Rebirth ERO

   DISK1 PARADISE              BY zodiacok
 
 
 

それは、西暦2015年―
 
 
 

日差しの強い、第三新東京市
一人の少女が公衆電話に受話器を置いた

「む〜。」

どうやら、通じなかったようだ
しばらく公衆電話を、目をとんがらせて(意味なく)睨みつけていたが
やおらナップザックの中から一つの白い封筒を取り出した
中には「来なさい」と書かれた、日本一短い父からの手紙と

一枚の‘写真’

その少女、ユイナ、は写真だけ取り出すと、じっと見つめ
それに‘はにゃ’と笑いかけた

「えへへへへ〜。」

あたりを‘きょろきょろ’と見回すと、再び写真に目を落とし
真っ赤にした顔をそっと近づける

「アスカちゃん・・・。」

写真の少年に、もう何度目かになるキスをしようとしたとき

 ズドーン!

衝撃が走る
びっくりしてユイナが振り返ると、山の陰から巨大な黒い怪物が姿をあらわした

「えっ・・・・!」

その光景にくぎ付けになっていたユイナは、流れ弾となったミサイルがその近くに落ちたのに気が付かなかった
墜落したミサイルの爆風がユイナに襲い掛かる!

寸前、蒼いシトロエンがその間に割って入った

 キキッ!!

「きゃっ!」

中の男が助手席のドアをすばやく開ける

「‘碇=ユイナ’さんだね!?さ、早く乗って!!」
「え・・・は、はい!」

乗ったのを確認すると、ドアを閉めるのももどかしく車を急発進させた

「きゃあっ!」

衝撃で、ユイナは座席に叩き付けられる
その間にも車は猛スピードで走り続ける
ユイナは不自然な体勢のまま、必死に耐え続けた

どのくらい走ったか、不意に車が止められ、ユイナは一息つこうとしたが

「まさかっ!・・・N2地雷を使う気か!!」

男はそう叫び、ユイナに覆い被さった

「うわぁっ!!」
「きゃあっ!!」

  ・・・・・

「「いっせーのーせっ!!」」

先ほどの爆風によってひっくり返ってしまった車を、2人してもとに戻す

「やれやれ。後、ローンが33回も残ってたんだけどな。」

そう言ってため息をつくと、ユイナの方を向く

「改めて、‘加持=リョウジ’だ。よろしく。」
「あ、はい。危ないところを助けてもらって、ありがとうございました。」
「えっ?」

深々と頭を下げるユイナに、加持は差し出した右手の行き場所を探している

「あれ?・・・えっと、お父さんから何も聞いてないの?」
「パパから?」
「そう。俺が今日迎えに行くって。」
「ん〜と、そういえば誰かが迎えに来るって話でした。」
「う〜む。・・・そうだ、写真が送られてこなかったかい?」
「え・・・しゃ、写真がですか?(*・・*)」
「そう。」
「は、はい。来ました。(///)」
「・・・そうか。」

どうなってるのかよくわからない加持は、しかしすぐに結論付けた
この思考回路の速さは、さすがネルフの作戦部長と言ったところか

「ま、いいや。」

・・・前言撤回

「とにかく、だ。俺は‘加持=リョウジ’、ネルフで作戦部長なんてやくざな仕事をしてる。今日は碇司令、君のお父さん、に頼まれて君を迎えにきたんだよ。」

再び右手を差し出す

「そうなんですか。私は‘碇=ユイナ’です。」

ユイナも右手を差し出し、握手を交わす

「ところで・・・。」
「ん、なんだい?」
「ネルフって、パパが勤めてる会社なんですか?」
「・・・ほんとに、何も聞いてないんだ。」
「はい。」
「う〜む。・・・まあ、口で説明するのもあれだから、とりあえずこれを読めばわかるから。」

加持は、車の助手席に座りなおしたユイナに‘ようこそネルフ江’とかかれたファイルを渡し、エンジンをかけなおした

 ・・・・・

トンネルを抜けると、眼下に風景が広がる

「すごーい!本物のジオフロントだぁ。」
「そう、これが俺達の秘密基地ネルフ本部。世界再建の要、人類の砦だ。ま、ロマンチストで、羞恥心の無い人間は‘最後の楽園’なんて呼んでるけどね。」
「最後の、楽園・・。」

ユイナは、食い入るように見つめつづけた
 
 
 

ネルフ本部の発令所では、国連軍の幹部が苦々しい思いでゲンドウを睨みつけていた

「われわれ国連軍の所有兵器が、目標に対し無効であったことは素直に認めよう。だが碇君!!・・・君なら勝てるのかね?」
「ご心配なく。そのためのネルフです。」
「期待しているよ。」

