の感想はこちら。
tyasud@yahoo.co.jp

感想は新たな作品を作り出す原動力です。1行の感想でも結構
ですので、ぜひとも作者の方に感想メールを送って下さい。

inserted by FC2 system