そう言い残し、彼らは席を立った

「国連軍はお手上げか。」

冬月がゲンドウを振り返る

「どうするつもりだ?」
「初号機を起動させる。」
「初号機をか?しかし、パイロットがいないぞ。」
「問題ない。たった今、予備が届いた。」

モニターに映し出されていたのは、加持の後ろをついて歩くユイナの姿

「冬月・・・後を頼む。」
「ああ。3年ぶりの対面か・・・。」
「・・・・・。」

無言で、ゲンドウはリフトを降下させた

「だが‘彼’はいまだ大陸の彼方だぞ。」

ふと、冬月は、西の果てへと視線を向けていた
 
 
 

暗かった部屋(と言うには広すぎるかもしれないが)に、明かりがつけられる
と、そこには水に浮かぶ巨大な顔

「ひっ・・な、なにこれ・・・・。」

ユイナはおびえたように加持の背中に隠れる
その質問に‘赤木=リツコ’が答えた

「人の造り出した究極の汎用人型決戦兵器。人造人間エヴァンゲリオン。その初号機。建造は極秘裏に行れたわ。われわれ人類の最後の切り札よ。」
「これも、パパの仕事なの?」

さっきのファイルの中身を思い出した

「そうだ。」

答えは、今度は頭上から降ってきた
ユイナはその声のしたほうを見上げる

「・・・久しぶりだな。」
「パパァ!!」

加持の後ろに隠れるのをやめて出てきた

「・・・・出撃。」
「出撃!?零号機は凍結中のはずでは?・・・まさか!」

驚いたように、加持はリツコを振り向く

「初号機を使うつもりなのか?」
「他に道は無いでしょう。」
「だが、レイはまだ動かせないぞ。パイロットがいないじゃないか。」
「さっき届いたわ。」
「・・・マジかい?」

リツコが、ユイナの顔を見る

「・・・碇=ユイナちゃん。」
「はい。」
「あなたが乗るのよ。」
「え?」
「ま、まてよ。」

慌てて加持が間に割ってはいる

「レイでさえEVAにシンクロするのに7ヶ月かかったんだぞ。今日来たばかりのこの子にはとてもじゃないが無理だ。」
「今は使徒殲滅が最優先事項よ。そのためには誰であれ、EVAとわずかでもシンクロ可能と思われる人間を乗せるしか方法は無いわ。わかっているはずよ、加持一尉。」
「そうだが・・・。」

不安げな瞳で、ユイナはゲンドウを再び見上げる

「私が、これに乗るの・・・?」
「そうだ。」
「そんな、そんなのやだよ!」
「わからないことは説明を受けろ。」
「だって、怖いもん!」

ゲンドウを見上げた姿勢のまま、ユイナは震えている

「乗るなら早くしろ。・・・でなければ帰れ。」
「だって、だって!」
「・・・・。」
「ユイナ君・・・。」
「だって、このロボットの顔が怖いんだもん!」

「「・・・・・はぁ?」」

「ユイナちゃん‘ロボット’じゃないわ。‘人造人間’よ。」
「・・・それも違うと思うぞ。リッちゃん。」

すかさず加持がリツコに突っ込む

「‘人造人間’エヴァンゲリオン!何も違わないわ!!」
「い、いや・・・そういう意味じゃないんだが。」

下でそんなやり取りをしている間に、上ではゲンドウがようやく精神的ダメージからの復帰を果たしていた

「ユイナ。お前がやらねば人類すべてが死滅することになる。人類の存亡がお前の肩にかかっているのだぞ!」
「でも怖いもん!」
「ユイナ君。」

ユイナはゆっくりと加持を振り向く

「君は、何のためにここまで来たんだい?お父さんと「そうだっ!!」

‘ばっ!’と、今度は勢いよくゲンドウを振り返った

「パ、パパ。パパ!!」
「な、なんだ。(・・・さて、どう言おうか(●_●; )」
「パパ・・・。」

二人の視線がわずかに交錯する
ふと、ユイナの視線が下にずれた

「・・・パパ、乗れば会えるの?」
「ん?(●_●! そ、そうだ。どうする、乗らずに帰るのか?」
「乗る。私乗るよ!」
「・・・そうか。」

ゲンドウの口の端が、わずかに上がった

 ・・・・・

「主電源接続、全回路動力伝達、起動スタート!」

ユイナとエヴァ初号機のシンクロが始まる

「A10神経接続・・・異常なし。初期コンタクトすべて問題なし。」
「双方向回線開きます!」
「すごいわ・・・・。」

そのシンクロ率は41.3%を記録した

「いけるわ。」
「エヴァンゲリオン初号機!発進準備!!」

その後方で、司令席に座るゲンドウに冬月が話し掛けた

「それにしてもユイナ君か。素直で純粋ないい子に育っているみたいだな。・・・誰に似たんだろうな?」
「もちろん、私にだろう。」
「・・・よほど、よい育ての親だったのだな。」
「・・・ユイ、とは言わないのか。」
「ユイ君のことは、私もよく知っているからな。」
「・・・・・。」

そして、発進準備が完了する

「司令、かまいませんね?」

加持が指令席を振り返る

「もちろんだ。使徒を倒さぬ限り、われわれに未来は無い。」

その言葉を聞くと、加持は再び前方のモニターを見据える。

「発進!」

ユイナを乗せたEVA初号機が、猛スピードで地上へと射出され

「きゃっ!」

動き出したときと同じくらい唐突に止まる
その初号機の前方には‘第3使徒・サキエル’の姿が
それを見た加持は、思わず舌打ちをした

(ちっ、まんまといぶり出されたって訳か)

「最終安全装置解除!!」
「いいね、ユイナ君。」

「は・・・はい。」

「エヴァンゲリオン初号機、リフト・オフ!!」

EVAを固定していたロックが外される
が、初号機は微動だにしない

「ユイナちゃん、今は歩くことだけを考えて。」

「あ、あああああ。」

一歩、また一歩とサキエルが近づいてくる

「きゃぁー!」

「ユイナ君!!」

サキエルの手が初号機の頭部に伸びかけたその時だった

「きゃ〜!かわい〜!!」

「「「「かわいい〜!?」」」」

「・・・碇。先ほどの言葉、訂正させてもらうよ。」
「なにをだ?」
「やはり、ユイ君にそっくりだ。」
「そうか・・・・・。」

サキエルは、その動きを止める

「かわいい!かわいい!か・わ・い・い〜!!」

肘を曲げて‘いやん、いやん’するEVAの姿は、見てる者にある種の恐怖を植え付ける
そしてそれは、使徒に対しても同様の効果を与えるようだ
事実、サキエルは硬直したまま大量の脂汗を流している

「ねぇ。」

今度は、初号機の方が一歩を踏み出す
それにあわせてサキエルも一歩後退する

「ねぇっ!」

一歩前進する初号機
一歩後退するサキエル

「ねぇ、待ってよ。」

再び一歩前に進む初号機と、一方後ろに下がるサキエル

それを、何度か繰り返す

「ねぇってば!!」

すると突然、何を思ったかサキエルは初号機に抱きついた

「えっ!?」

そして閃光が走る

「自爆!!」

「きゃぁー!!」

「「「ユイナ(君・ちゃん)!!!」」」
 
 
 

「・・・・ん?」

ユイナが目を覚ますと、そこには真っ白な天井があった

「よいしょっと。」

半分だけ体を起こす

「ここは・・・?」
「病院よ。」

声のしたほうを向く

「・・・ママ?」
「?」

そこにいたのは、水色のショートヘアーに赤い瞳の少女

「あれ・・・。えっと、あなたは?」
「私は‘綾波=レイ’EVA零号機のパイロットよ。」
「ふ〜ん。・・・あ、私はユイナ。碇=ユイナだよ。よろしくね。」
「・・・ええ。」

ユイナは、レイに微笑みかけた

それが、二人の少女の出会いの時だった
 
 
 

〜次回予告
第四使徒・シャムシェル
何か、あんまり印象に無いんだよな―こいつ
‘SRWF’でも(ガギエルより)扱い悪いし
何で空飛べるのに空中に攻撃できないんだ?
はっきり言って機械獣より弱いぞ

 CHANGE DISK TO THE Shining Girl

「ん、と・・・・ママは、死んじゃったの。」

「・・・・やっぱり。」
 
 
 
 

あとがき
ようやく完成しました・・・いやぁ、長い道のりでした
途中‘EOE’を見てすっかり気が滅入ってしまうし
‘ゼルダの伝説’では最初のダンジョンの入り方がわからずにとうとう攻略本を見てしまったし
‘マーブルVSカプコン2’ではネット対戦の成績が5割をわったままだし(5/14現在100戦49勝51敗、ランクD)
‘ドラムマニア’と‘EVIL NIGHT’に全財産を持っていかれてしまうし
・・・・私が悪いのか


マナ:いよいよ、今度はZEROが始まりましたね。

アスカ:ユイナって・・・。あれでやっていけるのかしら。

マナ:ユイさんに似てるらしいわね。(^^;;;

アスカ:ある意味、使徒を怯ませたんだから、凄いといえば凄いけど・・・。

マナ:初号機にもわりとすんなり乗ったんだし、大丈夫なんじゃない?

アスカ:でも、初号機ってそんなに怖かったかしら?

マナ:あなたは、麻痺してるのよ。普通はあんなの見たら、恐いわ。

アスカ:まぁ、アタシはエヴァを見なれてるからねぇ。

マナ:違う。違うぅ。

アスカ:は?

マナ:あなたは、いつも鏡で世界一恐い顔を・・・。はっ!(・。・;

アスカ:(ドゲシッ! グシャッ! バキバキバキーーーーッ!)(ーー#

マナ:つい・・・本音が・・・。(ばたっ)(沈黙)
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